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1951-03-15 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十五日(木曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       佐藤 親弘君    田中 啓一君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       久保田鶴松君    立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月十五日  委員尾関義一君辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長の指名で委員に選任された。 同日  門司亮君が理事補欠当選した。     ————————————— 三月三日  地方財政法第十三條第二項及び同條第三項の規  定に基く意見書を本委員会に参考送付された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九五号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  法案の審査に入る前に、この際理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち理事門司亮君が去る五日、一度委員を辞任いたされましたので、理事が一名欠員になつております。その補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、門司亮君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案一括議題として質疑を続行いたします。門司君。
  5. 門司亮

    門司委員 この前に大体聞いておりますので、きわめて簡單に少し聞いておきたいと思います。  最初に聞いておきたいと思いますのは、三十一條の三の問題であります。「加算法によつて算定する最初事業年度」と書いてありまして、さらに「同項の規定によつて算定した額に当該固定資産帳簿価額政令で定める基準によつて」こう書いておりますので、これは今度の税法改正によつて新たに設けました加算法に関連した政令であつて、特にこの内容をこの際聞いておくことがいいのじやないかと考えております。もしこの「価額政令で定める基準」というものが、「今お話願えるなら伺つておきたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは、控除法をとつております法人が、加算法に切りかえまする場合の特例措置をこの一号、二号に書いておるわけでございますが、その場合に問題になつて参りまするのは、固定資産の問題であります。すなわち控除法をとつておりますると、固定資産を購入いたしました場合におきましては、その購入代金の金額を一時に差引いてしまいまするので、今度それを加算法にかえて参りますと、加算法の場合においては、年々減価償却額を控除して参ることになります。そうしますと、ある特定の企業が一つ固定資産を買い入れました場合に、控除法ですでに全額差引かれておりまするものが、加算法になりますると、また年々減価償却額だけ差引かれるということになりまして、重複いたして参りまするので、そういう場合におきましては、減価償却額を差引きますかわりに、それに見合いまして、将来差引かれて参りまするべき減価償却額相当いたしまするものを、附加価値額に加えておきまして、そして両方を見合つてつて行く、こういう意味調整を加える必要があるわけなのであります。それをこの一号にうたつているわけでありまして、すなわち「加算法によつて算定する最初事業年度附加価値額は、前條第一項の規定にかかわらず。同項の規定によつて算定した額に当該固定資産帳簿価額政令で定める基準によつて調整した額を加えた額とする。」要するに帳簿価額とし減額償却をしましたその残りが残つておるわけでございますが、それを附加価値額の方に加えまして、そして一方年年の減価償却額を落して行く、そして両方見合うようにしておるわけであります。ただ帳簿価額をそのまま加えますると、額の調整ができませんので、これを政令で定める一定基準によつて調整をして行く。帳簿価額としては買い入れましたときの額が残つておるわけでございますから、それを政令に定める基準によつて一定の倍数で調整をした額を加えるというわけであります。この内容につきましては、ただいまここに用意いたしておりませんが、そういう趣旨調整をする基準を設けようということでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 趣旨は今の御説明の通りだと私も考えております。ただ聞いておりますのは、税法の切りかえになつて参りますと、実はここによく問題を残しておりますので、従つて政令で出される場合にいたしましても、よほど早くこの問題が処理されないと、業者の方では相当迷惑すると思うのです。従つて私は今内容がもしおわかりなら聞いておきたいと思いましたが、十分におわかりでないということですし、わからないのもしようがないと思うので、またあとでお聞きをすることにいたします。  次に聞いておきたいと思いますのは、三百四十四條から三百四十七條まで削除されております。これは使用者にかけた税金でありまするが、これを削除することによつて、一方には従来の不合理が是正されることは当然でありますが、一方においてこれでまた一つの不合理が出て来るのじやないかということが、実は考えられるわけであります。それは従来の庶民住宅その他に対しまする使用者課税というものは、非常に不都合であつたと思つておりまするが、それと別に、いわゆる高級官吏諸君の使用しておりまするものが残されておる。これを庶民住宅と同じような形で、全部一ぺんに削除してしまうということについて、多少われわれとしては異論がある、実はこう考えますので、これを除かれた理由を、もう少しはつきりしておいていただきたいと思います。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 使用者に対しまする固定資産税を廃止いたしました理由といたしましては、そもそも固定資産税は、結局固定資産を所有しておりまする者に対する課税でございまするから、そういう趣旨から申しますると、使用しておる者に課することは理論的に申しても、少しおかしいじやないかという、一つのりくつと申しますか、理論の上にも問題がありますのと、ただいま御指摘のような庶民住宅等につきまして、使用者課税をすることについては、実際上の政策の問題としても適当でない、こういうことがあるわけでございまして、そういうような見地からこの使用者課税を廃止いたしたわけであります。もちろんただいま御指摘のような官舎公舎等で、いわゆる義務的に入つております者は、これは現在も但書で抜いているようなわけでございますから問題はないわけでございますが、それ以外の一般官舎公舎等で負担の能力があるような者についてまで使用者課税を廃止する必要はないじやないかというような点の御疑問のようでありますが、確かにそういう点もございまするが、使用者課税全体といたしまして、法の制度の上ではこれを廃止いたしましたけれども、その地方団体実情によりましては、特に條例によりまして、法定外普通税一つとしてそういうようなものに課税をすることも、もちろん一定法定外課税條件に合致するものでありさえいたしますれば承認せしめ得るわけでございまして、ただ一般的な制度としては今回これをやめたい、こういう趣旨なのであります。
  9. 門司亮

    門司委員 ちよつと法文はあともどりをしますが、三百十三條の市町村民税法人課税の問題でありますが、法人課税につきましては、所得税標準税率を百分の十として、制限税率を百分の十一にいたしておりますが、これは個人の分が百分の十八であつて、さらに最高限度を百分の二十に押えておるのと法人との差が、少しあり過ぎるのではないかと考えるので、これではただほとんど申訳的にこれをかけられておるというふうにわれわれには考えられるが、この個人法人との差をこういうふうにおつけになつたことの理由を、この際お聞かせおきを願いたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この法人税割を創設いたしました理由といたしましては、シヤウプ第二次勧告におきましても、配当所得に対する課税が脱落しておるから、その部分とつたらいいであろうというような勧告があつたわけでございまするが、そういう課税漏れ所得割につきまして、個々義務者からとりまするよりも、その源泉の法人においてこれをまとめてとつた方徴税の上でも便宜である、こういうような趣旨から設けましたのと、半面いろいろ国会におきましても御論議のあつたごとく、個人法人間の権衡上、全然法人から所得割をとらないということは、不適当でないかというような御議論がございましたし、また法人は実在せずというような考え方で、單に個人事業活動の手段とのみ見ますることも、どうであろうかというようなことを、いろいろ考え合せました末、法人税制をとるようにいたしたわけでございまするが、ただ現在の法律におきまして、これを全然とらないようにいたしておりまするところへ持つて参りまして、いきなり個人と同じような形でこれをとるということにつきましては、やはり法人に対しまする、たとえば資本蓄積その他の見地から申しましても適当と考えられませんので、大体この法人税額の一割程度を一つのめどにいたしまして、これを標準税率といたしたような次第でございます。個人と同じように百分の十八あるいは百分の二十ということにいたしますれば、個人法人間の均衡が一応それでとれるようにはなりますけれども、国税法人税等との関係から申しまして、やはりそれでは適当じやない、また資本蓄積の上からもどうもそこまで行くのはやや行き過ぎであるという見地で、このような税率考えた次第でございます。
  11. 門司亮

    門司委員 ただ便宜的に、さつき申し上げましたように申訳的に法人税金をかけるというようなことでなくして、やはり税金でありまする以上は、法人個人との間の均衡が十分にとれるようなことが、われわれとしてはいいのじやないかと考えられるのでありまするが、一応政府の御意見がそうであるということだけを聞いておきたいと思います。  その次にもう一つ、前にさかのぼつて参りまするが二百九十五條の問題であります。市町村民税非課税範囲でありまするが、非課税範囲の中に新たに加えられたものは、生活保護法規定による生活扶助を受けている者、これは当然であります。それから前年中に所得を持つていなかつた者、これは大体一応考えられるのでありますが、その次の「不具者未成年者、六十五年以上の者又は寡婦」と書いておりますが、これは年齢を六十五年とするか六十年にするかについては、一応議論はあるかと思いますが、われわれは少くとも現在では五十五歳を職業的に一応年齢満期といたしておりまする以上は、その後の生活の状況にもよりまするが、大体労働能力は一応観念的には低下したものと考えられて、十分に従来の労働能力を発揮することができないということが、停年の線を引いた一つの観念になつておると思うのであります。そうすれば従つて收入の面にいたしましても、五十五歳が一応は限度として考えられる。従つてこれを六十五歳に延ばすことになつて参りますと、これはかなり普通施行されておる停年制税金との間の食い違いが非常に多くなると思うが、これをわれわれとしては六十歳くらいが至当ではないかと考えておるが、六十五歳に定められた政府考え方と、同時にこの中には失業者の問題が入れられていないのでありますが、今日の失業者は必ずしも従来の失業者のように、きわめて短い間の失業者として考えるわけには参りませんので、現在の社会では相当長期にわたる失業というものが必ず生れて来ると思う。従つて職安その他に手帳によつて登録されております者に対しては、当然免税にすべきではないかというように考えておりまするが、この免税範囲を広げたのにもかかわらず、それらの問題がここに書いてありませんが、そういうものについては政府考えられたかどうか。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一の六十五年というところで押えるのは、年齢押え方が高過ぎるのではないかという御心配でございます。この点は、政府といたしましてもいろいろ考慮いたしたわけでございます。御指摘のごとく五十五年を一つ活動停年としておりまするような事例は、会社銀行等にあるようでございまするが、同時に法律等によりましては六十五年、あるいは六十年というようなところで押えておるようなものもあるように存じておるのであります。ここで書きましたのは、要するに一般的な問題としてこういうものを非課税にするという原則的な規定でございまするので、やはり実際の問題といたしましては、六十五年未満の者は、その上にありまする不具者、あるいは未成年者等と比較いたしまして、さほど活動能力において落ちるものではない。実際もそういうふうに考えられましたので、国税所得掛の場合と同じような考え方で六十五年以上の者というふうに押えたのであります。もちろん六十五年未満の者でございましても、一号、二号に該当するものでありまするならば、当然にこれは非課税になるわけでございまするし、その他特別な事由がありまする場合には、その個々事例の問題として減免の措置が講ぜられ得るわけでございますので、六十五年に押えましても、さほどの支障はない、かように考えております。  いま一つ失業者の問題でございますが、これもなるほど賦課期日におきまして職を離れておるということでありますると、そのときは所得がないということが一応言えると思いますけれども、前年においてはずつと職にあつた、あるいはその後職につき得る状態になるかもしれないわけでございまして、ただ現に賦課期日において失業しておるということだけで、非課税にいたしまするのは適当でない、やはりその者が肉体的にも健全であり、十分活動能力を持つておる者でございまするならば、国としてもそういう失業者をできるだけすみやかに就職せしめるという、そちらの方の処置を講ずべきであつて、現在の失業状態だけで、ただちに非課税範囲に入れるということは適当でない、かように考えたのであります。もちろん失業者で前年所得が全然なかつた、あるいは生活保護法の適用を受けるというような気の毒な状態にありまする者は、そういうことで当然に非課税になるわけでございますので、運用といたしましても、特別な支障はないのではないか、かように考えた次第であります。
  13. 門司亮

    門司委員 どうも政府考え方は少しおかしいと思うのです。年齢にいたしましても、六十歳以上の者も十分仕事ができ得るとして、これを停年にしておらない官庁、会社があるいはあると思いまするが、それらは肉体的にも、あるいは精神的に申しましても、その労力に耐え得る職務でありまして、今日一般に通念として考えられておりまする五十五年というものは、大体主として肉体労働者がこれに該当するわけでありまして、それらの諸君は、他に職を求めるといいましても、なかなか困難な状態である。従つてわれわれといたしましては、やはり六十五年というこの十年の開きがあつては、せつかくこういう規定がありましても、きわめて少額の所得者に対しては、あまり恩惠がないのではないかと考えられる。ことに六十五歳あるいは七十歳で十分收入を得て、そうして一つ社会に出て働く階級というものは、日本の現在の段階では、その比率から行けばきわめて少数の人であつて、大部分の人は、やはり五十五歳の停年満期になれば、その後は失業状態に追い込まれるのか、私は現在の社会では通念じやないかと考える。そうなつて参りますると、どうしてもこの年齢は引下げ、ることが正しいのではないかというのと、さらに失業者の問題でありまするが、失業者はなるほど今のお話のようではありまするが、しかし今日の社会の現状で、失業いたしております者に対して、前年に收益があつたから税金を納めろと申しましても、それは事実上私は不可能だと思う。社会一般情勢が非常に平穏というか、常時の場合には、あるいはそういうことも多少あてはまらぬとも限らない。働いておりまするときに多少の貯蓄その他があるならば、翌年度失業いたしましても、あるいは支拂う能力を持つておるかもしれない。しかし今日の日本労働者は、おそらくその日その日の生活をすることに対して、非常に困難をきわめておつて、働いておつてすら、なおかつ税金を納めるということは非常に困難な状態だと私は思う。しかるに失業しておるが、しかし前年度收益があつたからこれに税金を課するという、これは徴税一つの技術から来た行き方でありまするが、これによつて、お前さんは働いておつたから、今年は失業しておつて税金を納めなさいという行き方は、私どもとしましては相当無理が出て来るのではないかというように考えられる。従つて失業者といえども、いろいろ期間その他の問題はありましようが、少くとも職安に登録いたしました者は、失業者といたしましても、当然長い間の失業者であります。たとえば労働者の場合で言いまするならば、六箇月の健康保険期間が切れて、その後にそういういろいろな手続をなされておるのではないかとも考えられる。そういうように、前に相当な長い期間を置かれた後における登録でありまする以上は、当然失業者というものが、やはりそういう意味でこの中に含まるべきである。ことに失業者がただちに就職して行けるような情勢は、まだ当分日本に来ないというように考えられまするので、この点については、私どもただちに承服をするわけには参らぬと思うのであります。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、固定資産税の問題であります。実は国有財産を使用しておる会社工場等があるわけであります。この国有財産相当な価格で使われておるということになればいいかと思いまするが、往々にして国有財産がほとんど無償で貸與せられておるというような状態に私はあると思うのです。これらに対しましては、やはり以前の使用者税のところで申し上げましたように、使用者としての税金を課することが、税の均衡の上からいえば正しいのではないかと考えております。国有財産無償で使用しておるものがないとは限らぬと私は思いますが、これらに対して何かお考えなつたことがあるかどうかということ。  それからもう一つついでに聞いておきまするが、固定資産税の問題で、法の三百五十條は、現行ではもうほとんど役に立たない條文だと思いまするが、この三百五十條というものは、やはり生かしておかなければいけないものかどうか。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国有財産無償で借りまして事業をいたしておるようなものに対する使用者税を廃止することについて、疑問があるというお尋ねでございますが、国有財産を使用しておる場合におきましては、やはり何らかの名義によりまして、使用料を拂つておる場合が多いと思うのでありまして、その使用料におきまして、これは調整されると思いますけれども、御指摘のごとく、使用料を全然とつていないというようなものも、まつたくないとはいえないと思います。そういうような問題につきましては、先ほど申し上げましたように、一般的な制度として使用者に対する固定資産税は廃止いたしましたけれども、個々地方団体がその団体財政需要財政收入をにらみ合せまして、とりたいと思う場合におきましては、法定外普通税という形式におきまして、法定外普通税の要件を満たしまする限りは、これをとることは何らさしつかえないわけでございまするし、また御指摘のような問題につきましては、それぞれの団体実情によるとは思いまするけれども、そういう使用者税をとらなければやつて行けないような団体が多いのではないか、従来使用者税によつて相当多くの財源を得ておりましたような団体でありまするならば、法定外普通税を起して、そういうようなものをとるものも出て来ると思うのでありまして、そういう団体におきまして、そういう方式をとりますることはさしつかえない、かように考えておるのであります。  それから三百五十條の「二十五年度分の固定資産税税率に関する特例」という規定を削つてもいいのじやないかということでございますが、これは、あつても別に支障がないわけでございまするし、また過年度徴税などをいたす場合におきましては、これをかりに削るといたしますると、また附則の方で、従前の例によるという規定を活用しなければならないようなことにもなりまするし、また将来の問題といたしましても、経過的な動きがわかりまするから、特にこれを削除する必要はないのではないかということで、一応このままに存置した次第でございます。
  15. 門司亮

    門司委員 二十五年度の特例に関する條文でありまして、この條文を削らなかつた意図は、さつきの鈴木さんのお話の中に、多少税の調整の上に必要でなかろうかというような口吻があつたように私には聞きとれるのでありますが、もしそうだといたしますると、税率変更をなし得るということに考えられる。二十五年度の徴收に対して、将来というと非常に長い話のようでありまするが、今ただちに一月一日にこの変更は事実上できなかつたが、しかし年度内には税率変更ができるということに解釈していいのかどうかということ。私はその点は非常に疑問があると思うのです。従つてこれを法文通りに二十六年の一月一日中にしかできないということになれば、問題は起らぬと思いますが、今のお話では、残しておつた方都合がよさそうに聞えるのでありますが、都合がいいということは、年度内において税率変更ができるというように解釈ができるのかどうかということ。もしそういうことになるといたしますると、実はこれには相当議論が生れて来ると思いまするが、この点をもう一度聞かしていただきたいと思います。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私のただいま申し上げました意味は、そういう意味ではないのでございまして、もちろん三百五十條の第二項で、固定資産税收入見込みが五百二十億を相当上まわるか、相当下まわるかということによつて税率変更できまするのは、御指摘のごとく二十六年の一月中だけであります。すでに財政委員会におきましては、五百二十億にはなりませんが、それに非常に近い数字になるという認定をいたしまして、これを変更しないということを決定いたしております。従つてこの税率変更するという考えは全然ございませんし、また法律上も不可能なわけでございます。先ほど私が申し上げました趣旨は、そのように決定せられました二十五年度分の税率を前提といたしまして、二十五年度の固定資産税につきまして、過年度徴税を二十六年度になつてからやるとかいうような場合におきましては、やはりこの規定による税率によつて計算をいたさなければならぬわけでございますから、そういう意味でもしこれを削るといたしますると、附則において、二十五年度分以前の固定資産税については、なお従前の例によるというようなことを置かなければならぬわけでございますので、そういうめんどうなことをしないで、これはちよつと目ざわりになるかも存じませんが、これをこのまま存置しておこう、こういう趣旨なのでございます。
  17. 門司亮

    門司委員 目ざわりと言つておりまするが、こういういらない規定を存置しておくということは——せつかく法改正が行われておりまするのに、なるべくこういうものはとつておいてもらいませんと、さつき申し上げましたような、解釈のいかんによつては、いろいろな誤解を招くおそれがあると私は考えておるのであります。  その次に聞いておきたいと思いますることは、非常にこまかい問題でありますが、四百二十三條の問題であります。この四百二十三條にはいろいろたくさん書いてありまして、固定資産課税台帳に登録された事項に対しまするいろいろな不服のあつた場合の審査を決定する委員の数でありまするが、これが二項には、定数は三人とすると書いておいて、八項には、そういう問題を処理すべき事務が多いと認める市は、前二項の規定にかかわらず、これを十五人まで増加し得る、こういう規定があるわけであります。そうしてその中で部会をこしらえて、三人の委員でこれを処理させる、こう書いてありまするが、私はこういろ法律を書かなければならなかつた当局の経緯といいますか、考え方をこの機会に伺つておきたいと思うのであります。この規定は、固定資産税課税台帳に登録いたしまする場合に、現行のままでこれが行われますると、私は必ず大きな問題を起すおそれがあると考えております。土地台帳法、家屋台帳法が修正されて、賃貸価格の制度がなくなつて、そうして固定資産税課税を登録する場合には、登記所の譲渡価格が大体中心になつて、これに課税されるということが法律ではつきりいたして参つておりまするときに、登記役場に登録されました価格が、従前通りのものがそのまま規定されておりまするので、これの改革がまだ行われておらない。ここにいろいろな問題を引起す大きな原因がある、こういうふうに私は考えておるのであります。従つて、こういう條文を入れなければならないほど問題を多く起すのであろうということが予測されて、こういう條文が入れられたと考える。そういたしますると、非常に不平のある者がたくさん審査を要求して来るために、審査員をふやさなければならないということが法律で明示してありまする以上は、この不服をなるたけなくするように、課税台帳をこしらえる面においてもう一つ考えられなかつたかどうかということであります。この点税金について、二十五年度におきましては、賃貸価格の九百倍というようなものを一応使つておりまするし、さらに償却資産につきましては、御承知の通り税金をかけておりまするが、これらの問題が賃貸価格の台帳によらないで固定資産台帳に登録され、それが課税の基礎になつて来るということになつて参りますると、私は現行ではいろいろな問題を起して来ると思う。従つてこの課税台帳の作成の際に、今の登記所に届けておりまする譲渡価格を、何らかの方法で適正な価格に直して行くというようなことが考えられなかつたかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 固定資産の評価の問題でございますが、これはただいま門司さんの御心配になられましたごとく、二十五年度は非常に画一的に機械的にやりましたので、そういう決定自体に対する文句はいろいろあつたわけでございまして、その点は非常に遺憾に思つておりまするが、二十六年度以降におきましては、すべて客観的に価格を決定することになりまするので、むしろ決定自体が動かし得るものになります関係から、従つて固定資産評価員のきめました価格につきまして、納税者の側においていろいろ不満が出て来る場合が多いであろうという考え方から、当初予定いたしました三人の固定資産評価審査委員会だけでは、なかなか困難であるというふうに考えたわけであります。従つて大都市等におけましては、最大限十五人の固定資産評価審査委員を置ける、こういうふうにいたしたのでございますが、そもそも固定資産の価格の決定につきましては、御心配のごとく、土地にいたしましても、宅地と農地では違います。お話のごとく宅地につきましては売買価格でやらなければならないかもしれませんし、また農地につきましては、收益還元の価格をこしらえなければならないのかもしれません。償却資産につきましては、再取得というふうなことになるでございましようし、それぞれ価格を客観的に公正に決定いたし、しかもそれぞれの種類の固定資産の中で、相互に権衡を保つて、公平に価格を決定するということは、非常に困難なことであります。このことに関しましては、地方財政委員会が目下鋭意評価基準を作成いたしておりまして、また都道府県知事といたしましても、地方財政委員会と同じく、市町村の固定資産評価につきまして、技術的な指導に応ずるように義務づけられておりますので、府県におきましても、それぞれ研究をいたしておるわけであります。この地方財政委員会及び都道府県知事の両者の評価基準の作成、指導方針の作成にあたりましては、それぞれ土地なり家屋なり償却資産等に関しましての評価の專門的知識を有します者、あるいは專門的経験を有しまする者をいろいろ参考のために呼んでおりまして、できるだけ公正な評価基準をつくつて指導しようということで、今せつかく努力中でございます。まだこれが最後の評価基準であるという確定版はできておりませんが、近くそれができるはずでございまして、それによつてできるだけ公正な指導をいたそうというふうにいたしておる次第であります。
  19. 門司亮

    門司委員 今の御答弁からのことですが、そうすると本年度の予算に地方財政の予算に組まれておりますものが、この表によりますと、やはり九百倍が規定されておるわけでありますが、九百倍でなくて、この法律では「時価」という文字を使つて、価格は「適正な時価をいう」こういうふうに三百四十一條にははつきり書いておりますので、これが今度の税の算定の基礎になるわけでありますが、そうすると予算との関係のにらみ合せは、大体九百倍で予算を組んでおつても、これで予賞の收入の面では大してさしつかえがないというようなお考えで、これが組まれておるか、この点を、これからちよつと離れるようですが聞いておきたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 財政計画をつくります際に、どういうふうに固定資産税を見込むかということは一つの問題でございますが、当時までの知り得た限度におきまして、たとえば勧銀でございますとか、そういうところで従来土地に関する調査あるいは市街地に関する調査等をやつておるわけでございまするが、そういつたような、今まで手に入れまするところの土地なり家屋なりの価格の比を一応見てみますると、大体ごく大ざつぱに申しまして、九百倍に近いような数字が得られるのであります。もちろん個々の場合に当りましては、千倍を越えるものもあり、とうてい九百倍に達しないものもあるわけでございますが、総体計算として平均の額を見まする場合には、やはり大体九百倍という数字が近いように思われておるのでありまして、そういう意味から、予算の場合におきましては九百倍という数字を押えた次第であります。
  21. 門司亮

    門司委員 これ以上は私はこの前聞きましたので聞きませんが、今のお答えはどうも承服しかねるのです。大体九百倍といつておるが、日本の土地が九百倍で売れるところなんかありませんし、ことに田、畑というものの価格が現行法によりますと大体一万八千円くらいの価格に税金はついておるわけであります。農林省が買い上げた価格は七百六十円でありますから、これに二二・五倍をかければ一万八千円になる。農林省が、たとえば小作料を七倍に上げました算定の基礎になつ收益の率は四百九十八円五十三銭だつたと思う。これに国債利子をかけて参りましても、九千六十三円というのが收益の面から見た田一反の全国の平均の価格だと思う。そうすると、九百倍という数字は、大きな開きを持つておるわけでありまして、大体これの半分くらいが正しい価格ではないかということがわれわれには考えられる。それが大体似たような数字であろうからというので、予算の場合に組まれたということになると、私は予算執行の上にかなり大きな財政上の收入欠陷が出て来るのじやないかというように考えるわけであります。しかし政府はそういう考え方でおられるとすれば、われわれはそういうことを非常に危惧するということだけをこの機会に申し上げて、ここで修正してもらいたいということはただちには申しません。  それからもう一つ、さつき聞きましたことで聞いておきたいと思いますが、委員を十五人にふやされたという原因は、苦情が非常に多いだろうということを予測されてふやされたということに解釈してさしつかえありませんか。それからもう一つ、これは五大都市であるとか、あるいは大きな自治体は、当然事務の輻湊からいろいろなことが考えられるので、十五人という数字も適当かと思いまするが、その他の一般の都市に対しましても、この十五人までふやすことができるという規定が設けてありますと、私はいろいろな面で問題を起すのではないかというように考えられる。やはりこういうものの数字というものは、適当な数字にいたしておきませんと、必要以上にこの数字が少くても困るでしようが、多過ぎてもなかなか事務の遂行の上にはいろいろ意見を持つて来ると思います。この点は苦情が非常に多いということを見通してこういうことがされておるのか。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、三人ずつの委員で分担するということになつておりますが、これは前條に三人ということが規定されておりしますので、この規定にのつとつてどこまでも三人ずつということにされておる、私はこう解釈しておりますが、大体そういう解釈でよいのかどうかということ、それから繰返して申し上げますが、苦情が非常に多かろうということの予測のもとに、政府は十五人にふやされたかどうか。この点を伺つておきたい。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 固定資産の評価につきましての苦情というのは、仰せのように非常に多いであろう、当初予測いたしましたよりも、やはり相当多いであろうというような考え方から、市町村のうち、特に市だけに限りまして、最高十五人までの委員を置くことができるというようにいたしたわけでございまして、ほかに他意はないのであります。
  23. 藤田義光

    ○藤田委員 今度の改正案を中心に簡單にお伺いしたいと思います。  まず第一番は、去る一月下旬に地方財政委員会から国鉄、專売公社、日本放送協会等に対する地方税の課税について勧告がなされておりますが、この際これらに対する政府の見解をお伺いしておきたい。
  24. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説の通り地方財政委員会から国鉄その他に対して課税をしたらいいだろう、こういうことの勧告は出ております。理論といたしましては私もその通り承服しております。ただしかし、ただいまの段階におきましては、国鉄、專売公社なるものが国家財政との関係上、一概にこれを税金をかけて、そうしてどうなるかということに対しては、相当大きな影響を及ぼすことでもございますし、いろいろ勘案いたしまして、この際はこれに対する財政委員会勧告を、そのまま受入れるということを見透りまして、政府内部におきまして、十分国鉄のあり方、また專売公社、放送協会なんかの情勢をよく検討しまして、そしていかにして課税したらいいだろうかということを十分なる結論を得まして、それから皆様方に御審議を願おうということにいたしまして、今回は一応見送つたという形にしておる次第でありますから御了承願います。
  25. 藤田義光

    ○藤田委員 昨年秋のシヤウプ博士の第二次勧告相当今回の改正案に取入れたということは、先般の岡野国務大臣の提案理由の説明にありました通りでございますが、この勧告に比較いたしまして、改正案はいろいろ大幅な相違点がございますが、そのうち二点だけお伺いいたしておきたいと思います。  まず第一点は、米英において非常に発達いたしております租税債権の確保方法として、リーエン制度があることは御存じの通りでございます。悪質の滯納者その他地方税の徴收の現状にかんがみまして、どうしても従来の滯納処分だけでは、この租税債権を獲得するのに不十分であるから、あくまで米英のごとき租税納入に伴う担保を確保いたしまして、滯納の場合はそれを差押えて、ただちに競売して税金とするという強力な規定も必要ではないかというふうに考えまして、シヤウプ博士も勧告があつたと思いますが、これが今回は取上げられておりません。その点と、もう一つは地方税を国税よりも優先して徴收しなくてはならぬということは、シヤウプさんの勧告でも相当重要な点でございましたが、今回の改正案には同順位になつております。一挙にこれをぜひとも地方自治体の財政確立のためにも国税より優先させまして、先取権を認めるということが、現実に即しておりはしないかというふうに考えておりますが、同順位でとどめられましたが、この点に何か特別の理由がありましたならば、お伺いいたしたいと思います。
  26. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点のリーエン制度でございますが、これはお説の通り、地方税確保のためにはこれを採用した方がいいというような考えをわれわれは持つております。ただ問題といたしましては、これを実施いたしまするにつきましては、経済界に対する影響というものも相当考えなければなりません。これが第一点。  それから第二点といたしまして、あれを採用するといたしますと、現行法におけるいろいろな法律改正をしなければならない。その点において各方面との法制上の調節が、まだ十分できないという二つの点で遅れておりまして、ただいま検討中でございます。これはシヤウプ勧告を全然無視してしまつたというわけじやございませんで、経済的の観点からも検討しなければなりませんし、それからまた法制上の調節という問題に対して、なかなか込み入つた手直しを、各方面の法律に対してしなければならぬということで、手間取つておるわけでありまして、ただいま検討中でございます。  それから第二点の優先権でございますが、これは地方財政確立の意味において、シヤウプ勧告通り、優先権を與えた方がいいとは思いましたけれども、しかしながら御承知の通りに、われわれといたしましては、地方公共団体というものは地方の情勢を一番よく知つてつて国税徴收官以上に地方の実情がわかつておるという意味におきまして、すでにその点において一つのアドヴアンテージを持つておるような見地もございまして、一応同順位にしてやつてつたらどうか、こう考えまして、漸進的に、まず第一に今回は同順位ということにしてみたわけでございます。しかしながらお説の通りに、地方税確立のためには、いきなり優先的にやつた方がいいのじやないか、またそれも非常にいいことである、こう考えますけれども、私自身といたしましては、先ほど申し上げましたような、地方は地方の住民並びにその情勢をよくわかつておるから、同順位にしてもむしろ地方の方が優位をかち得るのではないか、こういう考えでやつております。しかしこれはこのまま永久にやつて行くという考えではございません。一応同順位にしてみて、その結果を見てみたい、こう考えております。
  27. 藤田義光

    ○藤田委員 税制改革後の地方税の徴收状況は、税法の実施が遅れた関係もございまして非常に不成績であります。一月末現在大体五〇%程度にとどまるという状況でございますが、この情勢下におきまして、今回の改正案に基いた二十六年度の地方税の徴收見込額は二十五年度に比較いたしまして、約一割、百八十億の増徴になつておりますが、はたして約一割の増徴の見込みがありますかどうか、法律改正に伴う増徴もございますが、今年の基準というものが、まだ不安定でございまして、その上に一割の増徴を見込んだということは、非常に危険ではないかというふうな気がいたしますが、この点お伺いしておきます。
  28. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 藤田委員の御危惧の点もしごくごもつともでございます。税法の施行が遅れまして、各地方公共団体とも極力徴税に力を入れておりますが、先ほども仰せの通りに一月末における徴收実績は五〇%ぐらいということになつておりますが、しかしわれわれの考えといたしましては、大体千九百八億円五月末ぐらいまでには徴收でき得る、こういうような見込みを地方財政委員会の方でもしておるようでございますし、それからもう一つ二千八十七億、すなわち百八十億程度、本年度に比較しまして来年度は増收になるわけでございます。私はこの点におきまして、二十五年度とは違いまして二十六年度は四月一日から、すなわち税法の欠陷による空白状態がなく、完全に四月一日から徴收ができるということになつております点において、今’年よりは徴收もしやすいし、また納税者の方でも納税しやすいという一つの点がございますことと、それからもう一つは、御承知の通りに最近の一般経済界の景気が上昇しておるものでございますから、その意味におきましても、今年よりは来年度の方が徴收がしいい、こう考えておりまして、この案を皆様方に御審議願う事前に、十分その辺のことも見当をつけましたけれども、財政委員会並びに自治庁の意見としましては、大丈夫だ、こういうような自信をもつて提案をしておる次第でございます。
  29. 藤田義光

    ○藤田委員 次は各税目に関して簡單にお伺いいたしますが、まず第一は附加価値税が明年の一月一日から実施になることになつておりますがこれを会計年度と同様に四月から実施するというお気持はございませんかどうか。会計年度と一致せしめる方が、すべての点に有利ではないかというふうに考えておりますが、この点どうお考えでございますか。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 附加価値税の実施の時期をどこにとるかということでございますか、これはもちろん四月一日というふうに押えても押えられないことはございませんけれども、実際の法人の会計年度からいたしまするというと、十月一日に始まりまして、三月三十一日に終りますものが、たしかほとんど八割近くを占めておるのじやないかと思うのであります。そういたしますと、四月一日からということになりますと、その関係は若干調整ができるとは存じますが、個人課税の方から申しますると、暦年ごとに計算をして行くというのが一つ考え方でございまするので、いずれによるか問題がありまするが、大体暦年主義をとつた次第でございます。
  31. 藤田義光

    ○藤田委員 その点に関しましては、ひとつこれはほかのいろいろな税の徴收時期の分割状況等も勘案されまして、政府におかれましても実はいま一応御検討を願いたいと思つております。大体最後の納税期が一月から二月ごろにまたがつておる税目が相当ございます。こういうものと勘案いたしまして、納税者の便利からも、徴税の事務能率からも、四月からが非常に便利ではないかという有力な意見を、われわれは再三拜聽いたしておりますので、まだ期間もございますから、再検討願えれば非常に好都合ではないかというふうに考えております。  それから次にお伺いしたいのは、法人事業税に関しましては申告納付制度をとられておりますが、個人事業税に関しましてこの制度を採用されておりません。この点に関しましてはわれわれもいろいろ想像はいたしておりますが、政府からその理由をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 申告納税制度は、理論から申しますれば、民主的な納税制度ということでけつこうなわけでございますが、何分一挙にそういう方式に進みますことにつきましては、実情に即しないものがあるわけでございまして、法人のような会社の企業経理を確実にいたしておりますものから、まず漸進的にやつて行きたい、国税の場合のいろいろな経験にかんがみましても、個人についてこれをただちに及ぼして行きますことは、どうも現在の実情に即しないのではないかということで、とりあえず法人についてだけ、この方式をとつて来た次第であります。
  33. 藤田義光

    ○藤田委員 次は市町村民税ですが、この市町村民税所得割の算定が、前年度の所得基準といたしております関係上、二十五年度におきましては所得税が約六百四十億の減税になつております。これをそのまま市町村民税所得割と勘案いたしますると、約九十億減税になるわけでございます。従いまして今回法人に対する新たなる所得割ということが考えられたのではないかと思います。ところが今回の改正案によつて見ますと、所得割が一〇%になつております。個人に関しましては一八%である。この点もしこの新制度を創設されるならば、個人との均衡を保つために、個人と同率の課税をされた方が、適当ではなかつたかという点が第一点でございます。  第二点は、はたして法人に対する所得割の創設のみをもつて、二十五年度の所得税の減税に伴う市町村民税の減收を補うことができるかどうかという点でございます。  それから第三点は、徴收制度の実施によりまして、給與所得者からは完全に徴税できるわけでございますが、そうなりますると事業所得者との間に、不均衡を生じはしないかという点でございます。この三点に関しまして、立案当局の御意向を拜聽しておきたいと存じます。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村民税法人税割個人所得割との税率の権衡の問題について第一にお尋ねのようでございますが、先ほどもちよつと門司委員お話の際に申し上げましたごとく、現行法の法人に対しまする考え方は、法人はあくまでも個人所得の手段であるから、個人所得が帰着したときに個人からとる、こういう建前をとつておるわけでございます。その考え方から申しますならば、擬制説的な考え方になつておるわけでありますが、やはり実情をいま一度振り返つてみますと、法人法人として実社会活動いたしておりますので、そういう見地からはこれに全然所得割をとらないのはどうであろうか。しかしながら法人の得ました所得個人に帰着いたしましたときに、個人で押えるというのも確かに一つ考え方でございますが、またかたがたシヤウプ博士の指摘しておりましたように、配当所得二五%というものが差引かれております関係から、個人所得割につきましては、その部分だけ税がかかつていない。従つてこれを補う方法として個人からとるのもいいが、それもめんどうでありますから、一種のいわば源泉において法人からまとめてとる、こういうような考え方、これらを見合いましてさしあたつて法人税額の一割程度をとるのが適当ではないか、こういうことにいたしたわけであります。半面また資本蓄積とかそういうような見地も、若干考えたわけでございまして、これを個人と同率までいきなり引上げて持つて参るということは、いかがなものであろうかということで、一応法人税額の一〇%を標準率にいたした次第であります。  それから第二に、法人税割の創設だけによつて市町村民税所得税による減收を補えるかどうかという点でございますが、これについては政府といたしましては、大体補えるというふうに考えておるのであります。この数字の点は先ほどお示しいたしたと思いますが、大体これでまかなえる、かように考えておるのであります。  それから第二の給與所得事業所得との不均衡の問題でございますが、これは所得税におきまして、すでにこういう問題があるわけでございます。もちろんこういうことは好ましくないわけでございますが、その場合の権衡を低い方に持つて行くというよりも、やはり税はこれを全部納めていただくということが理想であるわけでありまして給與所得の方がよけいとり過ぎるから、それを下げるというよりも、給與所得と同じように、事業所得についても納税の成績をよくしてもらうということが必要であろうと思います。そういう見地からはいろいろの施設、たとえば納税の貯蓄組合でございますとか、そういうものも考えなければならぬわけでございますが、同時に給與所得自体につきまして、事業所得との不均衡を何らか調整せよということに相なりますならば、これもまた勤労控除といいますか、そういうような必要経費に相当する控除を、所得税においてどの程度に見込むかという一つの問題になつて来るわけでございまして、市町村民税だけの問題としてこの点を解釈することは、いささか困難のように考えておるのであります。
  35. 藤田義光

    ○藤田委員 次に固定資産税について一、二点お伺いしたいと思います。  まず第一点は、課税対象のうち、償却資産のみに関しましては、免税点を現在の三倍に引上げられております。この点は家屋、土地に比較いたしまして相当アンバランスになりはしないか、むしろ家屋、土地に関しても免税点の引上げをある程度考えるべきではなかつたかというふうに考えておりますが、特に償却資産のみを大幅に引上げられた理由がどこにあるか、お伺いいたしたいと思います。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 償却資産の免税点を三万円に引上げましたことでございますが、これは従来地租、あるいは家屋税といたしまして、土地なり家屋につきましては、負担がそれぞれかかつていたわけでございますけれども、償却資産につきましては過般の改正で初めて固定資産税がかかるわけでございます。そういうような点から申しますると、負担の急激なる変化を生ぜしめることはどうであろうかというような点を、一面考慮いたしましたのと、また償却資産の把握ということが非常に困難でございまして、ことにこまかいものにつきましては、実際問題として相当困難でございまするし、また中小企業等におきまする零細なる償却資産まで、一々これを把握して参るということにつきましては、やはり産業政策の面からいたしましても、必ずしも適当でないということで、徴税の実際から申しまして、大体償却資産につきましては三万円というところが適当ではないか、かように考えたわけでございます。
  37. 藤田義光

    ○藤田委員 これは市町村民税にも同様の規定ができましたが、報奨金を従来の千分の五から百分の一に引上げられました。まあ二倍になつたわけでございますが、私の関知いたしております熊本の三百箇町村の例からいたしますると、二十五年度においては報奬金の恩典にあずかるというような納税者は全然ないという状況でございまして、この規定がまつたく死文化いたしております。自治庁当局に何か二十五年度の報奬金の支出総額の統計でもありましたならばお示し願いたいと思います。一般の納税意欲を高揚するために倍に引上げられたということはよく理解できますが、ほとんど死文化しているというのが、現状ではないかと思いますが、この点何か数字的な根拠がありましたなとばお示し願いたい。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 報奬金の問題でございますが、これはただいまここに数字を用意いたしておりませんけれども、関西地方の都市等におきましては、ぜひこれをひとつ一割ぐらい出せるようにしてくれというような要望がかねてございましたので、現在の千分の五というのを倍にいたした次第であります。そういう一割とか二割とかいうようなことは少し行き過ぎであろうと思うのでありますが、事実全納いたしました者につきまして、一面納期限後に納めます場合におきましては利子税をとるわけでございますから、それとの権衡ということから、大体この倍額程度のものを報奬金として出すことが理論的にも適切である、こういうことでこのようにした次第でございます。
  39. 藤田義光

    ○藤田委員 まあその点に関しましては、従来は銀行の利子の方が報奬金よりも高いというような状況もございまして、いろいろ苦心されたということは想像がつきますが、この点に関しまして、われわれの意向としましては、いま少しく奮発して報奬金を出していただいたらどうかというふうに、実は考えておつたわけでございます。  次に固定資産税のことをお伺いしたいのは、三百九十一條のいわゆる大規模の固定資産の配分の問題でございますが、二十五年度にはこの価格の仮決定をされまして配分されているわけでございますが、大工場を指定されました数と、その指定の根拠、それからその配分の状況等に関しまして御説明を願いたいと思います。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと今ここに数字を持つておりませんので、それにつきましては別途御連絡申し上げたいと思います。
  41. 藤田義光

    ○藤田委員 この三百九十一條の規定に関しましては、いろいろ地方で問題を起しておりまして、ことさらに大規模の指定からはずされたとか、あるいは加えられたというような、いろいろな問題が起きておりますのでいずれ数字的根拠をおまとめ願いまして、説明を願う機会をつくつてもらいたいと思つております。  時間がございませんので最後に国民健康保險税のことを、簡單にお伺いしたいと思います。この規定によりますると、納税者一人について、一万五千円を越えることができないということになつておりますが、実際上は四万、五万の納税可能者もおるわけでございますが、特に一万五千円という数字を示された理由を、お伺いしておきたいと思います。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この一万五千円という最高限度を押えました趣旨は、国民健康保險税は目的税でございまして、受益者に対する負担という考え方が、相当強くあるわけでございます。あくまで応能主義に徹底いたしまするならば、これは今度の制限を設けませんで、所得割に応じてとつて行くのも、一つ考え方でございますけれども、国民健康保險事業や、そういう施設を利用いたしまする者に対して、課税をいたしまするものでございまするから、やはり応能主義をあまりに徹底して、一人の者から受益いたしまする額をはるかに越えてとるということは、目的税の精神から申しても適当でない、かように考えまして、現在の險保料額の最高限度のところとにらみ合せをいたしまして、大体多い方では一万五千円というところが相当数ある。御指摘のように三万もごく少しはございまするけれども、大体一万五千円くらいで押えることが、健康保險の反対給付受益度とにらみ合せましても適当ではないかというところで、一万五千円というところに押えた次第でございます。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 最後にお伺いしますが、この国民健康保險税の創設によりまして、一般市町村民税の納税に悪影響を及ぼすようなことはないかという点が懸念されるのでございます。現在の地方税で飽和点以上になつております納税者に、新規の税金をつくつたことによりまして、ほかの必要税目の納税に影響するというようなことが考えられますが、この点に関しまして何か名案がございますかどうか。  それからついでに、先ほど申し忘れましたのでお伺いしておきますが、三百九十一條の大工場の価格の通知は、今年の九月三十日までにすることになつております。ところが現在の自治庁の機構、特に税務部の構成を見ますと、非常に手不足でございまして、とうてい十分なる能率を上げることは、不能ではないかとわれわれ外部から心配をしておるほど、税務機構が整備されていないと考えておりますが、この点に関しまして、もしこの期日までに間に合いませんと、市町村におきまして相当徴税上の難関に逢着することになりますので、この際あらためてお伺いしておきたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国民健康保險税をとります結果として、市町村の納税成績全体に、影響を與えないかという御心配でございます。この点につきましては、現在国民健康保險の保險料を滯納いたしておるものが相当ありまするために、大体全体の徴收成績が六〇%程度でございまするが、そういうことでありまするために、一般会計の方から国民健康保險の特別会計に繰入れをいたしておるのが、相当あるのであります。従いまして現在のままにおきましては、結局一般会計の方が国民健康保險に食われて来るということでございまして、やはり国民健康保險事業自体として、十分一種の独立採算のとれるものにいたしたいという考え方から、どうしても保險税という形で徴收をいたした方が、納税者の側からも、また徴税当局の側からも適当であろう、またこのことは社会保障制度審議会も、それが適当であるという勧告をいたしておりますので、そういうことから保險税に切りかえた次第でございまして、一般の市町村税の納税成績に、さほどの大きな影響は與えない、現在のとるべきものをとるというだけのことでございまするので、さほどに大きな影響はないであろう、かように考えであるのであります。  それから三百九十一條の、地方財政委員会が直接価格の配分をいたす問題でございますが、これは御指摘のごとく、従来中央政府において市町村の固定資産の価格の評価をするというようなことは、なかつたわけでございまして、そういう新たなる仕事を新たなる地方財政委員会という機関に課しておりまするので、御心配のごとく、これは非常に困難な事事であります。地方財政委員会といたしましても、鋭意この問題を研究し、この法の要求するところに従いまして、すでに固定資産の価格の配分をいたしておるわけでございまするが、ただ同一府県内にありまする市町村の台帳の固定資産の配分につきましてまで、すべて地方財政委員会でやることは、必ずしもその必要はない、かえつて実情のよくわかつておりまする知事がやた方がよろしいというようなことで、さつきの三百八十九條の方でございますが、これにつきましては府県知事に権限を委譲いたしまして、府県知事が評価することにいたしておりますので、半面この三百九十一條の方は、地方財政委員会がそれだけ余力を生ずるわけでございました、それによつて従来よりは、より多くこちらに力を注ぐことができるであろう、かように考えます。
  45. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時半から再会いたします。     午後零時三十四分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた