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1951-03-14 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十四日(水曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君       大泉 寛三君    角田 幸吉君       川本 末治君    吉田吉太郎君       床次 徳二君    大矢 省三君       久保田鶴松君    門司  亮君       立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月十三日  委員佐藤親弘君辞任につき、その補欠として尾  関義一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九五号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  去る十二日本委員会に付託となりました地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出第九五号)を議題といたします。まず政府より提案理由の説明を聽取いたします。岡野国務大臣。     —————————————
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま提出いたしました地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び内容概要を御説明いたします。  すでに御承知通り、昨年創設されました地方財政平衡交付金制度は、地方団体の自主的な財政運営を確保しつつ、全地方団体に通じて、その必要な財源を保障しようとするものでありまして、新地方税法の制定と相まつて地方自治の確立を企図する新地方財政制度の根幹をなすものであります。すなわち各地方団体につきまして、財政需要額財政收入額とをそれぞれ客観的に測定して、その財政需要額財政收入額を越える地方団体に対し、この地方財政平衡交付金を交付することといたしているのであります。何分この制度はまつたく新しいものでありますだけに、今後なおその運営の実績に検討を加えつつ、漸次所要改善を加えて行く方針のもとに、この制度の企図する理想の実現に努力して参らなければならないと考えているのであります。従つて今回はさしあたり必要な二、三の点についてのみ改正を加えようとしているのでありますが、以下本改正法律案内容概要について説明申し上げます。  第一は、基準財政收入額算定に用いる基準税率について、標準税率の百分の七十を百分の八十に收めることであります。地方財政平衡交付金算定に用いる基準財政收入額については、標準税率による收入額を用いないで、その百分の七十に相当するところの基準税率による收入額を用いているのであります。この基準税率による收入額を用いている理由は、一、地方団体徴税意欲を阻害したくないということと、地方団体間の財政平衡化は、各地方団体に必要な最小限度財源にとどめたいと考えたからであります。しかしながら昭和二十六年度以降は、給與基準の改訂その他によつて、全地方団体を通じて確保すべき最小限度所要財源は、さらに増額を余儀なくされ、かたがた地方税收入はますます偏在する傾向にありますため、三面には基準税率引上げることによつて、全地方団体を通じて保証すべき基準財政需要額引上げて、税收入の乏しい団体にも相当財源を與えつつ、反面基準財政需要額との差額をもつて交付金とすべき各地方団体基準財政收入額算定については、收入のうちこの算定額に加える割合を引上げることによつて地方税收入偏在する地方団体に対しては、交付金を交付しないこととし、もつて地方財政平衡化を一歩前進させたいのであります。  第二は都等特例について改正を加えることであります。都につきましては、現在道府県分交付金算定に関しては、これを道府県とみなし、市町村分交付金算定に関しては、その特別区の存する区域を市とみなすものといたしているのでありますが、こうして算定された結果を、どう計算するかということについては、明文規定を欠いているのであります。そこで法の精神にのつとつて、ここに明文を設けようとするわけでありまして、すなわちかくてそれぞれについて算定された基準財政需要額合算額と、基準財政收入額合算額とをもつて、都それ自体基準財政需要額及び基準財政收入額とし、その差額をもつて交付金算定基準額といたしたいのであります。  第三は、基準財政需要額の算出に用いる單位費用昭和二十六年度においても、地方財政委員会規則で定めることであります。すなわち、單位費用は、標準的條件を備えた地方団体が合理的、かつ妥当な水準において地方行政を行う場合における各測定單位單位費用を基礎として、法律で定めることになつているのでありますが、このようないわゆる標準的單位費用につきましては、現在なお研究の段階にありますし、かつ国、地方公共団体相互間の行政事務の再配分も、いまだ確定していない状態にありますので、さしあたり昭和二十六年度においても、本年度と同様地方財政委員会規則で定めることといたしております。  第四は、厚生労働費にかかる測定單位は、昭和二十六年度においても、地方財政委員会規則特例が設けることができることであります。すなわち厚生労働費にかかる測定單位につきましては、地方財政平衡交付金法に定まつております人口、兒童福祉施設入所者数食品関係営業者数等のほかに、昭和二十五年度においては、これらの経費にかかる国の補助金または負担金との関係上、特に必要がある場合においては、地方財政委員会規則特例を設けることができることになつておりまして、現在被生活保護者数、一時保護所收容定員数結核患者数法定伝染病患者数性病患者届出数精神病院病床数保健所数及び小兒保養所病床数測定單位として用い、これらにかかる国の補助金または負担金に伴う地方負担分適実測定を行うことといたしております。しかしながら、現在なお補助金整理行政事務の再配分の問題が確定していない状態でもあり、かたがたなお一年間実施の状況を見た上で、この種の特例存廃の適否を決定いたしたいと考えますので、昭和二十六年度においても、地方財政委員会規則厚生労働費にかかる測定について、特例を設けることといたしたいのであります。  第五は、昭和二十六年度においても地方財政法国費地方費負担区分に関する規定は、その適用を停止することであります。  第六は、予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律改正でありまして、昭和二十六年度においても、これらの法律に掲げる、国費地方費負担区分に関する規定は、その適用を停止することであります。いずれもその理由はすでに述べましたところにほぼ同様であります。  以上、提案理由及び内容概要を御説明いたしたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いする次第であります。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは次に地方税法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を続行いたします。大泉君。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 今度の改正案内容は、おおむね徴税方面にのみ重点を置かれておるようでありますが、これはもう少し納税者側立場から考慮がなければならないと思うのであります。今までの質問に対する答弁によつて、大体はわかつておりまするが、どういう方面からこの地方税の一部改正の案を盛り立てて行かれるか。あまりにも自治体理事者側意見のみに偏重する傾きがあるので、私どもはどうもあまり感心できない。どういう税にしても、納める方がきわめて気持よく納められるような方法にしなければ、所期の成果があげられないと私は思うのであります。大体において、この改正案の骨子がなるまでのいきさつを初めにお聞きしておきたいと思います。その次にいろいろと内容わたつてまたお尋ねいたします。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま大泉さんからのお尋ねの点は、この改正案ができますまでのいろいろの経緯、それからこの改正案の骨組が、納税者の側の立場を十分に考えていないのではないかというような点を含めてのお尋ねでございますが、地方財政全体の計画といたしまして、御承知のごとく非常に圧迫をしておるような状態でございまして、来年度におきまして、地方財政計画の上から申しまして、二千八十七億余のものを税收に期待せざるを得ないような状況でございまするので、そういうようなものとのにらみ合せの上におきまして、今回の地方税法改正案提出いたしたわけでございます。しかしながらそういう関係から徴税上の各種の技術の改善徴税行政税務行政改善ということを一面において考えておりまするが、同時に負担の公平ということ、またただいま御指摘納税者便宜ということも考えたわけでございまして、一例をあげますれば、たとえば市町村民税所得割につきまして、特別徴收方法とつたということは、やはり数回の納期にわけて、一どきにどつかりと所得割をとりますことは、非常に納税者の側に対しましては、苦痛を感ぜしめることになりますので、これを月割りにいたしまして、特別徴收をする、このようなことを考えました次第でありまするし、また附加価値税控除方式のほかに、加算方式選択的に採用したことにつきましても、これはやはり会社経理の上から言いまして、法人税法所得税法による計算の仕方が一面あるわけでございますから、そういうものをできるだけ利用するようにしようというので、納税者側便宜考えた次第でございます。たとえばまた固定資産評価につきまして、二十六年度からはそれぞれ価格によりまして評価をいたすわけでございますが、これに関しましては、いろいろ納税者側の苦情も出て参ることであろう、こう考えまして、現在固定資産評価審査委員会、すなわち固定資産価格に関しまする各種異議をいれまする機関でございますが、これは大都市等につきましても三人の会議制委員会を設けるようになつておるのであります。これをやはり納税者の側の便宜を考慮いたしまして、多くの異議につきまして、できるだけ敏活に処理できまするように、これを十二に区分いたしまして、十五人の固定資産評価審査委員を置きまして、これを五つの部会にわけて敏速に処理する、こういうようなことも考えておるわけでございまして、納税者便宜の問題につきましても、できるだけ取入れた次第でございます。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 次に、私どもは常に委員会で発言しておられることを、自由に取入れてもらつていないということに対しては遺憾と思うのであります。最近地方行政調査委員会議から勧告された案に対しては、やはり地方税にも相当関係が生じて来ると私は思うのであります。国政地方行政事務の再配分について、根本的な一つ行政整理ともなるようなものであつて、その上に立つてこの地方税というもをのを考えて行かなければならないと思うのであります。こうした地方行政調査委員会議からの勧告を、いつごろ実行するか、あるいはいつごろまでに何らかの目鼻がつくかという見通しについては、どんなお考えを持つていられますか。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政調査委員会議勧告につきましては、先般勧告を受理いたしましてから、政府としましては、それぞれ関係各省に対しまして、その勧告案に対しまする意見措置というものの提出要望いたしておりまして、そういうものが現在各省から一応集まて来ております。ただこれにつきましては、それぞれ各省立場立場での意見でございまするので、これをやはり政府全体として調整をする必要があるわけであります。その調整基準になりまするようなものといたしまして、過般閣議で決定をいたしまして、地方行政調査委員会議勧告をできるだけ尊重いたすというあの趣旨に従いまして、現在の行政事務の再配分に関して、逆にたとへば府県や市町村の持つておりまする事務を国に引揚げるというようなことは、原則としてやらない、また不要不急の仕事は委譲するというよりも、むしろこれをできるだけ整理して行く、そういうようなことをいたしましてまた一面国と地方団体との関係、すなわち国が地方団体に対していかなる立場に立つか、どういう関與をするかということにつきましても、勧告趣旨に従いましてこれを調整して参り、少くとも現在の国が地方団体に対して関與するその程度を越えるような強力なる関與機構というものは認めない。このいうようなことも同時にきめまして、そういう最小限度の線を引きました上で、さらに地方行政調査委員会議勧告と、各省のそれぞれ專門省としての意見とを、内閣調整をいたしまして、次の通常国会に間に合いまするように、関係法律案等改正をするように準備を進めて参りたい、こういうふうな段取りにいたしておるのであります。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 それから政府地方自治体に対して、親心を持つて財政面を非常に心配されておることはけつこうでありますけれども、この財政歳入面の方にばかり重点を置いて、歳出の点においてはあまり心配してやつていないようであります。またあまり出過ぎたことをやると干渉というような言葉になりましようけれども、しかし平衡交付金というような大きな援助をしておる以上は、やはり支出面において、きわめて地方々々に応じた力を全部引出して、そしてなお足りないということであれば、財政面收入面に触れて、これを心配してやるのもいいが、やはり持てる力を出さずに、ただ政府に依存するような考え方を増長させるようなことではいけない。もう少し歳出面において、これを制約する必要があると思う。こういう点について、どんな措置をとられたか、一応伺いたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体歳出について検討を加え、これを調整するのにどういう措置をとつておるかというようなお尋ねでございますが、現在の地方公共団体の支出いたすべき各種経費というものは、御承知のごとくそれぞれ国の法律ないしはこれに基きます各種命令等によりまして、規模が大体きめられておりまして、その定められました限度のものは、地方に何ら選択の余地なく、これをどうしても出さなければならぬというような状態になつているものが非常に多いわけでございます。要するに地方歳出は、何といいますか、非常に定形化されておりまして、固定化されておる。彈力性が非常に少いということが、国の歳出に比較いたしまして、一つの顕著なる特色であろうと思うのであります。そういう関係からいたしまして、歳出の面におきましてこれを調節することは、一般的に申しまして非常に困難であろう思います。いろいろ御指摘になられましたような、あるいはいろいろ世間で言われておりまするような、いわゆる冗費というような点に関しましても、地方歳出全体のわくから申しますると、額といたしましてはそう大きなものでない、それによつて非常に多くの財源が期待できるというような程度のものではないように、私ども考えておるのでございます。もちろん定形化されました地方歳出でございましても、努力とくふうのいかんによりましては、合理的な能率的な運営の結果といたしまして、若干の調節はできるわけでございまして、地方財政委員会におきましても、そういう意味での節約額というものは、御承知のごとく来年度八十億程度を見ておるわけでございまするから、それ以上に要求をいたしまするということは、実際問題としてなかなか困難であろう、かように今考えておるのであります。しかしながら、政府といたしましても、地方行政ができるだけ合理的に能率的に運営せられるような努力を非常に期待をいたしております。しかしこれは、地方選択に許されました範囲での合理的な能率的な運営に期待いたす面もありますれども、それよりもむしろ国法律によりまして、各種機構を設けなければならない、いろいろな職員を置かなければならない、いろいろな行政をやらなければならないというような面に、さらに今後検討を加えまして、百政が市町村に集まつて来る、その集まつて来るもろもろの行政というものを、もつと全体として市町村がやりやすくする、合理的に能率的にやりやすくするという制度の面での改革を、もつと考えて行かなければならぬじやないか。そういう国の当局考えまするものと、地方団体当局努力と両方相まちまして、初めてほんとうの合理的な能率的な行政運営ができる。従つて歳出の合理的な按配もできることになると思うのでございまて、そういう意味で、今後は政府といたしましても、政府の責任に属しますることにつきましては、十分努力をして参りたい、かように考えております
  11. 大泉寛三

    大泉委員 今度法人税割調整されるということになつておりまするが、こういう法人税割要望というものは、私ども国政調査行つてよく聞く中に、地方の小さな都市が、法人税割のような、法人に課税する方法要求されておつたのであります。それは何かといいますと、個人企業からみんな税の重圧をのがれんがために法人に切りかえている。小さな企業もみんな法人の資格を持つておる。そして個人のこの重い税からのがれて来た法人が、地方団体としてはこれにきわめて税の公平を欠く結果になりだしました。それで何とか法人にかける方法はないような声がしきりに多かつたのであります。さてこういうように法人税割を課するというようなことになりますと、これは地方の小都市からそういう要望の声があつて、多分こうなつたと思うのでありますが、結果においてはかえつて大都市にこれが非常な増收をもたらすことになつて地方の小都市は声を大きくして叫んだけれども、きわめて利点にあずからなかつたといよううな結果に陷るのではないかと私は思う。これについて大都市から何らかの方法で、せつかくこういう税を設定されたのだから、目的に沿うような手段を考えて行かなければ、まつたくかえつて高いところに土盛りをするような結果に私はなるのではないかと思う。こういう点についてはどういう考えを持つておられるか。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村民税一つとして法人税割を創設いたします結果として、市町村にさらに財源偏在をするような結果になりはしないかという御心配でございます。この点は確かにそういうような面が出て参ると思います。このことは現在の税の配分の態勢を維持いたします限りにおきましては、税額増收というようなことに関連をいたしまして、そのような結果になる可能性が若干あるわけでございまするが、これを調整いたしまするのは結局平衡交付金制度運用にまつほかないわけでございまして、また平衡交付金制度の適当なる運用によりまして、そのように偏在いたしまする財源というものを、これの乏しい地方団体配分いたしまして、これを平衡化することが可能なわけでございます。  政府といたしましては、今回の増收の結果得まする税源偏在につきましては、平衡交付金制度運用によつて調節をして参りたい、かように考えておるのであります。ただ将来の問題といたしましては、やはり偏在いたしまする税源をあとから調整いたすという方式よりも、やはり根本にさかのぼりまして、そういう税の配分自体が、できるだけ偏在いたさないようにするということを、配慮をする必要があろうと思われます。この点は御指摘通りでありまして、将来の税制改革にあたりましては、御指摘のような点を十分配慮いたしまして考えて行かなければならぬ、かように考えております。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 それから源泉徴收のことについてでありますが、これは昨日門司委員から詳細に問われましたので、簡單にお聞きいたしますが、この源泉徴收そのものは、私は大体根本からあまり好まない。国税徴收面においても、源泉徴收ということは、まだ所得にならないものを取上げてしまうのだから、まつたくこれは税の本来の形をなしていないと私は思うのであります。今度地方税においても、国税にならつてこれを徴收するというに至つては、まつたく私は賛成できないのでありますけれども、しかし徴收するならば、こうした複雑多岐徴收をやるよりも、むしろ国税にこれはおんぶした方がよろしいのではなかろうか。いわゆる自治体條例によつて、特定な徴收義務者がそれに応じなければならない、しかもそれが地方自治体自身が、必ず自分の行政区域内に居住しておる者の義務者ならばよろしいが、他の地区にある者に対して、しかもあまり関係の稀薄な者に対して義務づけるということは妥当じやないと思います。こういうふうにほとんど徴收する目的のために、いわゆる多数の義務者をこしらえたり、あるいは銀行、金融業者を煩わしたり、そしてこれを後において徴收するというようなことは、ただいわゆる脱税を防ぐという結果にだけ終つて徴收面においてはかえつて複雑なる手数に追われてしまうのじやないか、こう思うのであります。こういうようなことをするならば、むしろ源泉徴收者に限り、国税にまかした方がごく簡單じやないかと私は思うのであります。当局考えはどんな考えを持つておられるか。やはり自治体自治体として、どこまでも国税関係なく独自の立場で行かなければならないのだ、いかに費用がかかつても、経済的損失をこうむつても、自治体の名目を保持して行かなければならない、こういよううな考えでやつて行かれますか、この点においてまことにどうも、私ども実質面からいつて不合理じやないか、こういうふうに考えるのであります。いかがでありますか。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村民税個人所得割特別徴收につきまして、また新しく所得税源泉徴收義務者になつている者に対して、さらに負担をかけることになる、そういう点からの御心配で、国税にむしろおんぶしてやつたらどうかというような御意見のようでございますが、現在の地方税法の建前は、過般の地方税法国会において制定せられました際の考え方といたしましては、やはり地方団体に独自の課税標準をとりまして、そうして自主的に税をとらせよう、こういう、地方税制の上の地方団体に対する自主性、あるいは自律性というものを強く考えまして、従来ございましたような賦課税方式というようなものに再検討を加えましてこれを配したわけであります。こういう賦課税方式は、徴税便宜という点から申しますならば、これは確かに非常に能率的で簡單であるという長所がございまするが、今申し上げましたような地方団体自主性というような点から申しますると、そこに必ずしもその線に沿つて来ないという問題があるわけでございまして、この自主性要求と、能率上の要求とを調和いたして、現実の問題を考えなければならぬと思いまするが、市町村民税特別徴收方法を取上げましたのは、自主性というようなことから、市町村が独自に賦課令書を発してとるというようなことは、どうも実際問題としてなかなかむずかしいというようなことから、完全に国税におんぶするという方式ではございませんが、国税のやつておりますその方式を取入れまして、そういうふうな特別の徴收方式とつたわけであります。このことにつきまして、特別徴收義務者にいろいろ負担を與えるのではないかという点は、確かに一つの問題でございますけれども国税所得税の場合の源泉徴收のような、源泉徴收義務者自身税額計算をして俸給から差引くというようなことでなく、市町村の方でそれぞれ税額計算をいたしまして通知した額を差引いてもらう、こういうような簡便な方法にいたしておりまするし、また転任等の場合におきましては、爾後とらないでよろしいというような措置もいたしておりまするし、いろいろの点におきまして、できるだけ特別徴收義務者負担をかけないような方式にいたしておりますので、そう御心配のことはないのではないかというふうに考えておるのであります。
  15. 大泉寛三

    大泉委員 大体簡單に伺います。どうも実際面において、当局があまり経済的な一つ計算のもとに、こういう案を立てられたとは思えないのであります。それはかえつて零細な計算をするには非常に手数もかかる、その上にまた、この徴收面において、徴收義務者あるいは金融業者というような二段三段の手数をかけているということは、どうもかえつて経費倒れになるような結果になりはせぬかと私は思うのです。そこでやはり。いわゆる国税税務署管内というような広範囲な区域によつて、この徴收義務を経済的に運営して行つたならばよろしいではないか、こういうふうに私は申し上げたのであります。しかし何といつて自治体立場は独自の條例で行くのであるから、これはいたし方ないとすれば、これも後にまた改革される時期において当然取上げてもらうということにいたしておきます。  そこで、きのう門司委員からも言われておつたのであるが、どうも徴收義務者に対して何らかのこれに対する、義務ばかりでなく、いわゆる費用の弁償の方法を講じなければ、やはりこれを拒否する、こういうような事情に対して、何らかの方法を講じておかなければならないと私は思うのでありますが、これに対してきのうの御答弁はあまりはつきりしておりませんが、これに対して政府はどんなお考えを持つておられるか。
  16. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特別徴收の負相をかけます反対給付として、交付金、手数料というようなものをやつたらどうかというお話でございますが、これにつきましては、国税所得税源泉徴收につきまして、手数料とか交付金を出しておるとかいうことでございますならば、これは当然に、地方税に関しましても、そういうことを考えなければならぬのでございますが、国税の方におきましては、そのような措置をとつていないわけであります。そういう結果といたしまして、国税所得税との権衡というようなことも、一面考えて参らなければなりませんし、もちろん将来国税についても、そういうことを考えるのだということになりますれば、それは地方税についても当然そういうことが並行して予想されるわけでありますが、国税が現在の建前であります以上は、やはり特別徴收につきましても、そのような建前をとらざるを得ないのであります。ただ実際問題といたしましては、昨日も申し上げましたように、この税額市町村の方から特別徴收義務者の方に、毎年四月十五日までに通知をいたしますが、そういう通知の用紙に対して、書き込んで返信をしてもらえば、それで用が足りるようなぐあいに、事務処理上できるだけ特別徴收義務者負担がかからないように、用紙その他につきましても、市町村の方から十分考えるというような、実際の運営にいたしたいと思いまするし、また送金の場合におきましても市町村が、その特別徴收義務者のおりまする、すなわち会社のあります市町村の中の金融機関を指定いたします。その中には郵便局を指定いたす場合もありますが、そこへ拂い込んでもらえばいいということで、特に送金のためにそれぞれの住民のおります市町村の役場に持つて行くとか、特別の金融機関に拂わなければならぬというようなことがないようにするというような配慮も加えておりまして、形式上手数料とか、交付金とかいうものは交付いたしませんでも、実質的にできるだけ負担のかからないような運用をとつて行きたい、かように考えております。
  17. 大泉寛三

    大泉委員 次に再々前国会、また前々国会のときから、私ども声を重ねて言つておつた電気ガス税の問題でありますが、電気ガス税というのは、一つの消費税的な立場においては私ら納得しておつたのであります。けれどもこれを生産用の原料として使用する電気ガスのようなものは、これは免税として取扱わなければならぬのじやないかというような立場から、再々これは申し上げておつたのだが、その声が入れられずして、今度の改正案になつておるのだが、当局としてはこの委員会の意思をあまりにも取入れなかつたということについて、私どもは非常に遺憾に思うものであります。これに対しては私どもは別な考えを持つてこれに臨む考えでありますけれども、これに対いしてのお考えはどんなものであるか、いわゆる原料として消費するところの電気ガスに対する免税の範囲をお考えになつておられますか。
  18. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 ただいまの御意見につきましては、現行制度におきまして、電気ガス税において若干のものを非課税にしております。その沿革を申し上げた方がよろしいのではなかろうかと思います。電気ガス税を創設いたしました当時、ある種の物品につきましては価格統制が行われておりまして、しかも価格統制が行われている結果、それらの物品を製造いたします事業に対しましては、国から価格調整金が交付されておつたのでありますが、そういたしますと、そういう種類のものを製造するために消費いたします電気ガスに対しまして課税いたしますれば、さらに経費がかさんで参るわけであります。他面価格が押えられているわけでございますから、自然その赤字を埋めますために、国から出しますところの価格調整交付金というものを増額しなければならない。地方税で増徴をして、国の方で歳出をそれだけ増額しなければならないというふうな、持つてまわつた状態になるものでございますので、そういう種類につきまして非課税の規定を置いたわけであります。ただいま大泉さんがお話になりましたような点も、十分考えて行かなければならない点でございますけれども、それではそういうものに対する電気ガス税が、最終製品に対してどの程度経費の増加になつて参るかということも、あわせて考えて行かなければならぬし、同時にまたそういうものを巖密に区分することにも、技術的にはかなり困難な面もあるわけであります。私は根本的には、工業関係において使用するところの電気ガスに対してまで課税することが、不穏当であるかどうかという問題にさかのぼらなければならないと思うのであります。現在ある種の物品につきまして非課税の規定を置いておりますのは、單に沿革上の理由にすぎないと思つておるのでありまして、将来さらに非課税の範囲を考えるか考えないかという問題になりますれば、かつて国税、電気ガス税において、住宅用のものについては課税するが、工業用のものについては課税しないというような制度をとつて来た時代もあるのであります。しかしながら今ただちにそのような制度をとりますと、地方財政の現状から考えて、あまり減收額も多いのでございますので、そういう控置とれない。かたがた非課税の範囲を広げるということは、ただいま申し上げました非課税の範囲を設けました理由にもかんがみまして、これに追加すべき理由もないのではなかろうか。ただこれらの製造業の関係に、経理上激変を與えないという意味において、当時設定いたしました非課税の範囲を踏襲いたして参つているというような状態であるわけであります。しかしながらただいまの御意見もございましたし、電気ガス税そのものにつきまして、将来地方財政全体の推移とにらみ合せて、比較検討を加えて行かなければならない問題であろう、かように考えているわけであります。
  19. 前尾繁三郎

  20. 野村專太郎

    ○野村委員 今回政府提案されておりまする地方税法の一部を改正する法律案の、現在の提案そのものについては、私もう少し現在の地方税全体を通じて、積極的な改正を期待いたしたのですが、結局現在のような税法の内容を盛つたものが提案を見たのであります。この機会に、岡野国務大臣御出席でございますから、この地方税法についてお尋ねをいたしたいと思います。特に地方税のうちにおきましても、都道府県の重要な税の一つになつております入場税あるいは遊興飲食税について、主としてお伺いしたいと思うのです。これら両税には必ずしも安定性があると言えないと思う。まず先に入場税についてでありまするが、この入場税のうちの映画演劇、これは文化の上において大きな役割を務めておるわけです。これらは当委員会において十五割から十割に減税を見たのですが、これらについて、今ちまたに世界一高い入場税というような、いろいろな標語も見えておるわけです。およそ税と名のつくものは、私らの單純な理念から行きますると、五割以上はかくべきでない、かように思う。十割とか、しかも十五割なんてとる、こういう種類の事業は、むしろ私は禁止すべきであろうと、理念的に考えておるわけです。こういう点に対しましてこの今の十割課税は了解に苦しみますし、またこの税を通しての徴税が非常に困難な状態を私は知悉しておるのです。そういう点から、前回十五割から十割に減税をいたすときにおいては、文化的の役割から見て、いわゆる観客層の面からも考慮をして、相当入場料金のわくをはずすとか、いろいろな点からこの点をねらつたのですが、今映画関係の製作面とかあるいは小屋の経営とかいろいろな面から見て、結局われわれが期待した料金引下げというももの非常に困難である。そういう点から、これを健全なものにし、文化の上に役立たせるという点と、冒頭申し上げました私の理念に基きまして、五割、さらにまた演劇につきましては、最近歌舞伎座も復興いたしたわけですが、これらも一階、二階などは、いろいろな商業政策等を通して、一応席を埋めているようですが、いわゆる大衆が利用しまする三階席のごときにおいては寥々たるものがあるということを聞くのですが、こういうものは、むしろ政府が別の観点から国立劇場的な援助すら與えなければならぬというくらいな考えを持つのです。そういう点から、演劇については映画とは差をつけなければならぬと考えられるわけですが、今この入場税の徴收状態を見ますると、遊興飲食税的な徴收のしかたをとらざるを得ないような状態になつておることを私は聞くので、こういうことは非常にいけないことだと思います。一体税金は拂える税金、また法律は守れる法律でなければ何もならぬと思う。現在のような無理解な税率をいたずらに羅列しても、これを守れないというようなことになりますると、やはり公正な納税が行われない、そこに不徳な業者なり、納税者が跋扈するゆえんでありますので、まず入場税について、大臣の御所見を伺いたいと思います。  それから、さらにこれに関して小さいことになりますが、最近各種のスポーツが非常に盛んになつて来たわけですが、従来、歴史のある相撲、これは一部において、あるいは封建的な要素があるかもしれませんが、敗戰日本を振興し、平和日本において、私はこの国技を通しての成果というものは、相当期待ができると思う。これが現在ほかのいわゆる奢侈的な興行と同じように十割課税である。それからまた新興スポーツとしてのアイス・スケート、これについては、観覧者は四割だけれども、これを利用する者に対しては十割という課税である。この二つが私はどうもそぐわないように思いますので、これらに対する御見解を伺いたい。一は国技、一は新興スポーツとして、他の好ましからざる競馬とか、ほかのいわゆる奢侈的のそれとは異なると私は考えます。まず入場税について御所見を承りたい。
  21. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。野村さんのお説、私もアツピールする点がございます。十割というような税金をかけることは、私はむろん原則としてはあまり賛成すべきものじやないと思います。ただ御承知通りに、入場税とか遊興飲食税というのは、国民が非常に苦しんでおるときに、汗水たらして働いておる人よりは、少しでも享楽をしておるというような意味から、こういうものに対して課税をする発端が出て来たのだと思つております。その意味におきまして、終戰後五年もたちまして、大体経済界も安定して、皆お互いに公平な生活がして行けるというふうな状態にまで進みつつある時代におきましては、こういう十割とか十五割とかいうような税率は、だんだんと減して行くべき筋合いのものと私は考えます。この点はまつたく御同感でございます。ただ問題といたしましては、御承知通りに、ただいま入場税とか遊興飲食税というものが、都道府県のおもなる税種の一つになりまして、そのほかに適当なる財源がないものでありますから、まあこの前に皆様方の御意見をいれまして、十五割を十割に下げて実行しておるというような状況でございます。しかしながら税全般といたしまして、市町村税もそうでございますが、特に都道府県税というものは、私は再検討しなければならぬものだと考えております。その再検討には、税種そのものもございますし、同時に行政事務の再配分というような根本的の改革が、まさに行われんとしておる時代でございますから、その事務の再配分で、府県というもののあり方が、はつきりといたしますときには、当然税制改革も大幅に根本的にやらなければならぬと考えます。でございますから私どもといたしましては、この際入場税、飲食税あたりに対して、何とかしたいと考えましたけれども、ほかに財源がないということと、先般とにかく五割でも減らして、まだ一年にもなりませんこと、こういうような情勢でもありますし、かたがた将来において相当の大変革があつて、都道府県の税種に対して相当な変革をしなければならぬということもございましたので、この際これに対する十分なる根本的の検討をすることを先へ延ばしまして、従来通りの税率でやつて行こうということになつておる次第でございます。でございますから、十割の課税があるということに対して、高過ぎる、またそういうものは今ごろ、もしくは将来において続けて行くべきものじやないというお説に対しましては、私はまつたく御同感の意を表する次第でございます。
  22. 野村專太郎

    ○野村委員 スポーツはどうですか。
  23. 岡野清豪

    岡野国務大臣 スポーツもやはり入場税と一丸にして入れましたものでございますから、再検討のときに考えるべきものと思つて、先へ残しております。
  24. 野村專太郎

    ○野村委員 ただいや岡野国務大臣の御答弁によりまして、大体の推移としては了承することができるのですが、いずれ地方税全般に対しては、根本的に検討する日の一日も早いことを私は期待いたします。そこでこの入場税とか遊興飲食税とかいうものは、戰争中の反動的な、いわゆるとれるからといつてとるべきでないということを、私は強調いたしたいと思います。今大臣は、これらは一日勤労をしている人たちの生活に比較して、とるべきだというようなお話であつたのですが、現在の映画、演劇は、その勤労の人たちが大半の対象になつておりまして、決して富裕な特殊の階級を対象としているのではないと思う。特に映画のごときは、従来と違つて都市、農村を問わず、日常の生活と切り離すことのできない対象になつていることを考慮すべきだろうと考えておるわけです。  それからもう一つ、これは今日の日本の国情からそうでしようが、外国映画が——従来は都市だけだつたのですが、最近は農村に至るまで非常にこれが受けておるわけです。これによつて知識を広くして、文化を広汎に吸收することはけつこうですが、しかしこれによつて邦画はかなりの打撃を受けております。打撃は別にいたしまして、地方財政の非常に困難なときにおきまして、政府としてはこの洋画に対して何らか調整する財政的の措置がないかということをお尋ねいたしたいと思います。
  25. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。洋画が非常に普及して、そのために日本の映画会社が非常に困つておるということは、いろいろ陳情を受けまして、よく存じておる次第でございます。しかしながら、ただいまこれをいかに区分して、洋画配給に対してはこうこう——また日本製作の映画を採算の合うように、うまくやつて行くために非常に苦心されているという話を聞きまして、それに対して何とかしたいということを考えましたけれども、結局これは手心の問題でございまして、これを税法上そう簡單規定するというわけにも行きませんから、いずれ私も御意見通りに将来考えなければならぬと思つておりますから、そのときに一緒にやつて行きたい、こう私は考えております。
  26. 野村專太郎

    ○野村委員 次に遊興飲食税関係ですが、遊興飲食といつても、いわゆる花柳界の花代を含む行為は、確かに遊興的な要素があることは私も認めておるのです。しかし今日の経費状態においては、いろいろな取引、産業復興、いろいろな点から、こういつたような社会が、好ましくはありませんが、利用されている面もあると思うのです。そのほか料理、旅館、喫茶等いろいろありまするが、旅館、喫茶等を遊興と見るということは、私はどうしても理解に苦しむ。むしろ花柳界を含めまするものの遊興税と、他の飲食税との二つに分類すべきであろうと思うのですが、こういう点に対する御見解を、まず一点伺いたいと思います。  それから喫茶ですが、喫茶にも今日二割課税をしておる。今お話のように、一日の労働を終えて、しようちゆう一ぱい、かすとり一ぱい飲んでも二割の税金がかかる。コーヒーを飲んでもそうです。そういうものは、おそらく業者が税を生かしてとることは非常に困難であります。にもかかわらず、これを遊興なる名のもとに課税をしている。地方財政上やむを得ない事情はありまするが、これらはむしろ撤廃すべきであると私は考えます。この撤廃できませんければ、百円以下くらいのものははずして行くべきだろうと考えておるわけです。そういう点から、喫茶というようなものに対して遊興飲食税ということは、非常に困難のように思います。  それから旅館、料理ですが、最近は花柳界でありますとか料理屋ですとか、いろいろなものが区別がつかなくなつている。この点は私も業界関係に大いに自粛を望んでやまないのですが、これらが十割ないし二割ということになつておる。こういう浮動的なものを都道府県の重要な税対象に考えているということは、相当考えなければいかぬ、かように考えております。特に旅館のごときは、場合によつては生活の延長ともみなされる。今日は修学旅行ですら二割の課税をしている現状です。これら遊興飲食税については、相当検討を要するのでありまして、地方財政の実情をよく理解しながら、業者が納税のできるような税率に改むべきだろうと思うのです。そういう点から、今日この遊興飲食税というものは、地方においても徴收に非常に困難をきわめておると思うのです。ことに花柳界の花代を含む行為のごときも、現在十割ですが、さつき大臣のお話のように奢侈的なものもあります。これらは遊興的のものですから、あるいは五割程度はやむを得ないかと思いまするが、実情は三割程度以上の納税は、困難ではないかと想像いたします。それから旅館についても適正なる考慮を拡つて、とにかく現在の実情によつて地方財政を理解しながら納税をし、また守れる税法にして行かなければならぬということも痛感いたしておるわけです。どうかそういう意味におきまして、これらに対する御見解を伺いたいと思います。
  27. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えをいたします。先ほども申し上げましたように、遊興飲食税は戰時中からの伝統で、そういう名前をつけておるのでございまして、旅館に泊るなど遊興とはわれわれ考えておりません。しかし地方財政がたいへん困つておりますので、ほかに税收がありませんから、負担力のあるところから税收を上げるということが、一つ根本原則でございます。でございますから、先ほども申し上げましたように、行く行くは考えなければならぬと考えておりますが、ただいまのところは、この程度のものを地方税として出していただくことが、地方財政を独立させるのに必要である。先ほどの修学旅行の点は、地方において各公共団体の方で実情を見まして、減免する措置がとられております。  それから私もう一つ申し上げたいと思いますが、旅館の方も、なるほど今の税率が高いか安いかということに対して、御議論もございましようが、しかし家庭の延長ということに対しては、私は一つの異論を持つております。と申しますのは、私が浪人して貧乏いたしておりますときには、せつかく用がありましても、東京によう来なかつたのです。これは負担力がなくて旅館に泊ることができなかつたからです。しかしながら月給でももらうことになりますと、そこへ行つて泊るということになる。つりま必要に応じて旅行もしなければならぬ。その必要が起きて来れば、それに対してやはり幾らかの負担力があると見るべきものでございまして、家庭の延長であるという御議論に対しては、私は少し意見を異にしておる次第でございます。
  28. 野村專太郎

    ○野村委員 いずれにしても遊興飲食税は特別徴收義務者として業者が徴税に当つておる。お客あるいはこれを利用する者から完全にとれるようにしなければいかぬ、かように考えるのであります。現在の税率、税法というものは、非常に困難な経済状態と、いろいろな点から、お客からとれない。またあるいは不徳な業者は、これに便乘して行くというようなこともあるのでありまして、どうか適正な税法に一日も早く改めると同時に、これを完全に法の軌道に乘せて行くべきであろうと思うのであります。  それからもう一つ、その反面、依然として寮でありますとか、クラブであるとか、こういうところでやはり飲食類似の行為が行われておる。これらは非常に地方財政が困難であると同時に、課税すべきである、かように考えておるわけであります。どうかその意味において、政府の適切なる処置をとられんことを要望いたして、私の質疑を終ります。
  29. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ちよつと今のにお答えしておきます。寮の問題でございますが、これは実は地方公共団体でやれることになつておりまして、福岡あたりは相当税收を上げております。
  30. 野村專太郎

    ○野村委員 もう一つこの機会に……。先般大石代議士から、いわゆる軽喫茶に対して質疑が行われたわけですが、現在の実際の社会生活において、売春條例というものがありますが、この面においては、これを利用する者は、一口に遊興とは言えないと思う。しからば飲食も多く対象としないと思います。半面これらに従事しております人たちは、非常に同情すべき婦人である。これが接客人税という名のもとに徴税されると同時に、業者との間にもあいまいなうちに遊興飲食税を課税しておる。こういう点に対しては、そういう雰囲気に封建的な大いに批判されなければならぬものが、相当あろうと思います。これらは十分批判をされねばなりませんが、やはりこれを一口に遊興飲食の名のもとに、今日課税をするということは、相当検討の要がある。ましてやここに働いております気の毒な婦人から接客人税をとるということに対しては、ほかの飲食遊興関係とは非常に性格がかわるということを付言いたしまして、政府側においても研究されんことを要望いたしておきます。
  31. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは午前中の会議はこの程度にいたしまして、午後二時半から再開いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕