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1951-03-13 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十三日(火曜日)     午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君       大泉 寛三君    川本 末治君       佐藤 親弘君    田中 啓一君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       山手 滿男君    門司  亮君       大石ヨシエ君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 三月九日  委員松澤兼人君及び黒澤富次郎辞任につき、  その補欠として門司亮君及び吉田吉太郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十二日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月十二日  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九五号) 同日  旅館を対象とする遊興飲食税の撤廃に関する請  願(前尾繁三郎紹介)(第一一六八号)  同(小川半次紹介)(第一一六九号)  同(大石ヨシエ紹介)(第一二七一号)  警察制度改正に関する請願大石ヨシエ君紹  介)(第一二七〇号)  起債増額認可に関する請願大石ヨシエ君紹  介)(第一二七二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出  第四五号)      ————◇—————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 二、三お尋ねしたいので、あるいは前後不同になるかと思いますが、その点御了承いただきたいと思います。  十五条の規定改正によりまして、各先取特権に関する規定がかわつたのでありますが、今度の改正によりまして、債務者に対してはたしていかようなる影響を与えたかということについて御考慮になつたかどうか、場合によりましては、債務者に対しては不当の損害を与えるおそれがあるかもしれぬと思うのでありますが、立案者においてはどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先取特権の順位の改正につきましては、別段債務者には何らかわつた影響はないと考えております。ただ国税地方税相互の間において影響があるだけでございます。すなわちたとえば破産の宣告を受けた場合に、破産管財人に対しまして、国税の側と地方税の側と双方から交付の要求をいたすといたします。そういたしますと、清算いたしました金のうちから、従来でありましたら、まず国税債権を充足いたしまして、なお余りがありましたら地方税債権を充足するわけであります。ところが今回の改正案では、国税地方税の両方の債権額に按分して、相互債権を充足するということになるわけであります。清算いたしました金額国税地方税両者を充足するに十分でありましたら、改正前の制度改正後の制度も別に何ら影響を受けないわけであります。ただ双方を充足するには足りない場合には、従来でありましたら、まず国税の方を優先的に充足できるわけでありますから、地方税の方では必要な債権額を充足できないという問題が生じて参ります。しかしながら今回の改正案によりますと、充足できない程度国税地方税も同じ割合にされるということになるだけであります。
  5. 床次徳二

    床次委員 次に、少し飛びますが、百四十七条の自動車税改正がありますが、今度の改正趣旨は、従来の税率標準としてとるようになつております。自動車種類いかんによつてさらに区分するということになつておりますので、自動車税そのもの税額には増減がないような扱いになると思つておりますが、最近の情勢から見ると非常にトラツク、バスというものが大型になりつつある。これが道路を損傷する程度は、今までの比ではないと思うのでありますが、こういう立場から見ますと、地方団体からいたしますると車両の多くなつたものに対しましては自動車税を増徴し、もつて道路修理費に充てるということの方が、適当のような気がするのであります。むしろ課率からいえば従来の課率を据え置いて、今後大型になりましたものはより増徴する。結局自動車税全体からいうと、増收を期待するという扱い方の方が、適当のように考えられまするが、起案者としてはやはりさように考えておられまするか、あるいは従来の標準を下げて、全体としてこの程度の税でもつてとらなければならぬというふうに、厳格にお考えになつておられまするか、承りたいと思います。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 改正法趣旨は、大型のものについては標準税率以上の課税を進めるという意味において、行つておるわけではございません。ただ現行におきましても大型のものにつきましては増徴しておるところもあるわけであります。反面に小型のものにつきましては標準税率以下の課税も行つておるわけであります。その際に標準税率以下の課税だとは制度上必ずしも言い切れないと思うのであります。標準税率以下の課税でありました場合には、地方債発行その他において制限を受けるのでありますから、そこでそういうものは標準税率以下の課税でないのだということを、注文の上でも明らかにしておきたい、こういう趣旨のもとに第二項を設けたのでありまして、御心配になつておりますような非常に大きな型のものに対しては、ぜひ標準税率以上に課税すべきであるという建前で、第二項の規定を設けたわけではないわけでございます。
  7. 床次徳二

    床次委員 大体の御趣旨はわかりましたが、しかしむしろ大きいものに対しては、よけいとり得るということを、はつきりしておいた方がよくはないかと思うのであります。今のような御答弁ですと、必ずしもよけいとれないという形になると思うのですが、交付金関係からいつても損をすることになりはしませんか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自動車税課税の仕方につきまして、標準税率課税を行いますことは、まつた地方団体の議会の任意にゆだねておるわけでありまして、この方針はやはり将来も続けるべきではなかろうかというふうに思つておるわけであります。平衡交付金算定の場合におきましても、あまりこまかく課税客体を大きいもの、小さいものというふうに区分をいたしまして、自動車税の收入見込額を測定いたして参りますよりも、むしろ台数に標準税率を乘じまして、客観的にある程度荒つぽい測定の仕方でありますけれども、その団体の自主的な税率採用の措置を束縛しない方がよろしいのではなかろうかというふうな考え方をいたしております。
  9. 床次徳二

    床次委員 そういう御答弁とすれば、大型のものに対しては、増徴することはさしつかえないというふうに解したいと思うのですが……。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話通りであります。ただ本意はむしろ標準税率以下の課税を、小型のものについて適用する場合の、地方債発行制度制限に関する疑義の起らないようにしたいという考え方であります。
  11. 床次徳二

    床次委員 ちよつとこの機会に、政府委員にお願いしておきたいのでありますが、農業協同組合その他のいわゆるこれに類する組合等に対しては、従来地方税課税しておつたのでありますが、各税目について課かる課税が、大体税收幾らに見積つておられますか、各税目別に大体の計数をお示しいただきたいと思うのです。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方税につきまして、たしか一億四、五千万円であつたというふうに思つております。ただその他の自動車税であるとか固定資産税ということになりますと、今ただちにそれだけのものを引出して計算いたすことは困難ではなかろうかというふうに思つております。
  13. 床次徳二

    床次委員 ほかの税目について引出すのは非常に困難なように伺いますが、大体の資料がありますれば大づかみのところでけつこうですからお出し願いたい。固定資産税附加価値税そのものにつきまして、全般にわたつてお示しいただきたい。大体のところでけつこうです。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 できるだけ御趣旨のもとに研究いたしてみます。
  15. 前尾繁三郎

  16. 門司亮

    門司委員 この前の説明をよく聞いておりませんので、十分でないかもしれないと思いますが、きようはきわめて簡單に一、二の点だけお聞きしておきたいと思います。それは二十九条から三十一条に関連した附加価値税の問題でありますが、附加価値税は今までと違つて別の新しい方法が加えられて、今まで控除法でやつてつたものに対して加算法適用してもいいことになつた。従つてこれが任意である場合には、加算法適用するものと、控除法適用するものとの間に、不均衡ができはしないかと考えますが、この点どういうふうにお考えになつておるか。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 附加価値額算定をいたします場合に、加算法によるか、あるいは控除法によるか、その結果といたしまして、両者方式によつて算定した場合に差異が生じないかということでございますが、これは全体として長期にわたつて見ました場合においては、その間差異がないと考えるのであります。ただ具体的に申しますれば、控除法によりますると、たとえば固定資産を買い入れたような場合におきましては、それを一時に引きますが、加算法の場合におきましては、減価償却額だけ年々引いて行くことになりまするから、その関係では若干違つて来るわけなのであります。それからたとえばたなおろし資産を買い入れた場合におきましても、控除法の場合にはこれを一時に差引くわけでございますが、加算法の場合におきましては、評価損評価益というような形になりましたものを加除して行くことになりまするから、そういうような点において違つておりまするが、全体としてはいつときに最初に引くか、年々一定のものを引いて行くかということで、最後におきましては結局同じような結果になると考えております。
  18. 門司亮

    門司委員 私がそういう問題を聞きましたのは、なるほど最後になれば同じような形が出て来ると思いますが、税金はそのときそれに課けられるものであつて、ことにこの税金流通税的な性格がはつきりいたしております以上は、これは必ず物価影響を持つて来る税金であります。従つて今の御答弁のようなことになつて参りますると、ちようど昔の取引高税のような性格を持つて来やしないかと考えられる。そして税金が累積されて来るような危険性があると私には考えられるのです。ちよつと話は横道にそれるかもしれないと思いますが、今までの取引高税はあまりよくなかつたと同時に、これは事実上の売上げというものが不明であつた。ところが今度また新たに加算法が加えられて来て、同じ流通税であつても、売上高税のような性格が強く出て来るということになると、見方によつては今の御答弁のようなことだけでは済まされない。累積された税金物価への影響というものが必ず出て来ると私は思うが、この辺は十分お考えになつてつたかどうかということをお聞きしたい。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 附加価値税性格をどういうふうに考えるかは、いろいろ論がおありだろうと存じますが、シヤウプさんの勧告におきましては、これは売上税として考えておるようでありますし、政府といたしましても、前国会に提案いたしました際、また今回におきましても、そういうような性格を持つておるものと考えておるのであります。従つて附加価値税性格は、結局原価構成の中に織込まれて行つて転嫁されるというのが、通常の状態であろうと考えております。但しそのときの経済状態によりまして、転嫁が前転して参ることが困難な場合もあるでございましよう。そういう場合におきましては、あるいは企業自体が背負い込むという結果になると思うのでありまするが、しかし最近の経済状態から参りましたならば、前転して行く可能性も逐次ふて行くのではないかと思うのであります。別にこういうことは、控除方式をとりましたからどうとか、あるいはさらに加算方式を選択的に採用いたしましたからどうとかいうことではなくして、やはり附加価値税全体の性格の点から、さような結果になるわけでございまして、この両方式をとりましたことは、あくまでも計算上の便宜の問題であります。大企業等青色申告をいたしております企業においては、計算基礎がきわめて明白になつておりますし、所得税法法人税法関係において所得計算をいたしておるわけでございますから、それをそのまま使い得るようにいたした方が企業経理の上からも便宜であろうという見地で、加算方式を採用いたしましたわけでございまして、この点は、先ほど来申し上げましたような、附加価値税性格の問題に直接的な関係はなく、あくまでも計算上の問題として考えておるのでございます。
  20. 門司亮

    門司委員 加算法納税者にとつて非常に便利になることは当然であります。おそらく帳面が一つで済むからきわめて簡單になるので、納税者には加算法適用した方が便利だということは、私も一応認めるのであります。またその通りだと思うのであります。ただ問題になりますのは、今までの控除法の形を持続するとすれば、附加価値税本質とも考えられる事業に直接関係のあるものだけが控除されるということが一応考えられておつたのが、これが帳簿上の便利だということで全体がこれに包含されて来るということになると、直接事業関係のなかつたいろいろな施設というようなものまでも、この控除額の中に入つて来はしないかと考えられる。たとえば一つの問題を考えてみましても、機械器具というようなものでなくて、あるいは厚生施設に支出したようなものが、この場合はここに入つて来はしないかと考えられる。それも会社経理の上から行けば当然考えられると思う。やはり会社事業関係がないとは言えませんが、しかし実際のこの税金本質の問題から考えれば、直接生産に関係のない施設その他のものが、税の中から除かれて来るということになつて参りますると、やはりそれだけ物価影響を持つて来て、結局消費者は高いものを消費することになる。会社の方には非常に都合のいいやり方だと思うけれども、一般消費者にとつてはあまりいいやり方ではないと思うのですが、この点についてはそういうことをお考えなつたことがあるかどうか。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今お話厚生施設のような経費でございますが、これは附加価値額算定上、事業に直接必要な外部に支出すべき金額というものに入るか入らないかという問題でございまして、これは当該支出金額につきまして、事業に直接必要なものであるかどうかという認定の問題になつて来るわけでありますが、そういうものに該当するということになれば、控除方式であれば頭から全部引かれることになるわけであります。またその事実の問題といたしましては、加算方式をとりました場合にも、これは事業経費の中に算定せらるべきものであるかどうかという認定の問題になるわけでございまして、その事柄の実体の認定については、法人税法による経費計算の場合も、附加価値額計算の場合におきましても、同じような考え方で当らなければならぬと思います。従つてその結果としては、当初からまるまる引かれるか、あるいは逐次引かれて行くかというその一般原則上の違いだけであろうと考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 その点が私はちよつと違うのです。なるほどそういうことが言えるかもしれませんが、今までの行き方ではなくして、さつきのお話のように具体的に言えば帳簿一つなら一つで済む、二つのいろいろのものを附加価値税のことのためにというか、むしろ納税のことのための一応いろいろな差引問題であるとか、あるいは加算する問題であるとかいうことの面よりも、一つ帳簿ではつきりして收支というものが出て来るということが考えられるのです。私の心配しておりますのは、認定の問題は認定の問題でいいですから、結局これが單純化されて来るということになりますと、どうしてもそういうものが、平たく言えば事業の運営に直接供していないようなものまでもこの中に含まれて来て、それだけやはり税額が減額されるようになつて来ると、一番先に申し上げましたように、必然的にこの二つ方法によつて均衡が出て来るという結果が起るのではないかと思うのであります。だから附加価値税の全体の見方というものは、われわれはかえて来なければならないようなことになると思いますが、この点についてはもう少しひとつ詳しく御説明願いたいと思います。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の控除方式をとりました場合におきましても、厚生施設のようなそういう事業に直接必要な財務に支出すべき金額に該当するかどうかという点の認定につきましては、やはり具体的の場合におきましては、いろいろ問題がある場合があろうと思います。この点は加算方式の場合の必要経費認定の場合とやはり同じような、問題であろうと思うのでありまして、個々の問題について府県の徴税当局認定をいたします場合に関しましては、地方財政委員会から一般的な基準というようなものにつきまして、十分指導をしてもらわなければならぬと思いますし、また具体的の問題につきましても、疑わしいものにつきましてはそういうような指導によりまして、できるだけ全体として調整のとれた運用をいたすように努力いたしたい、かように考えております。
  24. 門司亮

    門司委員 一応あとの各条項にわたるこまかいことは別にいたしまして、次に聞いておきたいと思いますことは、市町村民税源泉徴收の問題でありますが、源泉徴收の場合には、私は二つ考え方がこれにはあつたと思う。一つ税收が比較的適格にとられるということが、一つ考え方ではないかと考えるのです。それからもう一つ納税者が一ぺんにとられるということは非常に苦痛であるから、これを源泉にした方が納めいいのではないかということが考えられる、こういうふうに考えておりましたが、この源泉徴收考えられた政府考え方は、そのどちらにあつたかということをひとつお伺いいたします。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 源泉徴收方式をとりましたことにつきましては、いろいろ都市方面団体から強い要望がございまして、また過般のシヤウプ勧告の中にもそういうことを取入れた方がよかろう、こういうような要望があつたわけであります。ただそれらにつきましては、当年所得をとるか、前年度所得の実績をとるかという点、いろいろ問題があつたわけでございますが、とにかくこの案につきましては前年度所得基礎にしました源泉徴收方式——源泉徴收と厳格に申しますと語弊がありますが、源泉徴收的な方式特別徴收的な方式をとつたわけであります。その理由といたしましては、今門司さんの仰せになりましたような点でございますが、それをさらに言いかえて申し上げますと、市町村といたしましては毎月一定の額のものが継続的に入つて来る。これが何と申しましても財政経理の上から申しまして一番望ましいことでございますので、そういうようなことを第一点に考えましたのと、また同時に納税者の納めやすいようにする、できるだけ納税者に苦痛を与えないようにする、こういう点をあわせて考えたわけでございまして、そういうような見地から源泉徴收方法をとるようにいたした次第であります。
  26. 門司亮

    門司委員 もう一つ承りたい。大体理由はわかつて参りましたが、そうすると源泉徴收に対しては、納税の形からいうと一つ方法は分割の納税という形が出て来る。それからある場合においてはこれは前納だという見方ができるわけであります。この二つの問題については、政府はどういうふうにお考えになりますか。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在でも御承知のごとく納期は一応定まつておりますけれども、条例でこれを別に定めることができるということになつているわけであります。そういうようなことから、現在すでに月別にとつているような地方団体もあるわけであります。納期を一応定めてございますが、今お話のごとく前納になる部分があると同時に、後納になる部分があるわけでありまして、そういう意味から申しますればプラス、マイナス同じような結果になる、かように考えております。
  28. 門司亮

    門司委員 私はもう一つそれに関連して聞いておきたいと思いますが、今の御答弁では大体前納になる場合もあるし、あるいは後納になる場合もあると、こういう御答弁でありましたが、大体の率から行けば前納になる方が多いじやないかと考える。私はもう一つ考え方として聞いておきたいと思いますことは、もしそういう解釈ができるとするなら、この法律の中にありまする前納者に対する奨励金制度が設けられているわけでありますが、これらについて考慮されたのか。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは賦課令書を出しまして、納期前に納めてもらうようにいたします部分につきまして、今の報奨金制度適用があることになるわけでございまして、特別徴收の場合におきましてはこの規定適用はないことになります。
  30. 門司亮

    門司委員 一応納期関係から行けばそういうことにも考えられると思います。私はほかに言い分を持つておりますが、もう一つその点聞いておきたいと思いますことは、徴税の率であります。一体政府一般徴税率をどのくらいに見ておるかということであります。これは要するに最初に何か書類に書いてありますのは承知いたしております。従つて政府の見ております徴税率と、この源泉徴收との間の徴税率はかなり大きな開きを持つているのじやないかと考える。一方は徴税技術の点で一〇〇%の捕捉ができることになつておる。一方は徴税技術の面で八〇%ぐらいの捕捉しかできない。その上にさらに徴税関係から、それのまた八〇%ぐらいしか徴税できないということになつて参りますと、納税観念の上から行けば、当然納めなければならないのを納めるのであるから、まあこれでいいと思いますが、納税をするところの経済的の観念から行くと——経済的の観念というのは言葉は当てはまるかどうかわかりませんが、一方においては捕捉すら十分できない。なおその上に徴税率がさらに八〇%なり七〇%になつておる。片方捕捉が全額できて、しかも徴税率は一〇〇%あげているというのは、ここに私は経済面の多少の不均衡が必ず現われて来ると思うが、必ずというより数字の上にはつきり出ると思うが、その辺を何らかの形でカバーする必要が私はあるのじやないかと考えるが、そういうお考えをお持ちになつてつたかどうか。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 源泉徴税をいたしまする部分と、それから賦課によりまして、普通徴收をいたしまする部分とにおきまして、市町村民税のとり方が一方は非常に徹底され、一方は不十分であるというところから、不均衡であるという御心配はごもつともな点でございます。ただ税といたしましては、課しました税というもの、あるいは納付いたしますべき税というものは、やはり百パーセント納めていただかなければならぬものであるわけでございますから、片方徴收率の悪い方に、いい方を引寄せて落して行くというように努力すべきではなくて、やはり徴税率のいい方へ持つて行くように、要するに全体として納税成績の上りますように、徴税当局としても努力いたさなければなりませんし、また地方財政委員会等におきましても、そういうような考え方指導をしてもらうことが、必要であろうと考えておるのであります。
  32. 門司亮

    門司委員 話が長くなつて恐れ入りますが、今の御答弁では承服しかねる。なるほど、納税は百パーセントすることに、お互いが努力してそこに集中することは事実でありますし、そうでなければならぬと思いますが、しかし現在の実情はなかなかそうは参りません。従つてこの税法の中にあります全納者に対する報奨金制度というものも、一体どこからこういう考え方が出で来たかというと、やはり納税を奨励する一つ方法だと思う。そうすれば、百パーセント捕捉され、百パーセント徴税される部面に対しては、そういう法をこしらえたときの精神そのままが、これに適用されるということがほんとうではないかと考える。そして、右へならえというような、この人はこれだけ納めているから、お前もこれだけ納めろというような強制の形でなくて、むしろ納めるものと納めないものとの間に、道徳上のはつきりした観念を持たせると同時に、実際的にも納税はすべきものだという考え方を持たした方がいいのじやないかと私は考えております。今の鈴木さんの考え方と逆な考え方を持つているのですが、その点はいかがですか。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 いま一つ別の角度から御指摘になつた点を考えてみますと、やはり勤労者に対する課税と、しからざるものに対する課税との均衡、公平という問題をやはり考える必要はあろうと思つております。その点は門司さんの言われる点も十分理由があると思うのでありますが、たとえば勤労者に対する勤労控除というものを、一体どのくらい見るかという点も一つの問題であろうと考えます。しかしこれは基本の所得税に乘るべき問題でありますので、国税の問題として基本的には考えて行かなければならぬと思いますが、そういう見地で、現在勤労者に対する勤労控除は、一応適当であろうという建前のもとにできております。現行の制度の上におきましては、先ほど申し上げましたような考え方で行きたい、かように考えておるのであります。ただ目下政府が提案を考慮いたしております法案の一つの中に、納税貯蓄組合法という法案がございまして、これも数日中に今回の国会に提案せられることになるであろうと存じておりますが、これには国税のみならず、地方税に関しましても納税貯蓄組合の制度を普及いたしたいという見地考えておるわけでございまして、これらに関しましても先ほど申し上げましたような納税徴税の努力を、そういう方式によつて考えていただきたいという一つの面であります。  報奨金の問題に関しましては、門司さんの仰せの通り納税を奨励いたします一つ施設として考えておるわけでありまして、そういうようにいろいろの方法によりまして勤労所得に対する課税の成績と、しからざる場合の課税の成績とが、できるだけ同一歩調で参るように努力いたしたいと考えております。
  34. 門司亮

    門司委員 その問題はそれ以上議論することは、私は避けたいと思いますが、あとでまたこまかく聞きたいと思います。  その次は例の三百二十一条の町村民税の特別徴收の問題でございますが、これについてはいろいろ私は問題があると思います。特別徴收義務者に対する次の三百二十一条の四でありますが、何らかの処置が講じられなければならなかつたのではないかと思うが、この税法をこのまま見ますと、これにはただ義務はつけておるが、それに対して、その事務費とかその他に対するめんどうは、あまり見ていないように見えるのですが、その辺はこの法律改正のときに考えられなかつたかどうか。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特別徴收義務者に対しまして、市町村民税特別徴收をやつてもらいますことは、確かに一つの負担であります。ただ所得税の源泉徴收のごとく、徴收義務者自身が税額計算をいたしますのでなく、市町村長が前年の給与所得の実績によりまして、所得税額計算いたしまして、それを年々四月十五日までに特別徴收義務者に通知をいたしまして、それの十二分の一の月割額を給与支払いの際に差引いて、送つてもらう。その送る場合においても、その特別徴收義務者のおりますところの市町村の金融機関で、住所地の市町村長が指定いたしましたものに払い込んでもらうということでありますので、負担があるにはあるのでございますが、これを緩和してできるだけめんどうがないようにいたしておる次第でございまして、この程度のことは、立案にあたりまして、関係のあります数箇の会社のものと、いろいろお話をいたしましたが、大体こういうことならばやつて行けるというような見通しを立てておるのでございます。
  36. 門司亮

    門司委員 問題はそこにあると思いますが、今関係の方面と、多少の話合いはあつたというお話でありますが、いずれの関係者とお話があつたか、その辺はよく存じておりませんが、一つの市町村で源泉徴收をするという条例をこしらえて、その条例を実行する場合に、特別徴收義務者として依頼されたものが、これを拒絶することができるかどうかという問題であります。私の方ではそういう条件に応じられないといつて拒絶をすることが——この場合何とも書いてありませんが、書いてないから、やればやれるということに解釈できると思うが、その点はどうなのか。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特別徴收義務者の指定は、市町村がいたすわけでございますが、この指定は義務的でございまして、指定をされたものはこれを徴收しなければならないことになるのであります。その指定は条例によつてこれを行う、こういうことでありまして、法律の根拠に基きます指定でありまして、これは義務的な指定、かように解釈しております。     〔委員長退席、河原委員長代理着席〕
  38. 門司亮

    門司委員 さつきの話にまたもどりますが、義務的の指定になるということになつて参りますと、町村では個々の業者にこれを指定するということは、条例の上でどこの会社とどこの会社徴税をさせるということになるのか、あるいはその自治体自体の条例の書き方にもよると思いますが、これはいずれの方法をとるのか、ただ条例で書いて、何々市町村は源泉徴收をするということにすれば、そこに含まれております全部の法人は、源泉徴收をしなければならないということになるのか、個々を指定することが条例でできるようにやるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはそれぞれの市町村によつてつて参ると思いますが、小さな町村等においては、要するに関係所得税の源泉徴收をいたしておりますものが非常に少い、数会社しかないというような場合におきましては、直接条例で個別的な指定をいたすという方法をとる場合もあろうと思います。それでももちろん法律上さしつかえないような考えで立案をいたしておりますし、また反面大都市等におきまして、抽象的な基準によりまして条例をもつて指定をする、こういうような方式をとりましてもさしつかえない、かように考えております。
  40. 門司亮

    門司委員 問題は実はそこにあるのでありまして、従つて徴收義務者は、少くとも条例で定められた以上は、これを実行しなければならないという規定になつて参りますと、現在の法人の機構の中では、これに容易に応じ得るところと、応じ得ないところが、必ず出て来ると思う。同時に実際の取扱いの問題として、かなりの煩雑性が必ず出て来なければならぬ。なるほど算定その他については、それは役所がやるから、あとお前の方は指示した通り集めて、その金を納めてくれればそれでいいんだというように、きわめて簡單なことになるかと思いますが、しかし実際上の問題としては、なかなかそうは行かないのではないかというように考えておりますので、この徴收義務者に対しては、やはり何らかの方法といいますか、はつきり言えば、手数料というものが、多少還付されるような形がとられることがいいのではないかと考えられるのであります。一例を申し上げてみますれば、今度どんな法律をこしらえるか私は知りませんが、従来の納税組合その他の場合に、これは全額完納ができるということになれば、私どもは多少のそういうものが加味されておつたように考えております。今度の法律ではどうなるか知りませんが、そういうことを考えてみますと、やはり一方においては、条例でただいま御答弁のように一括してきめられるならば、ほとんどそこの行政区域というものは、全部それに従わなければならないという強い義務をつけて参ります以上は、それに要します経費というものは、ある程度これを見るのがわれわれは当然ではないかというように考えておりますが、当局は見なくともいいというお考えであるとするならば、もう一つ聞いておきたいと思いますが、その義務に服しなかつた場合に、罰則は一体どういうことになつておるのか。この改正法案だけでははつきりしていないようでありますが、徴收義務者に対して、もしそういうことを取扱わなかつた場合においては、どういう処置がとられるのか。それをもう一つ聞いておきたいと思います。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特別徴收義務者の負担の問題につきましては、これは所得税の源泉徴收の場合におきましても、同様な問題があるわけでございます。その場合におきましても特別の措置はしていないわけでございますが、この市町村民税特別徴收の場合についてだけ、そのような措置を講じますことは、所得税との関係におきまして若干問題がありますので、そういうような手数料といいますか、徴收交付金というような形において問題を考えませんで、たとえば特別徴收義務者は、給与の支払い報告書という、住所地市町村別の給与支払い状況を一覧表にいたしたものを、市町村長に送るわけでございますが、そういうような用紙、様式等につきましてあらかじめ配付しておいて、それに記入してもらうとか、あるいは税額の通知の場合においても、そういうような方式税額を通知いたしたものに、所要の書き込みをして、現金と一緒に送つてもらうというようなことで、実費を弁償いたすような実際上の措置を講じて、負担が実際にかからないように、できるだけ努力して参りたいと思つております。  なお払込みの場合におきましても、この三百二十一条の五の四項にございますように、あらかじめ市町村長が指定をいたしました会社所在地の金融機関——郵便局でもいいわけでございますが、そこへ払えばいいということで、できるだけ特別徴收義務者の負担を少くしよう、かように考えておるのであります。もしもこの特別徴收義務者が徴收を怠つた場合におきましては、三百二十四条の脱税に関する罪、これが適用されることになるわけでございます。
  42. 門司亮

    門司委員 もう一つ次に聞いておきたいと思いますことは、法人に多少税金がふえる、こういうことになつておりますが、最初大臣の説明にもありましたし、それから参考書にもあります自然増の問題でありますが、この法人に税金を課けたというだけは、私は純然たる自然増ではないと思います。この点についてはどういうお考えでこれが考えられておつたか。私がそういう質問をいたしますのは、税法改正によつて税率の変更と、それからさらに税種目がかわつて来たという場合には、それはわれわれは自然増とは見なされない。従つて新しい増税の形であるというように見るべきであると考えておるが、一体どういうふうにお考えになつておりますか。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自然増と申しますのは、用語の問題になると存じますが、大体数字といたしましては、約三十三億増收になるわけでございますが、それは法人税割の四十一億余りと、所得税額が減じて参りました関係の八億ばかり、両者差引きましたものが三十三億、こういうことでございまして、厳密な意味での自然増收ということとはお説のごとく若干違いますが、とにかく個人、法人間の権衡をはかり、また法人の実体というものを、單に個人活動のための手段ということだけでなく、さらにその内容についても、実際個人の活動と同じに見るべき点があるということを考え合せまして、前回の国会におきまして説明申し上げました点を、さらに補足するような考え方から、またシヤウプさんのいわゆる配当所得に関する部分が、所得割の中から漏れておるというような見解をも考え合せまして、四十億程度の法人税割をとることにいたしたのであります。それら両者を合せましてあるいはこの前自然増收というようなことを、大臣からお話を申し上げたかと存じますが、そういうような次第であります。
  44. 門司亮

    門司委員 われわれはこれを自然増收と見るわけには参らぬのでありまして、明らかにこれだけは地方税の増徴だ、こう考えるわけであります。これをもし増徴だと考えて参りますと——さらに増徴しなければならなかつたということは、法人所得関係からいろいろ逃れている点があるというお話もありましたが、従来の経緯から考えて参りますと、法人にこれだけの新しい税率で課けて行く、それだけ増徴するということになつて参りますと、当然この税法の中にあります個人の税額は、それだけ下げられることが正しい行き方でないかというふうに私は考えております。     〔河原委員長代理退席、委員長着席〕 地方税を、自然増收だけでなく、こういうように内容は増税されているという観念は、あまりよい印象を与えないということで、私は悪く言えば、何でもよいから自然増收ということにしておけば、大して響きはないということで考えられているんじやないかと考えられる。しかし従来の経緯から考えてみますと、従来のこれに該当いたします住民税というものが、何回もお話いたしましたように、法人並びに資産割というものが五〇%の額を占め、残りの五〇%が個人の資産を持たざるもの一般に均等された負担額になつてつたということは、すでに当局もよく御承知だと思う。そういう観念から申し上げますと、今度の税法資産を持たない個人の割合というものが、非常にふえておりますので、幸いというか、多少でも法人に余分な課税をするということになれば、この総額だけはやはり個人の市町村民税が減額されることが、税の均衡を保つゆえんでないかと私は考えておる。どうしてもこれだけ増徴しなければならないということを、財政的な見地からおきめになつたならば、これはまた別の考え方でありますが、今のお話を伺つておりますと、必ずしも私はそうではなかつたように思います。この点がどういうお考えかということと、それから増徴しただけは個人の負担を軽減することが、私はいいのではないかと考える。その点に対するお考えをお聞かせ願いたい。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御承知のごとく所得税がずつと減税になつて参りまして、前年度の所得税額基礎にして市町村民税所得割を計算する、法人が一般的な普遍的な法人として、今年度におきましてもとられることになると思いますが、これにつきましては、現在の案におきましては、百分の十八という標準税率、百分の二十という制限税率には何ら変更を加えておりません。そこで個人の所得割というものは当然減つて来るわけであります。そういう状況でございますので、その減つて来ます分だけの穴埋めを一体どうするか、地方財政全体の状況といたしましては、どうしても二千八十七億という程度の税に対する期待がございますので、そういう見地からいたしまして、個人所得割におきまして減つて参ります額だけは、どうしてもカバーして行かなければならぬ、そういうような見地から先ほど申し上げましたような趣旨で、法人税割を財源需要の点等から、一面考えて来たわけでありまして、そういう法人税割を創設することにいたしたわけでございますが、これは今申し上げましたように、個人の負担が減つて来ました、その穴埋めというような問題でございまして、法人税割を創設いたしましたから、従つてその分だけ個人所得割を減らすべきであるということにはならないと、私どもは考えておるのでございます。
  46. 門司亮

    門司委員 どう考えても私はそういうことでは承服できないのであります。地方は、財政の見地からとろうとすれば、必ずしも所得税の一割八分でなくても済むわけです。これは条文を申し上げなくても鈴木さんはよくおわかりだと思う。従つて税率が百分の十八で、ことしは減るから間に合わぬということになつて参りますれば、私は他の方法をとり得ると思う。他の方法をとり得てそれの税額がよけいになるということになれば、減つただけその面でカバーさるべきものは当然カバーされると考えておる。従つて今度増税した分が——そういうことは一切隠されておつて、どこまでも百分の十八で、これは百億くらい減ることは去年税法をきめるときからわかつておる。さらに今度の税法を実施すれば、来年減ることは今からわかつておる。そういう鈴木さんの筆法で行くと、来年はこの法人税割をもつとふやすということになる。私はそういう意見には賛成しかねるのでありまして、私の言つておるのはそういうことでなくて、今までの経緯から考えて、当然法人に新しく課けられて増税された分だけは、均衡上から言うならば、地方の一般のものを下げることが私は正しいと考えておりますが、今のようなあいまいな御答弁では私は承服しかねるのであります。悪く言いますならば——もう一ぺんお伺いいたしますが、それでは来年度は、ことしの所得税がまた下つて参りますと、百分の十八では間に合わなくなると思いますが、来年はこの法人税割を加算される予定になるのか、その穴埋めをどこでされるのか、そういうことを考えておられるのか——変なあげ足をとるようなことは私は言いたくありませんが、御答弁の要旨からいえばそういうことが言えると思います。それでは税を扱います者として何ら権威のない話であつて、同時に担税能力というようなものを考えられないものの考え方であると私は思いますので、もう一応その点を、今のようなことではなくて、地方は、たとえば総所得額に対する百分の十八を課けるのか、あるいは税金を差引いたものに百分の二十を課けるという方法もとればとれる規定になつておりますが、今の次長の御答弁では私どもは承服をしかねますので、もう一応その点をはつきりしておいてもらいたい。それからさつき申しました来年度はさらに法人の税金を増されることを考えておられるのか。それから今の御答弁は、税の総額からいいましてもおかしな話である。日本全体が百分の十八で、去年と同じようにとることになれば、百億という税金は減らなければならぬと思う。所得税はそれぐらい減つております。そうすれば三十三億ぐらいのものを穴埋めしてもまだ足りないものがある。地方財政というものはこれではカバーできないと思う。そういお話ではわれわれはわからぬ。その点をもう少し明確にお話を願いたいと思います。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市町村民税を今年度今申し上げましたようなかつこうで、法人税割をつくつたならば、来年さらに所得税を減らすということになるから、そうなればまた法人税割をそれだけふやすのかというような点を、御指摘になつておるようでありますが、これにつきましては、要するに地方財政全体の收入と需要と両方を見合つて地方税源にどれだけのものを期待するかという、当該年度の地方財政全体の財政計画から考えて行かなければならぬことであろうと思います。全体として地方団体に対する收入をどう考えるかということでありまして、今年度におきましては、他の税におきまして、去年にかわるべき増收考えられる余地が、現在の計画以上にはございませんので、今申し上げましたような法人税割というようなことを、二千八十七億という地方税に期待します額の一環といたしまして、これを考えておるのでありまして、そういう見地からいたしまして、来年度のことは、要するに来年になつて来年度の財政計画がいかようになるかということでありませんとわからないわけでありまして、ただちに法人税割をふやすとか減らすとかいうことにはならないと思います。  それからなお所得税の額が今年百億ばかり減つておるから、さらに来年度はどうするかというような点もお尋ねであつたと思いますが、その点も今申し上げましたような財政計画全体の問題として、やはり考えて行かなければならぬことと思つております。  それから所得税額基礎にしないで、課税所得金額基礎にする、あるいは課税所得金額から所得税を差引きました額を基礎にしまして、所得割を計算するという方式をとれば、何もこういうような措置を講じないでもいいではないかという意味の御疑念であつたと存じますが、それは確かにそうであるのでございます。ただやはり一番端的に市町村の徴税当局におきまして簡易にできますことは、やはり所得税額基礎にいたしますものでございますし、二十五年度におきましてすでにそういう方式に一応慣熟して来ているわけでございますから、どうしても自然の傾向といたしましては、所得税額基礎にする方式をとる場合が多いであろうと思うのでございまして、一応地方財政委員会等の検討におきましては、大体七割程度のものが、やはり所得税額基礎にする方式をとるであろうという想定のもとに、この数字を引出しておるような次第であります。
  48. 門司亮

    門司委員 私はもう少しつつ込んで聞いておきたいと思いますが、そうなつて参りますと、市町村の財政というものは、非常に苦しくなつて来れば、与えられた三つの方法が、いずれかの方法で私は必ず実行されなければならないと思いまするし、またそのための三つの方法が選ばれておると考えておるのであります。必要のないところによけいにとる必要はありませんし、また必要があれば多額のものを徴收しなければなりませんので、その間の裁量はさらに地方に権限が与えられておると考えておりますが、今の御答弁から考えてみますると、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、全国の市町村が現在とつております所得税額の百分の十八で、一体どのくらいの税收入になるのか、あるいは次の方法を講じて所得総額に対する税金を課けた場合にどうなるのか、税額を差引いた残りの総額に対して税金税率通りに課けて行けば、一体地方財政はどうなつて行くのか、その間の計算が一体はつきりできておるのかどうか。同時にそういうことにすれば法人のふやされた分が、さらにその上に加算されて来る、こういう形になつて参りまするが、その間の数字的のものは一体どのくらいに見積られたのかということをお聞きいたしておきたいと思います。それからもう一つは、反駁するようでありますが、百分の十八ということは一番簡易な方法だと言つておりますが、これは去年一年やつておりますから、あるいはこれを簡易な方法だ、一年だけなれておるということは言えるかもしれません。しかし所得税額にいたしましても、所得税の算定基礎になつておりますものの調べようによつては私は同じだと思う。それがはつきりしなければ所得税は出て来ないのでありまして、所得税の出て来た算定基礎を調べるにはどつちがむずかしいかということは甲乙はないと思います。だからそういうことだけではなかなか承認はできないのでありまして、従つて前段に申し上げました額をひとつおわかりならばお示しを願いたい。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 所得税額基礎にいたしまする場合におきましては百分の十八を標準税率といたしまして、比例税率でとつて参りましてちようど全体としては累進で行くというようなかつこうになるのでありまして、そういう点から申しても一番簡單なのでありますが、第二の方式あるいは第三の方式になつて参りますると、單に一定の比例税率でとるということでは累進というようなかつこうになつて参りません。そこでどうしても所得の段階に応じた税率をそれぞれつくつて行かなければならぬというようなことになりますので、非常に市町村の徴税当局といたしましても、その辺がめんどうなことになるわけでございます。そういう意味から申しまして第一の方式が比較的簡單であるということを申したいと思うのでございまして、その点をあわせて申し上げておきたいと存ずるのであります。ことに第二方式、第三方式の場合におきましては、課税所得金額に対しましてただ制限税率として、百分の十あるいは百分の二十という率を法律で示しておるだけでございますので、一体どういうような段階の税率にいたしまして、どういうふうにとつて行くかということは、その市町村の中の実際の所得段階等とにらみ合せまして、相当むずかしいのでございまして、そういう見地からいたしまして、やはり第一方式をとられる場合が一番多いであろうというように考えておるのであります。第二方式、第三方式になりました場合には、どういうふうに税率を定めるかということによつて税額に非常に開きが出て参ります。従つて一概にはこの数字は申し上げられませんが、必要がございますれば財政課長から、さらに御返事いたさせます。
  50. 門司亮

    門司委員 徴税額は数字の問題がございますので、あとでひとつ書類でもいただけたら、それの方がはつきりすると思います。従つて第二の方法をとつた場合に、大体政府の推定ではどのくらいとれるのか、第三の場合にはどのくらいとれるのかということを、お示し願えたらけつこうだと思います。  次に固定資産税の問題はあとにいたしまして、この際ちよつと聞いておきますが、国民健康保険の問題でございます。個々の税率の問題が、所得割の場合が百分の四十で、資産割の場合が百分の十ということになつて、その下に世帯別の平等と被保険者の場合の均等と二つになつておるわけでありますが、これが被保険者の均等割の総額が、従来の保険料を徴收いたしておりました割合から行きますと、大体これは百分の三十になつておるかと思います。今度の税金になつて参りますと、実はこれが百分の三十五になつておるわけであります。従つて世帯別の平等割がそれをならすことのために、従来百分の二十であつたものが、今度は百分の十五になりますが、今までの保険料をとつておりました中の割合と、この法律にかわつて参りました場合の割合が違つておるように考えられますが、これはどういう意味でこういうように違えられたのか。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘のように、国民健康保険税のとり方の問題と、それから現在の保険料のとり方の問題とでは若干違つております。それは所得割総額の方が百分の四十、資産割総額の方が百分の十ということで、この国民健康保険税は計算することにしております。現在の保険料はこの二つ合せて資力割ということで百分の五十という方式で見ております。これは実質的には別にしただけでございますから、違いはない。その次の世帯別平等割総額、被保険者均等割総額でございますが、この二つの現在の保険料におきましては、被保険者均等割百分の三十、世帯別平等割百分の二十ということになつておりますが、それをこの保険税といたしましては被保険者均等割百分の三十五、世帯別平等割百分の十五というふうにいたしております。こういうふうにいたしましたことは、やはり国民健康保険税は目的税でございまして、要するにこの国民健康保険という施設の利用度に応じましての受益者負担的な性格が非常に強いものでありますから、その受益者的な性格を強くいたしまして、従つて被保険者の数によります均等割というものを高める。納税義務者一人当りの額というものを低めて、要するに全体として受益者的の負担であるという性格を強く現わすようにいたしたわけであります。
  52. 門司亮

    門司委員 ところが問題になりますのは、被保険者均等割がふえて参るということになつて参りますと、家族の多い者がよけい負担する、こういうことになつて参る、目的税であるからそれでよいのだということは、一応言えるかと思うのであります。目的税であるがゆえに被保険者が多ければよけいかけてもらつた方がよいというりくつは、一応成り立つと思います。ただ現実の問題として、何といつても比較的日本の実情では、やはり資力が少い者に子供が多いということは常識上考えられる。従つてそういう被保険者の多い部分によけいに税が課けられるということになつて参りますと、やはり苦痛はそれだけ増して参ります。この点は従来保険料というものを徴收いたしておりましたときのような割合の方がよいのではないかというふうに考えておるわけであります。これは私の意見であります。  その次に伺つておきたいと思いますことは、税額の総額を一万五千円に実は押えたということであります。これはただ單に一万五千円なのだということではないと思います。何か基礎があると思いますが、今までのこれの保険料金というものの納め方は、こういう制限がありませんので、一万五千円以上の人がかなりあつたと思いまするが、しかしそれらのものが除かれて、健康保険の実際というものが運営できるというお考えで、こういうふうにせられたのかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 頭を一万五千円に押えましたことは、先ほど申し上げましたように、この国民健康保険税自身が国民健康保険の施設の受益者負担的な性格が強いわけでございまして、これが一般の会計において徴收せられまする一般の税、これが普通税と目的税との違いの点であると思つておりますが、もちろん普通税におきましても、地方税でありまするから、受益的な、応益的な性格が強いわけでございまするが、ことに目的税におきましては、受益の程度従つて負担するというのが大体の原則でございます。そういう見地から、先ほど申し上げましたような、負担の区分について若干の調整を加えておりまするが、この課税額の一万五千円という頭をきめましたのも、やはりそういう受益的な性格から、広く受益の度に応じて負担をせしめる、また、あまりにも応能的なかつこうになつて参りますことは、この目的税の性格から申しまして適当でないというところで一万五千円に押えておるのであります。現在におきましては三万円ぐらいを負担しているような事例も間々あるようでございまするが、一万五千円と押えましても、さほど現状に変更を加える点はないように考えておるのであります。
  54. 門司亮

    門司委員 私は国民健康保険税が制定されましたことについては、大臣にも実は要旨をちよつとお聞きしたはずでありますが、この国民健康保険は税の観念から考えるならば、あるいは目的税であるということが当てはまると思います。しかし制度自体から考えるならば、明らかにこれは社会保障制度であります。この二つ性格考えなければならないものだと考えておる。社会保障制度というものの考え方からこれを検討いたして参りますと、今でも相当政府がめんどうを見ているというお話もあるかもしれませんが、たまたま保険料の徴收が非常に困難であるから、税金にしてもらう方がやりいいのだというようなことで、これを税金に当てはめると目的税になるというのであつて、目的税の方が従じやないかと思う。実際の制度自体の本質というものは、社会保障制度だと考える。そうするならば、私は一万五千円という制度を設けたこと自体が、実際上の問題としてはどうかと考える。同時にさつき申し上げましたような世帯割と被保険者割との率の変更等は、健康保険自体を一つの社会保障制度の一環として考えると、われわれにはちよつと承服しかねるような形が出て参るのであります。いずれその点は、いろいろ議論になると思います。従つて大した影響はないというお話がありましたけれども、実際上の問題として私ども知つておりまする範囲では、これを一万五千円に押えるということは、やはり財政的にも影響があるのではないかということを考えておりまするので、できれば多少の数字でも示していただければ、私は非常にけつこうじやないかと思う。同時にこういう問題が出て来たということは、もう一つ悪く考えるなら、今度税金にすれば、徴收が今までのように困難でなくなる、こんな考え方があるとするならば、従来の保険税率全体を変更しなければならないということに問題が発展いたして参りまするので、従来の保険組合であつたときの保険料金の徴收がどのくらいあつたのか、あるいはこれが保険税になつた場合に、一体どのくらい徴税されるのか、その辺の数字もおわかりになりましたならば、お示し願いたいと思います。
  55. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国民健康保険税の税としてとりまする場合の見込み額と、それから従来市町村が直営いたしておりました国民健康保険料の徴收の見込み額とは、同じものを押えておるのでございまして、約五十九億程度のものを見ておるように記憶いたしております。従いまして額全体にいたしましては響きがない、かように考えておるのであります。また社会保障税ということは、社会保障制度審議会におきましての勧告があるわけでございまして、その中にやはり社会保障の一環として国民健康保険というものを考えておるわけでございまするが、これは保険料の徴收という方式よりも、保険税という徴收の方式の方が適当であることが示唆されておるわけでございまして、そういうような方式をとつた次第でございます。
  56. 門司亮

    門司委員 これ以上は議論になりますから聞きませんが、今の鈴木さんの答弁の中でふに落ちないのは、社会保障制度の一環であるというようなことが考えられておる、同時にこれが税金の形でとられて目的税であるということになつて参りますと、私はそこにかなり大きな、実は本質的なものの議論をしなければならないようなことが考えられるわけであります。それは目的税であります場合は一つの任意の制度であり、もちろん今の国民健康保険も任意の制度であります。社会保障制度ということになつて参りますと、必ずしも任意制度ではない。国自体がこの制度を設けて、一般に普及させるという前提のもとに行われておる制度でございまして、目的税という考え方が強く出て参りますと、この国民健康保険税という問題は根本からいつて、われわれはその考え方を直さなければならないことになつて来ると思います。私が考えておりますことは、社会保障制度の一環ではあるが、しかし料金の徴收その他が今まで成績が必ずしもよくなかつた。そこで料金の徴收をどうするかということになれば、これを税金としてとつた方が自然で割合にやりよいのである、そうすると目的税という形で現われて来る、これは経過的の現象であると思います。われわれが社会保障制度であるということにして、この問題を少し掘り下げて考えてみますと、社会保障制度というものに対して課税をするということになつて参りますと、課税には罰則がついております。そうすると社会保障制度自体が非常なおかしなものになる。税金を納めなければ差押え、競売もされるわけであります。そうすると国民健康保険税の創設ということについては、相当考慮しなければならない面が出て来る、さきに申しましたように、こういうようにする方が料金の集まりがよいという便宜的な一つ方法として、一定の水準に達するまでの一つの過渡的なものとしての考え方はできるのでありますが、社会保障制度自体だけとしての考え方から行くと、非常に大きな誤りではないかというふうに考えられるのであります。ただ單に税金にした方がとりよいのだということでは、便宜的には考えられるが、本質的に考えて参りますと、二つの間に大きな矛盾がその中にできて来はしないか、その点に対する考え方がおありでしたら伺つておきたい。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国民健康保険事業が社会保障制度の一環であるという点につきまして、御意見を拝聴いたしたわけでございまするが、御意見のようなことは事実そうであろうと私どもは考えております。社会保障制度の一環でありますればこそ、この国民健康保険の事務費につきましては、従来二分の一国庫負担でありましたものが、今日では全額負担になつておりまするし、また将来はさらに給付につきましても国が負担をしたらいいじやないかという論が、御承知のごとく強いわけであります。またこういうものと別個にいたしましても、たとえば結核予防法というものがかりに今度制定されまするならば、給付の中で特殊なものにつきましては、これは国が結核予防法の改正によりまして、結核につきましての療養給付というものは、国が直接負担するというようなことも出て来るのでございます。要するにそういうふうに給付につきましても、逐次社会保障制度的な色彩が濃厚になつて参るわけであります。ただ国民健康保険事業につきましては、ここにもございまするように、要するに所得割の総額、資産割の総額というものにつきまして見られます分が百分の五十あるわけでございまして、單なる普通の生命保険事業、あるいは普通の給付事業と違いまして、要するに五〇%はやはり応能という部分を見ておるわけでございます。こういうようなことはやはり社会保障制度的な色彩、構想を若干持つておるわけでございます。そういう点から申しまして、また先ほどこういうものを納めなかつた場合に、税にいたしますると、罰則もかかる、あるいはいろいろ強制徴收もされるというような点の御指摘でございますが、この点は罰則をかけてとるという気持よりも、やはり税というものに対する考え方を中心にして、税にいたしました方が、やはりよりよく納まるであろうという点を、一面考えておるわけであります。また国民健康保険事業自体といたしましては、それぞれの職域のいろいろな共済組合でありますとか、健康保険組合であるとか、あるいは政府管掌の健康保険組合に入つております者は、一応は抜けるわけであります。それ以外のものにつきまして、やはり地域的な一つの総合救済事業として、こういうものを考えます以上は、やはりその事業が健全に発達いたしまするように、出すべきものは出してもらうという方式をとりました方がいいと考えまして、保険料の方式よりは、やはり保険税の方式の方が好ましいということで、このような案を考えた次第であります。
  58. 大泉寛三

    ○大泉委員 時間もなくなつたようですから、この次にしましよう。
  59. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十四分散会