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1951-03-08 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月八日(木曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 野村專太郎君 理事 藤田 義光君       大泉 寛三君    尾関 義一君       川本 末治君    黒澤富次郎君       田中 啓一君    床次 徳二君       山手 滿男君    久保田鶴松君       松澤 兼人君    立花 敏男君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         議     員 佐藤 親弘君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月八日  委員高橋等君及び山本久雄君辞任につき、その  補欠として小玉治行君及び門脇勝太郎君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月七日  遊興飲食税撤廃に関する請願藤枝泉介君紹  介)(第一〇六〇号)  旅館を対象とする遊興飲食税撤廃に関する請  願(佐々木盛雄紹介)(第一〇七一号)  同(神田博紹介)(第一〇七二号)  同(田中重彌君紹介)(第一〇七三号)  入場税五割軽減の請願高橋英吉君外六名紹  介)(第一〇七四号)  地方公務員単純労務に雇用される者の身分取  扱に関する請願大矢省三紹介)(第一〇七  五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  地方税法改正等に関する陳情書  (第三二四号)  地方財政平衡交付金増額等に関する陳情書  (第三二五  号)  地方財政平衡交付金法の一部改正に関する陳情  書  (第三二八号)  地方自治体の負担増加に対する財源附与の法制  化に関する陳情書  (第三二九号)  警察法改正に関する陳情書  (第三四九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公述人選定に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四五号を議題といたします。本日は政府より逐條的に詳細に説明を聴取いたしたいと思います。奧野政府委員
  3. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お手元に配付しております地方税法の一部を改正する法律案、新旧対照表でごらんいただいた方が都合がよいのではないかと思います。  第三條の二を新しくつけ加えたわけでありますけれども、地方税法の規定の中ではいろいろな権限をその内容の重要性いかん等によつて、あるいは地方団体の長に帰属させたり、あるいは地方団体徴税吏員に帰属させたりしているわけでありますけれども、地方団体の長に帰属させておりますものを府県あるいは市町村の規則だけで簡単に徴税吏員に委任してしまいますことも考えものでありますので、そういう際にはやはり地方団体の議会の議決に付しました上で委任するかどうかを決定させたいというような意味合いのもとにこの種の規定を置いたわけであります。これをしませんと、地方自治法一般原則に従いまして、ことさらに地方団体の議会の議決に付さないで、長の単独の考えで委任してしまうことができるわけであります。そういうことはあまり適当ではないと考えたので、この種の規定を置いたわけであります。  第五條は新しく国民健康保税を創設した結果による改正であります。  第九條の四項を新しくつけ加えたわけでありますけれども、納税義務の承継につきましては、当該義務にかわりますところの申告または報告の義務も承継するものであるということを、字句の上でも明らかにしようといたしておる趣旨であります。  第十五條の改正は、国税、地方税相互間の先取特権につきまして改正を加えているのでありますが、現行法では滞納処分に着手いたしました場合には、滞納処分に先に着手いたしました税が、優先するという建前をとつております。しかしながらその他の場合、たとえば破産の宣告がありまして、破産管財人に対しまして、税金交付の要求をいたしました際には、常に国税が優先するということになつているのであります。これは無條件に国税が地方税に優先しなければならないという道理はありませんので、そういう場合には国税と地方税とは同順位にしたいということであります。さらに言いかえれば交付要求をいたしました国税額と地方税額に按分して、それぞれの收入にいたしたいという意味合いにおける改正であります。  第十八條の改正は、還付または充当加算金についての問題でございますけれども、新たに設けました第二項は、「二以上の納期において又は二回以上に分けて納付し、又は納入した地方団体の徴収金について」は、そのような計算の方法をとるかということが明確ではございませんので、すでに法人税法所得税法に行われております方針を、そのまま地方税の上にも採用しようというふうにいたすために、この種の規定を加えたわけであります。第二十九條の改正は、異議の申立てにつきましては、文書をもつてしなければならないということを、言葉の上でも明らかにしておきたいというふうに考えたわけであります。従来文書をもつてする習わしになつておるわけでありますけれども、法文の上では明らかではございませんので、特にこの規定を置きますことによつて、異議の申立てをしても、国税庁の方で決定処分を放つておく、そういう場合には、異議の申立てをした人は一定の期間が過ぎました場合には、異議の申立てをしりぞけられたとみなしまして、さらに上級庁へ訴えをいたして行くことができるわけでありますけれども、文書による異議の申立てでありませんと、異議の申立てをいたしましてから何日間経過しているかどうかということが明確でないわけであります。そこで常に異議の申立ては文書をもつてするということになつておりますれば、長い期間決定を放置されておりました際には、異議の申立てをしりぞけられたといたしまして、次の訴えの段階に移ることがはつきりいたすわけでございます。そうしたいろいろな理由から明文を設けることにいたしたわけであります。  第三十一條の改正は、新たに加算法をとることにいたしました関係上、言葉の使い方を改めただけのことであります。すなわち「支出金額に算入する。」というのを、「附加価値額から控除する。」ということにしたわけであります。これは今申し上げましたように、加算法をとる関係上、そちらの言葉との関係から、単に、内容をかえませんで、言葉だけを改めたわけであります。第三十一條の二は、青色申告書の提出を認められている法人の事業にかかる附加価値額の算定の特例であります。すなわち附加価値額の計算は、総売上げ金額から特定の支出金額を控除いたしますところの、いわゆる控除方式を用いることにいたしておるわけでありますけれども、特に必要のあります納税義務者につきましては、その選択によりまして、加算法の採用を認めようとするものであります。その第一項におきましては、加算法の選択を認められる法人は、青色申告書の提出を認められている法人に限つているわけであります。ことさらに青色申告書の提出を認められている法人に限りましたのは、加算法計算方式をとりますと、所得というものを明確にしなければならないわけであります。所得につきましては、損益の計算をしなければならないわけでございますので、単に外部に支払つた、内部に支払つたという問題以上に、明確な規定を必要といたしますので、青色申告書の提出を認められている法人に限ろうとするわけであります。個人につきましては、特に加算法をとらなければならないような大規模な企業、あるいは大規模な複式簿記を備えて経理しなければならないような企業も考えられませんので、一応原則的な控除方式にのつとつてやつてもらつて、不合理はないじやないだろうかというような考え方をとつておるわけであります。加算法によります場合には、そこに書いてありますように各事業年度の所得並びに当該事業年度中において支払うべき給与、利子、地代及び家賃の額の合計額をとることになるわけであります。そこで二項をもちまして、その場合の所得とは何ぞやということを規定いたしておるわけであります。原則的には、所得というものは法人税法によりますところの所得をとるわけでありますけれども、法人税法の所得の計算におきましては、欠損の繰越しを五年間認められるわけであります。加算法によりまして計算いたしました場合にも、すなわち所得と給与と利子と地代と家賃と全部合算いたしましても、赤字になる場合があるわけであります。すなわち所得において損金の額が多い場合には、その年度の附加価値額全体が赤字になることがあるわけであります。その場合には、控除法によります場合と同じように、赤字の繰越しを五年間認めるわけであります。ところが個々の所得の計算におきましても、生じました損金を五年間繰越しを認めて参りますと、二重に赤字の繰越しを認めることになりますので、所得計算上の赤字の繰越しは認めない。しかし加算法において計算をした結果の赤字の附加価値額の繰越しは五年間認める、こういうような方式をとりたいと思つております。その点だけが法人税法の計算と食い違つて参る点であります。それが三項、四項にわたる規定の内容であります。第五項におきまして、この加算法を採用しようとする法人の手続を書いているわけであります。すなわち「加算法によつて附加価値額を算定しようとする法人は、昭和二十六年十二月三十一日までに、当該道府県の條例の定めるところによつて、あらかじめ、事務所又は事業所所在地道府県知事にその旨を届け出なければならない。」すなわち届出だけで加算法を自由に選択させようとしておるわけであります。この届出を受けました道府県知事は、第十項に書いてありますように、「道府県知事は、第五項の届出を受理した場合又は前項の承認をした場合においては、遅滞なく、当該法人の名称、事業の種類、その有する事務所又は事業所の所在地及び加算法によつて附加価値額を算定する最初の事業年度の初日を告示しなければならない。」自由に選択を認めまして届出をして行きました場合には、その法人の名称を遅滞なく告示することによつて、公にそのような計算方式をとるのだということを明らかにしておきたいというふうに考えておるわけであります。第六項では、昭和二十六年の十二月三十一日までに加算法をとるか、控除法をとるかを決定してしまうわけでありますけれども、その後において加算法をとる必要を生じて来た法人については、どういうふうな選択の余地を認めて行くかということを書いておるわけであります。昭和二十六年十二月三十一日までには自由な選択を認めておるわけでありますから、その後においてはもはや原則として企業の任意によつて加算法を採用するということを認めるべきではないと思うのであります。しかしながら例外的に事業の内容を変更したことによりまして、控除法によつて附加価値額を算定することが著しく困難であります場合においては、道府県知事の承認を受けて、加算法による計算方式を認めることにしているわけであります。今年の十二月三十一日まではまつたく自由の選択によつて認めるわけでありますが、それ以後は事業内容を変更したことによつて控除法によつて附加価値額を算定することが著しく困難である場合であつて、道府県知事の承認を受けなければならないという制限をいたしておるわけであります。しかしながら第九項に書いてありますように「そり内容を審査して第六項に規定する事由があると認めた場合においては、これを承認しなければならない。但し、当該法人控除法によつて附加価値額を算定した最初の事業年度の初日から相当の期間を経過していない場合又は加算法によつて附加価値額の計算が正確に行われ難いと認められる場合においては、当該申請を却下することができる。」というふうにある程度の縛り方をいたしておるわけであります。このように控除法をとつておりますものが、将来加算法に移れることについては規定を設けているわけでありますけれども、一たび加算法を選択したものが、その後自由に控除法に移るということを認める必要はないと考えておるわけであります。加算法計算方式が困難になるという場合が予想せられませんので、一旦加算法を選択いたしました場合には、その後において事業の拡張をやるのだから、控除法移つて固定資産の所得額をまるまる一度に控除してもらいたいというふうに考えましても、その後の選択の余地は設けないという方針をとつております。ただ青色申告を認められているということを條件にしておりますので、青色申告が取消されましたり、あるいは青色申告をやめましたりした場合には、おのずから加算法から控除法に移るということになるわけであります。そのように附加価値額算定方法に変更があつた場合の措置を、三十一條の三に書いておるわけであります。たとえば加算法から控除法に移ります場合には、まだ減価償却しきつていない固定資産をどうするか、こういう問題があるわけであります。あるいは控除法から加算法に移ります場合には、すでにまるまる控除してしまつた固定資産の所得額というものを、どう扱うかということに問題があるのであります。所得の計算におきましては、すでに全額控除された固定資産の所得額も、減価償却額だけは経費として控除せられて参りますので、その間の措置をどうするかという問題があるわけであります。このような問題につきまして、不均衡の生じないように技術的な調整を加えたいとする趣旨で、たいへんこまかな計算方式をここに規定しておるわけであります。第三十三條の附加価値税の税率の年度基準につきまして但書を加えておるわけでありますけれども、事業年度が六月を越えますものにつきましては、概算納付をしたり、概算申告納付をしなければならないわけでありますが、これらの税額をどうするかということが、税率の規定において明確を欠いておりましたので、概算期間の末日の属する年度の税率によるのだということを、明らかに書いておこうとする趣旨であります。第三十三條の二は、「法人又は個人が二種以上の事業をあわせて行う場合においては、その納付すべき附加価値税課税標準とすべき附加価値額は、これらの事業を通じて算定する。」ということにいたしておるわけであります。たとえば水産業と製造業とを兼ねて行つております場合に、製造業の税率と水産業の税率とは異なつておるわけであります。そういう場合にはこれは水産業の附加価値と製造業の附加価値ということを区分することが困難でありますので、こういう場合には一体として附加価値額を算定いたしまして、その附加価値額を水産業にかかる総売上金額と、製造業にかかる総売上金額とに按分いたしまして、それぞれに税率を適用して参りたい、こういう考え方であるわけであります。第三十五條に新しく加えました点は、新たに加算法に基くところの附加価値額計算方法を採用いたしましたので、そのような法人にありましては、確定した決算に基いて申告納付しなければならないというようにいたしたわけであります。所得の計算が必要になつて参りますので、法人税法申告納付と同様な方式を採用することにしたわけであります。三項以下の改正点は、従来附加価値税概算納付につきましては、すなわち事業年度が六月を越えます法人につきましては、六月を越えたところであらかじめ附加価値税の一部を納付しておいていただくわけであります。それを前事業年度の実績に基きまして、概算納付してもらうというふうな方針をとつて参つたわけでありますけれども、しかしながらその事業年度附加価値額が、前事業年度よりも、非常に下まわつて来るというな場合には、前事業年度附加価値額をそのままとらえて納付させることは、かなり酷である場合がございます。そこで二分の一以下に下まわる場合には、当該年度の見込みによつて、あらかじめ納めておけるのだというふうな方式を採用しておるわけであります。ところが前事業年度の実績に基きまして、あらかじめ納めますものと、当該事業年度の見込みに基きまして、あらかじめ納めますものとには、計算方式に根本的の相違があるわけであります。それを一律に概算納付という方式をとりました。そのかわり更正決定の権限は、道府県知事に与えておかない、半面に前事業年度の実績に基きまして、二分の一以下にならないような場合には、どんどんそれであらかじめ納めておかなければならないというような方針を採用して参つたわけであります。しかしながらすでに事業税につきまして、今年から法人につきまして申告納付の制度を採用することでございますので、附加価値税申告納付につきましては、もう少し細密な区分をしても、府県で運用が可能ではなかろうかという考え方のもとに、前事業年度の実績に基きましてあらかじめ納めますものは、従来通り概算納付という言葉にしよう、前事業年度の実績というものは明確でありますから、道府県知事更正決定の権限を与える必要はない、しかしながら当該事業年度の見込みに基きまして、あらかじめ納めておきます部分につきましては、これは更正決定の権限を与えておく必要がある、そのかわり前事業年度の二分の一以下に下るというふうに、著しく下まわるものでない場合であつても、当該事業年度の見込みで、あらかじめ納めておける余地を残した方がいいのではなかろうか、こういう考え方をとりまして、七割以下に下りましても、当該事業年度の見込みに基きまして、あらかじめ納めておけるというふうに、納税義務者の便宜を考慮いたしたわけであります。第三十六條の規定も私が御説明いたしました事柄に関する問題であります。従いまして従来の概算納付という言葉を、概算納付と、概算申告納付というふうに使いわけをすることにしたわけであります。概算納付に関しては更正決定の権限はない、概算申告納付につきましては、更正決定の権限を留保しておくということになるわけであります。従いまして納付書という言葉も、今申し上げました二つの種類の区分に従いまして、概算納付書概算申告納付書というふうに使いわけをいたしておりますので、かなりたくさんな條文にわたつて改正が加えられておるわけであります。しかしながら本質はただいま申し上げたところだけであります。三十七條も同様の意味合いにおける言葉の調整であります。第三十八條もただいま申し上げました意味の言葉の調整と加算法をとることにいたしました関係から生じましたところの言葉の調整であります。第三十九條は、ただいま申し上げましたと同じ意味合いにおきまして、概算申告納付いたしました部分については、修正申告も認めなければなりませんので、概算申告納付の修正につきましての規定を明らかにいたしたわけであります。それらの関係から第四十條の点におきまして、條文の引用に多少の修正を必要といたして参つておるわけであります。第四十三條もまた概算申告納付修正概算申告納付の観念を取入れました結果、五号、六号を加える必要が生じて参つたわけであります。第四十四條も同じように概算申告納付の観念を取入れました結果起きますところの修正であります。第四十七條も同じ意味合いにおきまして、概算申告納付に関します部分についてだけは、更正決定の権限を留保しなければなりませんので、それに伴いますところの字句の修正でございます。第四十八條、第四十九條もまつたく同様の意味合いにおけるところの修正でございます。第五十二條は、青色申告書による申告手続でありますけれども、二項で新しく入れましたのは、新たに設立した法人あるいは年の中途において事業を開始した個人につきまして、いつまでに青色申告の承認を受けなければならないかということを明確にいたしたわけであります。それから第五十三條の規定は、新たに加算方式の採用をいたしました結果増加いたしました條文を、青色申告書による申告に関する更正決定につきましても引用いたさなければなりませんので、つけ加えたわけであります。第五十四條は、二以上の道府県において事務所または事業所を設けて事業を行う場合の申告納付等に関する規定でありますが、これも概算納付概算申告納付とにわけました結果から起きました修正が第一項、第三項の修正であります。そのほかに、従来二以上の道府県において事務所または事業所を設けて事業を行うものにかかりますところの課税標準の分割にあたりましては、第三項に規定しておりますように、「法人にあつては第三十五條又は第三十六條に規定する申告書又は概算申告書に記載された事務所又は事業所について、個人にあつては第三十七條又は第三十八條に規定する概算納付書又は申告書に記載された事務所又は事業所について、製造業、電気供給業ガス供給業自動車道事業、運河業、さん橋業、船舶ていけい場業及び貨物陸揚場業にあつては附加価値額の総額の二分の一を当該事務所又は事業所固定資産の価額に、他の二分の一を当該事務所又は事業所の従業者の給与額にあん分して行い、その他の事業にあつては附加価値額の総額を当該事務所又は事業所の従業者の給与額にあん分して行うものとする。」というふうにしておつたわけであります。すなわち原則的には従業者の給与額に按分するわけでありますが、固定資産をたくさん持つておりますような軌道事業とか鉄道事業とかいうふうなものにありましては、二分の一は固定資産の価額に、二分の一は従業者の給与額に按分しておつたのであります。これをもつと簡素な分割の方法をとりたいというように考えましたのと、ことに町村民税につきまして法人税割の制度を設けました結果、法人税割もまた関係市町村に分割しなければならないという問題が生じて参つているわけであります。そこで法人税割分割方式と、なるたけ合せた方が企業のために便宜であろうというふうにも考えられますので、原則的には従業者の給与額ではありませんが、従業者の数に按分してしまおう。ただ固定資産の大きいようなものについてだけ、半分は固定資産の価額、半分は従業者の数に按分しようと考えているわけであります。しかし若干複雑なこのような方式をとろうといたしますものも、この税が府県税でありますので、あまり小さいものにつきましてまで、このような方式をとる必要はないと考えましたので、若干整理をいたしまして、二つの分割基準を採用いたしますものは、三十二ページの二行目に書いてありますように、「電気供給業ガス供給業、運送業のうち地方鉄道事業及び軌道事業並びに倉庫業」に限つてしまいたいと考えておるわけであります。四項には従業者の数の計算方式などを書いておるわけであります。  第五十七條の二は、外国法人の場合における主たる事務所または事業所所在地道府県知事の意義を明確にいたしておるわけであります。  第五十八條は、異議の申立てにつきまして、文書をもつてしなければならないという規定を加えた点でありまして、その理由は先ほど申し上げた通りであります。  第六十一條も同様の趣旨の改正であります。  第七十條に但書を加えましたのは、昭和二十七年一月一日から附加価値税が実施されるということになるわけでありますけれども、本年の末までに解散した法人につきましては、来年以降におきましても、整理の意味におきまして、たとえば若干の製造を行つたり、あるいは若干の物品の販売を行つたりいたしました場合に、附加価値税法を適用するのか、あるいはむしろ従来の事業税法を適用した方がいいのか、若干問題があるわけであります。そこでこの際その関係を明確にいたしますために、むしろ解散した法人につきましては、従来通り事業税課税方式を踏襲した方が便宜であろうと考えまして、ここに但書を加えることにいたしたわけであります。  第七十一條の第四項は、附加価値税は来年一月一日から適用されるわけでありますけれども、前年から引続いて事業を行つております部分につきましては、一応事業税の計算と附加価値税の計算の両方をいたしまして、月割でその税額をさらに区分する方式をとつておるわけであります。その場合の事業税の税率につきましての規定が、明確でございませんので、従来の税率、すなわち昭和二十六年度の事業税の税率を使つて、そのような計算をするのだということを、明確にしておこうとする趣旨であります。第七十三條も、概算申告納付の観念を導入いたしました結果の字句的な修正であります。第七十四條の二は、附加価値税に関する規定が適用される日以前に、取得した固定資産の取扱いに関する問題であります。前国会におきましても、附加価値額控除法によつて計算いたします結果、将来において固定資産の増設が行われます企業につきましては、附加価値額の計算が非常に有利になるわけでありますけれども、すでに企業の固定資産の整備を終つたものにつきましては、それらのものが控除されない結果、不均衡になるではないかというような問題があつたわけであります。このような企業の固定資産の整備をすでに終つているか、これから行うかということによつて、生ずる不均衡を是正したいという考え方のもとに、すでに整備を終つている企業につきましても、減価償却のまだ済んでおりません部分につきましては、済んでおりません部分の金額を、残存耐用年数で除しまして得ました額を、その期間にわたりまして、総売上金額から控除して参りたい、もつて将来において固定資産の整備を行う企業との間において、均衡をはかるようにいたして参りたいというふうに考えたわけであります。こうした規定でありますので、一応読ましていただきますと、「昭和二十七年一月一日の属する事業年度又は昭和二十七年度の附加価値税について第五十二條第一項の規定によつて青色申告書を提出することの承認を受けた法人又は個人に対しては、その各事業年度又は各年の附加価値額の算定上、法人にあつては昭和二十七年一月一日の属する事業年度の直前の事業年度の末日以前、個人にあつては昭和二十六年十二月三十一日以前に取得した固定資産で、その購入代金が第三十條第七項の特定の支出金額に算入されるべきものであり、且つ、これらの日の後において当該固定資産について法人税法又は所得税法の規定による減価償却が認められるものは、当該固定資産のこれらの日における帳簿価額を政令で定める基準によつて調整した額をその残存耐用年数で除して得た額を同項の特定の支出金額とする。但し、各事業年度又は各年において第三十條第七項の特定の支出金額に算入されるべき額については、法人にあつては昭和二十七年一月一日の属する事業年度の末日までに、個人にあつては昭和二十七年三月三十一日までに、地方財政委員会規則で定める手続によつて、それぞれ事務所又は事業所所在地道府県知事の承認を受けなければならない。」ということにいたしておるわけであります。すなわち将来固定資産の取得額を、まるまる総売上金額から控除されないところの、従前から持つておりますところの固定資産につきましては、その減価償却相当額を、将来にわたつてやはり総売上金額から控除して行こうとするものであります。しかしながらこのような控除を認められようとする者は、青色申告書を提出することの承認を受けた者に限ることといたしたいのであります。それが第一点であります。といいますのは、控除するものを認めるわけでありますから、やはりプラス、マイナスをするそれぞれの要素が明確に記帳されているものでなければ、このような控除することだけを保証するというわけには参らないだろうと思うのであります。この趣旨において青色申告書を提出することの承認を認められている者に限つて行きたいというふうに考えているわけであります。第二は、一定の時期までに控除を認められる部分につきまして、道府県知事の承認を受けておいてもらおうとしていることであります。といいますのは、残存耐用年数が企業によりましては三十年、四十年にわたるものがあるわけであります。三十年、四十年にわたりまして、このような計算方式を続けて行こうといたします場合には、当初の年において、毎年幾ら控除するかということを、確定しておく必要があるだろうと思うのであります。そういう意味合いにおいて、最初に将来にわたる控除額というものを確定しておこう、こういうふうな意味におきまして、法人にありましては、昭和二十七年一月一日の属する事業年度の末日までに、個人にあつては昭和二十七年三月三十一日までに道府県知事の承認を受けなければならないというふうに、いたしておるわけであります。第三には、控除を求めます額は、償却未済の額を、残存耐用年数で除して得た額を、毎年毎年残存耐用年数の期間だけ控除して行こう、こういうような方針をとろうとしているわけであります。第二項が、二以上の道府県において事務所または事業所を設けて事業を行う者につきましては、関係道府県知事個々について承認を受けなければならないということは非常に手数でありますので、主たる事務所または事業所所在地における道府県知事の承認を得ればそれでよろしい、そのかわりその知事から関係道府県知事に遅滞なく、その旨を通知しなければならないということにいたしておるわけであります。第三項は、このような制度を設けます反面に、固定資産を売却した場合において、その売却額がまるまる総売上金額に算入されますと、将来にわたつて控除し得るものまでも、総売上金額に入つて参りますので、将来においては控除される額だけは、売却した金額から差引を認めるようにしたいという趣旨において設けているわけであります。ここまでが附加価値税に関する改正であります。第八十三條は、入場税に関する問題でありますけれども、異議の申立てを文書でもつてしなければならないということで、先ほど申し上げましたところと、まつたく同じ理由であります。第九十九條の改正、第百二條の改正、第百三十一條以降の改正も、まつたく同様の趣旨であります。四十四ページから遊興飲食税になるわけでありますけれども、遊興飲食税に関します改正点も、異議の申立ては文書をもつてしなければならないという点だけであります。四十六ページ、百四十七條におきまして新たに第二項でもつて、「前項各号の税率は、その税率を標準として当該各号に掲げる自動車の種類によつて更に区分することができる。」当然のことでありますが、念のためにこういうふうな規定を置きまして、同じバスでありましても、二十人乗りのバスと五十人乗りのバスとでは、税額にも差等を付した方がよいのだという趣旨をうたつておこうと考えておるわけであります。第百五十四條以下の自動車税に関します改正も、異議の申立てに関する修正点だけであります。五十二ページ、百八十七條は、鉱区税に関する改正でありますけれども、これも異議の申立てに関する部分だけであります。第二百十七條漁業権税に関する改正点もまつたく同様であります。六十ページの第二百四十二條、狩獵者税にかかる改正点がございます。第二百四十二條第一項で、「六月以下の懲役又は」を削つております。狩獵者税の罰則が少しきつ過ぎると考えられますので、体刑は除外したわけであります。二百四十三條以下の改正点は、異議の申立ては文書をもつてしなければならないという点、それから体刑を除外しておる点であります。それから六十六ページの二百七十三條で道府県法定外普通税についての改正を行つておりますが、これも異議の申立ては文書をもつてしなければならないという点だけでございます。七十ページまでがそれらであります。第二百九十二條以下が市町村民税の問題であります。市町村民税につきまして若干の改正を加えました結果、二百九十二條に掲げておりますところの定義におきましても、必要のあるものとないものとが生じて参りましたので、若干の修正をしたわけであります。二号、三号に資産所得や事業所得の定義が上つておりますが、これらの言葉は改正市町村民税につきましては用いないことにいたしておりますので、それにかえまして新たに用いましたところの給与所得に関する定義を掲げたわけであります。これらの定義はすべて所得税法あるいは法人税法において用いております言葉と大体同様に使つております。ただ違えておりますのは四号の課税総所得金額であります。読ませていただきますと、「総所得金額から所得税法第十一條の三から同法第十二條までの各條の規定による控除をした金額をいう。」となつております。これらの控除とは、昨日立花さんにお答えしました、医療控除とか災害控除とか扶養控除とか基礎控除とかいう種類のものでありますが、「但し、市町村は、財政上特別の必要がある場合においては、当該市町村の條例の定めるところによつて、総所得金額から所得税法第十二條の規定による控除のみをした金額とすることができる。」というのであります。「控除のみをした金額」というのは、すなわち基礎控除であります。この場合にもやはり「課税総所得金額」という言葉を便宜用いることにいたしておるわけであります。その趣旨は昨日御説明申し上げましたので、省略させていただきます。五号の所得税額、六号の同族会社等につきましては、事務的な修正を加えております。七号の扶養親族につきましても、所得税法の規定の場合と同様にしておりますので、省略いたしておきます。十号で寡婦の規定を新しく設けたわけでありますが、寡婦の定義は、「女子で、離婚し、若しくはその配偶者が死亡した後、婚姻をしていないもの又は妻で夫の生死が明らかでないもののうち、扶養親族を有するものをいう。」というように、大体所得税法において改正しようといたしております定義と歩調を合せて記載いたしておるわけであります。十一号は法人税額でありますが、「法人税法の規定によつて納付すべき法人税(積立金に対するものを除く。)の額で同法第十條の規定によつて控除される所得税額」というのは、法人等が利子收入がございますと、これについて所得税を納めます。その部分だけは税額控除されるわけでありますが、法人税割課税標準につきましては税額控除をする必要はない、今後も法人割を徴收してしかるべきだというふうに考えておるのであります。従いまして、加算割いたします反面に、「同法第四十二條第一項の規定によつてあわせて納付しなければならない利子税額、同條第六項の規定によつてあわせて徴收される利子税額、同法第四十三條第一項の規定によつて徴收される過少申告加算税額、同條第二項の規定によつて徴收される無申告加算税額及び同法第四十三條の二第一項又は第二項の規定によつて徴收される重加算税額並びに国税徴收法第九條第三項の規定によつて徴收する延滞加算税額を含まないものとする。」といたしております。これらはすべて税額という言葉は用いられておるわけでありますが、地方税法で使つております重加算金あるいは延滞加算金は、本来の税でない性質のものでありますので、こういうものは反面に控除をいたしまして、法人税割課税標準にしないという方針をとろうとしておるわけであります。十二号が所得割でありますが、「所得税額、課税総所得金額若しくは課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準として課する市町村民税又は法人税額を課税標準として課する市町村民税をいう。」となつておりまして、従来から使いなれて来ております言葉を、定義を改めてここに記載しておるわけであります。十三号の均等割も同様の趣旨であります。第二百九十三條は昭和二十五年度分の用語の特例でございましたし、二十六年度以降に残しておきますと、まぎらわしくなりますので、削除いたしました。第二百九十四條は、市町村民税納税義務に関する規定でありますが、法人税割を設けることにいたした等の関係から、言葉の使い方を改めておるわけでありまして、納税義務者は一号から四号まで掲げておるわけであります。一号は「市町村内に住所を有する個人。」でありまして、括弧内のものは別なところで非課税の規定を設けておりますので、結局削除しておるわけであります。二号の「市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有しない者。」は従来と同じであります。三号は「市町村内に事務所又は事業所を有する法人。」四号は「市町村内に事務所又は事業所を有する法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるもの。」となつておりますが、これは従来の三号を二つにわけまして、三号には法人税、四号には法人税割の課せられない部分だけを別にしたわけであります。それから第二項の「市町村民税は、前項第三号の者に対しては、その事務所又は事業所ごとに課する。」という規定は削つたわけであります。従つて同一市町村内に事務所、事業所をたくさん持つておりまする場合、たとえば鉄道会社が停車場を幾つも持つております場合には、停車場ごとに市町村民税が課せられたわけでありますけれども、同一市町村内においては市町村民税は一つしか課せられないようにしたいという考え方のもとに、第二項を削除したわけであります。第二百九十五條は個人の市町村民税の非課税の範囲に関する規定であります。改正点だけを見ますと、「市町村は、左の各号の一に該当する者に対しては、市町村民税を課することができない。」というのでありまして、「一前年中において所得を有しなかつた者、二生活保護法の規定による生活扶助を受けている者、三不具者、未成年者、六十五年以上の者又は寡婦」となつておりまして、この「六十五年以上の者」が新たに加わつたわけであります。「(これらのものが独立の生計を営み、且つ、前年中において十万円をこえる所得を有した場合を除く。)」とありますが、「独立の生計を営み」というのはミスプリントでありまして、こういうことはございません。これは前年中において十万円以上の所得を有しました場合には、当然課税しないという恩典は受けられない。もちろん十万円以上の所得を有するものにつきましても、実情に応じまして、市町村が減免規定を適用することはさしつかえございません。しかしながら、不具者、未成年者、六十五年以上の者または寡婦であるがゆえに、当然市町村民税を課することにはならないということにはいたさぬわけであります。第二項の「市町村は、同居の妻に対しては、均等割を課することができない。」というのは、従来と同じであります。  第二百九十六條は、新たに地方公務員法が制定されました関係上、字句の修正を行つたわけであります。  第二百九十七條は、「市町村民税課税標準である所得税額等は、」とあるのは、いつの所得税等を言うのであるかということが、必ずしも字句の上で明確ではございませんので、特に「前年の所得について同年において適用された所得税法の規定に基いて算定したものとする。」という趣旨を明確に書いたわけであります。  第二百九十八條に、市町村民税にかかわる徴税吏員の質問検査権について修正を加えておりますが、新たに三号を加えておるわけでありまして、特別徴收の制度を設けた関係上、給与支払報告書を提出する義務がある者につきましても、質問検査をする権限を留保したいというわけであります。第三百二條は異議の申立に関する修正であります。  第三百三條は市町村民税の申告義務に関する規定でありまして、特別徴收の制度を設けることになりました関係上、給与所得を受けておりました者については、申告の期限を少し早くしたいという関係もありまして、二つにわけて申告義務を規定いたしております。すなわち三百三條では「第二百九十四條第一号の者は、毎年四月三十日までに、当該市町村の條例の定めるところによつて、前年の総所得金額、所得税額等、第二百九十五條の規定に該当する事実の有無その他必要な事項を一月一日現在の住所所在地の市町村長に申告しなければならない。」これは個人に関しますところの一般的な申告義務であります。それから第二項は、個人及び法人を通じまして、均等割だけしか納付を要しないものに関する申告の義務であります。新たに三項におきまして、前年において給与所得を受けましたものにつきましても、申告の義務を規定したのであります。すなわち「第二百九十四條第一号の者で」、すなわち個人の納税義務者で「前年中において俸給、給料、賃銀、歳費、年金、恩給及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の支払を受けたものは、毎年二月十日までに、当該市町村の條例の定めるところによつて、同年中の給与所得の金額、給与の支払を受ける際に徴收された所得税額、第二百九十五條の規定に該当する事実の有無その他必要な事項を一月一日現在の住所所在地の市町村長に申告しなければならない。」ということにいたしておるわけであります。四月から源泉徴收をして行くことになるわけでございますので、二月十日までに市町村長に申告をしていただきませんと、準備が整わないわけでございます。そこで給与所得のかかります部分につきましてだけ、この種の申告義務を課することにしたわけであります。  三百四條の修正は、所得税に係る更正又は決定事項の申告義務でありまして、所得税法によつて申告あるいは修正申告をしなければならないような場合においては、同様に市町村民税につきましても、申告書を提出していただかなければなりませんので、若干脱漏しておつたものを、ここへつけ加えさしていただくことにしたのであります。  それから三百六條は、異議の申立てに関する修正であります。  三百七條は、給与支払報告書の提出義務を新たに課したわけであります。その趣旨は給与の支払いをしておりますものは、市町村の希望によりまして、源泉徴收をしなければならないことになるわけであります。そこで前年において給与の支払いをいたしました者は、給与の支払いを受けた人間を住所地別に区分いたしまして、それぞれが受けましたところの給与額、さらに徴收いたしましたところの所得税額等を記載いたしまして、住所所在の市町村長まで報告書を提出してもらおうと考えておるわけでございます。すなわち三百七條を読ませていただきますと、一月一日現在において給与の支払をしている者で当該給与の支払をする際、所得税法第三十八條第一項の規定によつて所得税を徴收する義務があるものは、二月十日までに、地方財政委員会規則の定めるところによつて、当該給与の支払を受けている者についてその者に係る前年中の給与所得の金額、所得税額その他必要な事項を当該給与の支払を受けている者の一月一日現在における住所所在の市町村別に作成された給与支払報告書に記載し、これを当該市町村の長に提出しなければならない。」こういうことにしたわけでございます。このように給与の支払いをいたしました者につきまして、住所地別に区分して、給与支払報告書を提出しなければならない義務を課しました。半面に、従来は源泉徴收票を個人別に作成いたしまして、会社所在地の市町村に提出しておつたのでありますが、この義務を廃止することにいたしました。言いかえれば、源泉徴收票提出の義務にかえまして、新たに給与支払報告書の提出の義務を課したということになるわけでございます。  三百八條は、昭和二十五年だけの給与支払報告書の提出期限の特例でありまして、二月十日を四月二十日に読みかえたのであります。  第三百九條は、「源泉徴收票等の写の提出義務違反に関する罪」というのを「給与支払報告書の提出義務違反に関する罪」と置きかえたのであります。  三百十條は、給与所得にかかる申告書を提出する義務があります者につきましては、給与の支払いをなしました者からもらつておりますところの源泉徴收票またはその写しをも添付いたしまして、その申告の正確を期するようにいたしたいと考えたわけでございます。  三百十一條は、単に字句の修正だけであります。  三百十二條は、均頭割の税率の軽減に関する規定につきまして、若干あいまいでありました言葉の書き方を、おおむね同様な趣旨によりまして、改正をいたしたわけでございます。  三百十三條は、新たに四項、五項、六項を設けまして、四項では「前二項の場合における税率」、すなわち市町村民税の所得割の課税標準におきまして、第二、第三の方式をとる場合、すなわち課税総所得金額または課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課する場合には、「課税標準額に応じて逓増するように税率を定めることができる。」ということを明らかにしたわけであります。第五項は、法人税割の税率に関する規定でありまして、標準税率を百分の十、制限税率を百分の十一といたしたいのであります。さらにこれらの税率の適用の区分は、「法人税額の課税標準の算定期間の末日現在における税率による。」ということを六項で書いたわけであります。  三百十四條は、昭和二十六年度分の市町村民税にかかるこの法律の規定の適用でありまして、平年度と若干異なつて参りますので、期限等につきまして読みかえの規定を書いたわけであります。別に本質的な問題はありません。  三百十五條は、所得税法の改正に伴いまして、農業確定申告書等の言葉がなくなりましたので、それらに伴いまする修正であります。  三百十八條は、市町村民税の賦課期日が六月一日でありましたのを、一月一日に改めたいのであります。その趣旨は、新たに特別徴收の制度を設けることにいたしました関係上、給与支払者に一月一日現在の住所地の区分によりまして、給与支払報告書を提出してもらうことにしております。この区分が即納税義務の帰属する市町村の区分であるようにいたしたいのであります。それがためには賦課期日を一月一日にしておく必要がありますので、この種の修正を行つたのであります。もとより本年度は時期も相当経過いたしておりますので、昭和二十六年度に限り四月一日と読みかえることにいたしております。  三百十九條は、新たに特別徴收や申告納付の制度を用いることにいたしました結果、生じますところの修正であります。三百十九條の二は普通徴收の手続を書いてあります。普通徴收の手続が別段特にかわつたところはないわけでありますけれども、特別徴收との関係から若干こまかな規定を設けたわけであります。一項では「市町村民税を普通徴收の方法によつて徴收しようとする場合において納税者に交付する徴税令書には、個人に係るものにあつては所得割額及び均等割額の合算額から第三百二十一條の四第一項の特別徴收税額を控除した額並びにこれらの算定の基礎を、法人に係るものにあつては均等割額を、それぞれ記載しなければならない。」というふうにいたしております。その趣旨は特別徴收のできますのは、前年において給与を受けました者であつて、当該給与所得にかかる所得割の額、均等割の額とだけであります。他に事業所得でありますとか、その他の資産所得等を持つておりましても、この部分にかかるところの所得割は特別徴收はできないわけでありますから、自然徴税令書にもその関係の区分を明確に書かせるようにいたしたいというふうに考えたわけであります。  その次が三百二十條の改正でありますが、市町村民税の納期を若干かえております。これは所得税法の改正に伴いまして所得税の納期に異動を生じましたので、市町村民税の納期につきましても重複しないことを本体に考えながら、半面市町村民税の税收入がなるたけ市町村に早く帰属するようにしたいという考え方から、大体において一月ずつぐらいを繰上げております。  この三百二十一條は市町村民税の納期前の納付につきましては報奨金を出すことにしておるのでありますが、報奨金の計算が税額の千分の五に月数を乗ずることにいたしておりましたのを、三項でもつて百分の一に納期前の月数を乗ずることにいたしたわけであります。三百二十一條の二は「普通徴收に係る市町村民税の賦課額の変更又は決定及びこれらに係る延滞金の徴收」につきまして、明確な規定を欠いておりましたので、ここで他の税目とあわせまして、正確に規定をいたしておく方針をとつたわけであります。趣旨には別段他の税目と異なつたところはございません。三百二十一條の三に「市町村民税の特別徴收」の制度を新たに設けております。特別徴收の方法を採用することのできますのは「納税義務者当該年度の初日の属する年の前年中において給与の支払を受けた者であり、且つ、同日において給与の支払を受けているものである場合」に限つているわけであります。すなわち前年において給与所得を受けた者、さらに当該年度の四月一日現在において、かつ給与の支払いを受けている者でなければ、その者については特別徴收の制度は採用できないわけであります。三百二十一條の四には特別徴收義務者を市町村は指定しなければなりませんので、その趣旨の規定を他の特別徴收にかかる税目の場合と同様な方針のもとに、規定をさせようとしているわけであります。三百二十一條の五は「特別徴收税額の納入の義務等」であります。第一項は「前條の特別徴收義務者は、同條の規定によつて四月十五日までに通知を受け取つた場合においては、当該通知に係る特別徴收税額の十二分の一の額を給与の支払いをする際毎月徴收し、その徴收した月の翌月の十日までに、これを当該市町村に納入する義務を負うものとしております。すなわち会社等で給与の支払いをしておりましても、四月十五日までに市町村から特別徴收をしてもらいたいという通知を受けません限りにおいては、その者について特別徴收をする必要はないわけであります。所得税の場合におきましては給与を支払つております限りにおいては、当然に源泉徴收の義務が発生するわけでありますけれども、市町村民税の特別徴收の場合には、市町村からこの者について幾ら特別徴收をしてもらいたいという通知が参りません限りにおいては、特別徴收の義務を負わないということにいたしております。通知を受けました場合には、月割額を給与の支払いをいたします際に徴收をいたして参るわけであります。その場合には翌月の十日までに納入して行かなければならないわけであります。さらに二項で通知を受けておりましても、その後にその特別徴收義務者から給与の支払いを受けないことになりました場合には、翌月以降についてはもはや特別徴收の義務を負わないことになるわけであります。たとえば三越に勤めている人が松坂屋にかわつたといたしますと、三越に勤務しておりました月までは、三越が特別徴收をしなければならぬが、かわりました月の翌月からはもはや三越も特別徴收の義務を負わないし、松坂屋も特別徴收の義務を負わないわけであります。そうすると取遅れている部分があるわけでありますが、徴收の済んでおりません部分につきましては、市町村は普通徴收の方法に切りかえて徴收することになるわけであります。さらに特別徴收義務者が、関係市町村に送金しなければならないわけでありますけれども、関係市町村がたくさんにまたがつております場合には、個々の送金することはたいへんな手数でありますので、四項の規定をもつて会社所在地の金融機関に払い込めば、送金の手数が全部完了する、こういう方針をとることにいたしているわけであります。すなわち「他の市町村内において給与の支払をしている者が特別徴收義務者として指定された場合においては、当該特別徴收義務者は、その納入すべき納入金を当該地の市町村内に所在する銀行その他の金融機関で当該市町村が指定して当該特別徴收義務者に通知したものに払い込むものとする。この場合においては、当該特別徴收義務者が当該通知に係る金融機関に払い込んだ時に、当該市町村にその納入金の納入があつたものとみなす。」とあるわけであります。たとえば東京の三越に川崎市から通つて来ておる人がおりましても、川崎市は東京都内に金融機関を指定いたしまして、そのことを三越に通知するわけであります。そうすると三越は川崎市の指定せられました金融機関に払い込めば、納入の義務は完了したことになるわけであります。三百二十一條の六は、特別徴收税額に変更がありました場合の手続きを書いております。三百二十一條の七は、特別徴收の方法によつて徴收されないこととなる場合、すなわち転職等の場合がこれに該当するわけであります。その場合にはまだ徴收いたしておりません税額は、普通徴收税額に繰入れられて徴收されるということをうたつておるのであります。三百二十一條の八は、「法人税割申告納付」の制度を書いているわけでありまして、法人税を申告納付しなければならない、その都度法人税割申告納付しておいてもらおうという趣旨において規定をいたして参つております。法人税の課税標準の算定期間中に、事務所または事業所を有しておりましたところのそれぞれの市町村へ、一定の方式によりまして分割いたしました法人税額を課税標準といたしまして、それに個々の市町村の税率を乗じました金額を、申告納付しておいてもらおうと考えているわけであります。三百二十一條の九は「法人税割に係る虚偽の申告に関する罪」でありまして、他の税と同じような方法で規定いたしております。三百二十一條の十一は、「法人税割の更正及び決定」の権限について規定をいたしているわけであります。三百二十一條の十二は、「法人税割の不足税額及びその延滞金の徴收」であります。これも他の申告納税額と同様の趣旨の規定であります。三百二十一條の十三は、「二以上の市町村において事務所又は事業所を有する法人の法人税割申告納付」の方法を書いているわけでございますけれども、関係市町村が多数にまたがります場合には、それぞれ市町村におきますところの従業者の数に法人税割課税標準を分割しようと考えているわけであります。按分しようと考えているわけであります。しかしながら法人が、みずから法人税割課税標準でありますところの法人税額を関係市町村に分割した額について、関係市町村が異議を持つている場合がございます。こういう場合に関係市町村が個々に更正をいたしましたのでは、会社が非常に多くの市町村を相手にして、いろいろと問題を処理して行かなければならない煩雑さが生じて参りますので、この種の修正につきましには、主たる事務所または事業所所在地の市町村だけが行うという建前をとつているわけであります。従いまして、関係市町村長は、主たる事務所または事業所所在地の市町村長に対しまして、必要があれば分割基準の修正を求めることになるわけであります。修正をした場合には主たる事務所または事業所所在地の市町村長から、関係市町村長にそれぞれ通知をすることにはなるわけであります。その趣旨の規定が三百二十一條の十四であります。三百二十一條の十五は、そのようにして行いました分割につきまして、さらに関係市町村長に不服があります場合は、道府県知事または地方財政委員会に対しまして裁定を求めたり、あるいは訴願したりする道を開いているわけであります。三百二十二條は特別徴収義務者に関する納期限の延長の規定であります。三百二十三條は他の特別徴収の場合と同様に、特別徴収義務者については、ことさらに減免の規定を設けることは穏当でないという趣旨をうたつているわけであります。三百二十四條は、市町村民税の脱税に関する罪につきまして、法人税割等を設けました関係上の修正を加えているわけであります。三百二十五條は、法人税割を設けました結果、市町村に対しまして、税務署等につきまして書類の閲覧を求める場合、法人税につきましてもその権限を与える必要がありますので、この種の規定を設けたわけであります。三百二十六條の規定は、全体の整理の関係から、削除をいたしております。三百二十七條は、新たに特別徴収の税額が入つて参りましたので、その意味の納入金の規定を、他の特別徴収にかかる税目と同趣旨のもとに加えております。三百二十八條は、法人税割あるいは特別徴収等の規定が加わりました結果生じました修正であります。三百二十九條はやはり同趣旨の修正であります。三百三十一條は、異議の申立てに関する修正であります。三百三十二條は、やはり特別徴収の制度を設けたことから来るところの言葉の上の修正であります。三百三十四條、三百三十五條も同様であります。以上が市町村民税であります。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは再開いたします。  この際公述人の選定についてお諮りいたします。すなわち地方税法の一部を改正する法律案についての公聴会は、明九日午前十時より開会されることになつておりますが、その公述人につきましては、一応去る六日の委員会におきまして八名選定をいたしたのであります。しかして一般より申出の方方につきましては、本日の午前中で締め切つたのでありますが、その結果次の二名の方を公述人に選定いたしたいと思います。すなわち東武鉄道株式会社専務取締役工藤義男君及び農機具小売商の渡辺卯佐三君のお二人を公述人に選定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは休憩前に引続き、地方税法の一部を改正する法律案について、政府より説明を聴取いたします。奥野政府委員
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第三百四十三條から御説明いたします。固定資産税の納税義務者のうち皆土地や家屋に関しまする部分については、土地台帳や家屋台帳などに所有者として登録されている者をいうことにいたしているのでありますが、それらの人たちが死亡しているときについての納税義務者の取扱いが明瞭を欠いておりましたので、第二項の後段の規定を設けることにいたしたわけであります。すなわち「所有者として登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、又は所有者として登録されている法人が同日前に消滅しているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。」ことにいたしたわけであります。必ずしも土地台帳または家屋台帳などに登録されている名義人には課さないわけであります。第三百四十四條は、使用者に課する固定資産税の規定を廃止したわけであります。固定資産の所有者が国や地方団体や日本国有鉄道、日本専売公社などでありますと、その固定資産には固定資産税が課されないのでありますけれども、一般私人の持つております固定資産と同じような状態のもとに使用されております場合には、単に所有者が国や日本国有鉄道であるがゆえに、固定資産税を課さないということは穏当ではないというふうな考え方のもとに、それらの場合には固定資産の使用者に固定資産税を課するという建前をとつていたわけであります。しかしながら現実の運営の状況を見て参りますと、地方団体が一般庶民のために設けております住宅につきましても、その使用者にかなり重い固定資産税を課しておりまして、現在の住宅政策から考えて参りますと、おもしろくない面も出て参りましたので、この際使用者に対する固定資産税の規定は、全部削除してしまうということにいたしたわけであります。これに伴いまして三百四十五條の国等の所有にかかる固定資産の使用者等の届出、あるいは三百四十六條、あるいは三百四十七條等の規定も廃止いたしたわけであります。三百四十八條固定資産税の非課税の範囲につきまして第七号に若干の修正を加えておりますが、これは国宝保存法等の法律が文化財保護法というふうにかわつて参りました関係上加えました言葉の上の修正であります。三百五十一條は、固定資産税の免税点についての改正であります。現行の固定資産税の免税点は、昭和二十六年度におきましては、土地、家屋、償却資産、それぞれについて一万円を免税点にいたしております。昭和二十七年度以降は土地、家屋、償却資産を合算しまして三万円を免税点にしています。しかしながら固定資産税の課税の現況から考えて参りますと、合算して計算するということよりも、土地は土地、家屋は家屋、償却資産は償却資産として取扱つた方が便宜でありますので、免税点の計算をそれぞれに行つて行くところの昭和二十五年度及び昭和二十六年度方式を続けて参りたい、こういう考え方を持つているわけであります。同時に償却資産につきましての免税点一万円という金額は、いかにも零細な、固定資産税の課税の対象になるかならないかわからないようなものまでも、あえて捕捉する傾向に陥るおそれもありますので、これを三万円に引上げまして、そうすることによつてあまり零細なものまでも、固定資産税の課税対象に取入れまして無用の圧迫感を納税義務者に加えることを避けたい、こういうふうに考えたわけであります。三百五十二條も同様の改正であります。三百五十七條は、異議申立に関する改正だけであります。三百六十一條は、使用者課税の廃止に伴いましてこの規定も不要になつたわけであります。三百六十二條の固定資産税の納期は、市町村民税について申し上げましたと同様、所得税の納期の改正に伴いまして市町村民税事業税等にわたりまして調整を加えたわけであります。三百六十四條の第八項において改正いたしておりますのは、農地につきましては統制価格が存在しているという建前のもとに、この法律をつくつてつたわけであります。ところが昭和二十六年におきましては、もはや農地に関する統制価格はなくなつてしまつたわけであります。従いまして昭和二十六年におきまするところの農地に対する固定資産税も、時価を決定して課税して行かなければならないわけであります。時価が決定されるまでは昭和二十五年度固定資産税の額を標準にいたしまして、仮りに納付させて置かなければならない、いわゆる一般の土地や家屋と同じような徴税の方式をとらなければならないことになりましたので、その意味合いにおける修正をいたそうとしておるわけであります。三百六十五條は、市町村民税の場合と同じように報奨金の金額を若干引上げたいということであります。三百六十八條は、固定資産税の使用者課税を廃しました結果、若干字句を削除する必要が生じて参つたわけであります。三百七十條は、異議申立てに関する修正であります。三百七十三條も同様であります。三百七十八條は、使用者課税を廃しました結果、不要になつたわけであります。三百七十九條も同様であります。三百八十一條は、固定資産課税台帳の登録事項でありますけれども、使用者課税を廃しました結果、その種の関係規定を削除する等の若干の字句の上の修正だけであります。三百八十三條は、固定資産のうちの償却資産に関する申告の期限を一月十日としておつたのでありますけれども、一月一日現在において課税さるベきものについて、一月十日までに申告させることは、かなり期間が短か過ぎますので、一月三十一日にしたい。その他若干の言葉の上の修正を加えております。三百八十六條は、異議申立てに関する修正であります。三百八十九條は、そこの一号、二号に書いておりますような船舶、車両、その他の移動性または可動性償却資産で、二以上の市町村にわたつて使用されるもの、あるいは鉄道もしくは軌道または発送電、配電施設等につきましては、その評価は地方財政委員会が行いまして、その価格を関係市町村に地方財政委員会から配分いたしておるわけであります。しかしながら関係市町村が一道府県内にとどまるものは、その実情を的確に把握しておりますところの道府県知事に、評価の権限を与えた方が適当であると考えましたので、これらの固定資産のうちで、関係市町村が一道府県内にとどまりますものにつきましては、従来地方財政委員会の行つておりました評価の権限等を、道府県知事の方にやつて行こうとする改正であります。三百九十一條は、償却資産の申告期限を延ばしました関係上、地方財政委員会の価格の決定期限、あるいは通知の期限も若干ずらそうとしておるわけであります。三百九十三條は、道府県知事に先ほど申し上げましたような権限を与えましたので若干修正をしたいわけであります。三百九十四條も、同じ趣旨と、それから申告期限を延ばした関係上若干時期をずらそうとする修正であります。三百九十五條は、道府県知事に評価の権限を与えた関係上の規定修正であります。三百九十六條も同様でありまして、道府県知事に評価の権限を与えたわけでありますから、道府県の職員に対しまして、固定資産の価格の決定に関する調査のために必要な検査の権限を与えようとするものであります。三百九十七條は調査に関する検査拒否等に関する罪につきまして、道府県の職員に関するものも加えたいと考えているわけであります。三百九十八條道府県知事に評価の権限を与えた関係修正と、異議申立てに関する修正規定であります。四百條も同様であります。四百四條、固定資産評価員の設置の規定のうちで、四項と五項とを修正しておりますが、これは単に字句の上で修正を行つただけのことでありまして、四項の規定と五項の規定を省きまして、「市町村は、固定資産税を課される固定資産が少い場合においては、第一項の規定にかかわらず、固定資産評価員を設置しないで、この法律の規定による固定資産評価員の職務を市町村長に行わせることができる。」ということにいたしておる点については、かわりはないわけであります。四百十一條規定は、農地に関しましては、先ほど申し上げましたように統制価格がなくなりましたので、農地につきましても時価によつて更正して行かなければならない関係上、若干の修正の必要を生じたわけであります。第四百十三條の第二項を削除いたしましたのも同様の趣旨であります。四百十五條固定資産課税台帳の縦覧の期間につきまして、若干期限をずらしておりますのも、申告の期限をずらした関係上生じたものであります。四百十七條で若干規定を廃止しましたのは、使用者課税を廃止した関係上生じた修正であります。四百十七條の概要調書の送付に関する期限も若干延ばしておりますけれども、これも申告期限を延ばした関係上生じた修正であります。四百十九條も同様であります。四百二十二條の中で、「遅滞なく、」を「一月以内に、」に改めておりますのも、期限を明確にしたいというところから起つた修正であります。四百二十三條の固定資産評価審査委員会の設置、選任等の規定につきましては、若干の変更を加えておりますが、その趣旨は、固定資産評価につきまして、納税義務者の間からいろいろ異議がありますと、市町村ごとに設けられておりますところの、三人の委員からなる固定資産評価審査委員会異議を申し立てて行くわけでありますしかしながら、たとえば東京でありますとか、横浜でありますとか、固定資産の非常にたくさんありますところにおいて、一つの固定資産評価審査委員会で、あらゆる異議をさばいて行くといたしますと、とてもさばき切れないだろうと考えられるのであります。そこで固定資産評価審査委員会において処理すべき事務が多いと認める市におきましては、三人の委員を十五人まで増加することができる、かようにいたしたいわけであります。その反面に、それらの委員を三人からなる部会に編成いたしまして、それらの部会に対しまして固定資産評価審査委員会の処理すべき事項、委員会の行うべき職務をまかせることができるようにいたして行きたい、かように考えているわけであります。四百二十四條の固定資産評価審査委員会委員の任期等に関する修正は、今申し上げましたような場合において増員することがございますので、それに伴う修正であります。四百二十六條は、委員の欠格事項に第五号を加えたわけでございます。四百二十八條は、固定資産評価審査委員会の人数を増加する場合を生じて参りますので、二人以上の委員の同意できめるということを、出席委員の過半数できめるというふうに修正を行うことにしたわけであります。四百四十八條は、自転車税につきましては体刑を廃止してしまおうという意味合いのもとに、六月以下の懲役という規定を削除するわけであります。四百四十九條は、異議申立てに関する修正であります。四百五十一條、四百五十二條は、いずれも自転車税につきましては体刑をやめてしまおうというふうに考えたための修正であります。四百五十六條は、異議申立てに関する修正であります。四百五十九條も同様であります。四百七十條の荷車税に関する改正は、やはり罰則のうちから体刑をやめてしまおうという関係であります。四百七十一條は、異議申立てに関する修正であります。四百七十三條、四百七十四條は、いずれも罰則のうちから体刑に関する部分をやめてしまおうという改正であります。四百七十八條は、異議申立てに関する改正であります。四百八十一條も同様であります〇五百三條も同様であります。五百六條、五百九條、五百二十九條、五百三十八條、五百四十一條、五百六十條、五百六十九條、五百七十二條、五百九十六條、六百五條、六百八條、六百三十二條、六百三十六條は、いずれも異議申立てに関する改正規定であります。六百五十三條の接客人税に関します部分は、やはり罰則のうちから、体刑をやめてしまおうというのと、罰金の金額を若干引下げたいという意味合い改正であります。六百五十四條は、異議申立てに関する改正であります。六百五十六條は、やはり罰則の合理化から起きた修正であります。六百五十七條も同様であります。六百六十一條、六百六十四條、六百七十八條、六百八十三條、六百九十二條、六百九十五條は、いずれも異議申立てに関する改正であります。七百三條の二は、国民健康保険税を創設する関係上、新たに設けたものであります。各項を追つて申し上げますと、「国民健康保険を行う市町村は、国民健康保険に要する費用に充てるため、国民健康保険の被保険者である世帯主に対し、国民健康保険税を課することができる。」国民健康保険法によりまして、市町村は国民健康保険事業を行うものとされております。国民健康保険事業を行います場合には、保険料を徴収することができるわけでありますけれども、保険料の徴収の成積あるいはまた国民健康保険というものが持ちますところの相扶共済の精神を、さらに徹底させて行きたいという意味合いのもとに、この保険料を国民健康保険税として課して行くことができるものとしたわけであります。課すか課さないかは、当該市町村選択によつてきまることであります。これらの税額は、国民健康保険に要する費用に充てなければならないところの目的税の形式をとつておるわけでありまして、納税義務者は国民健康保険の被保険者である世帯主に限つております。そういたしますと、健康保険の被保険者が非世帯主でありますと、納税義務がないのかどうかという問題でありますが、そういう場合には第八項で「国民健康保険の被保険者である資格がない世帯主であつて、その世帯内に国民健康保険の被保険者がある場合においては、当該世帯主を第一項の被保険者である世帯主とみなして国民健康保険税を課する。」こととしております。しかしながらこの場合におきましても、同様な国民健康保障税を課して行きます場合には、かなり重い負担になつて参りますので、八項の後段に書いてありますように、「この場合においては、当該市町村條例の定めるところによつて、当該世帯主の所得割額及び均等割額を減額することができる。」ものとしております。さらに個々の税額計算方式につきましては、各項によつて御説明いたしたいと思います。第二項は、「国民健康保険税の標準課税総額は、当該年度初日における療養の給付に要する費用の総額の見込額の百分の七十に相当する額とする。」これはもとより標準課税総額でありますから、これを上まわつても下まわつてもさしつかえはないわけであります。大体この程度の国民健康保険税を課しました場合には、療養の給付を受けますものの負担いたします一部負担金は、おおむね療養費の五割程度であろうというふうな考え方をいたしております。三項には「前項の標準課税総額は、所得総額、資産割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額合計額とする。」第四項は「前項の所得総額、資産割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額の標準課税総額に対する標準割合は、それぞれ百分の四十、百分の十、百分の三十五及び百分の十五とする。」としております。従いまして個々の納税義務者に対しますところの国民健康保険税の課税額というものは、課税総額の四割というものを所得割でわけて行くわけであります。さらに一割を資産割でわけて行くわけであります。三割五分を被保険者の人数によつてわけて行くわけであります。もとより健康保険の被保険者は、国民健康保険の被保険者ではございませんから、この場合には被保険者均等割の中には加わらないわけであります。従つて健康保険の被保険者が家族の中に健康保険の被保険者でなくて、自然国民健康保険の被保険者となるものがあります場合には、世帯主は被保険者均等割の中に入らないけれども、家族は入つて来るということになつて参るわけであります。自然健康保険の被保険者が世帯主である場合には、その世帯主の分だけは被保険者均等割は少くなるというわけであります。それから一割五分が世幣別平等割で課税されるわけであります。五項は「国民健康保険税の納税義務者に対する課税額は、世帯主及びその世帯に属する国民健康保険の被保険者につき算定した所得割額及び資産割額並びに被保険者均等割額及び世帯別平等割額の合算額とする。但し、課税額は、一万五千円をこえることができない。」現在の保険料の最高、普通は一万五千円程度であります。もつと少いところもありますし、若干これよりも高いところもございます。このような最高額の制限をおきましたのは、国民健康保険税というものは目的税であります。ある程度利益の限度を越えないという目的税の原則を考慮して行きたいというふうに考えましたので、応能負担的な、相扶救済的な観念とからみ合せまして、最高制限を一万五千円程度に押えたいと考えたわけであります。なお所得割額の計算方式を六項に書いておるわけでありまして、「所得総額を第二百九十二條第四号但書の課税総所得金額にあん分して算定する。」ものとしております。従いまして総所得金額から基礎控除いたしました金額に、課税総額の四割を按分するということになるわけであります。しかしながらそのような計算方式をとることが、著しく困難であると認める市町村におきましては、その市町村條例の定めるところによりまして、市町村民税所得割額に按分いたして、算定することができることとしております。このような方式採用しようといたしますのも、国民健康保険税が目的税でありますために、ある程度利益の限度を越えないということを主体に考えて行きたいというふうな意味合いにおいて、この種の課税標準採用しようとしておるわけであります。七項は、資産割の課税の方法でありますが固定資産税額または固定資産税額のうち土地及び家屋にかかる部分の額に、全体の一割の額を按分して算定するものといたしております。  七百十一條異議の申立に関する修正であります。七百十六條、七百二十五條、七百二十八條も同様であります。  七百四十條の二項の規定を設けましたのは、来年一月一日からは、附加価値税が実施されるわけでありますけれども、今年中に解散してしまつている法人につきましては、将来におきましても事業税を継続実施して行きたいというふうに考えたための改正であります。  七百四十五條につきましては、事業税のうちで法人分だけを申告納付制度採用することにいたしております関係上、個人分と法人分とわけて規定しなければならないことになつたわけであります。そういう意味合い改正と、二以上の道府県において事務所または事業所を設けて事業を行つております場合の関係道府県間の分割につきまして、先ほど附加価値税について申し上げましたと同じような、分割基準改正を行うことにいたしておりますので、その意味合いにおける修正を加えるわけであります。すなわち「所得金額の総額当該事務所又は事業所従業者の数にあん分して定める。」わけであります。七百四十七條の二は「二種の事業をあわせて行う場合における事業税額の算定」でありまして、附加価値税について、水産業製造業とを合せ営む場合における例をあげて申し上げましたがそれと同じ趣旨改正であります。  七百五十一條事業税の徴收につきまして、法人分については申告納付方法をとろうとするための改正であります。  七百五十一條の二は個人分は普通徴收の方法によるわけでありますけれども、徴收の方法二つにわけました関係上普通徴收の手続に関しまして、他の税目と同じような、この種の規定をおこうとしておるわけであります。  七百五十二條は同様の意味合いにおきまして、個人事業税に関する規定だけに限つておきたいという意味合いから、言葉の上に修正を加えただけであります。  七百五十二條の二は、二以上の道府県において、事務所または事業所を設けて事業を行う個人は、関係道府県知事にそれぞれ分割の基準等を申告しなければなりませんのでその意味合いの明文の根拠をおいたのであります。  七百五十三條は単に法人事業税を別の規定にいたしました関係上生じましたところの字句修正であります。七百五十四條もまつたく同様でありまして、これは異議の申立に関する修正規定であります。  七百五十四條の二は、法人事業税について新らたに申告納付制度を設けましたので加えた條文であります。これは附加価値税においてとつております申告納付制度と、まつたく同様の関係において規定を設けております。附加価値税規定と同じでありますので、こまかい説明をすることは遠慮さしていただきます。  七百五十四條の三は「法人事業税修正申告納付。」七百五十四條の四は「法人の代表者等の自署及び押印の義務。」七百五十四條の五は「法人の代表者等の自署及び押印の義務違反に関する罪。」で、いずれも附加価値税の場合と同様であります。七百五十九條は、異議の申立に関する修正であります。  七百六十二條の二は「法人事業税の更正及び決定」でありますが、これも附加価値税の場合とまつたく同様の方式採用いたしております。  七百六十三條は、法人個人とにおいて、徴收の方法を違えました結果生じました字句修正であります。  七百六十三條の二は「法人事業税の不足税額及びその延滞金の徴收」の方法でありますけれども、これも他の申告納付の税と同じ方式採用いたしております。七百六十三條の三は「納期限後に納付する法人事業税の延滞金。」七百六十三條の四は「法人事業税の過少申告加算金及び不申告加算金。」七百六十三條の五は「法人事業税の重加算金。」七百六十三條の六は「二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人申告納付」七百六十三條の七は「二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う場合の申告納付に関する更正又は決定」七百六十三條の八の「事業税に係る地方財政委員会事務局の職員の質問検査権」、七百六十三條の九の「地方財政委員会事務局の職員の行う検査拒否等に関する罪」も、いずれも附加価値税の場合の方式とまつたく同様であります。  七百六十四條は、法人事業税につきまして、新たに申告納付制度を設けましたので、それらに関する救済の規定をつけ加えたわけであります。  七百六十五條は、やはり申告納付制度をとりました関係上、若干字句修正を行つたわけであります。七百六十七條は異議申立てに関する修正であります。  七百七十八條は「二以上の道府県において行う業務に対する特別所得税の課税標準とすべき所得金額」でありまして、個人事業税の場合と同様に、従業者の数に按分いたしたらと考えておる次第であります。  七百七十八條の二の「特別所得税に係る地方財政委員会事務局の職員の質問検査権」を新たに加えておるわけでありますが、地方財政委員会が特別所得税の課税標準となるべき所得金額の総額関係道府県分割する場合において、関係道府県知事異議申立て等によりまして変更をいたしました場合に、根拠を持たなければならないわけでありますが、それらの権限の行使とのつり合い上、質問検査権を与えることにいたしたわけであります。  七百七十八條の三も、検査拒否等に関する罪で、同様の趣旨であります。  七百八十三條の二は、「二以上の道府県において業務を行う者の申告義務」につきまして、様式を地方財政委員会規則で定めた方がよろしいわけでありまして、それに伴う字句修正だけであります。七百八十四條は一條加わつて参りました関係字句修正を加えております。七百八十五條異議申立てに関する修正であります。七百九十條、七百九十五條、七百九十八條も、いずれも異議申立てに関する改正であります。附則の第一項は、「この法律は、公布の日から施行し、この法律中に特別の定がある場合を除く外、市町村民税に関する改正規定法人税割に関する部分及び事業税に関する改正規定法人の行う事業に対する事業税に関する部分については昭和二十六年一月一日の属する事業年度分から、その他の部分については昭和二十六年度分の地方税から適用する。但し、固定資産税に関する改正規定中第三百八十九條第一項に関する部分は、昭和二十七年度分から適用するものとする。」全体は二十六年度分から適用するわけでありますけれども、法人申告納付によるものや市町村民税法人税割につきましては、一月一日の属する事業年度分からにいたしたいわけであります。なお八項に自作農創設特別措置法の一部の改正規定を挿入いたしておりますが、政府が自作農創設のために、土地を買收いたしまして、それから自作農創設の意味合いにおいて、土地の譲り渡しを受ける者に、売り渡すわけでありますけれども、売り渡された者の名義になるまでには、その間に若干時期的なずれがあるわけであります。単に名義がかわつていないだけで、旧所有者に固定資産税が課されますことは、苛酷な場合が多いわけでありますので、そういう場合においては、政令の定める分割方法によりまして、当該土地を使用しておる者が、その固定資産税の負担に任ずるというふうな制度をとつておるわけなのでありますが、その関係規定をその趣旨に従つて整理しようとする意味合いにおいて、四十四條の四を改正するわけであります。
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これで政府の説明が終つたようでありますので、本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十六分散会