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奧野政府委員 お手元に配付しております
地方税法の一部を改正する法律案、
新旧対照表でごらんいただいた方が都合がよいのではないかと思います。
第三條の二を新しくつけ加えたわけでありますけれども、
地方税法の規定の中ではいろいろな権限をその内容の
重要性いかん等によつて、あるいは
地方団体の長に帰属させたり、あるいは
地方団体の
徴税吏員に帰属させたりしているわけでありますけれども、
地方団体の長に帰属させておりますものを府県あるいは市町村の規則だけで簡単に
徴税吏員に委任してしまいますことも考えものでありますので、そういう際にはやはり
地方団体の議会の議決に付しました上で委任するかどうかを決定させたいというような
意味合いのもとにこの種の規定を置いたわけであります。これをしませんと、
地方自治法の
一般原則に従いまして、ことさらに
地方団体の議会の議決に付さないで、長の単独の考えで委任してしまうことができるわけであります。そういうことはあまり適当ではないと考えたので、この種の規定を置いたわけであります。
第五條は新しく
国民健康保税を創設した結果による改正であります。
第九條の四項を新しくつけ加えたわけでありますけれども、
納税義務の承継につきましては、
当該義務にかわりますところの申告または報告の義務も承継するものであるということを、字句の上でも明らかにしようといたしておる趣旨であります。
第十五條の改正は、国税、
地方税相互間の
先取特権につきまして改正を加えているのでありますが、現行法では
滞納処分に着手いたしました場合には、
滞納処分に先に着手いたしました税が、優先するという建前をとつております。しかしながらその他の場合、たとえば破産の宣告がありまして、
破産管財人に対しまして、
税金交付の要求をいたしました際には、常に国税が優先するということになつているのであります。これは無條件に国税が地方税に優先しなければならないという道理はありませんので、そういう場合には国税と地方税とは同順位にしたいということであります。さらに言いかえれば
交付要求をいたしました国税額と
地方税額に按分して、それぞれの收入にいたしたいという
意味合いにおける改正であります。
第十八條の改正は、還付または
充当加算金についての問題でございますけれども、新たに設けました第二項は、「二以上の納期において又は二回以上に分けて納付し、又は納入した
地方団体の徴収金について」は、そのような計算の方法をとるかということが明確ではございませんので、すでに
法人税法や
所得税法に行われております方針を、そのまま地方税の上にも採用しようというふうにいたすために、この種の規定を加えたわけであります。第二十九條の改正は、異議の
申立てにつきましては、文書をもつてしなければならないということを、言葉の上でも明らかにしておきたいというふうに考えたわけであります。従来文書をもつてする習わしになつておるわけでありますけれども、法文の上では明らかではございませんので、特にこの規定を置きますことによつて、異議の
申立てをしても、国税庁の方で
決定処分を放つておく、そういう場合には、異議の申立てをした人は一定の期間が過ぎました場合には、異議の申立てをしりぞけられたとみなしまして、さらに上級庁へ訴えをいたして行くことができるわけでありますけれども、文書による異議の申立てでありませんと、異議の
申立てをいたしましてから何日間経過しているかどうかということが明確でないわけであります。そこで常に異議の
申立ては文書をもつてするということになつておりますれば、長い
期間決定を放置されておりました際には、異議の
申立てをしりぞけられたといたしまして、次の訴えの段階に移ることがはつきりいたすわけでございます。そうしたいろいろな理由から明文を設けることにいたしたわけであります。
第三十一條の改正は、新たに
加算法をとることにいたしました関係上、言葉の使い方を改めただけのことであります。すなわち「
支出金額に算入する。」というのを、「
附加価値額から控除する。」ということにしたわけであります。これは今申し上げましたように、
加算法をとる関係上、そちらの言葉との関係から、単に、内容をかえませんで、言葉だけを改めたわけであります。第三十一條の二は、
青色申告書の提出を認められている法人の事業にかかる
附加価値額の算定の特例であります。すなわち
附加価値額の計算は、総
売上げ金額から特定の
支出金額を控除いたしますところの、いわゆる
控除方式を用いることにいたしておるわけでありますけれども、特に必要のあります
納税義務者につきましては、その選択によりまして、
加算法の採用を認めようとするものであります。その第一項におきましては、
加算法の選択を認められる法人は、
青色申告書の提出を認められている法人に限つているわけであります。ことさらに
青色申告書の提出を認められている法人に限りましたのは、
加算法の
計算方式をとりますと、所得というものを明確にしなければならないわけであります。所得につきましては、損益の計算をしなければならないわけでございますので、単に外部に
支払つた、内部に
支払つたという問題以上に、明確な規定を必要といたしますので、
青色申告書の提出を認められている法人に限ろうとするわけであります。個人につきましては、特に
加算法をとらなければならないような大規模な企業、あるいは大規模な
複式簿記を備えて経理しなければならないような企業も考えられませんので、一応原則的な
控除方式にのつとつてやつてもらつて、不合理はないじやないだろうかというような考え方をとつておるわけであります。
加算法によります場合には、そこに書いてありますように各
事業年度の所得並びに
当該事業年度中において支払うべき給与、利子、地代及び家賃の額の合計額をとることになるわけであります。そこで二項をもちまして、その場合の所得とは何ぞやということを規定いたしておるわけであります。原則的には、所得というものは
法人税法によりますところの所得をとるわけでありますけれども、
法人税法の所得の計算におきましては、欠損の繰越しを五年間認められるわけであります。
加算法によりまして計算いたしました場合にも、すなわち所得と給与と利子と地代と家賃と全部合算いたしましても、赤字になる場合があるわけであります。すなわち所得において損金の額が多い場合には、その年度の
附加価値額全体が赤字になることがあるわけであります。その場合には、
控除法によります場合と同じように、赤字の繰越しを五年間認めるわけであります。ところが個々の所得の計算におきましても、生じました損金を五年間繰越しを認めて参りますと、二重に赤字の繰越しを認めることになりますので、
所得計算上の赤字の繰越しは認めない。しかし
加算法において計算をした結果の赤字の
附加価値額の繰越しは五年間認める、こういうような方式をとりたいと思つております。その点だけが
法人税法の計算と食い違つて参る点であります。それが三項、四項にわたる規定の内容であります。第五項におきまして、この
加算法を採用しようとする法人の手続を書いているわけであります。すなわち「
加算法によ
つて附加価値額を算定しようとする法人は、昭和二十六年十二月三十一日までに、
当該道府県の條例の定めるところによつて、あらかじめ、事務所又は
事業所所在地の
道府県知事にその旨を届け出なければならない。」すなわち届出だけで
加算法を自由に選択させようとしておるわけであります。この届出を受けました
道府県知事は、第十項に書いてありますように、「
道府県知事は、第五項の届出を受理した場合又は前項の承認をした場合においては、遅滞なく、
当該法人の名称、事業の種類、その有する事務所又は
事業所の所在地及び
加算法によ
つて附加価値額を算定する最初の
事業年度の初日を告示しなければならない。」自由に選択を認めまして届出をして行きました場合には、その法人の名称を遅滞なく告示することによつて、公にそのような
計算方式をとるのだということを明らかにしておきたいというふうに考えておるわけであります。第六項では、昭和二十六年の十二月三十一日までに
加算法をとるか、
控除法をとるかを決定してしまうわけでありますけれども、その後において
加算法をとる必要を生じて来た法人については、どういうふうな選択の余地を認めて行くかということを書いておるわけであります。昭和二十六年十二月三十一日までには自由な選択を認めておるわけでありますから、その後においてはもはや原則として企業の任意によ
つて加算法を採用するということを認めるべきではないと思うのであります。しかしながら例外的に事業の内容を変更したことによりまして、
控除法によ
つて附加価値額を算定することが著しく困難であります場合においては、
道府県知事の承認を受けて、
加算法による
計算方式を認めることにしているわけであります。今年の十二月三十一日まではまつたく自由の選択によつて認めるわけでありますが、それ以後は
事業内容を変更したことによ
つて控除法によ
つて附加価値額を算定することが著しく困難である場合であつて、
道府県知事の承認を受けなければならないという制限をいたしておるわけであります。しかしながら第九項に書いてありますように「
そり内容を審査して第六項に規定する事由があると認めた場合においては、これを承認しなければならない。但し、
当該法人が
控除法によ
つて附加価値額を算定した最初の
事業年度の初日から相当の期間を経過していない場合又は
加算法によ
つて附加価値額の計算が正確に行われ難いと認められる場合においては、
当該申請を却下することができる。」というふうにある程度の縛り方をいたしておるわけであります。このように
控除法をとつておりますものが、将来
加算法に移れることについては規定を設けているわけでありますけれども、一たび
加算法を選択したものが、その後自由に
控除法に移るということを認める必要はないと考えておるわけであります。
加算法の
計算方式が困難になるという場合が予想せられませんので、一旦
加算法を選択いたしました場合には、その後において事業の拡張をやるのだから、
控除法に
移つて固定資産の所得額をまるまる一度に控除してもらいたいというふうに考えましても、その後の選択の余地は設けないという方針をとつております。ただ
青色申告を認められているということを條件にしておりますので、
青色申告が取消されましたり、あるいは
青色申告をやめましたりした場合には、おのずから
加算法から
控除法に移るということになるわけであります。そのように
附加価値額の
算定方法に変更があつた場合の措置を、三十一條の三に書いておるわけであります。たとえば
加算法から
控除法に移ります場合には、まだ減価償却しきつていない
固定資産をどうするか、こういう問題があるわけであります。あるいは
控除法から
加算法に移ります場合には、すでにまるまる控除してしまつた
固定資産の所得額というものを、どう扱うかということに問題があるのであります。所得の計算におきましては、すでに全額控除された
固定資産の所得額も、
減価償却額だけは経費として控除せられて参りますので、その間の措置をどうするかという問題があるわけであります。このような問題につきまして、不均衡の生じないように技術的な調整を加えたいとする趣旨で、たいへんこまかな
計算方式をここに規定しておるわけであります。第三十三條の
附加価値税の税率の
年度基準につきまして但書を加えておるわけでありますけれども、
事業年度が六月を越えますものにつきましては、
概算納付をしたり、
概算申告納付をしなければならないわけでありますが、これらの税額をどうするかということが、税率の規定において明確を欠いておりましたので、
概算期間の末日の属する年度の税率によるのだということを、明らかに書いておこうとする趣旨であります。第三十三條の二は、「法人又は個人が二種以上の事業をあわせて行う場合においては、その納付すべき
附加価値税の
課税標準とすべき
附加価値額は、これらの事業を通じて算定する。」ということにいたしておるわけであります。たとえば水産業と製造業とを兼ねて行つております場合に、製造業の税率と水産業の税率とは異なつておるわけであります。そういう場合にはこれは水産業の
附加価値と製造業の
附加価値ということを区分することが困難でありますので、こういう場合には一体として
附加価値額を算定いたしまして、その
附加価値額を水産業にかかる総
売上金額と、製造業にかかる総
売上金額とに按分いたしまして、それぞれに税率を適用して参りたい、こういう考え方であるわけであります。第三十五條に新しく加えました点は、新たに
加算法に基くところの
附加価値額の
計算方法を採用いたしましたので、そのような法人にありましては、確定した決算に基いて
申告納付しなければならないというようにいたしたわけであります。所得の計算が必要になつて参りますので、
法人税法の
申告納付と同様な方式を採用することにしたわけであります。三項以下の改正点は、従来
附加価値税の
概算納付につきましては、すなわち
事業年度が六月を越えます法人につきましては、六月を越えたところであらかじめ
附加価値税の一部を納付しておいていただくわけであります。それを前
事業年度の実績に基きまして、
概算納付してもらうというふうな方針をとつて参つたわけでありますけれども、しかしながらその
事業年度の
附加価値額が、前
事業年度よりも、非常に下まわつて来るというな場合には、前
事業年度の
附加価値額をそのままとらえて納付させることは、かなり酷である場合がございます。そこで二分の一以下に下まわる場合には、
当該年度の見込みによつて、あらかじめ納めておけるのだというふうな方式を採用しておるわけであります。ところが前
事業年度の実績に基きまして、あらかじめ納めますものと、
当該事業年度の見込みに基きまして、あらかじめ納めますものとには、
計算方式に根本的の相違があるわけであります。それを一律に
概算納付という方式をとりました。そのかわり
更正決定の権限は、
道府県知事に与えておかない、半面に前
事業年度の実績に基きまして、二分の一以下にならないような場合には、どんどんそれであらかじめ納めておかなければならないというような方針を採用して参つたわけであります。しかしながらすでに事業税につきまして、今年から法人につきまして
申告納付の制度を採用することでございますので、
附加価値税の
申告納付につきましては、もう少し細密な区分をしても、府県で運用が可能ではなかろうかという考え方のもとに、前
事業年度の実績に基きましてあらかじめ納めますものは、従来
通り概算納付という言葉にしよう、前
事業年度の実績というものは明確でありますから、
道府県知事に
更正決定の権限を与える必要はない、しかしながら
当該事業年度の見込みに基きまして、あらかじめ納めておきます部分につきましては、これは
更正決定の権限を与えておく必要がある、そのかわり前
事業年度の二分の一以下に下るというふうに、著しく下まわるものでない場合であつても、
当該事業年度の見込みで、あらかじめ納めておける余地を残した方がいいのではなかろうか、こういう考え方をとりまして、七割以下に下りましても、
当該事業年度の見込みに基きまして、あらかじめ納めておけるというふうに、
納税義務者の便宜を考慮いたしたわけであります。第三十六條の規定も私が御説明いたしました事柄に関する問題であります。従いまして従来の
概算納付という言葉を、
概算納付と、
概算申告納付というふうに使いわけをすることにしたわけであります。
概算納付に関しては
更正決定の権限はない、
概算申告納付につきましては、
更正決定の権限を留保しておくということになるわけであります。従いまして納付書という言葉も、今申し上げました二つの種類の区分に従いまして、
概算納付書と
概算申告納付書というふうに使いわけをいたしておりますので、かなりたくさんな條文にわたつて改正が加えられておるわけであります。しかしながら本質はただいま申し上げたところだけであります。三十七條も同様の
意味合いにおける言葉の調整であります。第三十八條もただいま申し上げました意味の言葉の調整と
加算法をとることにいたしました関係から生じましたところの言葉の調整であります。第三十九條は、ただいま申し上げましたと同じ
意味合いにおきまして、
概算申告納付いたしました部分については、
修正申告も認めなければなりませんので、
概算申告納付の修正につきましての規定を明らかにいたしたわけであります。それらの関係から第四十條の点におきまして、條文の引用に多少の修正を必要といたして参つておるわけであります。第四十三條もまた
概算申告納付と
修正概算申告納付の観念を取入れました結果、五号、六号を加える必要が生じて参つたわけであります。第四十四條も同じように
概算申告納付の観念を取入れました結果起きますところの修正であります。第四十七條も同じ
意味合いにおきまして、
概算申告納付に関します部分についてだけは、
更正決定の権限を留保しなければなりませんので、それに伴いますところの字句の修正でございます。第四十八條、第四十九條もまつたく同様の
意味合いにおけるところの修正でございます。第五十二條は、
青色申告書による
申告手続でありますけれども、二項で新しく入れましたのは、新たに設立した法人あるいは年の中途において事業を開始した個人につきまして、いつまでに
青色申告の承認を受けなければならないかということを明確にいたしたわけであります。それから第五十三條の規定は、新たに
加算方式の採用をいたしました結果増加いたしました條文を、
青色申告書による申告に関する
更正決定につきましても引用いたさなければなりませんので、つけ加えたわけであります。第五十四條は、二以上の道府県において事務所または
事業所を設けて事業を行う場合の
申告納付等に関する規定でありますが、これも
概算納付と
概算申告納付とにわけました結果から起きました修正が第一項、第三項の修正であります。そのほかに、従来二以上の道府県において事務所または
事業所を設けて事業を行うものにかかりますところの
課税標準の分割にあたりましては、第三項に規定しておりますように、「法人にあつては第三十五條又は第三十六條に規定する申告書又は
概算申告書に記載された事務所又は
事業所について、個人にあつては第三十七條又は第三十八條に規定する
概算納付書又は申告書に記載された事務所又は
事業所について、製造業、
電気供給業、
ガス供給業、
自動車道事業、運河業、さん橋業、
船舶ていけい場業及び
貨物陸揚場業にあつては
附加価値額の総額の二分の一を
当該事務所又は
事業所の
固定資産の価額に、他の二分の一を
当該事務所又は
事業所の従業者の給与額にあん分して行い、その他の事業にあつては
附加価値額の総額を
当該事務所又は
事業所の従業者の給与額にあん分して行うものとする。」というふうにしておつたわけであります。すなわち原則的には従業者の給与額に按分するわけでありますが、
固定資産をたくさん持つておりますような
軌道事業とか
鉄道事業とかいうふうなものにありましては、二分の一は
固定資産の価額に、二分の一は従業者の給与額に按分しておつたのであります。これをもつと簡素な分割の方法をとりたいというように考えましたのと、ことに
町村民税につきまして
法人税割の制度を設けました結果、
法人税割もまた
関係市町村に分割しなければならないという問題が生じて参つているわけであります。そこで
法人税割の
分割方式と、なるたけ合せた方が企業のために便宜であろうというふうにも考えられますので、原則的には従業者の給与額ではありませんが、従業者の数に按分してしまおう。ただ
固定資産の大きいようなものについてだけ、半分は
固定資産の価額、半分は従業者の数に按分しようと考えているわけであります。しかし若干複雑なこのような方式をとろうといたしますものも、この税が府県税でありますので、あまり小さいものにつきましてまで、このような方式をとる必要はないと考えましたので、若干整理をいたしまして、二つの
分割基準を採用いたしますものは、三十二ページの二行目に書いてありますように、「
電気供給業、
ガス供給業、運送業のうち
地方鉄道事業及び
軌道事業並びに倉庫業」に限つてしまいたいと考えておるわけであります。四項には従業者の数の
計算方式などを書いておるわけであります。
第五十七條の二は、
外国法人の場合における主たる事務所または
事業所所在地の
道府県知事の意義を明確にいたしておるわけであります。
第五十八條は、異議の
申立てにつきまして、文書をもつてしなければならないという規定を加えた点でありまして、その理由は先ほど申し上げた通りであります。
第六十一條も同様の趣旨の改正であります。
第七十條に但書を加えましたのは、昭和二十七年一月一日から
附加価値税が実施されるということになるわけでありますけれども、本年の末までに解散した法人につきましては、来年以降におきましても、整理の意味におきまして、たとえば若干の製造を行つたり、あるいは若干の物品の販売を行つたりいたしました場合に、
附加価値税法を適用するのか、あるいはむしろ従来の
事業税法を適用した方がいいのか、若干問題があるわけであります。そこでこの際その関係を明確にいたしますために、むしろ解散した法人につきましては、従来
通り事業税の
課税方式を踏襲した方が便宜であろうと考えまして、ここに但書を加えることにいたしたわけであります。
第七十一條の第四項は、
附加価値税は来年一月一日から適用されるわけでありますけれども、前年から引続いて事業を行つております部分につきましては、一応事業税の計算と
附加価値税の計算の両方をいたしまして、月割でその税額をさらに区分する方式をとつておるわけであります。その場合の事業税の税率につきましての規定が、明確でございませんので、従来の税率、すなわち昭和二十六年度の事業税の税率を使つて、そのような計算をするのだということを、明確にしておこうとする趣旨であります。第七十三條も、
概算申告納付の観念を導入いたしました結果の字句的な修正であります。第七十四條の二は、
附加価値税に関する規定が適用される日以前に、取得した
固定資産の取扱いに関する問題であります。前国会におきましても、
附加価値額を
控除法によつて計算いたします結果、将来において
固定資産の増設が行われます企業につきましては、
附加価値額の計算が非常に有利になるわけでありますけれども、すでに企業の
固定資産の整備を終つたものにつきましては、それらのものが控除されない結果、不均衡になるではないかというような問題があつたわけであります。このような企業の
固定資産の整備をすでに終つているか、これから行うかということによつて、生ずる不均衡を是正したいという考え方のもとに、すでに整備を終つている企業につきましても、減価償却のまだ済んでおりません部分につきましては、済んでおりません部分の金額を、残存耐用年数で除しまして得ました額を、その期間にわたりまして、総
売上金額から控除して参りたい、もつて将来において
固定資産の整備を行う企業との間において、均衡をはかるようにいたして参りたいというふうに考えたわけであります。こうした規定でありますので、一応読ましていただきますと、「昭和二十七年一月一日の属する
事業年度又は昭和二十七年度の
附加価値税について第五十二條第一項の規定によつて
青色申告書を提出することの承認を受けた法人又は個人に対しては、その各
事業年度又は各年の
附加価値額の算定上、法人にあつては昭和二十七年一月一日の属する
事業年度の直前の
事業年度の末日以前、個人にあつては昭和二十六年十二月三十一日以前に取得した
固定資産で、その購入代金が第三十條第七項の特定の
支出金額に算入されるべきものであり、且つ、これらの日の後において当該
固定資産について
法人税法又は
所得税法の規定による減価償却が認められるものは、当該
固定資産のこれらの日における帳簿価額を政令で定める基準によつて調整した額をその残存耐用年数で除して得た額を同項の特定の
支出金額とする。但し、各
事業年度又は各年において第三十條第七項の特定の
支出金額に算入されるべき額については、法人にあつては昭和二十七年一月一日の属する
事業年度の末日までに、個人にあつては昭和二十七年三月三十一日までに、地方財政委員会規則で定める手続によつて、それぞれ事務所又は
事業所所在地の
道府県知事の承認を受けなければならない。」ということにいたしておるわけであります。すなわち将来
固定資産の取得額を、まるまる総
売上金額から控除されないところの、従前から持つておりますところの
固定資産につきましては、その減価償却相当額を、将来にわたつてやはり総
売上金額から控除して行こうとするものであります。しかしながらこのような控除を認められようとする者は、
青色申告書を提出することの承認を受けた者に限ることといたしたいのであります。それが第一点であります。といいますのは、控除するものを認めるわけでありますから、やはりプラス、マイナスをするそれぞれの要素が明確に記帳されているものでなければ、このような控除することだけを保証するというわけには参らないだろうと思うのであります。この趣旨において
青色申告書を提出することの承認を認められている者に限つて行きたいというふうに考えているわけであります。第二は、一定の時期までに控除を認められる部分につきまして、
道府県知事の承認を受けておいてもらおうとしていることであります。といいますのは、残存耐用年数が企業によりましては三十年、四十年にわたるものがあるわけであります。三十年、四十年にわたりまして、このような
計算方式を続けて行こうといたします場合には、当初の年において、毎年幾ら控除するかということを、確定しておく必要があるだろうと思うのであります。そういう
意味合いにおいて、最初に将来にわたる控除額というものを確定しておこう、こういうふうな意味におきまして、法人にありましては、昭和二十七年一月一日の属する
事業年度の末日までに、個人にあつては昭和二十七年三月三十一日までに
道府県知事の承認を受けなければならないというふうに、いたしておるわけであります。第三には、控除を求めます額は、償却未済の額を、残存耐用年数で除して得た額を、毎年毎年残存耐用年数の期間だけ控除して行こう、こういうような方針をとろうとしているわけであります。第二項が、二以上の道府県において事務所または
事業所を設けて事業を行う者につきましては、関係
道府県知事個々について承認を受けなければならないということは非常に手数でありますので、主たる事務所または
事業所所在地における
道府県知事の承認を得ればそれでよろしい、そのかわりその知事から関係
道府県知事に遅滞なく、その旨を通知しなければならないということにいたしておるわけであります。第三項は、このような制度を設けます反面に、
固定資産を売却した場合において、その売却額がまるまる総
売上金額に算入されますと、将来にわたつて控除し得るものまでも、総
売上金額に入つて参りますので、将来においては控除される額だけは、売却した金額から差引を認めるようにしたいという趣旨において設けているわけであります。ここまでが
附加価値税に関する改正であります。第八十三條は、入場税に関する問題でありますけれども、異議の
申立てを文書でもつてしなければならないということで、先ほど申し上げましたところと、まつたく同じ理由であります。第九十九條の改正、第百二條の改正、第百三十一條以降の改正も、まつたく同様の趣旨であります。四十四ページから
遊興飲食税になるわけでありますけれども、
遊興飲食税に関します改正点も、異議の申立ては文書をもつてしなければならないという点だけであります。四十六ページ、百四十七條におきまして新たに第二項でもつて、「前項各号の税率は、その税率を標準として当該各号に掲げる自動車の種類によつて更に区分することができる。」当然のことでありますが、念のためにこういうふうな規定を置きまして、同じバスでありましても、二十人乗りのバスと五十人乗りのバスとでは、税額にも差等を付した方がよいのだという趣旨をうたつておこうと考えておるわけであります。第百五十四條以下の自動車税に関します改正も、異議の申立てに関する修正点だけであります。五十二ページ、百八十七條は、鉱区税に関する改正でありますけれども、これも異議の申立てに関する部分だけであります。第二百十七條漁業権税に関する改正点もまつたく同様であります。六十ページの第二百四十二條、狩獵者税にかかる改正点がございます。第二百四十二條第一項で、「六月以下の懲役又は」を削つております。狩獵者税の罰則が少しきつ過ぎると考えられますので、体刑は除外したわけであります。二百四十三條以下の改正点は、異議の
申立ては文書をもつてしなければならないという点、それから体刑を除外しておる点であります。それから六十六ページの二百七十三條で道府県法定外普通税についての改正を行つておりますが、これも異議の
申立ては文書をもつてしなければならないという点だけでございます。七十ページまでがそれらであります。第二百九十二條以下が市
町村民税の問題であります。市
町村民税につきまして若干の改正を加えました結果、二百九十二條に掲げておりますところの定義におきましても、必要のあるものとないものとが生じて参りましたので、若干の修正をしたわけであります。二号、三号に資産所得や
事業所得の定義が上つておりますが、これらの言葉は改正市
町村民税につきましては用いないことにいたしておりますので、それにかえまして新たに用いましたところの給与所得に関する定義を掲げたわけであります。これらの定義はすべて
所得税法あるいは
法人税法において用いております言葉と大体同様に使つております。ただ違えておりますのは四号の課税総所得金額であります。読ませていただきますと、「総所得金額から
所得税法第十一條の三から同法第十二條までの各條の規定による控除をした金額をいう。」となつております。これらの控除とは、昨日立花さんにお答えしました、医療控除とか災害控除とか扶養控除とか基礎控除とかいう種類のものでありますが、「但し、市町村は、財政上特別の必要がある場合においては、当該市町村の條例の定めるところによつて、総所得金額から
所得税法第十二條の規定による控除のみをした金額とすることができる。」というのであります。「控除のみをした金額」というのは、すなわち基礎控除であります。この場合にもやはり「課税総所得金額」という言葉を便宜用いることにいたしておるわけであります。その趣旨は昨日御説明申し上げましたので、省略させていただきます。五号の所得税額、六号の同族会社等につきましては、事務的な修正を加えております。七号の扶養親族につきましても、
所得税法の規定の場合と同様にしておりますので、省略いたしておきます。十号で寡婦の規定を新しく設けたわけでありますが、寡婦の定義は、「女子で、離婚し、若しくはその配偶者が死亡した後、婚姻をしていないもの又は妻で夫の生死が明らかでないもののうち、扶養親族を有するものをいう。」というように、大体
所得税法において改正しようといたしております定義と歩調を合せて記載いたしておるわけであります。十一号は法人税額でありますが、「
法人税法の規定によつて納付すべき法人税(積立金に対するものを除く。)の額で同法第十條の規定によつて控除される所得税額」というのは、法人等が利子收入がございますと、これについて所得税を納めます。その部分だけは税額控除されるわけでありますが、
法人税割の
課税標準につきましては税額控除をする必要はない、今後も法人割を徴收してしかるべきだというふうに考えておるのであります。従いまして、加算割いたします反面に、「同法第四十二條第一項の規定によつてあわせて納付しなければならない利子税額、同條第六項の規定によつてあわせて徴收される利子税額、同法第四十三條第一項の規定によつて徴收される過少申告加算税額、同條第二項の規定によつて徴收される無申告加算税額及び同法第四十三條の二第一項又は第二項の規定によつて徴收される重加算税額並びに国税徴收法第九條第三項の規定によつて徴收する延滞加算税額を含まないものとする。」といたしております。これらはすべて税額という言葉は用いられておるわけでありますが、
地方税法で使つております重加算金あるいは延滞加算金は、本来の税でない性質のものでありますので、こういうものは反面に控除をいたしまして、
法人税割の
課税標準にしないという方針をとろうとしておるわけであります。十二号が所得割でありますが、「所得税額、課税総所得金額若しくは課税総所得金額から所得税額を控除した金額を
課税標準として課する市
町村民税又は法人税額を
課税標準として課する市
町村民税をいう。」となつておりまして、従来から使いなれて来ております言葉を、定義を改めてここに記載しておるわけであります。十三号の均等割も同様の趣旨であります。第二百九十三條は昭和二十五年度分の用語の特例でございましたし、二十六年度以降に残しておきますと、まぎらわしくなりますので、削除いたしました。第二百九十四條は、市
町村民税の
納税義務に関する規定でありますが、
法人税割を設けることにいたした等の関係から、言葉の使い方を改めておるわけでありまして、
納税義務者は一号から四号まで掲げておるわけであります。一号は「市町村内に住所を有する個人。」でありまして、括弧内のものは別なところで非課税の規定を設けておりますので、結局削除しておるわけであります。二号の「市町村内に事務所、
事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有しない者。」は従来と同じであります。三号は「市町村内に事務所又は
事業所を有する法人。」四号は「市町村内に事務所又は
事業所を有する法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるもの。」となつておりますが、これは従来の三号を二つにわけまして、三号には法人税、四号には
法人税割の課せられない部分だけを別にしたわけであります。それから第二項の「市
町村民税は、前項第三号の者に対しては、その事務所又は
事業所ごとに課する。」という規定は削つたわけであります。従つて同一市町村内に事務所、
事業所をたくさん持つておりまする場合、たとえば鉄道会社が停車場を幾つも持つております場合には、停車場ごとに市
町村民税が課せられたわけでありますけれども、同一市町村内においては市
町村民税は一つしか課せられないようにしたいという考え方のもとに、第二項を削除したわけであります。第二百九十五條は個人の市
町村民税の非課税の範囲に関する規定であります。改正点だけを見ますと、「市町村は、左の各号の一に該当する者に対しては、市
町村民税を課することができない。」というのでありまして、「一前年中において所得を有しなかつた者、二生活保護法の規定による生活扶助を受けている者、三不具者、未成年者、六十五年以上の者又は寡婦」となつておりまして、この「六十五年以上の者」が新たに加わつたわけであります。「(これらのものが独立の生計を営み、且つ、前年中において十万円をこえる所得を有した場合を除く。)」とありますが、「独立の生計を営み」というのはミスプリントでありまして、こういうことはございません。これは前年中において十万円以上の所得を有しました場合には、当然課税しないという恩典は受けられない。もちろん十万円以上の所得を有するものにつきましても、実情に応じまして、市町村が減免規定を適用することはさしつかえございません。しかしながら、不具者、未成年者、六十五年以上の者または寡婦であるがゆえに、当然市
町村民税を課することにはならないということにはいたさぬわけであります。第二項の「市町村は、同居の妻に対しては、均等割を課することができない。」というのは、従来と同じであります。
第二百九十六條は、新たに
地方公務員法が制定されました関係上、字句の修正を行つたわけであります。
第二百九十七條は、「市
町村民税の
課税標準である所得税額等は、」とあるのは、いつの所得税等を言うのであるかということが、必ずしも字句の上で明確ではございませんので、特に「前年の所得について同年において適用された
所得税法の規定に基いて算定したものとする。」という趣旨を明確に書いたわけであります。
第二百九十八條に、市
町村民税にかかわる
徴税吏員の質問検査権について修正を加えておりますが、新たに三号を加えておるわけでありまして、特別徴收の制度を設けた関係上、給与支払報告書を提出する義務がある者につきましても、質問検査をする権限を留保したいというわけであります。第三百二條は異議の申立に関する修正であります。
第三百三條は市
町村民税の申告義務に関する規定でありまして、特別徴收の制度を設けることになりました関係上、給与所得を受けておりました者については、申告の期限を少し早くしたいという関係もありまして、二つにわけて申告義務を規定いたしております。すなわち三百三條では「第二百九十四條第一号の者は、毎年四月三十日までに、当該市町村の條例の定めるところによつて、前年の総所得金額、所得税額等、第二百九十五條の規定に該当する事実の有無その他必要な事項を一月一日現在の住所所在地の市町村長に申告しなければならない。」これは個人に関しますところの一般的な申告義務であります。それから第二項は、個人及び法人を通じまして、均等割だけしか納付を要しないものに関する申告の義務であります。新たに三項におきまして、前年において給与所得を受けましたものにつきましても、申告の義務を規定したのであります。すなわち「第二百九十四條第一号の者で」、すなわち個人の
納税義務者で「前年中において俸給、給料、賃銀、歳費、年金、恩給及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の支払を受けたものは、毎年二月十日までに、当該市町村の條例の定めるところによつて、同年中の給与所得の金額、給与の支払を受ける際に徴收された所得税額、第二百九十五條の規定に該当する事実の有無その他必要な事項を一月一日現在の住所所在地の市町村長に申告しなければならない。」ということにいたしておるわけであります。四月から源泉徴收をして行くことになるわけでございますので、二月十日までに市町村長に申告をしていただきませんと、準備が整わないわけでございます。そこで給与所得のかかります部分につきましてだけ、この種の申告義務を課することにしたわけであります。
三百四條の修正は、所得税に係る更正又は決定事項の申告義務でありまして、
所得税法によつて申告あるいは
修正申告をしなければならないような場合においては、同様に市
町村民税につきましても、申告書を提出していただかなければなりませんので、若干脱漏しておつたものを、ここへつけ加えさしていただくことにしたのであります。
それから三百六條は、異議の
申立てに関する修正であります。
三百七條は、給与支払報告書の提出義務を新たに課したわけであります。その趣旨は給与の支払いをしておりますものは、市町村の希望によりまして、源泉徴收をしなければならないことになるわけであります。そこで前年において給与の支払いをいたしました者は、給与の支払いを受けた人間を住所地別に区分いたしまして、それぞれが受けましたところの給与額、さらに徴收いたしましたところの所得税額等を記載いたしまして、住所所在の市町村長まで報告書を提出してもらおうと考えておるわけでございます。すなわち三百七條を読ませていただきますと、一月一日現在において給与の支払をしている者で当該給与の支払をする際、
所得税法第三十八條第一項の規定によつて所得税を徴收する義務があるものは、二月十日までに、地方財政委員会規則の定めるところによつて、当該給与の支払を受けている者についてその者に係る前年中の給与所得の金額、所得税額その他必要な事項を当該給与の支払を受けている者の一月一日現在における住所所在の市町村別に作成された給与支払報告書に記載し、これを当該市町村の長に提出しなければならない。」こういうことにしたわけでございます。このように給与の支払いをいたしました者につきまして、住所地別に区分して、給与支払報告書を提出しなければならない義務を課しました。半面に、従来は源泉徴收票を個人別に作成いたしまして、会社所在地の市町村に提出しておつたのでありますが、この義務を廃止することにいたしました。言いかえれば、源泉徴收票提出の義務にかえまして、新たに給与支払報告書の提出の義務を課したということになるわけでございます。
三百八條は、昭和二十五年だけの給与支払報告書の提出期限の特例でありまして、二月十日を四月二十日に読みかえたのであります。
第三百九條は、「源泉徴收票等の写の提出義務違反に関する罪」というのを「給与支払報告書の提出義務違反に関する罪」と置きかえたのであります。
三百十條は、給与所得にかかる申告書を提出する義務があります者につきましては、給与の支払いをなしました者からもらつておりますところの源泉徴收票またはその写しをも添付いたしまして、その申告の正確を期するようにいたしたいと考えたわけでございます。
三百十一條は、単に字句の修正だけであります。
三百十二條は、均頭割の税率の軽減に関する規定につきまして、若干あいまいでありました言葉の書き方を、おおむね同様な趣旨によりまして、改正をいたしたわけでございます。
三百十三條は、新たに四項、五項、六項を設けまして、四項では「前二項の場合における税率」、すなわち市
町村民税の所得割の
課税標準におきまして、第二、第三の方式をとる場合、すなわち課税総所得金額または課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課する場合には、「
課税標準額に応じて逓増するように税率を定めることができる。」ということを明らかにしたわけであります。第五項は、
法人税割の税率に関する規定でありまして、標準税率を百分の十、制限税率を百分の十一といたしたいのであります。さらにこれらの税率の適用の区分は、「法人税額の
課税標準の算定期間の末日現在における税率による。」ということを六項で書いたわけであります。
三百十四條は、昭和二十六年度分の市
町村民税にかかるこの法律の規定の適用でありまして、平年度と若干異なつて参りますので、期限等につきまして読みかえの規定を書いたわけであります。別に本質的な問題はありません。
三百十五條は、
所得税法の改正に伴いまして、農業確定申告書等の言葉がなくなりましたので、それらに伴いまする修正であります。
三百十八條は、市
町村民税の賦課期日が六月一日でありましたのを、一月一日に改めたいのであります。その趣旨は、新たに特別徴收の制度を設けることにいたしました関係上、給与支払者に一月一日現在の住所地の区分によりまして、給与支払報告書を提出してもらうことにしております。この区分が即
納税義務の帰属する市町村の区分であるようにいたしたいのであります。それがためには賦課期日を一月一日にしておく必要がありますので、この種の修正を行つたのであります。もとより本年度は時期も相当経過いたしておりますので、昭和二十六年度に限り四月一日と読みかえることにいたしております。
三百十九條は、新たに特別徴收や
申告納付の制度を用いることにいたしました結果、生じますところの修正であります。三百十九條の二は普通徴收の手続を書いてあります。普通徴收の手続が別段特にかわつたところはないわけでありますけれども、特別徴收との関係から若干こまかな規定を設けたわけであります。一項では「市
町村民税を普通徴收の方法によつて徴收しようとする場合において納税者に交付する徴税令書には、個人に係るものにあつては所得割額及び均等割額の合算額から第三百二十一條の四第一項の特別徴收税額を控除した額並びにこれらの算定の基礎を、法人に係るものにあつては均等割額を、それぞれ記載しなければならない。」というふうにいたしております。その趣旨は特別徴收のできますのは、前年において給与を受けました者であつて、当該給与所得にかかる所得割の額、均等割の額とだけであります。他に
事業所得でありますとか、その他の資産所得等を持つておりましても、この部分にかかるところの所得割は特別徴收はできないわけでありますから、自然徴税令書にもその関係の区分を明確に書かせるようにいたしたいというふうに考えたわけであります。
その次が三百二十條の改正でありますが、市
町村民税の納期を若干かえております。これは
所得税法の改正に伴いまして所得税の納期に異動を生じましたので、市
町村民税の納期につきましても重複しないことを本体に考えながら、半面市
町村民税の税收入がなるたけ市町村に早く帰属するようにしたいという考え方から、大体において一月ずつぐらいを繰上げております。
この三百二十一條は市
町村民税の納期前の納付につきましては報奨金を出すことにしておるのでありますが、報奨金の計算が税額の千分の五に月数を乗ずることにいたしておりましたのを、三項でもつて百分の一に納期前の月数を乗ずることにいたしたわけであります。三百二十一條の二は「普通徴收に係る市
町村民税の賦課額の変更又は決定及びこれらに係る延滞金の徴收」につきまして、明確な規定を欠いておりましたので、ここで他の税目とあわせまして、正確に規定をいたしておく方針をとつたわけであります。趣旨には別段他の税目と異なつたところはございません。三百二十一條の三に「市
町村民税の特別徴收」の制度を新たに設けております。特別徴收の方法を採用することのできますのは「
納税義務者が
当該年度の初日の属する年の前年中において給与の支払を受けた者であり、且つ、同日において給与の支払を受けているものである場合」に限つているわけであります。すなわち前年において給与所得を受けた者、さらに
当該年度の四月一日現在において、かつ給与の支払いを受けている者でなければ、その者については特別徴收の制度は採用できないわけであります。三百二十一條の四には特別徴收義務者を市町村は指定しなければなりませんので、その趣旨の規定を他の特別徴收にかかる税目の場合と同様な方針のもとに、規定をさせようとしているわけであります。三百二十一條の五は「特別徴收税額の納入の義務等」であります。第一項は「前條の特別徴收義務者は、同條の規定によつて四月十五日までに通知を受け取つた場合においては、当該通知に係る特別徴收税額の十二分の一の額を給与の支払いをする際毎月徴收し、その徴收した月の翌月の十日までに、これを当該市町村に納入する義務を負うものとしております。すなわち会社等で給与の支払いをしておりましても、四月十五日までに市町村から特別徴收をしてもらいたいという通知を受けません限りにおいては、その者について特別徴收をする必要はないわけであります。所得税の場合におきましては給与を支払つております限りにおいては、当然に源泉徴收の義務が発生するわけでありますけれども、市
町村民税の特別徴收の場合には、市町村からこの者について幾ら特別徴收をしてもらいたいという通知が参りません限りにおいては、特別徴收の義務を負わないということにいたしております。通知を受けました場合には、月割額を給与の支払いをいたします際に徴收をいたして参るわけであります。その場合には翌月の十日までに納入して行かなければならないわけであります。さらに二項で通知を受けておりましても、その後にその特別徴收義務者から給与の支払いを受けないことになりました場合には、翌月以降についてはもはや特別徴收の義務を負わないことになるわけであります。たとえば三越に勤めている人が松坂屋にかわつたといたしますと、三越に勤務しておりました月までは、三越が特別徴收をしなければならぬが、かわりました月の翌月からはもはや三越も特別徴收の義務を負わないし、松坂屋も特別徴收の義務を負わないわけであります。そうすると取遅れている部分があるわけでありますが、徴收の済んでおりません部分につきましては、市町村は普通徴收の方法に切りかえて徴收することになるわけであります。さらに特別徴收義務者が、
関係市町村に送金しなければならないわけでありますけれども、
関係市町村がたくさんにまたがつております場合には、個々の送金することはたいへんな手数でありますので、四項の規定をもつて会社所在地の金融機関に払い込めば、送金の手数が全部完了する、こういう方針をとることにいたしているわけであります。すなわち「他の市町村内において給与の支払をしている者が特別徴收義務者として指定された場合においては、当該特別徴收義務者は、その納入すべき納入金を当該地の市町村内に所在する銀行その他の金融機関で当該市町村が指定して当該特別徴收義務者に通知したものに払い込むものとする。この場合においては、当該特別徴收義務者が当該通知に係る金融機関に払い込んだ時に、当該市町村にその納入金の納入があつたものとみなす。」とあるわけであります。たとえば東京の三越に川崎市から通つて来ておる人がおりましても、川崎市は東京都内に金融機関を指定いたしまして、そのことを三越に通知するわけであります。そうすると三越は川崎市の指定せられました金融機関に払い込めば、納入の義務は完了したことになるわけであります。三百二十一條の六は、特別徴收税額に変更がありました場合の手続きを書いております。三百二十一條の七は、特別徴收の方法によつて徴收されないこととなる場合、すなわち転職等の場合がこれに該当するわけであります。その場合にはまだ徴收いたしておりません税額は、普通徴收税額に繰入れられて徴收されるということをうたつておるのであります。三百二十一條の八は、「
法人税割の
申告納付」の制度を書いているわけでありまして、法人税を
申告納付しなければならない、その都度
法人税割も
申告納付しておいてもらおうという趣旨において規定をいたして参つております。法人税の
課税標準の算定期間中に、事務所または
事業所を有しておりましたところのそれぞれの市町村へ、一定の方式によりまして分割いたしました法人税額を
課税標準といたしまして、それに個々の市町村の税率を乗じました金額を、
申告納付しておいてもらおうと考えているわけであります。三百二十一條の九は「
法人税割に係る虚偽の申告に関する罪」でありまして、他の税と同じような方法で規定いたしております。三百二十一條の十一は、「
法人税割の更正及び決定」の権限について規定をいたしているわけであります。三百二十一條の十二は、「
法人税割の不足税額及びその延滞金の徴收」であります。これも他の申告納税額と同様の趣旨の規定であります。三百二十一條の十三は、「二以上の市町村において事務所又は
事業所を有する法人の
法人税割の
申告納付」の方法を書いているわけでございますけれども、
関係市町村が多数にまたがります場合には、それぞれ市町村におきますところの従業者の数に
法人税割の
課税標準を分割しようと考えているわけであります。按分しようと考えているわけであります。しかしながら法人が、みずから
法人税割の
課税標準でありますところの法人税額を
関係市町村に分割した額について、
関係市町村が異議を持つている場合がございます。こういう場合に
関係市町村が個々に更正をいたしましたのでは、会社が非常に多くの市町村を相手にして、いろいろと問題を処理して行かなければならない煩雑さが生じて参りますので、この種の修正につきましには、主たる事務所または
事業所所在地の市町村だけが行うという建前をとつているわけであります。従いまして、
関係市町村長は、主たる事務所または
事業所所在地の市町村長に対しまして、必要があれば
分割基準の修正を求めることになるわけであります。修正をした場合には主たる事務所または
事業所所在地の市町村長から、
関係市町村長にそれぞれ通知をすることにはなるわけであります。その趣旨の規定が三百二十一條の十四であります。三百二十一條の十五は、そのようにして行いました分割につきまして、さらに
関係市町村長に不服があります場合は、
道府県知事または地方財政委員会に対しまして裁定を求めたり、あるいは訴願したりする道を開いているわけであります。三百二十二條は特別徴収義務者に関する納期限の延長の規定であります。三百二十三條は他の特別徴収の場合と同様に、特別徴収義務者については、ことさらに減免の規定を設けることは穏当でないという趣旨をうたつているわけであります。三百二十四條は、市
町村民税の脱税に関する罪につきまして、
法人税割等を設けました関係上の修正を加えているわけであります。三百二十五條は、
法人税割を設けました結果、市町村に対しまして、税務署等につきまして書類の閲覧を求める場合、法人税につきましてもその権限を与える必要がありますので、この種の規定を設けたわけであります。三百二十六條の規定は、全体の整理の関係から、削除をいたしております。三百二十七條は、新たに特別徴収の税額が入つて参りましたので、その意味の納入金の規定を、他の特別徴収にかかる税目と同趣旨のもとに加えております。三百二十八條は、
法人税割あるいは特別徴収等の規定が加わりました結果生じました修正であります。三百二十九條はやはり同趣旨の修正であります。三百三十一條は、異議の
申立てに関する修正であります。三百三十二條は、やはり特別徴収の制度を設けたことから来るところの言葉の上の修正であります。三百三十四條、三百三十五條も同様であります。以上が市
町村民税であります。