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1951-02-27 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十七日(火曜日)     午後零時二十二分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    上林榮吉君       川本 末治君    田中不破三君       内藤  隆君    永井 要造君       吉田吉太郎君    山手 滿男君       久保田鶴松君    木村  榮君       立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治庁次長 鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財政課         長)      奧野 誠亮君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月二十四日  委員大泉寛三君辞任につき、その補欠として大  上司君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員大上司辞任につき、その補欠として大泉  寛三君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員生田和平君、久野忠治君、小玉治行君及び  中島守利辞任につき、その補欠として田中不  破三君、内藤隆君、上林榮吉君及び永井要造  君 が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十六日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号) 同月二十四日  電気ガス税免除等に関する請願大泉寛三君紹  介)(第八二八号)  公職選挙法の一部改正に関する請願前田種男  君紹介)(第八四八号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十六日  地方自治法第百九十九條の一部改正反対に関す  陳情書  (第二五四号)  市町村監査委員必置機関とする陳情書  (第二五八号)  公職選挙法の一部改正に関する陳情書  (第二七二号)  非常勤の消防団員及び水防団員の立候補に関す  る陳情書  (第二九五号)  同  (第二九六号)  地方財政平衡交付金法第三條の履行に関する陳  情書  (第三〇二号)  昭和二十六年度の地方財政に関する陳情書  (第三〇四号)  資産再評価特別措置関する陳情書  (第三〇六号)  警察法改正に関する陳情書  (第三〇八号)  地方財政平衡交付金法に基く基準財政収入額並  びに同需用額等測定單位及び補正係数是正に  関する陳情書(第  三一二号)  遊興飲食税減免に関する陳情書  (第三一六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。日程の順序を変更して、まず昨二十六日本委員会に付託されました地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第四十五号を議題といたします。まず政府より提案理由説明を聴取いたします。岡野国務大臣。     —————————————
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま上程されました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。御承知のごとく昨年八月、地方税収入の拡充と地方税制の自主的の強化とによつて地方自治の根基をつちかうとともに、住民負担合理化均衡化とを確保することを目途として、画期的な地方税制の改革が断行されたのでありますが、爾来新地方税制は、住民の積極的な理解協力と、地方団体当局の不断の努力精進とによりまして、逐次その本来の目的を達成し、地方自治の伸張、ひいては国政の民主化に寄與しようといたしているのであります。しかしながら、新地方税制は何分にも、未曽有の広汎かつ根本的な改革をその内容とするものでありまして、その施行の結果等に顧みますとき、住民負担合理化及び税務行政効率的運営の見地よりいたしまして、なお若干の改正を加えることが適当であると考えられる点があるのであります。たまたま先般シヤウプ第二次勧告が公表せられまして、新税制に対する批判とその運営に関する貴重な示唆も得られましたので、これらの諸点をも参考とし、また法施行後の運営状況に基いて、ここに地方税負担均衡化地方税徴収制度の改善をはかることを目的として、地方税法の一部を改正することといたした次第であります。改正の第一は、附加価値税に関するものであります。その一は、課税標準の算定について青色申告をなす法人に対し、加算法選択的採用を認めたことであります。附加価値税課税標準の算定については、現行法は、企業一定期間における総売上金額から機械、設備、原材料、商品、動力等の外部に対する支出金額を控除した額によるところのいわゆる控除法によることといたしております。しかしながら複式簿記を備えつけて企業経理を行つている法人にありましては、これとほぼ同様な結果をみるところの、当該期間における所得給與、利子、地代及び家賃の合計額によるいわゆる加算法を用いた方が経理上容易であり、かつ実際的でもあると考えられるのであります。従いましてこのような法人にありましては、附加価値税課税標準控除法によらないで加算法によつて算定することができるものとしたのであります。ただこのような選択を認めますためには、当該法人の帳簿の記載の正確を期する必要がありますので、青色申告を認められていることを要件といたしたのであります。その二は、控除法によつて附加価値税課税標準を算定するに際しまして、同税の実施前に取得した固定資産減価償却額を総売上金額から控除することを認めようとするものであります。その趣旨は、附加価値税実施前に、固定資産を取得した企業と同税実施後に固定資産を取得した企業との間に均衡を得せしめようとするものでありまして、同税実施の日における帳簿価額残存耐用年数で除した額を順次爾後の各事業年度または各年の附加価値額から控除しようとするものであります。ただこのような取扱いを認められるためには、経理内容の明確であることが絶対の要件とされますので、附加価値税について青色申告を認められた法人または個人に限るものとしているとともに、総売上金額から控除する減価償却額の年次割について、法人にあつて昭和二十七年一月一日の属する事業年度の末日までに、個人にあつて昭和二十七年三月三十一日までに道府県知事の承認を受まてしまわなければならないものとしております。その三、二以上の道府県事務所または事業所を設けて事業を行う法人または個人関係道府県納付すべき附加価値税額の基礎となる課税標準額について、その分割方法を簡易化したことであります。すなわち分割の基準は、原則として従業員の数によることとし、ただ電気供給業ガス供給業地方鉄道事業軌道事業及び倉庫業に限り、その事業の性格上、固定資産の価額及び従業者の数の両者によつて、按分するものとしたのであります。その四は、附加価値税概算納付のうちで、その年の見込みに基いて納付するものを概算申告納付と呼ぶこととし、この部分については更正または決定を行うことができるものとしたことであります。その反面、現事業年度または現年の附加価値額見込み額が前事業年度または前年の実績額の五割以下には低下しないが、七割以下であつても、現事業年度または現年の見込み額によつて概算申告納付することができるものとしたのであります。改正の第二は、市町村民税に関するものであります。その一は、法人に対する市町村民税について、新たに法人税割制度を設けたことであります。現在法人に対しましては、均等割しか課税いたしておりませんし、また個人に対する市町村民税所得割も、所得税額課税標準とするときは、算出所得税額から配当所得の百分の二十五を控除したものを課税標準としているため、配当所得には個人の段階においても、法人の段階においても市町村民税課税していないという結果になつているのであります。よつて改正案におきましては、配当所得について源泉課税しようとするねらいをも含め、かたがた個人及び法人間の課税上の不均衡を是正いたそうという考えから、新たに法人税割を設けることとしたのであります。税率は標準を一〇%、制限を二%といたしております。なお、徴収方法としては、法人法人税納付の際、同時に事務所または事業所所在地市町村申告納付する方法によることとし、法人が二以上の市町村事務所または事業所を有するときは、従業者の数に按分してそれぞれ市町村分割納付するものといたしているのであります。その二は給與所得について、源泉徴収方法を採用することができるものとしたことであります。申すまでもなく、一般に給與所得者におきましては、市町村民税をまとめて徴収されますことは、非常な苦痛を伴うことでありますので、給與支拂いを受ける際に給與支拂者をして、便宜徴収せしめる道を開くのが適当であると考え、簡易な一般の源泉徴收方法市町村の任意によつて採用することができるものとしたのであります。この方法によつて給與支拂者源泉徴収をさせようとする市町村は、前年の所得について算定した個人別市町村民税を、毎年四月十五日までに給與支拂者に通知しなければならないものとするとともに、給與支拂いを受ける者が転職、退職等をしたときは、その翌月からはもはや給與支拂者は、特別徴収の義務を負わないことといたしたのであります。給與の支拂を受ける者の住所地市町村である課税地市町村と、給與支拂いをなす者の支拂地市町村とが異なるときは、課税地市町村支拂地市町村内の金融機関を指定いたしますので、給與支拂いをなす者は、これに納入すれば足りるものとしております。なお、給與所得について源泉徴収制度をとることにしたのと関連して、賦課期日を一月一日に改めたのであります。その三は、法人等が一市町村内に二以上が事務所または事業所を持つている場合においても、一の納税義務者として取扱うものとするほか、新たに年齢六十五年以上の者で、前年中に十万円を越える所得を有しなかつた者にも、市町村民税を課することができないものとしたことであります。その四は、市町村民税所得割課税標準課税所得金を採用する場合において、財政上特別の必要がある市町村においては、総所得金額から基礎控除額のみを控除したものを課税標準とすることもできるものとし、必要に応じ所得割負担を広く住民から求めることができる道を開くこととしたことであります。その五は、所得税納期の変更に応じて、市町村民税納期標準を六月、八月、十月及び一月中に変更するとともに、納期前の納付に対する報奨金の額を、税額の月百分の一に引上げることといたしたことであります。改正の第三は、固定資産税に関するものであります。その一は、使用者に対する固定資産税を廃止することといたしたことであります。現在国や地方団体などの所有に属する固定資産で、公用または公共用に供されているもの以外の固定資産については、その使用者固定資産税を課するものとしているのでありますが、庶民住宅居住者その他、この種固定資産使用者負担の状況にかんがみ、使用者に対する固定資産税を廃止することといたしたのであります。その二は、償却資産に対する固定資産税免税点を、三万円に引上げたことであります。零細な償却資産まで課税の対象に取上げて、納税者に無用な圧迫感を與えることは避けようとする趣旨からであります。その三は、従来地方財政委員会が価格を決定していた船舶、車両、鉄軌道発送配電施設のうち、関係市町村が一道府県内にとどまるものは、実情に明るい道府県知事をして、価格の決定を行わしめることとしたことであります。  その他、市町村民税におけると同様、納期に若干の変更を加え、また納期前の納付に対する報奨金の額を引上げることといたしましたほか、固定資産評価審査委員会委員の定数は、その処理する事務が多い市におきましては、これを十五人まで増加することを認めることといたしたのであります。  改正の第四は、法人事業に対する事業税につきまして、申告納付制度を採用したことであります。従来事業税の中で法人事業税徴収成績が必ずしも芳ばしくなかつたこと、特にその原因が、二以上の道府県にわたつて事業を行う法人について、課税標準分割が非常に遅延していたことにあつたのにかんがみ、附加価値税に準じ分割の基準を簡素化するとともに、申告納付制度をとることによつて、かかる弊害を打破し、早期に税収を確保することにしたいと考えたからであります。改正の第五は、国民健康保険税の創設であります。従来、国民健康保険事業を行う市町村は、保険料徴収していたのでありますが、この保険料徴収成績が必ずしも良好でなく、ために国民健康保険財政は、その運営に困難の度を加え、ひいては市町村一般財政に重大な圧力を加えているのであります。この点にかんがみまして、保健料にかえて国民健康保険税市町村目的税として創設し、もつて国民健康保険事業の有します相互扶助の精神の徹底化をはかりますとともに、国民健康保険財政の確立をはかることにいたしたのであります。このことは国民健康保険事業を行う市町村年来の要望でありますし、かつはまた社会保障制度の確立のためにも、大なる貢献をなすべきことが期待されるのであります。この国民健康保険税は、新税ではありますが、従来の保険料にかえて創設されるものでありますがゆえに、住民負担としては、何ら増減するものではないのであります。改正の第六は、その他に関するものでありまして、その一は国税と地方税との徴収順位は、差押えの場合において、先着手の順位によるほかは同順位によるものとし、それぞれの債権額に按分して收納することにしたことであります。その二は、狩猟者税自転車税荷車税等の罰則の規定中、体刑を廃止して、その合理化をはかつたことであります。以上が本改正案内容でありますが、もつぱら地方税負担均衡化と、地方税徴收制度の改善をはかり、新税制運営を円滑ならしめようとするものであります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに議決せられんことを希望する次第であります。
  4. 前尾繁三郎

  5. 門司亮

    門司委員 この機会大臣に聞いておきたいと思います。今この法案の説明を承りましたが、審議するにあたりまして、一応前に聞いておきたいと思うことは、予算委員会で、大蔵大臣答弁の中に、委員質問に答えて、地方財政平衡交付金の額は国家財政都合によつて、将来それを変更することがあるかもしれない、その変更増額でなくて、これを減額することがあるかもしれないというような、大蔵大臣一流放言にひとしい言葉が使われておるのであります。このことは、現在ですら地方財政は非常に行き詰まつておりまして、そうして地方財政平衡交付金増額日本の全部の自治体が要求しておる。われわれもまたこの会議において幾たびかこの問題について議論し、さらにこの増額をはかることを、お互い委員の中でもこれを研究しておるということは大臣も御承知通りであります。しかるに大蔵大臣が、現在の平衡交付金ですらどうにもならないのに、国家予算においてこれを少くするというようなことがあるかもしれないというようなことを放言するに至つては、私どもとしてはこれをこのまま見のがすわけにはいかない。これはひとりわれわれの委員会だけじやない、おそらく全国地方自治体といろものが、これを聞きのがすことができないということになりますと、これは全国国民がこれをそのまま聞きのがすわけにはいかないということであります。これの責任者であります岡野国務大臣は、この大蔵大臣放言に対して、どういうふうにお考えになつておられますか。大臣の所信を率直にお聞かせ願いたいと思います。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 門司委員の御質問にお答え申し上げます。大蔵大臣言説は、私は大蔵大臣言説として認めます。門司委員も御承知通りに、お互い地方財政堅実化、並びに平衡化ということに対しては、終始一貫して努力しておる次第でございます。そしてただいま現に問題になつておりますごとく、平衡交付金と申しますものは、今年度もまた来年度も実は中央財政都合よりしまして、十分行き渡つておらぬということは、これは明白なる事実でございます。その意味におきまして、これ以上平衡交付金を減らすとか何とかいうことは私は毛頭思つておりません。これをひとつ御了承願いたいと思います。
  7. 門司亮

    門司委員 大体大臣答弁はきわめて抽象的であり、ことに私はそういう答弁で、大蔵大国の言うことは大蔵大臣の言うことであつて自分考え方自分考え方というようなことでは、この地方の行き詰まつておりまする財政を打開する道というものは講ぜられない。少くとも当該大臣といたしましては、この問題について閣内でどのように闘われるか、同時に一体現在の政府方針がはたして大蔵大臣の言つたような方針が定められておるかどうか、こういう点についてもう一言御答弁を願いたいと思います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 閣内におきまして、先般大蔵大臣が言つたようなことは、何ら話題になつておりません。ただ私の想像いたしますところによりますれば、平衡交付金を動かすかもしれないということで、動かすということに対しては、増すこともあるし、減すこともあるだろうということを簡單に言つてのだろうと思います。しかしながら各閣僚とも平衡交付金が少いということはよく了承しております。でありますから地方団体に対して、それでは非常にお気の毒であるということは、閣僚一同が感じておる次第でございます。これは御了承願いたいと思います。     —————————————
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま立花君より委員長不信任動議が出ましたので暫時委員長の席を野村君に譲ります。     〔委員長退席野村委員長代理着席
  10. 野村專太郎

    野村委員長代理 ただいま立花君より委員長不信任動議が文書をもつて提出されましたので、私が暫時委員長の職務を行います。まず立花君から趣旨弁明を聴取をいたしたいと思います。
  11. 立花敏男

    立花委員 私ども今まで委員会を続けて来たのですが、その間に委員長議事取扱いについて、いろいろな不満があつたわけです。しかし本日までがまんを重ねて来たのですが、きようの開会にあたりましても、最初の議事進行に関するわが党の意見を取上げない。みだりに発言を抑圧しております。ここに至りましては、われわはどういたしましても、委員長不信任を出さざるを得ない。数え上げますと、委員長の今までにおける地方行政委員会運営に対しましては、数々の不満の点があります。まず第一には、これは前の国会におきまして、平衡交付金審議しておりました場合に、委員長が行方不明になつてまつた。これは重大な問題なんです。しかもあの場合には委員会全会一致平衡交付金増額を決議いたしまして予算委員会に申し入れまして、前尾委員長予算委員会に出席して、全体としての地方行政委員会の意向を申達するということが、予算委員会の方でも予期されておつたわけです。ところが委員長は行方がわからずにお出になつていない。従つて全会一致できめました地方行政委員会平衡交付金増額に対する意見予算委員会に反映されていない。これは私は重大な前尾委員長責任であると思います。こういう個人的な理由で神聖なる委員会の決議が一方的に申達されることを拒否されたということは、これは許すことができないと思う。これはどうしても委員長責任をとつていただきたい。それから二番目には、実はこの委員会運営の問題ですが、警察の小委員会共産党を拒否した。しかもこのことに関しましては、小委員会において野村委員長が、理事会に諮り、委員長に相談して即時善処するということを言われたにかかわらず、今に至るまで何ら処置されない。なぜ共産党を小委員会からボイコツトしたか、これを追究いたしますと、共産党ほどうせ警察法改正には反対だろうから入れておらないのだ、そういうことを言つておられるこれでは何のために国会があるのか、何のために各党の意見を闘わして審議を進めて行く道が開かれておるのかわからないと思う。自由党の方はよく、共産党議会を否定する、あるいは議会を破壊するのは共産党の仕事だと言われますが、こういうふうに反対党意見を聞かないために、小委員会からボイコツトするやり方自体が、これは議会をみずから破壊して行くことだと思う。私どもはこういうやり方には全然納得できない。従つて警察小委員会には、ぜひ共産党を入れることを要求いたします。この委員会には四つの小委員会があります。いわゆる犬の競走の小委員会、ドツグ・レースの小委員会は、警察の小委員会よりも二名多くて九名でやつております。これには共産党も入れておる。あるいは消防の小委員会がありますが、これは警察小委員会の二倍の人数でやつておりまして、これには共産党を入れております。ところが最も重大な警察の小委員会は七名で、しかも共産党をボイコツトしておる。こういうことは私どもどう考えても腑に落ちないこういうやり方をやられましては、共産党意見が少くとも国会においては発言を封じられることになりますので、これはどういたしましても納得できません。こういう差別的な取扱いをなす委員長のもとにおいては、われわれはこれ以上審議することはできないと思う。それから発言弾圧につきましては、この間の警察に関する件を審議いたしました地方行政委員会におきまして、国家公安委員長の辻、それから国家警察斎藤長官、この二人が出て参りまして、質疑を行いました場合に、共産党発言を、これも弾圧した。これに関しましては、この席上におきまして、わざわざ自由党の方が、今委員長席にすわつておられる野村さんが共産党の席へ参られまして、発言をしてもらうようにやるから、もう一時間近く余つているので、社会党共産党と二人やつていただくからということを言われた。それで社会党門司君が先にやられまして、一時近くなりましたので、どうするかということで、私は再び野村さんのところへ行つて相談したのであります。ところが、もう時間が短かくなつたが、なるべく短かい間でやつてくれというお話であつて、私は席へもどつてつた。ところが発言を求めましたところ、委員長は何の理由も示さずにこれを拒否した。しかもその善後策としてどういうことをやつておられるか。斎藤国警長官辻公安委員長をいつ呼ぶのかということにつきましても、何ら言明をしない。それをどうするかということも、またあとでというだけで、今に至るまで、この二人に対する共産党質疑を続行する機会を與えていないのです。こういうやり方で、はたして議事運営がうまく行くかどうか。なるほど政府並びに自由党の方では、警察を増強して共産党弾圧しようと考えているかもしれないが、われわれは共産党が彈圧されるからという問題だけで、警察の問題を扱つているのではない。人民に対する警察力弾圧の増強が危惧されるから、警察の問題を愼重に扱いたいと思つている。しかもそれに対してすら小委員会にも入れない、公安委員長に対する質問国警長官に対する質問すら許さない。こういうことでは、われわれは国民の代表として審議が続けられないと思う。それから第四番目には、最近の重大な問題である地方財政に関する問題ですが、これに関しまして、実は本日予算が本会議を通過する予定になつております。予算委員会はきのう討論を終つてまつた。しかもわれわれ地方財政委員会として重大な問題は、平衡交付金の問題が残つているわけです。平衡交付金の問題に関しましては、政府の中におきまして、大蔵省側意見と、地方財政委員会意見が対立いたしておりまして、それが予算書に対する附記としてはつきり明示されて出て来ておりまして、これに関していずれか取捨の意思をはつきりいたすことが、国会責任だということが言われておるわけです。しかも予算書の附記に対する意見決定することは、單に予算委員責任だけではなしに、地方行政委員会責任でもあるということを、地方財政委員会委員長代理が、はつきりこの席で言明しております。もちろん私どももそういう建前で審議を進めたいと思つてつたのですが、遺憾ながらこの問題に関しましては、委員長は何ら委員会としての意思決定をする方向に議事運営しない。この間の金曜日に私はその問題を委員会におきまして、委員長にどういう処置をされるつもりなのかということを追究いたしましたが、もう日がないじやないか。少くとも予算委員会が二十六年度の予算案を審議しているのと並行して、地方行政委員会においても平衡交付金に対する審議を進めて、そして適当な意見を出してそれについての予算委員会への善処方を要望する。そういう形をとるのかとらないのか、どうなのだ、時間がないから早くやつてくれということを要求したはずです。ところがそういう形をとるともとらないともはつきり言わないし、また審議が終つていないというようなあいまいな態度で委員長は過ごされたわけです。しかも金曜日にそういう提案をされたにかかわらず、土曜日にも地方行政委員会を開かない。日曜日も開かない。月曜日にも開かない。遂にきのう予算委員会の結論は出てしまつたわけです。本日は御承知のように本会議を通過してしまいます。こういうことでは地方行政委員会としての任務が果されていないと思う。地方住民あるいは地方自治団体が、私ども地方行政委員会に期待しておるところは非常に大きいと思う。
  12. 野村專太郎

    野村委員長代理 立花君、おそれ入りますが、なるべく趣旨を簡潔に願います。
  13. 立花敏男

    立花委員 実は重大な問題がたくさんありますから、これは一々あけておいた方がいいと思いますので、ひとつあげさせてもらいたいと思います。そういうわけで、地方住民のわれわれ委員会に対する期待、あるいは地方自治団体のわれわれに対する期待が、完全に委員長の独断によつて阻害されておる。われわれはこれを黙認することはできないと思う。地方自治団体の方が何人あるいは何回この委員会に参られまして、われわれに対して哀情を訴えられたかわからない。それを完全に無視している。これはわれわれはどうしても地方のためにも地方住民のためにもほうつておくことはできない。こういうふうな問題を無視いたしまして、議事運営される委員長をわれわれは信頼することはできない。それから次にはこの間通りました消防組織法の問題ですが、地方財政法の根本的な精神は、国家が施策をする場合に、地方財政負担になるようなことはやらない。もし地方財政負担になるようなことをやるのであれば、それに対して適当な財源的措置を與えるのが根本的な精神だと思う。ところが消防をつくらなければいけないということを、はつきり消防組織法で地方義務づけながら、しかもそれに対しまして財源的な措置を一向講じてない。委員会としてもこれに関する地方財政委員会意見を何ら聴取してない。こういうふうな一方的なやり方で、地方に対する大きな負担をおつかぶせようとしておりますが、これはわれわれとしてはどうしても納得することはできない。現在の地方自治体の財政的な困難から考えまして、現在すでに地方では自治体警察の返上論さえ起つておる。財政的な困窮の建前から地方警察の返上論さえ起つておる。それに対して何ら財政的な余裕がないにかかわらず、消防の問題を、これまた源財を與えずして一方的に上から押しつけようとしておる。これに対して何らこの委員会は詳細な審議をやつていない。こういうやり方ではわれわれはどうしても納得することはできません。それから次には、今までのやり方から見ますと、たとえば三番目に申し上げました行政委員会の決議を無視したという委員長のかつて責任の問題と関連いたしまして、おそらく委員長予算審議国会で終りましたあとで、何らかのごまかし的な決議をやつて、そうして委員会の面子を何とか糊塗しようと考えておられるということは、私は推測できる。今までの委員長やり方から見て推測できるのですが、われわれはこれによつて委員長の面目が立つか立たないかの問題じやなしに、これによつてども地方の自治体、地方住民が大きな欺瞞を受けるということをどうしても黙つて見ておるわけには行きません。どういたしましてもこういう態度の委員長をわれわれは今後いただいていることはできない。もしこういう委員長がその職にありますと、おそらく委員会の決議という形を通じて地方住民地方自治団体はだまされ続けることだろうと思いますので、どういたしましても委員長をわれわれはその職にとどめておくことを許すことはできない。それから七番目は、これも最近委員会で起つた問題ですが、実はこの間海上保安庁の問題がありました場合に柳澤次長が出て参りました、共産党質問に対しまして答弁ができない。答弁ができない理由も言えない。じやどうするかと委員長に追究いたしましたところ、海上保安庁の長官は今アメリカへ何かしに行つておるので、アメリカから帰つて来たら相談して適当に返答するということを言われた。ところがいつ帰るのかと言いますと二十四日には帰るという。ところが二十四日から数日たつておりますが、いまだにこれに関して何らの措置を講ぜられておらない。海上保安庁の問題は重大な問題でございまして、朝鮮水域における海上保安庁の艦艇の行動に関してでありますが、こういう重大な問題に関して委員長は即刻に手をお打ちにならない。政府責任者答弁をする責任者として出て参りましたものが、理由も言えないと言つて拒否しております問題を、委員長はそのままほうつておかれておる。これでは私どもは何のために政府意見を聞いておるのか、何のために海上保安庁の問題を審議しておるのかわからないと思う。こういうことではどういたしましても私どもは重大な問題を委員長のもとで審議することはできません。それから最後に実はきようの問題なんです。きようの委員長の態度と申しますのは実際横暴きわまるもので、最初に私ども議事の進行に関して発言を求めておりますのに、何らこれを取上げない。われわれは……。
  14. 野村專太郎

    野村委員長代理 発言中ですが、この際立花君にお願いを申し上げたいと思います。本会議が一時から開会されますので、一時まで趣旨弁明を許可することにいたしまして、その以後は発言を終了願いたい、かように考えますので、御了承願います。(「それはいけない。言わせるだけ言わせろ」と呼ぶ者あり)
  15. 立花敏男

    立花委員 私は今まで言つておることは、一言もむだなことを言つておりません。一々委員長の事実をあげて克明に言つておるので、むだなことは言つておりません。委員長、本会議が済んでからでもよろしい、どうですか。
  16. 野村專太郎

    野村委員長代理 続行してください。かなり発言は尽されておるように伺つておるので、本会議の関係があるから、念のために御注意申し上げておきます。
  17. 立花敏男

    立花委員 実はきようのこの委員会の状態におきましても、明らかに私は自由党内部に委員長に対する不信任があると思う。(「ノーノー」)理事が出て来ない。委員が初めから一人か二人しか出て来ない、こういうことで、與党すらまとまらないような委員会が、どうして委員長のもとに統率して行かれるのか。委員長は私ども不信任案を出す前に、よろしく自分の無能力をはつきり痛感されて、みずから処置をさるべきだつたと思いますが、なお荏苒として委員長の席におられますので、私どもは涙をのんで(笑声)不信任案を出したわけであります。現在の地方の行政、あるいは財政に対しましては、中央のいわゆる単独講和、再軍備反対のしわ寄せが地方にどんどん行われ、仕事はどんどん地方に與えている。金はしかしやれない。しかも重大なる警察とか、そういう問題だけは国家で握つておる。ファッシヨ的な組織である消防の組織、あるいは人民弾圧の組織である警察の組織、こういうものは中央でがつちりより強く握る方向へは行つておるが、かんじんの財政問題とか、仕事の問題では地方地方へと押しつけておる。しかもそれが結局はまわりまわつて地方住民負担になつて来る。ここに出しておりますただいま岡野国務大臣から説明のありました地方税法改正も、これも明らかに地方住民への負担の強化なんです。こういうすべての中央における反動的な政策のしわ寄せが、地方の行政財政に現われております場合に、これをどうして守つて行くか。地方財政確立し、地方住民の生活をどういう態度でどういう立場で安定さして行くか。これがわれわれ地方行政委員会の問題でなくちやならぬと思う。その場合に、以上申しましたような前尾委員長の非民主的な委員会運営やり方には、どうしても納得することはできません。われわれは今後といえども委員会におきまして、地方財政確立、行政の民主化の問題に関して審議をして参りたいと思うのですが、今までの委員長やり方から見まして、この委員長がとどまつている以上は、われわれの目的は達せられない。そういう建前からわれわれは不信任案を出した次第であります。今後またわれわれの提案が少数で否決されました以後におきましても、委員長があるいはかわられました場合におきましても、以上述べましたようなこういう非民主的な、少数の議論を圧迫し人民の声を圧迫するような議事運営が続けられます限りは、共産党といたしましては、いつでも不信任案を再度出す決意がありますから、その点を申し上げておきます。
  18. 野村專太郎

    野村委員長代理 それでは、ただいま委員長不信任案について、提案者の趣旨弁明がありましたが、これより討論を行います。まず上林山君。
  19. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま共産党の諸君から、突如として委員長不信任案が提案されましたが、私はその趣旨の弁明を聞いておりますと、ほとんど趣旨弁明というのは一部であつて、その大部分は共産党一流の宣伝を織り込んだところの一つの弁明であつたかのごとく考えるものであります。まず私は、共産党の諸君が、われわれは人民のために議会において闘つているのだ、この共産党の立場を尊重せずして言論を封鎖している、こういうようなお話でありますが、ソビエト共産党の教科書を見れば、あるいはその指令を見れば、議会單に闘争の場所であつて、究極の目的議会を否定するのが、共産党出身の議員の任務であると書いてある。こういうような思想を根拠にした共産党の諸君が、あるいはロシヤの共産党と関係がある共産党員もいるし、あるいは関係のない共産党員もいるとは言われているけれども、結局はソビエト共産党の主義主張というものを、遵奉する者が、日本共産党員の中にあるということは、これは歴然たるところの事実であります。こういうような諸君の言われるところの、私は議会を守る、議会を通して国民のために盡すのであるという議論には、にわかにこれに賛成ができないのであります。そこで委員会の問題に移つて私申し上げたいのでありますが、いかなる常任委員会といえども、たいていの問題は理事会で協議の上で決定をしているのであります。でありますから、入選等の場合についても、これは委員長の独断によつてつていないというのが、議会運営の実情であり、当委員会においてもそういう取扱いをいたしておるのでありまして、ことに消防法の小委員会には、木村君が委員として選任をされながらも、ほとんど出席をしていない。こういうような実情を考えますときに、当委員長ないしは当委員会が、諸君を故意に除外したという諸君の議論には、これまた賛成をいたしかねるのであります。さらに申し上げたいことは、先ほど提案者は、この委員会が始まつたときに発言を求めたが、その発言を封鎖された、と言つた。私も最初からこれを聞いておつたのでありますが、私の記憶にして間違いないとすれば、これは速記録を見ればわかるのでありますが、大臣委員長発言を許可した後に、初めて諸君は発言を求められておつたのであります。あるいはほとんど同時であつたかもわかりません。大体において私の記憶は、大臣発言を許した直後、諸君は発言を求めた。これは議事運営の規則によつて、諸君がもし法というものを守るならば、少くともこういうところのルールをよく勉強しなければならぬと私は考える。こういうような意味において、委員長の処置は、決して不信任に該当するものではないということを私は考えます。そこでさらに申し上げたいことは、もし私の言うことが偽りであるとするならば、諸君がいかに各委員会において、当委員会において発言機会を多く與えられているかということを、速記録によつてまず見るがよろしい。そういうようなことを考えずして、少数党といえども発言機会というものはある程度これを許しているのでありますから、これをすべての入が満足にやるようにしたならば、ことに共産党一流の喋々たる宣伝をするというような場合においては、これは議事運営を妨害することになるのであります。こういうような場合においては、委員長は職権あるいは委員会趣旨を体して、これに相当の制限を加えるということは当然のことだといわなければならない。そこで私は、少数党の意見を尊重しなければならぬということはわかるし、これはまた適当に許して行かなければならぬこともわかるのでありますが、諸君に私は一言したい。少数党の意見を尊重するあまり、議事運営をやつてつた日には多数党の意見というものは一体どうなつて行くか。民主主義の根本というものは数の政治であります。もちろんこの背景においては質とか量とかいうものも入るのでありますが、何といつても民主主義の政治は多数決の政治でありますから、その過程においては少数党の意見発言機会を多く與えなければならぬけれども、相当適当な時期に至つては、多数決によつてこれを決するということが、民主主義の根本であることは、民主主義の一ページを知るならばだれでもわかつた事案であるといわなければならない。ただ、私は適当であるか、適当でないかということの判断は、もちろんお互いの良識によつて判断をしなければならぬのでありますが、(「議事進行じやないか」その他発言する者あり)少くとも、今の議事進行にしても、まず大臣発言を許した後に、議事進行のあとの発言をした者に許さなくてはならぬという規則は何もないのであつて、これを議事進行であると言うこれこそ一つ覚えで、あとに発言を求めたから許さなければならぬというルールがあるということを主張するとするならば、これこそ私は民主主義をはき違えた法を守らないところのやり方である、と言いたいのであります。こういう意味において、私は立花君の提案理由には全然反対であるということを表明いたします。
  20. 野村專太郎

    野村委員長代理 ほかに討論の通告がございませんので、これをもつて討論は終局をいたしました。立花君提出の委員長不信任動議を採決いたします。(「委員長々々々」「なぜ発言を許さないんだ」「もう一回不信任だぞ」その他発言する者あり)本動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
  21. 野村專太郎

    野村委員長代理 ただいま宣告いたしたのですが、もう一回申し上げます。立花君提出の委員長不信任動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  22. 野村專太郎

    野村委員長代理 起立少数。よつて動議は否決されました。委員長に、この際本席を譲ります。     〔野村委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 門司亮

    門司委員 この際特に私は委員長に申し上げておきますが、今立花君の動議を出しましたことは……(発言する者多く、聴取不能)私はこの機会に特に委員長並びに委員の各位に申し上げておきたいと思いますことは、ただいま立花君から出ました動議については……。     〔発言する者多く議場騒然〕
  24. 前尾繁三郎

    前尾委員長 静粛に願います。
  25. 門司亮

    門司委員 その理由は、われわれが承服しがたい点がありましたので、これにやむを得ずわれわれは賛成することができなかつたのでありまするが、こういう動議を出されるという原因は、與党の議員諸君の出席の悪いということが、私は最大の原因だと思う、従つてどうか與党の議員各位におきましても委員長においても、定刻から十分始められるだけの準備をぜひしてもらいたい。そうして時間が十分でありまするならば、討議は十分にできるのであります。審議する時間がきめてわずかの時間の間に、これを無理に押し切らんとするところに、どうしても立花君のような動議が出ざるを得ない原因をつくつていると思う。私はこれは與党の諸君の責任だと思う。従つて将来の運営におきましては、委員長におかれましても、與党の委員各位におかれましても、十分審議ができまするように、時間の励行と申しますか、時間を十分とつていただきますならば、少数派の意見というものは、十分発言する機会を與えられると思う。あげて與党の責任において、今の立花君のような動議が出たということを十分御了承願つて、これに善処していただきたいということを、私は委員長に強く申し上げたいと思うのであります。
  26. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司君の御発言はしごくもつともであります。今後私も懸命に善処いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十分散会