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1951-02-23 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十三日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       吉田吉太郎君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    立花 敏男君  出席政府委員         地方財政委員会         委員      木村 清司君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 二月二十二日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として塚  田十一郎君が議長指名委員に選任された。 同日二十三日  委員塚田十一郎辞任につき、その補欠として  久野忠治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十二日  遺失物法の一部を改正する法律案川本末治君  外四名提出衆法第七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより会議開きます。  きのうに引続き地方財政に関する件を議題といたします。質疑の通告があります。立花敏男君。
  3. 立花敏男

    立花委員 大体大蔵省側内閣決定案に対する御説明を聞いたのですが、実は私これに対して地財木村さんの方の、大蔵省意見に対する意見をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  4. 木村清司

    木村(清)政府委員 こまかいことは他の政府委員よりまた御希望によつて、御説明申し上げますが、大まかなことを申し上げますと、まず第一に給與ベース改訂が千円でいいかということが問題になると思うのであります。これは確かに国家公務員といえども千円では済まないのじやないかという確信を私は持つておるのであります。それは人事院ビルにある庁内で十二月と一月の調査を見ましても、地方自治庁の方は約二千円一人当り上りますし、地方財政委員会職員は約千八百円上る、人事院の方を聞きますと、やはり千六百円程度上るのでありますから、これは多分千円じやないのではないかと思うのであります。なるほど補正予算に計上せられました追加額人事院の千円ベースでありますけれども昭和二十五年度と二十六年度との人件費の差は千円をなお越えて、一般職について千四百円程度になるのではないかというように推定せられるのであります。今の点はもう二、三箇月なり時日の経過とともにおそらくはつきり出て来ると思うのでありまして、時日がこれを証明すると思うのであります。  それから第二点の人員の構成の点につきましても、なるほど警察、消防等職員については、国家公務員の今回の措置によつて、やはり上る率が少いということは言えるけれども一般教職員等につきましては、やはり国家公務員並み一般の例によつて上げなければならない。そういたしますと、税務官吏とかあるいはそういう特殊なものの割合よりも、地方公務員の方がその場合において率がおそらく少いのではないかと私は思うのであります。いずれにせよこの給與ベース改訂については、地方公務員実情から照しまして教職員等につきましては、府県教職員組合委員長からの話によりますと二千円近く上るし、それから府県庁吏員も千五百円程度上るとうことを一般に言つておるのであります。これが東京とか大阪とか多少給與ベースそのものの格づけが不適当と思われる府県でなしに、ほんとうに貧乏な、つつましやかな府県においてそういわれ、またその地方においては、国家公務員がおるのであります。たとえばその府県の庁内に健康保險職員がおりまして、その健康保險職員と比べて、不均衡に高いかどうかということはすぐわかるのであります。もちろん六大都市とか大きな府県におきましては確かに格づけが国家公務員より高い例があると思うのでありますが、これは例外的であつて一般的とは言えないと思うのであります。第二点の年末手当の問題については、これは財源措置すべきであるかどうかという見解相違になるわけであります。私どもは二十四年度において、たとい任意的支出をしておつても、これは国家がやつたことにならつて、事実上他の経費を節約するとか、あるいは事業を節約してやつたのであるから、この財源措置措置すべきものでなかろうかというように考えられるのであります。  それからなお一番最後雑收入の問題でありますが、雑收入には大体三つの種類があると思うのであります。授業料や普通の手数料のような恒久財源によるもの、第二には競馬、競輪あるは富くじ等、そういうような收入のものと、それから第三は、従来の特定事業をするから寄付金負担金を出すというような種類のもの、この三種類あると思います。第一点についてはこれはもちろん一般收入に入れることは当然と思います。それから第二点も、これはあるいは競輪收入というものについては一般收入に入るべき性質のものと思います。しかしながらこれは大体戰災地とか、そういう都市府県等において、戰災復興とか住宅とか、そういう特定なものに使うということを予定しておるのでありまして、だからある意味においては地財不足分のカバーというような意味に見られることは、ある程度やむを得ない点もあると了承せられる節もないこともないということなのですけれども、この点を一般吏員給與ベース改訂財源とか、あるいは年末手当財源等に振り向けることは、これは、おそらく不可能な問題だと思います。それから第三の寄付金は、これは目的ある特定事業をするから寄付金負担金が出るのであつて、これ自身は当然に特殊事業というべきであつて財政総理の中に入るべき筋合いのものではない。たとえば団体寄付金があるといつた場合においても、そういう団体寄付金があつていろいろな仕事をしているという場合に、特定な目的で寄付金があるのでありますから、これを入れることは不穏当であると思うのであります。以上大まかな点は——もちろんこまかい点においていろいろ見解相違がございますけれども、大きな点は、給與ベースの点を改訂の問題と年末手当の問題及び最後の雑収入の点ではなかろうかと思うのでありますが、そういう点で見解相違があろうと思います。
  5. 立花敏男

    立花委員 起債の点は……。
  6. 木村清司

    木村(清)政府委員 起債の点はその結果出て来る跡始末の問題でありますから、以上の点で解決しているのではないかと思うのであります。
  7. 立花敏男

    立花委員 それではその起債問題等充当財源等はあとまわしにしまして、歳出の問題に入りますと、ベース改訂政府改正案を御提出なつた場合に、やはり人事院勧告根本精神を取入れる、その根本精神の綿に沿つてやるということをはつきりおうたいになつていることが、文書によつて明らかなのであります。ところがやはりやられた結果を見ますと、ちつとも人事院勧告の線は取入れられておらず、まして労働者ほんとう要求である賃金ベース・アップの問題は、何ら具体化されておらないわけで、いわゆる下に薄く上に厚い形が出ておりまして、最低のものは二、三百円、調整号俸を引かれたり、あるいは地域給を引かれたり、税金を引かれますと、ほんとうに何も上らないという形が出ておるわけであつて、これでは非常に不満なんです。しかも最近のこの物価値上り、特に朝鮮事変以来の物価値上り、最近一箇月の急激な値上り、これを計算に入れますと、どういたしましても私はこの政府給與改訂では満足でない。今財政委員が言われましたように、政府の形であつても実際上は千四百円ぐらいいるのではないかと言われておりますが、これに何倍かする金がなければ、ほんとう地方公務員生活というものはささえられないのではないかと思うのでありますが、大蔵省の方では、ほとんど生活に何の潤いも與えないこの千円で地方もやつて行けるというふうに考えられて資料をお出しになつておるのでありますが、どういう根拠で、この千円でやつて行けるというようにお考えなのか。その具体的な根拠をひとつお示し願いたい。
  8. 東條猛猪

    東條政府委員 御質問の内容がまず国家公務員の場合が千円であるのなら、地方公務員も千円ということでやつて行けるかという御趣旨と、一体この千円ということで、今後の物価騰貴等情勢から考えてみて、やつて行けることになるのかどうかという、この二つの点と拝承いたすのでありますが、初めの点につきましては、昨日もるる申し上げました通りに、中央官庁だけをとりまして、たとえば今お話のございました人事院でございますとか、あるいは地方自治庁、そういう中央官庁一般適用を受けまする部分を拾い上げまして、一月から実施されました新給與法適用いたしますると、千円のわくを越えるということは、これはおつしやる通りであります。ただ昨日も申し上げましたように、警察官でありまするとか、税務署員、あるいは教職員方々でありまするとか、従来いわゆる特別号俸適用がありました方々引上げ割合が低いという点を勘案、計算に入れますと、公務員全体といたしましては千円でやつて行けるという考え方のもとに、給與法国会議決をお願いいたしましたし、昭和二十五年度の補正予算にいたしましても、ないし昭和二十六年度の予算にいたしましても、そういう考え方のもとに編成をされまして国会議決を経、また目下審議を願つているのであります。それから今後の物価情勢考えれば、そもそもこの千円が低いのではなかろうかという御意見の点でございまするが、この給與水準の問題を考えまする場合に重要な要素は、いわゆる卸売物価指数ないし小売物価指数ということも大事ではありまするが、いわゆるCPI消費者物価指数ということが、非常に重要視せられておりますることはおつしやる通りでございまして、累次の人事院勧告におきましても、CPI基礎になつておる次第であります。人事院当局の最近の御意向はしかとは承知いたしませんが、数週間前の残井人事院総裁国会での御説明によりますると、最近までのCPI騰貴割合は、まだ人事院が前回の勧告出しました当時に比べまして、五%程度しか止つておらないのだ、従つて人事院としてはまだあらためて勧告をするというようなことは考えておらないという趣旨の御答弁が、国会でなされたように私承知いたしておるのであります。私どもいろいろの統計資料を見ましても、CPIにおきましては、この騰勢は人事院総裁お話になりましたように、さまで顕著でない。従いまして政府といたしましても、過般実施されました給與改訂に引続きまして、またあらためて給與改訂の問題を考慮するかということになりますると、目下のところはそういう問題は考慮しておらないというのが現状でございます。
  9. 立花敏男

    立花委員 このお話の一人当り千円という予算をおはじきになつたところに、実は問題があるじやないかと思うのであります。今度のベース改訂がいわゆる八千円ベース改訂と言われておりながら、実質上はさつき言いましたように、下の方ははとんど上つていないという形が現われておりますのは、実はあの職階号俸のきめ方が逆になつておりまして、一人頭千円というものを最初からはじき出しまして、それによつてあの表をつくつた最低賃金を與えるということを原則として、労働者生活給をきめて行くのではなしに、国家公務予算関係上、一人頭千円というものを最初からはじき出しまして、それによつて一般的な号俸をきめ、あるいは特別な号俸をきめたいという形が出ております。そこに八千円ベースという名目にもかかわらず、実際は非常に低いベースしかもらつていない、生活もできないというような状態が出て来ておるのじやないかと思う。こういう形で、また地方公務員に対しましても、一人頭千円という割で予算をつくりまして、その頭できまりましたものに従つて、また国家公務員のあの号俸従つて地方公務員号俸をきめられますと、地方においても下に薄く上に厚いものになりまして、結局下の者は食えないという形が出て来るわけであります。こうなりまして、公務員が安んじて仕事はできませんし、特にあのベースが決まりまして以来、急激に物価情勢が変化しております。次長は、今後の物価の問題だと言われますが、最近特に物価が上つておることは、多少ともお買いものをなさればすぐわかることなんです。あるいはまた統計によりましても、三〇%、四〇%、五・〇%という上昇はありますので、人事院が何と言われましようとも、これは具体的な事実なんです。すでに物価が上つておますので、こういう問題を考えますと、千円で頭からきめられまして、それもああいうような上に厚い号俸できめられて、しかも最近の物価値上りについて行けないという形が出て来ることは、もはや明らかだと思う。この際にやはり地方には、そういう形の、上から押しつけるというのではなしに、少くとも地方財政委員会要求している線、あるいは根本的に申しますと、もつと地方公務員最低生活を保障するという形の給與、これをおやりになるお考えはないのかどどうか、これをひとつ承りたいと思います。人事院の方で、最近の物価はまだ人事院勧告を出すまでに上昇しておらないという発言があつたということを言われておりますが、これは明らかに事実を曲げるものでありまして、労働委員会あたりでも、人事院にすぐさま勧告を出せという要求が最近問題になるということを聞いておりますし、政府自体がお出しになりました物価値上り状況を見ましても、明らかに人事院勧告を出さなければいけない客観情勢は生れて来ておるのでございますから、この事実を、單なる言葉とか発表とかでごまかされずに正しく認識していただいて、給與の問題を扱つていただく必要があるのじやなかろうかと思うのです。そうなりませんと、せつかく予算を組みましても、非常に無理な予算ができますし、どうせ私は補正予算は必至だろうと思いますが、これはやはり最初から正しい予算を組めるように算定するのがいいのじやないかと思います。ベースの問題は重大な問題でありますので、もう一度その御意見を承りたいと思います。
  10. 東條猛猪

    東條政府委員 第一番に、過般定められた一千円のベース上げは、初め千円というのをきめておいて、いわば内容を上に厚く下に薄くつくつたもので、実態に即しておらないのではなかろうかという御趣旨と拝承いたしましたが、先般国会で御審議をいただきましたときに、この点につきましては御説明申し上げた通りでございます。人事院勧告におきまして、理論的に必要な最低生活費というものがあります。本日そこまでお話をいただくとは思わなかつたものですから、ちよつと資料を用意しておりませんが、その理論的な最低生活費というものは、政府といたしましては、そのまま必要なものとして採用いたしております。ただそれを当時の人事院勧告におきましては、三級一号がその生計費をまかなうのに必要な給與を所得べすきクラスに属するというのに対しまして、従来の人事院勧告の経緯、並びに従来政府がとつております考え方から、二級の三号だつたと思いますが、国家公務員年齢構成から申し、また過去の学歴から申しましても、その理論的な最低生活費をとるべきものであるという見解から、いわば理論的な最低生計費は、人事院勧告をそのまま採用いたしまして、しかも従来の給與体系と最近におきます給與体系との推移を客観的に判断いたしまして、従来の給與体系は、申さば上に薄過ぎるという考え方のもとに、人事院勧告にこの点において修正を加えましたのが、政府案の骨子に相なつておる次第であります。かたがた財源関係から計算をいたしました場合に、それが千円なら財政的負担にも処理ができるという考え方のもとに、給與法案を御審議願い、一月から実施せられておる次第であります。それから人事院総裁が、目下のところのCPIからすれば、まだ勧告を出す域に達しておらないというのは、事実を曲げているんじやないかという御発言でございましたので、念のためつけ加えさせていただきますが、日取りははつきり覚えておりませんが、数週間前の衆議院の予算委員会での質疑応答の中で、民主党のどなたかから御質疑がありまして、淺井人事院総裁が御答弁になりましたので、私といたしましては、このときの言葉趣旨を引用して申し上げたのでございまして、その後労働委員会等におきまして、委員会方々人事院方々と、どういうお話合いになつておりますか、実は不勉強で承知いたしておりませんが、そういう趣旨のございましたことだけは事実でございますので、念のため申し添えさせていただきたいと存じます。それからかりに国家公務員の場合において千円ベース上げになつておるとしても、それが最近の状況から実態に即しないということであるならば、地方公務員給與改善財源としてこれも千円だということは、実情に即してないのではないかという御趣旨であつたのでありますが、政府といたしましては、先ほども申し上げました通りに、私ども手元にございますのは十二月まででございますが、消費者物価指数の十二月までの計数を見ましても、一般のいわゆる公定物価、特に年産資材あるいは織物類、そういう特殊の品目公定物価に見られます騰貴割合は、いまだ必ずしもCPI反映しておらない。そうして公務員給與問題を考える場合におきましては、もちろん仰せのように広く一般物価指数参考にいたすという観点も、ごもつともかとは存じますが、従来とも人事院におきましても、政府におきましても、このCPIをもつぱらのよりどころといたしまして、いろいろの問題を検討いたしておる、そういう建前に立脚いたします限りにおきましては、いまだ一般のそういう特定品目物価騰貴というものは、CPIに現われておらないのではなかろうかということを、計数について申し上げた次第であります。そういう次第でありまして、政府といたしましては、目下のところさらに給與改訂をいたすということは、考慮いたしておらないのであります。それでもし将来大きな方針なり政策に変更がございまして、かりにベース改訂がさらに行われるということでございまするならば、国家公務員の場合に即応いたしました観点から、さらに地方財政に及ぼす影響はどうであろうかということを再検討いたすということは、仮定の問題としては必要と存じまするが、過般実施されましたところの国家公務員給與改訂は、私どもといたしましては、平均一人当り千円で済むと考えておりまするから、今回御審議をいただいておりまする平衡交付金の問題といたしましては、将来の申さば仮定の問題ということでなくつて、現実の問題といたしましては、国家公務員も千円でやつておるから、地方もいろいろと御事情はおありであろうけれども国家公務員並にお願いをいたしたい、こういう趣旨内閣決定額ができ上つておる次第でございます。
  11. 立花敏男

    立花委員 非常に驚いたことを承るので、労働者給與をきめる場合に、現在のインフレを認めない、これは人事院意見でもあるし、大蔵省意見でもあると言われることは、根本的にやはり実情にそぐわないのではないか。それを單にCPIに技術的に現われるか現われないかという問題でおきめになつておるようでありますが、実際の日々の労働者生活におきましては、これはお役所の方も官庁労働者としては同じ仲間なのですが、毎日々々の生活がもう物価値上りによつて圧迫を受けておるということは事実だと思うのです。その事由をお認めにならないという態度をおとりになるところにやはり根本的に給與のきめ方に矛盾があるのではないか。私は決して人事院考えを基準とするということは言つておりませんので、人事院のそういう考え方自体が間違つておるのではないか、事実に反しておるのではないか事実を曲げるものではないかと言いましたので、人事院総裁言葉にそういう言葉があつたかなかつたかということを、事実を曲げると言つておるのではありませんので、そういう考え方自体に、事実に目をおおうた形で賃金をきめる考え方が出ているのではないか、それを地方の場合も再踏襲をなされたことは合点が行かない、そう言つているわけなんです。これは幾ら議論いたしましてもしかたがない問題でありますので、やはりそういう観点から実際の実情に即した給與がきめられるように財源措置をお願いいたしたい。少くとも地財委出しておりますような点まででも大蔵省意見をお引上げ願いたい。地財委算出の仕方は、大蔵省算出の仕方とシステムは違いますが、金額にいたしまして千円か千四百円くらいになるだろうということも言つておられますし、全体の金額といたしましては、大して相違がないのではないかと思いますから、地財委の線くらいまでは考慮をなさる必要があるのではないか、そう思います。それから次の年末手当の問題ですが、この間内山知事参考人として来られました場合に、神奈川県ではもはや年末手当予算に組んでないのだ、組めないのだというようなことを発言されたということを聞いておりますが、すでに地方では年末手当は組めない状態であります。関東のある県ではこの間の年末手当の場合には、市中銀行から借金をいたしまして、それでようやく一人当り三千円くらいの年末手当拂つたというところも、具体的に出て参つております。こういうふうに去年でも拂えなかつたものを、おそらくことしの暮れには年末手当なんかほとんど拂えないのではないかと思う。それにもかかわらずこの総額に関しましては、非常に大きな開きがありますし、考え方の中におきましても、根本的な対立が地財委大蔵省との間にあるわけなんです。年末手当などはこれは現在の財政状態から申しますと、地方はやらなければならぬ仕事をやめて、あるいは借金をしてやつておりますので、余分になりました全額は国家で見るというふうにするのが当然ではないかと思うのですが、この開きが五十億ばかりあります。これはとうてい今の地方財政では埋めることのできない穴でございます。結局そうなると、地方公務員は年末手当がもらえないということになるのですが、この間の実情をどういうふうに御認識になつて、おられますか。もうすでにことしの予算で組んでないところがあるというようなことを御承知かどうか、大蔵省にひとつお聞きしたい。
  12. 東條猛猪

    東條政府委員 第一点の給與の問題につきましては、すでに私ども考え方はるる申し上げましたので、これ以上は差控えさせていただきたいと存じます。政府といたしましては先ほど来申し上げましたような見解をとつておる次第でございます。  第二点の年末手当の支給の問題でございますが、これまた昨日るる申し上げましたように、地方財政歳入歳出、あるいは負担がどうなるか、これに対する財源いかが相つておるかという私ども計算におきましては、昭和二十四年度の決算基礎にいたしまして、実情に即して考えて参つたつもりでおります。昭和二十四年度の決算はお手元参考資料でもごらんいただけまするように、歳入三千九百七十億、歳出三千七百八十億ということで、百九十億円程度歳入超過に相なつておる次第でありますが、昭和二十四年度におきまして、御承知のように年末手当というものが支給され、その後の推移におきましては、この昭和二十四年度の決算額基礎にいたしまして、昭和二十六年度の財政の姿がいかがになるかという推定をいたしまして、年末手当につきましても支給できるであろう、こういう考え方をしておる次第でございます。個々の府県につきましては、昨日もるると私見を申し述べさせていただいたのでありますが、いろいろ窮迫をしておる府県もありましようし、また地方財政全体といたしまして、決して私は財政が楽であるとかなんとかいうことを申し上げておるのではありませんので、地方財政全体といたしましても、たいへんな困難な事態に遭遇しておるということは、私どもも同一に考えておるのではありますが、全体の財政力経済力というものから考えまして、この程度をもつてがまんをしていただくほかないのではなかろうかという次第でございます。
  13. 立花敏男

    立花委員 給與の問題は、実は現在では全部の官公庁労働組合が要求しておりますのは、一万二千円ベース、ところが政府は八千円ベース——八千円ペースと申しますのも、実質上はもつと低いベースでございまして、八千円ベースと申しますのは実は掛声だけなのですが、それにいたしましても、五割低い。現在の官公庁労働者が一致して要求しておりますベースは一万二千円ベースなのです。この問題を根本的に大蔵省はどうお考えになつておるか、これをひとつ念のために聞いておきたいと思います。
  14. 東條猛猪

    東條政府委員 これは本来ならば大蔵大臣あたりがお答えをを申し上ぐべき非常に重大な問題でありまするが、政府委員として申させていただくといたしますならば、先ほど来申し上げておりますように、政府といたしましては、目下のところ給與改訂を考慮しておらないということを申し上げたいと存じます。
  15. 立花敏男

    立花委員 実はやはり大蔵大臣あたりに来ていただいて、そういう根本的な点をお伺いしないと、ほんとう給與の問題なども根本的には解決できないと思うのですが、たとえば最低賃金の問題にいたしましても、さいぜん次長人事院最低賃金の線を取入れて、三千幾らという数字を取入れていると言われましたが、現在やはり労働組合が要求しておりますのは、五千円ないし五千五百円の最低賃金要求しているわけなので、ここにおきましてもやはり五割くらいの開きがあるわけであります。この開きはあまり大き過ぎまして、根本的考え方をかえていただかないと、多少のことではこれはやつて行けないのじやないかと思います。こういう問題をやはり克明に委員会で御説明願う必要があると思うのですが、非常に簡單な御答弁しかいただけなかつたのですが、とにかくそういう大きな矛盾に耳をおおいながら、頭当り千円できめまして、それを下にして職階制でやつて行こうというお考えは、どうも私ども納得できないということをつけ加えておきます。それから收入の面ですが、昨日あなたが御説明なさつた場合の地方起債の問題です。預金部から出す可能性があるというふうに言われたのですが、可能性があるということはどういうことなのか。もし平衡交付金で不足する場合は、地方財政委員会要求起債ででもまかなう可能性があるという意味なのかどうか、これを承りたいのであります。
  16. 東條猛猪

    東條政府委員 後段の地方起債の問題でありますが、昨日申し上げましたことは、かように申し上げたと思つております。資金運用部といたしましては、資金はもちろん四百億でなくて相当たくさんあります。しかし資金運用部の運用計画というものが定まつておりまして、その限りにおきましては地方起債は四百億というわくが定まつております。これは関係方面の意向等がありまして、これに至りまするまでは、いろいろ話合いが重ねられておるのでありまするが、現状におきましてこの四百億円のわくをとつぱらうということは困難でありますということを申し上げたつもりでおります。それで、もしかりにこの四百億のわくをとつぱらつて、その金額を増すということであるならば、二十六年度予算一般会計予算、特別会計予算政府関係機関予算ないし資金運用部の資金、見返り資金の資金という全体といたしまして、総合均衡、いわゆる資金の收支におきましては中立性を堅持するという方針をとつております関係上、四百億を増せば資金運用部の方のほかの部門を、それに応じてひつ込ませるということでなければ、この総合均衡收支という建前をくずさない限りはできないということを、昨日お話申し上げたと思います。何も地方財政平衡交付金が不足をしたならば、すぐ地方起債のわくの四百億を拡張して、それによつてカバーできるという趣旨のことを申し上げたのではございません。
  17. 立花敏男

    立花委員 起債の問題でお聞きいたします前に、去年の起債でちよつとお聞きしたい点があるのですが、去年の起債は幾らお出しになりましたのか。それで現在もうお済みになつたのかどうか、それを伺いたい。
  18. 東條猛猪

    東條政府委員 まことに恐縮でありますが、主管が銀行局の方でございますので、私実績等詳細を承知いたしておりませんが、地方自治庁の方で御承知だそうでございますから……。
  19. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 昭和二十五年度の起債といたしましては、発行の予定額は三百七十億であります。ただ現在までのところ、このわくは全部の承認は済んでおりませんで、若干残つておりますが、詳細は資料がございませんので……。
  20. 立花敏男

    立花委員 その問題は非常に不可解なのです。私ども三百七十億と初めて聞いておりましたのですが、三百億しか現在出ていない、今数字は申されませんでしたが、その問題は片づいていないのじやないかと思います。未承認をはたして承認を得られる見通しがあるのかどうか、承認が得られない場合はどうなさるのか、これを一つ承つておきたい。
  21. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 二十五年度の起債の額の三百七十億は、わくとしての承認は得ておるわけであります。今認可しておらないと申しましたのは、地方財政委員会としての地方に対する個々の起債の認可であります。これは若干——大体私の記憶では十二、三億残つておるのであります。これはもちろん年度内に全部認可する予定であります。
  22. 立花敏男

    立花委員 私ども危惧しておりましたのは、三百七十億と三百億との差額の七十億が宙ぶらりんになつておるのではないか、池田大蔵大臣のお話では最初三百七十億という話があつたのであるが、向うさんの人がかわられまして、あとの七十億はまだはつきり話がついておらないのだということでありまして、この七十億は実は地方に行つておらないのではないかと理解しておつたのでありますが、三百七十億の話はついたわけでありますか。
  23. 武岡憲一

    ○武岡政府委員 その通りであります。
  24. 立花敏男

    立花委員 あとにもどりますが、ただいまの次長お話は納得の行けない点があるのでありますが、中立予算の建前をくずさなければ出せない、くずせば出せるのだということでありますが、一体中立予算という意味が私にはわからないのであります。資金運用部の金を見ましても、ほかのところへ割当つていない金があるわけであります。中立予算の建前をくずさなくても、まだ余つておる金があるからまわせるのではないか、そう思うのですが、くずさなければいけないというのは、次長お話ではもうみな割当つてあるから、それをくずさなければならないとおつしやるのですか、割当てるというのは、どこにも割当てないものを含めて割当てられるとおつしやるのか、割当てない金もあるということを考慮の上とで言つておられるのか、もし割当ててない金があるとすると、建前をくずさずに私は地方債の方へまわしていただけるのではないかと思いますが。
  25. 東條猛猪

    東條政府委員 予算の中立性ということを申し上げましたのは、先ほど申し上げました通りに、資金運用部の資金收支計画だけでなく、一般会計、特別会計、それから政府関係機関、見返り資金、資金運用部、それら全体を通じました国庫收支の問題であり、従いまして資金運用部の方の計数が、かりにお話のように資金の割当未済のものがあつたといたしましても、それを使わないということで、全体としての総合均衡がとれておるという趣旨のことを申したわけであります。
  26. 立花敏男

    立花委員 大分中立性が広くなつて来たのでありますが、一般予算を含んでの中立性ということになりますと、非常に漠然とした形の中立性になると思いますが、きのうのお話では、やはりそうではなく、資金運用部に集まつて来るいろいろの金、あるいは広げましても特別会計だけの問題をお話になつてつたように承つてつたのであります。そういたしますと資金運用部に余つておるどこへも割当ててない金、これ自体も実は中立予算の一環なのだ、そういうふうにお考えでありますが、これを地方起債にまわせば、中立性がくずれるというお考えのように承るのでありますが、私どもは遊んでおる金であり、特定財源に充てて行く金でなければ、地方起債にまわしても中立性はくずれるものじやないと思うのです。こういう金を遊ばしておいてかえつて地方財政が破綻するというような形になりましては、かえつて角をためて牛を殺すようなことになりまして、全体の予算がくずれて来るのじやないかと思うのでありますが、この集まつた、どこにもあてのない金を使うことすら、中立予算をくずすということになるのかどうか、これをひとつ承りたい。
  27. 東條猛猪

    東條政府委員 予算の総合牧支支均衡ということは、ひとり資金運用部の問題ではなくて、一般会計、特別会計、政府関係機関予算、見返り資金、預金部を通じての問題であるということは、昨日来申し上げておるつもりでありますので、もしさような、今御発言のございましたような趣旨に解釈ができるような私の説明ぶりでございますれば、その点訂正さしていただきたいと存じますが、私といたしましては、終始一貫そういうふうに申し上げておる所存でございます。なお総合予算の收支均衡を今申し上げましたような広い範囲に及ぼしておりまするのは、昭和二十六年度だけではなくて従来ともいわゆる総合收支均衡という意味におきましては、そういう考え方のもとに総合收支の均衡ということを、一つの眼目といたしまして、予算の編成が行われておるということを申し添えさしていただきたいと思います。  それで資金運用部の資金の計画に余裕があるのではないか、こういうお話でありますが、御承知のように昭和二、十六年度の資金の原資といたしましては、千五百五十億を考えております。このうちには前年度からの繰越しの六百六十六億を繰越しております。ただいま一応定めておりますところの昭和二、十六年度におきまする資金運用部の右申し述べました原資の運用計画は、この中は、もちろん地方債は四百億でありますが、ということで考えてみますると、翌年度、昭和二十七年度への繰越しは四百三十億になる。従つて前年度からの原資の繰越しの六百六十六億を翌年度べの繰越しで四百三十億にいわば減らしておるという意味におきましては、先ほど来お話のありますように、割当のない金があるのじやないか、こういう御趣旨でありまするが、私どもといたしましては、繰越しの金額を減らしましてまでも資金運用部の運用計画をなるべく実情に即したものでやつて行きたいという考え方をいたしておるわけでございます。従いまして地方債の四百億を少し増したつて、総合收支の均衡がくずれないのではないかという御意見には同意いたしかねる次第でございます。
  28. 立花敏男

    立花委員 しかし繰越金というようなものは、ぜひとも地方財政に必要だということがはつきりすれば、お出しになつていいのじやないか。こういう予備的な金をおつくりになつておくのも、そういう緊急な必要不可欠なところにお使いになるために残してあるので、これは必要があれば当然出すべき金じやないか。ただ形式的に越繰金を残さなければならなぬということは、私は成り立たないと思いますので、これはお出しになる必要があるのじやないか。特に私ども地方財政委員会からお出しになりました意見書の理由を承りますと、これは木村さんもおいでですが、非常にはつきりしたことが書いてございまして、もしこの平衡交付金の増額ができなければ、地方行政は大きな混乱を来すおとが予想されるこいうような最大級の形容詞までつけて要求されておる額でございまして、こういう問題に使います金を、二七年度への繰越金の中からお出になりましても、私は消して国の全体の予算の収支の均衡がとれないとか、あるいは中立性が阻害されるとかいうことは言えないと思うのですが、これを平衡交付金の方に出す、地方財政委員会要求を満たすために出せば、具体的にどういう点で国の収支が乱れるのか、それを具体的詳細に承らぬと、どうも納得できません。目の前に四百三十億もあるのですから、これを使えば収支が乱れて予算の均衡が破れるのだということは、詳細御説明がなければ納得できない。大蔵省財政委員会との平衡交付金の食い違いにいたしましても、全額認めたといたしまして百九億なんでございまして、百九億出しますと、この余つております四百三十億から引きましても、来年度への繰越しはまだ三百二十一億あるわけです。三百二十一億になれば均衡が保てないのだということは、どうも納得できないのですが、この点はどうなんですか。
  29. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほど来二十六年度の資金運用部の計画を申し上げておるのでありまするが、もちろん御承知のように資金運用部の金というものは、任意的に出せるものではないのでありまして一応こういう目標を立ててやつておりまするが、郵便貯金にいたしましても、簡保にいたしましても、原生保險にいたしましても、各種の財源によりまして、この程度の金が、必要なとき集まるかどうかということにつきましては、相当の問題がございます。そういう意味におきまして四百三十億の金が余つておるからまわしたらいいじやないかという御趣旨でありまするが、予定通り行くならば、それはこの程度の原資が集まるであろう、従つて見込み通りの運用をいたせば、この程度の繰越しがあるであろうという、いわばここらは一つの見込みが相当入つておる。従つてこの繰越しの四百三十億というのは、現実にそこにまとまつた金があるのじやないということを、これは蛇足でございますけれども申し添えておきます。それからその金を使えば收支の均衡が乱れるというのは、納得が行かぬというお話でありまするが、先ほど来申し上げておりますように、総合收支予算の均衡を阻害するならば、それだけの金が放出超過になるということだけを申し上げておく次第であります。それから内閣の見解といたしましては、地方財政は非常に困難は実情にあろうということは、私ども考えておるのでありまするが、内閣で考えておりまする平衡交付金金額によりますれば、地方財政も何とかしのいでいただけるのではなかろうかという考え方をいたしておる次第であります。
  30. 立花敏男

    立花委員 はたして四百三十億の資金が集まるかどうかわからないとおつしやいますが、今の通貨の情勢、あるいはインフレの進行から見れば、この予定されております千五百五十億の金は、非常に内輪に見積られておると思うのです。この政府予算説明の中にも、実は二千億あるいは二千五百億というような予定の数字も出ておりまして、私ども決して千五百五十億が集まらないような見通しはないと思う。もし集まらないとすれば、そんな集まらないような見通しの予算をおつくりになること自体が、私は間違つておるのじやないかと思いますし、少くとも予算書の中に、四百三十億というはつきりした予備的な金があるのですから、これは問題の焦点をそういうふうにすりかえられないで、お出しになつてもいい金だと思う。この予算書自体が信じられない、これは集まらないかもしれないというようなことになりますと、私どもは根本的に考えをかえなければいけないので、予算書にはつきりお示しになつた以上は、やはりそれはあるものとして、私ども考えなければいけない、そう思うのですが、その点はどうなんですか。
  31. 東條猛猪

    東條政府委員 もちろん原資の増加の見込みでございますから、政府といたしましてその当時の情勢に即応いたしまして最も正確だという見込みをごらんいただきまして、御審議を願つておるわけであります。しかしながら一般会計の歳入におきましても、御承知のように歳入予算と申しますのは、その当時の資料に基きまして最も正確な見込みでございます。いわんや資金運用部の金は、租税のように強制的に徴收していただくというものではありませんので、任意的な要素もありますので、歳入の当時における最も正確な見込みといたしまして御審議を願つておりますので、結果違いは政府の見込み違いであつたということにおきまして、問題は出るかと思いますが、この予算あるいは資金運用計画の大要、これは正式の予算書ではありませんが、そういうことで出したものは、出した以上は必ずこうだという責任をとるべきでないかという御趣旨でございましたらば、そうは参りかねるということを申し上げている次第であります。
  32. 立花敏男

    立花委員 最も正確な見込みだと言われるなら最も正確な見込みでお出しなつた数字で話をしなければそれ以上話の仕方がありません。この四百三十億ということをちやんとあなたの方でお出しなつた書類に書いてあるのですから、この中から百九億お出しになることは、決して私は矛盾しないと思う。大体預金部資金の金がこれは主だと思うのですが、資金運用部の金は地方が優先的に使うべき性格の金じやないかと思う。それがことしの計画によりますと、国鉄とかあるいは国有林野とか、電通とか、こういうところに非常に——去年出てないものをことしは使つているようですが、こういうところにお出しなつたなら、困窮している地方財政にお出しになるのが建前じやないかと私は思う。この金の大部分は地方から集まつて参りました金でございまして、これを地方にその困難な場合に還元するということは原則だと思う。こういうふうな、あるいは興銀とか勧銀の方へも大分貸しておられるようですが、こういうふうな銀行に貸す金があるのであれば、地方に貸すべきだとこう思うのです。しかもそれが余つてないというならともかく、四百三十億も余つておるのですからこれを出さないという法はない。これは地方民といたしましては納得できない金の使い方だとこう思います。この点は資金運用部全体の運用計画の観点から、どうお考えになつておられますか。
  33. 東條猛猪

    東條政府委員 資金運用部に集まりました預金にいたしましても、これはいろいろ表現の仕方もございましようけれども。私は国民の皆さんからお預りした金だと思います。従いましてその資金の運用におきましては国民経済全体、国家経済全体、そういう観点から、どこにこの資金の運用を行つたならば、最も国民経済的に、国家経済的に適当であるかという観点から判断されるべき問題でありまして、もちろん御趣旨のように地方債の引受けということは重大なことでありますが、それのみをもつてこの資金運用部の計画というものは立てられるべきものではないというふうに考えております。
  34. 立花敏男

    立花委員 それのみとい申しておりません、銀行へ貸してやる金と地方起債とが同額だということは納得ができない、銀行から集まつて来た金ではありません。銀行を通じて集まつているかもしれませんが、大部分はやはり一般の勤務大衆の金であるということは間違いないわけです。この中に含まれておりますものは簡易保險の金、厚生年金の金、船員保險の金、あるいは小さい漁船の保險の金あるいは労働災害の金、こういうふうに、ほんとうに血の出るような勤労者の金でございまして、それを銀行へ四百億貸しながら、地方債は金があつても貸さないというのであれば、これは話が違つて来るのじやないか。地方からいたしますと、この金はどうしても地方に還元してもらいたい、現在のような特に地方の苦しい状態から申しますと、地方から集めた金が余つているならば、地方に返してもらいたいという気持は、私は当然だろうと思う。私は決してほかに貸してはいけないとは言いませんが、少くとも金の余つておる部分があるならば、地方の困難な状態に対して貸すべきであると言つておりますので、話の要点をすりかえないように、ひとつ答弁を願いたいと思う。
  35. 東條猛猪

    東條政府委員 私は先ほど来資金運用部の金は、国民経済的に最も重要な用途に向けらるべきものである、そういう日本全体の観点から考えるのが筋であろうということを申し上げておるのでありまして、この金融債の引受けがかりに四百億行われますならば、この金は金融機関を通じまして、現在の日本の経済力を充実いたしますために、最も必要な産業各部門にこの金が流れて参るのでありまして、そういう運用をいたしますことが資金運用の一つの部門といたしまして、二十六年度における国民経済全体の観点から必要である、こういう考え方からこの金融債の四百億の引受けが行われておる、かように存じております。
  36. 立花敏男

    立花委員 銀行に貸して銀行にこれを渡しましても、実は地方公共団体にはなかなか入りません。入ります場合も非常に高い利子を拂つておる。一例を申しますと、東京都ではこの間二十億の平衡交付金を取上げられまして、それを市中銀行で借りておるのですが、そうなりますと、今まで二千万円で済んでありました利子が、六千万円もいるというような形で、銀行の貸しました金は非常に高い利子を拂わなければ、地方の公共団体に入つて来ないというこうが現われておりまして、銀行に出した金が地方の公共団体に入るのは、なかなかそううまくは行かないわけなのです。関連しまして地方債の利子の問題ですが、預金部の金は国民か預かりますときは二分七厘くらいの安い金で預かつておりますが、地方では非常に高い利子を拂つております。ひどいのになりますと、八分とか九分というような利子を拂つておるところがあるのですが、これは非常に財政上にも困りますし、地方民に與えます影響も非常に悪いと思う。国家が何か非常に利ざやかせぎをやつておるというような感じがするのですが、預かつただけの利子でお貸しになるお考えはないのか、もちろんそれには多少の費用の点もあるでしようが、あまり差がひどいので、この点をひとつ聞いておきたい。
  37. 東條猛猪

    東條政府委員 原資のコストと、資金運用のコストとの間の幅が多過ぎやしないか、こういうお話であります。なるほど郵便局の窓口でお預かりをいたしまして、それに付せられる利率自体と比較いたしますと、相当な開きがございまするが、御承知のようにいわゆる郵政事業特別会計で、この費用を扱つておるわけでありますが、これには相当の人件費、物件費等がかかりまして、郵政自体は御承知のように非常な赤字になつております。そうして郵政事業のその赤字につきましては、一般会計から臨時の措置といたしまして、この資金を結局みな見ざるを得ない。その間に新しい方法によりますれば、郵便貯金特別会計というものを介在いたさせますが、結局一般会計からまわるというようなかつこうに相なつておりまして、資金運用部の運用の建前といたしましては、決して国家がその間で利ざやをかせぐとか、マージンをかせぐとか、そういう方針は従来におきましても、とつておらない次第であります。御承知のように長期にいたしましても、かつて九分四厘程度の金利でございましたのを、その後機会あるたびに引下げを行つておりまして、最近はたしか六分五厘見当まで下つてつたのじやなかろうか、私どもといたしましても、御趣旨のような方針で、国家がマージンをとるべきでない、むしろ一般会計におきまして、ある程度のコスト、赤字をかぶつても、そういう建前のマージンをとるというような考え方では運用しておらない、こういうことを申し上げておきます。
  38. 立花敏男

    立花委員 それでは預金部資金の金は、どうしても地方には貸してやらないとおつしやるのだと思いますが、実はこの余つております金、使い道のない金は預金部資金、資金運用部の金だけではなしに、ほかにも非常にあるわけなので、政府は何でこんな余つた使い道のない金を、あるいは使い道のわからないをたくさんとつておるのか、私には不可解なのであります。たとえばさいぜん申されておりました見返り資金の金ですが、見返り資金の金の中にも、予算委員会でも政府が使い道を説明しなかつた金が、七百五十四億ですかあるのですが、これは一体どこで使う金なのか。経済再建費と申しますのは、どこで使う金なのか、御説明願いたいと思います。これが地方産業の復興とか、あるいは地方の公企業とかいうものには出せない金なのかどうか、伺いたい。
  39. 東條猛猪

    東條政府委員 地方行政委員会で申し上げまする問題と、やや離れておるのでなかろうかと思いますので、私から簡單に申させていただきますが、たとえば対日援助見返り資金の余裕金は、現状にきまして、必ずしもその全部の引当がきまつていないとことは、おつしる通りであります。金額からすれば、CIEの図書館でありますとか、あるいは学校兒童の給食用の紛ミルクの金とか、十数億の引当てはありますが、大部分は引当がきまつておらないという金でございます。またいわゆる国庫余裕金と申しておりますが、それらにおきましても、年度の経過の途中におきましては、国庫の余裕金がありますことも事実であります。  それから先ほど来御指摘のございます預金部資金におきましても、もしすべて計画通り動けば、そこに余裕金が生ずることも、これまた事実であります。しかしながら、そういう金は結局先ほど来るる申しておりますように、昭和二十六年度の全体の総合予算の均衝、現在の財政金融政策の観点からいたしますならば、資金の収支を中立的ならしめるという観点からいえば、そういうある程度現実に購買力となつて発動いたさない金を前提といたしまして、現在の財政金融政策が成立つておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  40. 立花敏男

    立花委員 どうもそれでは納得できません。どこへ使うかわからない、引当てがきまつていない金が多分にある。それがこの予算の中立性だと言われましても、それは納得できないのです。あなたは見返り資金の金の問題は、地方財政関係がないとおつしやられますけれども、あなた自身が言われたのじやないですか。一般会計まで含めて、預金部資金の金も、見返り資金の金も全体を含めて中立性なんだ、収支の均衡だ、だから出せないのだとあなた自身言われたから、当然これは問題にすべきじやないかと思つて、私は取上げて問題にしたのでありまして、これはやはり御説明願わなければ困る。具体的に申しましても、さいぜん申しましたように、見返り資金の運用、預金部資金の運用にいたしましても、実は見返り資金の運用に肩がわりしました部分が多分にあります。従いまして、もし見返り資金の中に、あなたの言われるような引当て先がない金が多分にあるのなら、預金部資金の金をその方に肩がわりいたしますれば、預金部資金の方にどんどん余裕が出て参りまして、地方起債にまわす金もできて来るというふうに、現実的につながつておる問題でありますから、地方財政関係ないというようなことはおつしやらずに、はつきり説明していただきたいと思います。しかも見返り資金の中で、引当てのない金と言われますものが非常にたくさんあるわけです。たとえば七百五十四億の再建費と申しますのは、その大部分が引当てのない金なんで、七百五十四億の金が引当てがいなということは、これが中立性だと言われても納得できない。こんなに引当てのない金があるなら、預金部資金で使つておる金をこれに肩がわりいたしまして、預金部資金の金を地方にお貸しになればいいじやないか。なぜこんなに引当てのない金をとつておかなければならないか。予算の中立性と申しますことは、こんな使い先のわからないような金を、何百億もとつておくことが中立性なのか、これをひとつ説明願いたいと思います。
  41. 東條猛猪

    東條政府委員 予算の中立性と申しておりますのは、総合予算の収支の均衡、全体を通じましての均衡、従つて收入超過、支拂い超過ということをなるべく起さないということを、便宜上中立性という言葉を使つて申し上げておる次第でありまして、仰せの通りに、たとえばこの預金部運用資金の方に引当てのない金をとつておくということも、それの一つの要索であると考えております。
  42. 立花敏男

    立花委員 引当てのない金の中から、約百億くらいの金を出せば中立性が破れるというお考えならば、引当てのない金があまりに多過ぎますので、どうも納得できない。預金部資金の金で三十億、あるいは見返り資金の中で引当ての金が七百五十億、こういう何千億という金が余つておるのに、どうして出せないのか、その点を伺つたのです。わずか百億で中立性が破れるというものでもないと思いますが、具体的にどういう点で破れるのか、具体的な事実で御証明願いたい。
  43. 東條猛猪

    東條政府委員 仰せのように、百億でございましようとも、あるいはそれ以下の数字でございましようとも、資金の支拂い超過は支拂い超過でありまして、なお今後のいろいろの経済金融情勢に対処する意味において、嚴に予算の中立性、收支の均衡を保つて行きたいという考え方からいたしますれば、それだけ收支の均衡が破れるということになるわけでございます。
  44. 立花敏男

    立花委員 それは單なるりくつの上のりくつでありまして、それによつて実際上資金の運用が困るということは私はないと思う。それで具体的な例をとつて申しますが、警察法の改正が今問題になつております。これによりまして、二万の国家警察が増員される。そうなると、少くとも五十億ないし六十億の金がいるわけです。これは今の予算の中からどうしてお出しになるのか。出したらやはり均衡がくずれて来るというので、お断りになるのかどうか。しかも国家警察の二万と申しますのは、最小限二方でありまして、そのほかに自治体警察を吸収いたしますと、国家警察は何万ふえるかわからない。この金を一体どこからお出しになるのか。これはおそらくお出しになるだろうと思うのですが、そういう金をお出しになつても、地方財政が非常に困つており、あるいは地方公務員ベースをああいう形で押えておきながら、これだけ余つてつても出さない。警察の方には出しても、地方の交付金には出せない、あるいは地方起債も許せないというお考えなのかどうか、承つておきたい。
  45. 東條猛猪

    東條政府委員 政府といたしましては、警察法の改正につきまして、まだ成案を得、予算との関係をいかに処理するかということを決定いたす段階に至つておりません。将来警察法の改正の方針が確定をいたしまして、それと予算との関係をいかに処理するかという問題が起りましたときに、予算的問題として処置をいたすという方針になつておりますので、ただいまのところそのようにお答えを申し上げたいと思います。
  46. 立花敏男

    立花委員 問題は、最後には平衡交付金の問題になるわけですが、この平衡交付金の問題の国会における扱い方についてであります。なるほど予算書には附記として出ておりますが、予算書に出ております附記の扱い方の問題は、たとえば国会といたしましても、この地方行政委員会におきましても、当然問題にしなければいけないと思うのですが、そういう点で、附記をお出しになりました地方財政委員会といたしましては、どういう扱い方がよろしいとお考えか、それを承つておきたい。
  47. 木村清司

    木村(清)政府委員 それはおそらく国会でおきめになることと存じますが、私どもといたしましては、私ども意見が通るように、必要の措置をおとりになることを希望いたしますが、これは国会でおきめになることでございますから……。
  48. 立花敏男

    立花委員 それでは委員長にお聞きしますが、委員長としては、この問題を委員会としてどういうふうに解決なさるおつもりなのか、これは非常に重要な問題でございますので、扱い方をひとつつておきたいと思います。
  49. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 問題にしておることは、こうやつて審議していただいているのでおわかりの通りです。その結論は、また委員の皆さんの御意思に従つてやるべきであつて、それは私の個人の意見で動くべきものではないと思つております。
  50. 立花敏男

    立花委員 結論はとおつしやいましたが、何かの形で委員会として結論をお出しになるおつものなのかどうか、それを承りたいのであります。
  51. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それは先ほど来申し上げておりますように、私から申し上げるわけには行かないのです。これは皆さんの委員会の御意思に従つてきめて行かなければならないと思つております。
  52. 立花敏男

    立花委員 私は結論の内容を申しておるわけではないのです。委員会としてやはりこれは結論を出さなければならない問題だ。結論を出すようにお扱いになるというふうにお考えであるかどうか。結論の内容を申しておるのではありませんで、結論を出すように委員会の議事をお運びになるつもりか、それを聞いておるのであります。(「そんなら諮つてきめろ」と呼び、その他発言する者あり)
  53. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これは先ほど来申し上げておりますように、どういう結論が出るかについて、何も私個人で動く問題ではないのですから、これは申し上げられないのです。
  54. 立花敏男

    立花委員 私が言つておりますように、結論の内容についてお聞きしておるのではなしに、議事の進め方として、結論をお出しになる進め方をなさるのか、それを伺つておるのであります。
  55. 大泉寛三

    ○大泉委員 連日にわたつて審議しておるこの委員会も、毎日きわめて出席が悪く、審議するにしても、大多数の委員の顔ぶれがそろつていれば、重複もなく、また国民の聞かんとする質問を発するのでありますが、どうも少数の委員で、しかも特定の問題を繰返し繰返しやつていてまた委員会が始まると同じことを繰返す。これでは委員会審議が遅々として進まないばかりでなく、委員会の権威にもかかわると思う。われわれどうもこういう審議状況ではまつたく不満にたえない。どうかひとつ委員長において適当に委員会の権威を高め、また審議能率を上げてもらうことを要求いたします。
  56. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 具体的には……。
  57. 大泉寛三

    ○大泉委員 具体的にはとにかく委員の相当数そろつたときに、委員会を開いてもらう。どうもあまりだらだらやつていないで、やはりきちんとやつてもらいたい。
  58. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 申合せとしては、火曜、木曜、金曜というので、やつているのですが……。
  59. 大泉寛三

    ○大泉委員 ところがそれ以外の日にもやるでしよう。
  60. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 この前のあれは、警察小委員会から委託があつたので、それで速記のためにやつたので、本委員会としては、火曜日、木曜日、金曜日というのを定例にしてやつて来ている。
  61. 大泉寛三

    ○大泉委員 やはりこれは委員会の意向として聞くのですから、なるたけ委員会の成果を上げてもらうようにし議員一人として聞くならば、政府委員と立ち話でやつたつて聞ける。そういうことを委員会の名において、こうして時間をだらだらつぶされることは、やり切れないと思います。この点委員長の裁量によつてよろしくお願いしたいと思います。
  62. 立花敏男

    立花委員 さいぜんの問題はどうですか。
  63. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 皆さんの御意思によつて議事を進行するだけですから、それ以上のことは私の立場として申し上げるわけに行きません。
  64. 立花敏男

    立花委員 その問題はひとつ明確にするようにお願いいたします。それで実は私もこの間、案を出したのですが、そのときには問題にならなかつたのですが、幸い自由党の方もみんなに諮つたらよいじやないかと言つておられますので、お諮り願いたいと思いますが、この平衡交付金の問題は、非常に重大な問題でありまして、しかも政府側におきまして、大蔵省側意見地方財政委員会意見が食い違つて、それが両方並べて出て来ている。それに対して私どもはやはりいずれかの結論を出すことは絶対に必要だと思います。委員会として結論を出すということを、ひとつおきめ願いたいと思います。
  65. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それはまた審議の結果のあれなんですから、今はそれをきめるわけには行かないと思います。
  66. 立花敏男

    立花委員 まだ審議が進捗しないから、きめる段階には至つておらないということですが、審議が済みました場合には、これは委員会として結論を出すお考えかどうか。と申しますのは、非常に時期が切迫しておりまして、きようの新聞によつても、予算委員会は二十七日に終了するというようなことが発表されておりますが、二十七日と申しますと、もう日がございません。今委員長が言われましたように、この委員会が火曜日、木曜日、金曜日でございましたならば、今度開かれますのは、これはおそらく二十七日過ぎてしまうのではないかと思います。そういうことでは、一体委員会としてはたして十分な審議をした、あるいは責任を果したということができるか、これは問題だと思います。予算委員会の決定が済んでから、この委員会で決定して、どれほどの実績効果が上るかどうか、問題だと思います。やはり結論を出すとすれば、予算委員会がやつているのと並行的に、はつきり結論を出す必要があると思うのですが、委員長予算委員会が済んだあとにおいて審議をやつて、結論をお出しになるのか、そういう点どうお考えですか。
  67. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 ただいまは委員長としては申し上げる段階ではございません。
  68. 立花敏男

    立花委員 いまだその段階でないというのなら、どういう段階が適当な段階だとお考えになつているか。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 とにかくあなたの質疑を終つていただきたい。そうして皆様の質疑がなくなつて、そのあとでいろいろ取扱いについては御相談いたします。
  70. 立花敏男

    立花委員 私質疑を終りまして、その扱いの問題を聞いている。
  71. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 それは理事会なり何よりに諮つてきめることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十八分散会