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1951-08-01 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第63号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月一日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 奧村又十郎君    理事 小山 長規君       淺利 三朗君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    島村 一郎君       清水 逸平君    高間 松吉君       三宅 則義君    宮腰 喜助君       荒木萬壽夫君  早稻田柳右エ門君       松尾トシ子君    深澤 義守君  委員外出席者         大蔵主計官   柏木 雄介君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      玉置 敬三君         通商産業事務官         (通商機械局車         両課長)    畔蒜嘉一郎君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部金融課長) 谷敷  寛君         経済安定事務官         (財政金融局次         長)      前野 直定君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  金融状況に関する件     —————————————
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引続き金融状況に関する件を議題として質疑を続行いたします。ただいま来ておられる政府説明員は、通商産業省通商機械局長玉置敬三君、同じく車両課長畔蒜嘉一郎君、中小企業庁金融課長谷敷寛君、大蔵省主計局主計官柏木雄介君であります。なお後ほど国民金融公庫総裁櫛田光男君、中小企業庁長官小笠公韶君経済安定本部財政金融局次長前野直定君、大蔵省銀行局長河野通一君、同じく大蔵省銀行局特殊金融課長有吉正君が見えることになつております。
  3. 小山長規

    小山委員 通商産業省機械局長及び自転車課長にお伺いしたいのでありますが、この自転車工業振興方策と申しますか、自転車競技法によつて施行者が車券の売上金受取つて、そしてその経費を差引いた残りを、地方公共団体あるいは国庫に金を納付する建前になつておるようでありますが、その国庫に納付された金というものは、自転車競技法によつて同額自転車工業振興のために使うというように、法律条文はなつておるようであります。そこで二十五年度の国庫納付金はどの程度であり、そして自転車工業振興のために使われた費用はどの程度であり、かつその内容はどういうものであるか、及び二十六年度の予算においては、それはどういうふうになつておるか。これを一通りお聞きいたしたいのであります。
  4. 玉置敬三

    玉置説明員 競輪に伴います国庫収入は、二十五年度におきましては約十一億の収入をあげております。二十六年度は目下進行中でございますが、大体現在までに約四億ぐらいの収入があることと思います。これに対しまして二十五年度の予算といたしましては、二億の金が自転車工業改善発達のためにということで計上され、二十六年度におきましては四億二千万円という金が計上されております。その予算内容につきましては、範囲といたしますれば相当広範囲にわたつておりまして、まず輸出面におきましては、各種の宣伝販売拡充に関する費用が数項目入つております。また国内におきましては、合理化施設融資等の問題と相関連いたしまして、自転車工業補助金、それから機械試験所等に関しまする研究費というもの、また自転車関係の発明に関する費用というような点にわたつて進められておりまして、従いまして、これは通商産業省の内部で申し上げますと、機械局において所管するもの、あるいは中小企業庁、特許庁、工業技術庁というような各方面におきまして、自転車工業に関連する産業に、ただいま申し上げましたような費用支出されることに相なつておるわけであります。
  5. 小山長規

    小山委員 この中から自転車産業に対する、いわゆる中小企業融資というものが、この費目の中に入つておるようにただいま申されましたが、この金額をどの程度予算では見ておられますか。
  6. 玉置敬三

    玉置説明員 昭和二十六年度におきまして、商工中金その他の金融機関に対する貸付金といたしまして、二億五千万円計上されております。
  7. 小山長規

    小山委員 ただいま国庫納付金とその予算との問題を数字をもつてお聞かせ願つたのでありますが、競輪法の第十条によりますと、「主務大臣は、前項規定により、納付された金額相当する金額を、自転車改良増産輸出増加国内需要充足に必要な経費支出しなければならない。」こういうふうに書いてあります。そこで昭和二十五年度の収入は十一億であつて、しかも予算は二億である。二十六年度は現在まで四億で、これは国庫納付予定額幾らごらんなつたか知りませんが、予算は四億二千万円、おそらく国庫納付は前年度の実績からすれば、これの四倍ないし五倍になる予定ごらんになつたのであろうと思うのでありまするが、国庫納付金予算との間にこのような大きな食い違いがあるのは、どういう理由でありますか。
  8. 玉置敬三

    玉置説明員 ただいま御指摘のように、法律面からはお話通りのようになつておりまして、通産省といたしますれば、できる限り法律の趣旨、精神に沿いまして出していただくように、大蔵当局に交渉も従来いたして参りました。この予算と実際の収入額との隔たりが相当あるという点につきましては、私から申し上げるよりも、あるいは大蔵省の方から御答弁願つた方がいいのじやないかと思います。機械局といたしますれば、でき得る限りその精神に沿うように努力いたしておるのでありまして、また追加予算等機会があれば、もしその予算内において認められるものがあれば、さらに追加もするというような考え方で従来参つております。その点現状お話通りであります。
  9. 小山長規

    小山委員 主計局にお伺いする前に、通商局のお考えを聞きたいのでありまするが、国庫に納付された金額相当額は、ここに書いてある種類のものに使うのだというこの原則は、おそらく大蔵省通産省もお考えは同じだろうと思います。従つてその予算に現わされたものが、この国庫納付額同額であるということを、あなたの方では主計局担当官お話になつて——この数字一般予算でしようけれども一般予算の中のこれとこれとこれに人つているのだということは、突き詰めておやりになるのが通商局としての責任だろうと思いまするが、その点はお確かめになつておりますか、お伺いします。
  10. 玉置敬三

    玉置説明員 全般的の費目について、自転車関係とされて計上された以外に、どういう費目に入つているかということは、これはちよつと私どもの方から申すのはむずかしいことなのでありますが、機械局といたしましては、私どもの立場から、ただいま御話のありましたような精神に沿いまして、予算折衝を常にいたして来ております。費目的に、最終予算におきまして、ただいま申し上げました二億、あるいは六億に相当する以外の分において、その納入されました金額がどういうふうに入つているかということは、これは一般歳入になりますものでございますから、どの面に入つたかということは指摘することは実は非常に困難なことで、一般歳入といたしまして、あるいは通産省全体の予算とか、あるいは各方面に計上されているものと利は想像いたしております。
  11. 小山長規

    小山委員 これは私の質問本筋ではないのでありますけれども、第十条に、政府に納付された金額相当する金額自転車工業振興のために使うのだという法律があるのに、これを非常に軽く考えておられるような傾向があるのではありませんか。そうでないと、ただいまのような説明にはならぬと思う。これは法律の読み方はとにかくとして、ここに明文として、国庫に納付された金額相当する金額——これは同額という意味だろうと思う。同額を必ずここに書いてある自転車関係費用に充てなければならぬという法律があるのに、それをいいかげんに、どこに入つているのかわからんということでは、これは私は機械局長としての責任を果されていないと思う。その点をどうお考えですか。あるいはそうでないという法律解釈があるのですか。
  12. 玉置敬三

    玉置説明員 法律解釈から見ますと、まさしくその通りなのでございます。私どもは、それがお話のように、法律内容従つて自転車工業改善のために還元されることを、きわめて強く要望しているものでありますが、これをつくりました過程その他その後の歳入状況、あるいはこういう目的性的な考え方がいいかというような点につきまして、いろいろな方面から実は批判があつたことも、過去における事実なのでございます。そういういろいろな点が集積されまして、こういう結果になつているものと想像いたしておるのであります。
  13. 小山長規

    小山委員 この点はあと主計官にお伺いすることにしまして、それでは本筋の方へ入りますが、承るところによると、日本輸出産業のうちで、昔から紡績その他と並んで、いわゆる中小企業輸出として一番重きをなしていたところの自転車工業というものは、第二次大戦後、イギリスとの競争にどんどん負けておるというようなことを、われわれ聞いおるのであります。ところがこの朝鮮事変後の情勢において、イギリス軍備拡張に臨んだために、だんだんイギリスに対する競争力か、日本の方で復活して来る情勢にある。そこでこの際日本自転車産業というものに対して、政府金融面あるいはその他の面において、相当な援助といいますか、バツクを与えるならば、早急に第一次大戦後のような状態に復活する希望があるというようなことを、聞いておるのでありますけれども、それらの情勢については、機械局としても同じようなお考え方でありましようか。それともまだ今後、イギリスとの競争はなかなか打勝てる状態に当分ないというふうに、お考えになつているのでありましようか。その辺の、あなたの方のお考えを承りたいと思います。
  14. 玉置敬三

    玉置説明員 お話通り日本自転車工業競争相手は、イギリス製品というものが非常に強いものであると思つております。将来国際場裡日本自転車工業がさらに進出するためには、イギリスその他に負けないように、改善努力、くふうして行くことはやらなければならぬことだと思つております。従いまして、先ほど申し上げました自転車工業に対する改善費目の中におきましても、輸出振興のために相当金額をさいておるのであります。国内自転車宣伝のみならず、ただいま御指摘のような海外における競争品の見本を収集いたしまして、それを国内に持ち帰りまして、これを材質の面あるいは機構の面、その他あらゆる面において分析研究いたしまして、日本自転車をそれ以上のものにあらしめたいということから、研究をおさおさやつておるわけでございます。自転車工業は私どもきわめて重要と考えておりますので、今後におきましても十分その発展のために、助力をして行きたいという考えを持つております。
  15. 小山長規

    小山委員 そこで本筋に入つてお伺いしたいのでありますが、先ほど伺いました国庫納付金に対する予算額は非常に少い。この問題に入るのでありますけれども、そのような重要な産業であり、かつ、この際活を入れれば、相当輸出能力を持つて来るであろうというような企業に対しまして、この法律精神沿つて相当程度——これは補助でなくても、あるいは金融の面から、ただいま商工中金を通して、二億五千万円ばかり自転車企業に対する融資をやつておられるようでありますが、この融資を増額することによつて設備合理化をはかるとか、あるいはその他の競争力を増すような方策を、政府としてとられるべきではないかと思うのでありますけれども、この辺は通商産業省としてはどうお考えになつているか、お伺いしたいのであります。
  16. 玉置敬三

    玉置説明員 商工中金その他に対しまする金融機関に対する貸付金は、本年度実は初めてやつた制度でございます。まだ実績その他は判然といたしておりませんが、現在それぞれ商工組合中央金庫、その他数行の銀行貸付金を割当いたしまして、需要者をはかつてみましたところ、実は約十億円くらいの希望といいますか、融資申込みがあるのでございます。それに対しまして、現在予算的に認められましたものが二億五千万円ございます。共同施設その他に対する合理化関係資金もございまするので、いろいろその辺の事情考え合せまして、現在の需要申込みから見ますると、私ども四億くらいの金が不足するのではないか、こういう考えを持つております。従いましてもし補正予算その他においてこれが認められますならば、ただいま御指摘のように、自転車工業は、全体といたしますれば、きわめて中小工業の多い産業でございますし、また現状におきましては非常に合理化をいたしまして、さらに改善しなければならぬ点も多々残つておりまするので、それらの問題につきまして協議その他が相ととのいますならば、さらに四億くらいの金を出すことがきわめて適切ではないかということから、今回補正予算におきましても約四億に相当するものを要求して、目下折衝中であります。
  17. 小山長規

    小山委員 柏木主計官にお伺いしますが、先ほど来、自転車競技法の第十条の問題について、通商産業省機械局長説明を求めましたところが、どうもはつきりしない。この法律の制定の際におけるいきさつはともかくとし、またその後におけるいろいろな批判もともかくとして、法律上は明らかに国庫に納付した金は、自転車産業還元しなければならぬという法律になつておる。それで実際に予算化された場合に、昭和二十六年度は収入予算幾らごらんになつたのか。そしてまた支出予算は四億二千万円しかないようでありますが、その差額一般予算のどこにそれが出ておるか、お伺いしてみたいのであります。
  18. 柏木雄介

    柏木説明員 二十五年度の歳入につきまして、予算幾ら見たかということは、手元に資料がありませんが、二十六年度はたしか十一億七千万円計上してあると思います。
  19. 小山長規

    小山委員 収入の方はわかつたが、それを法律上、全額還元するということになつているので、どの費目にどのくらい使うのですか。
  20. 玉置敬三

    玉置説明員 ただいま自転車競技法の第十条に、「主務大臣は、前項規定により、納付された金額相当する金額を、自転車改良増産輸出増加国内需要充足に必要な経費支出しなければならない。」と書いてございます。納付された金額同額をこの方面に使わなければならぬということは、法律上はつきり書いてあると存じます。ただこの経費の使い方につきましては、直接自転車産業還元するものと、それから間接的に自転車需要増加、あるいは輸出の増進に使われる金がいろいろございますので、今のところ直接自転車産業振興輸出増加等に使われます金は、二十五年度予算では二億円程度計上されております。それから二十六年度予算では四億二千万円計上されております。これは先ほど機械局長からお話のあつた通りでございます。これにつきまして今、機械局長から補正予算要求をなさるというお話でしたが、先月から補正予算につきまして私どもの方で審議いたしておりますが、結論はまだ出ておりません。
  21. 小山長規

    小山委員 私はこの補正予算についてもあとお話申し上げたいのでありますけれども、その前に、法律上そうなつておる以上は、主計官としては少くともわれわれ国会から説明を求められた場合には、一般予算の中のどこに入つているんだ——予算の中に明らかに出ておるのは四億二千万円、それから収入予算を十一億七千万円と見られた以上は、その差額の七億五千万円というものについては、国会側からの説明を求められた場合には、この費目と、この費目と、この費目に出ておるのだという説明はぼくはあつてしかるべきものであると思うのでありますが、それはわかりますか、わかりませんか。
  22. 柏木雄介

    柏木説明員 直接自転車産業還元いたします金額につきましては、明細を後ほど差上げてもよろしゆうございますが、間接還元せられた支出のものにつきましてはれ具体的にどれがどうなつておるかということについては、資料をつくるのは困難だと思います。
  23. 小山長規

    小山委員 しかし一般予算の上で、法律の上で、これだけの金額はこれこれの費目還元しなければならぬという法律上の義務事項だろうと思う。政府を拘束しているわけです。その政府を拘束しておるものが、予算の上においてわからないというのは、結局自転車産業費用使つたのか使わないのかわからぬということと同じ意味なんじやありませんか。間接とおつしやるけれども間接費用にしろ、少くとも予算の上においては、出て来なければならないはずです。その点はどうお考えになるのですか。
  24. 柏木雄介

    柏木説明員 間接的に還元する例として、いろいろあるかと思いますが、ただいま輸出増加の例としましては、輸出信用保険資金であるとか、あるいは中小企業関係経費としましては、国民金融金庫に対する貸出しとか、いろいろ自転車関係者に対する自転車振興関係経費があると存じます。
  25. 小山長規

    小山委員 それは結果的にはそういうことになりましようが、政府が意識的にこれを還元するという意識のもとにおいてやつて行くのが、本筋だろうと思う。つまり間接にしろ何にしろ、少くとも国会から質問を受けた場合には、これはこういうふうに還元されておるのである。相当額を返すということになつておるのだから、その相当額というのはこれこれであるということにならなければならぬ、これは政府を拘束する条文です。だから政府は拘束されているはずなんでありますから、これこれのものに還元しておる。従つて法律違反をしてはいないということは、説明をされなければならぬはずである。ところがただいまのところわからないという話でありますが、いずれわかるような方法を、この補正予算その他においてとられるでありましようから、この問題はわからないとおつしやるのをいつまでも追究するわけにも参りませんで、ともかく拘束されておるのであるが、わからぬのである。こういう御答弁だと解釈して、この問題はこれでおしまいにいたします。  先ほど機械局長から伺つたように、この際自転車産業を復興する、あるいはこれに活を入れるということは、イギリスとの競争力を増すということになるのであり、かつそれは来年度とか、さ来年度ということでは間に合わないのであつて、こうしなければいかぬという非常にアーネストな事情があるようにわれわれは伺つておる。従つて補正予算において、この補助金を増すとか、そういう点はともかくとして、中小企業金融に対する一環として、商工中金その他を通じての金融問題について、金融の緩和あるいは設備合理化資金の融通という面において、主計局として真剣にお考え願えるかどうか。その辺のお考えを伺つておきたいのであります。
  26. 柏木雄介

    柏木説明員 先ほど申し上げましたように、通産省から予算要求が出ておりまして、私の方ではずつと審議いたしておりますが、いまだに結論は出ておりません。いずれ結論が出ました上で、御答弁したいと思います。
  27. 小山長規

    小山委員 結論が出る前の——出てからの答弁ならば、もうこれは議会刷りものを見ればわかるのでありまして、あなた方のお気持を伺つているわけであります。つまり中小企業金融に対する一環として、大蔵委員会相当これを重視しているわけなんです。そこでこういうふうな法律もあることであるし、そうしてまた現実収入もあるのであるから、これを中小企業に対する還元あるいは金融としてお考え願えるかどうか。あなたの方の熱意のほどを伺つているのであります。結論が出てからのものは、刷りもので拝見いたします。
  28. 柏木雄介

    柏木説明員 自転車納付金自転車産業のために最も有効に使う方法として、金融に持つて行くということは私はまあ一番よいと思います。将来もこの納付金の金は、その方に持つて行くのが一番いいのではないかと考えます。ただ今回の補正予算で四億円の要求がございますが、これを補正予算において貸付金を増額するかどうかは、一つには歳入の面の納付金歳入を現在見ております十一億七千万円より、どれほどふやし得るかという問題にかかつて来るかと思います。歳入予算をふやすとすれば当然歳出予算もふれるかと存じますが、御承知のように補正予算というものは、非常に圧縮するというか、事項を選定してつくりたいというのが私の聞いております方針でございますので、すべての歳入を一々洗い直して、これはふえた、これは減つたとやつておりますと、補正予算編成の作業があまりにも時間がかかつて、ことに関係方面との折衝にあまりにも時間を費しますので、今回の補正予算ではなるべく事項を厳選してやる。その厳選せられた費目の中に、この自転車関係予算が入るかどうかは、ちよつとまあむずかしいのじやないかというふうに考えるものであります。
  29. 小山長規

    小山委員 柏木主計官のおつしやることは、ひもつきだという前提のもとにお話になつておるようであります。ひもつきならば当然これはやらなければならぬ。収入予算を今度の補正予算において見るか見ないかということを論ぜられるならば、これはひもつき予算であるから、最初から十一億円の収入予算があるとすれば、十一億円の還元予算をとらなければならない。それを見ておられない。どういう行きがかりがあるか知りませんが、あなたはそれをごらんになつていない。今度の支出予算の場合でも、収入予算をさらに十一億七千万円より余計見るか見ないかということは、これは直接関係がないことだと思います。このような中小企業に対する融資という問題を重視するかしないか。重視するとするならば、支出予算の方の系列を立てる場合に、収入のいかんにかかわらず、これは立てらるべきものであつて、要するにそれは政府考え方の重点がどこにあるかということできまるのではないか。あなたのおつしやるように、収入を余計見るか見ないかということで、この融資をふやすかふやさないかということを論ずるということであるならば、法律条文通りでなく、最初から間違つた予算を組んでいるのであるから、この際むしろ補正した方がよくはないかという議論も、私は成り立つのではないかと思うのであります。この点はまだ考え方も固まつていないようでありますが、中小企業金融に対する一環として、十分にひとつお考え願つて、そして今度の補正予算においてこれが実現するように、主計官としても御努力をお願いしたいのであります。お気持をもう一度伺つておきたいと思います。
  30. 柏木雄介

    柏木説明員 中小企業金融が、全般的に非常に問題になつておりますけれども、その一環としてこの問題を取上げて行くというお話でございますが、要するにこれは補正予算全体をどう組んで、どの機会にどういうふうに処理するかという全体の方針にからんで来ると思います。非常に時間があれば、全体を見直すというひまもありましようし、非常に短期間に処理させられれば、ごく限られた費目だけを動かすようになりますから、その場合はあるいはむずかしいわけであります。
  31. 小山長規

    小山委員 最後にひとつ私の希望だけを申し上げておきます。今度の補正予算において、中小企業金融一環としてぜひこの問題を考慮してもらいたいということが一つ。それから来年度の予算をお考えになる場合には、この法律条文通り予算を組んでいただきたい。これを最後に私の希望として申し上げて質問を終ります。
  32. 奧村又十郎

  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はまず第一に政府並びに委員長にお尋ねいたしたいと思います。本委員会を炎暑の折にかかわりませずわざわざ開会するのは、金融事情について国民の訴えるところを、現実議会を通じて反映せしめたいというゆえんであると思うのであります。でありますれば、大蔵大臣も当然出て来て説明をいたし、また議員と質問応答をいたすべきだと思いますが、もしこれが予算編成上等において出られないというならば、他の代理者を出すのが当然であります。またもう一方から考えてみますと、中小企業に関しまする金融の逼迫状況、これらと関連をもちまして、わが国の金融全般に対しまする銀行の状況をつまびらかにするのが、議員の当然な任務であると思う。でありますから私は本委員会には、ぜひ日本銀行総裁なり日本銀行監理官などをここに呼んで、つまびらかに審議するのが当然だと思いますが、政府並びに委員長はどう考えておられるのか。まず第一に伺います。
  34. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 委員長から三宅君にお答えいたします。前回の委員会において、ただいま御発言同様の意味をもつて大蔵大臣の出席を要求しておいたのでありますが、病気のために出席ができぬということであります。なお御要求があれば、この次の機会に出席するよう努力いたします。なおまた日本銀行総裁その他の関係官の出席も、御要求があれば委員長の方で善処いたします。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの委員長の言に信頼を置きまして、次の機会にぜひ大蔵大臣なり日本銀行総裁なり監理官等に御出席をお願いしたいと思います。  もう一言申し上げますが、国民金融公庫というものは、これは庶民金融、一般の零細なる商工業者に対しましては欠くべからざる金融機関であると思います。総裁は後刻御出席と思いますが、われわれの委員会は一時となつておりますから、これに間に合うように出席するよう、政府からひとつ督励してもらいたいと思いますが、これに関する代理者答弁をお願いいたします。
  36. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 三宅君、それは総裁が見えたときに、委員長から御注意を申し上げます。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 まず第一に安本でありますが、安本は御承知の通り大蔵省と各官庁との直撃を密にし、またわが国の経済、財政の整理あるいはこれを円滑にせしめるための潤滑油のような役割を演じておると考えるのであります。しからばこの現在の中小企業、ことに都会を中心といたしましたものの金融というものは非常に逼迫しておりまして、ふろ屋に行きましても、君は大蔵委員だそうだが、一体金を出すのか出さぬのか、こういうふうなことを聞かれる段階でありますが、政府といたしましては、今後どのくらい金を出しまして、中小企業を助長するような方策を持つておりますか。安本なり大蔵省なりから、ひとつ明確に示されたいと存じます。
  38. 前野直定

    前野説明員 お答えいたします。安本といたしましては、ただいまお話のありましたように、極力各省の調節その他について努力はいたしておりますが、またはなはだ御不満の点もあるようで、その点については今後われわれといたしましては、一層努力いたしたいと思つております。  なお中小企業関係におきましては、われわれといたしましては、見返り資金——本来見返り資金は、長期の基本的な産業設備投資に向けるという考えでありますが、その見返り資金の中に、特に中小企業融資というようなものを設けまして、大体二十六年度では四十億の金額を出すつもりであります。その点から見ましても、基本的な産業設備投資と同様の重点を置きまして、中小企業に対する金融も考慮いたしておるつもりでございます。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 一つの例を先に申し上げまして、それから国民金融公庫の総裁に移りますが、今の商取引におきましては、この前の委員会におきまして同僚清水委員並びに高間委員から質疑が闘わされたのでありますが、少くともから手形、融通手形、そういうようなものに類する手形が横行いたしておりまして、非常に困難を感じておる。でありますから一つの例でありますが、商品を倉庫に保存した場合、あるいは蔵入れした場合におきましては、これを見返り資金の担保といたしまして金を融通するような道を、中小企業に対しまして開きたいと考えておりますが、現今政府はどの程度までこれに関心を持ち、実際金を出しておるか、おらないか、そのことを承りたいと存じます。
  40. 河野通一

    河野説明員 ただいまのお尋ねの点でありますが、先般の大蔵委員会におきましてもいろいろお話を申し上げました通り中小企業金融につきましては、一般のコマーシヤル・ベースによる金融から政府資金をもつていたします金融まで含めて、あらゆる手を使つてこれが円滑化と申しますか、必要な資金の疏通についてできるだけの努力をいたして参つて来たのでありますし、今後におきましてもこれらの点につきまして、私どもはできるだけ努力をいたして参りたいと思つております。これがために具体的な方策といたしまして、先般の委員会におきましても二、三私から実は申し上げたのでありますが、さらにこの点を敷衍して、御必要に応じましては申し上げたいと考えております。  ただいま御指摘の倉庫にあります中小企業の持つております商品等を担保として、金融ができるかできないかの問題でありますが、中小企業については、もちろん担保のありますものについても金融はいたしますけれども、むしろ現在におきましては担保の有無にかかわらず——今申し上げます担保というのは物的担保でありますが、物的担保の有無にかかわらず、信用でもつて金融をいたしております分がむしろ多いのでありまして、その上に今お話のような商品がさらに担保としてつきますならば、その業者の信用はさらに強化されるわけでありますから、これらの金融がさらに円滑について参ることは、当然期待できると思うのであります。ただ大企業金融におきまして最近問題となつておりますような、いわゆる輸出滞貨の金融の問題等に至りますと、その滞貨に対してすべて機械的に、と申しますか、無制限に金融をつけることは、現在の金融情勢その他から見まして、必ずしも適当でないという問題もございます。これは個々に判断をして参らなければならないかと思います。なお先般も申し上げたのでありますが、中小企業の持つておられる不動産をできるだけ担保化して、これを担保とした金融の疏通をさらに円消化する点につきましては、先ほど申し上げましたように、若干の具体案を私ども今持つておりますので、後ほど御質問によりましてはお答え申し上げたいと思います。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 銀行局長がお立ちになりましたついでに、もう一つだけ局長にお尋ねいたします。中小企業に対します金の貸出し方法です。同僚にも銀行出身の各位がおられますが、私の観察するところによりますれば、預金を百人から預かる、貸出しは一人しかしない、九十九人は断る、これが現在の銀行のとつております道であると私は信じている。百人から預かつてつて貸し出すのは一人です。はなはだしき例は〇・五と言つておりますが、これではどうも金融が円滑に行く道理はない。でありますから商業銀行はもう少しく金融を円滑にせしめるために、預金者に少くとも一割くらいは貸すような順序をとられたらよろしいかと存ずるのでありますが、これに対します政府の所見を伺いたい。  もう一つ中小企業を中心といたしました中小企業銀行を設立いたしまして、最も国民の要望いたします資金を融通せしめますことが、現今の経済情勢としては必要欠くべからざるものであると信じますが、局長の確固たる信念を伺いたい。
  42. 河野通一

    河野説明員 第一点の、銀行等が預金者から零細と申しますか、少額の預金を集めましたものを、百人から預金を集めてその一人しか金を貸してないというお話であります。銀行は現在若干オーバー・ローンの形になつておりますために、日本銀行からの貸出しによる融通ということが相当つておりますが、本来の趣旨からいいますと、やはり自分で集めました金で融資するということになるのが普通の筋かと思います。一方で預金は、たとえば非常に少額のものの預金が集まります。しかも借りたい方は、おそらくその預金と同額を借りたのでは合わないだろう。それは借りた意味をなさないだろうと思う。たとえば十万円の預金は百人で集まるだろうが、借りる方は十万円ではいけないで、百万円とか五百万円借りなければいかぬだろう。集めた預金でもつて貸出しする以上は、一万円預金をした人は一万円貸すということでよければ、それもある程度行けぬこともないと思いますが、それではやはり円滑なる金融はつかないのでありまして、結局資金がなくて、しかも借りる需要の方は非常に大きい金額が出て来るために、預金銀行と申しますか、普通のコマーシマル・バンクにおきましては、集めた預金でもつて貸出しをして行くという建前から申しますと、しかもその預金の全部を貸出しに充てるわけに行きませんし、御承知のように支払い金融として有価証券も持つておらなければならぬ、国債も持つておらなければならぬという点で、あるいは現金化し得る資金相当持つという以上は、預金の本来の趣旨から見れば、やはり七〇%なり八〇%なりが貸出しに充て得るわけでありますから、預金した人にそれと同額——いわんやそれ以上の金をみな貸せと言われても、そうはなかなか行かぬわけであります。しかしいずれにいたしましても、極端なことになると預金は集めても貸出しは全然しないということは、銀行としての使命に反するわけでありますから、今申し上げましたいろいろな事情を加味しながら、極力中小企業に対して金融の疏通をはかるということを、従来からも私どもとしては一生懸命に督促、促進をはかつておりますし、今後におきましてもこの方面については十分重点を置いてやつて参りたい。ただ先ほどもちよつと触れましたように、中小金融の性質から考えまして、ただコマーシヤル・ベースによつてだけの金融ではできないから、政府資金をつぎ込んで、あるいは見返り資金でありますとか、その他の政府資金をこれに投入することによりまして、中小金融の疏通をはかつて参りたい、こういう趣旨におきましていろいろ新しい提案を今考えているわけであります。  それから弟二点でありますが、中小金融のために専門的な機関をつくつてはどうか、新しい独立の金融機関銀行でありますか、金庫でありますか、そういうものをつくつてはどうかという御意見でありますが、この点につきましては、新しい機構をつくりますことによつて、従来からの経験から申しましても、それが動き出すまでの間に相当なブランクができる。事務に慣熟いたしますとか、その他機構が動き出しますまでに相当空白の時間ができるという点もありますし、機構はできるだけ簡素な形でやつて行きたいというような点からもあわせ考えまして、新設の機構をつくることは考えておりません。しかしながら先ほど申し上げましたように、財政その他の許す限りにおいて、政府資金をこの中小企業のために投入いたしまして、これを極力中小金融の円滑化に資するように、努力いたしたいと考えております。それがために具体的な機構といたしましては、既存の機構を活用するという方向で考えて参りたい、かように考えております。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは次は櫛田総裁がおいでになりましたから、櫛田総裁に質問の焦点を向けたいと思います。櫛田国民金融公庫の総裁は、御承知の通り庶民金融、この方の第一線の総攬者と思つております。この前の国会において増資をわれわれは認めたわけでありますが、これに対しまして、ぜひひとつ総裁にく地方に対する分布の状況あるいは貸出しをいたしております数もしくは比率等についての説明を、まず最初に求めたいと思います。
  44. 櫛田光男

    櫛田説明員 たいへん遅れまして相済みません。お答え申し上げます。二十六年度におきまして政府から二十億の御出資といただきまして、そのうち第一・四半期、四月中ごろに十二億の資金を頂戴いたしました。第二・四半期、七月の中旬に残りの八億をいただきまして、全額ただいまいただいたことになつております。  全体の資金の貸出し状況でありますが、簡単に申し上げますと、一昨年の六月に公庫として発足いたしましてまる二箇年ばかり、本年の五月三十日現在の統計で見ますと、直接窓口で受付けました申込みが件数で十七万四千件、金額で二百八億二千万円、これは直接業務所で受けたものだけでありますので、そのほかに全国の代理所への申込み、あるいは窓口に御相談を受けました金額等をつけ加えますと、大体この倍くらいに及ぶというぐあいに推定をいたしております。それに対しまして貸出しの状況でありますが、件数にいたしまして七万二千件、金額で六十三億三千万円、そのうち一万九千件、二十六億八千万円を回収いたしまして、五月末の残高では、件数において五万三千件、金額で三十七億円ほどになつております。その後六月末で見ますと、貸出しの総計——これは普通小品だけ申しておりまして、更生資金は全部省いておりますが、四十二億ほどの貸出しをいたしております。七月末は、きのうでありますが、大体四十六、七億には行つておるかと存じております。  それから資金の分布状況でありますが、これはきよう実は詳しい表を持つて参りませんでしたが、簡単に申しますと、全国にただいまのところ店が三十三ございます。まだ店の置いてございません県が大体十五ほどありますが、その方面は代理所でいたしております。何と申しましても、申込みの状況、その地方の人口あるいは中小企業の数でありますとか、そういつた方面から勘案いたしまして資金の配付をいたしておりますが、東京はやはり一番多うございます。それから六大都市、それから地方ということになるわけでありますが、どんなに少いところでも大体一億以上は行つているように配分をいたしております。大体そういう状況であります。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま中小企業の最前線を行つております櫛田総裁からのお話でありますが、この国民金融公庫に対しましては、この前から継続的に審議をいたしておるわけでありまして、支店のないところというのは、われわれとしてはまことにお気の毒にたえない。ですから政府の方も督励しまして、議員ももちろんそのつもりでありますが、各府県にまんべんなくこれを配付いたしまして、国民の要望にこたえるように善処しなければならぬと確信いたします。  次に貸出しをする実際の状況ですが、前には申し込んでから三箇月しなければ出されなかつた、こう言われておりますが、だんだんよくなつたとは存じますが、まだまだわれわれから見ると十分だとは思われない。ですから、私の構想では申し込んでから一箇月以内に必ずイエス、ノーと返答をしたいと思いますが、これに対して実際はどういう状況でやつておるか。たとえば八割は断り、二割だけはパスする、こういう状態でありますか。
  46. 櫛田光男

    櫛田説明員 お答え申し上げます。何分にも一昨年店開きをいたしましてから、連日たいへんなお客様でございます。ところが私どもの人数が予算その他の制約を受けまして、最初にスタートいたしましたのが五百七十人、その後増資に伴いましてまた店が多くなるのにつれまして、逐次人員もふやして参りましたが、現在の予算定員が九百三十五人、実際の定員は八百七十人であります。その差と申しますのは、本年度予算で店を開くのを予定されておりますところは、まだ五箇所ございます。これが建物の関係でありますとか、そういつた関係が主でありますか、まだ店開きに至つておりません。そういう関係で新しい店で採用せねばならぬ人数を留保しているような状態でありまして、現在八百七十人、それで先ほど申し上げたことでおわかりだと存じますが、その人数で普通小口だけでとにかく五万三千件という残高、総計で見ますと貸付高件数が七万二千件、直接受付けたものだけでも、先ほど申し上げましたように十七万四千件という大きな件数であります。そのほかに更生資金というものがございます。これの残高が現在二十五万件あります。先般も申し上げた次第でありますが、ほか様のことを申し上げてはどうかと思いますが、銀行全体集まりましてその貸出先が八十万件に満たない。一行平均一万件見当であろうと言われるのと比較いたしますと、いかにも人手ということを痛感されるわけであります。その少い人手でしやにむにやつて来たわけでありますが、昨年の暮れあたりには連日処理するよりも、申込みの方が多いという状況にありましたので、ついものによりますと三箇月かかつてしまつたというものがございまして、たいへん御迷惑をかけたわけでありますが、その後非常に督励に督励を重ねまして、最近では大体一箇月以内に大部分処理ができるというところまでこぎつけて参りました。ものによりましてはやはり四十五日くらいかかるものもございますが、お客様の様子によつては非常にお急ぎの方がございまして、何月何日までに手形が落ちないと不渡りになる。そうすると銀行取引が全部ストツプするから、ぜひ二週間以内に調査してくれないかという折入つてお話のある場合がございます。そういうときは時間が問題でございすが、特別に先に調査して、そのお客様がはたして適格でありますれば、その日にち通り間に合わせるという便宜の方法を講じておりますが、早い場合には、十日、二週間以内で済んでいる例もございます。大体三十日以内に処理するようにということを目標にして連日やつておりますが、先ほど申し上げましたような事情でありまして、現在調査員が一日に調査する平均件数を調べましたところが五・七件くらいになります。これは六件であります。これは私どもの平常の仕事の基準量から申しますと、三件くらいが適当なのでありますが、幸いなことに夏時間でもあり、日が非常に長いのでありますので、大体東京の例を申し上げますれば、日が暮れるまでは外を歩きまわつております。そういう状況で連日やつているのでありますが、まだまだそれでもいろいろな関係で御期待に沿うことができませんので、恐縮に存じております。今後とも勉強いたしますから、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員 同僚委員の御質問もつかえておりますから、もう一点だけお伺いいたします。  ただいまの櫛田総裁の真心込めた率頂な御意見がありましたが、私も大体了承するのでありますが、ただ総裁の言われたことが、この議場で闘わした論戦そのものが、実際下々まで一般庶民を取扱いまする者までにも徹底するかどうか。今おつしやつたことをどうか職員全般に、議会質問応答というものを徹底なさつていただいて、議会では私はこういうことを言つて来た、君らはぜひそういうようにやつてもらいたいということを、正式なる議場において、あるいは会議において十分にじゆんじゆんと説いて、職員を督励されたならば、ますます善良になるであろうと思います。  もう一つつけ加えて申しますが、庶民金融というものがほんとうに血のにじむような熱意をもつて借りに来る。また返す方も真心をもつて返しておりますから、あまり焦げつきはないと思いますが、もし焦げつきがありました場合においては、相当用意をしなければならぬと思いますが、これに対しまして今政府を代表せられる櫛田総裁はそう焦げつかない、順調だと考えておられますか。  もう一点、金融難というものから、この前の委員会でも出ましたが、やみ金融というものが横行いたしますからこのやみ金融に圧迫せられないように、あなた方の方で善処せられるよう、活発なる活動をせられるよう、特に希望いたしたいと思いますが、これに対しまして率直にもう一言だけ承りたいと存じます。
  48. 櫛田光男

    櫛田説明員 御激励を賜わり、ありがたく厚く御礼を申し上げます。かねがねから国会等におきましての質疑関係、私が申し上げましたこと等につきましては支所長会議、次長会議その他の機会をとらえまして、あるいは文書の形におきまして徹底させることに努めて参りましたが、今後とも十分に気をつけまして、全体八百七十人が一体となりまして皆さんの御期待に沿うように、この上とも粉骨砕身いたすつもりでございます。  ところで焦げつきの件でありますが、これは何と申しますか、現在におきまして日にちが遅れまして、月賦金で償還いたしていただいておりますが、その日にちが一月か二月遅れる。件数にいたしまして一%、金額にいたしまして〇・九%、そういう状況であります。これは実は昨年あたりにおきましては〇・七%くらいでありまして、少しふえたのでありますが、全体から申しますと一〇〇%に近いと申しますか、しかもそのうちに回収不能というふうになりますものは、幸いにしていまだ一件もございません。これは非常にお客様方の御協力の結果でありまして、また他面申し上げますと、私どもでお貸出しをいたしましたお金が、当初の事業計画通りと申しますか、うまく御利用、御活用いただいているので、このような回収状況ができているのだううと思います。たいへんに仕合せなことだと存じておる次第であります。将来のことは、現状をもつて考えますると、そう心配はないのではないかと思いますけれども、ただ何せいろいろな意味で、景気の大きな変動というようなことがありますと、一番先にいろいろな影響を受けますのは、私どものお客様方でありますから、そういつた場合にどういうことが起きるかは予断ができませんが、ただ長期割賦の方法でお貸出しをしておるということや、お客様方の非常な御協力といつた点を考えあわせますならば、さして心配はないのではないか、今まで通りの成績を持続できるのではないかと確信しております。
  49. 川野芳滿

    ○川野委員 同僚議員多数御質問希望されておるようでございますので、私はただ一点だけお尋ねしてみたいと存ずるわけであります。  先般大蔵委員会が班をわけまして、全国に国政調査の視察に参つたのでありますが、私などは関西、中国の視察をやつたわけであります。当時酒造業の視察もやつたわけでありますが、各地に参りまして陳情を受けました問題は、今年度の酒造資金をいかにすべきかという陳情でございましたので、この問題を取上げまして銀行局長にお尋ねしてみたいと存じます。さだめし大蔵省に対しましても陳情をされておると考えますので、すでに大蔵省におきましても、この対策が立つておるものとは考えるのでございますが、もし立つておるならば、この際御発表願いたいと存じます。
  50. 河野通一

    河野説明員 酒造資金金融の問題につきましては、かねがね問題になつております。これは主として税の支払い資金が非常に一方で大きく動く、他面売られた代金がなかなか急速に上つて来ないという点の矛盾に、実はかわつておると思います。本来ならば税を込めて売られた酒造業者に対する代金というものは、一箇月なりあるいはその近くの期間でもつて上に上つて参りまして、大体一箇月くらいで資金ができるということに相なるのが普通の状態でありますが、最近におきましては、ことに業務用の方の酒の代金の回収が非常に遅れておるというような点が、一つの致命的なことになつておるようであります。先般私が銀行局長になりましてから、すぐ実はしようちゆうの問題で非常に問題がありまして、これが金融の疏通について非常に強い御陳情を受けておりました。そのほかもちろん清酒その他につきましても、同じような問題が実はあつたわけでありますが、この点につきましては、先般の場合には日本銀行融資あつせんによりまして、必要な資金相当部分は解決がついたと思います。今後におきましても同じような問題があるので、国庫が税として引上げた資金を、酒造のために特別なわくとして金融機関に預託をされて、これをそのまま右から左に酒造業の金融資金として供給されることができないかということが、具体的に要望として持ち出されておるのであります。この点はいろいろ検討はいたしましたが、税として上つて来た国庫金を、そのまま特殊の酒造業だけにひもつきでまわすということが、はたして適当であるかどうかという点につきましては、現在の金融が各方面において相当詰まつておる現況からいたしまして、はたして公正な取扱いであるかどうかにつきましていろいろ問題もございますので、国庫金を酒造金融の預託がえをするという、特定した用途への国庫金の放出ということは、もうしばらく検討を要するという結果になる。今後起ります問題につきましては、ただいまといたしましては、具体的に別わくをもつてこの問題をどう処理するということは、なかなか困難でありますので、金融機関におきまして、できるだけこれの資金の疏通の円滑化をはかるように努力いたしまして、そのしりは日本銀行融資あつせんという形で極力見て参りたい。この方針によつてまずそう極端な金詰まりを起さないで、何とか打開して行けるのではないかという考えで、目下のところ進んでおります。
  51. 川野芳滿

    ○川野委員 酒造資金の問題につきましては、昨年も非常なごあつせんを願つたわけでありますが、特に私が今年この問題をここに取上げて参りましたゆえんのものは、昨年十二月一日から酒税が引下げに相なりまして、従つて国の歳入予算も酒税の税額も、下つただけ引下げに相なつたということでございますれば、あえて私はここに取上げる必要はなかりたかとも考えるのでございます。しかるに酒税は引下げになつたが、歳入面はやはり引下げにならない以前と同額の一千三百億をお置きになつておる。こういう点から考えますると、たくさん酒をつくらして税金をとるという無理な御計画を政府が立案されたことになる。こういうことにちなんで私はここにこの問題を取上げて参つたような次第であります。     〔奥村委員長代理退席、小山委員長代理着席〕 従いまして、たくさんの酒をつくらせるということになりますると、それ相当資金のいりますることは、これは理の当然であります。さらに本日から米価が上つたということになりますると、おそらく酒造資金も米価が上つただけたくさんいる。これも理の当然であるかと考えます。こう考えますると、政府の計画そのものが酒造資金相当いるような御計画にされたのではなかろうか。そして歳入面におきましては、どうしても千三百億以上の財源を確保しなければならぬということになりますると、酒造資金というものは、政府から進んであつせんに乗り出すのが当然であると私は考えております。もしこの酒造資金のあつせんに乗り出さないということになりますると、政府予定いたしました財源の確保ということが、困難に相なるかと考えるのでございまするが、この点等から考えますると、少くとも日本銀行に酒造資金のわくというものをおきめになりまして、そうしてひもつきをもつて地方銀行融資をいたしまして、これに貸出しをさせる。こういうことに立ていただかなければ、おそらく地方銀行は、本年度におきましては酒造資金を貸さない地方も出て来るのではなかろうか、こう私は心配いたしておるのでございまするが、これに対しての銀行局長考えを承つてみたいと存じます。
  52. 河野通一

    河野説明員 お話のように造石商というものは本年非常にふえることになつております。この点から言いまして、あるいは原料の買付資金その他が、絶対額において相当ふくらむということは当然あると思います。しかしその点だけならば、これは明らかに酒造のみの問題でなくして、一般の企業におきましても生産量というものはやはり相当ふえて来る。一方コストというものも、まあ最近の物価は少し違つておりますが、数箇月前までは相当価格が上つて参りましたために、これらが所要する資金というものは相当大きくなつておりますから、当然同じような立場において、これらの金融考えて参らなければならないということになるかと思います。ただ酒造において特別な事情があると申しますのは、その代金のうちの相当大きな部分、ほとんど大部分といつてもいい部分が、税によつて占められているという問題であります。従つてこれを裏からいいますと、結局税の金融ということに相なるわけであります。私どもといたしましては、これを金融だけの立場から申し上げるので、全体の問題としては必ずしもそういうわけには参らぬかと思いますが、むしろ税のための金融ということならば、税の徴収の方をしかるべき方法考えたらいいのであつて、税はどうしても早くとる。しかしそのあとのしりは金融をしろということでは、なかなかそこは実際問題として話がむずかしいことになるわけであります。しかし一方で税の徴収を延ばすということになりますと、末端からの資金の回収がさらに遅れるという問題もありますので、なかなかその辺の税の延納ということも、事実問題として困難な点があるかと思います。従いましてここは必ずしも今申し上げましたように、税を延ばせということで、この問題を解決することが唯一の策というふうには申し上げておらぬのですけれども、この辺は両々相まつて考えて参らなければならぬ。すべて税はとりつ放し、そのあとの始末は金融ということになりますと、結局これは広くいうと財政と金融との調整の問題になるわけであります。その一環として考えなければならぬ問題でありますけれども、私といたしましては今申し上げましたような観点から、税を延ばせということも言えませんかわりに、金融につきましても、これがために特別に別わくをつくつて行くということまでしなくても、従来の経過から見まして、たとえば今年の五月末から六月にかけての納税期におきまして、融資あつせんによりまして、地方の方はほとんど満足すべき結果を得ていると私は聞いております。ただ東京等の大都市におきましては、むしろ若干その辺がうまく動かなかつたという点がありますけれども、地方銀行の方といたしましては、この点には相当積極的な協力をいたしまして、大体地方の方は、この金融の疎通については、そう問題がなかつたように私は聞いておるのです。今後におきましてもこの形でさらに融資あつせんの方法を強化し、それでも足りません場合に国庫金を活用するという問題を、どういうふうに結びつけて行くか。この点は十分検討をいたすつもりでありますけれども、ただいまのところでは、従来やつて参りました措置をさらに強化することによつて、何とかやつて行けるのではないかという見通しを持つておる次第でございます。
  53. 川野芳滿

    ○川野委員 実は酒をたくさんつくらせますと、当然掛売りをしなければ売れないという事態が起るわけであります。量が少くなりますと現金ができる。そこで今度政府はたくさんつくらせて売るというのでございますので、従つて掛金もできる、こういう結論に相なるかと考えます。こういう点から考えまして、現在よりさらに将来は掛売りがふえて来るということにも相なつて参ると考えます。そこで税金が掛になる。しかるに酒屋はこれを自分で立てかえて税金を納めなければならない。こういう事態も、現在よりも将来はさらに量が増して来る。その上に先ほど申しましたように米価が上る、こういうことになりますと資金がたくさんいる。そこで資金の面を実はお願い的に質問をしておるわけであります。しかるに銀行局長はそう御心配はないような楽観論でございますが、私の知り得ました数県におきましては、すでに酒造協同組合には貸さない。すなわち協同組合において昨年の借金がある程度つておる県がある。そういうところの協同組合には貸さない、個人々々を検討して貸す、こういう通知が参つておる県が実は数県あるわけであります。そこでそういう県では個人々々が借りるということになりますと、三分の二あるいは半分くらいは、銀行からの借入金ができない酒造家ができるであろうということを、私は心配いたしておるのであります。そういたしますと、そういうところは酒をつくれないことになりまして、従つて酒造量が減る、そうすると予定の酒税の確保ができない、こういう結論になります。そういう場合になつて大蔵当局が御心配になつても、ときすでにおそしでございます。そういう確固たる通知が銀行から参つて来ておる県を私は知つておりますので、こういう質問もいたしておるような次第でございます。銀行局長の調査は少し甘いようでございますので、どうかひとつ掘り下げて御検討を願つて、できるだけのごあつせんをお願いしておきます。  さらにもう一点お尋ね申し上げてみたいのは、酒造資金の金利が実は昨年二銭七厘もとつておる銀行があるわけであります。二銭五厘ないし二銭六厘でございますならば、あるいはやむを得ないと考えますが、二銭七厘の金利をとつておる銀行があるわけであります。これは名前を発表してもけつこうでありますが、名前は遠慮いたします。どうかひとつそういう高金利をとつておる銀行もあるということをお考え願いまして、銀行の自粛する面におきまして、さらに一段の努力をしていただくことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  54. 深澤義守

    ○深澤委員 先般銀行局長から、最近の金融事情説明願つたのでありますが、その中で輸入引取り資金の問題が説明されておつたのであります。この輸入引取り資金は、今日本産業界といたしましても、非常に重大なる問題と考えるわけであります。そこで私が銀行局長にお伺いしたいのは、この輸入引取り資金に対する手当をするという方針を、根本的に政府がお持ちになつておるのかどうか。その点をまずお伺いしたいと思います。
  55. 河野通一

    河野説明員 先般御説明申し上げましたように、輸入引取り資金の問題は、現在では相当むずかしい問題になつております。この輸入引取り資金金融の問題に対する私どもの基本的な考え方は、第一はインフレーシヨンを回避するということ、それから金融はコマーシヤルーべースで金融をしなければならぬということ、この二つのわくの中で必要な金融は極力これをつけて参る、こういう方針であります。しかしながら今申し上げましたような観点から、この問題を処理するにあたりましては、オーバー・ローンの輸入で入れて来たものは、入れたときの価格ですべて金融をつけろ、こういうふうな要求に対しては、それはできません。個々に問題を判断して別わく的な取扱いはいたしませんが、個々に問題を——ケース・バイ・ケースという言葉を使つておりますが、個々に判断をいたしまして、今申し上げましたような二つの大きな原則の範囲内において、必要な資金は極力融資あつせんの形においてつけて参る。現在まで私どもこれは非常に気にかかる、関心の非常に深い問題でありますので、日本銀行の窓品等とは常時連絡をいたしまして、情勢の報告を受けておりますが、一番問題になる油脂、ゴム、皮革等につきましては、一時非常に問題がやつかいになりましたけれども、その後日本銀行その他の融資あつせんの方法によりまして、まず現在までのところでは、必要な資金はついておると考えられます。但しこの必要な資金という意味が、あるいは当業者の方々の立場からいいますと、まだまだ十分でないという御意見もあるかと思いますけれども、私どもが見ておりまして、国の経済を維持し安定せしめるために必要なる限度における金融は、まずついておるというふうに考えられます。たまたま先般もお話申し上げましたように、最近輸出の問題が相当むずかしくなりまして、いわゆる輸出滞貨金融の問題が、これにおつかぶさつて来ておるわけであります。貿易業者は、大体現在では輸入のものも輸出のものもみなごつちやに取扱つております関係上、今申し上げましたような輸入引取資金の問題だけでなく、その上に輸出滞貨金融の問題が乗つかつてつたわけであります。結局それにしわが寄りまして、金融の梗塞ということが非常に強く叫ばれて参つておるわけであります。金融全体の問題を考えます場合には、ただ輸入引取資金の問題だけでなく、今申し上げましたような輸出滞貨金融の問題その他をひつくるめて、考えて参らなければならぬかと思うのであります。輸出入業者が戦後非常にまだ基礎が固まつておりませんために、日本経済と同じような意味で、たとえば生産の数量あるいは貿易の数字的な量は非常にふえて参つておるにもかかわらず、基礎が非常に弱いために、ちよつとした波動でそれを持ちこたえ得ないというような実情もございますので、一方におきましてこれらの輸出入業者の力を強くして行くことと並行して、必要な金融というものもつけて参らなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  56. 深澤義守

    ○深澤委員 先般通産大臣が大阪に参りましたときに、この輸入滞貨の問題について、一部政府買上げをやるというようなことを言明されているわけであります。ことほどさようにこの問題は、日本の経済界にとつて深刻であり、政府自体がこれに対する具体的な対策をとらない限りは、相当な問題が起つて来ると思うのでありますが、この政府買上げという問題は、具体的に大蔵省なんかも了解の上で進んでおられるのかどうか。その点をひとつお伺いしたい。
  57. 河野通一

    河野説明員 その方は私案は直接所管いたしておりませんので、はつきりしたことを責任をもつてお答えはできませんが、そういうふうな要望が、通産当局から大蔵省のその方の担当当局に、申入れのあつたことは事実であります。おそらく今深澤さんのおつしやつておられるのは、先般の国会で御決議をいただきました緊急物資輸入特別会計の資金の使用の問題かと思うのでありますが、それをただちに使うか使わないかにつきましては、目下おそらく検討中の段階にあるというふうに私は伺つておりますが、なお責任のあることは、私直接やつておりませんので、あるいは主計局長その他をお呼び出し願つて、お聞取り願いたいと考えます。
  58. 深澤義守

    ○深澤委員 その点は別といたしまして、ただいま銀行局長説明によりますと、油脂、ゴム、皮革等の相当問題になつておる点は、ある程度の必要な資金融資あつせんで、問題を解決して行くと言われておるように、ごく大口の方に対しては、そういうある程度融資あつせんが行われておるのでありますが、中小企業関係に対しては、その融資関係がほとんど行われていないために、中小企業がこの問題で崩壊の一歩前にあるというような事情を、われわれは聞いておるのであります。そういう点については銀行局の方では、どういうぐあいに情勢をつかんでおられるか。その点をひとつお伺いしたい。
  59. 河野通一

    河野説明員 この輸入引取り資金の問題につきましては、お話のように中小企業も非常に弱つておられることはよく承つております。しかし大企業におきましても、今度の問題では相当打撃を受けておるのでありまして、ことに輸出の滞貨の関係と両方扱つております大手筋と申しますか、大きな方面金融の引締めということは、相当実は程度がきつく出ておるようであります。それから中小企業につきましても、まさにお話のような点が多々あるのであります。しかしこれは必ずしも輸入引取り資金の問題からだけ来ておるとは、私は考えないのであります。最近あるいは福井でありますとか、あの方面の機業地におきまして、人絹その他が相当値下りいたしましたために、相当中小企業が弱つておるという点もあります。これらの点も必ずしも輸入引取り資金の問題に直接つながつたものではないと私は思います。中小金融一般の疏通につきましては、先ほど申し上げましたように、これが特殊性にかんがみまして、できるだけの金融疏通方法については考えて参りましたし、今後も努力をいたしたいと思いますが、ただこの輸入引取り資金の問題に限つて申し上げますならば、それは金融であります以上は、先ほど申し上げましたように、コマーシャル・ベース——という言葉はあまり適当でないかと思いますけれども、それが正常な金融に乗るものでなければいけないのであります。中小企業だから救済的な資金を出すということになりますならば、これは金融のらち外において処置されなければならぬ。私の担当いたしておりまする金融の部面におきましては、これはやはりコマーシヤル・ベースと申しますか、そういうふうなわくの中で極力金融をつけて行くということを、申し上げざるを得ないのであります。一部もちろんそれのちようど中間と申しますか、境になるような意味において、中小企業については、その特殊性から政府資金を出して、普通の金融機関と違つた仕組みは、もちろんいたさなければなりませんけれども、完全なる救済的な処置ということは、別途の方法によつて考えなければならぬ。金融考えます場合には、そこにおのずから限界と申しますか、線があるということも御了承願いたい、かように考えております。
  60. 深澤義守

    ○深澤委員 現在政府がインフレ抑制と、それから厳密なコマーシヤル・ベースの上に乗つて金融をやらなければならぬという線は、マーカツト声明からもわれわれはうかがい知られるのであります。しかしながら日本の経済の現状は、先ほどの輸入引取り資金の問題、輸出滞貨の問題、さらに朝鮮特需の中止あるいはキヤンセル等の問題によつて、恐慌寸前にあるということすら、われわれは考えられるのであります。これに対して依然としてインフレ抑制とコマーシヤル・ベースを中心として金融的に処理しようといたしましても、おそらくこれは処理することが不可能であろうと私は考えます。従つてこれは政府がこの経済的な危機の寸前にある状態に対して、何らかの措置をとらなければならぬという状態に来ているのではないかと私は思う。中小企業の崩壊というものは、最近において特に目立つて来ているわけです。こういう問題を見ながら、ただインフレ抑制とコマーシヤル・ベースに乗らなければだめだということだけでは、問題は解決しないと私は思う。そういう点については、銀行局長はどういうぐあいにお考えになつているか。その点を伺いたい。
  61. 河野通一

    河野説明員 先ほど申し上げましたことを繰返すことになるかと思いますが、中小金融の疏通につきましては、先ほど申し上げましたように、必ずしも今逼迫いたしておりますのは、輸入引取り資金関係とか、あるいは輸出滞貨の問題から来ておるのではないと思います。それはもちろん一つの原因でありますが、中小企業一般の金詰まりの問題として、これは取扱わなければならぬと思います。それからコマーシヤル・ベースという言葉を使いましたが、これは必ずしも中小企業につきまして、その原則を非常に厳格に取扱つて参りたいとは考えておらないのでありまして、先ほど申し上げましたように、中小企業につきましては、そういう特殊の事情考えながら、ここにおられる国民金融公庫の総裁等もよく御尽力いただいておりますように、政府資金をこれに流して行つて、そうしてできるだけ中小金融の疏通をはかつて参りたい。それによつて中小企業の力をつけて行くということが、どうしても必要になつて来ると思うのであります。ただその金額その他につきましては、もちろんこういう日本の経済力のもとにおきましては、皆様方の御満足の行くようなところまでできますかどうか。なかなか困難な点もございますけれども、財政なりその他が許します範囲において、極力中小企業方面政府資金を投入して行くことに努力して参りたい、かように考えておるのでありまして、必ずしも先ほど私が申し上げました一般原則のコマーシヤル・ベースということ、つまり集めた金で預金者の保護をはかりながら金融をして行くというだけに、中小企業金融を限局いたす考えは毛頭ないのであります。この辺は普通のバンキング・ベーシスの問題とは、若干趣を異にすると思いますけれども、それにいたしましても、これは決して純然たる損失補償的な意味の救済ではないということを、金融に関する限りにおいて申し上げておる次第であります。
  62. 深澤義守

    ○深澤委員 銀行局長としますれば、今言うコマーシヤル・バンクというその性格から、金融面考えて行かなければならぬという建前になつておるのでありましようけれども、そういうことでは問題は解決しない。しかし解決の方法としては、たとえば国民金融公庫の規模を拡大して、政府資金をそれによつて流して行くということももちろんあるわけであります。しかしこれでは現席当面する問題の解決ができないというところに、私は来ていると思うのです。先般われわれが四国をまわつて来た場合におきましても、四国等は中小企業地帯であります。一般から言つて中小企業には金融が非常に行つていない。大口に行つておる。この間も池田さんが関西において問題を提起されました。しかし四国では一般と逆に大口には三〇%しか行つていない。中小企業に七〇%行つておるという状態です。それでもなおかつ四国の中小企業は今日どうしようもない。何とかして政府資金を流してもらわなければ困るということは、業者も地方金庫も全部言つておるわけです。そこまで深刻な問題になつて来ておる場合、依然として政府がインフレ抑制とコマーシヤル・ベースを堅持するということでは、問題が解決しない。あなたはそういう立場に立つておられますから、それ以上は言えないでありましようが、問題はそれほど深刻になつておるというのが、現在の実情ではないかと考えるわけです。  従つてその次に私の聞きたいことは、たとえばこの国民金融公庫を通じての中小企業というものを考えてみる場合に、先般のあなたの説明では、従来中小企業というのは五百万円以下というように考えておつた。それを今度は一千万円に引上げて、一千万円以下が中小企業であるというぐあいに言われておるのでありますが、五百万円どころではなくて、おそらく百万円、二百万円あるいはもつと何十万円というような、あるいは個人企業というようなものが、今日もう行き詰まりつつあるわけです。従つて私はせつかく国民金融公庫の規模をふやしましても、今度は一千万円まで中小企業の基準を引上げて行くということになると、国民金融公庫の金が大体そういう方面に多く流れて行く可能性があるのではないかと思うわけです。従つて問題は、従来の五百万円以下とか三百万円以下とか言われたそれ以下が問題でありまして、実はこれが日本経済の——何と申しますか、れんがの建物でいえば、ちようどれんがとれんがの間のセメントみたいなものでありまして、これを強固にしない限りは、日本経済というものが強固に再建されないと思うのです。そういう観点から、この中小企業の基準を引上げるということ自体が、今度はその方に資金が流れて行く危険性があると私は考えるわけです。その点はどういう意図で、中小企業の基準を一千万円に引上げるという構想をお持ちになつておるか。その点をひとつお伺いしたい。
  63. 河野通一

    河野説明員 お話の点は若干誤解があるようでございますから、先般申し上げました点を補足して、御説明をいたしたいと思います。五百万円を一千万円まで上げたいと申しましたのは、国民金融公庫の取扱いの資金の問題ではなくて、見返り資金による中小企業のわくの融資の限度の問題であります。これは現在お話のように五百万円になつておりますが、見返り資金中小企業金融を一千万円まで引上げて、この方の金融の疏通をはかりたいというのが目的であります。  それから第二点の国民金融公庫中小企業金融につきましては、御指摘のような影響もありますので、今私どもの構想いたしておりますところから申し上げますと、国民金融公庫の中に一つの別の部門をつくる。そうしてそれは勘定を別にいたしまして——現在国民金融公庫は御承知のように一人は十万円が限度でありますが、その小口金融と申しますか、零細金融と申しますか、そういう部門の資金が、新しく設けられる中小金融の方へ流れないように、両者がおのおのその分野を守つて、他方が一方を侵すというようなことのないようにして参りたい。それがためには現在国民金融公庫の取扱つております小口金融、あるいは小口貸出しの金融方面への資金の拡充ももちろん考えます。それと同時に、今申し上げましたような新しい部門をつくつて、これはいわば別の勘定で中小金融と申しますか、これはただいまのところ五百万円が限界でいいかあるいは三百万円がいいか、この点はまだ研究の途上にあるのでありますが、中小金融とあわせて現在国民金融公庫でやつておられる小口金融の部門も、さらに強化拡充をいたして参りたい、かように考えておる次第でありまして、今御指摘のような点はそういう御心配もあろうかと思いまして、ごく注意をしてやつて参るつもりであります。
  64. 深澤義守

    ○深澤委員 それからもう一つは、政府金融引締め政策によつて相当金詰まりの状態を来しておる。これを打開する一つの道として、在日外国為替銀行日本産業に対する金融を、相当つているようなことを聞いているわけですが、その方面事情がもし銀行局長としておわかりになつておりましたならば、御説明を願いたいと思います。
  65. 河野通一

    河野説明員 実は的確な数字を手元に持ち合せておりませんので、数字的に御説明は困難かと思いますが、外国銀行の在日店舗が相当な円資金を持つておりますことは、御承知の通りであります。この資金の使用方法でありますが、従来これが運用につきましては、ある程度制約がつけられておつたわけであります。しかしこれはもちろん日本政府として制約をつけておつたのじやありませんで、総司令部当局によつてつけられた制限に基いて行われておつたのでありますが、今後だんだん講和も近づきますし、だんだん日本経済の自主的な運営ということが行われて参ります以上は、外国銀行だけをマイナスの意味で特別扱いするということは、あまり適当でないという観点から、現在におきましては原則として存日の外国銀行の持つております円資金につきましては制限を設けないで、日本国内金融機関と同様の立場に立つてこれを運用することを認める、こういう方針になつております。従いまして今的確な数字は持つておりませんが、相当程度日本産業に対する金融に使われておることは事実であります。ただもつともその大部分は、おそらく貿易関係の輸入金融でありますとかそういうふうな関係、言いかえますと短期のものに使われておるものが多いと思いますが、形式的には法令上の制限は原則として撤廃されておる、今こういう実情になつております。
  66. 深澤義守

    ○深澤委員 それから最近開発銀行が出発をいたしまして、具体的に動いておるのでありますが、この開発銀行の現在の貸山し状況はどうなつておるか。それから輸出銀行の状況はどうなつておるか。簡単でよろしゆうございますから……。
  67. 河野通一

    河野説明員 開発銀行は御承知のように本年の五月に開業いたしまして、資本金はただいま百億あります。それに対しまして、近く開かれる国会の御審議を経て、復興金融金庫をこれに吸収することになりますので、それによりまして復金の資金として使用し得るものが約五、六十億ありますから、本年度といたしましては百五、六十億の資金ということに相なるかと思います。そのほか今後の補正予算において、これが資金の増強等につきましても、考えられれば考えて参りたいと思つております。いずれにいたしましても現在のところ大体百五、六十億の資金とお考え願つてよろしいかと思います。それに対しまして、政府が先般産業計画として政府資金をつぎ込んでも、これらの産業については“資金の調達をはかつてやらなければならぬという性質の事業につきまして、開発銀行に参考のため内示をいたしてありまするが、これに基きまして開発銀行がいろいろ申込みを受け審査をした結果、これは融資をしてもいいと思われますものが、すでにたしか二百億を越えているように思います。そういうわけで、開発銀行といたしましてはむしろ資金が足りないので、難渋をいたしておるような現況に相なつております。現実の貸出金はまだ三十億足らずであろうかと思いますが、すでに貸出しの約束ができておるもの等を入れますと、大体百億近くにおそらくなつておることと考えております。  それから輸出銀行は現在資金は百億持つておりますが、このうち現在までに貸し出しておりますものは、約三十億足らずであります。しかしこれもプラントの関経その他で、約束がどんどん進みつつありますものも相当ございますので、今後さらに積極的な輸出銀行金融活動というものが促進されて参る、かように予測をいたしておる次第であります。もつとも最近は御承知のように国際市場が非常に不安定な状況になつておりますので、プラント輸出との引合いの問題も、安定した引合いというものがなかなか困難なような事態でございますが、これらはだんだん国際経済がおちついて参りまするに応じまして、引合いもだんだん安定したものができて来るように予想いたされるのであります。なお輸出銀行につきましては、できるだけ早い機会にこの銀行輸出銀行ということにいたしまして、輸入の方面金融につきましても、この銀行が取扱えるように仕組んで参りたい、かように考えておる次第であります。
  68. 奧村又十郎

    ○奧村委員 銀行局長にお尋ねいたしますが、現在の銀行は性格から言つてもまた現状から言うつても、中小企業金融及び庶民金融には大した期待はできぬ。そこで前国会において、特にわれわれ大蔵委員会が中心になつて、信用金庫法及び相互銀行法を制定して、信用組合を発展的に解消して信用金庫にし、また無尽を相互銀行にして積極的に中小企業金融、庶民金融をはからそう、こういうことで努力して参つたわけでありますが、政府におかれては、この信用金庫法を実施して、まず信用組合を最初にいつどの程度信用金庫として発足させるか。また相互銀行としていつ発足させるのか。もうそろそろ具体的に実施の時期に入つたことと思うので、その御方針なり予定をお伺いしたいのと、それから単に看板を塗りかえただけではいかぬのであつて、これを積極的に活用するについては、政府においても相当指導奨励して行かなければならぬ。また相当政府貸金をこれらの機関を通じて流さなければならぬと思う。これら機関の関係者もその点を非常に要望しておるわけであります。これについて今どういう考えを持つておられるかお伺いしたい。
  69. 河野通一

    河野説明員 相互銀行及び信用金庫につきましては、ごく原則だけ先に申し上げますと、なるべく早くなるべく多数のものを、できるだけ同時に組織がえをして行きたい、かように考えております。具体的に申し上げますと、相互銀行、信用金庫、大体同時期になるかと思いますが、今の予定では八月中に切りかえの申請書を出してもらう。そうして九月中に調査を急ぎまして内免許を与えたい。十月の総会で——早いものは大体定時総会が十月にございますから、十月の総会で、もし総会が非常に遅れるものにつきましては、あるいは臨時総会を願わなければならぬかと思いますが、できるだけ十月の中ごろまでには、正式の免許を与えたいというような方針でございます。できるだけ事情の許します限り、免許いたします時期はあかさないでやりたい。特別にあまり内容がよろしくないとか、あるいはどうしても何らかの措置をとらなければ——相互銀行について申し上げますれば、相互銀行にすることが困難なものにつきましては、これはやはり何らかの措置をとらなければなりません。全都が全部機械的に相互銀行に転換するということは困難かと思います。事情の許します限り多数のものを相互銀行にしたい。信用金庫につきましては、相互銀行と若干事情を異にいたしますので、その大部分を信用金庫にいたすということは困難かと思いますけれども、これも事情の許します限り程度を下げまして、信用金庫に組織がえを認めて参りたい。具体的にそれでは幾つの組合を認めるかということにつきましては、大体の腹づもりは持つておりますけれども、具体的にやはり申請を見ました上で、検討した上でなければ、ちよつとはつきりしたことは申し上げられませんが、できるだけ多数のものの組織がえを認めて参りたい、かように考えております。  それから第二点の今後これらの新しい相互銀行、信用金庫等を中小金融の機関として育成強化して参るということにつきましては、これはまつたく同感でありまして、私ども今後ますます努力をいたして参りたいと思います。ただその問題の一つ方法として、政府資金をこれにつぎ込む問題でありますが、政府資金と申しましてもまあいろいろございます。ことに中小金融につきましては、短期の金融よりも、むしるある程度固定する。運転資金にいたしましても、相当長い資金がいることになるかと思います。そういたしますと長い政府資金をこれにつぎ込むということになりますと、一体そういう長い政府資金を扱う機関というものは、そういう一般の金融機関がいいのか、あるいは特殊の、たとえば国民金融公庫でありますとか、そういう趣意の金融機関をして取扱わせた方がいいかという問題になるかと思います。それは同じ政府資金でも短期の政府資金、つまり国庫か時期的に揚超になりまして、一時国庫の余裕金というものが時期的には出るわけでありますが、この資金を一時使つてはどうかという点につきましては、これは考えて参りたいと思います。先般も別の機会大蔵大臣からもいろいろ申し上げておるわけでありますが、現在大体銀行でありますが、銀行及び商工中金等に指定預金を約百五十億程度出しておるわけであります。これは目下のところでは、今月の中ごろには引揚げたいと思つております。これを引揚げますが、引揚げつばなしにいたすつもりはございません。数箇月の間はさらにこれを預けかえて、再配分の形において、この程度金額は指定がえをして参りたい、かように考えております。この場合に、従来なら銀行だけに出しておつたのでありますが、商工中金等はありましたけれども、大体銀行だけであつたのでありますが、今度は中小金融に特に努力をいたしております者に対して、厚くこの指定預金の預けがえをして参りたい。具体的に申しますならば、信用組合及び無尽会社等にも相当多額のものを指定預金して参りたい、かように考えております。金額等はまだはつきり申し上げる段階ではございませんが、ただ先ほど申し上げましたように、これは短期のものでありまして、国庫が一時余裕があるものを預金いたすのでございますから、いずれは年度内に政府国庫支出が増大いたします場合には、引揚げなければならぬ。従つて期限がついております。政府のコールによつて引揚げられるということに相なるわけであります。それから商工中金等も中小企業金融機関として、相当積極的に活動していただいておりますので、これらに対する今の指定預金の預けかえも極力多額にして参りたい、かように考えておるわけであります。
  70. 清水逸平

    ○清水委員 ただいま銀行局長から、政府資金の預託の預けかえのことについてお話があつたのでありますが、特に中小金融に功労のあつたものとして、商工中金とかまたは無尽とかいうようなものをお取上げになかましたけれども、現在の中小金融に対する金融の大部分を扱つておるものは、やはり市中銀行であるのじやないか、私はそういうふうな考えを持つておる。少くも六〇%以上のものは、市中銀行によつて中小企業金融がやられておる。それを重点的というその限度をもつて、預託がえをされるということでありますが、どういう基準においてなされるのか。承れれば承らしていただきたいと思います。
  71. 河野通一

    河野説明員 普通の銀行中小企業に対して大いにやつておることは、お話通りであります。普通言われておりますように、銀行では全然中小金融をやつておらぬというわけではないのでありまして、その点については、私どもむしろ清水さんのお話のように、銀行もできるだけはやつておるのだ、また今後もやらせるのだということは申しておるわけであります。ただこの指定預金の問題につきましては、従来は銀行だけだつたわけです。商工中金と農林中金はありましたが、そういう一般の無尽会社でありますとか、信用組合等には出しておらなかつた。今後はそういう中小金融について、勉強をいたしておりまする機関に対しては、ただ銀行だけではなくて、広く資金を預託しようという方針でやつておるわけであります。銀行と無尽会社との間のわけ方のウエートは、一体どういうふうにつけるかという問題は、いろいろむずかしい問題がございます。たとえて申しますと、例の見返り資金中小企業に対する金融、片棒は金融界がかつぐわけですが、これらの金融をどの程度つておるか。あるいは中小信用保険の活用にあたつて、どの程度これがうまく動いておるか。それから今お話のように、一般の小口の金融が一体どの程度取扱われておるか。これらの点をいろいろ勘案いたした上で、金額をきめて参るというつもりでおります。
  72. 清水逸平

    ○清水委員 その際百五十億を、二百億なり二百五十億なりにされる余裕とお考えがあるかないか。これをもう一言だけ承りたい。
  73. 河野通一

    河野説明員 国庫も、大分支払いがだんだん促進されお呈すので、余裕金も実はそうたくさん残つておりません。もう二、三箇月前でしたら相当余裕金はあつたわけですけれども国庫が支払いの方を促進して参りましたので、引揚げが大きくなりました関係上、現在のところ、たしか百数十億しか一般の政府預金は残つておらないはずであります。この際内部でもいろいろ議論がありまして、ある程度これを追加して出す方がいいという議論もありましたが、いろいろ彼此勘案いたしまして、現在のところでは、この国庫金としての余裕が、大事を踏めばないという結論になりましたので、この際としては、金額をふやすことは、しばらくあとまわしにしよう、こういう結論なつたわけであります。
  74. 奧村又十郎

    ○奧村委員 信用金庫、相互銀行の指道促進については、いろいろ方途があると思う。しかし時間がありませんので、私一点だけ取上げて自分の意見を申し上げ、また政府のお考えをお聞きしたいのですが、この信用金庫については、特に国民金融公庫の代理貸しをうんと進めて行つたならば、これは一石二鳥で非常にいいじやないか。特に信用金庫に改組せられた際において、ひとつ新たに取上げて検討願いたい、こういうことであります。そこで現在も、先ほど公庫総裁の御答弁にもありましたように、まだ十数県は公庫の支所ができていない。この代理貸しは、おそらく信用組合などにやらしておられることだと思いますが、今後その支所をふやすか、あるいは代理貸しをもつと積極的に進めて行くか、支所をふやせば、国民金融公庫の機構が大きくなつて、それだけ経費もふえて行く。それよりも、むしろ信用金庫の代理貸しをふやして行つたならば効果があるのじやないか、こういうふうに思うのであります。そういうふうにして国民金融公庫の仕事を代理させれば、信用金庫というものがますます一般庶民に親しまれる。これは地方に行くと特に痛切に感ずる。その点についてひとつ銀行局長及び公庫総裁両方の御答弁を承りたい。
  75. 河野通一

    河野説明員 詳しくは金融公庫の総裁からお話つた方がいいと思いますが、御意見の通り代理貸しを活用するということは、ことに末端の方におきましては、各県に一つ店ができたにしても、まだ公庫としては十分に手足を持つているとは言えませんので、そういう店のないところにつきましては、やはり代理貸しの制度を拡充して行くということが非常に必要だと思います。特に、先ほどもちよつと深澤さんの御質問にお答えいたしたときに申し上げたのでありますが、これは政府部内でも意見がまとまつておりませんけれども、今後国民金融公庫を改組拡充いたしまして、中小企業金融をやらせるということにもしなつたといたしますならば、さしあたりすぐ金融公庫としても、陣容その他でなかなか手がまわらぬということもございましようから、代理貸しの制度を当面としては十分活用して行かなければならぬ、こういうふうに考えております。なお詳しいことは、総裁の方からお話があると思います。
  76. 櫛田光男

    櫛田説明員 代理貸しのことにつきましては、一昨年スタートいたしましたときに、すでに四百四十ばかり代理所があつたのであります。現在も大体その程度ございまして、主として無尽会社並びに信用組合でございます。そこで代理貸しの状況でございますが、当初は店も少かつたわけでありますが、同時に店にたいへんなお客さんが殺到して参りました。その後も同じようでありますが、だんだん各地方ににおきます需要も日増しに盛んになつて参りますに加えて、私どもの店は御承知のよりに三十二しかない。しかも一県に一つ以上は置けないことになつておりますから、主として県庁所在地、その近傍、従つてたとえば長野県で申しますと松本地方が手薄になり、あるいは静岡県で申しますと、浜松の方面が手薄になつてしまう。そういう状況にありますので、できる限り代理所を活用するという方針をとつております。資金の配分状況も逐次代理所の方を増額して参りまして、現在は新しい資金をいただきますと、六割、四割程度でもつて、六割が直接、四割が代理という見当で配分いたしております。一番最初は二割五分、四分の一くらいしか配分できなかつたが、最近はふやして参りました。ただその代理所によつては、人手の関係とか、いろいろな関係がございまして、各代理所全部一律一様にということには参らぬのであります。非常に勉強していただいておるところが多いのであります。そういうところにはできるだけ多額に、またその地方の申込みの量その他を勘案いたしまして、過下足なく配分するように、非常に苦労だと考えますが、勉強いたしております。今後もできるだけその方針を持続して、私どもの手の足りないところ、また地域的に手の届かぬ点を、代理所によつてお願いいたすつもりでおります。現に東京自体におきましても、四つの代理所がございまして、郊外の方をずつと受持つてもらつております。それも有効に、何と申しますか、きわめて活発にお手伝いを願つておりまして、いつも感謝しておるような次第であります。
  77. 奧村又十郎

    ○奧村委員 国民金融公庫の機構を拡大する。特に従来の公庫の業務以外の金融業務を考えておるということでありますが、まだ十分に考えがおまとまりになつておらぬということでありまして、先ほどはぼんやりしたお話でありますが、もう少し新たな業務についての御説明を願われれば、まことに参考になりますが……。
  78. 河野通一

    河野説明員 政府資金を、財政その他の許します限りできる限り中小金融方面へつぎ込んで参りたい。できれば今度の九月あるいは十月に開かれるやに聞いております臨時国会で、この問題を提案したいということで、現在いろいろ案を練つております。その基本的な考え方において、政府部内で一応一致いたしております点は、できるだけ政府資金を中小金融につぎ込む。それから第二点は、これがために新しい機関はつくらない。要すれば既存の機関の改組拡充によつて、この金融を担当せしめることがよい。この二点においては政府部内において意見の一致を見ております。ただ先ほどもちよつと申し上げたのですか、しからばしかなる機関をして政府資金の運用に当らせるかという点につきましては、政府部内でもまだ若干異論がございますので、私が以下申し上げます点は、必ずしもまだ確定的にきまつたものではありません。具体的に申し上げますと、通産省方面に若干異論もございます。これは新聞紙等で御覧になつておりますように、この資金商工中金をして運用させて行つたらよいではないかという意見が、まだ若干残つております。私ども考えでは、政府資金はできるだけ政府機関たる金融機関をもつて運用せしめることが適当である、こういう一貫した考え方のもとに、現状におきましては、これを国民金融公庫をして取扱わしめることが適当である、こういう結論に到達いたしておるわけであります。国民金融公庫をしてこの金融を取扱わせます場合は、現在行つております零細金融と申しますか、ごく小さい十万円以下の金融といつたようなものと別の勘定で、これを行わせなければならぬ。たとえば中小金融部門と申しますか、そういう部門を新しくつくりまして、人手はそんなにふやす必要はないと思いますが、若干陣容の強化も必要となつて来るかもしれません。これによりまして勘定を別にいたしまして、一方の方が非常に金融が出たからといつて、他の方面での機能を阻害することのないように、おのおの侵し合わないような形で、別勘定でこの両方の金融を併行してやつて行く、こういう仕組みにしてはどうかというわけであります。具体的に金額はどの程度になるか、それから条件がどういうふうになるか、期間がどれぐらいになるかというような点は、今後検討を要しますが、政府資金を入れて参りますルートは、一つの見返り資金——見返り資金につきましては、大体構想が固まつておりますが、これは先ほどもちよつとお話申し上げました通り中小企業のわくとして、現在四十億を見返り資金からとつてあるわけであります。これに昨年度から繰越されました十二億を加えて、五十二億というのが見返り資金の中小わくの本年度の分になつておるわけであります。このうち四月、五月はなかなかこの見返り資金中小企業金融がうまく進まないために、国会方面かちも実はたびたびおしかりを受けて参つたわけであります。これが促進についていろいろな手を打つて参りましたし、また今後も考えて参りたいと思います。おかげで、これが取扱い機関をふやしましたりいたしました結果、六月に入りましては、従来一億数千万円でありましたものが二億五、六千万円まではふえております。今後もできるだけこの資金の活用をはかつて参りたいと思いますが、それにいたしましても、年度間を通じて五十二億全部を使い果すということは、なかなか現在の機構ではむずかしいということになります。それで、二十億前後のものがおそらく使い切れないで余りはしないか。これが活用を十分にやつて参りましても、余るのではないかという気がいたすのであります。余りましたものをそのまま置いておくのは実にもつたいない話でありますから、これを活用する意味におきまして、国民金融公庫への出資に振りかえたらどうか、こういうふうに実は考えております。そういたしますと、見返り資金では、これは設備資金しか実は出せないわけでありますけれども国民金融公庫の出資の形にこれを振りかえますれば、長期の運転資金等にも出せるわけになりますし、それらの点から言つてもいろいろ便宜があろうかと思います。今、国民金融公庫と申してはまだ早いかもしれませんが、新しい機構に対する政府資金のつぎ込み方の一つ方法として、見返り資金から約二十億前後、そのほかに一般会計からできるだけ多額を入れる。それから残りは資金運用部資金から借入れをして参る。この三つのルートを今考えております。しかし、いずれも関係方面と困難な問題が残つておりますので、金額についてはもちろん申し上げられませんし、あるいは資金運用部からの借入金ということは、とうてい不可能になるという公算も実はないわけではないのであります。今申し上げましたようなルートによつて——金額がどういうふうに配分されるかわかりませんが、今後あらゆる努力を傾けまして、できるだけ多額のものを、今日の財政の許す限り政府資金として導入いたしたいと考えております。
  79. 奧村又十郎

    ○奧村委員 国民金融公庫の借入金の申込みが非常に多くて、これは先ほどの総裁の御説明にもありましたように、約四百億ほど申込みがあつて、現在の実際の貸付額は残高が四十五億、従つてこの国民金融公庫資金量をふやすということは、緊急重要な問題であります。ただいまの銀行局長の御説明によると、新たな国民金融公庫の業務として、中小企業向けの貸付金は大体話がまとまりかかつているということでありますが、そのほかに、更生資金及び個人貸しと申しますか、従来の本来の国民金融公庫の貸付の資金量について、補正予算において相当増額をしなければならぬと思うのでありますが、今までのところ公庫と政府との間にどういう折衝をやつておられるか。われわれとしても、及ばずながらぜひとも増額したいということは、前国会以来痛切に感じている。なおまた、この国民金融公庫の利用を、全国山間の津々浦々に至るまで利用させたいということも、前国会風来痛切に感じており、非常に関心を持つておりまするから、補正予算において、つまり公庫本来の業務における資金量の手当について、政府としてどのくらいのお話合いができておりますか。おさしつかえのない限りお話しを願いたい。
  80. 河野通一

    河野説明員 あとから櫛田総裁よりお話があると思いますが、今私が申し上げましたのは、ちよつと言葉が足りませんでしたので、御指摘を受けたわけですけれども、つけ加えさしていただきたいと思います。  今申し上げました三本のルートから出ますうちの資金の一部は、現在の国民金融公庫がやつておりまする仕事の方への資金の拡充に充てたい。金額は今申しましたように、総額がはつきりいたしませんので、どのくらい予定しておるかということは、ちよつと私としては申し上げかねますが、充てたいという意味で、その両者をあわせてできるだけ多額を調達したい、こういうことでございます。あと櫛田総裁から……。
  81. 櫛田光男

    櫛田説明員 私の方の資金量はできるだけ多く、政府の財政事情の許す限りいただきたいということを、かねがねお願い申し上げております。前国会におきましても、本年度において五十億の資金量をさらにふやせという御決議をいただきまして、私どもそれを体しまして、大蔵当局の方にいろいろお願いをいたしておるような状況でございます。なお加えて申しますと、先ほど二箇年間に大体四百億——表向き直接業務所に参りましたのは二百億でありますが、その他代理所または相談だけに来られて、申込みという正式な形をおとりにならなかつた需要までを含めると、大体四百億見当になりはしないかということを申し上げたわけでありますが、最近の情勢から言いますと、そういつたものを全部含めますと、毎月大体二十億ないし三十億ぐらいの需要になつておるのではないかと思います。そこで終局の考え方でありますが、大体回収金の状況その他から考えまして、申込みのうちの少くとも三人半ぐらいは適格と申しますか、貴重な資金をお使いくだすつて十分にこれを御活用されて、経済の復興なり安定なりに役立つことになると思われますので、それから考えますと、少くとも月に十億の資金量がほしい。そうしますとマキシマムが、大体今の回収の状況から申しますと二十分の一見当の回収、と申しますのは、貸出しが三年以内ということになつておりますが、お客さんの御計画のいろいろな事情によつて、あるいは十箇月ぐらいの短いのでもよろしいという方もありますれば、三年一ぱいという方もございます。そういつたお客さんの御都合をよく御相談いたしまして、お貸出しをいたしておるわけであります。それを平均してみますと、大体二十回から二十五回という見当になります。大体二十分の一あるいは二十五分の一見当のものが毎月回収になつて来る。こういうようにいたしますと、総資本金二百億見当のところが大体いいのではないかというふうに考えまして、政府のいろいろの財政の御都合もありましようから、今基本的の問題として二十六、二十七、二十八の三年プランで今後——今六十億の出資でありますから、終局において三年間で二百億にしていただくようなプランを、この際お立て願えないだろうかというような基本的なラインまで含めまして、政府の方、主として主計当局でありますが、現在お願いいたしておるような状況であります。そのほかにまた、ただいま銀行局長からお話の、新たに不動産担保等を中心としたところの百万以上五百万見当の中小企業金融を、やれたらやつたらどうかというようなお話も承つておりますので、その方の研究準備も進めておるような次第であります。
  82. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほど銀行局長からお話の、不動産担保金融の新たな機関を考えておるということは、とりもなおさず国民金融公庫を利用した新たな業務、こういうことになるように察せられるのですが、その通りでありましようか。  それから補正予算において、約五十億程度きまつておるというふうにも聞いておる。ところが、これは新聞で承知したところでありますが、大蔵省では百五十億最初予定しておつたというようにも承知しておるのですが、金額程度をできるだけはつきりお話を願いたいと思います。
  83. 河野通一

    河野説明員 第一点はお話通りであります。第二点の金額の点は、新聞等にいろいろ出ておりすが、実はまだ確定的なところを申し上げられないのであります。少くとも百五十億という案は今まではなかつたかと思います。それは多々ますます弁ずるのですから、多いに越したことはございませんが、今の財政事情から見まして、そういう数字は少くとも今年度の補正予算として考えるのには、ちよつと無理だと思います。多くてもやはり何十億台でありまして、百億を越えるということはとてもできないと思います。五十億という数字も、できるだけ多額に中小方面資金を調達したいという建前から、また金額的には今内部で主計当局その他とも折衝いたしておりますが、何よりも関係方面のことが一番やつかいな問題になつております。数字については腹づもりは持つておりますけれども、しばらく伏せさせていただきたいと思います。
  84. 奧村又十郎

    ○奧村委員 不動産担保金融をなさるにつきましても、信用金庫などの代理貸しを極力活用していただくように考えていただきたい。もしさような方途をお考えになりませんと、信用金庫などの積極的な発展は望まれぬと痛切に感ずるので、これは希望としてつけ加えておきます。  もう一つ銀行局長にお伺いしたいのですが、地方を調査して歩きますと、銀行の支店によつて、その地方における預金と貸出しの率の非常に悪いのがあります。たとえて申しますと、ある府県に参りますと、県庁の所在地においてはむしろ預金よりも貸出しがうんと多い。ところが土地の不便な山間部あるいは町の小さい方面に行けば行くほど、貸出しが非常に少くて、たとえば預金に対して一割ないし二割というような貸出しのところがある。そこでそういうことがだんだん地方民にわかつて、しかもこの金詰まりになりますと、地元還元が薄いというので地元民が非常に激昂して、さような銀行の支店の排斥運動までやつているということを現実に見ているのであります。この地元還元というものをもう少し銀行は反省すべきであると思うのですが、特に預金の一割ないし二割しか還元しておらぬというところは、これは確かに中小企業金融に手薄になつているということは明らかであるから、こういう銀行には何か注意をなさつたらどうか。あるいはそういう手を打つておられるのかどうか。その点をお尋ねしたい。
  85. 河野通一

    河野説明員 お話のような極端な例は間々私ども耳にいたしております。銀行検査をいたしました結果でも相当わかつております。原則的に地場で集めた資金をそこへ還元するということは、なかなかむずかしいと思いますが、今お話のように、あまりに極端なことになつてつて、その地方から資金を引揚げるばかりで、その地方へ少しも貸出しが行われぬということでは、その地方としては非常にお困りになる点が多いと思いますので、この点は今までのところ、まだ一般的には注意いたしたこともございませんが、十分お話の点をくみとりまして、今後あまりに極端な事態になつているような点がございますれば、何らかの方法でこれは注意いたして参りたい、かように存じます。
  86. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は相当極端過ぎる事例を見て来ているのです。たとえばある銀行の約二十ほどの支店が、これは預金専門店だというので全然貸出しをしておらぬが、そういう預金専門店ということで支店の許可をなさつているのかどうか。その点をお尋ねします。
  87. 河野通一

    河野説明員 預金の吸収が非常に必要になつて参りまして、貯蓄奨励、貯蓄増強のために一時預金専門店というものを非常に拡充したこともございます。これはその時分におきましては、やはりそういうことが必要であつたわけでございます。貸出しよりも預金の吸収ということを中心にした店が従来あつたわけであります。現在では預金専門店という言葉を使つたものはございませんが、やはり預金吸収を中心にした店というものは、現在でも置いてございます。これは特に地方というよりも都市の中で、たとえば東京等では末端ではそういうふうなことをやつておるところもございますが、これらはそこで金を借りなくても、東京にはたくさんの銀行の店もございますから、その点はなるべく支障のないように、預金の吸収が少しでも促進されるようにという意図でできておるわけであります。地方でほかの店のないところで預金専門店だけ出しているというところは、おそらく今のところは例はないと思いますが、そういう例がございましたらちよつと御指摘いただきたい、かように思います。
  88. 奧村又十郎

    ○奧村委員 遺憾ながら非常に歴然たる例があるのであります、ただいまのお言葉ですと、東京などの大都市においては預金専門店はつくつておるが、貸出しについてはつい近くに別にまた貸出しの支店がある。従つて貸出しについて不便はないというならこれはよろしい。ところが私の現実に見ているところはそうじやなしに、特に交通の不便な地方の店が、おもにこの預金専門店になつております。はなはだしいのになりますと、一郡で支店が七つあるが七つとも預金専門店、その郡には貸出し機関は全然ない。金額におきまして約一億以上その郡で預金吸収しているが、貸出しは全然しておらぬ。借りたければ本店まで、つまり県庁所在地まで出て来い、こういう銀行があるのです。かような大蔵省の指導ではとうてい中小企業金融は望めぬと思うので、いずれまた後ほど具体的にこの資料を差上げますから、ひとつ銀行局長から厳重に頭取に忠告して、改めるようにお願いいたしたいと思います。これをもつて質問を終ります。
  89. 小山長規

    小山委員長代理 委員長から一言銀行局長にお尋ねしたい二とがあります。それは奥村君の質問に関連してでありますけれども、聞くところによると、無尽会社を相互銀行に直す一つの基準として、金利の引下げをせいということを言われるやに聞いている。ところが相互銀行法の制定の趣旨は、当大蔵委員会で申しました通りに、小口でかつ長期の金融でなければならぬというふうに、われわれは考えているのであります。ところが、この相互銀行の金利を引下げることが、免許の基準になるということであるならば、相互銀行はその使命を逸脱して、必ずや手形の割引であるとか、あるいは短期の大口の貸出しに向う傾向にならざるを得ない。長期かつ小口の金融であるならば勢い経費が高いのでありますから、金利は普通の商業銀行の場合よりも相当程度高くなるのが、これは経営の常態であろうと思うのでありますが、もしも銀行局の基準、考え方がそのような実態に恥じない金利の引下げにその方向を向けられようとするならば、われわれが相互銀行を製定した根本目的である長期かつ小口の金融ということは、実際問題として望めなくなりはしないかというような心配をするのでありますが、これはほんとうであろうか。あるいは巷間のデマであるか。その辺のところを銀行局長より御説明願いたいと思います。
  90. 河野通一

    河野説明員 相互銀行になりました場合の金利の問題だけでなくして、一般の中小金融に対する金利が普通の銀行等の金利と比較いたしまして、コストの点からいいましても、あるいは長く寝るという点からいたしましても、同率に論じ得ないことは御指摘通りであります。私どもは相互銀行なつたからというて、その貸出し金利を一般の銀行と同率まで持つて来ようという意図は毛頭持つておりません。しかしながらこれは程度問題でありまして、中小金融につきましてもできるだけ中小金融の特殊性、つまり長い金であるということ、あるいはコストが高い、あるいは危険率がある程度大きいというような点等を考慮して、その特殊性を認めながら、許す範囲においてはできるだけ低くして参りたいということが、私どもの念願であります。一律に銀行と同じような金利まで持つて来ようということは、毛頭考えておらぬのみならず、現在のところは具体的に申し上げますと、大体三銭五厘程度が最高というところで押えて参りたいというのでありまして、その範囲内においてできるだけさらに下げられるところは下げてもらいたい、こういうような意図を持つているわけであります。普通の一般銀行の金利は、御承知のように一年以上の長い金融につきましては、金利調整法の制限は実はないわけでありますが、大体現在三銭を前後しているものが普通であろうかと思います。それから少額の金融につきましては、三百万円以下が二銭六厘という標準に実はなつているわけであります。それから比較いたしまして、三銭五厘というのは決して安くはないと思いますが、今申し上げましたような普通の銀行のように、三銭程度まで一挙に持つて来ようということは毛頭考えておらぬ。できるだけ経営の合理化をはかつて中小企業の金を借りる方々の方の競争力を強める、合理化に資するような形において金利負担をできるだけ少くして行く、一方金融機関としての堅実性を維持するという両方をにらみ合せまして、特殊性を認めながらできるだけ金利を下げて行くという方向に指導して参りたい、かように考えている次第であります。
  91. 小山長規

    小山委員長代理 御説の通りであるならばまことにけつこうでありまして、われわれが心配するところは金利を機械的に下げることによつて、長期かつ小口の金融が失なわれるようなことがあつてはならないという点であつたのでありますから、御説明をもつて十分満足をいたしております。
  92. 島村一郎

    ○島村委員 私は銀行局長ちよつと伺つておきたいと思います。私の伺おうと思うことは、大体奥村委員から御質問がありましたが、国民金融公庫資金量の増額に対しましては、新聞紙等を通じて大蔵省の構想を大体伺つておるのでありまして、大体あれが本筋であろうと想像いたします。あの構想の中で、五十億なり四十億なり国会の議を経なくても出せるものがあるのかどうか。もしあるとすればそれはいつごろ幾らぐらい出せるか。もう一つは、不動産金融を扱う場合に、別わくの資金を提供するのか。この点を……。
  93. 河野通一

    河野説明員 これは先ほど御指摘のように、奥村さんの御質問にお答えいたしたところを繰返すことになるかと思います。国会の御決議を経ないで、国民金融公庫資金を拡充する方法一つあります。それは資金運用部からの資金を、国民金融公庫としては借入れができることになつております。ただ実は予算の問題があるわけなんです。この関係経費予算の問題ですから、しばらくあとでそれを補正しても技術問題としてはいいと思いますが、筋からいえば、いわゆる予算関係で同時にやつた方が、まあ法令的には適法だ、こういうことになると思います。その他の資金のルートは、一般会計から入れるにいたしましても、それから見返り資金から入れるにいたしましても、出資の増額ということになりますので、これはやはり法律を直さなければできない、こういうことになります。  それからなお資金運用部からの資金の借入れがもし許されるといたしました場合には、その資金をどういう方向に使うかということによりまして、あるいは現在国民金融公庫がやつている以外の支出、たとえば先ほどお話がありました不動産担保金融を中心とした金融をやるということになりますと、これは法律を直さないと現在のところはできないと思います。
  94. 深澤義守

    ○深澤委員 中小企業金融は大きな問題になつて、池田さんがああいう談話を発表なされたのでありますが、概念的には、大体大口金融に対して七〇%、あるいは中小企業に対しては三〇%というようなぐあいに、われわれは承知しているのであります。何らか具体的に御調査をなさつて、その結果として池田さんが、これはたいへんだということでああいう談話を発表されたと思うのですが、そういう具体的なものをわれわれは資料としてほしいと思つているわけですが、そういうものがございましようか。それと、そういうものをわれわれ委員に御提出願えるかどうか。その点をちよつとお伺いいたします。
  95. 河野通一

    河野説明員 詳しいことは、たとえば一口一億以上の貸出しが何件くらいあるというようなことで、総数で幾ら、パーセンテージで幾ら、総貸出金のパーセンテージは幾らというようなのを各銀行について集めましたものなら、少し日にちをおいていただければ御提出できると思います。
  96. 深澤義守

    ○深澤委員 今の資料をひとつ委員長から提出していただいて、われわれ委員に御配付願うような御手配をお願いしたいと思います。
  97. 小山長規

    小山委員長代理 それではただいまの資料は、適当な方法で各委員に御配付をお願いいたします。ほかにございませんか。それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十三分散会