○田中(織)
委員 大蔵当局におきまして、特に
退職手当に対する
課税について、できるだけ早い機会に
改正法律案を提案せらるべく
検討を加えられるということを承
つて、ぜひとも一日もすみやかに
政府案が示されることを、われわれ期待するものでありますが、
退職手当につきまして、私の
対象として申し上げておるのは、いわゆる勤労者に属する部類の人たちであります。その
意味で、私らの
立場から全額免除をぜひ考慮していただきたいと思うのであります。但しそういう場合に、大体金額で押えますと三十万円
程度のところに一種の免税点を設けて、そこから上は軽度の累進的に行くような——私
どもの党の
立場で行きますと一種の妥協案でありますが、そういう方法で行くこともよいと思います。具体的な
検討にあたりましては、その点十分御考慮を願いたいと思うのであります。
なお、これは別途本
国会で成立するかどうか、非常に危ぶまれているのでありますが、公団あるいは出先
機関等の
整理の
関係で、現在清算過程にありまする団体
機関から近くやめられる
諸君は、
現行法によりますると、三年未満で二箇月半というような
退職手当を受けるわけであります。これらの非常に存續期間の短かかつたところの
機関から、その
機関の閉鎖に
なつたためにやめなければならない
諸君は、失業保険法の完全な
適用もないのであります。
退職手当としてもらつたものと、通常の場合の失業手当との間の
差額だけしか、失業保険においてもらえないという制約を受けているのであります。特にこうした
関係の
諸君は、三月三十一日で大
部分の者がやめまして、公団あるいは閉鎖
機関等の
関係において、約三万人余りの者が六月末ないし五月末で、これまた失業者の群れに入
つて行かなければならぬ
立場にあるわけであります。こういう
関係の
諸君の実情を見まするならば——これは先ほど私が申し上げたように、やめてから
当座食うて行くための最低の
資金なんです。
全額課税、しかもそれを五箇年平均で徴收するというのでありますけれ
ども、
所得の算定は必ずしも数字的にそう明確にできるものではないので、これは非常に過重な
負担にな
つていると思う。最近のように、一方には街に失業者があふれている状態であるときに、職場から投げ出される
諸君は、相当
考えてやらなければならぬと思います。従来
漁業権というような
一つの権利を持
つておつた人が、
漁業権の再配分によ
つてその権利を失うのでありますけれ
ども、それには二百億近い金が
補償金として出るのであります。ところがこの
退職で出て行く人たちには、補償的な
意味のものはないのであります。これはやはりさしあたりの
生活費の一部として出されるものでありますから、これに
課税するということは、社会政策的な見地から見ましても
考えなければならぬと思います。わが党といたしましては、でき得るならば全額免除を、しかし高額のものを一時にもらう人もなきにしもあらずでありますから、そういう点でやはり三十万円というような免税点を設けて、それ以上は軽い累進的なもので行くように、せつかく
大蔵当局において
検討中だということでありますから、
検討せられる機会には思い切つた
検討を加えて、すみやかに
提出されることを強く希望しておきます。