○河野(通)
政府委員 漁業権証券の問題につきまして、私が所管いたしております
関係から申し上げますと、これと
漁業設備の改善なり、補強なりに関する金融と申しますか、問題との関連について申し上げなければならぬわけであります。先般来、
漁業権証券の資金化という問題につきましては、農林省当局からも御要望があり、
国会方面からもいろいろご要望を伺
つておるのであります。この資金化につきましてはいろいろな
考え方があります。第一には、
特別会計をつくることがどうかという問題が
一つ、それから第二には、資金化の
方法として、普通
考えられております銀行その他の金融機関が、
漁業権証券を担保にと
つて金融をする道はならいかという問題が
一つ、それか第三には、この
漁業権証券というものをなるべくすみやかに
政府において買い上げて、これをつぶしてしま
つて、その
かわり金としてこれを資金化した形にしたらどうか。それからもう
一つ、第一の問題と関連いたしますが、財政上の措置として現在あります農林
漁業特別会計ですか、あの資金を拡充して行くということが—新しい
特別会計をつくる
かわりに、農林
漁業特別会計の資金を拡充して、この方へ資金をまわして行くということが
考えられないかという問題も、第一に申し上げました
特別会計の問題としてあるわけであります。
以上申し上げましたような大体三つの問題につきまして、いろいろ論議をいたしましたところ、第一の
特別会計、つまり財政措置を講じます点につきましては、
大蔵省といたしましては、この際まだ時期が早いのではないかという結論に到達いたしております。
第二の
一般金融機関から、
漁業権証券を担保にして金融をいたします点につきましては、この資金が相当長期なものにわたるというような点もありまして、担保価値が十分であるなしの問題にかかわらず、相当多額の
金額が長期に固定いたしまする点が
一般の金融機関、ことに銀行といたしましては、非常にむずかしいところもあるわけであります。私
どもはこの道で金融がつきますならば、極力つけて行くように努力はいたして参りたいと思いますし、特に農林中金等につきましては、その機関の性格上から行きましても、資金の金繰りがつくだけ、こういう
方面にも資金をまわしていただくことが適当であろうと
考えておりますが、現在のところでは大体どの程度の
金額が、これによ
つて金融がつくかという点につきましては、はなはだ遺憾ながら私の方としては、そう大した大きな額の金融がつくとも、実は
考えられないというような次第であります。
第三に、
政府が当面
漁業権証券の資金化を必要とする
金額の範囲内におきまして、これを
買上げ償還をいたす形において、資金をつけて行くという道がいいのではないかと
考えております。この買い上げ
償還をいたします
方法は、大体これは農林省あたりが御中心になられまして、
漁業の設備の改善その他につきまして、必要とする
金額を大体はじいていただきまして、それに相当する
漁業権証券を一応農林中金に買いと
つていただきます。農林中金はこれをそのまま右から左へ預金部資金——最近名前か
かわりました資金運用部資金にそのまま持
つて行
つてもらう。資金運用部資金がこれを余裕金の運用として、
漁業権証券を農中から買いとる。そうして資金運用部資金は、それをまた右から左に
国債整理基金特別会計の方へ渡して、そこでつぶしてしまう、こういうふうな構想で進めて行
つてはどうかというのが、現在まで私
どもの到達いたしました結論であります。
それで第一の
考え方、あるいは第二の
考え方について、いろいろまた御意見もあるかと思いますが、この第三の
考え方につきまして、今申しましたように非常に複雑な手続をとりましたのは、第一には、どういう
方面の
漁業権証券を資金化することが、一番適当であるかということを判断いたしますのは、資金運用部等の機関よりも、やはり農林中金かその辺が何といいますか、詳しいといいますか、妥当な結論を得るのに近いのではないかということで、農林中金を表に出したことが
一つ、それから資金運用部資金をまたその間にはさんで、
国債整理基金へ持
つて行くことにいたしましたのは、
国債整理基金特別会計といたしましては、この
買上げ償還をいたします場合に、自分でいろいろ判断をするのもなかなか困難でありますので、一度農林中金でこれをすくい上げたものを預金部資金、資金運用部資金に一応抱かせて、資金運用部の持
つているものを、つまり一種の
政府会計でありますが、
政府会計の持
つているものをそつくり買いと
つて、つぶしてしまうというような手続が一番いいと思いまして、こういうような結論に到達したわけであります。今のような非常に複雑な段階を経るように、ちよつと形式上は見えますが、右から左え持
つて参りますので、別段その間に複雑な手続もないのであります。ただ
整理がされるために、一日か二日か
期間を要することはあ
つても、農林中金なら農林中金が、相当の
期間この
漁業権証券を抱いて行かなければならぬということには相ならぬかと思います。そういうようなわけで、こういうふうな
考え方で進むことが適当であろうと
考えております。
なおそれでは大体
国債整理基金特別会計が、どの程度の
金額の
漁業権証券を買いとるつもりであるかという問題であります。今申し上げますのはさしあたりの問題でありますが、目下農林省当局といろいろお打合せをいたしておりますので、はつきりした正確な具体的な
金額まで申し上げる段階にまだ至
つておりませんが、大体三十億見当、三十億前後になろうかと今のところは
考えております。
それから
漁業権証券の條件でありますが、これは
先ほども申し上げましたように、
漁業権証券というものが一種の
国債である
関係から、
国債の金利水準の問題等いろいろありますので、今まで出されております
国債の條件と、そう著しくかえた條件を出すわけには参らぬかと思います。大体現在
考えておりますのは、やはり五分五厘でありますが、
期間につきましては、できるだけ事情の許す限り短期にいたしたい。五分五厘五年というのが普通の條件でありますが、これを何年でできますか、できるだけ短かくして行
つて、それによ
つて何といいますか、その証券を短期化して行きたいという
考えを持
つております。今具体的に、二年になるか、三年になるか、その辺はちよつと申し上げられませんが、できるだけ短期のものにして行きたい。そして早くこれを資金化できるような措置を講じて行きたいと
考えております。
なお
漁業権証券は、日本銀行においてどういう取扱いを受けるかという問題があると思います。この点につきましては、日本銀行には二つの問題があるわけで、
一つは日本銀行の発券準備にこれを充当できるかできかいかという問題につきましては、これは当然
一般の
国債と同様発券準備として取扱われる予定であります。これはその点で農地証券とは取取いを異にいたすつもりでおります。それから第二に、日本銀行としてこれを
一般の手形貸付いたします場合の担保として、適格であるかないかという問題でありますが、この点も
一般の
国債と同様に適格担保として取扱う予定であります。
なお、大体今思いつきました点を、順序もなく申し上げたわけでありますが、御
質問によりまして、決定いたしております範囲においてお答えをいたしたいと思います。