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1951-05-21 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第52号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十一日(月曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長代理理事 奧村又十郎君    理事 内藤 友明君       大上  司君    佐久間 徹君       清水 逸平君    高間 松吉君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       三宅 則義君    宮幡  靖君       荒木萬壽夫君    宮腰 喜助君       松尾トシ子君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      泉 美之松君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         水産庁長官   藤田  厳君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局保險課         長)      長崎 正造君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月十八日  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  税関支署及び出張所並びに支署出張所及び  監視署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第六号) 同月十九日  有価証券処分調整等に関する法律廃止に  関する法律案内閣提出第一七六号) 同月十八日  公務員の新退職給与制度確立に関する請願外一  件(福井勇紹介)(第一九七六号)  同(江崎真澄紹介)(第一九七七号)  同(稻田直道紹介)(第一九八五号)  同(福井勇紹介)(第一九九七号)  同(島田末信紹介)(第二〇四七号)  同(藤枝泉介紹介)(第二〇四八号)  同(青野武一紹介)(第二〇四九号)  同(長谷川四郎紹介)(第二〇五〇号)  同(成田知巳紹介)(第二〇五一号)  同(松本七郎紹介)(第二〇五二号)  同(中曽根康弘紹介)(第二〇六八号)  同(川島金次君外二名紹介)(第二〇六九号)  同(苫米地英俊君外一名紹介)(第二〇七〇  号)  同(玉置信一君外三名紹介)(第二〇七一号)  同(守島伍郎紹介)(第二〇七八号)  同外六件(多田勇紹介)(第二〇七九号)  同(小高熹郎君紹介)(第二〇八〇号)  同(塩田賀四郎紹介)(第二〇八一号)  同(田万廣文紹介)(第二〇八二号)  旧漁業権に対する補償金免税等に関する請願  (小澤佐重喜紹介)(第一九九二号)  未復員者給与法適用範囲拡大に関する請願(  金子與重郎紹介)(第二〇〇四号)  時計類に対する物品税撤廃請願西村直己君  紹介)(第二〇九三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  租税債権及び貸付金債権以外の国の債権整理  に関する法律案内閣提出第一五九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六〇号)  有価証券処分調整等に関する法律廃止に  関する法律案内閣提出第一七六号)  船主相互保険組合法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一六八号)(予)  外国保険事業者に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一六九号)(予)  保険業法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七〇号)(予)  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  税関支署及び出張所並びに支署出張所及び  監視署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第六号)     —————————————
  2. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 これより会議を開きます。  去る十八日、本委員会に付託されました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監親署の設置に関し承認を求めるの件、及び一昨十九日付託されました有価証券処分調整等に関する法律廃止に関する法律案の両案を一括議題として、まず政府自局より提案趣旨説明を求めます。西川政府委員。     —————————————   地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件    地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し承認を求めるの件  最近における外国貿易及び密貿易のすう勢に対応し、税関行政の円滑な遂行監視取締の万全を期するため、別紙のとおり、門司税関細島税関支署及び横浜税関鶴見出張所外二十張所設置するとともに、監視署配置転換を行い、名古屋税関清水税関支署御前崎監視署外監視署設置する必要があるので、大蔵省設置法昭和二十四年法律第百四十四号)第二十三條第一項の規定による税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置について、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号)第百五十六條第四項の規定に基き、国会承認を求める。 別紙   税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署の新設 一 税関支署    所轄税関 税関支署名  位置    門司   細島税関支署 日向市 二 税関出張所及び支署出張所    所轄税関 出張所    位置    横浜   横浜税関鶴見         出張所    横浜市    門司   佐世保税関支         署大村出張所 大村市    函館   小樽税関支署         札幌出張所  札幌市 三 税関支署監視署    所轄税関 監視署名   位置    名古屋  清水税関支署 静岡県棒原         御前崎監視署 郡御前崎
  3. 西川政府委員(西川甚五郎)

    西川政府委員 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関支署及び出張所並びに支署出張所及び監視署設置に関し国会承認を求めるの件について、提案の理由を御説明いたします。  最近における外国貿易及び密貿易の趨勢に対応し、税関行政の円滑な遂行監視取締りの万全を期するため、細島税関支署及び横浜税関鶴見出張所外二十張所設置するとともに、監視署配置転換を行い、名古屋税関清水税関支署御前崎監視署外監視署設置する必要がありますので、その設置に関し、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基きまして、本件を提案いたしました次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に有価証券処分調整等に関する法律廃止に関する法律案について申し上げます。  有価証券処分調整等に関する法律は、政府財産税等により収納した有価証券持株会社整理委員会持株会社及び財閥家族から譲り受けた有価証券閉鎖機関整理委員会が管理する閉鎖機関の所有する有価証券等について、その処分を円滑かつ公正ならしめるために、有価証券市場の状況に応じて、その処分の時期、価額、数量等に所要の調整を加えるとともに、証券民主化の見地から、広く国民の間にこれらの有価証券の分散をはかることを目的として、制定されたものであります。これらの有価証券は、現在までに大部分処分が完了し、ことに持株会社整理委員会は近くその保有有価証券全部の処分を終つて解散する予定となりましたので、この法律目的はほぼ達成されたものと認め、ここに同法を廃止し、同法に基いて設置された証券処理調整協議会解散しようとするものであります。  協議会解散の日は、この法律公布の日から三箇月を越えない期間内において政令で定める日といたしておりますが、目下のところ、大体本年六月三十日ごろとなる見込みであります。また解散及び清算に必要な手続規定は、別に政令で定めることといたしますが、協議会解散の日からその清算の完了に至るまでの期間においては、清算事務処理に必要な経費を支弁するため、その昭和二十六年度予算を引続き執行できることとするとともに、協議員からの必要経費の徴収、未済事務処理については、同協議会解散後も解散前とかわらないこととしております。  なお、有価証券処分調整等に関する法律廃止された際に、政府または閉鎖機関整理委員会には、処分未済有価証券が若干残る見込でありますが、これにつきましては、同法廃止後も同法の制定された趣旨従つて、今後ともその処分を促進して行く方針にはかわりないのであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 泉政府委員がおりますので、何か御質問がありましたら許します。
  5. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、ちよつとお尋ねしたいのであります。今度漁業権証券を発行せられ、その償還の財源は漁業権を新たに貸し付けるその賃借料で払うということが、大体法律建前になつておる。そこで私ども心配になりますのは、今百七十億というものが出まして、これが何年間かで償還になるのであります。そこで漁業計画を立てて、その貸賃をとるのですが、だんだんと沿岸漁業が少くなるために、思うように漁業計画が立たないことになる。つまり前よりもずつと数の少いものになるだろうと思うのです。そうなりますと、今政府考えておられるような、いわゆる小作料が入つて来ないことになる。そうなりますと、今度はその小作料を値上げしなければならぬようなことになるのでありますが、政府は一体どう考えておられるのか。これは将来の大きな問題だと思うのでありますから、それをひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  6. 泉政府委員(泉美之松)

    泉政府委員 御質問の点につきましては、政府としてもいろいろ検討をいたしておるのでありますが、この償還は大よそ新漁業権からの免許料と、それから漁業に対しまする許可料と、この収入によりましてまかなうということにいたしておりますが、必ずしも必然的にそれとがまつたく見合わなければならないという建前はとつておらないのでございます。ただいまのところでは、許可料免許料一般収入としまして一般会計に入つて参るのでありますが、それをおおむね国債整理基金特別会計の方に移しかえまして、その国債整理基金特別会計の方から償還を行うということに考えておるのであります。従いましてただいまのところは、漁業権証券は五箇年後償還ということを考えておりますし、また五箇年の償還期限到来前におきましても、買上げ償還ということを考えておるのでありますが、必ずしも許可料免許料がそれまでに入つて償還期にはその免許料許可料によつて必ず償還するという考えではないのであります。大体許可料免許料を、二十年ぐらいの長期にわたりまして、今回の補償金及びその利子に相当する部分を徴収すればいいだろうという考えで、大体の予想でやつておるのであります。しかしお話のように、今後漁獲高が変動などいたします際におきましては、この二十年の期間というものが—二十年ときまつておるわけではございません。二十数年という考えでおりますが、この二十数年という期間をあるいは延長するとかいうような問題が起ろうかと思うのでございます。しかしさしあたりの考えとしましては、先ほども申し上げましたように、直接密接に関連せしめない考えを持つております。すぐにそういつた事態になりました場合には、また別に考えることといたしまして、さしあたりはそのような必要はなかろうというふうに考えておるのでございます。
  7. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それでは今の百七十億、これは国の一つ債務になるのであります。それの収入というものは免許料許可料によつて補うのでありますが、そうしますと、これは百七十億に見合う免許料許可料が入つて来ないということになると、その足らない部分政府が負担するのですか。それをひとつはつきりしておきたい。
  8. 泉政府委員(泉美之松)

    泉政府委員 先ほども申し上げましたように、さしあたりの段階におきましては、政府が一時立てかえたような形にしておきまして、将来二十数年の長い間にわたりまして、少しずつ免許料許可料の形で収入を得まして、大体それによつてまかなつて行こうという考えなのでございます。
  9. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それではこの立てかえておかれるのは、何か特別会計でもおこしらえになつて、そこで何か始末せられるのですか。それともこれは一般会計がそういうものを背負うのでありますか。その点をはつきりしておきたい。
  10. 泉政府委員(泉美之松)

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、償還五年になるまでの買上げ償還につきましては、国債整理基金特別会計の方から他の国債と一緒に買上げ償還するという形をとります。しかし五年後償還する場合に国債整理基金を使うか、あるいは一般会計を使うかということはまだきまつておりません。
  11. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それはそれでわかりました。そこでなるほど今度のこの法律は、かねがね私どもがいろいろ政府に意見を申し上げておりましたことを取上げられまして、法制化されたのでありまして、一面けつこうだと思つておるのでありますが、しかし私はこういう税金はかけない方がいいのじやないかと思つておるのであります。それは昨年の九月でありましたか、私どもが農林省へ参りまして、こういうことに対して税金がかかるのであるが、漁業法制定のときにそういうことを考えておつたかどうかということを話しましたところ、水産庁では、前の水産庁長官でありましたが、全然考えておられなかつた。そこで私ども心配になりまして、実は平田さんのところへ参りまして、こういうことが起るのだが、どう考えてござるかと申しましたが、平田さんも実はそのときは全然この問題に対して知識がなかつたのであります。一体百七十億なんというものは、そんなものがどこから出て来るのかというふうな意外なお話でありましたので、それではよく御研究いただきたい。水産庁も税の関係はちつとも考えておられないし、大蔵省の税の責任者の方も考えておられないということを申し上げたのであります。そのとき私どもは、それでは何なら今政府はちつとも気がついておられないのであるから、そのような立法化を実は願いたいということを、くれぐも頼んでおいたのでありますが、今度は八十一億ほどかかるものが、妥協的に十億ぐらいになつたとは申せ、これは政府がちつとも昭和二十六年度予算編成当時には、お考えになつておらなかつた十億なのでありまして、もう百尺竿頭一歩を進めて、こういうものは税金はとらぬということに、はつきりした方がいいのではないかと思うのであります。今からでもこれはおそくないと思うのでございますが、ひとつ何かそういう方向へ持つてつていただくことはできないものか、政府のお心持を承りたいのであります。
  12. 泉政府委員(泉美之松)

    泉政府委員 お話の点につきましては実ははなはだうかつなことでございますが、漁業法の改正がありました当時、水産庁の方から主税局の方に連絡がございませんので、私どもそういう事態であるということを、実は承知いたしておらなかつた次第でございます。ところが本年に入りまして、水産庁からこういうふうな漁業制度改革を行うことになつておるのであるが、漁業権消滅に対して交付される補償金に対して課税されるかどうかというお話があつたのであります。水産庁の方におかれましては御承知のように、現在所得税法の第六條に「損害賠償に因り取得したもの、」という規定が入つているのでございますが、それに該当して課税にならぬのではなかろうかというふうな御見解であつたようでございます。しかしこれまた御承知通り所得税法第六條の「損害賠償に因り取得したもの、」と申しますのは一時所得のことを申しておるのでございます。漁業権消滅によつて交付されまする補償金につきましては、法律漁業権消滅という形式を用いておられるのでございますが、実質は譲渡にほかならないと考えられるのであります。譲渡所得になりまして、一時所得としての非課税規定に該当しないということになりまするので、やはり譲渡所得として課税せざるを得なくなつているのでございます。しかし漁業権消滅の対価として交付されたものの大半が、税金として徴收されるということになりましては非常にお気の毒でございますので、何とかこれを軽減する方法考えようというわけで、いろいろ検討いたしました結果、全然非課税にするということは、任意に処分した場合などとの関係からひたしましてやはり適当ではなかろう。しかし一番軽くするにはどうすればいいかということを検討しまして、再評価税というのがございますので、再評価税の六%だけにとどめるという方向で検討いたして参つたのであります。そこで提出いたしましたような法案の形になつておるのでございますが、この程度に負けることによつて、相当漁業制度改革という点からは、円滑な実施ができるのではなかろうかと思つておるのでございます。それからお話がございましたように、平田主税局長がこの問題を言いました当時、二十六年度の歳入予算にこれらの収入を見積つておらなかつたというようなお話でございますが、歳入予算は大体の過去の実績を基礎にいたしまして、生産物価の指数を乗じまして、一応の目途をつくるのでありまして、一々ここにどれからの収入幾らというふうな算定の方法は用いておらないのでございます。従いましてこれの収入に気づいておらないからと申しましても、二十六年度の歳入に全然予定されてないというわけではないのであります。ことに今後許可料免許料というものが徴収されますと、それは所得税なり法人税なりにおきまして、必要経費とし事して控除されることになりまして、それだけ所得が少くなるという関係にありまするので、これを全然非課税にするということはとうてい考え得ないことと思うのでございます。
  13. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 今のお話でよくわかるのでありますが、しかし八十一億のものを十億にせられたということ、これは行政的処置のための立法なんでありまして、もともと政府漁業法制定当時から何も考えておられず、また大蔵省もちつともこういうことについては念頭になかつたのでありますから、その通りにやはり立法をおやりなざる方が、私いいのじやないかと思つておるのであります。それはもちろん税収入何がしというものをぽかつと大よその見当でおやりなさるのかも存じません。正直なことをお話なさつておられるのかもしれませんが、しかしやはり国民所得幾らつて、あるいは物品販売幾らつて、何が幾らつて、かにが幾らつてということが基礎になりますので、だから現実ぽかつと大よその見込みでおやりなさるのかもしれませんが、表面ではやはりそういうわけに行きません。従つて政府はこの漁業権証券の問題につきましても、何もお考えになつておらなかつたのでありますから、何もお考えなさらぬような立法をなさるのが、私は正直なところじやないかと思うのでありますが、もう一つ何か御研究していただいて、ほんとうに全部無課税にしてしまうということができないのかと思うのであります。これはまあ八十一億のものを十億に減ぜられたのだから、文句は言われないのかもしれませんが、どうも私はいろいろ立法せられる上においての政府考え方が、すつきりしておらぬのじやないかと思うのでありまして、こういうことを申し上げてははなはだ御無礼でありますが、将来もそういうことにつきましては、どうかひとつ筋のお立ちになるようにお考えいただきたいと思うのであります。
  14. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 次に船主相互保険組合法の一部を改正する法律案外国保険事業者に関する法律の一部を改正する法律案保険業法の一部を改正する法律案の三法律案一括議題といたしまして、質疑を行います。
  15. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 ただいま議題となつております保険業法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。政府は今回保証保険事業を新たに認めようとするのでありますが、本事業を行うに至りました経緯を一応御説明願いたいと思います。
  16. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 保証保険事業というのは、たとえば請負保証保険、それから身元保証保険等と呼ばれているものでありまして、請負保証保険では、たとえば請負人債務の不履行によつて注文者に与えた損害保険会社が填補する。その場合請負人契約者となれば保険金を受取るものが注文者になる。そういう制度をつくりますと、従来請負人注文者に納めておつた保証金というようなもののかわりに、保険証券注文者に持つて行けばよろしい。保証金となりますと、たとえば契約金額の十分の一以上というような相当多額なものになるわけでありますが、これを保険でいたしますならば、もつと少額の金額で済む。また身元保証保険の例では保証人というようなものを立てるかわりに、保険会社保険証券を持つて行けばよろしい。そうしまするならば相当有名な知人というようなもののない人でも、これは保険会社保険証券を持つて行けば、十分雇主が雇つてくれるというようなことにもなるわけであります。このような制度はアメリカ、イギリス等では保険会社の仕事としていわゆるボンドということで広く行われているわけでありますが、日本ではまだ行われておりません。その上今の保証保険というものは、事の性質上保険契約者故意をも担保とするという意味合いにおきまして、商法規定した保険契約とは少し違うわけであります。従来保険業法保険事業というものは、商法保険契約を基本として考えておるわけでありますので、従来の保険業法上の保険事業に入るかどうかははなはだ疑わしい。むしろこれは入らないと考える方が適当であるわけでありますので、この際今の保証保険というものを、保険業法上の保険事業に含めるということに新たにいたしまして、損害保険会社がこれを行うことができるようにいたしたわけであります。元来保証保険契約というものは、損害保険契約に非常に類似いたしておりますので、損害保険会社が行うのに適しておるということで、この事業保険業法上の保険事業にして、損害保険会社がこれを行う道を開いた、かような次第であります。
  17. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 ただいまの御説明で大体わかつたのでありますけれども、一面こういうぐあいに保険事業をいずれの方面からの要望でなされたのか。この一点も聞いておきたいと思うのでありますが、さらにただいま説明をいただいたように、本来保険事業というものは善意の事故を対象としておるわけであります。従つて保険契約者故意による場合はこれを担保しない。この点保証保険事業は真の保険事業ではない、こういうようにも考えられるのであります。これをあえて損害保険の方へ入れた、こういうことに対してただいま簡単な御説明がありましたが、なおその基礎となるべき理論をもう一応御説明願いたい。
  18. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 どういう方面でこういう事業の成立を要望しておるふという点でありますが、現在のところでは建設省関係工事請負契約に対する保証保険、それから国有鉄道関係のやはり工事請負保証保険、それから同じく国有鉄道関係物品納入契約保証保険というようなものが、現実の問題として要望せられております。その他身元保証保険の類では、たとえば生命保険外務員費消というようなものに関しまして、外務員損害保険会社契約し、保険料費消の場合に、損害保険会社が補填するというようなことも相当企画している向きがあるようです。それから故意をも担保するというような点、これは問題ではないかという点でございますが、この保証保険におきましては、保険契約者保険金受取人というものの利害がまつたく対立しております。保険契約者というものがいろいろな事故を起しました場合、それによつて非常な迷惑をこうむるのは契約の相手方である債権者でありまして、そこでその債権者はどうしても保険金を全額受取らなければ、損害の補填が受け得られないわけであります。一般損害保険契約の場合は、保険契約者と被保険者というものの利害が共通なので、その故意を担保してはぐあいが悪いのですが、この場合はさような弊害がない。もしかりに両方が共謀するというようなことが万々ありましても、これは詐欺という類に入つて来るというように考えるのであります。そこでなぜこれを保険会社にやらせるのが適当かという点を申し上げますれば、この保険事業は、技術的には非常に損害保険契約に似ておるわけであります。たとえば告知義務の違反とか、その他保険金を定めて保険料率を算定して行くというような点で、相当商法損害保険契約の総則というものの適用される面が多い。それから従来の経験によつて保険料率を定めて行く。この数字をある程度基礎にして保険料率をきめて行くというような点で、損害保険事業に類似しでおり、また損害保険会社をしてこれを行わしめるのに適当しておると考えられる。これは各国においても同様でありまして、ことにアメリカ等では盛んに行われておるように承知いたしております。
  19. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 ただいま外国の例にも徴せられて説明せられたのでありますが、その点は了承いたす次第であります。何分わが国におきましては新たなる考えに基く保険でございますので、その料率等についてはどういうような料率を適用するのか。またその料率の算定の基礎はどういうぐあいになつておるのか。そのことについてお尋ねいたします。
  20. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 御指摘のように、この保険保険料率というものは、その計算の基礎一般保険に比して明確ではないのでありますが、それでもやはり若干の資料というものは得られるわけでありまして、その経験、率及び諸外国における料率資料というものを参考にいたしまして、あとう限り適正な料率を算定して行く。そうしてなお毎年の経験によつて、漸次修正して行くというような方法によるよりほかないと思います。従いましてこの保証保険事業の免許にあたりましては、十分慎重に取扱う必要があるというふうに考えます。
  21. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 なるほどその保険料率の算定については、相当の基礎資料がなければならぬのでありますが、そういうようなことを予想しての資料というものが、ただいまのところなかなか集まらないじやないかというような心配もあるのでありますけれども、その点は政府も十分ひとつ御考慮に置かれて、保険会社を指導せられて適正な料率をつくつていただきたい。これを要望いたす次第であります。  さらにこの保証保険は民法上の保証とどういう差異があるのか。またその関連がどういうぐあいになつておるか。ひとつ御感想を承りたい。
  22. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 この保証保険における保険者の義務というものは、民法上の保証人債務に非常に似ておりますが、次の点で異なつております。第一は、保証契約債権者保証人との間の契約でありまして、この保険の場合には債務者と保険者との間の契約であります。すなわち身元保証で申しますと、保証の場合は保証人債権者である雇用主との間の契約になるわけでありますが、この保険の場合には保険会社と利用者との契約ができるわけであります。  次に保証保険者というものは、保証人と違いまして、検索の抗弁権というようなものを持つていない。これがまた民法上の保証と根本的に異なつておる点でございます。     —————————————
  23. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 佐久間君にちよつとお諮りしますが、水産庁長官、漁政部長が見えましたので、先ほど内藤君の質疑を継続してやつていただきたいと思いますが……。
  24. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 承知しました。それではあとへまわしましよう。
  25. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それでは水産庁長官にお尋ねします。漁業法のことでありますが、四月三十日にリツジウエイ総司令官から、ポツダム政令等の再検討と、その修正を日本政府でするようにという極限を許されるような声明があつたのでありますが、私はこの漁業法並びに水産業協同組合法もその中の一つの問題ではないかと思うのであります。政府におかれましては、漁業法並びに水産業協同組合法などを、もう少し今日の日本の実情に合うように、この際考えられる意思があるかどうか。と申しますのは、今私ども漁業権の補償の税金の問題について論議しておるのでありますが、やがてまた漁業法かわりますと、今私どもがいろいろ審議しておりますことが、また方向をかえなければならぬのではないかという考えも持たれますので、まずその点に対する政府のお考えを承りたいと思うのであります。
  26. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 現在お話通り、いろいろ従来の方針について改正を要するものを考えておりますが、この漁業制度改革に伴う漁業法の問題、あるいは水産業協同組合、漁業協同組合の問題につきましては、私どもといたしましては、現在のところ既定方針によつてこれをやつて行きたいと考えております。変更する点はまだ考えておりません。
  27. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 私の方は今日の漁業法は非常に無理があると思うのであります。組合法も同様でありますが、すでに農業協同組合法におきましては、今度はひとつこの際手をつけたいというので、いろいろ研究を進めておるのでありますが、国会でそういうようなことを考えていろいろやりました場合、政府はどういうお考えをお持ちになりますか。それをひとつお伺いいたしたいのであります。
  28. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 はたしていかなる点について改正の御意見をお持ちでございますか。そこがちよつとはつきりいたしませんので即答もできないのでありますが、改正点を伺えますれば、それに対する意見も申し上げられるかと思います。
  29. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それはいろいろとございますが、一例を申し上げてみますと、漁業権設定などにつきまして、意見を聞くための海区漁業調整委員会なるものがありますが、この調整委員会の今までのあり方をながめてみますと、まことに遺憾なものがたくさんあります。ほとんどこれは業者でありまして、おのれのための意見を通す委員会のような形になつておるのであります。はたしてこういう人たちにまかしておいて、適正な漁業計画ができるかどうかということも考えられるのであります。もちろん漁業計画は都道府県知事がきめるのでありまして、その意見を参考までに調整委員会に求めるという形になつておりますけれども、実質は調整委員会がきめるということになつております。こういうのを見ましても、今日の漁業法というものは、非常に行過ぎがあるのではないか。また今日の日本の実情にそぐわぬ点があるのではないかと思うのでありまして、そういう点についていろいろと国会としてもまじめに考えて行かなければならぬのでありますが、そういう場合政府は、いやそんなことをやつて政府としては反対だというお考えかどうか。そういうことをお尋ねしたいのであります。
  30. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 漁業制度改革の基本的なねらいは、一定の海区における水面の高度な総谷的利用というふうなことを目途にいたしまして、それを漁民の民主的な機構によつて解決して行く。それによつて漁業の民主化、漁業生産力の向上をはかる、こういう考え方であります。従つて私はその基本的な方向、線というものについては、やはりその方向でやつて行きたいと考えております。ただお話漁業調整委員会の運営等についてのいろいろな御批判があるいはあるのかとも思いますが、これはいわゆる漁民のみずから選出をいたしました委員の手によつて運営して行くという問題であり、しかもそれについては、たしかリコールの制度もあつた考えております。やはりこれは漁村全体の啓蒙と申しますか、民主化の線に沿つて自主的にきめられて行くわけであります。それをあまり法規的にどうするこうするということについては、なお検討を要するのではないかと思います。
  31. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それは意見の相違でありますから、深く立ち至りませんが、そこで次にお尋ねしたい点は、現在の漁業法施行法第一條によりますと、現存の漁業権というものは、この法律施行後二箇年間効力があるということになつておりますが、第二項には、第一項では二箇年とはきめておくけれども政令できめると、その期日は必ずしも二箇年でなくてもよろしい、こういうことになつておりまして、第一項を否定しておるのでありますが、先般租税特別措置法一部改正法律案をお出しなさるときの大蔵省説明を聞きますと、今年の八月と十二月の二回にわけて従来の漁業権消滅せしめる、こういう政務次官からのお話でありました。そこで私お尋ねしたいのは、八月と十二月と二度に打切られるその根拠、一度でもいいのではないかと思うのでありますが、それを二度に打切られる理由と、それから来年の三月まであるにもかかわらず、それを十二月で最後は全部打切るのだということにつきまして、政府考えておられろ事情をお聞かせを願いたいと思います。
  32. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 漁業法では漁業権を全面的に消滅します時期が、遅くも来年の三月十三日であつたかと考えております。つまり施行後二年以内、政令で定める時期、こうなつてつた考えます。その後漁業法が施行されましてから、いろいろと制度改革趣旨も準備段階を過して参つておりまして、大体全国—若干の例外はございますが、全国おしなべて相当準備も進んでおりますので、私どもとしましては、とりあえずこの九月一日と十二月二十日の二回に漁業権消滅させる。大体の気持は、原則として大部分のものは九月一日までに整理させ、漁期の関係でどうしても九月一日に切ると漁期の中途にまたがるというふうな、たとえば定置についてのまき網その他の若干のものについては、これを十二月の二十日で打切るというふうな一応の目標で、現在進んでおります。  なお、なぜ最終の来年の三月までにしないねかというお話でございますが、私どもとしましては、制度改革は、法令が施行されましてから相当時日も経過いたし、準備も相当進んでおりますので、やはりできるだけ早くこの制度の切りかえをいたすことが望ましいと考えておりますので、さような意味で、大体の空気といたしましては、九月一日にやるということにいたしましても、準備もでき、間に合うというふうな考え方できめたわけであります。
  33. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 この施行法によりますると、きめられた日以後は、絶対に旧漁業権というものはなくなるので、それを行使することはできません。もしやりますると罰則がありまするので、それはいけないのであります。そこでお尋ねいたしたいと思いまするのは、九月の一日でこの漁業権はやめるのだぞということになると、ちやうど九月の一日が、まだ漁期の最中だというものも中にあり得ると思うのです。そういうものはまた指定し直して、お前は十二月二十日までできるのだから、少し延ばしてやるぞ、こういうことにお取扱いなさるのでありますか。そういうことをお尋ねいたします。
  34. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 大体秋網あるいは春網というような区別で、漁期がいつからいつまでということがわかつておりますから、従つて十二月の二十日まで延ばしますものはいわゆる秋網、どうしても九月で切つては漁期がまたがるというものだけを特に延ばして、十二月の二十日で切る、こういう建前であります。従つて当然漁期の中途にかかるというものについては、私どもといたしましては九月一日において整理する、こういうふうな考え方で参つております。
  35. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それでは十二月の二十日という日でありますね。それ以後は絶対に旧漁業権というものはないことになる。しかし十二月の二十日に旧漁業権で漁獲しておる最中のものもあると思うのですが、そういうものはまた政令を出されまして、三月の二十日までよろしい、そういうことになるのでありますか。それを一つお伺いします。
  36. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 漁業権の全部について、大体都道府県知事が、この網とこの網は九月の一日に整理すべきもの、この網とこの網は十二月の二十日に整理すべきものというふうに、はつきりと、あらかじめきめて行く。その漁場計画に従つて公示をしてやつて行くというふうに考えております。従つてずるずるに一度きめたけれども、まだ漁期の中途だから、さらに延ばすというようなやり方ではなくやつて参ります。
  37. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それはそういうのもあるか存じませんが、九月ごろからおろした網で、十二月、一月、二月の初めまでやつておるのが現にあるのであります。また漁場計画も立つておらぬというものも現にあるのであります。そういうものは、十二月の二十日で打切つてしまつて、魚がその網に入るのだけれども、二十一日に上げてしまえということに、これではなるのであります。そういうことになりますると、非常に不都合なことが起るのではないかというふうに思うのでありますが、それでもあえておやりになるのでありますか。これはもう政府としては、腹の中ではいろいろお考えになつておられて、言葉の上には表わされない御事情もあるかも存じませんが、一応確かめておきたいと思うのであります。これはしかし腹でおやりなさるならば、それは一向さしつかえありませんけれども、現に十二月の二十日が最中の漁獲もあるというのが、新潟、富山、石川の方にはたくさんあります。そういうのはどうするかという具体的な問題になるのであります。そういう点ひとつ——そうじやないという御返事だろうと思うのでありまするが、腹の中は言葉に書けぬのでありますから、これはやむを得ませんけれども、そういうものも実はあるということを、はつきりと申し上げておきたいと思います。何かそういうことについて、少しでも心をお聞きいたしますれば、けつこうだと思うのであります。
  38. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 これは十二月の二十日ごろに網を立てているのもあるというような事態を起さないように、着業する以前に、すでにその網の新しい免許が決定して行くようにいたしたいと思つております。従つてもつと申しますと、たとえば富山、石川方面のぶりの大謀網というようなものについては、私は九月一日までに漁場計画を立て、漁業権の公示をいたしまして、それによつて新しく免許をきめて、そうしてその新しく設定されましたところの漁業権者が、九月十月ごろにこの着業にかかる、こういうふうな切りかえをいたしますれば何ら支障はない、そういうふうなやり方で、極力急いでもらいたいということで、まあやつておるわけであります。
  39. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 私のところの一部にはまだ漁業計画が立つておりません。私の町の地先は立ちましたけれども、氷見浦の方はまだ立つておりません。なかなか立たないらしいのでありますが、そういうことのために、立つておるところまでも、立たないもののために被害をこうむつておるということになりますので、立たないところはしかたがありません。自分が悪いのでありますから、これはしかたがないのでありますけれども、しかしちやんと計画が立つておるところが、他の方から影響を受けて、ほんとうの漁業計画が立たないという場合も実際にはあるのです。そういう場合どうなるのかということを考えますと、これは相当考えなければならぬ問題ではないかと思うのであります。従つてもし政府が十二月二十日というものを強行せられるならば、漁業計画漁業調整委員に諮問せず、知事がきめてしまうというところまで強く御指導なされば、それはいいのでありますが、それだけなさる決心がおありになるかどうか。それをひとつお尋ねいたします。
  40. 藤田政府委員(藤田厳)

    ○藤田政府委員 この新免許は都道府県知事が漁業調整委員会の諮問答申をまつて、これを決定して行くというわけであります。地帯々々ではなかなかその漁場計画自身が非常に問題になつて、行き悩みのところもあると承知いたしておりますが、私どもとしましては、しかしやはりそういうふうなところでも、極力こう結論を急いでいただきまして、そうしてこの九月一日に間に合わしていただくようにいたしたいというふうに考えております。ただ現実の問題として、いろいろ真剣に議論をいたしたけれども、どうしても間に今わなかつた、そういうふうなものをどうするか、そういうふうな特殊なものがあるかないか全然わからぬのでありますが、われわれといたしましては、現在はひとつ極力間に合せるようにしていただきたい。さような特殊な事態考えられますものにつきましては、これは事態に即してまたあとで考えなければならぬようなことがあるかもしれませんが、現在としては、ひとつ急いで間に合せるようにしていただきたい。要は知事の決断いがんだろうと思います。それでその決断を下して間に合わせるようにしていただきたいということを考えております。
  41. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 今の問題は大体わかりました。どうか知事にもそういうふうに、農林省から御指導いただきたいものだと思うのであります。  そこで銀行局長にお尋ねいたしたいと思うのでありますけれども、この漁業権証券の取扱いの問題でありますが、これはまあ政府が御発行なさるのでありますから、その点は問題でございませんけれども、実際の仕事はどこでやらせられるのでありますか。以前農地証券の場合には、勧業銀行をしてやらせられたのでありますが、今度はどこでおやりになりますか。
  42. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 この問題は一種の国債発行でありますので、国債発行の手続になります。内部のことを申し上げて恐縮でありますが、実は理財局の方の所管になつております。私もまだ詳しく聞いておりませんが、今研究をいたしておるのではないかと思います。現実の取扱者は、おそらく農中あたりが中心になつてやることになるのではないかと思いますが、まだはつきりしたところは私承知いたしておりません。
  43. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 それでは銀行局長にお尋ねしたいのでありますが、漁業権証券なるものの今日政府考えておられまするいろいろなことを、ひとつお話していただきたいと思うのであります。
  44. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 漁業権証券の問題につきまして、私が所管いたしております関係から申し上げますと、これと漁業設備の改善なり、補強なりに関する金融と申しますか、問題との関連について申し上げなければならぬわけであります。先般来、漁業権証券の資金化という問題につきましては、農林省当局からも御要望があり、国会方面からもいろいろご要望を伺つておるのであります。この資金化につきましてはいろいろな考え方があります。第一には、特別会計をつくることがどうかという問題が一つ、それから第二には、資金化の方法として、普通考えられております銀行その他の金融機関が、漁業権証券を担保にとつて金融をする道はならいかという問題が一つ、それか第三には、この漁業権証券というものをなるべくすみやかに政府において買い上げて、これをつぶしてしまつて、そのかわり金としてこれを資金化した形にしたらどうか。それからもう一つ、第一の問題と関連いたしますが、財政上の措置として現在あります農林漁業特別会計ですか、あの資金を拡充して行くということが—新しい特別会計をつくるかわりに、農林漁業特別会計の資金を拡充して、この方へ資金をまわして行くということが考えられないかという問題も、第一に申し上げました特別会計の問題としてあるわけであります。  以上申し上げましたような大体三つの問題につきまして、いろいろ論議をいたしましたところ、第一の特別会計、つまり財政措置を講じます点につきましては、大蔵省といたしましては、この際まだ時期が早いのではないかという結論に到達いたしております。  第二の一般金融機関から、漁業権証券を担保にして金融をいたします点につきましては、この資金が相当長期なものにわたるというような点もありまして、担保価値が十分であるなしの問題にかかわらず、相当多額の金額が長期に固定いたしまする点が一般の金融機関、ことに銀行といたしましては、非常にむずかしいところもあるわけであります。私どもはこの道で金融がつきますならば、極力つけて行くように努力はいたして参りたいと思いますし、特に農林中金等につきましては、その機関の性格上から行きましても、資金の金繰りがつくだけ、こういう方面にも資金をまわしていただくことが適当であろうと考えておりますが、現在のところでは大体どの程度の金額が、これによつて金融がつくかという点につきましては、はなはだ遺憾ながら私の方としては、そう大した大きな額の金融がつくとも、実は考えられないというような次第であります。  第三に、政府が当面漁業権証券の資金化を必要とする金額の範囲内におきまして、これを買上げ償還をいたす形において、資金をつけて行くという道がいいのではないかと考えております。この買い上げ償還をいたします方法は、大体これは農林省あたりが御中心になられまして、漁業の設備の改善その他につきまして、必要とする金額を大体はじいていただきまして、それに相当する漁業権証券を一応農林中金に買いとつていただきます。農林中金はこれをそのまま右から左へ預金部資金——最近名前かかわりました資金運用部資金にそのまま持つてつてもらう。資金運用部資金がこれを余裕金の運用として、漁業権証券を農中から買いとる。そうして資金運用部資金は、それをまた右から左に国債整理基金特別会計の方へ渡して、そこでつぶしてしまう、こういうふうな構想で進めて行つてはどうかというのが、現在まで私どもの到達いたしました結論であります。  それで第一の考え方、あるいは第二の考え方について、いろいろまた御意見もあるかと思いますが、この第三の考え方につきまして、今申しましたように非常に複雑な手続をとりましたのは、第一には、どういう方面漁業権証券を資金化することが、一番適当であるかということを判断いたしますのは、資金運用部等の機関よりも、やはり農林中金かその辺が何といいますか、詳しいといいますか、妥当な結論を得るのに近いのではないかということで、農林中金を表に出したことが一つ、それから資金運用部資金をまたその間にはさんで、国債整理基金へ持つて行くことにいたしましたのは、国債整理基金特別会計といたしましては、この買上げ償還をいたします場合に、自分でいろいろ判断をするのもなかなか困難でありますので、一度農林中金でこれをすくい上げたものを預金部資金、資金運用部資金に一応抱かせて、資金運用部の持つているものを、つまり一種の政府会計でありますが、政府会計の持つているものをそつくり買いとつて、つぶしてしまうというような手続が一番いいと思いまして、こういうような結論に到達したわけであります。今のような非常に複雑な段階を経るように、ちよつと形式上は見えますが、右から左え持つて参りますので、別段その間に複雑な手続もないのであります。ただ整理がされるために、一日か二日か期間を要することはあつても、農林中金なら農林中金が、相当の期間この漁業権証券を抱いて行かなければならぬということには相ならぬかと思います。そういうようなわけで、こういうふうな考え方で進むことが適当であろうと考えております。  なおそれでは大体国債整理基金特別会計が、どの程度の金額漁業権証券を買いとるつもりであるかという問題であります。今申し上げますのはさしあたりの問題でありますが、目下農林省当局といろいろお打合せをいたしておりますので、はつきりした正確な具体的な金額まで申し上げる段階にまだ至つておりませんが、大体三十億見当、三十億前後になろうかと今のところは考えております。  それから漁業権証券の條件でありますが、これは先ほども申し上げましたように、漁業権証券というものが一種の国債である関係から、国債の金利水準の問題等いろいろありますので、今まで出されております国債の條件と、そう著しくかえた條件を出すわけには参らぬかと思います。大体現在考えておりますのは、やはり五分五厘でありますが、期間につきましては、できるだけ事情の許す限り短期にいたしたい。五分五厘五年というのが普通の條件でありますが、これを何年でできますか、できるだけ短かくして行つて、それによつて何といいますか、その証券を短期化して行きたいという考えを持つております。今具体的に、二年になるか、三年になるか、その辺はちよつと申し上げられませんが、できるだけ短期のものにして行きたい。そして早くこれを資金化できるような措置を講じて行きたいと考えております。  なお漁業権証券は、日本銀行においてどういう取扱いを受けるかという問題があると思います。この点につきましては、日本銀行には二つの問題があるわけで、一つは日本銀行の発券準備にこれを充当できるかできかいかという問題につきましては、これは当然一般国債と同様発券準備として取扱われる予定であります。これはその点で農地証券とは取取いを異にいたすつもりでおります。それから第二に、日本銀行としてこれを一般の手形貸付いたします場合の担保として、適格であるかないかという問題でありますが、この点も一般国債と同様に適格担保として取扱う予定であります。  なお、大体今思いつきました点を、順序もなく申し上げたわけでありますが、御質問によりまして、決定いたしております範囲においてお答えをいたしたいと思います。
  45. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 内藤委員質問に関連して、委員長から二、三お尋ねいたしたいと思います。今提案されておる法案は、簡単に言うならば、漁業権証券に対する税の取扱いの規定をきめようとするものである。そこでその漁業権証券というものに対して、政府においてどういう決定をなさつておられるかということで、過去二、三日間委員会審議した。本日ようやく銀行局長から概略のお話があつたが、どうも今の御説明によると、利率及び期限というものはまだはつきりしておらぬようである。しかしもうすでに九月には発行しなければならぬ。九月に発行するとすれば、証券の印刷その他すでに今日準備を始めねばならぬ。それがまだ利率及び期間等がきまつておらぬというのはどうもふしぎである。またそういうことでは直接関係のある法案を審議するのに困る。それで期限の点ですが、かりに三箇年という期限にするとすれば、政府の財政負担が相当かかるだろうと思う。今から買上げ償還なさるにしても、三年後の期限ということになれば、約三年間に償還しなければならぬということになるが、財政上それだけの負担を背負つて行く自信があるか。百七十数億円の証券で三箇年とすれば、約五、六十億円の償還をして行かなければならぬことになるが、財政上の点からそういうことができるかどうか。その点をまずお尋ねいたします。
  46. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 漁業権証券の利率の点は、今申し上げましたようなことで、大体五分五厘ということを考えております。それから期限の点は、今お話のように、実はまだはつきりいたしませんが、五年という長いものにするつもりはありません。四年になりますか、三年になりますか、二年になりますか、大体そこらあたりで考えて行きたいと考えております。それからこれを三年なら三年といたした場合に、一度に固まつて来たとき、一体償還ができるかというお話の点でありますが、これは全体の財政計画から見まして、今ここで必ずできるということもなかなか申し上げかねる点があります。と申しますのは、場合によつてはこれをある一定の妥当なる値段で、借りかえ償還をいたすというような問題も起つて来るかと思いますが、現在のところではそういう手を使わなくて、何とか財政計画に組み入れ得る見通しのもとに、主計局の方で考えてくれておるようであります。私主計当局ではありませんので、詳しいことはわかりませんが、そういうことを頭に置きながら全体の問題を考えて、財政計画もつじつまの合うような方式においてこの期限等も定めて参りたい。しかもできるだけ短期にしたいという気持でやつております。
  47. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 それでは重ねてお尋ねしますが、この漁業権証券の期限の問題は、非常に重大な事柄であると思うのです。というのは、この期限を三箇年にするならば、これに対する金融の措置というものは、おそらく水産庁考え方がかわつて来るだろうと思う。そこでかりに期限を三箇年とするならば、一どきに三年目にやることになるが、一どきに百七、八十億円を償還するわけには行くまい。ただいまの局長のお話のように、また別に借りかえ償還ということをなさるかもしれぬが、普通から言うならば、今年から買上げ償還を毎年やらなければならぬだろう。かりに三年ということで、しかも今年から計画的に買上げ償還となさるとするならば、少くとも一箇年に四、五十億円の買上げ償還をしなければならぬということになれば、やはり四、五十億円の金を一般会計から債務償還の形で出さなければならぬということになると思うが、この点は政府当局としてもそういうように考えておられるか。
  48. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 その点は来年度一体幾ら具体的に買上げ償還をするつもりかというお話になるわけでありますが、この点は私からここで御答弁申し上げる資格を実はまだ持つておりません。しかしながらこの漁業権証券を資金化して行くことが、非常に必要であるという点から考えまして、今申し上げたように今年度に打つて参りますと、類似の方策が他の方法で講じられるものと、私どもは期待いたしております。もしそれが国家の財政から直接に買上げ償還の形で行けない場合には、別途にこれを資金化する方法も講ぜられなければなりません。もつとも金額の点は今ここでかれこれ何十億ということを申し上げられませんが、何らか同じような方式の資金化の問題が、当然取上げらるべきものであると考えております。ただ今年とりましたと同じ方式が来年も必ずとられるということは、今ここで私から言明いたす限りではありませんが、その間にはいろいろ情勢もかわつて参りましようから、新しい手が場合によつては打たれるかもしれません。その点につきましては今私から何とも申し上げることができません。
  49. 内藤(友)委員(内藤友明)

    内藤(友)委員 そういう條件はいつごろはつきりするのですか。
  50. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 もう数日中にはきめると思います。ちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
  51. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 速記を止めて。     〔速記中止〕
  52. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 速記を始めてください。  次に先ほど質疑を行いました保険関係三法案に対する質疑を続行いたします。佐久間君。
  53. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 途中まで質問をしておりましたが、次は第二点といたしまして、今回商法の改正に伴う改正でありますけれども、これは保険業法商法と見合つて改正されるのは当然でありますから、やむを得ないのでありますけれども、大体におきまして従来保険業法は—相互保険の問題でちよつとお尋ねしたいのですが、保険相互会社については、商法の株式会社に関する規定を全面的に準用しておつたのであむます。でありますけれども、この特殊性を考慮するというのは、改正商法の準用規定にいかなる改正を加えるつもりであるか。これをひとつお尋ねしたい。
  54. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 相互会社は、御承知のように社員となることと保険契約を結ぶこととが、相互に連関している組織であるわけでありますが、社員総会が最高の意思決定機関であるという点におきまして、株式会社において株主総会が最高の意思決定機関であるという点とは、まつたく同様であるわけであります。そういう点においては同じでありますが、しかしこの株式会社の株主総会においては、議決権は一株ごとにあるわけでありますが、相互会社の社員総会については、保険契約の数にかかわらず、一社員が一議決権を持つておるという違いがあるわけであります。また株式会社の株主と相互会社の社員とでは、数も非常に違つております。相当大きい株式会社でもその株主の数は十万くらいあるわけでありますが、相当社員の数の大きな会社におきましては三百万以上にも上る。そういうような相互会社の性格にかんがみまして、改正商法の條文の準用にあたりましては、いろいろな考慮が加えてあるわけであります。しかし株主の地位の強化に対応する規定とか、つまり少数株主権を擁護する規定、それから業務運営方式の合理化、すなわち取締役会の制度というようなものにつきましては、これは改正商法に伴つて、それにならつて相互会社の業務を改めたい。ただたとえば取締役の責任を追究する訴え、あるいは取締役の不当行為に対するさしとめ請求権というものは、株式会社の場合では、引続き六箇月以上の単独株主でも、これを行使することができるわけでありますが、相互会社の場合は、数が相当多いということも考慮いたしまして、百分の三以上の社員によつてなし得ることとした。また取締役の選任に際して、改正商法は累積投票の制度をとつております。これは大株主の専行を防ぐという趣旨でありますが、相互会社の場合には、大株主というようなことは考えられないわけでありますので、その必要もないので、この取締役の選任に対する累積投票の制度というようなものは、これを採用しないというような特殊性に応じた調節が加えてあるわけでございます。
  55. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 いろいろ相互会社の特殊性を生かして、新商法に適応するような改正を加えられるという配慮をいたされることについては、まことにけつこうなお考えであると存じます。どうかすべて商法の改正に伴いまして、これを有利に解釈せられて事業の発展に資せられるように、コースを引いていただきたい。これが私の願いであります。  続いて今回の改正の中で、保険株式会社に対しては、改正商法の無額面株式の発行規定より除外した理由を、ひとつ承りたいと思います。
  56. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 保険会社の資本金につきましては、法律で最低資本金が定めてございます。株式会社の場合には三千万円以上ということになつておりますが、これはやはり相当程度の担保資金を維持せしめる。そうしてまたその担保資金を公示して一般の信用の確保に資するということで、これは保険事業の公共性からいつて当然なことであるわけであります。同様の理由によりまして、この保険会社におきましては、資本金の額というものは、これを確定しておくということが望ましいと考えられるのであります。新商法によりますと、これは株式総数を定款に書けばよろしいということになつておりますが、保険会社の場合には、一般の金融機関の場合におけると同様、授権資本の金額幾ら幾らというふうに、はつきり明示しておくということが望ましいと考えます。従いましてその資本確定の原則を保持するために、この無額面株式の発行を禁止することが適当であると考えられたわけであります。諸外国におきましても、保険会社は授権資本の金額を明示すべきことを法律が要求しておりまして、従つて無額面株式が発行されるということはないわけでございます。
  57. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 同様に保険株式会社に対し、資産の評価純益を資本準備金として積み立てるべき改正商法規定を、その適用より除外している理由を御説明願いたい。
  58. 長崎説明員(長崎正造)

    長崎説明員 新商法では、この評価純益を資本準備金として積み立てることを新たに規定いたしておりますが、保険業法ではこの規定の以前から、財産の評価純益とか売却純益を積み立てることを要求しております。これはいわゆる保険業法の八十六條の準備金といわれておるものでありますが、かような特別規定がすでに存しております。また他面におきまして保険会社の評価純益というものは、一般的には契約者準備金として取扱われることが適当であろうかと考えられますので、すでにある保険業法規定に譲りまして、新商法の資本準備金に関する規定のうち、評価純益を資本準備金とするという規定の準用を、排除いたしたわけであります。
  59. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 大分長くなりますから、適当なところで打切りたいと思いますが、河野銀行局長は今度初めて出席せられましたので、歓迎の質問をするわけでありますが、きよう実はこの保険業法改正の法案が出て参つたのでありまして、それに対して質問を通告しておいたのでありますけれども長崎君がおらないと質問もできないような状態で、これはまことに困るので、今外国へ行つてしまうやさき、その後任にもう少し業法にあるいは保険行政に明るい人を養成しておかないということは、どういうものか。これを私は非常に残念に思つたのであります。常常私は保険というものは国際性を多分に持つておる。今日のような状態におきましては、外国保険会社の非常な進出もありますし、それにあわせまして外国取引が行われようとするときに、国家の再建の立場から考えても、大きな役割を果して行くことにプラスになる面が多いのであります。この監督行政におきましても十分考慮してもらいたいということを、しばしば私は申しておるのにかかわらず、依然として弱体であるということを遺憾に思う次第であります。将来新局長は新たなる構想に基いて、この面にもう少し一段の配慮を願いたいということを申し上げておきたい。御所見をついでに承れればまことにけつこうだと思います。
  60. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 御意見まことにごもつともだと思います。御趣旨従つて善処いたします。
  61. 佐久間委員(佐久間徹)

    佐久間委員 私の質問は大体この程度にしておきますが、最後に私が要望しておきたいことがあります。保険業法の一部改正法案では、改正商法の帳簿閲覧権、すなわち改正商法第二百九十三條の六及び決算書類、付属明細書記載事項に関する規定、改正商法二百九十三條五の二項が保険会社にはそのまま適用されることになつております。しかしこの点は銀行、信託、無盡等、金融機関に関する金融関係法規整理法案が審議された後、この金融機関と同様の取扱いが認めらるべきであると信じますが、関係法規がまだ正式に決定されておりませんので、この点に関する質疑を留保さしていただきたいと思うのであります。それからこの関係改正法規の中に、外国保険事業者に関する法律の一部を改正する法律案、及び船主相互保険組合法の一部を改正する法律案、これらが上程されておりますが、これも新商法に適応するための改正でありまして、当然であろうと存じますので、これに対する質問は別にありません。さよう御承知おき願いまして、この新商法の決定にまつて、詳細に質問をさしていただきたい、こう思うのであります。これをもちまして私の質問を終ります。
  62. 河野(通)政府委員(河野通一)

    ○河野(通)政府委員 いずれまた御質問があるようでありますから、その節また申し上げたいと思いますが、銀行等につきましては、株主の帳簿閲覧権等につきましては、現在のところまだ確定的なことを申し上げられませんが、これは例外規定を設けて参りたいつもりでおります。しからば保険会社についてはどうだというお話でありますが、現在のところ私ども考えておりますところは、銀行とかあるいは無盡会社——預金を扱つておる無盡会社であります。一般の無盡全社ではなくて、預金を扱つておる無盡会社等につきましては、それらの内容がいろいろ妙に使われることによつて、短期預金信用機関であります関係から、下手にこれが取扱われますと、取付の問題とかいろいろ起るおそれがあるというよう点で、特別の規定をつくる必要があるというふうに考えたわけであります。保険会社ももちろん一般の金融機関と同じように、公共的な立場に立つて仕事をされることはもちろんでありますが、預金業務と違いまして取付という問題もありませんので、この点は特に銀行等の短期預金機関と区別して取扱つてもいいのではないかという程度の気持で、実は保険会社につきましては、特別な除外規矩を設けなかつた次第であります。しかしながらこの点につきましては、またいずれ議員各位の御意見も十分承りまして、やはり銀行等と同じように取扱つた方がいいという御意見でありますならば、また考えてみてもいいのではないかというふうに今のところは考えております。
  63. 奥村委員長代理(奧村又十郎)

    奥村委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十八分散会