○湯河
説明員 ただいま小山
委員から農林中央金庫の将来の
運営につきまして、非常に御注意深い御
質問に接しまして深く感激しております。御心配になりました点が二点ございますので、それにつきまして、ただいま
理事長をしております私として所感を申し上げたいと存じます。第一点は、選挙によ
つて役員がきまるとなれば、ばらばらに出るのではないか。それをいかに
理事長は統轄をするであろうかという御趣旨でございます。この点につきましては、うつちや
つておけばまことに御心配の通りのことに相なるかと存じますが、これにつきましては、いかなる機構におきましても、選挙によ
つて役員を選びますときに、そのようにな
つては困るのはみだそうでありまして、いずれもそれについて深い注意が払われておると思います。農林中央金庫の場合におきましても、実は選任をしていただくのは
出資者総会においてということにな
つておりますが、それにつきましては、事前によくお話合いをしていただいて、そのお話合いの線に沿うて選挙をしていただくことが必要だというふうに、私は現在
考えておりまして、そのことにつきまして、現在の総代のおも立つた人たち、ないしは所属団体の
責任ある人たちと、過去二年間にわたりまして十分協議をして来ております。御承知でもございましようが、農林中央金庫は、農業団体としての
一つのグループと、水
産業団体としてのグループと、林業団体としてのグループがございます。それぞれその集まりがございますので、その集まりを代表いたします人たちが、そのグループの中におきまして、将来の農林中央金庫の役員の選任が行われますときの予想をも
つて、常々相談をしていていただき、そうして改選期が近づきましたときには、それらの方々がお集まりにな
つて、農林中央金庫の将来の
理事長たるべき候補者を、どうしてあきらめるかということについての熟議をこらしていただくということに、もうすでにお話合いができておるのでございます。それらの方々は、
金融機関たる農林中央金庫の
あり方につきましては、いずれも注意潔く平素お
考えをいただいておる方々でありまして、適当なる
理事長候補者を指名するのだということも、返す返す言
つていらつしやるのであります。しかしそうなるといたしましても、なおそのほかに私たちが話し合
つておりますことといたしましては、
日本銀行の政策
委員会がございますが、この中に農林水
産業を代表する政策
委員がいるのであります。この政策
委員は、将来にわたりまして農林水産
金融のほんとうの後見役たる人でございますので、この人も加わ
つてもら
つて、そうしてよく将来の農林中央金庫の
理事長たる人の選考をしてもらう。そうしてその選考がきまりましたときに、これは
制度の上おきましても、今度の御改正の
法案は、
政府の認可を受けることにた
つているのでありまするから、
政府の当局、すなわち農林省、大蔵省の御当局とも十分熟議をこらしていただきまして、そうして
理事長候補者たるべき人をきある。そういたしますれば所属団体の方においても文句のない、また
政府においても認可するをはばからない人がきまるわけでございます。そこで手順としては、あらかじめそういうふうな手順によ
つて理事長候補者をひとつきめておいていただいて、そうしてその
理事長候補者に、副
理事長及び常勤
理事の候補者のリストをつく
つてもらうようにしたらいいというふうに、みな
考えております。そうしてそのリストによ
つて、また今申しました三つのグループと政策
委員とを代表する四人の人と、よくお打合せしていただいて、そのリストの人でいいということになりましたときに、それを
政府と御相談をしていただく。そうして
政府の方でも、その常勤役員のリストでよろしいということになりましたときに、みなその趣旨を体してその線に沿うて、そうして自由意思の選挙を
——これは選挙、投票という形になるだろうと存じますが、や
つていただくという方向にしたら、大局誤ることなかるべしというふうに
考えておるのでございます。しかし
理事長候補者の出したりストに異存があり、そうしてどうしてもそれではいかぬということになりますれば、結局その
理事長は常勤
理事の選任に行き詰まる、
理事長候補者は行き詰まるのでありますから、それでは
自分はいかぬということにも相なるわけであります。その
理事長候補者を取逃がすことができないということでありますれば、だれかががまんしていただくというお話合いを十分盡した上で選挙に臨む。それくらいな下
準備というものは、まあどちらにおいてもなさるだろうと思いまするが、特に
政府の御認可を受けなければならぬ機構におきましては、これはぜひ必要なことであろうかと存じまして、さようなことにつきまして、所属団体の
責任ある人たちと、民主化の問題の実現のあかつきの問題につきましてお話合いをいたしておりまして、みなよく了解しておられるのであります。このことは一昨年来問題にいたしておりまして、実は民主化の
法律案を昨年も御審議いただけませんでございましたが、この趣旨にのつとりまして、実は現実まで実行いたしましたのは、副
理事長並びに常勤役員の一部でございますが、その選任の方式につきましては、こういうことをすでにや
つて来ておるのでございます。それで将来もさようにお扱いになりましたならば、農林中央金庫の少くとも常勤役員につきまして、ばらばらにな
つてお困りになるというようなことはないであろう。ぜひその慣行を持続していただきたい。特に
政府の認可を受けなければならぬ組織におきましては、このことは絶対必要なことであろうと思います。もしそれ、これがくずれるようなことがございましたときには、これは民主化の不成功ということで、何か
監督上の御処置をあるいは法令等によ
つてお
考えいただくということが、そのときにこそ必要になるのでございます。ただいまの状態におきましてはそれをや
つてみせるというふうに、少くとも所属団体の方が言
つておられますので、われわれ現在の役員といたしまして、この御案を拝見いたしまして
けつこうだということを申し上げられる、かように
考えております次第でございます。
ただいま申し上げましたことは常勤役員の問題でございますが、そのほか非常勤の役員がおられます。これらの方々につきましては、これは定款上あるいは内規上定員をきめておるのでございますが、これはそれぞれ農業、林業、水
産業の各団体の
出資者の数その他を反映いたしまして、
一定のパリテイーがきま
つておるのでございます。これをばらばらに選挙することになりますと、
運営上よりも、むしろそれらの方々のそれぞれの各団体の勢力と申しますか、御意向にも反する結果になるのでございます。選挙の選任の事前におきましては、農業、林業、水
産業のそれぞれパリナイーを保つた選挙のできまするように、三団体の間において十分事前の御協議を願う。それぞれきまりました。パリテイーの定数の方々をそれぞれ御推挙いただきまして、そうしてそれぞれのグループにおいておきめに
なつた候補者は、互いに尊重し合うという慣行、これをぜひ打立てて参らなければ相ならぬかと存じております。このことにつきましても、過般
参與、
理事及び評議員の補充をいたしましたときに、一度実施いたしましたのでございます。いずれもさような方式でなければどうにもならぬということは、よく御承知の方々でございましたので、その通りに御実行になりまして、何ら支障なく
運営して参りましたのでございます。私現在の
責任者といたしまして、ただいまの改正法を御実施になりますならば、おそらく現在の所属員の方々は、ただいま予定しているようにお動きになるということを深く期待しておりまして、これは間違いなかろうと存じております。基本的に農林中央金庫の今日の組織は実態とよほど違
つておりますので、ぜひ御改正いただきたいということを、現在の
責任者としても念願いたしております次第でございます。それから第二に、農林中央金庫は農林水
産業の行政と、きわめて密接なる
関係を持つ
金融を担当している
機関である。その
責任者は
政府の任命でなければ、うまく行かぬじやないかというような意味におきましての御
質疑でございます。御
質問の中に、農林中央金庫は
政府機関であるかのような御指摘もございましたが、しかしこれはむしろただいまでは
政府機関ではない。
出資の
関係におきましてもまつたく純粋の民間
機関でございまして、ただか
つて半官半民
機関でございましたときの弊害が、あるいは
監督規程あるいは役員の任命規程等の弊害が残存しておりますために、さようにもおとれになるかとも思いますが、実質はこれは
政府の
出資が入りました半官半民の
機関ではない。まつたく協同組合の
出資によ
つてできております
機関でございます。ところでこの
機関に対しまして、
政府の施策に即応いたしました各種の措置が負荷されておりますのでございます。その
一つは、たとえば主要食糧の供出代金の
政府資金をお支払いする事務のごときは、それでございます。またか
つて預金部低利
資金の御融通を担当いたしたととがございます。またか
つて、
復興金融金庫の
資金をお
引受けいたしまして、その融通を担当したことがございます。さらにこのたび農林漁業
資金融通法の
規定に基きまして、おそらくあの
法律の成立の上は、
厖大なる
政府資金の受託者といたしまして、
政府の
貸付の御用を担当することになるだろうと存じますが、しかしこれはいずれも農林中央金庫だけがこれをお扱いするのではない。ほかの
金融機関も、ただいま申し上げましたような事務は、いずれも
政府から御委託を受けて扱
つておるのであります。ただ農林中央金庫は、農林水
産業において、先ほどの御
質問にもございました通り、おそらく唯一の
融資機関としての立場から、その
程度がほかと比較のできないほど高いということであろうかと思います。しかしそれはどこまでも委託
関係でありまして、農林中央金庫の本来の性格がこれによ
つてかわることはない、かように
考えております。その御委託の趣旨をまつとうに扱
つて参りますならば、
政府の施策が妨げられるはずはないわけであります。これは
金融機関といたしまして、もとより自主独立の
機関でございます。しかし、さればと申しましても、農林中央金庫は営利
機関ではございません。協同組合的組織の
金融機関でございます。あえて営利を追求する必要がない。のみならず営利
金融機関といえ
ども、今日の社会におきまして、
金融機関が国の施策に反するような、即応せざるような方向をいたずらに追うということは、普通の
金融機関でもそれはよくないことだと確信いたしております。まして農林水
産業については、ほとんど唯一であると言
つてもいい
融資機関が、わがままか
つてな動きをするということは、これは容赦できない点でありますので、これは農林中央金庫が民主化されましても、本質的に御懸念のなかるべき点ではないか、かように存じます。ましてや先ほど申し上げましたように、
理事長たるべき人、また常勤役員たるべき人の選任につきまして、
政府の御認可がございます以上は、その点についてよもや不適当な人が選任されることはないだろうと存じます。
それからもう
一つ、お話の中に
政府の
予算が成立しない前に、来年度
予算が成立するからという意味をも
つて、前も
つて金融するということができなくなりはせぬかというお言葉でございましたが、これは現在でもさような措置はわれわれ軽々にいたしておりません。これは
金融機関としてできる限界におきまして、われわれははつきりした安心を持
つてやる限りにおいてできるのでありまして、決して現在さようなこともしておりませんし、さような無理は
政府もおつしや
つておりません。おそらく将来におきましても、私の方でできないことまで
政府がなさろうとなさるために、現在のままがいいというお
考えは、
政府の方でもなかろうと
考えておりまして、私はこの点についても特に御心配のことはないだろう、かように存じております。