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久米政府委員 大蔵省といたしましての解釈では、現行の
たばこ専売法の全体の規定を見ますると、これは今回の災害補償の規定、つまり第四十一条の二の規定がなくとも、現行規定の解釈上小売店に対する災害補償は実行できるという
見解を持
つておるのでございますが、この解釈につきまして、相当疑義を持たれる向きがございますので、この際
政府といたしましては、この疑義のある解釈から一歩進めまして、はつきりと
たばこ専売法の上に、小売店の災害補償の規定を設ける方が適当であると
考えまして、この第四十一条の二の規定を
提出しておる次第でございます。現行法におきましては、
たばこ専売法第四十一条に引きかえという規定がございます。その規定によりますと、製造
タバコの品質が悪変した、たとえばかびがはえて悪く
なつた、あるいは風水害でも
つて小売店の持
つている
タバコが水浸しに
なつた、ぬれたというふうな場合には、引きかえの規定がございます。それからなお専売公社は、小売人に対しましては、その小売店に常備すべき数量を
法律上指示できるということにな
つております。そういうふうな規定の
関係から見まして、ぬれた場合に引きかえという規定がある以上、滅失の場合に何らの救済がないというのはおかしいのでございます。これは引きかえの規定の一種の拡張解釈と申しますか、
たばこ専売法における小売店に対する各種の救済規定の権衡上から、条理的にもこれは実行できるというのがこの解釈でございます。この解釈に対しまして、一部疑義を持たれる向きもございますので、この際これをはつきりと明文にしたいということに相
なつたわけでございます。なお前例といたしましては、
昭和九年の室戸台風の場合に災害補償を実行いたし、それから昨年のジエーン台風の場合に、関西の罹災地におきまして、相当多量の製造
タバコが流失いたしました。これに対しまして大蔵省といたしましては、
日本専売公社の申出に対し、この災害補償の実行を認可いたしております。つまり大蔵省といたしましては、解釈上災害補償ができるという実行を、すでに昨年のジエーン台風のときにや
つておるわけであります。昨年の実行の際には、小売店数約二百五十、それから災害補償として与えました製造
タバコの数量、これを
金額に換算いたしまして、約三百万円というふうな実行をいたしております。