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竹村委員 私は
本案並びに
修正案に対して、
日本共産党を代表いたしまして、反対の意見を表明するものであります。
まずわが国が現在置かれている地位から
考えますならば、現在わが国は占領下にあるわけでありまして、完全なる自主権が与えられていないのであります。
ところがこの完全なる自主権が与えられていない
ところに、突如としてこの
法案が
提出されたのであります。もちろん大蔵大臣の本
委員会における
説明によりますならば、これの研究にあた
つては、二箇年余を費したと言われております。しかしながら何箇年この研究に費したといたしましても、まだ自主権のない
ところにこの
法案が
提出された
ところに、大きな問題があるとわれわれは
考えざるを得ないのであります。なぜならば、
関税法というものは各国においてもその例を見るごとく、少くともその国の自主性の問題に関連する
ところの大きな問題であります。少くともこの
関税法を成立させる場合におきましては、その国が自主性を持
つておるかどうかということが、如実にこの
法案の中に織り込まれ、現われるものであります。
ところが現在わが国が完全なる自主性を持たない今日、この
法案が
提出されたということ自体は、ある一つの国からいろいろな制約を受けて、この
法案ができ上つたと
考えざるを得ないのであります。従
つてこの
法案そのものが、
日本の国の独立的な
考えから出たものであるとは
考えられないのであります。もちろん
政府は独自的なものであると言
つておりますけれども、実質的にはそうではない。これは、たとえば
国会の議においても、いろいろ制約を受けている
ところの事実から
考えられるわけであります。しかもそれに対する
ところの
修正案が、今るる述べられたように
提案されました。このことから
考えましても、この
法案が
提案されますと同時に、各方面から
関税の減税をめぐ
つて、いろいろな陳情がなされておる。しかしこの陳情を見ましても、おのおの自分の
立場と、自分の産業という建前から陳情がなされているのでありまして、
日本の国の独立という大きな観点からなされているのではない。たとえば一つの
原料を
輸入するのに際して、
関税を高率にするならば、この産業が阻害されるというような陳情がなされておりますけれども、これはその当時の
政府のやり方によ
つて、こういう問題は除去できる。たとえば
関税を高率にとりましても、これを
国内において操作をいたしますならば、あるいはいろいろその産業を保護するために、国家の費用においてこれに保護助長を与えますならば、決してその産業を萎縮せしめることはないのであります。まず問題は、各国との
関税協定の上に立
つて、
日本の国が独立を守るために、自主的な
関税方策をとるということが主眼である。しかしそのことが一応でき得ないときに本法が
提出され、しかも各地における陳情によ
つて、いろいろ
修正案が
提案されておるのでありますけれども、そういうことは
国内的な政策によ
つてこれがなさるべきである。しかるに
提案された
ところの
政府の
原案を、いろいろな陳情その他によ
つて修正されるということは、これまた今度の
——はつきり申し上げますならば、次の選挙をねらう
ところの、一つの政策的な根本を忘れた
ところの方針であるといわざるを得ないのであります。われわれはこの
法案が
提出されたのを見まして、その中にいろいろな点において、たとえば政令によ
つて、この法が成立しても、これを
無税にしたり、あるいは
法律の範囲内においてこれをかけるというように、自由に政令によ
つて出される一項等があることから
考えまして、本
法案というものは、
提出されても、事実においてはあまり
関係のないものであると私たちは
考えるのであります。従
つてわれわれはもちろんこういう
関税定率法というものは、成立せしめなければならないのでありますけれども、それは講和条約後において、
日本が完全に自主性を回復して、
日本独自の自主的な、恥じる
ところのない完全な
関税法の成立するまでは、本
法案はあ
つてもなくても同じことで、あまり必要でない。はなはだ言い過ぎではあるかもしれませんが、本
法案はあ
つてもあまりさしつかえのない、なくてもいいものである。しかもこの一応のわくをはめることは、今後
日本が自主性を回復いたしました後においても、これを
改正するにははなはだ困難を生じ、しかもその場合に
——大蔵大臣は何と言つたか。つまり講和条約を成立させるための準備的な
法案であると言
つている。準備的に、われわれがへり下
つて、
日本の独立を危うくするような
考えのもとに、講和条約をしてもらうがためにという
考えで出された本
法案こそは、植民地的な性格を如実に現わしているものであると私は
考えるがゆえに、あえて
日本民族の自主性と独立をかちとるためにも、本
法案には絶対反対するものであります。