○酒井
政府委員 それでは先ほど
提案理由の
説明のございました
在外公館等借入金の
返済の
準備に関する
法律案につきまして、若干補足的に御
説明を申し上げます。
在外公館等借入金の
返済に関する問題につきましては、すでに
昭和二十四年の六月に、
在外公館等借入金整理準備審査会法という
法律が公布実施いたされまして、主として外務省におきまして、終戰時在外公館等において、現地の居留民等から引揚げ費用等に充てるために借入れをいたしました
借入金の
確認を続けております。現在約二十一万件申請が出ておりまして、そのうち三万八千件ほどの申請は
確認済みでございまして、なお残りが
相当ございますが、この中には大体七万件ほどは
確認の対象になりそうもないという件数が含まれておりますので、総体は十三万八千件くらいございまして、そのうち約三万数千件の
確認を終り、あと十万件くらいの
確認事務が残つております。これらにつきましては鋭意
確認を促進いたしまして、おおむね本年内にはその
確認が終了するはずでございます。そこでこの
借入金でございますが、これは
現地通貨、たとえば法幣とか満銀券というような
現地通貨表示をもつて
確認いたされておりますので、これを国が将来
返済いたします場合には、日本の円に直して幾らの債務として
返済するかということが、非常に重要な点でございまして、そういう
借入金の
評価の問題につきまして、なかなか困難な問題がございましたために、支拂いの開始という段階まではなお至つていなか
つた状況であります。しかしながらすでに三万数千件の
確認を終りまして、大体出て参りました申請によりまして、各地の借入れ模様もわかつて参りましたので、できるだけ早く国といたしましてはこれを
返済する必要があるということを考えまして、今回この
法律におきまして、二十六年度中に
返済を開始するという
規定を設けたわけであります。ただこの
返済の仕方につきましては、まず先ほど申し上げました
評価をどうするかということがきまりませんと、これが財政負担その他に関連いたしましたいろいろな問題、たとえば
国民負担の均衡というような見地から、どういう返し方をするかということは、
評価がきまりませんとなかなか決定しにくいというような事情もございますので、今回この
法律案によりまして、大蔵省に
審議会を設けまして、大蔵省、外務省
関係の官吏のほか、現地から引揚げて来られたような現地の経済事情に詳しい、しかもきわめて公平な見地を有しておられる学識経験者の中から、
委員にお集まりを願いまして、在外公館の
借入金の
評価をまず決定いたしまして、その
評価の決定に基きまして、いかなる
方法で返すかという
返済の
方法を立案いたしまして、この
国会の次に召集される
最初の
国会に、
返済に関する
法律案を
提案いたしたいと考えておる次第であります。
法案の
内容から申しますと、第一條は、この
国会の次の
最初に来る
国会に、
返済に関する必要な
法律案並びにこれに伴う
予算的
措置――もしも補正
予算を要しまするならば
予算の補正案、あるいは予備金で間に合うという程度でございましたならば、予備金支出の
方法をとるというふうなことをいたしまして、ともかく次の
国会には必ず
返済の
法律を出しまして、本年度中に
返済を開始する。できるだけ早く
返済を開始したいというのが第一條でございまして、これによ
つて政府は次の
国会にこの
法律案を出し、
予算的
措置をするという義務を課せられることになるわけであります。第二條は、その
法律案におきまして
返済の
方法を
規定いたします場合に、若干精神的なものを
規定いたしまして、
国民負担の公平の見地から、公正かつ妥当な
基準によつて
返済の
方法をきめなければならぬということを書いております。これは御
承知のように、似たような問題といたしまして、在外
財産の問題もございますし、あるいは戰災を受けられた方々の負担の問題もございますし、また傷病兵等の関連問題もございますし、広くそういう戰争による犠牲、その他現在の
国民財政負担とい
つたような見地からも総合的に見まして、公正かつ妥当な
基準で定めたいという
趣旨であります。第三條以下は、その
審議会を設けるということと、この
審議会の組織に関する
規定でございまして、
審議会は大蔵事務次官が会長になりまして、
委員が八人、このうちの三人は大蔵省及び外務省の
関係職員の中から選任いたしまして、あと五人が、先ほど申し上げました現地の経済事情に通じており、公平な
意見を持つておられる学識経験者から選ぶ、かような
趣旨に
なつております。簡單でございますが、この際補足的な
説明を終りたいと存じます。
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