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平田政府委員 今の具体的の問題につきましては、よく調査した上でないと、お答えすることはちようとむずかしいかと思いますが、
原則だけ申しますと、やはり私どもとしては、
所得はあくまでも実際の
收入から実際の経費を差引いて
計算するというのが、正しい行き方でございますが、実際の
收入が一体幾らであるかということを調べるについて、なかなかむずかしい問題があると思います。この調査につきましては、あくまでも
現実に即してよく調べまして、妥当を期するようにしなければならない、妥当を期すべきだ、こういう御意見でございましたら、私どももそうでございましてできるだけ調べまして正しい
收入をつかむことに努力すべきである、かように
考えます。ですけれども、
お話の点につきまして具体的の問題につきましては、よく
事情を調べた上でないとお答えしがたいので、もしその点必要でございますれば、別の機会にお返事させていただきたいと思います。
なおこの機会に、田中
委員より先般お尋ねの資料について申し上げておきます。
一つは松尾さんのお尋ねだ
つたかと思いますが、生命保險に準じまして強制的な社会保險、こういうものについて二千円を限度として控除するということにいたしますると、減收額が三十三億五百万円
程度、今の案に対しましてさらに減る。そういう
計算になり得る。これは先般松尾さんでございましたか、あるいは
竹村さんでしたか、お尋ねがありましたのに対するお答えでございます。社会保險全部でです。
もう
一つは、
所得税の税率の下の方を少し低くしたらどうかという意味で、二十のところを十にして、以下順次四十万円
程度のところまで上にずらして行く、こういう場合に税
收入がどうなるかという御
質問でございますが、かりに税率を五万円以下一〇%、五万円超一五%、十万円超二〇%、十五万円超二五%、二十万円超三〇%、三十万円超三五%、四十万円超四〇%、五十万円超四五%、あとは
政府の案と同じ、こう見まして減收額を
計算いたしますと、源泉
所得税で四百八十億四千五百万円、それから申告
所得税で三百五十一億八千七万百円、両方合せますと、約八百三十二億三千二百万円
程度の減收になります。しかもそのうち大部分の減少額は五万円以下であります。但しこれは五万円以下の
所得者だけではございませんで、たとえば十万円の人の
所得も、最初のブラケツトの段階は五万円の刻みでありますので、影響は特に大きいのでございますが、源泉で五万円以下は四百二十億一千五百万、申告では百十八億二千二百万、五万円以下の税率を二十を十にすることによ
つて、それだけ減るという数字になります。
なお税率の点につきましていきなり二十は高いじやないかというお
気持を外部では一応持つのでございますが、ただ控除した残りの
所得金額でございますので、控除前の
所得金額に対しますと、御承知の
通り非常になだらかなカーブにな
つているわけであります。五万円以下というのは
課税所得金額でございまして、それぞれの
所得金額から、基礎控除、扶養控除、不具者控除、あるいは保險料等の控除を行
つた残りの
所得五万円以下というのが、最初のブラケツトになります。従いまして、もとの
所得金額に対しまして、
所得税の負担が一体どういうふうになるかということを、おわかりいいように、
先ほど出してある資料によりましてもわかるのでありますが、負担率の調べを本日お手元にお配りいたしておきましたので、これをあとでごらん願いたいと思うのでございます。たとえば
給與所得の場合でありますと、五万円の場合では、独身者の場合は現行法によりますと六・八%の税の負担ですが、今度の改正法によりますと、控除が上りました結果、税率はすえ置きでございましても四・八%に下る。それから扶養親族が一人ありますと、現在は二・二%の負担が今度はかからなくなる。それから七万円の場合におきましては、現在は独身者が九・七一%の負担ですが、それが改正案によりますと八・二八%の負担になる。扶養親族が一人ある場合には、六・二八%が四%に下る。扶養親族が二人、つまり奥さんとお子さん一人でございますと、今の
税法では二・八五%かか
つておりますが、それが今度はかからない。さらにその間の六万円の刻みでございますと、ちようど中間ぐらいの負担率になります。五万円以下の独身者、たとえば四万五千円くらいの独身者でございますと、四・八%よりももう少し低い負担率というふうに、
所得に対しましてはある
程度なだらかな累進率にな
つておるのであります。その辺よく私ども一般から、いきなり二〇%はひどいということを聞かされまして、全体の
所得に対しまして二〇%かかるがごとき印象を與えているのでございますが、実際は基礎控除、家族控除の結果、総
所得金額に対しましては、下の方の負担はもちろん非常に低いものであり、
所得がふえるに
従つて順次負担率が上
つております。そのカーブを描きますればはつきりすると思いますが、急いでつくりましたので、とりあえずこういう資料を御参考までにお配りした次第であります。