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平田政府委員 ちよつと最初に触れられた問題について申し上げておきます。私
どもも
滯納が多いということは健全でない、その点に関する限りはま
つたく同じ
意見を持
つておるものであります。ただしかし
お話になりました点の中で、二、三点申し上げておきたいと思いますが、二十四
年度の五百億の剰余金、これは大
部分は実は歳出の側から出たのでありまして、
税收入といたしましては、たしか二十数億円の増收に
なつたにすぎないのであります。大
部分の
原因は、歳出の需要額から来ておると見ております。いわんや
滯納等はこの剰余金の中には入
つておりません。いろいろな強行
措置等
もとりまして、そうしてぎりぎり入
つたところが、
予算に対しまして二十数億円の増收に二十四
年度はとどま
つた状況でございます。それを一点申し上げておきます。
もう一点は、
予算を見る際に七〇%の收入額しか見ないという
お話でありますが、これはすべての点について、そのような見方をと
つておるわけではございません。たとえば勤労
所得税なんかは成績がよろしゆうございますから、ほとんど九五%くらい当
年度に
課税すべきものが当
年度に入
つて来る。こういう見方をと
つておりますし、その他の国税につきましても同様でありますがいただ申告
所得税だけにつきましては、これは御
承知の
通り確定申告の申告期限が、今まで一月末、今度は二月末でございますから、そのころ来る。その後
税務署がよく調べまして
更正決定をやりまして、できる限り
年度内にこの
税收入を上げることに努力するわけでございますが、なかなかそう短期間に完全には行かない。こういう
事情がございまして、従来から申告
所得税につきましては、その毎年の
課税すべき
所得税額のうちの七〇%ないし七五%が、当
年度の收入になる。こういう実は見込みを立てておるのであります。これは見込みは甘いと申しますか辛いと申しますか、決して甘いわけではないのでありまして、実際今までの経験から申しますと、なかなか七〇%までも入
つていないときが実は多か
つたのでございます。今年はこの
資料に示してございますように、税
負担の合理化もできましたので、七五%実は当
年度に入
つて来る。二五%だけが翌年に繰越されるという
計画にいたしております。従いましてこれは、もしも確定申告後に申告の成績が十分に出て、しかも
税金が納まらないとか、あるいは申告の成績が惡いために
更正決定をやりまして、なお
税金が納まりませんと、その分は
滯納として残
つて行く、こういうことに相なるわけでございまして、そういう若干の、何と申しますか、技術的な見地から来る
滯納額の発生ということは、これはどうもなかなか理想
通り行きましても、完璧な理想は期せられない以上、完全は期し得ないのではないかということを
感じております点を、さらにつけ加えておきたいと思います。従いまして今の実情から申しますと、やはりある
程度滯納が繰越されて行くということは、どうもいたしかたないのではないか。しかしできるだけ私
どもといたしましてはそれを少くなるように
計画も立て、実行もして行くということに努むべきであるという点は、
お話の点同
意見でありますので、御了承を願いたいと思います。
それからもう
一つは超過
所得税の問題でございます。これは御指摘のように、アメリカもすでに先般の国会で実行いたしまして、法人の超過
所得に対しまして、やはり戰時中の超過利得税と類似の
課税を実行いたしたようでございますが、わが国におきましてこの税をこの際設けるか設けないか。これはもちろん私
どもも
相当関心を持
つておるわけでございますが、ただ先日もお答えいたしました
通り、わが国の
産業はどうもまだまだ
基礎が健全にな
つていない。ちよつともうけた
企業もあるようですけれ
ども、はたしてその
企業がほんとうの
意味において経理及び経営が立ち直
つておるかと申しますと、なかなかそうも言いがたいところが多いのじやないか。従いまして、少し情勢がいいからとい
つてこのような超過利潤税を起しまして特別に
課税するというよりも、むしろ
企業の
基礎を品強固にいたしまして将来に備える。
社内留保を多くしまして、設備の拡張あるいは運転資金の
増加等に努めるという方が、この際としては妥当であろうという
考え方からいたしまして、超過
所得税を実行するという考えは今のところ持
つていないのでございます。配当等も大分ふえておりますが、昔の
資本金を最近の貨幣価値に換算して計算いたしますと、私はほとんど高率配当はないのじやないかと見ております。いかにも表面上は配当率が高いようですけれ
ども、額から申しますとわずかな額でありまして、大した額ではないようでございます。むしろ今の段階では、
産業の
基礎をつちか
つた方がいいのじやないかという
考え方でおることを申し上げておきたいと思います。
それから生活協同組合に対する
課税の問題でございますが、これにつきましては昨年の国会でも、実は田中さんからも大分いろいろ御
意見を承
つて、お答えいたしたかと思いますが、
課税の上におきましては、要するにおよそこういう組合が收益と申しますか、
利益を上げた場合だけ
所得税がかかるわけでございます。そうしまして組合員に対しまして、
事業の分量に応じて配当する。これがこういう組合の非常な特殊性のあるところで、特徴だと考えますが、その配当に対しましては実は
課税いたしていない。しかしこういう組合という
一つの法人体をつくりまして、出資があ
つて、その出資を中心に
経済事業を行いまして、それで收益、
利益が組合の内部に生れる。つまり組合員に対しまして
事業分量に応じて分配されないで、組合のものとなる。そこでそれが一部は出資に応じて配当される、一部は社内に留保されて積立金としての役目を果して行く、こういう面に関する限りにおきましては、
経済的に見ますと、
会社の場合とやはり特別に差をつける
経済的な
理由は少くともないのではないか。特別の国家の保護政策をとるとかいう見地をとれば別でありますが、私
ども今の段階といたしましては、そのような
課税方法が公平を得るゆえんじやないか。生活協同組合の
お話がございましたが、中小の
企業者との普通
税金のコストの比較とい
つた問題もあるわけでありまして、
産業組合に対しては、中小商工業者からはやはり免税特典でけしからぬという声が、大分出たというような
事情もあるのでありまして、これはやはり相互の協同組合に影響して参りますので、やはり
課税としましては昨年改めました今の制度の方がいいのじやないかと考えております。しかし非常に弱い者に対して何か補助金を出すとか、
課税を免除するとかいう見地から、もう一ぺん考えなければならぬ
一つの問題であろうと思うのでありますが、今のところはさつき申し上げましたように考えておりますことを、御了承願いたいと思います。