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1951-02-14 第10回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十四日(水曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 天野  久君       大上  司君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    島村 一郎君       三宅 則義君    宮幡  靖君       塚田十一郎君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君  委員外出席者         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十三日  公団等予算及び決算暫定措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第三六号)  ソーダ用原料塩輸入確保に関する請願(小金義  照君紹介)(第五三四号)  たばこ民営反対請願(田万廣文紹介)(第  五六七号)  未復員者給與法適用範囲拡大に関する請願(  冨永格五郎紹介)(第五八〇号)  同(船田享二紹介)(第五八一号)  同(山口好一君外一名紹介)(第六一四号)  陶管及び粘土かわら焼成用工業塩価引下げの請  願(三宅則義紹介)(第六一三号)  朝倉病院医療施設に対する免税等請願(山  口好一君外一名紹介)(第六一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二六号)  通行税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二八号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三〇号)  骨牌税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三一号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第三五号)     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外七税制改正法律案につきまして、引続き質疑を続行いたします。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はわずかの時間でありまするが、法人税につきまして局長にお尋ねいたしたいと存じます。今度の改正積立金に対しまする法人税を廃止したことでありまして、これはまことによい制度であると思つておるのであります。つきましては日本株式会社合資会社有限会社等の数、もしくはそれに対しまして課税いたしておりまする実績を見まするために、参考けつこうでありますが、そこに資料がありましたならば、この際株式会社でどのくらい、合資会社でどのくらい、有限会社でどのくらいとれるか、また積立金に対しまする法人税を廃止いたしたことによりまして、どのくらい減少したか知りたいと思いますから、御説明願いたいと存じます。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 法人の各会社企業体別資料は、お手元に「租税に関する参考計表」として印刷してお配りしましたものの三十ページ以下に、相当詳細な資料がございますので、これによりましてごらん願いたいと思います。  それから積立金保税を廃止することによる減少額につきましても、資料にお配りいたしたのでありまして、租税歳入予算の説明というものの中に掲げてございまするが、昭和二十六年度におきまして五億四千万円の減少見込みでございます。これは今後積立金が増加するに従いまして、税収入がふえたところをとらないことになりますので、二十七年度はさらに積立金が増加しただけこの減少額がふえて来る。従つて最初の年度が五億四千万円、その次がそれよりもさらに順次ふえて行くところを、この措置法によつて減税するという結果になるわけであります。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 次に新規に取得した特定の機械ということになつております。これはもちろん旧式の機械と入れかえたことになると思うのでありますが、この法律によりますと、取得の後三年間に限り償却率を五割にするということになつておるようでありますが、一体どのくらいでこれを完納と言いますか、償却を完了するという予定をもつておりますか。それについての政府の御答弁をいただきます。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 取得後三年間五割の特別償却を認めることにいたしましたのは、今産業の近代化促進するために必要な機械設備等会社取得した場合、それから今緊急に拡張を要します船舶等取得いたしました場合におきまして、なるべく初期に多額の償却を認めまして、企業といたしまして基礎を強固にして将来に備えるのみならず、その償却資金をもちまして、さらに設備拡張等ができるようにいたしたい、こういう趣旨におきまして、このような改正をいたすことにいたしたのであります。そうして大体の基準といたしまして、三年間に五割の特別償却を認めることによりまして、普通の償却と合せまして、大体において以下申し上げますようなことになるのであります。  すなわち耐用年数は、もともと十五年で定まつておるところの機械設備があるといたします。その場合におきまして、三年間五割の特別償却を行いまして、三年目には帳簿価額が幾らになるかということを調べてみますと、五割以下になる。つまり三年間で最初取得価額の五割一分二厘を、特別償却とそれから普通償却とを加えたところによりまして償却できる。つまり耐用年数十五年の機械取得しました場合におきましては、特別償却を行いますと、三年目には帳簿価額が半額以下になる。それから十八年の場合でございましても、四割四分八厘まで償却できる。従いまして、機械等は十五年から十八年前後のものが多いのでございますが、その辺のところになりますと、三年たてば大体半分償却できる。そこまで償却を認めますれば、これは企業としましては、相当勇敢に設備拡張等を行いまして、将来に備えることができるだろう、そういうような意味で、このような改正を加えることにいたしたのであります。目安といたしましてはその辺のところを押えまして、この率を定めた次第でございます。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 これはこまかいことになりまして、あるいは主税局長おわかりにならぬかもしれませんが、法人もしくは同族会社法人でありましても、開業早々というものはそうもうかるものではない。ところが弱小会社に対しましては、必ずしももうかつてはいないのでありますが、それを税務署の方では認定いたしまして課税することがあるわけであります。これらを勘案いたしまして、開業早々におきましては経費もかかる。またいろいろな設備をいたす段階にありますから、必ずしも全部が運転するとは限りません。また十分に能力を発揮し得られるとも存じられないのであります。末端に至りますと、そういうことにおかまいなしに、御決定されることがあるようでありますが、これについて何かお考えを持つていらつしやいますか、伺いたいと存じます。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 課税所得の査定は毎毎申しております通り、あくまでも税法従つてこまかく調べまして決定すべきものでありまして、利益がなければ、ないとして当然認むべきものだと考えております。従つてその問題はそれといたしまして、いま一つ初期においてはもうからぬ、せつかく特別償却の恩典を與えられても償却できぬではないか、こういうことになる。これはまことにごもつともでございまして、法律で特にそのことをうたいまして、三年経過いたしました後におきまして、あと二箇年償却残額を繰越しまして、償却することができる。これは特別償却の分です。三年で打切らないで、そのような規定にいたしております。またその後なお利益が十分出て来ないというような場合は、企業として必ずしもうまく行かないことでございますので、いたし方なかろうということで、法律ではそういうふうな制度といたしておりますことを、御了承願いたいと思います。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の局長お話によりまして了承いたしました。まつたく最初のうちはもうからなくても三年、四年たてば全部完了するということが考え得られるのでございまして、その制度はよろしいかと考えております。  次にお伺いいたしますのは、見返り資金の所有する優先株に対する利益もしくは配当計算損金計算にする。もちろんこれはけつこうでございますが、今見返り資金を利用いたしまして、法人等に相当出しておるかと思います。そのこまかい調べがありましたらお示し願いたいと思いますが、いかがでしようか。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは見返り資金から普通の貸出しの方法で貸しておるのではないのでありまして、優先株を引受けておる場合の話でございます。貸出しの方法でやつておる場合におきましては、当然その金利は会社所得計算損金になりまして、こういう問題は起らない。ところが優先株式を引受けるという形で融資しておりますと、株式の配当分でありますから、普通の原則で行きますと、益金に算入されまして損金にならない。これをこの措置法によつて損金と見てやろう、つまり貸付金と同じに見てやろう、こういうわけでございます。そういたしませんと非常に資金コストが高くなりまして、見返り資金からの貸出率が高くなりますので、このような措置考えたのでありますが、大体現在の額から申しますと、北海道拓殖銀行、これは六億七千万円ほどであります。それから日本勧業銀行九億五千万円、日本興業銀行九億五千万円、農林中央金庫二十億円、商工中央金庫五億円、合計いたしまして五十億七千万円程度優先株式を引受けておるようであります。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 それからもう一つ伺います。法人でありますが、特に社団法人もしくは財団法人も含まれておるのでありますが、この法律の四條、五條に書いてあるその以外のものは法人税がかかると思うのであります。少くとも社団法人等におきましては、利益を中心に考えておりませんから——これはおわかりにならぬと思いますが、また私の見方が違つておるのかもしれませんが、かかることになつておるのでありましようかどうかという点を承りたい。第四條、五條に書いてあるもののみを言うのでありまして、あとのものは全部かかる、こういうふうに了承してよろしゆうございましようか、承りたいと思います。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 公益法人と申しましてもたくさんあるのでございますが、一番代表的なものは、民法三十四條の規定によりまして設立いたしました社団法人財団法人、それからそれに準ずべきものとして特別法人によるものがたくさんございます。たとえば宗教法人学校法人税務代理士会弁護士会その他類似の労働組合、公務員の共済組合等がございますが、これらの法人に対しまして、法人税法五條規定がございます。これによりますと、これは昨年改めたのでございますが、収益事業から生じた所得以外の所得に対しましては法人税課税しない。収益事業から生じた所得に対しましては法人税を課する、こういうことにいたしております。そうしてその収益事業範囲には、これに基き所得税法施行規則でさらに明らかにいたしておりまして、たとえば物品販売業金銭貸付業物品貸付業製造業印刷業出版業遊戯所業遊覧所業までずつと二十九並べてございますが、通常ならば普通の営利企業で行われるような業務を行つた場合におきまして、それから利益上つた場合においては税金課税しよう、こういう趣旨で昨年実は改正いたしたのでございますが、そうなつておりますことを御了承願いたいと思います。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 これに関連いたしまして、話がちよつと違うかもしれませんが、各地に協同組合というものがあります。協同組合もやはり法人税がかかるかと思つておりますが、農業協同組合でありますとか、その他の組合につきましては、われわれがまわりますると、よほど法人税等を勘案してまけてもらいたいという陳情があるわけですが、現今政府はどういうふうにお考えなつていらつしやいますか。立案者であります平田局長から承りたいと存じます。
  14. 平田敬一郎

    平田政府委員 農業協同組合商工協同組合等に対しましては、その組合特殊性を認めつつ、しかもほんとう利益が上りました場合におきましては、法人税を課することにいたしております。特殊性と申しますのは、結局組合員からなります団体でございますので、組合員に対しまして歩もどしみたいな、つまり事業分量に応ずる配当をいたしております。これをいたしましたその事業分量に応ずる配当の分は益と見ませんで、損金に見まして課税いたさないことにいたしております。それ以外の純粋に協同組合収益が上りまして、それをもちまして出資の配当に充てるとか、あるいは組合の内部に留保して事業資金に充てる。こういう部面の利益金額に対しましては、法人税課税することにいたしておるのであります。これはそういう経済的な営利行為を営んでおりますので、その部分に関する限りにおきまして、三五%程度法人税利益上つた組合が納めるのは、私ども妥当であろうというふうに考えておりまして一番初期免税、中間で三分の一くらい課税する、また半分ぐらい課税した時代もございますが、今の段階では、利益上つた組合は普通の会社と同じでいいのじやないかということで、目下のところこれをさらに変更する考えはないのでございます。今のところそういうふうに考えておりますことを御了承願います。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう少しつつ込んだことを伺いまして恐縮でございまするが、私ども組合員等が、この法律ができたために、割合利益を上げないように、たとえば所得の算定上利益にならぬように計算をいたしまして出す組合があるかと考えるのでありますが、これらはもちろん徴税方面の関係と思います。それにつきましては、国税庁かもしくは国税局あるいは税務署が見るわけであろうと思いまするが、こういうものにつきまして、かえつてこの法律がありまするために、協同組合等利益を隠すおそれがありはしないかと思います。これにつきまして、政府はどういうふうに感ぜられますか、承りたいと存じます。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 さつき申しましたように、協同組合の本旨に従いまして、事業分量に応ずる配当を行うという形で、結局利益組合員に配分すると申しますか、組合員利益がふえるように協同組合を通じてする。つまり事業分量に応じまして配当しますと、その部分は各組合員所得になるわけでございます。組合所得にはならない。そういうことで利益を少くするような方法考えるということは、確かに傾向としてあり得るだろうと思います。しかしこれはもともと組合自体が、組合員事業のためにできたものでございますから、そういう結果に相なりましても、これは必ずしも悪いとはいえない。いい場合も多いと思うのでございますが、それ以外に何か課税の面におきまして、利益を特に隠すとか、ごまかすという問題になりますと、これは一般会社の場合と同じでございまして、あくまでも私どもとしましては、組合に正しい利益計算と正しい申告を求め、税務官庁もでき得る限り調べまして、正しい徴税に努めるということを申し上げる以外にないと思います。何かそのほかに特に問題がございましたら、あらためてお答え申し上げます。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 その方は了承いたしました。  次にもう一つ、これに関係いたすわけでございますが、承りたいと思いますことは、これは一般論でありまするけれども法人の方が割合に安いということが民間では言われておる。もちろん資本蓄積ということがあるわけでありますから、よろしいのでありますが、個人と対照いたしまして、法人の方はだんだんと良好になつて来たわけでありますが、個人の方はなかなかそんなわけに行きません。実はこういうことを聞いたのであります。はなはだ不見識きわまると思いますが、青色申告をすると非常に所得がふえるというために、途中でやめた人があるということを聞いておりますが、現今政府の方にそういう報告がありましようか。中小企業以下のところは青色申告を放棄するということがある。こういうことを聞いたわけでありますが、実際はどうでありましようか、承りたいと思います。
  18. 平田敬一郎

    平田政府委員 青色申告は二十五年度から初めてやつておるわけでありますが、お話通り中途青色申告を取消すと申しますか、撤回している納税者も相当あるようであります。その結果を見ますと、いろいろあるようでございまして、収支計算をはつきりやると利益が明らかになつて、認定で適当に課税されたときよりも、中には減つている人もあるようでございますが、中にはまた反対に、お話のように相当ふえる人もあるようでございます。あるいはむしろふえる人の方が多いという心配も大分あるようでございますが、これに対しまして、第一としましては税制をできるだけ合理化いたしまして、ふえるということになりましても、税金としては納められるというふうにいたしたい。現に勤労所得者などは源泉で天引かれて、税法通り把握されて納税とているわけでありますから、営業者の方におきましても、それが税法違反なら別でありますが、税法通り計算して所得が出て来るということでございますれば、これはやはり納税してもらうよりほかないのじやないか。むしろそれによりまして納税者としても、課税基礎について自分としてもはつきりした基礎の上に立つて申告いたしまするし、また税務署等推定等でいろいろ問題をふつかけました場合におきましても、とにかくよるべき抗弁の材料は十分ございますから、自信のある主張ができるという点に、青色申告の利点があるわけでございますので、ふえるから青色申告によるのが損だというようなところまで行きますのは、少し早計じやないか。やはりほんとうにふえるものならふえるとして、正しい申告をしてもらうのがいいのじやないか。ただ実際問題としまして、実際の税務署更正決定等の方針につきましては、青色申告者はでき得る限り丁寧に取扱う。いいかげんな調べをして早く更正決定するようなことはしないで、あくまでもよく愼重に調べ納税者とも十分話し合いまして、納得ずくでこの税金を納めてもらうようにするということで、特に調査決定等にあたりましては、懇切丁寧に取扱うことにいたしております。それと経費見方等につきましても、なかなか個人事業になりますと、はたして営業費なり家計費なりや、その区分の認定が非常に困難なところがあるのでございますが、その辺も帳面がとにかくはつきりしているのでございますから、営業費と認められるものにつきましては勇敢に認めるというようなこともいたしましてでき得る限り青色申告制度を育てて行くように努めたい、こういう考え運用に注意することにいたしておりますことを、御了承願いたいと思います。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 法人について御注意を願いたいと思つておりますことは、私が昨年、一昨年、二十四年、二十五年と両年にわたりまして地方をまわりましたところによりますと、法人は二十二年もしくは二十一年の跡片づけをやつておりました。本年は大分進捗いたしたことと思いますが、本年においては何年度決算分くらいを完了しておりますか。たとえば二十四年の下半期くらいは済んだというような目安があると思いますが、どのくらい済んだという目安があり、今後どういうことにいたして行くかということにつきまして、主税局ではどういうふうにやつておられるか承りたいと思います。  もう一つこれに関連いたしまして、青色申告をいたしますると、先ほど言つたように明瞭になりまするから、どうか一割くらいは課税面においてめんどうを見てもらいたい、これを考慮してもらいたい、こういう陳情を受けたことがありまするが、この二点について承りたいと存じます。
  20. 平田敬一郎

    平田政府委員 法人調査処理状況でございますが、昨年の十一月末現在の調べがございます。これによりますと、調査つまり処理しなければならない総件数が六十一万二千九百六十二件、そのうち十一月までに処理しました件数が三十五万六千六百九十五件、五八%の処理率なつておりまして、従来と比べますと、お話通り大分処理促進がはかられておるようでございます。しかしこの中にはなおまだ二、三年前のものが未処理なつているものも含まれていると考えるのでございまして、処理促進につきましては、国税庁といたしまして、今計画を立てまして勉強いたしているようでございます。なお青色申告制につきまして、特別に一割程度控除を認めたらどうかという議論、これは確かに議論としてはあるわけでございますが、これを制度化することにつきましては、どうも今のところ私どもまだ決断がつきかねる。勤労所得控除は一割五分でございますが、そういう問題をどうするか。それからもともと税法は、正しい所得が出されるということを前提にして実はできておりまするので、そういう正しい人には特別控除をするということが、どうも理論上はつきりすぐ出て来ませんので、制度上の上におきましてそのようなことを考えることにつきましては、どうも私どもとしましてまだ決定いたしかねる状況でございます。ただ先ほど申しましたように、実際の調査にあたりましては、相当成績のいい場合はあまり急いで、簡單な調べ更正決定をしないというようなことで、わずかなことから納税者との間に問題を起しまして、青色申告せつかくの効果をなくさないように努めたいと考えておるのでございまして、制度の上で一律控除をするような制度を設けるのは、どうも少し今のところいかがかと考えておるのでございます。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 青色申告につきまして承つたわけでありまするが、次にこの法人につきまして過年度をやりますると、この前もちよつと伺つたことでございますが、追徴税加算税というものがつくような気がするわけであります。しかしなるべくそういうような線をなくするために、早く係員を督励いたしまして、たとえば二十四年度分はもうなくなつてしまつた、済んでしまつたというようにして、本年は二十五年度にかかるというような線を出してもらうことが必要でございます。中には広汎にわたりまして、すぐきめられないものもありまするが、やはり今日でも過年度分につきましては追徴税加算税等を勇敢におかけになる用意を持つておられますか。それともある程度勘案しておやりになるお考えでありましようか。この辺について、もう一ぺん構想を承りたいと思います。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 なるべく更正決定促進をはかるということは当然のことでありまして、極力その方向に努めたいと考えております。ただまた反対に急ぎ過ぎまして、十分な調査をしないで更正決定を行うというのも、これもまたどうかと思うのでありまして、私ども今までのやり方を見ますと、法人税とか相続税は少しどうものんき過ぎると申しますか、遅れがちであり、個人の方は一齊に一定期限までにやらなければならない事情がございまして、少しどうも過ぎた、急ぎ過ぎたきらいがあるようでございます。従いまして法人税とか相続税は、むしろお話のように決定促進をはかりまして、なるべく古いものがないようにする。個人の場合は、むしろ今後においては青色申告等は、過年度末までにあわてて調べ決定するようなことは差控えまして、よく丁重に調べた上で決定する。場合によりましたら少し決定が遅れましても、これはいたし方ないとして行きたい。こう考えて、目下仕事を進めることにいたしております。そうしまして遅れた場合におきまする加算税、追徴税の問題でございますが、追徴税の方は、情状によりまして免除をする法制になつておるのでございます。ただ加算税の方は、遅れたことによる一種の金利的な要素も入つておりますので、今の税法によりますと一律主義になつておりまして、軽減するとなりましても、免除をするとなりましても、基準がなかなか立ちにくいものですから、原則としまして加算税法律ですべて徴收するということに相なつておるわけでございます。従いまして、この方はどうも運用で適当なことをやるということは、今のところできないことになつておりますが、ただ過年度分につきまして、その辺のところをどうするか。大分要望もございますので、今度の国税庁法案の改正と関連しまして、目下その問題を研究しております。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員 この前も宮腰委員からお話があつたと思いますが、法人会もしくは青色申告会、納税組合、こういうようなものが今後できるはずであると思います。現に法人会等は各地方にできておるわけです。これを法制上とはおつしやらなかつたと思いますが、割合に中間に立ちまするボスと言つては失礼な話でありますけれども、多少因縁、いわくがあります。これはボス的存在になつてはいかぬと思いますが、この運用につきましては、法律ではきまつておりませんけれども、実際はあると思います。これをどういうふうに監督しておられるか、承りたいと思います。  それから納税組合というものは、この前もお話があつたと思いますが、結局国税庁かもしくは税務署單位等において、これをつくることが有効であると思います。業種ごとにいたしましても、なるべく税務署管内を中心に納税組合をつくつたらいかがかと思いますが、これについてもう一ぺん平田さんから承りたいと思います。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 法人会とか青色申告会という会が、民間の自発的な会としてできておりますことは、私どもも了承いたしておりまするし、これは私はやはり政府と申しまするか、税務署の取扱いの内容等をよく納税者に徹底させ、あるいは申告等につきましても、でき得る限りの正しい申告ができるように、いろいろな説明をし指導をする組織としましては、これは私相当有効な役目を果しておるのじやなかろうかと思います。ただ今お話のように、下手しますと、若干特別な利害関係が生ずるおそれもございますから、そういうところに対しましては十分監督、注意を加えて行きますれば、結果においてこういう組織ができますことが、望ましいではないかどいうふうに考えております。しかしお話の点は常に注意いたしまして、適正な運用をはかるように努めなければならないことかと考えます。具体的な問題等でもございますれば、遠慮なく国税庁等にお申出願いたいと思います。  それから次に納税組合ですか、これも今立法化すべく案を練つておるのですが、この組合はやはり納税の貯蓄を取扱うということだけに事務を限定いたしたい。賦課等に対しましては意見、関與することはできないという規定を、はつきり設けたいと考えております。そうしまして、これは設立の地域をどうするか、地方によつて、事情によつていろいろ違うと思いますので、これはなかなか一律に税務署の管轄ということにやるわけにも参らぬかと思います。大都市方面におきましては、あるいはもう少し大きな地域組合ができてもいいと思いますし、それからまた地方におきましては、税務署の管轄区域よりもさらに小さい地域の組合ができるのが、むしろ自然だと思いまして、その辺のところはあまりやかましく言うつもりはないのでございます。なるべくこれは自発的に任意の組合ができまして、それによつて納税資金が蓄積されまして、納税が容易になるように指導いたしたいと思つておるわけであります。地域と組合の結成の組織につきましては、役所からあまりこまかいことは言わないで、なるべくほんとうの任意に、自然にできるような姿に指導し育成するようにして参りたい、かように考えております。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 重大問題とは申しませんが、民間の声を代表いたして申し上げたい点がある。これは税金を納めますには、税務署はもちろんでありますが、郵便局、銀行その他でも納められるのでありますが、この連絡が非常におそ過ぎる。たとえば先月の末に納めましたものが、二月の十日過ぎにならなければ来ぬということになりますから、二月の五日ころにまた催促の手紙が来る。そういうことになりますと、納税者が非常に憤懣を感ずるのであります。これはもう少しく整備をいたして、銀行によつても翌日くらいにはすぐに税務署にまわす、また郵便局にしても、二、三日のうちにかならずまわすように、これを督励されなければ納税者は参つてしまう。でありますから、これは区役所もしくは郵便局あるいは銀行等を督励せられまして、納税したものは少くとも四、五日のうちには必ず税務署の方へ行つて、税務署に記入になるようにする。また記入するのに二、三日から一週間もかかつて、合計二週間たたないと完全に帳簿に載らぬ、こういうことを聞くのでありまして、民間では非常に怒つている。私どもそういうことをよく聞くのでありまして、これを直すことは、国会はもちろんのことでありますが、政府といたしましても当然であると思います。何とか早くなる方法を持つておられますか、改善策がありまするか、承りたい。
  26. 平田敬一郎

    平田政府委員 今のお話はまことにごもつともな点でありまして、実は私どもも、納税者税金を納めたのに、督促が二度来るというようなことをよく聞くのでありまして、その連絡の点は非常にやかましく鞭撻いたしているのであります。終戦後いろいろな事務組織がこわれまして、郵便局、銀行、税務署いずれも事務の処理が進捗を欠きまして、ことにそういう問題が多かつたようでありますが、最近は徐々に督励あるいは各方面におきましても勉強しました結果、よくなつて来ていると思います。銀行からの通報も比較的早うございますし、郵便局の通報はこれはまだ若干遅れるのもございますが、概してよくなつているようでありまして、この点についてはさらに一層御趣旨の点を体しまして、敏速に連絡ができて、納税者の不測の不快を起させないように努めたいと考えております。
  27. 三宅則義

    三宅(則)委員 具体的な例を申し上げますから、ちよつとお聞き取り願いたいと思います。実は隅田の税務署にあつたことであります。これは元は本所区、今は江東区となつておりますが、本所区内ですから簡単で近いはずです。ところが今申し上げましたように、税務署の方に行きますに一週間、そしてまた税務署の方に来たものが、これを整理するには若い女の子がやつおるからなかなか進捗しません。聞きますと、そんなことはない、それじや受取りを持つて来ますと言うと、そうですかと言つて大急ぎで帳簿をひつくりかえしてつき合せてみる。そういうことがあつたわけでありまして、これはごく最近までありましたことですから御了承おき願いたい。  もう一つ関連いたしまして、返す方ですが、このごろは返す方面に対しましても手紙を出すようになりました。今まではなかなか来ませんでしたが、今日になつてみますと、昭和二十四年度の所得税が何がしか過納になつておりますから、今後還付いたしますから総務課に御出張を願いたい、こういう書類を出すようになつたから、まことにいいわけでございまするが、そういうような過納の分につきましては、もつと早く迅速に整理いたしまして出さなければならぬということを痛感いたしております。もちろん主税局長はそういうことは監督しておられるわけでありますが、そういうものにつきまして各税務署ごとに、全国でもよろしゆうございますが、どのくらい過納になつておりますか。その表もあることと思いますから、一応簡単でよろしゆうございますが、承りたい。
  28. 平田敬一郎

    平田政府委員 過納の分を早く処理しなければならぬという御意見、これはまつたく私ども同感でありまして、中央からは始終末端の役所に対しましては、そういう注意を訓達いたしておるのでございますが、なかなか思うように参つていないというのが、率直なところだろうと思います。しかし最近は国税庁におきましても、そういう点は特に注意いたしまして、やはり納税促進をはかるということは、その反面取過ぎのものも早く返すということによつて、また納める場合には容易に納めるということになるから、とにかく返す方も早くやるようにということを、特に国税庁から最近その方針を地方に伝達しておるようでありますから、だんだんそういう状態もよくなつて来ると思います。しかしなかなか一朝一夕ですぐよくなるかどうかは問題だと思いますが、できる限り事務の能率化をはかりまして、そのようなことがないように努めたい。なおそういう問題はあるいは場合によりまして、直接の責任者である国税庁から見えたときに、もう一ぺん御督励願つてもけつこうと思いますが、私どもの方としましても、始終注意いたして参りたいと思います。最近の過納額の資料は今ちよつと手元にございません。これはあと調べて御報告申し上げたいと思います。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではもう一点だけであとの方に譲ることにいたしたいと思います。  法人税を中心に考えまして、われわれは全所得から見ますると、法人税は少いわけでありまするが、法人税の方が割合に文句が少くなつて来たことは事実です。しかし今日あらためて申し上げるまでもなく、末端に至りますと若い官吏の方々が出て来まして、たとい小さな会社でありましても、社長や重役というかどの責任者に対しまして、無礼な言とは言いませんが、横柄な言を吐くような者が多かつたのです。それはだんだん直つては来ましたけれども、地方をまわつてみましても同じことであります。税務官吏の方々の民衆に接する態度が悪い。こういうことはしばしばこの委員会でも申したことでありまして、そのことがだんだん浸透しては参りましたが、ひとつ一段と下の方の国税局、あるいは税務署等にもお示しを願いたい、かように思うわけであります。  私は皆さんの御同意を得まして、最後に次のようなことを申し上げたいと思うのであります。その事柄は、申すまでもなく課税の負担の公平化ということが必要であることはもちろんでありますが、ややもすると一旦きめたことに対して、面子があるということを言われておるのでありまして、税務署の方々はなかなか直さぬ、こういう例がずいぶん多かつたわけでありますが、今後は税法改正等によりまして、面子にかかわらず実質を把握いたした場合におきましては、立ちどころにこれを直してやる、こういうことを訓示してもらいたいと思います。これは平田さんに言うことは釈迦に説法と思いますが、それに対する御決意のほどをもう一度承つて、本日は質問を打切ります。
  30. 平田敬一郎

    平田政府委員 あるいは今の点も国税庁お話なつた方がいいかもしれませんが、一応ここで申しておきます。  今私ども考えといたしましては、なるべく直さなくてもいいようによく調べてから決定する。これを第一の方針にいたしたい。それから決定に誤りがありまして、調べた結果誤謬があるということが明らかであれば、これはもちろんお話通りなるべく早く直す。しかもそれにつきましては、税務署最初調べた者がぐずぐず言うような場合がございますので、協議団という制度をつくりまして文句がある場合には担当官以外の者がさばくという制度にいたしております。しかしそういう制度がございますと、そこまで行かないうちに、事前に最初の担当官が、これはたいへんだというので直すべきものは直すというふうになると思うのでございまして、これが先般申し上げました協議団制度の間接的効果だろうと思うのであります。そういうことにつきましても、もちろん別に訓達いたしまして、直すべきものは早く直すというふうにして参りたい。しかし私はそれよりも、直さなくてもいいような更正決定をやるということにまず努力を傾けまして、やるようにして行きたい。これは大臣もしばしばお話なつておりますように、更正決定を急がない、よく調査をした上で正しい更正決定をやるのだ、こういう方針とも適合しておると考えておるのでございます。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一つ追加ですが、再調査を別の人にやらすということにしてもらいたい。同じ人が再調査してもだめですから、一旦きめた人は再調査しない、別の人がやるということをぜひ強行してもらいたいと思いますが、これについてのお覚悟のほどを承りたい。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 それは先ほど申し上げました通り、協議団が……。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 いや、協議団にかかる前です。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 協議団の前の段階におきましては、一応決定しました税務署長が自分の責任で調べ直す。その方がむしろやはり簡易な誤謬等を処理するのにはかえつて早いのじやないか。いきなり協議団等にかけるということはかえつて手数が多くて、ぐあいが悪いのじやないかと考えております。それから税務署の内部におきまして、最初調査した者が再調査の請求を扱うか、あるいは違う者が扱うか、これは理想を申しますと、十分スタツフがいて、なれた者が多い場合には、違つた者に扱わせるのが一つ処理方法だろうと思いますが、今の実情から申しますと、われわれ全部そういうふうにやるわけには参らないのじやないか。しかしごもつとものところがございますので、そういうものにつきましても、よくテストをやつてみたりなんかしまして、万全を期するように努めてみたいと思います。それはそういう趣旨がございますので、特にここ三月たちまして本人が請求して直さぬ場合は、自然に協議団にかかつて来る。そういう制度をつくつておりますから、今までよりも私は相当うまく今後動いて行くだろうと確信いたしております。
  35. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 次に天野君。
  36. 天野久

    ○天野(久)委員 二、三点お尋ねしたいのですが、まず第一に今非常に滞納が多いと聞いておりますが、間税と直税とをわけて、滞納の額がおわかりでしたらちよつとお知らせ願いたい。
  37. 平田敬一郎

    平田政府委員 先般お手元に資料としまして、十二月末現在の滞納の表をお配りいたしておるのでございます。その中にはおもな税目はございますが、こまかい税目は除外されておりますので、それを申し上げますと、滞納のうち一番所得税が多いのでございまして、源泉所得税が百億四千七百万円、申告所得税が五百八十七億円、法人税が百八十億円、酒の税金が十二億二千二百万円、物品税が三十八億五千万円、その他は大したものはございません。全部合せまして九百九十億一千七百万円という数字に相なつております。
  38. 天野久

    ○天野(久)委員 間税につきましても相当な滞納があるようですが、おそらく現状におきまして民間の人たちの経済面から参りまして、直税は滞納もやむを得ないと思いまするが、間税は一応人の金を預かつてお取次をするという性質の税金であると考えております。これに滞納があるということは、非常におもしろくない実情であると思います。しかしこれは売掛というようなことがありまして、余儀ない場合もありましようが、酒造税の十二億幾らというものについては、聞くところによりますると、一つ会社が一億以上の滞納をしておるという話もあります。こういう面につきまして、一般の小さな業者が百万、二百万の税金に対して滞納がありますと、これは税務署から非常な催促を受けてやつておるのですが、一億以上の税金滞納があるということに対して、これの取立てに関してはどんな形にされておるか。その方法を承つておきたいと思います。
  39. 平田敬一郎

    平田政府委員 確かにお話ごもつともでありまして、間接税の滞納というのは、直接税の滞納よりも、なお納むべきものを納めないという要素があると思います。従いましてこれの滞納処分は、ほかの税よりもより一層厳重にやつておりますことも、申し上げるまでもないところであります。酒税につきましては、今全体で十二億二千二百万円と申し上げましたが、そのうち八千三百八十万円は過年度分、つまり二十四年以前の分でありまして、残り十一億三千八百万円というのが当年度分であります。過年度分はいわば滞納の焦げつきで、大部分悪質なものではないと思いますが、当年度分は非常に金繰りに困難をきわめたために、月末までに納められなくて少し遅れたというのが、実は相当入つておると思います。従つてこの全額がほんとうの焦げつき的な性質を有する滞納ではなくて、ごくしばらくの間の滞納も入つておると思いますので、その点御了承願いたいと思います。今お話の大口の滞納に対しましては、厳重に処分することにいたしておるわけでありまして、今ここに具体的資料はございませんが、酒税の大口滞納のことにつきましても、それぞれ差押え等の方法を行いまして、厳重に督励いたしておると思います。何しろ御承知の通り、昨年の十一月ごろまでの酒造界の状況は非常に悪かつたものですから、入りにくかつた点も多かつたようでありますが、十二月以後は売れ行きもよくて資金の回収もできておるようでありますから、近くこの点は滞納の処理もできると考えておるわけであります。具体的ケースがございますれば、国税庁調べさせまして、その方からお答えするようにいたしたいと思います。
  40. 天野久

    ○天野(久)委員 酒造界の不況によつて滞納が余儀なく出たということも、われわれよく認めますが、そこで伺いたいことは、このごろ聞くところによると、何か滞納をたな上げ処分をする。いわゆる今まで滞納になつたものはそのままにしておいてあとを順に取立てるというような方法をとるやに聞いておりまするが、国民ひとしく税に苦しみ、経済界が窮迫してともに財力に苦しんでいることがはつきりいたしておりまするので、一部の人にたな上げ処分をするというようなことは、非常に不公平なことになりはしないか。もしそういうことがあるとするならば、延納処置を均等にいたすべきではないか。そういう点につきまして、ただうわさのみですからかたく信じないのですが、どんなふうになつておるか、ちよつと承つておきたいと思います。
  41. 平田敬一郎

    平田政府委員 過年度の滞納と申しますか、滞納争議が相当多い。これの促進に今非常に勉強いたしておるわけでありますが、中にはどうしても納まりそうにない。個人の場合におきましても、生活困難をきわめまして、税金はとうてい納まりそうにない。あるいは企業の場合におきましても、もう破産一歩手前に来て、どうしても税金が納まらぬというものは、率直に申し上げまして中に相当あるようでございます。こういうものにつきまして、この際差押え、公売処分等を強行して税金を徴収するといたしましても、実際上なかなかむずかしい面がございますので、そういう非常に苦しくやつておるものにつきまして、この際一定期間差押え、公売等の措置による滞納処分の続行を見合せまして、できる限り事業の成績等の立ち直るのを待つて納税促進をはかるようにしたい、こういう意味におきまして、たな上げと申しますか、何年か滞納処分の続行を停止しておくという制度考えたいというので、目下研究をいたしております。その際におきましては、お話のような点まことにごもつともでございますので、そういう観念と調整をはかりつつ、結局どこかで妥協点を見出さざるを得ぬと思いますが、できるだけお話のような点に注意いたしまして、そのようなことがない限度において、そういう措置をとることについて考えたいということで、目下案を検討中でございます。まとまりましたら、いずれ国会に提案をいたしまして、御審議を煩わしたいと思いますが、大体今のところそのように考えておるのであります。
  42. 天野久

    ○天野(久)委員 目下の経済状態からして、そういうお考えを願う政府としての親心をわれわれ国民は感謝いたします。しかし今の現状で、もしこの間税たな上げによつて、納税にゆるみが生じてもさしつかえないということを、国民一般に認識させたその結果というものは、一体どういうことになるのか。これはおそらくゆゆしい事態が起りはしないか。つまり今の現状におきましても、業者が間接税を預かつておりまして、税金を納めるためのその悩みは、今月の税金を納めると、その翌日からその月末の税金を納めることに苦心いたしておるのが現実である。その現実の状態に印して、一箇月あるいはそれ以上これがたな上げになるというようなことができたとするならば、これはおそらく業者が税金を期日に納めないという事態が幾つか生ずる思う。そこでわれわれとしてはたな上げも大いに希望いたしまするが、そのたな上げをする一面において、他の納税者にかようかくかくの理由でこういうたな上げをしたのだということをはつきり示す。納税はいたさなければならぬのだが、かようなことでこういうことになるのだ、もしたな上げする場合にはこんな状態になるのだというような、何かはつきりした納税者納税をせねばならない意識を存続させるような方法をとらなければ、これが大きな問題になるとわれわれは考えておりまするが、この点について何かお考えがありましたら承りたい。
  43. 平田敬一郎

    平田政府委員 まず第一に御心配の間税につきましては、該当する場合はほとんどないくらい少いのではないか、主として直接税の場合ではないかと私は思います。やはり間税につきましては、お話のような点が特に顯著でございますので、その適用についてはかりに認めるにいたしましても、よほど厳重にしなければ、これはどうもお話のような納税思想に悪影響を来しはしないかということを考えておるのであります。それからあとで処分をやりました場合におきましても、決してとらないわけではないのでございまして、その人の資力の回復等を待ちまして、また督促を始めたい。今一ぺんに督促しまして公売処分までしてしまつて、どうせ一部欠損にするよりも、若干待つておいた方が税としましても、あるいはかえつて入りいいかもしれないというような点もございますので、かような点をよく考えまして、そういう措置をやります場合には、十分愼重な配慮を加えるようにいたしたいということを考えております。しかしこの問題は今案を検討中でございますので、いずれよく検討して国会に提案しますので、その際にさらによく御審議を煩わしたいと思う次第でございます。
  44. 天野久

    ○天野(久)委員 局長のお気持はよくわかりましたが、なおひとつ御参考に申し上げておきたいと思います。間税であつて、ある相当な滞納者がある。それが滞納を納めんがためか、あるいはまた滞納をしておるので採算がとれるのか、つまり市場に向つて濫売をいたして、他の業者に非常な迷惑を及ぼしておるという実例は、局長もすでに御存じだと思いまするが、そういうこともある。そこでわれわれは酒造税に対して、みずから常に納税をいかにせねばならぬかということで苦心をいたしておりまするが、やはり一方に滞納をたくさんした人、そうして市場に投売りをする、こういうことをすると、正しい業者はそのために巻き込まれるという憂いが非常に多いのでありますので、どうかそういう点もよく御考慮に入れて御立案願いたいと思います。  それから次にお伺いいたしたいことは、この勤労所得税、今一万円以下の收入の勤労者の生活状態というものはまことに悲惨なものである。そこでわれわれは、一万円ないし一万五千円以下くらいの勤労所得者勤労所得税は免除してやることが、国としてとるべき道ではないかと考えておりまするが、いわゆる一万円以下の勤労所得税の額、一万五千円以下の勤労所得税の額、二万円以下の勤労所得税の額、これがおわかりでしたらお示しを願いたいと思います。
  45. 平田敬一郎

    平田政府委員 この階級区分の税額というものは、判定がなかなかむずかしい問題でございまして、いま一応そういう資料も検討させておりますが、まだ本日のところちよつと申し上げ得るまでに至つておりませんので、いずれそのうちに調製いたしまして御説明申し上げたいと思います。  なお一万円前後の所得税の負担でございますが、これは税額としましては、相当大きな控除がございますので、大した税額ではございません。たとえば一万円のところで生活の苦しいのは、少し家族が多い場合で、独身者の場合の一万円でしたら、これは相当な生活ができると考えます。家族が奥さんと子供二人の場合におきましては、現行税額では六百八十三円、改正後は四百五十円、一万円で四百五十円の税金を負担してもらうということになるわけでございます。子供がもう一人ふえますと二百円の税金ということになりますが、今の段階でこの程度税金を負担していただくのは、やはりどうもやむを得なかろう。七千円のところでございますと、子供が二人以上ありますと税金はかかりません。奥さんとお子さんが一人の場合で、今まで三百七十三円負担しておりますのが、改正案によりますと百九十円に下る。半分程度下るのでございます。この辺まで行きますれば、まず今の状況としましては、従来よりよほどよくなりますから、しんぼうしていただかなくちやならぬのじやないか、このように考えております。
  46. 天野久

    ○天野(久)委員 これは税額にすると大した高額とは言えませんが、やはり勤労生活者のきようの苦しい現状から見ると、この三百円、四百円の金は非常に大きく響いて来る。そうしてこれが本税であつて、また地方においては、いわゆる所得税割というものがかかつて参るというようなことで、非常に精神的にも何かそこに税の悩みを感ずるということもある。もし割合少額であるとするならば、何かに税を転嫁して、一万五千円以下ぐらいの所得者の税を免除するお考えはありませんかどうか、承りたいと思います。
  47. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは所得税といたしましては、基礎控除、扶養控除の額をそのときの状況に応じまして、それぞれ妥当なものにできるだけ定めまして、神はり納税者といたしましては、若干の税金は、低額所得者といえども負担してもらうということが、これは考え方の差によりまするが、いいのじやないか。これは免税点を非常に上げる問題もございますが、今度の改正によりまして、この間も申し上げましたように、農民等は実は相当課税外に落ちるわけでありまして、昭和二十四年度におきましては、たしか二百二十九万三千人の農業所得納税者がございましたが、改正後におきましては百八十三万七千人ぐらいに減る見込みでございます。勤労所得者の場合におきましても、若干減る見込みでございます。二十四年度が千百六十万一千人が、改正後におきましては千六十二万二千人ぐらいに減る見込みでございますが、この程度の——さつき申しました程度の税額を、相当多数の方が所得税として納税していただくというのは、これも今の財政状況のもとにおきましては、まあ妥当でありかつ適当ではないか。たださらに一層高くしまして、ほかにいい税金があるかということにつきましても、なかなかいい税金はないのでございまして、相当納税者の数が多うございますので、どの程度までの考えでございますか。もしも案がございますならば、それによつて税額がどうなるか研究しまして御報告してもいいと思いますが、基礎控除を千円上げますと約四十億減税になります。扶養控除を千円上げますと、表に示しております通り、これは七十億程度の実は減収になる。従いましてこの額を相当引上げるということになりますと、全体としましては所得税において相当な減収に相なる。その辺のこともかみ合せまして、御判断願いたいと存ずる次第でございます。
  48. 天野久

    ○天野(久)委員 局長の意向も大体わかりましたが、われわれとしてはなるべく勤労者の税金を軽減したい、こういう意向を持つておりますので、御了承願いたいと思います。  その次に伺いたいことですが、今の税の取立て方法は、税務署、県庁あるいは地方事務所、町村、こういうふうに四段階のところで取立てられる。そこで四段階が連絡がないので、ややもするとちぐはぐの課税一般の民衆に押しつける、こういう形がたくさんあるとともに、何か最近あたり官吏を減らして免税せよというようなポスターなどもわれわれ拜聴しまするが、これを何か一本にして徴税をしたら、非常に徴税もなめらかに行くでしようし、また徴税の額等もずつと調節のとれた徴税ができはしないか、こんなふうに思いまするが、そういう点について何かお考えを持つてはおりませんでしようか。
  49. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまの天野さんの御意見は、実際問題としてはまことにごもつともなところも多いと思うのでございますが、ただ最近の考え方は、地方自治ということを大いに強調することになつておりまして、それぞれ国は国、府県は府県、市町村は市町村、相互に関係はございますけれども、なるべく独立して仕事と任務と責任を持ちまして国民のために活動する、そういう点を基本観念にいたしておりますので、二十五年度から改正いたしました地方税にいたしましても、従来のような附加税主義はやめまして独立税主義にする。しかもなるべく税目も国税はこれ、府県税はこれ、市町村税はこれというふうにして、同じような税種に附加税二重、三重にかけることはやめまして、それぞれ別々な税金の形で自分の財政を調達して行く。そしてその税金の賦課徴收について文句がある場合は、それぞれ府県税については府県知事が責任を負う。国税につきましては政府が責任を負う。また市町村税につきましては市町村長が責任を負う。それからまた租税の使途等につきましては、府県税は府県で一体何に使つたかということを、それぞれ住民が注意し批判し得るような組織において動かした方がいい。市町村民税も同様でございまして、そういうふうにすべて地方自治と申しますか、それぞれの政治団体が職能と責任を明らかにして動かした方がいい。こういう基本観念に実は立つて考えることになつておりますので、今お話のような点は実際論としてはもつともなところがございますが、どうもそういう基本観念とぴつたりしないところがございまして、めいめい独立してそれぞれりつぱな業績を上げて行くという意味におきまして、場合において若干そこに食い違うところが出て来てもいたし方がない。もちろん法律で同じことを規定している場合におきましては、違つた結果が出るべきではなく、同じ結果が出るべきものでございますが、そういう点につきましては、納税者納税者として正しい主張をしまして、それでうまく動かして行つたらどうか。こういうことで実は最近の制度の根本を考えることにいたしておりますので、これがはたして日本の場合においてうまく行くかどうか、問題はあるかと思いますが、私どもでき得る限り運用に努力いたしまして、そういう趣旨制度がうまく動くように今のところ努力いたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  50. 天野久

    ○天野(久)委員 基本観念の局長お話はごもつともですが、なかなか基本観念のように社会が動いておらないのが、現実です。とにかくふなれな県庁の職員、地方事務所の職員あるいはまたときどきかわる町村の吏員等が課税をいたす。国民はそのために非常に迷惑をいたしておる。しかも県庁の職員として収税吏員として権能を持つて、職権を振りかざしてやつて来るというような形もなきにしもあらず、この点については相当考えていただかなければならぬと思う。しかして税というものは地方自治体がそのままとつて、それで自治体がまかなえるならばそれはよろしいのでありましようが、現状では決して地方自治体がとつた税金で地方自治はまかない得ない。国が国税としてとつて平衡交付金を與え、あるいはいろいろの補助を與えて行かなければ成り立たない。これは一連の関連があるということは、はつきりわかつておることでありまするので、こういう点につきましてやはり国が音頭をとつて、そうして国民の納得の行く税金に、各種の税金をいたさなければならぬと、われわれどうしても考えざるを得ないのでありますが、そういう点につきまして、徴税当局は国が中心でなければならぬ。いわゆる国を離れての自治体はおそらくあり得ないし、また国の援助を受けないで立つ自治体もおそらくなかろう。従つてそういう意味から行きまして、観念論はごもつともであるか、観念論のみでは決して国民が納得の行く税金を納めることはでき得ないと思うので、どうかひとつそういう点について御考慮を願いたいと思います。  それから続いて次にお伺いいたしたいのですが、これは三宅委員も先ほど相当触れていたらしいのですが、一般の国民が一番悩んでおるのは、国税局といいますか、そこの基礎調査であります。基礎調査の御出張というものは、非常に調査を受けた人たちの悩みの種になつておりまして、一例を申し上げますると、先日調査に来られた。そこでその人などはほんとうに正直な帳面を出してこれを見せた。そこで収支されてみたところが、どうも予定通り収益が上らない。これではだめだ。だめなら何でもお調べください。これ以上どうしようもない。そこで予定通り収益が上らなければ困るというので、家宅捜索をしかねまじき態度でやられた。それをお母さんがそばで見ていて、御子息が調べられているのがまことにかわいそうでならぬ。あんなことでは商売をやめようかとまで思つたというような実例も聞いているのです。それからまた昨年あたりの実例なんですが、ほんとう調査された人、それから調査をした人——私は調査された方の人から、この状態でこういう結果を算定された。こんなことでこの数字が出るはずはないという陳情を私は受けたのであります。そこで私は一方だけを聞いたのではいけないと思いまして、国税局に行つて、調べた人と相対峙してやつてくれというので国税局に参つた。そして調べ行つた人をここに出してくれないかと言つたところが、出張しているとか何とか言つてとうとう出さなかつた。そして結局その調査された人の言うことが正しいのであつたろうと聞かざるを得ない状態に、立ち至つた事例もあるのであります。元来所得税をごまかす——と申しますと言葉は悪いですが、なるべく所得税の軽減をはかろうとするのは日本の国民性であつて、これはもちろん根本から直して行かなければならないことでありますが、お調べになる方々が、そういうことを頭に置いて、いわゆる職権を完全に途行ずるために、その気持で働かれるということはもつともでありますが、しかしその気持が働き過ぎて逸脱をするきらいが相当あるのであります。従つて基本調査等についてはいま少し懇切丁寧に、そしてしかも人格を尊重されてやつていただかなければ、出先々々で相剋摩擦が起きて、私どもその中に入つて非常に苦しむことがあるのであります。こういうことに対しては、私のみならず他の同僚議員も同じような気持を持つておられると思いますので、どうかこの点につきましては、いま少しなめらかに基本調査をしていただきたい。それからまた業種別等についても、相当お考えを願わなければならないのではないかと考えます。これらの点についてお答えをいただいても、これはいつも同じようなお答えだろうとは思いますが、何かお考えがありましたら、ひとつお願いいたしたいと思います。
  51. 平田敬一郎

    平田政府委員 まことにどうもごもつともな御注意でございますので、よく承りまして善処すると申し上げるよりほかないのでありますが、なかなかむずかしい問題でござしまして、やはり調べないわけには行かない。調べるとなると、お話のように下手をすると行き過ぎになるおそれがある。その限界をどこにとどめるかということ、それから相手を見てやらなければならない。下手をしますと非常にりつぱな人に対しまして、そうでない人と同じような扱いをついやつたりしまして、非常に変な結果になつてしまうことがある。ほんとうに悪質な場合におきましては、やはりとことんまでやつて行かざるを得ませんが、その辺の見境は実際の運用としてはなかなかむずかしい問題であります。そこで極力行き過ぎのないように最近は注意をしておるのですが、なかなか思うように行かないのであります。しかし根本はやはり調査に当ります税務官吏の素質を引上げ、十分な常識と十分な仕事に対する能力を持ち、かついろんなことを判断し得る健全な素質が必要なわけでございまして、職員の訓練、素質の向上に特に努むべきではなかろうか。しかして一定の資格のないものには、そういう権限を與えないような方向に持つて行きまして、極力運用を適正にするようにして行つたらどうかと考えておるのであります。なかなか実際問題はむずかしい問題でございます。私ども最近調査官等で非常にうまくやつておる調査官の評判も実は聞いております。また反対お話のように、どうもその場の行きがかりで行き過ぎをやりまして、少し変な問題を起しておるような者のおることも聞いておりますが、よく注意いたしまして目的を達成し得るように、当局としては十分努力をいたしておりますことを御了承願いたいと思います。
  52. 天野久

    ○天野(久)委員 この問題はわれわれは、実は税務当局に非難を浴びせるばかりが能ではないと思つております。こういう問題はどうしても日本の国民の、いわゆる国民性と申しましようか、今まで所得税などは上手をやつた人は安く行つておつた。それから下手をした人は多く納めた。それでも通つた時代があつたのでありまするが、現状はそれではとうてい国が立たなくなつたということもはつきり認めなければならぬ。それで日本の国民が、一体自分の納める税金は、何と何に使われておるかということを知つておる国民が何人あるかということになると、おそらく何パーセントにも当らないと思つております。われわれはこの納税に対して、現状のようないわゆる官庁と納税者との相剋があることは見るに忍びない。そこで納税義務者としてもこの税金が何に使われておるか、そうして納めて行かなければ国が立たないのだ、税金というものはやはり間税のごとく、直税も脱税してはならないのだと、何か国として国民の思想教育を十分に徹底することが、私は一番必要ではないかと思う。税金に対しては、今日本の国民としては直税をごまかしても、決してこれは脱税をしたとは考えておらぬ。上手をやつたから自分の税金はこれで済んだのだ、君は下手やつたからそうたくさん納めているのじやないか、こういうような話を始終聞かされておるのであります。いわゆる直税でも納めなければこれは脱税である。しかし自分の納めた税金は何と何に使われて、そうしてこういうように国を建てるために使われておるのだということや、いろいろの方面から納税思想、納税ということに対する国民の思想を教育するということが、最も必要ではないかと思つておりまするが、そういう点について国税庁としてはどんなふうにやられておりまするか、参考に承つておきたいと思います。
  53. 平田敬一郎

    平田政府委員 まことにごもつともな御意見でありまして、私ども税金は喜んで納めるという、昔の美談みたいなところまで求めるのはどうかと思いますが、とにかく国会できまつた法律に基きまして、正しく計算され正しく税額がはじき出されているものは、これはやはり納めなくてはいかぬのだ、こういうような観念に国民の各位がならなければ、われわれはなかなか、ことに申告納税制度なんというものは、うまく行かないのじやないかという感じを持つております。しかしこれは政府がやりますよりも、むしろ天野さんのような国会議員の方々の言が一番いいと考えるのでありまして、政府ももちろんそのようなことにつきましては十分努力するつもりでございますが、ひとつよろしくお願いいたしたいと思う次第でございます。なお御参考に申し上げておきますが、私ある雑誌で——これは代表的な雑誌でございますから申し上げてもいいと思いますが、あるアメリカの代表的な実業家が、日本ではない他のある外国に行つて、そこの実業界の空気を打診するのにどういう点を注意したかというので、何か三つの点を注意したという話がございましたが、第一点には、実業界の代表的なレベルのところで税金を少くして、それを何かうまくやろうと考えていると、これはだめだという批評を下している記事を読んだことがあるのでございます。アメリカ、イギリス等は確かにその点につきましては、一般の認識と申しますか、レベルが高いように見受けられるのでございまして、この辺は結局私ども役人がどうこう言うよりも、むしろ先ほど申し上げましたように国民全体の空気でございますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと考える次第でございます。
  54. 天野久

    ○天野(久)委員 どうもミイラとりがミイラになつてしまいましたが、実はわれわれはそういうことの宣伝に努めております。しよつちゆう税金の問題が出るとさつそく飛んで来られる。そこでひとつ税務署に行つて来い、国税庁に行つて来いと実に忙しい。はなはだ迷惑する。そこで税というものは納めなければならぬものだということはよく説いてやりますが、われわれの宣伝と相まつて、国税庁あたりがやつてもらいたい。去年あたり税務署などに行くとちよいちよいと税金が何パーセント、何に使うというようなポスターなども拜見しましたが、一応自分のものでなくても国税庁のふところへ入られるわけなのですから、われわれもほんとうに努めてポスターもこしらえ、数字も出して説明しますが、どうかひとつ入られるところでも、一層数字をあげて御宣伝願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  55. 平田敬一郎

    平田政府委員 今のお話の点はまことにごもつともでございます。役所の方におきましても、相当に納税宣伝費等も国会で御承認を得てやつておる次第でございますから、お話のような点の啓蒙、普及については十分努めたい。またなるべくわかりやすい税法等の解説書等もつくつてくれという希望もございますので、そういう点も努めたい。それから歳出がどういうふうに使われておるか、そういう点についてもできるだけ手を盡しまして、正しい意味における納税思想の涵養という点について、努力いたしたいと思つております。
  56. 宮幡靖

    宮幡委員 時間の関係がありますので、質問はやめてもよいのでありますが、委員長にひとつお願いがあります。おそらく予算委員会の審議にいたしましても、当委員会の審議にいたしましても、税法改正という問題は一番大きな骨組をなすものでありまして、これの審議のために、国民にかわつてわれわれは十分熱意を傾けて行うべきだと確信するものでありますが、どうも当委員会の出席を末席で拜見いたしますと、野党の方には申しにくいのでありますが、與党の理事委員は一人も出て来ない、こういう委員会の審議を進めておりますことは、われわれ国民に対してはなはだ申しわけないと思います。どうか委員長も十分この間の事情を御洞察だと思いますので、ぜひとも與党の委員、せめて理事くらいは御出席をいただくようにおとりはからい願います。もちろんいろいろたくさんの会議がありまして、それとかち合つておるのであります。怠慢の措置ではなかろうと思いますが、税制等の改正の重要さを一層認識していただきまして、ぜひさようなおとりはからいをいただきたいということをお願いいたしておきます。  それで立ちましたので五分ばかり——主税局長の御答弁はすでに大臣級の御答弁でありまして、その内容もまた大臣のお答えすることと同じであります。こう私は信じております。そういうことで政策面につきまして、一、二点五分くらい伺つてみたいと思います。  最初に世間で申します減税の意義と、また国会で申します減税の意義と、国税庁、大蔵省で申します減税の意義との間に、巷間はなはだ食い違いがあるわけであります。私どもが実質の減税というものを、町ではどうも国家が取上げる名目課税で表示しました金額、それが減ることを減税だと世間は考えておるようであります。今回の二十六年度の税収予算を比べて見ますと、これは二十五年度は四千四百五十億六千六百万円、本年度の予算は四千四百四十五億四百万円、わずかに五億六千二百万円しか減つておらぬ。しかるに自由党を與党とする現内閣は、七百四十三億一千六百万円の減税をしておる。こう言つておるが、これは減税ではない。こういうような批判がかなり鋭い。けれどもこの言葉は私は間違つておるということを、残念ながら申し上げなければならない気持と、用意を持つておるわけでありますけれども、一々これに視明を加えるわけに参りません。もつとさらりとした減税の趣旨というものを徹底させるには、いかなる言葉がよいのであるか。もちろん国民所得が増高いたしまして、現行法の税率を適用いたしますれば、提案理由に書いてある通りの、またここに説明がありますように、五千百八十八億余の税金が入るが、今回の改正措置によつて四千四百四十五億程度になるのであつて、その減税額は七百四十三億、こういうことになることは明らかであります。従いまして私ども税法の上におきまして、明らかに国民負担の軽減をはかつたものであることを、大きな声でもつてとなえて少しもさしつかえない。しかしながらこれに対しまして、ただいま申し述べましたような議論があるとするならば、われわれのまず反問しなければならないことは、もし不幸にいたしまして特需景気だとか、一般経済の進行状態がとまりまして、いわゆる通貨の面においても物の面においても一両方の経済面においてデフレ的傾向が強くなつた場合に国民所得が減つた。それがために予算だけ入らなかつた場合を、政府なりその当局なりが国民のために減税したと言えるであろうかどうか。これは減税ではなかろうと私は思います。ところがこのことをもし減税であると考える人があるならば、これは非常な間違いであると同時に、現在提案されております七百四十三億なるものが、増税でなく真実なる減税であるということを知つていただける一つの内容ではなかろうかと考えております。しかしながら基本政策の点においては、話しさえすればよくわかることだと私どもは確信しておりますが、ここに一つ問題が残つております。あるいはこれはもつと政策を越えました一つ考え方であり、言い方であるかもしれませんが、なるほど税率を引下げて、そうし七個々についての減税いわゆる税法上の減税は確立しても、国民所得の算定等におきまして一つのわくをはめたり、その他の方法で、どうしてもこれ以上の増収なり、あるいはこの程度まで税金のとれる方法を、税務機関によりましてやりますならば、それはかえつて増税になる、こういうことを宣伝、流布されました場合におきましては、これはなかなか否定できません。そこでこの際、今回の減税措置なるものが真の減税であるということを裏づけますのには、大蔵省当局としまして割当と申しますか、この言葉はおそらく適当ではありません。何かもつといい言葉があるだろうと思いますが、ただいま出て参りませんが、四千四百四十億は必ずとれるんだというような方法、もしくはそれ以上に一割なり一割五分なり増税になるような、目に見えない一つの拘束を持ちまして、国民から所得を取上げるんだ、こういう疑念のないようにはつきりいたしまして、自由にほうつておいて国民がその良心に訴えて納税をいたしますならば、この四千四百四十億というものは必ず確保できるものである。それは今推定しておる国民所得が正しいといたしましたならば、そうなるであろう。もし国民所得が低減し、あるいはおそろしく減るというような実情が来るならば、その実質においては税収の赤字が出てもやむを得ないものである、こういうことが大蔵当局としてはつきり言えるであろうか。この点を簡単な言葉でよろしいのでありますが、お確かめいたしておきたいのであります。これを伺うことができますならば、われわれは七百四十三億の減税を、かねての公約の通り今回の国会を通じて実現したのだということを、天下に高唱してはばからないものであります。どうかこの点につきまして、一応簡単な言葉でけつこうでありますから、御所見を伺いたいと思います。
  57. 平田敬一郎

    平田政府委員 最後の点から申し上げますが、これはまつたくお話通りでございまして、今の税の見積りは、見積りを作成いたしましたときの状況をもとにしまして、できる限り正しい見積りをするという意味で見積つておるだけのものでございます。従いまして所得等がかわりますれば、かわつたに応じて課税の実績がかわつて来ることは当然のことでございまして、そのような意味におきまして、この予算なり見積りにいたずらにとらわれることなく、先般も申し上げましたように、税法に従いまして正しい所得決定するという方針で行くべきものと考えます。従つて見込み課税とか割当課税とか目標といつたようなことは、一切皆さんから御非難の声が出ないようにして行くつもりでいることを申し上げておく次第であります。  それからなお減税の問題に関しましては、いろいろ考え方があろうと思います。おそらく宮幡委員はよくおわかりでございますから、申し上げる必要はないと思いますが、これは私どもやはり税法改正した場合と、しない場合との差額、これが正しい意味の減税額を算定する一番いい方法じやないかと考えておりますことを、さらにつけ加えておきたいと思います。なおそのほかに、国民所得に対して税の負担がどうなるかということを、よく研究いたしておりますが、国民所得の算定はなかなか問題がございますので、これは絶対的なものではございません。しかし一つ目安になりますが、その数字によりますと、昭和二十四年分が国税、地方税を入れまして二七・四%の負担になります。それが去年の改正で、二十五年度におきましては二三%の負担に下つております。改正後におきましては二〇・二%に下る見込みでございます。全体としまして、国民所得は主として生産の増加等によりまして、最近増大いたしておる。それに税額が来年は国税は今年と同額でございますので、税の総額はあまりかわらない。むしろ二十五年は二十四年に比較しまして総額も減つております。地方税の方が若干ふえますが、それにいたしましても、国民所得が実質的に増加して参りますので、それだけ担税力が増加するわけであります。しかも税の総額があまりかわらない。従つて比率が低下いたしますので、これはほんとうの意味におきまして、国民が税金を拂つた残りで自由に処分し得る所得が増加するわけでございますから、これはほんとうの意味の負担の軽減になり減税になる。実はこのように考えておるのでございます。  なお減税の問題につきましては、そういう見方のほかに、やはりあくまでも個別的に、所得税は一体どうなるのか、酒が一体値下りになるのかならないのか。同じ酒を飲むとすれば、税法改正によつて三割値段が下りますと、確かにそれだけ消費者は負担が少くて済んでおる。物品税でも同様でございます。すべて単純に一つのことだけで行かないで、いろいろな見地から考えて、やはり減税は減税だということを御主張願つても、一向さしつかえないのではないかと考えるのでございますが、そういうような点にいろいろ問題があると思いますので、問題の点につきましては、必要に応じましてまた御説明申し上げたいと存じます。一応今宮幡委員の御質問に対しまして、それだけ申し上げておきます。
  58. 宮幡靖

    宮幡委員 きようは大体これで終りますが、ただいまの御答弁は私がお願いしましたよりももつと丁寧で、減税の趣旨がよくわかつたと思います。今日の御答弁をひと印刷にでもいたしまして、全国に配つて減税の趣旨を徹底したいと私は思つております。また前段に申し上げましたように、この御答弁は平田主税局長の答弁というよりも、大蔵大臣代理としての主税局長の答弁、このくらいに私は考えております。  次に、次会に御答弁願つてもけつこうでありますが、この委員会でどうも関税の問題にはほとんど話が触れておりません。現在大蔵省は関税をどういうふうにお考えなつておるか。いろいろ資料もお見せを願いまして、御説明をいただきたいと思います。予算の上で拜見しますと、現行法による収入見込みが五十億円でありますか、改正後が五十億円となつておりまして、関税の改正をする意図がないことがはつきりしておりますが、関税の改正ということは、私が申し上げるまでもなく、大正十五年に関税定率というものがきまりまして、そのときは改正でありましたが、それ以来今日まで、大改正がないのであります。しかも物価の変動というものによつて、従量課税は明らかに無税のような現段階に追い込まれておりまして、従価課税の方向に転換するような関税の政策をとるべきだろうと考えております。ところがこれにはそうなつておりまして、少し意外の感に打たれております、本日はお答えいただかなくてけつこうでありますが、次の委員会におきまして資料等をお示しをいただきまして、あるいは関税審議会等に諮問いたしております内容等も、おさしつかえない程度お示し願いまして、当委員会の納得の行くような御説明を頂戴したいことを申し添えて、本日はこれで終ります。
  59. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 先ほどの宮幡君の御意見に対しては、委員長としても同感であります。理事がきようも出席いたしませんのは、御承知の通り議員提出の準備委員会に出ておるためであります。しかしお説の通り委員会においては、税の問題はやはり重要な問題でありまするので、明日からは準備委員会は本委員会終了後に開催をしてもらうということに、打合せいたしたいと思います。御了承願います。  これをもつて散会いたします。     午後零時四十一分散会