○長村
政府委員 お答えいたします。ガソリンの代用燃料といたしましての
アルコールにつきまして、先般も当
委員会におきまして御答弁申し上げたのでございますが、性質上前回御答弁申し上げましたように、実は
アルコールはガソリンに比べて燃料としてはいささか劣る点がある。たとえば着火が劣る、あるいは燃料消費量がガソリンに比べて大きいというような欠点があるわけであります。すなわち燃料効率が遺憾ながらガソリンに比べて劣
つておるわけでございますが、しかしまた他面ガソリンに比べまして、いわゆるアンチ、ノツク性が多いというような利点もあるわけでございます。かれこれ
考え合せまして、この
アルコールに適当な材料を加える。たとえば、エーテルを混用することによ
つて気化潜熱の上昇をはかる、あるいはこれを用いまする自動車自身に余熱機関のようなものをつけまして、その効率の足らざるところを補うというような
方法をとりますならば、これを燃料として用いましても、かなりな効果もあると技術的にも
考えられるわけであります。私
たちといたしましては、かような点から今後ガソリンがはたしていかほど潤沢に入手できますか、十分にこれが入手できますれば、もとよりこれは問題ないのでありますが、必ずしも現在においても十分でない
状態を
考えますならば、代用燃料としての
アルコールをさらに積極的に使
つていただく、これに
努力をいたしたいと存じておるわけであります。実は昨年来この
意味から代用燃料として使
つていただきますために、工業用の
アルコールを売り出しておるわけであります。現実にわれわれの方でもこのガソリンを使いあるいは
アルコールを使いまして、自動車を走らせまして試験をいたしました結果でも、ただいま申しましたように、今のところ性質的に若干の劣りはありますが、さほどの劣
つた点もないという結果を見ておるわけであります。ただ遺憾ながら価格の点で、
アルコールはガソリンに比べてなお割高になるという欠点があるわけであります。たとえて申しまするならば、ガソリンを使いますれば、道の平垣あるいはでこぼこによ
つて消費量も違います。ガソリンの価格は大体一キロにつきまして、税込みで三万三千七百八十円
程度になるわけであります。これに比べまして
アルコールは一キロ十万五千円余りという、そこにかなりの開きがあるわけであります。この値段が相当開いておるという点が、規実の問題といたしまして、ガソリンに比べて代用燃料としての
アルコールを使う点に、一つの大きな支障になるのではないか、かように存ずるわけであります。でございまするので、私
どもとしては、一方におきまして前今申し上げましたように、でき得る限りいわゆる
合理化を行いまして、
アルコールのコストを下げ、
従つてその最終消費者に渡りまする額も下げるということによ
つて、値段の点もできるだけ使いやすい値段に持
つて参るということも
考えておるわけであります。同時にまた燃料といたしまして、変性をいたします際にも、変性剤につきまして、
アルコールが代用燃料として作用いたします場合の性能を増すような
意味において、さらに変性剤その他を積極的に
研究することによ
つて、その効率を高めるということも
考えられると思うのであります。あるいはまた将来ガソリンが非常にきゆうくつになるという事態でもございまするならば——今日ガソリンの代用燃料として使
つておりまする木炭でありますとか、まきでありますとか、天然ガス、電気、いろいろございますけれ
ども、これはいずれも一利一害があり、燃料としては
アルコールが性質上非常にいいものと私
どもは
考えておりまするので、将来ガソリンの需要に対しまする供給というものが、非常にきゆうくつになりました場合には、これを積極的に燃料として使用するような
方法も
考え、さらにまた必要に応じてはいろいろな
制度も
考えたい、かように存じておるわけであります。価格の点につきましても、ただいま申し上げたように、全般的の問題といたしまして、
合理化によ
つて価格を極力下げるという
努力もしまするが、さらにまたいろいろと用途面との関連におきまする
研究ということも加えて
考えてみたい、かようにも思
つておるわけであります。結局ガソリンの代用といたしましての燃料
アルコールの将来の需要増あるいは消費の奬励と申しますか、その方面に技術的にも、また
制度的にもできるだけの考慮を加えて行きたい、かように存じておるわけであります。