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1951-08-13 第10回国会 衆議院 水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十三日(月曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川村善八郎君    久野 忠治君       田口長治郎君    永田  節君       原健 三郎君    平井 義一君       福田 喜東君    岡田 勢一君       水野彦治郎君  委員外出席者         大蔵主計官   佐竹  浩君         水産庁長官   藤田  巖君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林技官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曽根  徹君         農林技官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  眞治君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 本日の会議に付した事件  濫獲漁業阻止対策費等に関する件     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより水産委員会を開きます。  それに先立ちまして、このたび委員長が渡米されたので、委員長代理を申しつけられたので、委員各位の御協力を願つておきます。  水産庁からモデル組合の問題について説明を願います
  3. 曽根徹

    曽根説明員 北海道紋別水産モデル地区設定についての陳情並びに事業計画書が出ておりますので、これに対します水産庁意見を申し上げます。本計画は、紋別漁業協同組合を中核として、紋別町所在の協同組合を統合強化し、その経営を合理化し、あわせて紋別町における水産業の振興をはからんとするものでありまして、対象となる組合はすべて北海道庁指導監督下にありますので、本計画の樹立にあたつては、原則としては北海道庁と十分連絡し、その指導を受けることはきわめて重要であると考えるのであります。なお北海道漁業協同組合育成対策協議会及び農林中央金庫支所等と連絡協調することをぜひお願いいたしたいと思うのであります。本計画について協同組合経営上の立場より見まして、考慮を要すべき点をあげますれば、次の通りでございます。  一、組合機構。底びき、沿岸及び事業の三部は、組合内部機構として改置し、他に総務部を置き、これと同列にすること。  部には部長を置き、常務理事制とする。事業部には特に事業運営委員会諮問機関として設け、その委員総会において選挙することとする。組合全般にわたる企画、人事及び資金運用等総務部において立案計画し、組合長か総括する。  二、組合事業運営組合事業原則として組合の直接経営とし、事業所あるいは工場独立採算の建前をとり、部門別経理を行うこととする。その事業所あるいは工場責任者は、組合の職員に責任を持たせて組合が直接経営することとする。  三、施設の新増設または收得。1、荷揚げ場、俗に申します魚市場新設は、三組合魚市場が現在分立し、しかもそれぞれの施設食品衛生法上改善を必要としている現況にかんがみまして、荷揚げ場新設は一応その必要性を認められるわけであります。2、製氷冷蔵設備の新増設は、漁獲物総合処理加工の完璧を期するためには必要と考えられます。製油、ミール工場倉庫等の新増設は、この計画についてはにわかにその必要性を判断することは困難でございます。組合資金計画から当然これは規制されることと考えられます。3、組合施設買收するならば、その施設組合経営すべきであります。4、組合資金。全体の資金計画がないので、きわめて判断しがたいのでありますが、組合自己資金増成は最重要であることはもちろんでございます。かりに市場製氷設備新設及び四会社資産收得を行うとして、一応それだけについてのみ算定いたしますと、設備資金だけで一億七千九百十万円、この内訳は、製氷設備新設が四千二百三十万、市場新設が二千百八十万、四会社買收が一億一千五百万、それの自己負担分は、二〇%と考えますと、三千五百八十二万、従いまして借入分が一億四千三百二十八万必要になります。なおこれに対する運転資金といたしまして四千八百万円は必要と考えられます。その内訳は、製氷につきましては百八十万円の三〇%、市場につきましては二千万円の七〇%、買收につましては一億一千五百万円の三〇%と概算いたしますと、運転資金として四千八百万円程度のものが必要と考えられるわけであります。運転資金は一応全部借入金でまかなうにいたしましても、さしあたり自己資金三千五百八十二万は増資しなければならないわけであります。そのうち漁業権証劵等による増資も見込まれると考えましても、さらに将来の問題として財務基準令により固定設備の全額は自己資金でまかなわなければなりません。結局、自己資金の調達なり借入金等の点でこれらの計画に問題が残ると考えられます。五、要するに資金計画については、新組合機構事業運営設備の取得または増設及び資金面、すなわち自己元金充実等、種々の面において相当重要な問題を含んでおりますので、現地関係方面と十分連絡するとともに、現存各組合総会において十分討議し、組合員の納得の上で決定すべきであろうと考えるのであります。なかんずく自己資金充実については、ただいま御説明いたしました法令上または金融上非常に重要な事項でありますので、十分お考えを願いたいと思うのであります。以上この計画につきまして意見を申し上げます。
  4. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これに対して質疑体はりませんか。
  5. 二階堂進

    二階堂委員 水産モデル地区設定の問題につきましては、ただいま係官の方からいろいろ説明がありましたが、今後日本水産制度改革伴つてこういうモデル地区を設定されるということは、日本水産の将来を考えてみましても、きわめて意義あることであるし、また積極的にこういう地区設定をしていただきたいというふうに考えまして、私はこのモデル地区設定につきまして賛意を表するものであります。     —————————————
  6. 松田鐵藏

    松田委員長代理 二階堂君から発言を求められておりますから、これを許します。二階堂君。
  7. 二階堂進

    二階堂委員 今般講和会議締結のために、近く全権団が米国に派遣されることになつたことは、御承知通りであります。本講和会議には、そのうちの一つといたしまして、水産関係いたします国際漁業協定等の問題もあります。この問題は私どもにとりましてはきわめて重要なる問題の一つであります。今後日本国際水産の一国とし、て、正しく秩序ある水産を営んで行く上において、きわめて重要なる問題の一つであることは論をまたないのであります。そこで先般来委員会におきましても、この講和会議全権団のうちに、水産専門的代表者をぜひ参加せしめていただきたいという要望政府当局にもいたしておつたのでありますが、委員会委員の中からも特にまたそういう要望が非常に強く発表せられておるのであります、幸いにいたしまして委員会の中からも、あるいは業界の代表者としても、アメリカに渡米された方がありますので、そういうような方々の中からも、ぜひこの講和会議全権団に参加せしめるようにおとりはからいをお願いしたい、かように私は要望をいたしたのであります。このことにつきまして、さらに委員長におかれましては、政府当局に口頭をもつて善処されんことをば切に要望いたす次第であります。
  8. 松田鐵藏

    松田委員長代理 ただいまの二階堂委員の御意見に対して皆さんの御意見はいかがですか。
  9. 田口長治郎

    田口委員 ただいま二階堂委員から、今回の講和條締結については、水産の諸問題について非常に広汎なる重要な問題がございますから、特別のオブザーヴアー立場において、内地から人を派遣することが不可能な場合におきましては、現在渡米しておりますところの議員をオブザーヴアーとして出席させられるような手続をすみやかにとつていただくことを、私、二階堂君の意見とまつたく同意見でありますから、おとりはからい願いたいと思います。
  10. 松田鐵藏

    松田委員長代理 二階堂委員及び田口委員の御意見は、まことにごもつともだと思いますので、御趣旨に沿うように善処いたします。     —————————————
  11. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に濫獲漁業阻止対策費等について調査を進めます。前回の委員会におきまして、水産庁当局より概要を承りましたが、本日は大蔵省当局よりも出席を求めて、大蔵省当局考え方を伺い、質疑行いたいと思います。この前は水産庁からの説明を願つておりますので、きようは大蔵省当局からの考え方を御説明願えればけつこうだと思います。佐竹主計官
  12. 佐竹浩

    佐竹説明員 最近の漁業資源濫獲の問題につきましては、かねてから水産庁よりわれわれも説明を承つておるのでありまして、なかんずく瀬戸内海地区濫獲は、最近特にその弊害が著しく見られるということは、十分に認識をいたしておるのであります。そこで水産五ポイント計画の実施でありますとか、将来の漁業協定参加のための態勢を整えるという意味合いから申しましても、さらにはまた、現在着手しております漁業制度改革効果を十分に成果あらしめるという意味合いから申しましても、この濫獲防止に対して何らかの手を打たなければならないということは、大蔵省としても十分考えておるところでございます。そこで当面の問題といたしましては、ただいま二十六年度の補正予算要求といたしまして、水産庁からお話を承つておりますのは、小型底びき網漁業減船整理に関する経費いわし船びき網漁業整備に関する経費、またさんま漁業整備旋網漁業整備というような一連の予算措置を御要求になつておるわけであります。これに対しましては、目下補正予算審議を省内において極力取進めております段階でございまして、おそらく今月中くらいには何らかの結論を得ることと存じますが、ただいまの段階では、何分にも予算編成中でございますので、これに対してはつきりといたしました予算措置について申し上げられないことは、まことに残念と存じます。しかしながら本問題の国民経済全般から見ました非常な重要性にかんがみまして、限られた予算範囲内ではございますが、何らかの措置を講じて、極力資源維持減船整理趣旨を実現し得るようにしなければならない、こう考えておる次第であります。
  13. 永田節

    永田委員 ただいま大蔵省の御説明を承つたのでありますが、やはり毎年の予算当時の質疑応答と何ら変化がない、お座なりのものだということに驚いた。今月の月末において補正予算の額が決定するとおつしやるならば、今日はすでに今月半ばであります。あと十数日、約一旬を経るならば、これは決定する、少くとも相当の額のものが決定する。その今日の段階において、その内容説明できないということについて、われわれは若干承服できない点があるのあります。そもそもこの日本水産というものは、昔から侵略漁業として世界に醜聞はなはだ高いものがある。まことに好ましからざる事実でありますが、かような事実を矯正して行くという面におきましても、政府は当然の処置といたしまして、強力なる補助の手を延べなければならない。そうして育成補導しなければならない。あと約二十日間くらいで講和條約も結ばれんとするのでありますが、この講和が調印されるということになりますと、関係諸外国との漁業協定というものが、わが国にとつては大きく取上げられて参るのであります。今日のように日本漁業が無秩序であり、濫獲のために資源枯渇しておれば、自然に他の漁区にも進出をし、心ならずも戰前のような侵略漁業の脅威を各国に與えるような結果になり、ひいてはさようなことが日本のために非常に講和目的に反する、不利に導くというふうなことにもなつて参ります。かような意味から行きまして、本年の二月に総司令部から勧告されておりますところの、五ポイントの勧告ですが、この計画に共著まして、立案されましたところの小型機船底びき網漁業整備に関する予算の点で特に大蔵省に御意向を承りたいと思うものでありますが、御存じのように、この五ポイントの計画が示されたときに、吉田内閣閣議においては、これは具体策を早急に立てる、その実行に協力するということを決定を見ておるような次第でございます。また本委員会において岡崎官房長官も、この計画は、すこぶる妥当であり、日本水産業にとつても必要なことであり、予算措置金融等の伴うことであるから、水産庁当局とよく打合せをいたしまして推進するということを説明をされておるような次第でございます。この小型機船底びきの整理内容は、すでにしばしば申し上げておりまするので、今日あらためて御説明申し上げる必要はないと思いますが、問題は、この整理対象になつておるところの機船をつきいそにするということが、今日まで相当議論がある。農林省の省議においてはさようなことはないだろうが、少くとも大蔵省河野主計局長はさような御意見を持つておられるように、私は承知いたしておるのであります。つきいその利害、これは結果的に見ていけないというふうな議論は一応拔きにいたしまして、専門的に研究いたしますと、つきいそが必ずしも悪いものではない。場所によつてはいろいろじやまになるという場所もありましようが、かえつてこれによつて底びきを防止することに大いに効果があると、私はかように考えるのであります。特にまた漁業権消滅も九月一日から行われるのでありますが、この際整理の断行に着手しなかつたならば、これ以上適当なる機会に恵まれるということはおそらくあるまい。今日こそ漁業改革の絶好の機会である、かように私は考えるのであります。戰後二倍にも増加いしたましたところの漁船及び漁民の大半は、今やほとんど生活苦に悩みまして、配給の米もよとれないということは申すまでもない。人身売買をあえて白日のもとに行つて行かなければ露命をつなげない、かような実情にあるのが沿岸漁民の姿であります。かような実情でありまするが、大蔵当局は、特にこの機船底びきの整理に伴う予算というものはいかようにお考えになつておられるか、重ねて御質問申し上げる次であります。
  14. 佐竹浩

    佐竹説明員 小型機船底びき網漁業整理の問題につきましては、その事柄重要性とまた緊急性、なかんずく漁業改革の進行に伴う漁業権消滅の時期との関連から申しまして、まさにこの補正機会をはずしてはという緊急性につきましては、われわれも十分認識しておるつもりであります。ただ何分にも事柄はきわめて複雑でございまして、また整理という問題は、あとに残る方々はともかくとして、整理を受ける方々の問題を考えてみますときに、これはよほど他の産業に転換いたしますとか、ないしは同じ漁業の中におきましても十分転換の道をつけるとかいうことをいたしませんと、結局は瀬戸内海濫獲をすると申しましても、何もすき好んで濫獲をいたしおるわけではないと思うのでありまして、それの基礎條件というものから見まして、やむにやまれず濫獲ということに相なつておるものと思うのであります。従いまして、よほどその基礎條件を改善整備いたしませんことには、たといこの際若干の財政補助が出ましても、結局はその所期目的を達し得ないのではなかろうか。われわれも実はその問題を真剣に考えておるのでありますが、そういつた経済的な、あるいは社会的な基礎條件をいかに整備するか、またその整備に対して、国としては一体どういう形で財政支出をして行つたらよろしいかという問題を、実は日夜考えておるわけであります。そこでねらいといたしましては、減船整理をする必要は確かにある。その何らかの措置によりまして、整理をいたしましたあと事態が再び今日のような濫獲事態を招かないような保証を十分にそこで確立いたしておきたい。その確立した保証のもとに財政支出を行う。こういうことが実は大蔵省といたしましての立場でございまして、先ほど河野主計局長は、つきいそについては反対だというようなお話がございましたが、主計局長は必ずしもそういうことを申し上げておるのではございませんで、つきいそがいいか、運搬船への転換がいいかという問題よりも、やはり事の根本は、ただいま申し上げましたような基礎條件整備に対する保証をどう考えるかというふうな点にあると存じます。できるだけその点を突き詰めまして、その辺の備えを十分に確立いたすということのもとに、われわれといたしましても、予算何分にも限られた範囲でございますけれども、その範囲内でもつて所期目的を達し得るような措置を考慮いたして参りたい、こう存じております。
  15. 永田節

    永田委員 なるほど承つてみますとごもつともな御意見でございます。いかに国家予算を出しまして漁民育成に当るといえども、その利用者である漁民がその意思に反するような、いわゆる保証ができないというふうなことでは、貴重な予算は一銭も出すわけには行きますまい。しかしこの問題は、別に法的にかようかように整理をするから、かように従えと申しましたところで、その実態調査というものは非常に困難である。要するに問題は、いかに国家責任を持つて漁民に対して救済の手を差延べても、その救済を受け、保護を受けるところの漁民がその気になりまして、進んで協力するということがなければ、当然その効果收めることは困難であろうと私は思うのであります。従つてこの際保証裏づけと申しますものは、もちろん嚴重な取締りというふうなこともありましようが、要するに問題は漁民心構え一つである。これがすなわち予算獲得に対するところの保証裏づけであるというふうに私は考えて行きたいと思うのであります。事務的には小型機船整理内容については、最初は三万五千そう中一万五千そう減船を予定いたしまして、減船をつきいそにして底びき船の操業防止と魚族の保護計画し、毎年十五億円の予算を計上していたものでありまするが、つきいそにすること等に相当議論がありまして、再検討した結果が、このたびは水産庁からよく説明申し上げてあります通り最初の年は千二百九十隻にまず着手いたしまして、その三百隻は運搬船に改修する、三百三十隻は他の漁業転換せしめる、八十隻は救難船等に使用いたしまして、五百八十隻をつきいそ用にする、このような案がありました。東京湾とか、伊勢湾とか、瀬戸内海とか、あるいは噴火湾のような入会関係の複雑であり、資源は極度に枯渇を来し、そのために漁業経営困難、破綻に陷つておるというふうな面から行きまして、ある程度政府の方から強力な救済の手を差延ばして行つたならば、おのおのこの複雑な各湾の入会その他の資源保護も、おのずと業者の自粛によつて完全に所期目的を達し、資源枯渇を防ぐことができる、かように私は信じてやみません。まず行いを正したならば褒美をやる、褒美を出したならば行いを正そう、かような議論になつて来るのが結論じやなかろうかと思うのでありまするが、戰争中いたずらに食糧の増産に励まされまして、ほとんど法規を無視いたしまして取締りも勢い不十分となつた。その影響は今日のような遂に整理を行わなければならないという段階に押し迫つたのであります。従いましてこの責任はどこにあるかというふうな問題である。当面の問題として漁民をいかにして救うかという問題にあるのであります。私などはかような面に一つ早急に予算を注入して、しかるべく緩急よろしきを得て救済するということこそ、予算の使い道といたしまして最も賢明な処置であろうと思うのであります。もう一度私の質問に対しまして大蔵省側の御説明、お考えを承りたい。
  16. 佐竹浩

    佐竹説明員 ただいまのお話まことにごもつともと存じます。すなわち減船整理効果を確保するという力は、それは漁民各位の自覚にあるというお話でありまして、まことにごもつともと思います。私どもとしましてもそういう何らかの形の効果を確保できるということがはつきりいたしますことが、今日の最大の問題でございますので、仰せのような形で十分効果が確保できますならば、幸いこれに過ぐるものはないと存じますので、再三申し上げておりますように、何分にも補正予算審議中でございますのではつきりしたことは申し上げかねますが、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたい、こう存じております。
  17. 永田節

    永田委員 ただいまの大蔵省側の御答弁によりまして、若干まだ補正予算審議中であるから、明確なる御答弁はできないということでございますが、話はかわりますが本年の各省申請補正予算の額はどのくらいになつておりますか。
  18. 佐竹浩

    佐竹説明員 概算で大体千八百億程度でございます。
  19. 永田節

    永田委員 それに対しまして大蔵省はどのようなところでおちつくという見通しでございますか。先般新聞によりますと、大蔵大臣は約五百億くらいで打切りたいということを発表せられておりましたが、その間の事情を御説明願いたいのですが。
  20. 佐竹浩

    佐竹説明員 ただいまの御質問の点につきましては、実は財政全般の問題に関連いたしますので、これは大蔵大臣あたりからお答え申し上げた方が適当かと存じます。
  21. 永田節

    永田委員 逐年予算編成にあたりまして、水産庁予算というものは、大蔵省の見る目が少し冷たい。もつとも水を相手だから冷たいかもしれませんが、特に水産庁予算にのみ冷淡であるというような行き方がかなりある。われわれもこれは認めておる。そこで勢い水産省を設置しなければならないという漁民要望も起つて来るのでありますが、これから先は日本の大なる政策といたしまして、まず陸においては発電事業、海の仕事としては、海運もそうでありますが、最も緊急を要する問題は水産の問題であろうと思うのであります。従いまして今後の予算編成にあたりましては、大蔵当局はさらに御研究を願いまして、今日日本水産がどの程度まで疲弊し、恐慌に陷つておるかということを御研究願い、少くとも予算編成にあたりましては、十二分の御理解と御協力を求める次第であります。これは答弁はいりません。
  22. 田口長治郎

    田口委員 佐竹主計官が御出席になつておりますから、私からも一言御所見を承りたいと思うのであります。先ほどから永田委員との間に質疑応答がありました状態を聞いておりますと、まだ佐竹主計官は、ほんとうにこれはやらなければならぬ、かような信念のところまで達しておらないような印象を受けるのでございますが、これは主計官の上に局長がおり、あるいは次官がおり、大臣がおり、閣議がある、こういうような意味におきまして、これは佐竹主計官立場において、はつきり言われないような関係もあると思いますけれども、しかし一面から申しますと、今回の補正予算総額にくらべまして、水産庁から出しておる予算というものは非常に小さいものである。この程度の金額のものは、ほんとう農林漁業担当者でありますところの佐竹主計官が、これはどうしてもやらなければならぬ、こういうようなお気持で突き当られる場合におきましては、一つ信念として必ず私は解決する問題だと考えておるのでございますが、惜しいかな先ほどからの質疑応答を聞いておりますと、まだそこまで佐竹主計官信念として考えられるところまで行つておらないように私了承する次第でございます。日本漁業佐竹主計官も御承知通り、できるだけとれとれという、ほんとう漁獲奨励という政策だけで今日まで参つたのでございますが、数箇年間の水産業全体の状況を見て参りますと、何だかその政策だけで進むことは、ほんとう水産業を行き詰まらしてしまつており、ここに一大転換をしなければならない時期に遭遇をしておる。言いかえますと、われわれは今日まで、一匹でもよけいに魚をとるということで進んで来たのでございますけれども、これから先はほんとう水産資源を愛護し、長く継続してとれるようなとり方をしなければならぬ、こういうような時期に到達しておると考えるのでございます。先方からの御好意と勧告も、結局この転換期をわれわれに指示された次第でございまして、この水産業ほんとう国家的産業として成り立たせるためには、われわれはどうしてもここで、非常に苦しいことでありますけれども一大転換をして、魚のとり方をかえて行かなければならぬ。その第一歩といたしまして、ほんとう資源枯渇さしており、水産業の一大支障になつておるところの無秩序な小型底びきの整理というものが取上げられておる次第でございます。結局あらゆる日本の産業が、大体戰争中にむちやをやつた。このむちやが訂正をされておるにかかわらず、水産の問題だけが今日までまだそのままになつておる。戰争のときは、資源はかまわない、できるだけ食糧を増産しろということで、沿岸底びきをむちやくちやにやらせた。またやつた。こういうようなことが今日水産界の一大混乱を来しておる。こういうような漁業でございますから、これはどうしても、われわれは万難を排して実行しなければならない問題でございます。この点につきまして水産庁は、おそらく水産庁自体の考えもありましようけれども、アメリカの勧告あるいは議会の慫慂によりまして、この小型底びきの整理予算というものを提出したと考えるのでございます。この整理ができなければ、水産業いわゆる漁業はおそらく国家的の産業となり得ない、こういう重要な問題と考えるのでございます。先ほどから、この整理は必要だ、しかし整理後の保証をどうしてもやらなければならない、この見通しがつかなければなかなか容易でない、こういうようなお話声がございましたが、私らはこの問題について各府県を数箇所まわつて、実際に研究をして見ておるのでございますが、もし国家である程度裏づけをしてやるというようなことになりますれば、各地方である程度の数というものは喜んで転換をする、こういうような意向が各所で見られるのでございます。要するにこの問題ができるかできぬかということは、国家がある程度予算を支出するかどうかという問題にかかつておるように考えます。こういうような水産全体の一大事業でございますから、整理をした後におきまして、それが元に返らないようにということにつきましては、おそらく予算を提出します以上、水産庁相当な確信があり、自信を持つて提出をしておると考えるのでございます。私らが旅行をして、国家予算がありさえすればある程度整理がつくのだということは、実際現場で各業者にぶつかりました結果、はつきりと私らは信念を持つて進言できると考えるのでございます。この水産業国家的産業に育成するために一大障害となつておるところの底びき、しかもこの整理に対しては、さほどたくさんの予算要求していない関係もありまして、大蔵当局といたしましては一つ信念を持つて、これはどうしても国家産業としてやらなければならぬというようなお気持で、佐竹主計官もぜひお考えくださいますようにお願いいたしたいのであります。主計官一人でどうということもできませんけれども、少くとも予算に関するほんとうの推進力は主計官にあるだろう。その主計官一つ信念を持つて進みます以上、この程度予算というものは何らか目鼻がつくものだ、こういうような考えのもとに先ほどからのお話を聞いておりまして、まだそこまでのお考えに達していないような感じが、はなはだ失礼でございますけれどもいたしましたから、一言考えを申し上げまして、重ねてそういう信念で進んでいただきたいということをお願いする次第でございます。
  23. 松田鐵藏

    松田委員長代理 佐竹主計官お話から行きまして、まだ不徹底のような気分が十分に見られるのでありまして、水産庁として、どの程度に熱意を持つて、この問題を大蔵当局に折衝しておられまするか、一応承つておきたいと思います。
  24. 藤田巖

    ○藤田説明員 小型底びきの問題につきまして、整理する必要のありますことは、これはもはや論議のないところであるわけであります。私どもといたしましては、何といたしましてもこの実現を期して行きたいと考えております。ことに今が絶好の機会でございますので、もしもこの機会を逸します場合は、将来再び日本沿岸漁業というものが立つあたわざるところのどん底まで落ちてしまい、もはや救済をいたしましても立ち上る力がないということに相なつて、問題はさらに深刻化するだろうと考えておりますので、ぜひこの機会に実現いたしたいと考えておるのであります。ただこのやり方につきましては、先ほど佐竹主計官並びに議員各位からお話の出ておりますように、やはりあくまでも愼重な態度でやり、しかも十分親切な指導をもつて転換して、将来再びこのような状態に陷らないよう周到な用意をもつて進めて行かなければならぬと考えておるわけでありまして、現在さような点について、いろいろ大蔵省と詳細の点について御意見を交換しておるわけでありまして、私どもといたしましては、あくまでもこの問題は実現したい、かようにかたく決心をいたしております。
  25. 松田鐵藏

    松田委員長代理 佐竹主計官に申し入れまするが、ただいまの委員会における委員各位の御意見及び水産庁長官の熱心なる御意思、これらを十分参酌して、この問題に対する早期解決をしていただくように御努力あらんことを要望いたします。  この際暫時休憩いたします。     午前十一時四十二分休憩      ————◇—————     午後零時十四分開議
  26. 松田鐵藏

    松田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  この問題について質問がありましたならば……。永田君。
  27. 永田節

    永田委員 ただいま三崎の神奈川県かつおまぐろ漁業協同組合長の寺本氏から御請願の趣旨をるる承り、また各委員からもそれぞれ御質問がありまして、およそその内容は判明して来たのでありますが、まだ私は水産当局にお伺いしたいのでありますが、かように小部落に数種の協同組合が設立されておる。これは便利な点もありますが、また不便な点もあります。そこで不便な点は、連合協同組合とかいうようなものが設立されておるというふうに承つておるのでありますが、まずさような組合整理統合するように、協同組合長においても全国的にあらためて勘案されてはどうかということを勧告する次第であります。同時にこの共同施設による製氷冷蔵の事業計画されておるということは、私といたしましては賛成いたします。漁業の民主化一本化ということは、まさにこの点を強力に推進することによりまして、漁業の発展というものが期待される、かように考えておるのでありますが、承りますと、個人の利益会社と共同施設協同組合の競願事項というように考えられるのでありますが、これに対して水産庁はどのような態度でおられるのか。特にまた漁港に関しましては、幸い今日林課長もお見えになつておりますので、林課長の御意見協同組合課長の御意見並びに長官のこの陳情に対する御意見を承りたいと思います。
  28. 藤田巖

    ○藤田説明員 この三崎の製氷冷凍工場については、ただいまいろいろ議論が出ておりますように、神奈川県の県漁連の方の申請と日冷との申請が競願になつて来ているわけであります。それで私のところには、双方からいろいろのお話を実は聞かされるのであります。問題の点は、日冷側の言い分は、ちようど現在日冷の製氷工場がある。その鼻先が埋立てになつている。従つてそこを他の者がもしも経営するということになると、日冷の現在の製氷工場というものが死命を制せられるというような意味で自分のところでやりたい、しかもそれについては従来埋立てをいたします場合に、日冷側からもそのような趣旨の書類が出ておる、こういう言い分であります。それから一方現在漁連の方では、先ほどお話のございましたように、やはり自分らの手で製氷工場を持つてそうして漁業者に氷の供給を確保して行きたい。しかもそれについては三崎の専用漁業権、これの関係もあつて、やはり埋立てするにあたつてはかような書類が出ておるというようないきさつであります。私は抽象的に議論をいたしますならば、やはり今後の製氷冷凍事業というものは、できる限り漁連の手でやらしたい、抽象的な意見には私は全然同感であります。ただ実際問題としてそうなかなか簡單に割切れない問題がたくさんあるようであります。従つてどもこの問題については、はたして日冷が、現在鼻先にほかのものがやることになつた場合に、現在の日冷の製氷冷凍工場というものが死命を制せられて、全然やれなくなるというふうな状態にはたしてなるものかどうかというような点を研究する必要があると思う。  それからもう一つは、漁連が計画をいたしておりますものについて、はたして漁業協同組合が全部のもののほんとうに心からそれに対して賛成をして、あくまでも今後日冷と競争する場合に、漁連のこの製氷冷凍の事業というものを盛り立つて行くのだという熱意と決心がどの程度あるかという点について、私どもはなお調査したい。私の聞いておるところでは、その連合会の構成分子である協同組合——七つ八つあるわけですが、その中には必ずしもそれに納得しておらないというような側もあるように聞いておる。その点を確かめる必要があるのではないか。それからもう一つは、漁連の計画というものが非常に厖大な資金を要するのでありますが、それがはたして確実にその目途がついておるかどうか。それからまたその事業計画から考えまして、先ほどお話の出ておりますような日冷と将来競争します場合に、はたして日冷と競争したような値段で氷が出せるか。そういうふうな事業計画内容を研究して行くという点で、私はまだ研究問題が残つておるように思います。そういうような点を十分に研究をいたし、そして結局はどちらが漁民の利益になるかという根本的な建前でこれを研究して行く、場合によつて、もちろん協同組合がやることが非常にけつこうでありますが、一歩誤りますと、負担は漁民にかかつて来る。先になつて漁民が負担を背負うことになる。従つてそういう点も十分考究して、結局漁業者の利益になるにはどうしたらいいかという面を忘れずにこの問題を解決して行く。それにはなお調査をする必要があると考えるので、現在調査しております。  それから先ほどお話の、協同組合が非常に一つの地区でたくさんあるということですが、これは私どももそのことは痛感しておりますので、方針としましては、今後あらゆる機会をとらえて、協同組合をできるだけ経済的に強力なものにするような單位に引上げて行くということを、ぜひともやつて行きたいと思つております。
  29. 永田節

    永田委員 この冷蔵施設は表面から観察してみますと、協同組合の団結を欠く場合には営利会社の競争に負けるという憂うべき事態が起つて参ると思うのであります。協同組合の団結が固くても、生産コストが技術的に常利会社より劣るということになれば、勢い何にもならない。これはよほど愼重に調査いたしまして、あらためて協議することと思いますが、適当な時期に現地に調査に参るというふうにおとりはからいを願いたい。
  30. 松田鐵藏

    松田委員長代理 私から漁港課長に聞きますが、この港は農林省の所管の漁港ですか、運輸省の所管の港ですか。
  31. 林眞治

    ○林説明員 ただいまの所管の問題でございますが、三崎漁港はいわゆる第三種漁港といたしまして、すでに指定になる全手続を終つております。ついでに申し上げておきたいと思いますが、ただいまの製氷冷凍の出願にかかります附近一帶の施設は、昨年水産常任委員にいろいろ御盡力願いまして、いわゆる見返り資金の公共事業といたしまして施行いたしたものであります。従つて、表向きの所有権は国にあるわけであります。管理の面につきましては、これは直接国が管理いたしますか、あるいは県に委託いたしますか、この点は大蔵省の管財局とただいも交渉中で、まだ結論に達しておりません。
  32. 松田鐵藏

    松田委員長代理 それはいつごろ結論に達しますか。
  33. 林眞治

    ○林説明員 近いうちには決定をしたいと思います。
  34. 松田鐵藏

    松田委員長代理 それから組合課長に私から聞きますが、あなたの組合課としてはどういう考え方を持つておりますか。こういうものをやつてもいいか惡いか、あなたの指導の面から……。
  35. 曽根徹

    曽根説明員 ただいま長官から御答弁がありましたが、私のお答え申す範囲を申しますと、本日この問題につきまして、水産技官と協同組合課の技官と両方で、現地に長官の命を受けて調査に参つております。なおただいま長官からお話がございましたように、この施設に対する申請者としまして、漁連が申請をして、漁連が設備をするというふうにわれわれは聞いておつたのでありますが、ただいま御陳情のおもむきを拜見いたしますと、かつお、まぐろ漁業協同組合代表者になつて、四組合の申請というふうにここに出ております。こういう点につきまして、現地でどの程度に割切つておられるか承りたいと思うのであります。そういう点につきましては、追つて調査に参りました者がはつきりすると考えておりますが、私としてこれに対してあえて意見を申し上げますならば、このかつお、まぐろ漁業協同組合沿岸の四つの協同組合とのそういう組織体でこれを共同経営するというふうな形でありますならば、この際これらの協同組合がうつて一丸となつた強固な組織の上に、その最も必要とする設備を、経済的なはつきりとしたコストの上に建設すべきだと考えます。申すまでもなく、協同組合は各組合員経営のコストを下げるのが第一の原理でありまして、そのコストを下げられないようなものができたのでは、事志と違うわけでありますので、もしそういうふうなことならば、この際強固な組織に統合すべきではないかと考えます。またこれが以前承つておりましたような連合会である場合につきましては、ただいま長官からお話がございましたように、この連合会の施設に対して、これらの協同組合がいかに強固な協力をするかという点にかかつて来、そこにこの設備の成功があると思うのであります。こういう点につきましては、なお十分な調査をいたす必要があると思います。
  36. 二階堂進

    二階堂委員 本港の計画につきましては、先ほど組合長の方からもいろいろな御意見もありましたし、陳情も承つたのでありますが、いろいろな点について私どももつと深く調査した上で、責任者であるところの組合責任体制も具体的なものをはつきりと調査した上でひとつ結論を出した方がいいじやないか、かように考えますので、永田委員から御意見もありましたように、現地の調査をするようにおとりはからいを願いたいと思います。
  37. 松田鐵藏

    松田委員長代理 永田委員二階堂委員からの御意見もありますので、近く機会を見まして、現地を調査に行きたいと思いますが、水産庁もそのときは、組合課長なりどなたなり、係官を同道させていただきたいと思います。  本日はこの程度質疑を打切つて散会いたします。     午後零時二十九分散会