○
松田委員 川村
委員、田口
委員と同道して、七月二十日に東
北海道、それから膽振地方の
調査に参りまして、昨日
帰つて参
つたのであります。
漁業制度改革に伴
つてどの
程度に
漁業が進んでおるか、
漁業水産施設がどの
程度の容貌を持
つておるか、協両組合の育成強化の点に対してどういうようにな
つているかということの
調査に対して主力を注いだのであります。
第一に、
漁業制度改革実施に対して、今や
漁業権証券の交付の時期も定ま
つて、定置
漁業権の認可申請も出ておるのでありますが、
北海道におけるおもなる制度
改革に対しては、ほとんど認識があやま
つておるのでありまして、法の精神がいまだ認識されていないのであります。またボス的存在が多分に含まれていることを強く感じたのであります。
北海道に限
つては、もう一度これをよく徹底させてやらなければならない、かように考えられる点が多々あ
つたのであります。
第二は、
漁業権証券に対する
考え方は非常に真剣で、この証券を有意義に
使用するという
意見が各地ともほうはいとして進んでおるのでありまして、非常にうるわしいことと考えられるのであります。
第三は、漁港に対しての早期完成と新規の着手ということに対しては、御
承知の
通り北海道はまことに漁港の数は不足でありまして、一町村といえ
ども十里から十五、六里の沿岸を持
つておる町村がたくさんあるのでありますが、これらに対しては急速にこの実施完成をさせてやらなければならないと考えて参
つたのであります。また最近われわれが
調査に行
つたとき、
漁民に対して
政府及び道
当局にまかせ切りであ
つては、とうてい漁港というものは完全なる修築はでき得ないのである。
漁民みずからの手によ
つて、あらゆる
協力をすることによ
つて初めて漁港ができ上るものであるという指導を昨年や
つて参
つたために、本年は各地に行きましても、二年振り、三年振りにハラストを勤労奉仕によ
つてと
つており、その予算をできるだけ補うようにしようという
考え方をも
つて協力されておることを非常に強く感じたものであります。
次に協同組合の強化の問題に対しては、われわれは強く
要望して参
つたのでありますが、いまだに
漁業違反をあえてする者があり、また漁港に対しても
協力をしないような点に対しては、あらゆる面から言
つて漁港の修築もしてやらない、予算面においてわれわれは削るであろう、何をおいても
漁業違反をしないようにということを強く言
つて参
つたのでありまして、
漁業違反もたいへん少くなるような傾向にあ
つたことを非常に喜ぶものであります。それゆえに
漁業協同組合の育成強化も成り立つこととわれわれは考え、またそれを強調して参
つたものであります。
次に
北海道国立試験場の予算は、ほとんどゼロにもひとしきようなわずかの予算が計上されておるのでありまして、一例を申し上げるならば、あすこの国立試験場の水族館は物置きにな
つておるような
状況であります、そうして非常に参考になるいろいろな魚族を見ることもでき得ないような状態にな
つておるのであります。また大体において八海区が均等された予算でまかなわれておるというようなことは、国立試験場を建てた理由が一つも意味をなさぬのでありまして、従来の行き方からい
つたならば、その活用は三分の一にも減じているような姿であります。この点農林
大臣、
水産庁長官はよく
調査をされて、ここに重点を置いて考えていただきたい。さようにわれわれの
調査の結論が出ておるのであります。
次にさけの孵化事業については、
北海道の
漁民は、この点は徹底した
程度まで孵化事業の重大性、有意義なること、またこれをやらなければならないということに対して、非常に大きな期待と
協力をしておるのでありまするが、これに対する
政府のいま少し強力なる裏づけをしてや
つていただきたい、かように考える点が多くあるのであります。
次にはまことにまずいことでありまするが、
北海道におけるあらゆる
漁業に対して、内地
漁船が非常なる乱暴な方法をも
つてや
つて来ておる。たとえて言うならば、これは
漁船の船名もわか
つておりますが、さけの流し網に対しては塩だけを持
つて行
つて北海道の
漁民の網を夜間において取上げる、そうしてその綱をも
つて漁業をしてお
つた、それがつかま
つた。こういうような実例もあり、また網に対して、と
つたあと大きな石をつけて海の底へ沈めてしま
つて、またそれが発見されて捕せんとするときには、石をぶつつけて逃げ去
つたというような
漁船もあるということを聞かされておるのであります。かような行き方はほとんど宮城県の
漁船であると言われておるのであります。われわれはこの点に対しまことにまずいことと考えて参
つたのでありまして、かような県の
漁民に対しては、あらゆる施設に対して、金融に対して、漁港に対して、港湾に対して、予算をつけべきじやないという考えを持
つているのであります。かような点がたくさんあるのであります。
またもう一つは
北海道の小手繰網の転換でありまするが、これらも内地の
漁船に貸したものに対しては、その船らが今でも操業して、幌泉沖に来ており、しかもしけになれば、幌泉沖には入港せずに、沖合でとま
つているという無暴なやり方をしている
漁船がたくさんあるということが
報告されておるのであります。
次は制度
改革に伴
つて定置
漁業の認可申請に対して、大資本、大会社の進出が相当あるのであります。林兼、日魯、日水等の資本が相当
北海道に流れておるのでありまして、これを善意に持
つて行く場合においては、私
どもは非常にいいことだと考えまするが、たいていは非常なあくどい方法をも
つてこれを経営しておる。かような点は制度
改革を阻害するものではなかろうかという
考え方を持
つて参
つたものであります。また大会社が
北海道の沿岸
漁業まで進出しておる例がはつきりと現われて参
つたのであります。たとえば林兼が
小樽において、釧路において、自己が直接経営しておるさばの旋網が六箇統であり、傍系会社にやらしているのが三箇統こうした方法によ
つて沿岸
漁業の領域まで大資本
漁業が進出しておるということは非常にまずいことではないかという
考え方を持
つて参
つたと同時に、各地における
漁民もこれに対しては反対の
意向を持
つているようであります。北海背けに対しても十分とこのことを警告を発して来たような次第であります。
それから次には各
漁業協同組合の長期にわたる
資金を築磯
漁業に対して
融資をしてもらいたいという
要望がたくさんあるのでありまして、沿岸
漁民に対する最もいい方法と考えておるのでありますが、農林
漁業特別
融資のあの制度においては、この築磯
漁業に対しては
融資の道が絶たれておるのでありまして、こういう点に対して農林
大臣、
水産庁長官においてはこれもその中へ入れていただくように
善処をしていただきたいと考えるのであります。
北海道を全般的にながめる場合において何とい
つても
取締船が不足であるということを痛感され、またそれが輿論であ
つたのであります。
水産行政の最も重要なる点は、
取締船の増強でありまして、本年度の予算に対しては、特に農林
大臣はこの点に対して強力なる政治力を発揮して、
取締船の新造と強化をはか
つていただきたいと思うのであります。
次に、知床半島の
状況を
調査いたしましたが、羅臼、ウトロという所はほとんど人が行かない所でありまして、
調査などということはほとんどあり得ない所でありますが、幸いにして非常な天候に恵まれ、ことにあの知床半島の迂回をやり、つぶさにその
調査をしたものであります。この点に対して、この地方は
漁業に対する
発展の道は非常に多いのでありますが、ただ道路がついていないことによ
つて、そのと
つた魚も無価値の安値に売られるような傾向にあるのでありまして、羅臼、ウトロの間にはルシヤという所がありまして、ルシャを通ずる迂回道路をつくることによ
つて、初めてあの地方の開発ができる、しかもその所は千五百町歩の農耕地であり、またウトロのわきに千四百町歩の農耕地あり、現在住民が農業を営むときにおいて、
北海道にか
つて見られない反当り六俵、七俵の麦ができる。それから硫黄山があるために非常に地熱が高い。北見市、網走市などの地方よりも暖かい、かようなことが言われているのでありまして、この迂回道路ができることによ
つて初めて開拓者も入ることができ、魚もただちにトラツクによ
つて運搬することもできる。かように
北海道開発のためにこの羅臼、ウトロの迂回道路の必要ということの認められる点がたくさんあるのであります。
次に、
北海道全体の問題といたしまして、
地域差による
重油の高いことでありまして、この点は
小樽、
室蘭の港には、
小樽には四万トンのタンクがあり、
室蘭には二万トンのタンクがあり、外油を輸入してもただちにこれに対する輸入ができ得る設備があるのでありますが、両港とも一万トン級の船をつけ得ることができない浅い所にな
つておりまして、双方とも二億五千万くらいの
浚渫すれば、ただちにこの両港の設備を利用することができ得るということでありまして、一年の
重油の値ざやが約九億
北海道にあるのでありまして、急速に両港の
浚渫をしていただきたいという大きな
要望があ
つたのであります。
次に太平洋沿岸において、また北見沿岸において、小にしん網が立
つために、せつかく養殖したさけの子が相当
漁獲される。かようなことは、一方において繁殖保護及び孵化事業をや
つておるのに、混獲されるために非常なる迷惑をしておる。
漁民そのものも、とんでもないことだという
考え方は持
つているが、網に入ると、弱い魚なるがためにすぐ死んでしまう。かようなことを苦慮されておるのでありまして、一定の期間だけこの小にしんの
漁獲を禁止する方法を考えたらどうかという
考え方を私
どもは持
つたのでありまして、この点御
研究をしていただきたいと考えるものあります。
次に、各地におけるほたて貝等の養殖事業は、真剣に考えられておるような次第でありまして、各
漁業協同組合もわずかな資本をも
つてこれを行
つておるような次第であります。例年の
水産庁の予算の中にも、こうした養殖に対する補助の面が講ぜられておるのでありまして、こうしたことが、零細なる
漁民を救う唯一の問題であり、またこうしたことがほんとうに
漁業の
発展を期することであるがために、養殖事業に対する予算というものを大幅に拡充する必要があると認められるのでありまして、農林
大臣、
水産庁長官は、十分これに対する御
研究を願いたいと存ずるものであります。
次に、
北海道におけるさんま
漁業の問題であります。本年は八月の二十五日という期間の制定を見たのでありますが、われわれはこれに対して俸受網の禁止ということを
北海道においても力説し参
つたのであります。資源維持の建前からやらなければならないという
考え方を持
つたのでありますが、根室だけがこれに対して反対の
意向を持
つてお
つたのであります。
あとの釧路や粛舞や落石の
漁民は、秘魚を濫獲し、資源維持を妨害するような今日の建前であるから、棒受けを禁止するのが自分ら
漁民としてもなすべきことだという結論を申してお
つたのでありますが、根室だけはこれに対して反対の
意向を持
つてお
つたのであります。われわれは全国の
漁民がかように真剣に考えておるのに、一地方のものだけがこれに反対するようだ
つたならば、その地方のものだけは、十月一日まで期間を与えないでやる方が、最も理想的な
考え方だと結論をつけて来てや
つたのであります。大体これなりば承服するだろうと思います。
次に新聞にも出ておることでありますが、稚内において
漁船が拿捕され、その
漁民が三十人ほど初めて帰されたという記事を見て参
つたのでありますが、これらは何のために拿捕されたかということであります。これらは完全に
マツカーサー・ラインを越えて行
つた者でありまして、かような
漁民がお
つては、
日本の
漁業集約も非常にめんどうな段階になるのでありまして、
日本全体の
漁民のためには、さような者に対しては
漁業許可の取消しをすべきがほんとうでないかと考えられる点があるのであります。これは林兼の船が支那海において船団を組んで出漁したと同じ意味合いでありまして、かような
漁民に対しては、強く戒めなければ、
日本の
漁民の真の姿が現われて来ないとわれわれは考えておるものでありまして、この点は
水産庁長官、農林
大臣において、この政策に対する強行をしていただきたい、かように考えておるものであります。
また洞爺湖において、発電会社が、洞爺湖の水の落し口に対して電気網を
使用して魚の流出を防禦しようというまことに愚かな
考え方をしておるのであります。かようなことは
北海道庁へ呼びつけて、そうして、電気網の
使用を禁止するように会社に対しても申し渡して参
つたのでありますが、洞爺湖の
漁民が完全に魚を取り得るように、水の落し口に入
つて来ないように、われわれはその防禦の方法を指示して参
つたのであります。これはむしろ金がかからないでそうして完全に落し口に落ちない方法を、私と川村代議士がよく注意をして参
つたのでありますが、ただ大会社が金を出すからかんべんをしてくれとか、かような
考え方を持つようなものが多いのでありまして、かようなことでなく、徹低した技術において養殖事業の保証を行
つてやらなければならないと考えておるのでありまして、これは全国にあることだろうと思うのでありますが、
水産庁としても十分考慮を払
つていただきたい、かように考えるものであります。
大体かようなことでありますが、私の結論は、
漁業制度の
改革に伴
つて、
北海道はまだこの精神をはつきり認め得ないで、保守的存在によ
つて相当まじめ制度
改革ができていないように見受けられる点が一つと、
北海道国立試験場の事業に対する予算をもつともつと強力にや
つて行かなければならないということが一つと、
取締船の増強が一番大事であるということ、大体この三つが一番重要な点と考えられるのでありまして、
調査の
報告をすると同時に、幸い農林
大臣もおいでにな
つておるのでありますから、
水産庁長官とともにこの点に対する絶大なる政治力を発揮されて、
善処あらんことを
要望しておきます。