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湯河説明員 ただいま
川村委員から、
漁業権証券の
資金化につきましてお尋ねがございましたが、
農林中央金庫におきましては、この問題は非常に大切な問題だと
思つて考えておりますし、また
農林省からもときどき御
指示をいただいて、御相談にも乗
つておりますので、まことに恐れ入りますが、いい機会を与えていただいたと存じますから、ただいまの御
質問にだけお答えするのではなく、この問題についての、われわれの
考えでおりますことを申し上げさせていただきたいと思うのであります。
実はただいま
川村委員仰せのご
とくに、
漁業権証券の
資金化の問題は、
漁業権改革を完成する上におきまして、実に大事なバネにな
つておるということをよく承知いたしております。それでこの
漁業権証券を、何とかして
漁業権改革の
趣旨に合致するように
資金化するためにと思いまして、従来
水産銀行であるとか、あるいは
水産金融公庫であるとか、
特別会計であるとかいろいろな御案がありましたときにも、それぞれ
意見を申し上げておるのでございます。私
たちの
考えといたしましては、
政府において、やはりこれを
買上げ償還でございますか、そういう道をおとりになるという
お話を伺いましたときに、それはけつこうではないか、むしろそうしていただいて、
財政の方で御
都合のつく限り
漁業権証券を完全な
金額において
資金化するということがいいのではないか。私個人の
考えといたしましては、そのときにただ
資金化するということだけで、その
資金をどう
組合の方がお
使いになるかということが
はつきりさせられないと困るなということは
考えております。そういう場合におきましては、むしろ
担保にして貸して行くという方がいいのではないか。貸せば必ず
償還ということがおつかけて参りますから、
渡つた金が
漁業権改革の
趣旨に合致するご
とくにお
使いにな
つていらつしやるかどうかということをあとづけすることができる。しかし
買上げ償還をするとあとづけができないのではないかということの懸念もありましたけれ
ども、そこは
漁業権改革を遡行していらつしや
つて、
漁業の
生産力を高めて行くということについては、
行政の裏打もあるわけでございますので、
行政の方でそういうふうに十分御指導なり御督励があれば、すぐ
漁業権証券を現金化して、
貸付のご
とくに
償還というふうなあとづけをしないでも、
漁業権改革の御
趣旨は通るであろうというふうに存じまして、
買上げの御
処置は適当であろう、かように存じておるのでございます。しかしそれとともに、
漁業権証券を
個々の
組合に交付いたします際に、その
組合が
漁業権改革の
趣旨に即応いたしまして、
協同化等の
設備をなさいます際に、必要とする額と
漁業権証券の額との食い違いがございます。場合によ
つては余るところもございましようし、足りないところもございましよう。ぜひ必要な
協同化の
設備等をなさいますときに、
漁業権証券の
買上げの
わくが不十分にして、残念ながら御
希望通りに参らないところにつきましては、
漁業権証券を
担保として
融資が行われるということが必要であろう。その場合におきましては、
協同化のために必要なる
施設等の
資金は、これはどうしても中期、長期の
資金を必要とされるのでありましようから、この面につきましては、普通の
金融の
条件では不
都合である。どうしてもただいま
実施にな
つておりまする
農林漁業資金融通制度、あの
程度くらいな、またあの中に盛られております御
趣旨の
資金が供給される必要があるのではないか。そういう
買上げと
担保貸付の両者があ
つて、そうして
相当の
金額がここに準備され、それによ
つて漁業権証券が
資金化して行きまするならば、
相当のところまで行くであろう、かように私
たち考えてみたのでございます。しかしそういたしましても、そういうふうな
措置はいずれも
財政の裏づけがないのでございますから、今日の国情からいたしまして、それではたして全部の
漁業権証券の
資金化ができるとも思いません。そうすると、その
わくから漏れましたものにつきましては、これは先ほど
川村委員の
仰せのご
とく、あるいはどうにもならぬということからいたしまして、
漁業権証券が値下りをするということに
なつたり、あるいは好ましからざる
条件においてそれが
担保に入
つて、それが
担保流れに
なつたり、そしてまた
相当高金利を御負担になるということに
なつたら、これはまたおもしろくない。かように
考えまして、
買上げ償還の問題あるいは
担保貸付の問題、いずれも
財政資金を背景としておりますこれらの御
措置のほか、に、なお
漁業権証舞は
政府の方でも
発行条件等に
相当御
配慮もあることでありますので、それが
市場において不当にたたかれることのないような
価値維持をする。
価値維持ができておりますれば、それは必要に応じて売却されても、またそれを
担保に入れても、そのときの値合いは
漁民の方に御
都合がよかろう。かように
考えまして、
買上げ償還の問題と
担保貸付の問題と、それからそのあとに
残つた価値維持の問題、かような御
施策があるといいというようにわれわれは存じておるわけでございます。
それで
買上げ償還の問題につきましては、これは
政府の
財政の御
都合、
国債償還基金特別会計の問題、あるいはこれを御
実施になりますには日本
銀行にあらず、
資金運用部をお通しになるのではないかと思いますが、これにつきましては
漁業権証券を
資金化なさる
わくがとにかく制限されておるといたしますれば、どうしても重点的に、ぜひとも
漁業権証券を
資金化して、
協同化を実現することが絶対に必要なところからそれをして行くということも必要でございましよう。かような
意味をもちまして、
政府としてそういうことをなさるこつきましては、たれのものでも
買つていいのだということをなさらぬ方がよかろう、かようにも
思つてお
つたのでございます。そこでこの
買上げ償還の問題につきましても、われわれは
水産業協同組合のお仲間でございますので、もしおさしつかえがなければ、われわれの方でそのお
仕事のお手助けをしたらばどうかというふうに、実はわれわれの方からも申し出ておるのでございます。その
意味は、あらぬ
金融機関あるいは
証券業者等がこれに参加いたしまして、いたずらなる甘言をも
つて漁村の
方々に何かその間に不
都合なことでもあ
つてはいけないのではないか、むしろわれわれの方はこの
漁業権改革ないしは
水産業協同組合がよくおなりになるように、日ごろ心がけておるものでございますし、われわれの方でお預かりするときには、少くとも
漁業権改革の
趣旨をよく理解し、ないしは
政府の
資金化なさろうとする御
意図も十分理解しておるつもりであるからというふうに申し上げておるのでございます。そういうふうにして、われわれの方でもしもこのお
仕事に全部であるか一部であるか、関係いたすといたしますれば、どこから
漁業権証券の
買上げ償還をすべきであるかということにつきましては、やはり
漁業権改革を遂行して行かれる
計画に基きましてやる、その御
指示を受けて、その
通りわれわれの方としてはや
つて参りたいという
考えを持
つておるのでございまして、おまかせいただいたといたしましても、
中金がか
つてにやるという
意図は毛頭ないのでございます。従いまして御要請が各
漁村から参りましても、それを
中金は独自に左右することなく、
漁業権改革を遂行する
責任者であられる
政府の御
意図の
通り、その
計画に載つたものを
買上げ償還をして行くお
仕事に加わりたい、かような
考えを持
つておるわけであります。
それからもう
一つは
担保貸付の問題でございますが、ただいまの
農林漁業資金融通特別会計は六十億で発足しております。これは将来当然拡張さるべきもので、あるいは
担保貸付の問題は、この拡張した
資金の中で実現した方がいいと思いますが、この場合におきましても、やはり従来の建前からいたしまして、
農林中央金庫は大
部分のものについてのお扱いをすることにな
つております。それでわれわれといたしましては、
担保貸付の問題につきましても、ただいま
買上げ償還につきまして御
説明を申し上げました
通り、
農林中央金庫の独自の見地で、気に入つたところにやるというつもりは毛頭ございませんので、
漁業政策上必要なる、それに合致したものが
融資の
貸付のお申出がありますときに、はたしてお貸しして御
償還ができるかどうか、
政府に御迷惑の起ることがないかどうかということを、
金融機関の専門的な判断において検討して、そしてお手伝いをするというつもりでありまして、何にお貸ししたらいいか、どこにお貸ししたらいいかということにつきましては、これは
政策上の問題である、そして
金融機関は、その中において
金融ベースに載らないものは、いかに
政策に合致してお
つてもやめた方がいいでしようということを申し上げるというつもりで、このお
仕事に参加しようとして、今すでに参加しておるのであります。さような
意味をもちまして、
買上げ償還も、
担保貸付の問題も、
農林中央金庫が独自に積極的にやるというものはございません。御委託の御
趣旨を尊重いたしまして、
金融機関は
金融機関の立場において、もしも御注意を申し上げることがあれば御注意をして行くという態度で臨みたいと
思つておるのでございます。従いまして、
買上げ償還にしても、
担保貸付にしても、そのような
意味におきまして、
政府の方で御
計画ができた上におきましては、
農林中央金庫がそれをお扱いいたしましても、先ほど
川村委員の御懸念のございました
部分につきましては、
農林中央金庫が
旧債を相殺するようなことは全然
考えていない次第でございます。この点につきましても、あからさまに申し上げますが、問題のわかりませんときには、あるいはいろいろなことが端摩臆測されるかもしれませず、またわれわれの部内におります者が、不遠慮なことを申したことがあるかもしれません。しかし問題が
はつきりして参りまして、ただいま申し上げた、われわれの
希望しておりますような姿において問題が与えられるといたしますれば、さような言葉を何かはいたことがございましても、それは全部抹殺されておるわけでございます。
政府の方から御委託の
条件において、さようなことをしてはならぬということをおつしやることも当然のことだと思います。もしそうでなければ
資金化、あるいは
担保貸付、
買上げ償還の
趣旨が通らない、
農林中金が過去の
旧債と棒引きするということでは、
漁業証券
買上げの
趣旨が通らぬのであります。これは当然御委託のある場合の本旨にもとるものだと思います。もし
政府の方で御
指示がございませんでも、
農林中央金庫の
理事長といたしましては、この御委託の
趣旨を尊重して、部内にこのことを徹底し、厳重に戒飭する意思を持
つておることを申し上げておきます。
それからこれでどれだけのことができますか、これは
財政上の
都合もございましようが、
政府の方の
財政上の御
都合でおできになります範囲のことから
考えますればこういうことでありますが、その以外において
漁業権証券の
価値維持のために必要な
措置があるのではないか。あるいは
漁業権証券を、
償還買上げのほかにおいても何ぞ利用して、そうして
漁業権改革の
趣旨に即応するようになさり、ないしは
水産業協同組合が将来御自分の
生産力を高めて行く、あるいは
組合の基礎を堅実ならしめるというふうにお動きになるときに、
漁業権証券を
資金化するということが、
財政上に盛られてあるもののほかに御必要があると思います。それにつきましては、せつかく
漁業権改革をかようにや
つて行こうという国の御方針でございますので、われわれ
金融機関といたしましては、当然それに即応することをやりたいと
考えております。われわれの方といたしましては、そういう場合のことをいろいろ
考えておりますが、先ほど
川村委員の
仰せのご
とくに、とにかく今の
金融機関の
金利というものは、
相当漁民として
はつらい
金利だと私
どもも思うのであります。ことにこれが
設備資金に充当されますときは、その感が深いだろうと思います。しかし運転
資金にお
使いになるときでもやはり御同様ではないだろうかと察せられるのであります。さような
意味におきましては、これを
金利を払う形において
担保に入れて、普通
金融機関から普通
金融ペースでお借りになるということよりも、むしろ
金融機関が買い取
つてしまつた方がいいではないかというふうな気もするのであります。しかし
担保をと
つてお貸しいたしましても、
金融機関独力をも
つていたしますことは、これはやはり
金融機関の力に限りもございますので、
農林中央金庫といたしましては、一面に沸いて農林債券の発行もお許しいただいておりますし、また先ほど
お話のご
とく、農林
漁業の
金融については
資金コストをできるだけ下げて、低
金利で御融通するのが本旨であると
考えておりますので、われわれとしてできるだけ努力いたしまして、ただいま申し上げました
価値維持を中心とする
財政の裏打ちのないというものにつきましても、
漁業権証券の
資金化に寄与したいという
考え方をいたしております。
政府の方においてあるいは利子補給であるとか、何ぞその他においての
資金的御援助をしていただきますれば、われわれとして問題はより一層進展するかと思うのであります。私
どもといたしましては、
お話のご
とくに低
金利であることが必要だということでございますれば、できればいつそ
金融機関が、不当に八十円などという値段でなくお買取りできるような仕組みが生れ、
漁業権証券を交付
価格において
資金化できるような道が開かれていいじやないか。それが一番いい。しかしそれで足りない分についての
貸付という場合においても、何とか低
金利になりますように
金融機関としても努力いたしますが、しかしこの限度を越えます分につきましては、国または地方公共団体等からの御援助をいただきまして、せつかく
漁業権改革を完成なさるための絶好の機会であると思いますので、
金融機関の側からも十分の御協力を申し上げたい、かように
考えておる次第でございます。
つけ加えて申し上げておきますが、私はかような
意味をもちまして、
漁業権改革のための
漁業権証券資金化の問題を
考えて来たのでございます。
農林中央金庫に
漁業権証券を集中するというふうなことを私は一度も言つたことがございませんが、われわれの部内の者がさようなことを申したことがあるかもしれません。また地方でも世間でもさような
お話がちよつと出たことも伺
つておりますが、それは私といたしましては、さような実情はないと
考えております。
漁業権証券は、何も
中央なりあるいは地方の中心となるものが、それをまとめてどうこうするということよりもより、一層末端の
漁村において
組合の方がそれによ
つて協同化等の
設備の充実をおはかりにな
つて、
漁業権をお引取りになるときにお役に立てるようになさることだと思う。さような
意味をもちまして、
農林中央金庫に集中するということは全然ナンセンスだ、
意味がないことだというふうに
思つておるのでございます。さりながらこの
漁業権証券という大事なものが、もしもよく理解されない方等にむざむざとされてしまうということは非常に残念なことだと
思つておりますので、私はむしろ集中ではございませんが、分散を防止するということについては、協同
組合の系統の
方々と御一緒に、そのことについては十分
趣旨を徹底して行くべきものというふうに存じております。そういうことを
考えて参りますと、
漁業権証券を交付するお
仕事、このお
仕事についてもわれわれはそれに関与した方がいいものというふうに
考えております。これは決して先ほど当初に申しました
通り、
中金が従来の
旧債と棒引きするためにそういうことを申しておるのではございませんで、協同
組合のよき発達のためにわれわれとして御協力申し上げるのに、その
趣旨を徹底させ、
漁業権証券が分散しないように、あらゆる方向にそれが濫用できませんようにいたしますためには、
農林中央金庫がこれに関与した方がいい、かように
考えておるのでございます。私の方で扱いますつもりといたしましては、お渡しするときに、一々これは大事なものだから分散をなさらないようにといつたような、いろいろな御相談に乗
つて行きたいというつもりであります。それを機会に、
旧債と棒引きするという
考えでは毛頭ございません。ここらはわれわれ十分御理解いただかないと、われわれの申しておる本旨が通らないと思います。私はさような
意味におきまして、もしもこうした事務のお扱いを受けるときに、やはり先ほどと同じように
政府からその御
計画の
趣旨を明確に
指示していただく、あるいは御
指示がないでも
農林中央金庫としては、そのことを十分
理事長として徹底させまして、御懸念をなからしめて参りたい、かように
考えておるのでございます。そこでこういうことにつきまして、
農林中央金庫法自身の不備がございます。
農林中央金庫法改正の機会にそれを御改正していただくということで、いろいろお願いしておりましたが、残念なことには今日まだ実現しておりません。これらのことは
水産委員会の方で、もしも私の申すことが御理解いただけるならば、さような
意味の御盡力をいただきたいと切に
考えておる次第でございます。
申し上げましたことが多岐にわたりましてお答えにならないかもしれませんが、また何か足りないところがございましたならば補足いたします。