運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-22 第10回国会 衆議院 水産委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十二日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    永田  節君       平井 義一君    水野彦治郎君       井之口政雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      泉 美之松君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         水産庁長官   藤田  巖君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         大蔵主計官   佐竹  浩君         農林事務官   久宗  高君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         経理課長)   増田 正一君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 一種君     ————————————— 本日の会議に付した事件  水産金融に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  水産金融に関する件を議題とし、特に漁業権証券課税の問題について審査いたします。この場合、政府委員並びに説明員出席者を申し上げます。水産庁長官藤田嚴君水産庁次長山本豐君水産庁経理課長増田正一君、農林事務官久宗高君、大蔵省銀行局長河野通一君、大蔵省理財局次長酒井俊彦君。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 大蔵省当局から御出席のようでありますから、お尋ねいたしたいのでありまするが。漁業権証券の問題につきまして、十二月分十六日に大蔵委員会が開催されて、その当時大蔵大臣出席されたのであります。また廣川農林大臣出席されたのであります。そこでこの漁業権証券の問題につきまして、私からの質問に対して、大蔵大臣は、われわれの意見はもつともである、ゆえに漁業権証券に対しましては、これを金融化することをはつきり言質を與えておるのであります。この大蔵大臣意見速記はつきり載つておるのでありまするが、大蔵当局といたしまして、大臣からどのような御指示がありまするか、この点をお尋ねしたいと思います。
  4. 河野通一

    河野(通)政府委員 今のお話漁業権証券資金化につきましては、これを促進するようにということを、大蔵大臣から指示を受けておるのであります。ただこの点は、漁業権証券を全額を一時に資金化するかどうかの問題につきましては、当面必要とする金額について資金化をするようにと、こういうふうに伺つております。
  5. 松田鐵藏

    松田委員 私の質問は、漁業権証券百七十億があるのである。これに対しての質問をしたのでありまして、大蔵省といたしましては、国の財源の必要に従つてやることは、これは当局としてその方法をきめられることだろうと存じますが、とにもかくにも、百七十億というものに対して資金化するということを、はつきり言われておるのであります。しかして、ただいまの当局として、国の状況に応じて資金化する方針指示されたとして、それをやろうと考えておられるかどうか。しからばこの点に対してどのような方針を持つておられるか。御説明を願いたいのであります。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 現在漁業権証券資金化につきましては、御案内の通り、いろいろな案が実は出ておるのであります。大蔵省といたしましては、そのうちいろいろ研究をいたしました結果、第一には、この漁業権証券のうち、金額については後ほど申し上げますが、当面必要といたしますものにつきましては、国債整理基金特別会計において、これを買い上げて償還いたすという措置をとりたいと考えております。この具体的な方法は、まず当面資金化を必要とすると認められますものにつきましては、農林中金漁業権証券を買い取る、その買い取りました漁業権証券を、資金運用部資金の方へこれを右から左へ売り渡す。資金運用部資金会計は、これをさらに国債整理基金特別会計へ売り渡して、国債整理基金特別会計でこれを償還する。こういうふうな方法で行きたいと考えております。これが第一の方法であります。  それから第二には、この漁業権証券を担保にいたしまして、一般金融のルートで金融をつけることができるかどうかの問題であります。この点につきましては、一般市中銀行といたしましては、資金性質が相当長期に固定いたしまする関係もありますので、なかなかそう簡單には多額を期待することはできませんが、極力そういうふうな形でもつて金融をつけることを促進して参りたいと考えております。特に農林中金等につきましては、その機関性質上、これらの金融について、最も適当な機関ではないかと考えております。  それから第三には、先般設定されました農林漁業資金融資特別会計の方の資金を、事情の許します限り拡大して参りまして、これらのうちから、適当なる方法によつて漁業関係の設備なり、改善なりの方向金融をつけるように努力をして参りたい。ただこの点につきましては、まだ金額をどの程度この会計資金を拡充いたしますか、目下検討中でありまして、はつきりしたことは申し上げられませんが、極力そういうふうな方向で、この問題を解決して参りたい、かように考えております。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 水産庁長官にお伺いいたします。水産庁として、大蔵当局に対して、この漁業権証券資金化の問題に対して、どのような折衝をされておりまするか。この点をひとつお伺いします。
  8. 藤田巖

    藤田政府委員 水産庁といたしましては、この買上げ償還について、非常に好意的なお考えをいただいておりまするが、ただ單に買上げ償還のみでたく、一定の財政資金の支出を伴う特別会計融資によつて、それと買上げ償還とを相関連せしめることによつて経営の切りかえをうまくやつて行きたいということで、特別会計を新しくこのためにつくつていただきたいということについて案を出しておるわけであります。
  9. 松田鐵藏

    松田委員 大蔵当局に私から質問いたしまするが、要はただいま水産庁長官が申し上げた事柄は、去る十二月十六日の池田大蔵大臣答弁と、農林大臣答弁によつて、当初、農林大臣水産銀行をつくろうという構想であつたのであります。それがいろいろな関係上、これはとうてい不可能な問題になつて、ただいま水産庁長官から、話された特別会計というものが、これが水産金融に対する最も適切なる方法である、かように考えていろいろ打衝されておることだと私どもは了承しているのであります。しかして、ただいま局長お話から行きますと、第一、第二、第三という三つの案をもつていろいろ考慮中であるという言葉を聞きまするが、水産庁の主張しておる、大蔵省に折衝しておるこの意見に対して、どのようにお考えになつておるのか。この点をお伺いしたいと思います。
  10. 佐竹浩

    佐竹説明員 お答えいたします。本来ならば、これは主計局長からお答え申し上げることでありまするが、ちよつと司令部関係で少し遅れて参りますので、私からとりあえずお答えいたします。ただいま水産庁長官からお話がありましたように、水産金融のみのための特別会計を設定いたしたいという要求は、かねてから伺つております。われわれといたしましては、水産業のみに限定される特別会計を設置する理由を、いろいろ検討いたしておりますが、融資の対象を水産部門のみに限定する特別会計をつくるということにつきましては、まだこれを妥当とする根拠をはつきり確立するまでに至つておりません。そこで従来農林漁業系統に対する融資が円滑を欠いておりました関係上、御承知のように、二十六年度からは農林漁業資金融通特別会計が設けられたのであります。もしもこの特別会計がございません場合には、また別途の研究を必要といたすわけでございますが、すでにこの特別会計も設けられてございますので、極力これを運用して参りたい。御承知のように、財政制度関係から申しましても、制度煩雑化を来たすことは、事務的にもいろろ支障もございますので、従来とも特別会計というものの設定につきましては、むしろ整理方向に実は参つております。そこで重複の起りませんように、しかも有効に目的を達しますように考えます場合には、すでに設けられましたこの特別会計を運用するということが、今のところ一番妥当ではないか、こういうふうに考えております。
  11. 松田鐵藏

    松田委員 大蔵大臣は十二月十六日の委員会において、はつきりとこういうことを言つておるのであります。「一般会計より二十億、見返り資金より四十億円を長期農林漁業金融に充てたいという計画を進めておる」。これがただいまの申されたあの法案のできた理由である。そのほかに百七十億に対しては金融をすることを必要であるとして「百七、八十億円に上る漁業証券につきましては、先ほどお答えいたしましたように、とにかく漁業権資金化し、そうして長期の、いわゆる合理化資金あるいは拡充資金に充てたいという考えで進んでおります。」こう言われておるのであります。十六日の大蔵委員会において、はつきりとこういう言質を與えられておるのであります。ただいまの農林漁業資金融通特別会計法ですか、これによつての問題とはつきりと区分されて話されておるのであります。ところで当局として、特に漁業にのみ特別会計を設けるのに対して、確固たる理由がどこにあるかというところに懸念を持たれるというただいまの御意見であります。事務当局意見と、大蔵大臣議会において言うておられる意見と、ここに食い違いのあるのはどういうわけか、大臣政策によつて、あらゆる政策を行わんとするのに、当局はこれを否定するという考え方は、どういう考え方であるか、私どもは、当局大蔵大臣意見食い違い、この点に対してまことに奇怪に思われる点がたくさんあるのであります。要するに大蔵大臣は、事務的な考え方を持つておるのでなく、大局を考えて、政策によつて漁業証券資金化をはかろうということを、はつきり議会において声明されておる。当局は何のためにこの政策を遂行せんとする意思を持たないか。あなた方の御意見は、事務当局としての意見である。私は大蔵省意見というものを常にお伺いしておるのであります。そのお考え方が、ややもすれば事務的、官僚独善的な考え方を持つておるように思われる。私はここで申し上げることはまことに申しにくい言葉でもあるが、常にわれわれに聞かされておる言葉のうちに、水産庁はなつていないということをたびたび言つておる。われわれも、その点に対しては赤面しておるものではあるが、あまりにも日本政府部内において、金融の問題は大蔵省のみの問題であると、あなた方がお考えになつているところに、事務当局のみの考え方できまるものであるというところに、私どもはまことに奇怪な感じを持つておるのであります。政策として大蔵大臣が、漁業証券に対してはこれを資金化するであろうという言質を、国会内において與えておるのに、事務当局は、ただいまの御意見から行くと、それと異つて水産金融に対してのみ特別会計を持つなどということは、今日の状況としてどうかと思われる、というような考え方を持つておられる説明である。かようなことで、あなた方は大臣政策をどのようにお考えになつておるか、この点に対して私はまことにその見解をどこへ持つてつたらいいのか、はかり知ることができ得ないのであります。あなたにお見せいたしますが、この速記録を読んで、ひとつ御答弁を願いたい。これによつて私は重大なる質問をすることにいたします。
  12. 佐竹浩

    佐竹説明員 ただいま私お答え申し上げました点は、水産金融というものは必要でないとか、あるいは優先順位が低いとかいうことを申し上げたわけではございません。ねらうところは、大臣のお答えしましたところも、私どものお答えしておりまするところも一つでございまして、ただその一つのねらいに対して、どういう道で行くかという点になりますと、技術的に、いろいろ道があるわけでございます。その意味で、この炭林漁業資金融通特別会計というものが、今日ございますので、これをば極力活用するということをもつて、もしそれで目的が達せられないということでございますと、確かにそこにおつしやるような問題もあろうと思います。その点の検討が一番大事なわけでございますが、私どもといたしましても、この方法目的を達し得ないということでありますならば、さらに考えを練らなくちやならないと思います。先ほど銀行局長からもお答えいたしましたように、その道たけではなしに、買上げ償還方法でありますとか、ないしは農林中金を使います融資方法でありますとか、いろいろな方法を組み合せて参ろう、こういうことで、極力水産金融の疏通を円滑化するように考えておる次第でございます。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 そこの速記録に載つているように、十二月の十六日において、大蔵大臣はさように述べておる。しかして農林大臣は、水産銀行を設立したいという考え方を持つてつた。ところが先ほど申したように、いろいろな事情によつてそれができ得ないことがあつた。そうして今日に及んでおる。ところがあなた方に、私は文句を言うのではありませんが、大蔵省と打合せのあつたことと存ずるのであるが、農林中金北海道の律々浦々にまわつて北海道には幾多の水産議員が選出されておるが、この漁業証券をもつて金融化するなどということは、とうていでき得ないことである。各漁業協同組合をまわつて会議を開かせて、そうして一々、私ども国会において審議しており、また休会になつているその間に、彼らはこういうことを漁村に向つて放送して歩いておる。こういうことが大蔵省と一連の関係あることであろうと私ども考えて、びつくりした。それが今日大蔵省において、この漁業金融問題がまだ遅々として進まざる——また先ほど局長の言われる中金運用という問題と総合するときにおいて、何か一脈の気脈が相通じておつたものと私は考える。とうていでき得ないことを北海道出の代議士らが主となつて、やつておるということを言つておる。原林中金というものを、われわれ漁業関係の者は大いに活用して、先ほど局長の言われるように、もしいろいろな関係によつて金融円滑化ができ得ないときにおいては、農中を通じて漁業に対する金融の道を講じなければならないという御意見も、これもわれわれは大いに賛成するものであります。しかしてまだ国会に審議中において、十二月十六日にこういう大蔵大臣農林大臣答弁によつて、われわれは水産銀行というものをでき得るものと考えておつた。ところがそれに対して、これはいろいろな事情によつてでき得ないことは了承いたします。しかしていまだに漁業権証券金融化の問題に対して、国会が終了せんとする今日においても、まだその成案ができ得ないということは、一体これは日本政府としてどういうような考え方を持つておられるか、この点、事務的な問題でなく、私は局長や係官に対して質問はしたくない。これは大蔵大臣農林大臣に、政治問題として質問をしておる。ゆえにこうした問題は、私の質問は、委員長を通じて皆さんに諮つていただきたい。大蔵大臣農林大臣出席を次の委員会に求めるということを、委員長は諮つていただきたいと存ずるものであります。それからでなければ、とうていこの問題は解決できない。
  14. 川村善八郎

    川村委員 私は去る十九日に大蔵及び水産委員会連合審査会におきまして、多岐にわたつて質問をしたのであります。そこで第一点を簡單に申し上げますと、漁業権証券課税することには、原則的に反対である。しかし現在の情勢から行きまして、最低限度課税はやむを得ないのじやないか。しかしこの課税によつて徴収された、すなわち漁業権証券から吸い上げた金を漁業振興施設や、あるいは漁民福祉施設、あるいは漁業施設等に還元できるならば、一応やむを得ないのではないかということは、十九日の委員会にも申し上げておきましたし、それから、さらに日にちは忘れましたが、以前の水産委員会でも、前の水産庁長官に私は申し上げたことがあります。これに対して、十九日の大蔵当局答弁は、まことにあやふやであります。すなわち、法的措置も講じておらなければ、あるいは機関考えてない。一部の買上げ措置によつて、これを現金化して、税金の引当てにもしよう、あるいは一部の漁業資金施設にも充てよう。こういうふうなことより考えておらない、こういうことであつたのであります。それに対して、私は再質問をして答弁を求めたのでありますけれども、これより一歩も出てないというようなことで、まことに私たちは、水産庁のわれわれに言つていることとかけ離れていることについて、遺憾だと思つているのであります。しかしきよう答弁は、もちろんこれに類似した答弁でありますけれども、必要に応じては、資金化もはからなければならぬというようなお座なり式答弁といいながら、一歩進んでおるようであります。  そこで、私は事情簡單に申し上げますと、漁業制度改革というもののねらいは、もう御承知であると思いますので、重ねて申し上げません。こうした制度改革によつて、われわれは好むも好まないもない。国の政策によつて、法律によつてわれわれは漁業権を失わなければならぬ。その代償として、一部は漁業権がいわゆる私有財産として認められておるという点から、これを補償してやろう。一部はまた一時漁業権を買い上げられるので、漁業ができなくなる。また適格性優先順位等の問題で、漁業ができなくなれば、漁業経営も非常に損失をこうむるので、その二つのねらいから補償してやる。これはまことにけつこうなことと思うのでありますが、さてその補償がされる時分に、現地にどう訴えられておるかわかりませんが、補償をされるということで、これまで漁業協同組合は、今度こそ漁業協同組合建直しができるのだ、要するに育成強化ができるのだということで、水産庁も乗り出して、また現地漁業協同組合等も、立ち上ろうとしておるのであります。もちろんこれまでの運営については、各漁業協同組合とも赤字赤字を重ねて、運営ができないという実態になつております。そこでわずかくらいの資金化をしてやつたので、前の借金を引かれてしまうと、てんで運営ができなくなるということになりますと、当初大蔵大臣の御答弁にもあつたような措置ができないことになりますと、漁業協同組合育成強化もできなければ、事業の運営もできないということになるので、われわれはどこまでもこれを資金化して、漁業制度改革目的の遂行と、さらに漁業振興のために、漁民の、漁業協同組合立上りをさして、漁民福祉考えようというような考え方から、ぜひともこれを特別会計か、もしくはその他漁業のみに均霑するところの資金化をはからなければならぬというので、常にわれわれは水産庁を通じて大蔵省に交渉さしておつたのであります。ところで、どうも大蔵省銀行局長の御答弁も、さらに佐竹主計官ですかの御答弁も、やや逃げを打つておるような考え方であります。そこで先ほどこれに対して、松田委員は非常につつ込んでおりますが、私も先ほど現実を申し上げたように、今これを單に一部の資金化をしてやつただけでは、とうてい漁業協同組合立上りができません。立上りができないということになると、漁民が死ぬということになります。漁業権をかりに再配分を受けましても、漁業経営ができないということになりますと、漁業制度改革というものは、まつたく無意味になつてしまう。かえつてそれがあだになつて漁村が壊滅をするということにもなるのであります。従つてもう一歩進んで、大蔵大臣の十二月十六日に御答弁されておる通り、進んで漁業制度改革の趣旨にのつとつて資金化をどのようにしたらいいのかといつたようなことに考えを及ぼして、水産庁とともに相談をして行くことが、私は妥当でないかと思う。ただ一方的に、大蔵着では、前の農林漁業資金融通法によりますところの特別会計によつて資金化してやるというだけで、わずか六十億やそこらの金では、今日の漁村の窮状が救われるということは、とうていわれわれは考えられません。従つてどうしても、この機会にわれわれは漁業権証券を大幅に資金化しなければならぬということで、大蔵大臣にも答弁を求めたところが、幸い大蔵大臣はわれわれの事情を了として、そうして資金化するという答弁をしております。そこであなた方は事務的のことであり、大臣は政治的に考えておることでありますが、あなた方がもう一歩進んで、委員会のこうした空気も察知し、さらに水産全体の行政をやつておりますところの、水産庁意見も十分聞いておることと思いまするから、一歩進んで、金融化することについて努力をする意思があるかどうかということであります。ただ努力する意思があるというだけでなく、これを積極的に研究をして、何とがわれわれの意思にかなうようにするという御意思があるかどうかということについての、ある程度までの具体的の案をお持ちになれば、この際ひとつお示し願いたいのであります。
  15. 河野通一

    河野(通)政府委員 ただいまの御質問に対しましては、漁業権証券買上げ償還によつて、どの程度資金化できるかという金額の問題が一つ、それからこの点につきましては、目下検討はいたしておりますが、大体国債整理基金特別会計国債を償却いたしまするためには、その会計の持つております予算上の限界というものもございますので、その方からも縛られますために、無制限に買上げ償還をするということはできません。従いまして、この方の金額は、大体今考えておりますところでは三十億余りのものが——三十億を越えますかどうか、ちよつと今検討いたしておりますが、三十億余りのものが、この方で資金化ができるのではないかと思います。それからもう一点の、農林漁業資金融通特別会計でありますが、この方の関係は、今お話のように、現在予算上六十億になつておりますが、これは事情の許す限り、何らかの方途によりまして、この資金をさらに拡充して参りたい。こう考えております。これは補正予算を伴いますので、いろいろ今検討いたしておりますが、できるだけこれを拡充して参る。その拡充した分のうち、相当分漁業関係改善資金に充てて参りたい。その金額等はまだはつきり申し上げられませんが、既存の六十億の中でこれをやつて参るということでなくして、できるだけ拡充した上で、そのうちの資金相当分をこの方の金額にまわして参りたい。かように考えておるわけであります。金額の点は、今まだ申し上げる段階に至つておりませんが、そういうふうに考えております。
  16. 川村善八郎

    川村委員 先ほど漁業権証券のみの金融化として、特別の措置、すなわち特別会計金融する意思がないかということについて、答弁がないのでありますから、これはおそらく水産庁の言つておるいわゆる漁業証券特別会計法といつたようなことで資金化するということは、ちつとも考えていないと私は解釈いたします。  次に、ただいま漁業証券資金化するに、国債償還をする意味において買上げ償還をするということで、三十億くらいと言つておりますが、大体今度の課税目標を見ますと、十五億近くの課税をしようという目標になつております。そういたしますと、三十億の買上げ償還をいたしましても、極端に言うと、十五億より手取りがないということであります。国に十五億を配分して、一漁業協同組合なりあるいは一箇町村なりに、一体どのくらいの資金が行くか。そこでひるがえつてこの十五億のものが、前に行金がありますところの協同組合や個人が、ただちに銀行その他に借金を押えられるということになりますと、一銭も使えないということになります。もちろん局長の御答弁の中に、農林漁業資金融通特別会計がございますので、その方に六十億あるから、これを六十億と限定せずに、もう一歩進んで増額をして流してやるということでありまするが、しからば一体、この農林漁業資金融通は、漁業だけにどのくらいはつきり流してやれるか、確信のある数字を承りたいのであります。さらに私は答弁によつて質問をいたしたいと思います。
  17. 河野通一

    河野(通)政府委員 国債買上げ償還によります分につきましては、税の関係でありまするが、私どもつておりますところでは、これは主税局から政府に参つておりますから伺つておるのでありますが、本年度内に税として支拂わなければならないものは、十億程度のように伺つております。それから三十億と申し上げましたが、三十数億、三十五億近くまで償還いたしたいと思つておりますので、大して金額はふえませんが、今お話のように、純粋の漁業改善の方へ向けられる金は十五億ということになるかと思つております。  第二点の農林漁業資金融通特別会計資金の拡充の問題につきましては、拡充されたもののうち、どのくらい水産の方へまわせるかということにつきましては、目下検討中でありまして、今何とも申し上げられない段階でございます。
  18. 川村善八郎

    川村委員 そういたしますと、だんだん不安になるのでありますが、特別会計の六十億のものは、金額はつきり申し上げられない。あとは三十億が三十五億くらいになつて、税金が十億くらいになつているから、そうすると二十五億くらいまわるのだとこういうふうな答弁のように承つたのであります。しかしながら私らは十五億や二十億をまわされたといつても、ほんとうに手に持つて、これを運営資金にすることができないという悩みがあるので、あなた方に何とかこの漁業権補償の証券をもつて、特別の措置を講じて資金化せよと要求しておるのであります。そこでその漁業権証券も、先ほど松田委員が言われたように、中金はすでに前の借金をとろうと思つて、逆宣伝してすでに集めかかつておる。それからもう一方では、また連合会のごときいわゆる漁業団体も、ばらばらにされたのでは、今後連合会が立たないから、何とかこれを集めようといつて、われわれに証券が與えられないうちに、すでにもうそうしたような中金なり、その他の団体がこれを集めて行こうとしておる。また一方には市中銀行も、前の借金の確保のために、これを漁業権証券でとろうとしておるのか、これも集めようとしておる。それから商人は商人で、今後の資金や資材なんかの問題もあるでありましよう、前の借金もあるでありましよう。いろいろ事情はありましようけれども、これも漁業者からとろうとしておる。つまり漁業権証券が配付にならない前に、すでに三者も四者もこれをとろうとしております。そうなりますと、漁業権証券はもらつた、さて資金化がわずかに三十億にならない。そのうち十四、五億を税金にとられるということになると、借金の言い訳すらできなくなる。勢い、やはり漁業協同組合なり、漁業者個人が、それぞれ前のいろいろな事情がありますので、それを市中銀行なり、漁業協同組谷の連合会なり、あるいは中金なり、商人なりに、漁業を継続するというような意味から、預けなければならぬということになります。その預けたとき、おそらく銀行その他各方面とも一〇〇%引当てにとるとは考えられません。七〇%か、せいぜいよいよて八〇%というようなことであります。さてそれを今度は資金化するというときになりますと、先般の答弁では五分五厘くらいの利率であると言つております。一体今日市中銀行はどのくらいで貸しているか、あなた方は御承知だと思いますが、そこに、年に一割くらいの差があるのじやなかろうかと思う。一方の証券は額面の七割くらいに価格を踏まれ、一方には利息が、国家の負担するよりも一割も多く協同組合なり漁民が負担しなければならぬとすれば、二、三年のうちにはこの証券がなくなつてしまう。こうなりますと、先ほども申し上げましたように、漁業制度改革というものが遂行できなくなるということになるおそれがありますので、われわれはぜひともこの際、漁業権証券特別会計でも設定いたしまして、資金化せよというのでありますが、いくら責めてもこれ以上なかなか答弁は求められません。そこで私は水産庁にお伺いいたしますが、これまで水産委員会でこのことを心配いたしまして、数回にわたつて委員会で問題にもしており、さらに懇談会を開いております。ところが、もうしばらく待つてくれ、もうしばらく待つてくれというので、われわれを押さえつけて来ておりました。われわれは、事務的にはこれは当初からなかなか解決は容易でない、政治折衝をしなければならぬ、しかし政治折衝をするにいたしましても、大臣は理解ある答弁をしておるので、われわれは政治折衝は必ず成功するという考えを持つておるのでありますが、今日大蔵当局答弁であると、それも何か心もとないように感ぜられます。一体水産当局——もしどうしても特別会計なり、あるいは漁業権証券に対して特別の措置を講じて、せめて半分なりあるいは三分の二なりの漁業権の証券が資金化することができないとして、漁業協同組合育成強化どころか、壊滅になり、あるいは漁民が不幸になるというので、この漁業権制度の改革に反対が起きたという場合においては、これはゆゆしき問題になります。従つて私は水産庁に責任をとらせなければならぬという考えを持つております。おそらく委員諸君も、先ほどの懇談会の空気を聞いてみると、さように私はうかがわれるのであります。そこで水産庁長官はこれに対して、できない場合には、一体どういう手を打つか、あるいは長官は、どうも自分ではできないから、委員会にこれを何とかしてくれということになるか、その点をまずお伺いします。その答弁のいかんによつては、私はさらに確固たる責任を問いまするところの質問をいたしたいと存ずるのであります。
  19. 藤田巖

    藤田政府委員 漁業権制度改革のポイントは、やはりせつかく出ます漁業権証券資金化する、これができるかできないかにあると考えておりますので、私どもといたしましては、あくまでも証券買上げの措置と並行いたしまして、やはりこの際それだけでは足りませんので、何らか一定の財政貸金の支出をこのためにお願いしたい。これを最後の線といたしまして、今後も努力をいたしたいと考えております。しかしながら、問題が非常に大きい問題でございますので、これは事務当局でいたします折衝の限界を越える問題になつて来るということは当然考えるわけであります。私どもといたしましては、事務的には極力これを折衝し、さらにどうしても解決のつきません点は、さらに上層部に移しましてこれをやつていただく。なおそれにつきましても、やはり委員会方面からも御協力をいた、たきたいと存じます。
  20. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの藤田長官の答弁は、多分そのくらいの答弁であろうと私は想像して質問しておつたのであります。いよいよもつて水産当局は手を上げたということははつきりしました。しからば今日まで約一年の間、われわれはこれを心配して、農林大臣なり大蔵大臣委員会出席を求めて、質問をして答弁を求めておる。その答弁も、私の判断では、これは容易でないということを考えたるがゆえに、水産庁当局に、この資金化については極力やらなければならぬ、ただ委員会質問しただけではいかぬから、これはわれわれが懇談会を開いて、そうして進むべきことを、おのおのの責任において進もうじやないかということを、私から相談を持ちかけたことがあるのであります。ここに出席しておられます久宗君にも相談したところが、ちよつと待つてくれ、もう少し時間をかしてくれといつて今日まで引きずつて来たのが、こういう失態になつたのであります。そこでこの失態は水産庁にある。水産庁にあるとするならば、長官以下がいかに責任をとるか、この責任について御答弁を願いたいのであります。
  21. 藤田巖

    藤田政府委員 私といたしましては、極力これを実現をいたしたいということを考えております。これについて、どうしてもこれが実現いたしませんというふうな場合には、私は当然力が足りないというわけになるのでありまして、それに対する御措置等については、ひとつ上層部においてお考えを願うことになると思います。
  22. 川村善八郎

    川村委員 私は決して水産長官にのみ責任をとらせるというのではありません。これからでも最善を盡すことは、当然長官としても考えなければならぬし、われわれ水産委員会としても考えなければならぬのであります。そこで私は一つの提案をいたしておきます。もういよいよもつて長官なり、水産庁事務当局では、これはできないというところまでに行つたのでありまするから、私はこの場合会期もないのでありますから、まず一昨日われわれに提案されましたところの租税特別措置法の一部改正の法律案……。     〔私語する者多し〕
  23. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 御静粛に願います。
  24. 川村善八郎

    川村委員 これについて、まず今期国会でその資金化ができるかできないかということについてよく検討した上、できなかつたならば、これを延期し、来るべき臨時国会に持ち込みをするということを、大蔵委員会に申入れをすることが必要でなかろうか。しかしそれはいろいろな事情もあることでありましようし、でき得れば、われわれは今期百会において最善の努力をして、漁業権証券資金化をはかつて、所期の目的を達成したいと考えるのであります。この場合委員長におかれましては、最大の努力を拂うべく、いわゆる小委員会でなくとも、一つの折衝機関なり、交渉機関なりを設置して、農林大臣並びに大蔵大臣を中心として、極力これの交渉を進める。そうして事務当局もできるだけこれに参加させて、そこで決定したものは、ただちにいわゆる国会の案として取上げて、上程をして、一挙にきめて行つた方がいいのじやないか、かように思いますので、委員長の腹をまずお伺いしたいと思うのであります。委員長は、もちろん各委員に諮らなければならないのでありましようけれども、こうしたような進め方でないと、ここでいくら質問をしてものれんに腕押しで、とうていこれは解決がつかないと私は見ております。ただいたずらに時間を費すよりも、解決のつく方法に持つてつた方がいいと思いますので、最後にこのことを提案しておきます。
  25. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 川村委員に申し上げます。まだ各委員に質問があるようですから、できるだけその質問の要領を承りまして、そのあとで今御提案の趣旨をとりまとめたいと思います。
  26. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 時間も迫つておりますので、簡明にお尋ねをいたします。  先ほど河野銀行局長から重要な御答弁がございましたが、その一つに、証券の資金化については、当面必要な部分の証券は、これを資金運用部において買上げ償還をする。その額はおおむね三十億ということをお話になつております。そこで当面必要な程度のものをどういうぐあいにお考えになつておるか、どの程度のものが今回の漁業制度の改革上どうしても必要であるか、こういう面に対して、どうしても考えて行かなければいかぬので、その資金の程度を、ちよつと局長からお聞きしたいと思います。
  27. 河野通一

    河野(通)政府委員 今お話の、当面必要ということでございますが、先ほどちよつと申し上げましたように、一方では国債整理基金のわくと申しますか、予算の問題もあります。それから予算の許す範囲内において行うというようなことも現在あると思いますから、それらともにらみ合せまして、どうしてもこの際何らかの形によつて資金化をしなければならぬということについて、いろいろ内部で決定いたしたこともありますから、主計局の佐竹主計官の方から申し上げた方がよいと思いますので、そちらからお願いいたします。
  28. 佐竹浩

    佐竹説明員 その内容につきましては、まだ水産庁といろいろ打合せ中でございまして、最終的に決定はいたしておりませんけれども、この一番大きなねらいといたしましては、漁業制度改革に伴つて、協同化を推進する。その協同化を推進する場合に、自営態勢をとることを許可の前提としておる定置漁業のごときものがございますが、これらが最も協同化の最重点になると存じます。ここに重点を置きまして、その他のものにつきましても、それぞれ優先順位、緩急の程度等をはかりままして、水産庁の要求をもとにして算定をいたしておりますが、最終的なこまかい内訳についてはまだ決定をみておりません。
  29. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 ただいまの銀行局長並びに佐竹主計官の御答弁で、大蔵省のお考えがやや明らかになつて来たのでありますが、局長の先ほど、当面必要なものは資金化したいという言葉は、これは單なるまくら言葉であつて、実際は国債整理基金のわくの制約ということを、まず前提にお考えになつておることがはつきりしたのであります。私どもは、この重大な漁業権改革という大きな国策を遂行するにあたつて、單なる基金のわくがこれしかないからというような、そういう事務的な考え方でたくて、大きな政策を途行するのでありまするから、当面必要なものは、真に大蔵省がそう考えておりますならば、どうしてもこれは資金化をはからなければいかぬ。こう私ども考えるのであります。ただいま佐竹主計官からお話がありましたが、この制度改革を遂行するにあたつて必要な面は、單なる漁業の協同化、合理化という面だけでなくて、現在の漁村が一番悩んでおりますところのシエーレの問題、つまり資材が高くて魚価が安い。資源はだんだん枯渇して来る。この悪循環を絶ち切つて漁業を安定するということが、今回の制度改革一つの大きなねらいであります。そういう観点からいたしましても、漁価安定対策としての製氷冷凍工場、その他の共同施設にいたしましても、これまた今回の漁業権証券資金化によつて裏打ちをする必要がある。これらの漁業の合理化及び協同化を進めて、漁業者の生活の安定をはかりますと同時に、魚価の維持をはかつて行く、こういう施策が並行して行われなければ、今後国が徴收を予定しておりますところの免許料、許可料というものも、おそらく徴収が不可能でありましよう。漁業法にうたつておりますところの免許料、許可料の減免の規定を、毎年発動しなければならぬというような事態の起ることを、われわれは非常に憂慮いたしておるのであります。百八十七億というような国が相当巨額の負担をして、大きな犠牲を拂つたこの制度改革が、免許料、許可料のとれないようなみじめな漁業経営に陥らなければいかぬというようなことになりますと、国家的に大きな損失を来すことになるわけであります。そこで私ども考えておりますところの先ほど河野銀行局長が、ほんとうに腹から言われたと思われますところの、当面必要なものの資金化が必要だということでありますならば、私どもは、この税金を十五億と考えまして、この税金部分を差引いて、別に四十五億程度のものが、どうしても制度改革の初年度において必要である。私どもはこう考えております。従いまして、初年度において六十億程度の資金を、あなた方はこの国債整理基金のわく等にこだわらずに、何らかの方法で、六十億程度のものを資金化のために出す御意思がないか、そのために全力を盡すお考えはないか、この大蔵当局の熱意のほどを、まずお伺いしたいと思うのであります。
  30. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 この場合お知らせ申し上げます。  先ほどお知らせしましたほかに、大蔵省から主計局次長石原周夫君が出席されております。
  31. 石原周夫

    石原(周)政府委員 ただいまお尋ねの、国債償還の金から漁業権証券を現金償還をいたします以外に、一般財政資金をもつてでも、所要の資金を調達する意思はないかというお尋ねであります。漁業権証券の償還につきましては、国債償還の方のわくがありますことは、先ほど銀行局長から申し上げた通りであります。一般財政資金の問題につきましては、あるいは先刻来主計局の者から申し上げたと思いまするが、特別会計をつくりたいという御要望があるわけでありまして、これにつきましては、私ども農林漁業特別会計というもの一本で考えて行くということを申しておるわけであります。実は農林漁業特別会計そのものにつきましても、これは水産関係、林業の関係、また農業諸般のいろいろな関係から、追加的に、金の心配をすべきだというような御要望がいろいろあるわけでございます。目下私どもの方では、いろいろそういうお話を伺いまして、その間にどういうような優先順位関係があるか、また財源の関係はどうなつておるかというようなことを、よりより勉強おります。いずれにいたしましても、財政全体の資金をどういうふうに持つて参るかという問題は、いずれ補正予算の機会に検討されるかと思いまするので、御要望の点もそういう点に合せまして、全体どういうようなあり方、どういうような優先順位、どういうような金の割振りをするかということと、合せて考えるということにいたしております。
  32. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 補正予算の際にお考えになるというような御答弁がございましたが、現に政府は国会に対して、租税特別措置法の一部を改正する法律案を出しておるわけであります。これでただいまの銀行局長から御発言がありました、三十億程度のものしか資金化ができないということであると、この租税特別措置法の一部を改正する法律案が通れば、この中から十五億程度のものが税金にとられる。あと十五億しか漁業制度改革のために実際は使われない。こういう結果に相なりまするので、私どもは、この国会に上程されておりますこの法案を審議する面からいたしましても、補正予算の編成を持たずに、この法案を審議する過程におきまして、当局がすみやかにこの漁業権証券資金化を、国債整理基金のわく外に、別途どれだけ出せるかということを明確になさる必要がある。それなくしては、この租税特別措置法の一部を改正する法律案の問題は、審議が十分できない、盡されない、こういうことでありまするので、これは大臣とも御相談になりまして、最も早い機会に、明確に、どの程度の額を資金化ができるかということを、国会に対して明確に御報告を願いたい。こう思うのであります。  次に問題は、この証券を買上げ償還で行かれるということがわかつて来たのでありますが、この買上げ償還をやります場合に、ほんとうに漁業制度の改革に必要な面にそれが使われるように、私どもが心配しておりますところの古い債務の償還とか、あるいは消費経済面にそれがむなしく使われてしまうとか、そういうような浪費を避けて、真にこれが制度改革の裏打ちとして、重点的に、効果的に使われるというためには、手放しの買上げ償還では私どもは不安である。こう考えておるのであります。銀行局長は、この買上げ償還をなさる場合に、これが真に制度改革上必要な面のみに効果的に使われるように、ひもつきとして、これが真に効果を現わすようにやることについて、御自信があるかどうか、その点をお伺いしたい。
  33. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、一見非常に複雑なルートを通して買上げ償還をいたしますゆえんのものは、今お話のような目的をできるだけ達成するようにしたいというために、非常に複雑な手続をとつておるわけであります。具体的に申し上げますと、まず農林中金が必要と思われる方の証券について資金化をする。農林中金がまずそれを買い上げるわけです。その場合に、農林中金といたしましては、いろいろ実情もわれわれよりは詳しいし、農林省がもちろんそれに協力せられて、いかなるものが必要であるかをきめる。御指摘を受けましたように、金額が少いのですから、そのうちで一番必要なものに資金化ができるような方法にやるために、農林中金を通したわけです。農林中金がそれを買い上げましたものを預金部へ持つて行くわけです。預金部からそれを国債整理基金特別会計に移す。こういう手続をとつておりますのは、今御指摘のような、最も目的にかなうような資金を確保するという目的のためにやつておるわけであります。
  34. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私の心配しておりますお尋ねに対しまして、ただいま御答弁があつたのでありますが、その資金化をしたものが効果的に使われるために、農林中金をやはり使うという御説明であります。現在の漁業団体は、古い水産業団体法に基く水産業会あるいは漁業会等の古い債務、また新しい協同組合法になつてからの前後に生れた四千あまりの漁業協同組合の経済内容からいたしまして、相当農林中金にはごやつかいになつております。四十億以上の資金が、協同組合農林中金から流れておる。しかもそれはいろいろな客観的な情勢、あるいは協同組合法の改正等に伴いまして、現在資金は非常に焦げつきのような状態になつておりまするために、御承知のように、先般農業協同組合とともに、漁業協同組合の再建整備法ができた、こういうような次第であります。農林中金を通じてこの証券の買上げ償還をやるということは、まず農林中金協同組合に貸し付けており、その償還期限になつても、どうにもならぬで困つておる、特別措置法の制定を見なければ組合の立て直しができないというような段階におきまして、はたして局長が意図されるように、これが農林中金に対する古い債権に押えられずに、漁業権の共同経営なり、あるいは魚価安定の施設のために流れると局長はお考えになつておるかどうか。私ども農林中金を通じてやりますならば、農林中金から出ておるところの古い債務に大部分押えられてしまうのではないかということを心配しておる。そこで最も効果的にこの制度改革目的を達成するために、この資金を効率的に使うためには、どうしても農林中金と離れた新しい大きな指導力を持ち、監督権を持つたところの特別会計を必要とするというのは、ここから出発しておるわけであります。この点局長はどうお考えになつておりますか。
  35. 河野通一

    河野(通)政府委員 ただいま申し上げました通り農林中金がこれを買い取ります場合には、水産庁初め農林省御当局にも十分御協議になると私思うのであります。従いまして、そういう点につきましては、農林省の方で十分協力して行かれることによつて、問題は、今御心配のようなことにたるとは考えておりません。     〔「そんなことではだめだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  36. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 静粛に願います。
  37. 河野通一

    河野(通)政府委員 なおこの点は、私どもはそういうルートが、今申し上げましたように、別に他意も何もなく、一番いい方法だと実は思つております。これは農林省と相談した上でと思つておるのでありますが、なおそのほかに、どういう方法がいいかにつきまして御意見がございましたならば、伺つておきたいと思います。
  38. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 局長のきわめて率直な御答弁がございましたが、これは農林省もいろいろ研究し、国会の方でもこの問題をいろいろ検討いたしました結果、どうしても既存の金融機関を通じたり、あるいはまた直接的な政府の買上げ償還では、この資金は意図しない方面に流れて行く恐れがあるということから、いろいろ研究の結果生れたのが、水産の特殊金融機関ないし特別会計であります。ただいま局長の御答弁では、農林省と相談した上で、今の農林中金を通じての買上げ云々ということをお話でございますが、これはおそらく何らかの連絡の行き違いではないかと思う。農林省は、現に今水産庁長官お話になつておりますように、特別会計を必要とする、この特別会計を通じて資金化をはかつてのみ、初めて制度改革に必要な資金が確保できるということを、はつきり御答弁なさつているのであります。そういう点は虚心憺懐に、今後におきましても、大蔵当局と農林省当局とが協議して、ほんとうに現業官庁である農林当局が安心をし、自信を持つてやれるような制度を、大蔵省としても考えてやることが、これが国の政治であり、これが国家のためになるところの正しい行政の行き方ではないか、こう考えます。どうか現業官庁の自信の持てる、ほんとうに確信を持てるところの案を十分御審議いただいて、大蔵当局もこれに対して御協力をいただくことを特に要請したいと思うのであります。  次にこの機会に、もう一根本的な問題について大蔵当局にお伺いしておきたいことは、この漁業権証券の取扱いを、農地証券の取扱い性質と同じようにお考えになつておるのではないかという、われわれ危惧を持つおる。農地証券は、申すまでもなく地主に支拡われた証券であります。これは農業生産の面から言いますると、この地主階級は、生産面から脱落して行く階級である。農業生産者には、地主の存在は必要としない、こう考えられる面もあるのであります。しかし漁業権証券の交付を受ける漁民諸君は、現に生産の第一線に働いておる漁業者諸君である。これらの諸君が、国の政策によつて漁業権から一斉に離れるわけであります。そうして新しい漁業計画によりへ今後新しい漁業に着業して行く。こういうことでありまして、これからの新たなる漁業権に結びついて、漁業の転換、あるいは再編成が行われる。この際に、その裏打ちとしての漁業権証券資金化という問題は、農地証券の資金化とは比較にならないほど重大な問題であります。そういう観点から、農地証券を資金化したような考え方でなくて、漁業権証券資金化の問題は、漁業制度改革のキー・ポイントである、これがかぎであるということを腹にしつかりと入れて、大蔵当局漁業振興のために、漁民生活の安定のために、確固たる御方針を確立していただきたいと思うのであります。  次にもう一点、先ほど銀行局長お話になりました中に、農林漁業資金融通特別会計資金を拡充して対処して行きたい、こういうお話がございました。現在の特別会計は六十億であるが、これを額は言えないけれども、今後拡充して、これもまた証券の資金化のために活用したい。こういうお話がございました。そこで河野局長の御答弁意味は、農林漁業資金融通特別会計の中に、特に漁業権証券資金化のための特定な別わくをつくつて、その資金化を処理される御意向であるのか、現在までの六十億と同じように、ごつちやなわくでやつて行くのか、特別会計の中にまた特別会計というか、別わくをつくつてはつきり明確にわくをきめて対処するというお考えであるのか、この点をお伺いしたい。
  39. 河野通一

    河野(通)政府委員 最後のお尋ねの点につきましては、ちよつと誤解があるかと思いますから申し上げておきますが、農林漁業資金融通特別会計で、この資金を拡充して、水産金融の方へできるだけ金額をさきたいといいまするのは、形といたしましては、漁業権証券資金化という形にならないかと思います。これはもう少し検討いたしますが、おそらく漁業権証券資金化という問題と別に、農林水産金融振興資金が出て行くことに相なるかと思います。  それから第二点の、その拡充された資金の中に特別のわくをつくるかというお話でございますが、この点につきましては、現在特別のわくをつくるということは考えておりません。考えておりませんが、事実上において許します限り、この振興への資金をできるだけ多額に活用したい、かように考えておる次第であります。
  40. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 そこでこの際はつきりお尋ねしておきたいのでありますが、私が申し上げましたように、この制度改革を実施する第一年度においては、少くとも税金として支拂う部分の十五億のほかに、四十五億程度、合計六十億を必要とする。しかし今まで大蔵当局からお話なつたところで、やや明確になつておるのは、国債整理基金の中から三十億程度を出す、あと三十億というものがどうしてもまかなえない、明確になつていないということであります。そこでこの三十億をどうしてもまかなうために、何らか具体的な案の御提示を願うつもりでお尋ねしておるのでありますが、農林漁業融通特別会計の面においても、資金は拡充するけれども、別に制度改革のために、その中から別わくをはつきり出すということは御明確な御答弁がない。また私どもが要求しておりますところの、水産金融特別会計設置の問題についても御答弁がない。こういうことでありまして、はたしてこの制度改革が実施できるのであるかどうか、漁民諸君は、先ほども申し上げましたように、国の意思による強制的な買上げにより、漁業権から離れて、新たなる漁業権に依存し、漁業を転換して行かなければならない。こういうような立場に置かれた漁業者に対して、漁業権はどういうぐあいに処置するか、そのための切りかえ資金は、国は十分な世話ができない。こういうようなことでは、今回の制度改革は、單なる漁民いじめの政策という結果に相なるわけであります。こういう観点から、どうしても制度改革に必要な最小限度の資金化の問題は、これは政府全体の責任において考え、また国会もあくまでこれを要求してやまないものであります。ぜひともこの特別措置法が審議中の過程におきまして、はつきり方針を明示されることを要求いたしまして、私の質疑を終ります。
  41. 小高熹郎

    ○小高委員 漁業法が最初に国会に提示されたのは二十三年と記憶しております。おそらく二十二年の暮れにこれが着想されたと思うのでございまするが、爾来わが国の経済界は、除々にインフレ事情に入りまして、当時二千数百億であつたであろうところの財政経済は、今日一般会計にしてもすでに七千億近いものが計上されておるのであります。かようなことから考えますると、現今におけるところの、第四次修正を経て国会を通過して施行されんとするこの漁業法に基くところの、ただいま問題となつておりまする漁業権証券の額、すなわち百七十億は、十倍出しても——千七百億出しても安過ぎるではないか、かわいそうではないかとい議論が、われわれ間において大いに論議されておるのであります。しかしわれわれは、いまさらその基本数字に触れんとするものではない。ないが、せめて百七十億を現金で渡してやつてもらいたいというのが最大の希望なのであります。しかしながら、一たび現金で渡した場合に、現金で渡すとインフレになるからいかぬというのでありますが、昨年度において五十五億の漁業資材に対する政府の補給金、これらを打切りましても、何ら微動だもしない今日の経済において、私は百七十億現金で出しても、わが国の財政経済下においては、断じてインフレにならないという一つの見通しを持つておる。持つておるが、先ほど鈴木委員からお話がございましたように、これを現金で渡すことは、ただちにわけあつて枯渇せるところの、焼け石へじゆんとしみ込んでしまうようなことではいけないから、画期的なる漁業制度一つの基礎として、記念事業として残すために、冷蔵庫であるとか、あるいは共同施設であるとか、あるいはまた製氷であるとか、遠洋漁業への進出であるとか、それらにひとつ努めさせたいという意味において、現金化は主張するけれども、一歩しりぞいて、現金でなくとも、まあごく短期の国債で発行してやつたらどうか。これをわけあつて使つてしまうのではなくて、その使途が明確になつているならば、三年ないし五年の短期の国債でもつてこれを発行してやつたらよかろう、かように私は思つておるのでございます。たまたま先ほど来問題どなつておりまするところの、政府がつける金利と、業者が拂うところの金利、この差がはなはだ多いのでございまして、先般たまたま数字を計算いたしてみますと、証券利率を四分六厘として、一般金利を九分として、三十五箇年逆算を行つた場合には、証券百七十億の現在価額は、わずかに五十八億七千万円にしか当らない。またこれを一般金利一割一分として逆算した場合には、三十六億五千万円になつてしまう。さらに証券利率を五分として、一般金利九分とした場合は、六十四億七千万円であり、またこれを一般金利一割一分とした場合には、四十億二千万円しか漁民の手取りにならない。こういうことを思いますとき、最近、金利は五分五厘にして、きわめて短期の融通法を考えるということを聞くことは、まことに次快にたえないのでございまするが、一体大蔵当局は、この期限を二十五箇年でお考えになつておるのか、あるいは経済界が徐々に飛躍して参りました今日、実情に即した見解において、もつと短縮したところの期限をもつて発行する御意図であるか、その点を第一点に伺いたいのであります。
  42. 河野通一

    河野(通)政府委員 当初この漁業法ができましたときに、年々入つて参りまする国の収入でこれを返して行くという建前が貫かれておりました関係上、大体二十五年あるいは二十年という長いものを考えておつたわけであります。その後いろいろ事態の推移にかんがみまして、そういう長いものでは、漁業権証券を持つた方々に非常にお気の毒であるということで、極力これを短期にすることにいたしました。現在のところでは、大体五分五厘、五年ということであります。
  43. 小高熹郎

    ○小高委員 五分五厘、五年ということで銀行局長考えられておるということは、非常に私ども意を強うするところでございますが、ところで先ほど来問題となつております現金化する窓口の件でありまするが、政府は、農業の場合には府県の農信連を強化して、これに金融の窓口を與えておる。漁業の場合には、各府県の信用漁業協同組合連合会をもつて漁民の生活に対する金融源として強く活躍せしめよという指示を示しておる。こういうことから考えますると、当然これらの資金の現金化は、農林中金が各府県の單位組合へ手を伸ばすにあらずして、信漁連というものを通して現金化することが妥当であり、それが政府の指示にこたえると思うのでありまするが、これらに対して、銀行局長はいかなる御見解を持つておられるか、お伺いいたしたい。
  44. 河野通一

    河野(通)政府委員 今のお尋ねは、あるいは私が誤解いたしておりまするかもしれませんが、農林中金はおのずからその下部の系統機関を利用することになると思いますので、おそらく今御指摘のようなことになるのではないかと思いますが、まだそこまではつきり研究しておりません。しかし、おそらくそういうことになると思います。
  45. 小高熹郎

    ○小高委員 私の申しておりまするのは、信漁連がある県と、ない県がありますので、また信漁連がありましても、政府が信用するに足る県と、しからざる県があると思いますが、信用できる県は、先ほど鈴木委員から論議されておる特別会計に基くものができようと、また農林中金であろうと、一応信漁連のある所では、それを通してやつてほしいという意見であります。従いまして、先ほど当委員会において、みんなが言うておることと違うというのではなくて、末端は、特別会計であろうと、農中であろうと、これに扱わしめよう、こういう意見でありますので、これらに対してお伺いしたのであります。
  46. 田口長治郎

    ○田口委員 今回の漁業制度の改革資金というものは、先ほど来各委員からるる申されましたように、旧債の返還、この方向に一厘でも持つて行かれては困るのでございまして、結局新しく再出発をする完全なる資金でなければならぬ。この資金をほんとうに活用することによつて、漸次旧債を償還して行く、こういうような順序にならなければならぬと考えるのでございます。そのためには、水産庁が提出しておりますところの特別会計、あの方法よりほかに的確なる方面に資金を流すことはできないと考えておるのでございますが、この問題に対しまして、大蔵省は本月の八日に省議を開いて、あの考えを否決されておる、こういうことを耳にいたしまして、それでは大蔵省は何か確信ある方法を持つておられるかということを、ひそかに考えておつたのでございまするが、ただいままでの各委員との応答によりまして、そういうような案も持たれないようである。ただ一つ佐竹主計官その他が申されましたように、農林漁業資金融通特別会計制度があるから、別に特別会計を設置する必要はないのではなとか、こういうようなお話のように考えるのでございます。しからばあの特別会計が、はたして今日漁業制度改革に必要であるところの、資金融資に定会にマツチする制度であるかどうかということが、非常に重大問題であります。私らは、あの制度を設定する場合におきまして、農林省といたしましては、固定施設以外にはあの金は使つていかない、いういうことを非常に議論されておることを知つておるのでございます。農業会方面におきましては、農業倉庫の設置に対して、あの基金から出そうといたしましたのに、先方ではどうしてもそれを許可してくれません。わが水産界におきましても、いろいろな注文があつたのでございますけれども、結局漁港だけにあの資金は使われる、こういうようなことになつておるのでございますが、今回の制度改革によりまして必要とするところの資金は、いわゆる漁業の協同化、あるいは冷蔵庫の設置だとか、いろいろな内水面問題であるとか、こういうように各方面に使用する資金が必要でございまするが、すでに設置しておるところの農林漁業資金融通特別会計金融方法で、かくのごとき多方面にわたる金融ができますかどうか。それは現在においてはできないと思うのでございまするが、それができるように、先方とどの程度に大蔵省として折衝をしておられるのでございますか。その点をまず第一にはつきりさしていただきたいのであります。
  47. 石原周夫

    石原(周)政府委員 農林漁業金融通特別会千の金の使途と申しまするか、どういうことに使うかということにつきましては、おつしやいまするように、いろいろな資金の使途があるわけであります。先ほども申し上げましたように、これは農業、林業、漁業これらを含んでおりまするので、それらの資金間におきまする調整の問題のみならず、そのまた農業資金なら辰業資金漁業資金なら漁業資金のうちで、倉庫はどうであるか、あるいは漁港はどうであるかという議論をせざるを得ない。ただいまのところ、御承知のように六十億の資金をもつて割当てておりまするので、この六十億の資金の中におきまして、優先の順位を考えざるを得ないのであります。従いまして、この農林漁業資金融通特別会計のうちにおきまして、一般金融の最もつきにくい、最もこういうような性質資金を要求するところの多いものに対しまして、優先的に参りまする結果、御指摘のように、農業につきましては、農業倉庫のようなものは、ちよつとその前に順位のものがある。漁業につきましては、あるいは私の記憶違いかも しれませんが、漁法以外に、政令では共同施設に出すように規定してあるわけであります。現在その内訳につきましては農林省の方と御相談をしておりまして、今ちよつと、その金額がどの程度ありましたか、記憶しておりませんが、先ほど銀行局長の方から申し上げましたように、この拡充が、将来財源の関係その他から言いまして可能であるという場合におきまして、その金かどういうふうにわかつかという場合におきましての議論は、また同じようなことがなされると思います。その場合に、それでは漁業権証券の結果、新しい漁業制度改革の趣旨に沿いまするような拡充の貸金が十分参るかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、それ以外の資金との関係及び使途の制限の関係から見まして、できるだけ御要望に沿うようにいたすという以外に、今日ちよつとお答えができかねます。
  48. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまの御答弁によりますと、金額の制限からいたしまして、必要なるものから支出する、こういうような意味におきまして、水産におきましては漁港だけをまずまかなう、こういうようなお話のようでございますが、あの特別会計の設定時における、日本政府と先方との折衝の経過を見てみますと、さような必要度でなしに、原則論的に、固定施設に対してのみこの会計でまかなうことができる。こういうような経過になつておるのでございます。この点は大蔵当局においても、よく御存じと思うのでございます。従つて私は、あの特別会計からいたしまして、今回の漁業制度の改革による、いわゆる資材の購入、あるいは漁船の建造、こういうような方面にまであの特別会計を拡充する、——このことはなかなか容易でない思うのでございますが、その話は大蔵当局におきまして、責任を持つてその道を開く、こういうようなお考えでございますかどうか。その点はつきりと伺つておきます。
  49. 石原周夫

    石原(周)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、農林漁業資金融通特別会計におきましては、その資金性質上、民間の融資というようなものがつきがたいものに優先的に配付せられるということは、会計性質上いたして参ります。従いまして、これをつくりまするときに、大体公共事業というようなものは、民間の資金に親しまない度合いが多いものでございまするから、この方に優先的に資金を使つたらどうだというような趣旨の折衝があつたようであります。しかしながら先ほど申し上げましたように、それは資金金額とのにらみ合せの問題でございまして、政令では漁業関係の共同施設というものを含むという点につきまして、先方は承知をいたしておるわけであります。従いまして、その金額のいかんにかかわらず、わくがあると申しますか、資金の性格にわくがありまして、ある一定のものは、この中から全然出せないのだというふうには、私は承知をしておりません。資金金額と、それからその中におきまする使途の優先順位の問題というふうに承知をしておるわけであります。
  50. 田口長治郎

    ○田口委員 私も政令に、共同施設にあの金が使えるという建前になつておることだけは承知しておるのでございますが、しかし現実に使えない。またその折衝過程を見ますと、固定施設でなければ使つてはいけない、こういうようなことを強く向うから主張されておるのでございます。われわれは、今回の資金は的確なるところに、はつきりと流すという方法といたしまして、いわゆる水産庁から出しておりますところの特別会計でなければ方法がない、こういうふうに考えておるのでございますが、大蔵当局で、あの特別会計で行ける、こういうような意味におきまして、水産庁が提案してありますところの特別会計を否決しておられる。こういう点から考えまして、もしほかに方法なしに、先般決議をいたしました特別会計大蔵当局がやられる、こういうようなことになりますれば、あの特別会計融資によりまして、漁船の建造も、あるいは漁具の購入もできるという道を、大蔵当局が責任を持つて解決するだけの責任を持つてもらわなければならないと思うのでございますが、この点に対しまして、ほんとうに大蔵当局は、確信を持つて責任を持たれるかどうか、重ねてお伺いいたします。
  51. 石原周夫

    石原(周)政府委員 折衝の問題は、相手のありますることでございまするので、私ここでお引受をするというわけには参りかねるのでありますが、ただ私どもの気持を申し上げますると、先ほど申し上げておりまするように、これはある金額の中におきまする優先順位の問題でございまするので、その関係におまして、十分われわれ身が納得が行くようなものでございますれば、われわれとしては、それが通るように全力をあげてやりたいと思います。
  52. 田口長治郎

    ○田口委員 大蔵当局におきまして、その点に全力をもつて努力をする、こういうことはわかりますが、努力をされまして、うまく行かなかつた場合はどういう方法をとられますか、その点をひとつお伺いしておきます。
  53. 石原周夫

    石原(周)政府委員 速記をとめていただきます。
  54. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  55. 冨永格五郎

    ○冨永委員 長速記を始めてください。
  56. 田口長治郎

    ○田口委員 今の次長のお話が省議で水産庁案を否決する前に、先方との折衝で努力せられた後におきまする答弁でありますと、私了承するのでございますけれども、先方と折衝も何もなしに、一方的に否決をして、そうしてほかに適当な方法として、いわゆる従来の特別会計による融資、こういうことだけを考えて否決をされた。その場合に、皆さんがお考えになつておるような方法ができなかつた場合はどうするかという質問に対しまして、どうも一方を否決される場合におきましては、新たなる特別会計はなおさら設置がむずかしいだろう、許可をしないだろう、こういうような答弁は、私は答弁としてなつていないと思うのでございます。どうしても私らはこの道よりほかに方法はないと思うのだが、その道を皆さんが否決をしておられる以上は、何か道を開く方法について確信がなければ、一つの道をふさぐということは非常にやつかいな問題になると思うのでございます。この点について、先方はなおさら許可しないだろうという意味でなしに、原局として、この方法でなければ的確なる融資ができたい、こういうような意味でございますから、何かひとつ、この際従来の特別会計について努力をしていただいて、それがなければほかの方法で道を開いてやる、こういうような御意思がなければ、はなはだ困ると思うのでございますが、この点につきまして、私は重ねてつつ込みませんけれども、原局として責任を持つて国政をやつて行きます上におきまして、こういう方法でたければほかに方法はないというような確信を持つて出しておるのでございますから、何かこの点をひとつ大蔵当局としても協力して、道を開いていただくことを要請いたしまして、私の質問を打切りたいと思います。
  57. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 次の委員会には農林大臣並びに大蔵大臣出席を、文書その他の方法でぜひ求めることにいたします。  なお租税特別措置法の一部を改正する法律案は、きわめて重大でありますので、修正意見をとりまとめるために、小委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 御異議なしと認め、これを金融に関する小委員会に付託いたします。なお小委員会におかれましては、至急修正意見をとりまとめられ、御報告を願います。なおこれには各小委員会が全部大きな関係があり、特に沿岸漁業の基本的復興対策に関する小委員会は密接な関係を持たれるので、小委員長各位は特に御協力をお願い申し上げます。なおこの租税特別措置法の一部を改正する法律案の継続審議についての御意見がございましたが、こ れはまだ審議する期間がございますので、委員長から非公式に大蔵委員長お話を取次いでおきたいと思います。その間において至急、小委員会においては御協力を願いたいと思います。
  59. 井之口政雄

    ○井之口委員 やつと野党側にまわつて来ましたが、私は野党側の意見を代表する以上、これは非常に重大なる発言でありまするから、政府においても十分に野党側の意見を聽取してもらいたいと思つております。第一番に、この問題の非常な難点は、漁業権証券による補償の問題と、それからこれに対する課税の問題、あるいは漁業権証券資金化の問題、また資金化についても、これの買上げ、それから一般融資の問題に細分されて行くのでありますが、さらにこれに関連を持つものは、免許料、許可料の問題でありまして、この四つの問題が入り組んでおりますために、非常に複雑性を帯びて来るのであります。そうしてこの複雑なる問題のために、與党側においてもいろいろ意見の混乱があるようでありますが、根本的に漁業制度の改革というところから出発して考えて行けば、この混乱というものはおのずから明瞭に解消されるものと思う。たとえば漁業制度の改革をやるにつきましては、従来の農地改革と同様な趣旨のもとに、漁業を民主化するという根本方針に立つている。そのために羽織漁師として、いろんな漁場その他に対する漁業権を独占しており、そうして寄生的な存在を続けていた、こうした漁場に単食うておる封建的な残存物を一掃するというのが、漁業改革の本旨でなければならぬ。そのために、ちようど農地制度におけるところの農地法の改革と同様な手段がとられた。しかしそれは幾分の差異はあります。農地法においては、現に耕作している人々がただちにその土地を得ております。かつ交換分合の点はまだあとに残されておる。しかし漁業の場合には、一応全部の漁業権が買上げになつて、そうしてこれが優先順位によつて売り渡すということになつておりますために、交換分合までも一緒にやられる形になつている。ある程度の協同化というものがここにおいて進んでおるのでありまするから、それだけの十分な注意をもつてこれを取扱つてつたならば、この問題もスムースに解決するのだろうと思うのでありますが、そうでなくして、今自由党のやるような方針で、次第に民主主義に逆行して行くような方針がとられております。それが今度の法案にもやはり現われて来ると思います。法案の内容から見ますると、漁業権証券に対しましては、従来の法律、従来の規定をもつていたしますれば、約九十億くらいの譲渡税がかかつて来る。それをひとつ十四億くらいに減そうというのでありまするから、一般的に見るならば、漁民に対する非常な軽減の形になつているのであります。しかし一たび立入つてその内容を見ますると、こうした寄生的な漁業権の所有者に対しては、むしろ全額無償で没収するのが当然であるのみならず、もしそれができなかつたとすれば、これは租税の形において没収するなりすることが当然であり、現実上の漁師に対しては、これは没収どころの騒ぎではなくして、むしろこれに対して政府は保護を與えてやつて行かなければならぬのにかかわらず、将来免許料 並びに許可料が、これに大きな負担と  してかかつて来る。そうして大蔵省方針では、免許料、許可料をもつて  この漁業権証券の費用をカバーして行こうというふうな根本方針を立てておられて、二十五年というふうな制度も  とられたようでありますが、これはむしろ羽織漁師というふうな者に対しては何ら補償する必要もないし、また税をかけるとすれば、むしろそれは全部この方面の金によつてまかなわれるような制度をとるべきであつて、将来現実に漁業をしなければならぬ漁民に対して、許可料並びに免許料を法律をもつてとらえて、それをもつてこれを償却して行こうとすることは不合理である。この点に対しては、川村委員も非常に明確に主張せられるところでありまして、なかなか感心している次第であります。さてそこで、政府においては今度五箇年にこれを減らして、そうして五分五厘にやつて、それからそのうち、三年間くらいで買上げをやる、こういうふうなことを言つておりまするが、もしそういうふうなことになつたとすれば、免許料、許可料をもつて、これをカバーして行こうというような根本方針はどうなるか、それとも全然その方針も捨てて、新しく再出発してやろうとするのかどうか、この点が一つであります。  それから二番目に、償還の問題でありますが、買上げを行うといたしますれば、さつき大蔵省関係の方が言われておりました通り、ある一定のわくがある。わくがあるために、そう思うように償還もできないという話であります。これは国債償還資金のわくがあることは言わぬでもわかつていることであるが、さらに大きく考えれば、税金というもののわくがはまつておる。人民から搾取して行く、しぼりとつて行く。この負担によつて、これはわくをはめられている。もし三年以内に、まず三十億ですか、そういうものを償還して行くとすれば、これはそれだけの租税の軽減もできなければ、場合によつては、租税の増徴ということになつて行かなければならぬ。そうしておいて、しかもその金が、実際に働いているところの漁民にまわつて行くのではなくして、羽織ゴロ——当然寄生的なものとして整理されなければならぬような人たちに、譲渡税は低くしてやるわ、さらにその上に、保護を與える。また現金でもつて償還して行くということになつたならば、漁業権証券によつて漁業改革をやつて行こうというこの本旨は、なくなつてしまうじやないかというふうな点についても、ひとつ御返事が願いたい。  それから次に、漁業協同組合が、内部が赤字で困つておる。これは今日の漁業行政の破綻を端的に意味しておる。これをわれわれが育成してやろうというのが、今度の漁業制度の改革なんであります。その改革をもつてしてもできないということを、これは意味しておる。のみならず、これの買上げ等によつて資金漁業協同組合の方に渡すことになつても、ただちに農林中金なりその他の銀行が、担保としてこれを差押えてしまうということになつたならば、今日の買上げ償還をやつても、何らの利益を與えることにはならない、こう思うのであります。それのみじやなくして、與えられたところのこういうものが、かえつて国民に対する大きな税金の負担を意味することになつて来ます。そうして、国民の負担によつて一部の金融業を利得させるというような結果に立ち至つて来る。これというのも、ひとえに漁業協同組合経営が軟弱であるから起るのであつて漁業協同組合経営が十分に成り立つ、そうしてこれが信用を大きく持  つものならば、こうした証券の金融化というものは、そういう方面からでもおのずから解決して行くものである。そこで今、いろいろ自由党の方からの意見としては、これの資金化の問題において、担保として、特別の銀行の設置等によつて融資を仰ぎたいというようなことが起つておりますが、漁業協同組合の根本も成り立たない、漁民の生活の根本も成り立たないというふうな事情のもとに放置しておきながら、そういうふうな金融措置を講じたところで、結局また元のもくあみになつてしまう。結局は人民が税金でもつて負担して行かなければならぬというふうに立ち至るのでありまして、結局それは川下を治めようとして、川上を治めないような愚かしい結果に立ち至るとわれわれは思つています。こういうことを明確にするためには、今の寄生的な漁業権の所有者がどれくらいの数に達するか、漁業権証券によつて補償されるところの内容が、政府から出されている統計をもつてしてはわからないのでありまして、一般的に、單に個人に渡される、漁業会に渡される、どこに渡されるかというふうなことだけしか明瞭になつていない。しかし内部に立ち入つて、もつとこれが不在地主的なものに、あるいは寄生地主的なものに渡つているというものが幾らで、そ うして実際の漁業をやつている人たちに対しては、どれくらいになるというふうなことは、内部にわたつて詳細なる資料が出て来ない限り、これに対する課税方法も、またおのずから違つて来なければならぬのですから、不可能であろうと思います。最後に課税をする場合でも、これは認定することが政府は非常に困難だというふうな御答弁でありましたけれども、この寄生地主的な存在を明確にやはり選び出して、そういうものに対するところの譲渡税は、ほとんど全額にわたつてもさしつかえないものとわれわれ思います。決して一率的に軽減したから、漁民の生活がよくなるというものではなくして、むしろ一率的に軽減せられれば、漁民の将来における免許料、許可料をもつて羽織漁師の利益を助長してやるというような結果に陷つて漁民の負担はますます重くなると思う次第であります。だからして、こういうものの算定は、働いている漁師自身が一番よく知つているのであります。ある程度の基準を設けて、漁師自身が判定するような委員会制度を実行することが、一番的確なる課税標準の決定だとわれわれは考えますが、これに対して政府としては何らかの案をつくる意思はないのか。まずこれくらいの点を御質問いたします。  最後にもう一箇条、この問題と離れた問題でありますが、千葉県の富津というところの沖合いに、今日大きなロープが張りめぐらされて、漁民は非常に困つております。これは小高委員も御存じのはずであるが、小高委員のところにも、どんどんと漁民が困つているという事情を訴えて来ているはずでありますが、一体これは、どういうわけでこういうものができて来るのか。政府はこれに対して、どういう手段で漁民の生活を保障しようとしておられるか。これを最後につけ加えて御質問しておきます。
  60. 藤田巖

    藤田政府委員 漁業権補償金のうち、いわゆる寄生虫的な人に対して、どのくらいが行くのかというお話の点でございますが、これは統計上把握することは非常に困難だと考えております。ただ、かりに百七十八億の漁業権補償金が出るといたしまして、そのうち漁業会分が百三十八億であります。それから会社分が七億、個人が三十三億であります、従つて御指摘の問題は、おそらくこの会社分及び個人の分について、いわゆる四十億程度のものについてそのうち幾らが寄生虫的な存在であるか、こういうふうなことであろうと思いますが、これはいかなるものを寄生虫的なものに見るか、非常に判定のむずかしい問題でございまするし、統計的には私どもこれを把握するすべはございません。それから漁業権については、やはり憲法上いわゆる物権として保護されております。これを消滅いたします場合は、憲法上当然補償は伴うべきものという解釈によつて、新しい漁業法ができております。それから買上げ償還の期限と、見合いになつております免、許可料の徴収の年限というものは別個でございます。従つて、かりに買上げ償還が五年になりましても、その五年の中で、従来の補償金額に相当するものを免、許可料でとるということではございません。免、許可料は、あくまでもやはり漁業経営ということを考えまして、それに負担の限度もあるわけでちりますから、それを越えないように、経営を脅かさないようにして、長期にやるというようなやり方で、別個に考慮いたしたいと思つております。それからこの証券買上げの場合に、非常に不生産的な方面に合が出されて、浪費されるのではないかという点はごもつともであります。その意味におきまして、私どもはかような特別会計制度を持ち出して、いろいろ折衝いたしおるわけであります。  それからなお富津の沖合いのロープの問題は、私はおそらくこれは軍において、いろいろ軍の関係から施設されておりますものを意味しておるのじやないかというふうには想像いたしておるのであります。はたしてそうであるといたしますと、この問題は單に東京湾だけの問題でございません。各地ともいろいろそういうふう問題があるわけであります。私どもといたしましても、よく事情を調査いたしまして、またこれについて何らか作戦行動その他の上に支障のない限りにおいて、漁業が乱されることがないようにこれをやつてもらいたいと思います。
  61. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 松田委員に申し上げますが、この審議は続行いたしますが、次会にお願いできますか。
  62. 松田鐵藏

    松田委員 簡單にやりますから……。
  63. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 それでは松田委員
  64. 松田鐵藏

    松田委員 今まで大蔵当局意見を聞いておりますと、私は先ほど農林大臣大蔵大臣に次の委員会出席を求めて、よくただそうということを言うておるのでありますが、ただここで一言私が申し上げたいことは、大蔵当局の態度であります。大蔵大臣農林大臣の十一月の十六日の大蔵委員会における答弁により、また農林大臣がその後委員会で発言されておることからして、水産庁水産銀行をつくろうとし、またそれができない場合においては、特別会計によつて金融措置を行わんと努力をしたのであります。これがすなわち大臣政策であり、政府の政策であります。われわれは両大臣意見というものは、委員会において、国会において発言した意見というものは、大臣は單にその場限りの問題の考え方を申したのではない、自己が常に考えておる政策を妥当と信じて、水産庁は、また当委員会もこれを信じて議論を進め、計画を立てて来たのであります。ところがただいままでの御意見を聞いておるときにおいて、ほとんどその政策というものに対する関連が少しもないというように考えられるのであります。ここが私どもの一番意外とするものであつて、非常にまた遺憾とするものであります。特に主計局次長においては、なおさらそういう感じを私は強うしたものであります。これは私のひがみかもしれません。しかも常々聞いておる、放送されておることは、大蔵当局はまことに官僚独善的なものであるということを、われわれは聞いておるのであります。これは誤解かもしれません。しかし今日のいろいろな御意見から行きますと、大臣の唱えた政策を、当局がこれを少しも関知していないがごとき、省内におけるいろいろな会合もあつて、省議をまとめてこうしたものを、つまり金融特別会計などというものも葬り去つたというようなことも聞く。こうした事柄が、今日われわれが考えておる、また自分らが自負しておる主権在民の議会政治の上において、まことにあり得べきことでないのではないか。こういう考え方を強うするものであります。今日ほど大蔵当局の方々が当委員会に御出席されたことは、今までなかつたのでありまするが、今日のこの委員会において、私のただいま憂えておる考え方を強うするものであります。大臣政策によつて水産庁がまず取上げていたこの計画に対して、もつともつと親切にこれを取扱うことができ得ないものであろうか、こういう点に対して私は非常に心配をするものであります。なぜ心配をするかと言えば、国の財政の面からいつたら、大著はいろいろな高度な政策からこれを否決することもありましよう。しかし主権在民の今日の議会政治において、大臣政策委員会に発言されて、それをまじめに水産当局または委員会がこれを論議して、こうでなければならないというのではないが、水産金融に対して、こうして行くより方法がないものでなかろうかという考え方を持つて、この計画を進めておるのに、水産庁に今まで何らこの点に対してお打合せがあつたような形跡も見えません。こうした事柄が今日の委員会において、大蔵当局意見というものと非常なる食い違いがあり、大臣政策食い違いがあることに対しまして、私は今日の委員会において非常なる心配をするものであります。どうかあなた方においては、世間に流布されておる、大蔵省は官僚独善であるという言葉を将来聞かないように、権在民の議会政治を守り育てて行かなければならないという考え方によつて、たとい愚な計画であつても、もつと水産庁意見というものに対して耳をかして、御検討していただきたいことを懇請いたしまして、私の意見を終るものであります。
  65. 川村善八郎

    川村委員 漁業権補償に対する課税についての問題、資金化の問題については、いろいろ議論がありましたけれども、まだ結論に達しておらないので、それぞれ委員長に申入れております。これらの解決のためには委員長は最善の努力をを佛うような措置を講じでいただきたいと思います。それからもう一つは、漁業権補償の問題で、全国の配分が非常に不公平であるという意見が、本委員会の懇談会で出たのであります。当時委員会意見といたしましては、大体水産庁の案に対して一割天引して、そして一割天引きした男を、それぞれいろいろな不公平なものをあんばいをして、公平を期するという意見が相当に多かつたので、そうしたように運ぶという意見でお諮りしたのであります。それで当時これは小松委員からも主張があり、私も主張したのでありますが、ただ不公平だ不公平だと言つても、データがありませんので、これを明らかに、どの程度にこれは不公平になつておるかということもわかないので、これに対する各県のデータを出してもらいたいという要望をしたのであります。まだ来ておりませんが、水産庁ではそのデータを出す御意思があるのか。出されるのか、出されないのか、これをまずお伺いしておきます。それからもう一つ漁業権補償と相まつて当然起るのは、免、許可料の問題であります、これらの免、許可料のパーセンテージもきまつておりませんし、それから免許料、許可料の期間も、何年間でこれをとるのか、これもきまつていないようであります。これは、大蔵当局意見を十九日に聞いたときも、はつきりきまつてないと言つておりますが、どの程度の御意見を持つておられるか、まずもつてお伺いいたしたいのでありますが、時間の関係上、もし内部において決定しておらないとすれば、今日は必要ありませんが、とにかく私の考え方から見まして申し上げますと、現在の漁獲高は年々、増加しております。当初計画を立てたときには五億万貫程度の漁獲よりないというような目標でやつたのでありますが、今日では少くも九億ないし十億に近づいております。そうしますと、漁業権のみで漁獲するものは大体五億を下らないと考えております。こうしたような観点からいたしまして、大体免許料の漁獲高に対する。パーセンテージというものは一分くらいで、二十箇年くらいこれを取立てましたならば、国の漁業権に対する補償が、利息を加算しても、十分われわれはやり得るのじやなかろうか、かように考えますので、この点について、水産庁大蔵省と相談をしてこれを決定するかどうか、また決定する場合には委員会にこれの呈示があるかどうか、こうしたような問題についてお伺いいたしておきたいと思います。それからまだ水産問題はずいぶん山積しておりますが、一つも片づいていないといつてもいいくらいであります。われわれは少くとも今期国会において委員会で片づけて行きたい。たとえて言えば、この間の機船底びき網の問題も片づいておりません。それから旋網の問題も片づいておりません。さんまの取締規則の問題も片づいておりません。その他あげますとたくさんありますが、ほとんど片づいておらないものばかりですが、これは何とか今期国会に一応片づけて行きたいと思いますが、こうしたような点について、水産当局は御意見があるかどうか。これは大蔵当局には大した関係がありませんので、ただいまの御質問については水産当局に、免許科、許可料の問題については大蔵当局に、お伺いをいたしたいと思います。
  66. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 川村委員にお諮り申し上げます。今の御意見は、すぐここで答弁を必要とされますか。
  67. 川村善八郎

    川村委員 免許料、許可料の問題で、期間とパーセンテージは、水産庁大蔵省で相談してきめればいいと思うのでありますが、これはどうですか。
  68. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 水産庁当局から一通り説明を願います。
  69. 藤田巖

    藤田政府委員 免、許可料の取り方でありますが、これはこの前にもちよつと大蔵水産の合同委員会お話したのでありますが、大体補償金額、それから償還年限、あるいは利率というものがきまつて来ませんと、正確なデータは出ないのでありますが、大体の見当は、お話のように二十年あるいは二十数年というようなことで計算をいたしますと、魚価も相当上つて来ておりますから、おそらく一%ちよつと出たようなところで、大体金額としてはそれでいいのじやなかろうかというふうな見当もつけております。大体お考えのようなところとさして狂いはないように思つております。この点はなお大蔵当局とも御相談をして、どうするかを今相談中でございます。至急きめたいと思つておりますが、大体お考えのようなところと大差なくきまり得るのじやないかというふうに考えております。
  70. 川村善八郎

    川村委員 水産庁では常に漁民の味方になつて御心配くださつておるけれども、どうも大蔵省は、先ほど松田委員からも言われたように、独善的な立場になつてすべてのことをやるというようなことも考えております。しかし今後はそうでないというようなことをわれわれは確信いたしますが、とにかく漁業権証券からは、当初税金をとらないという水産庁の御説明であつた。ところがそれがくつがえされて、今度は免許料、許可料でなく、漁業権補償料から、大体十四億何千万円か、十五億近いものをとるということにかわつて来ておりますし、水産庁長官は免許料、許可料が、大体私が発育した線に行くのじやなかろうかと、こう言つておるが、またぞろ大蔵省が、当初水産庁が三分くらいだといつたようなことであつたのをたてにとつて、漁獲高の三%くらいとるということになると、また問題が起りますので、大蔵当局はどこまでも、ただいま水産庁長官答弁されたような結果に納まるように、御相談してくださいますかどうか、銀行局長でもどなたでもよろしゆうございますが、責任のあるところを伺いたいと思います。
  71. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 大蔵省当局の御答弁を求めます。
  72. 佐竹浩

    佐竹説明員 どうも主計局長からの答弁でなくてまことに申訳ないのでありますが、大体私どもの今聞いておりますところでは、先ほど水産庁の長官から申し上げましたような、二十年ないし二十二、三年というところで、年額ほぼ十二億ないし十三億程度ということで、漁獲に対してほぼ一%を若干上まわるというところの線を承つておりますが、大体その線で参りたいと者えております。なお詳しくはさらに打合せいたしませんと、最終的な数字は出ないと思います。
  73. 川村善八郎

    川村委員 わかりました。
  74. 冨永格五郎

    ○冨永委員長 川村委員に申し上げます。先ほどあなたから租税特別措置法の一部を改正する法律案を小委員会に付託するという御意見がありましたが、御退席中に金融に関する小委員会に付託することになりました。そのほか沿岸漁業の基本的復興対策に関する小委員会関係が重大であるから、小委員長に御協力を願うという委員会の決定になつておりますから、御了承を願います。本日はこの程度にとどめ、次会に引継いて審査いたします。次会は明後二十四日木曜日、午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会