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1951-05-17 第10回国会 衆議院 水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十七日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    永田  節君       原 健三郎君    水野彦治郎君       佐竹 新市君  出席政府委員         水産庁長官   藤田  巖君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      高橋 泰彦君         経済安定事務官         (建設交通局公         共事業課長)  中尾 博之君         経済安定技官  下林 一雄君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 五月十六日  委員久野忠治君辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  漁港に関する件  さんま漁業取締等に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  連合審査会開会要求の件についてお諮りいたします。租税特別措置法の一部を改正する法律案が、去る十五日大蔵委員会に付託されました。これは漁業権証券課税に関する法案でありまして、本委員会が最も関心を持ち、鋭意検討をして参つた問題でありますので、本案について大蔵委員会に、連合審査会開会要求をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。なお会議は明十八日午後一時半より開会する予定でありますから、御承知おきを願います。  この際ちよつと御了承願いたいと思いますが、過日漁港指定の問題につきまして、運輸委員会に対して連合審査会開会要求をいたしたのでありますが、本問題につきましては、すでに了解がつきましたので、連合審査会はとりやめることにいたしましたから、御了承願います。     —————————————
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより漁港に関する件を議題といたします。質問の通告があります。これを許します。松田委員
  5. 松田鐵藏

    松田委員 安本公共事業課長にお尋ねいたします。水産庁といたしまして、漁港に関し、内地は六十一港でございましたか、それから北海道が二十一港でございましたか、こう安本に対して要求をされておるように聞き及ぶのでありますが、この経過が現在どのようになつておられますか。お聞かせを願いたいと思います。
  6. 中尾博之

    中尾説明員 北海道漁港の件につきましては、水産庁関係と、それからもう一つ北海道開発庁関係とございます。安本といたしましては、一応北海道開発庁と協議をいたしまして認証いたす、こういうことになつておるのであります。水産庁安本とは直接交渉はいたしておりません。水産庁の御意見というものは、私仕事関係承知はいたしておりまするが、直接交渉の筋に当つておらない関係で、二十一という問題につきましては、私のところにはほんとうの筋では届いておらぬというわけであります。従いまして、水産庁の方よりか北海道開発庁の方から要望が参つておる。これは二十四港でありまして、水産庁の御意見ともあるいは違うのかもしれませんが、そういう、要求というとおかしいのでございますが、北海道開発庁意見が私の方に参つておる、そういう関係であります。  内地の方につきましては、これは水産庁の方と私の方と直接でございますから、いろいろ話を進めておりますが、新規継続と両方並行いたしまして、いろいろ相談をいたしております。ごく最近のところで申し上げますと、継続関係につきまして最終的な話を進めたい、こういうことで、二、三日前から最後話合いにかかつております。順序といたしまして、継続の方の持つて行き方がきまりませんと、新規の方にまわしまするところの財源がきまらぬわけであります。それで継続の方を急いでおるわけであります。継続の方がきまりますると、今度はそのわくの中で新規の方をはめ込む、こういう段取りになります。
  7. 松田鐵藏

    松田委員 お聞きしますと、継続がまだきまらないから、新規の方のわくがまだ決定される段階にまで進まないという御意見のようでありまするが、おそらく漁港関係だけが残つておるのではないかと思うのですが、今公共事業費のうちに、重要な問題でまだ決定されていない、かような状態になつておるのが、他にどのくらいありましようか。他の部門でたくさんありましようか。その点をひとつ…。
  8. 中尾博之

    中尾説明員 拾い上げまして全部申し上げるということは、ちよつと資料がございませんが、今ここで頭に残つておりまする分を申し上げまするならば、第一は中小河川の分、これは補助の分であります。これは継続の分が話がつきまして、新規だけが残つております。それから道路につきまして、道路補助による改良で、直轄ではない分、それの継続の分は済みまして、新規わくがきまりましたので、その中に新規を盛り込む話合いを、今進めておるわけであります。同じく、橋梁でございますが、これにつきまして最後交渉をやつております。これは新規継続ともにまだ話がつきません。それからこの漁港関係、その次は農業の灌漑排水事業、その中に府県補助によつて実行いたす分がございますが、その事項について申し上げますと、二つにわかれて、大規模と小規模と両方ございます。いずれも継続の分が話合いがつきまして、新規の分が今折衝中、こういう姿になつております。  概して申し上げまするならば、補助金による分が残つておる、しかもおおむね新規の分が残つておる、こういう姿であります。
  9. 松田鐵藏

    松田委員 漁港の方は、内地関係の方はまだ新規継続も残つておる。どういうわけでこういうように残つておるのであるか。それにはいろいろと安本としての計画もあられることと思うのでありまするが、ここに来られておる陳情の方はそうでもないかもわかりませんが、昨夜も水産委員会に対して、早く決定してくれるようにという陳情の電報が二本ほど来ておるのであります。水産委員会といたしますれば、漁港審議会審議をも経ておりまするし、でき得るだけ早くこれをきめて—第一・四半期ももはやこうして五月になつており、早く着手されることを希望しておるのでありますが、こうした国の仕事が、五月になつてつて決定されないということは、どういうところに原因があるのか。私どもとすれば、納得のできない点がたくさんあるのであります。内地府県においては、昨年二十五年の第四・四半期の金が残つておるのであるか、それともまた工事の面か、どういうような設計になつておるのか、現在継続してやつておるのかおらないのか、こういう点がわれわれとすればわからないのでありまするが、どういうようになつておられますか、御説明願いたいと思います。
  10. 中尾博之

    中尾説明員 前段の御質問は、予算箇所別の内訳がこういうふうに遅れておつて地方の御要望に沿いかねておる、これはいかたる事情によるものかという御質問と心得まするが、これにつきましては、実は私も非常に遺憾に存じておるのであります。元来予算でございまするから、一項々々ちやんと検討を加えまして、それを積み上げまして予算が成立いたすべきはずのものであります。それによつて予算の御議決も願えるという次第に相なるのでございまするが、実は今年度の予算はそういうふうにはきまつておりません。ただ金額だけが先にきまつた。これは漁港予算だけに限らないのでありまして、公共事業全般につきまして、ただ金額、いわゆるわくでございまするが、これがきまつたということでございまするから、予算が成立いたしましても、中身はまるでブランクであるというのが実情であります。それから予算が成立いたしましてから、中身を順々にはめて行くということになりまするので、従いまして、わくがきまりまして、それを頭に入れて実際に作業を始めましたのは、この新年度になつてからという状態であります。これが遅れました根本の原因であろうと考えます。これはまことに困つたことでございます。こういうことでは、予算が多いのだか、少いのだかもわからない、中身がないのであります。せめて来年からでも、中身のある予算をつくりたいというふうに私ども心がけまして、そういたしたいと思つております。なかなかそういうぐあいに行きかねる事情がありまして、私どもは非常に苦慮いたしておる点であります。なお大分遅れておりまするが、これは地方の議会の関係もございまして、早いところ諮りませんと、非常にむだを生じまするので、急いで検討を進めまして、いろいろ毎日相談をしておるわけでございます。  なおこれはまことに申訳ないので、理由にはなりませんが、北海道開発庁新規予算関係にタッチすることになりましたので、これを経由いたしまする関係上、北海道につきましては、さらにその中で遅れておるという実情がございます。現に水産庁の方にお願いいたしましても、いろいろ事情は違つておるわけであります。二十五年度に実行いたしました箇所がどのくらい事実上進んでおるかというふうなことを明らかにいたします平面図も、最終的には、実は数日前に私が受取つたというような状態でございます。これは役所内部の連絡のまことに悪い点でありまして、私も役所の方の人間といたしまして、恐縮に存じております。実情はそういうことでありまして、私も非常にやきもきいたしましたが、そんた事情もございます。まあそういうことであろうと思います。  それから予算がきまらない。一体どういうことをしておるだろうかという御質問と心得まするが、その点につきましては、実は私どもそう事情をつまびらかにいたしておりません。普通に考えまするならば、出納整理期間中に残工事をやつておるということはございましようが、各箇所予算額は必ずしもそう十分ではございませんから、おそらく年度内にすつかり仕事を仕上げまして、現在は予算がないから中止をいたしておるというところが多いかと存じます。もつとも見返り資金等によつて相当多くの金額がついたり、あるいはおそく予算の配付があつたようなところにつきましては、最後の締めくくりの仕事をおやりになつておるのじやないか、こう考えております。     〔委員長退席鈴木委員長代理着席
  11. 松田鐵藏

    松田委員 課長は非常に多忙であられるので、ただいまのような御意見を吐かれるのではなかろうかと考えるのであります。下林さんにおかれましては、よくその事情がおわりになつてつて、そうして漁港計画というものが、単なる金の予算によつてのみでき得るものでなくして、その計画というものがはつきりでき上つておることは、あなたは御存じないかと私は考える。下林さんにおいては、それはよく御承知なさつておることだと私は記憶しておるのであります。漁港をつくるのにどの程度漁港をつくるか、たとえばケーソンを入れるのには、ケーソン一つが幾らかかるか、また護岸をやるのには、護岸はどのくらいかかるのであるか、かような点は、技術関係においてははつきりわかつておることであります。あなたは技術者でないからおわかりならないのかも存じませんが、しかして昨年の七月から、この予算の獲得のためにいろいろと審議されておつたのであつて、たとえば北海道において二十四と言おうか、二十二と言おうか、二十と言おうか、またあなた方の主張する十四と言おうか、こうした面におけるどれだけの予算があつたならば、どれだけの仕事ができ得るかということを、安本がわからないなどということでは、とうてい課長は、あなたの責任というものは全うでき得ないことであろうと私は思います。下林さんは何メートルの築堤をするのには幾らの経費がかかるということをはつきり御存じあると思う。また一々安本にその予算要求をする、またその打合せをするときにおいては、決してでたらめに私の方は一千万円ほしいとか、私の方は二千万円ほしいとか、でたらめをもつて安本要求しておるものではないと存じておるものであります。一つ漁港というものができるのには、五箇年計画なら五箇年計画によつて一億なら一億という予算をもつて、その工程において、予算範囲内において、今年は十三億なら十三億という漁港予算があつたたらば、そのうちから北海道幾つ内地幾つ幾つ、こうなつた場合において、どの程度予算があつたならば、どの程度のものができ得るということは、私でさえわかる。こういうことは今まで、昨年以来安本に対し要求し、安本に対し具申をして—計画なくして漁港予算を獲得しようなどという考え方は、各府県または北海道においても、毛頭そういうような考え方は持つておりません。あなたがただいま私どもに発言されておる事柄は、何も御存じないことだと思つておる。その予算の内容というものは、ただ金額をあてがえば、それによつてどれだけの工程が行えるなどということはもつてのほかである。予算ができてから、この予算の中にどれだけ—かりに一千万円としても、この一千万円の工事ができ得ない場合において、九百八十万円になるやもしれず、これらはあなた方の方として調査をして決定をしなければならぬ事柄ではなかろうかと存ずるのであります。私どもただいまあなたの御意見を聞いて、公共事業課長ははたしてかような感覚をもつて勤まるかという考え方を持つておる。もつとあなたの部下を信頼されて、下林さんのように、すべての事情がすつかりわかつておる方に、こういうようなことをなぜ御一任なさり得ないのか。私ども下林さんとも相当議論もいたしました。しかし新しい感覚をもつて、まことに国の予算に対する考え方を主張される点に対しては、私ども実に敬服をしておつたものであります。ところが課長においては、いまだにそういうこともなく、河川においてもまたその通りであろうと思う、また道路においても、橋においても、ただいまあなたが言われるようなことであつたならば、とうてい公共事業課長としての責任が全うでき得ないこととなるのである。もし一千万円の橋ができるのに、そのうちに橋が八分通り予算よりやれなくて、その橋がはたしてでき得ることであるかどうか、かようなことに対しては、あなたの御意見というものはまことに奇怪に聞えるのであります。一千万円なければ橋がかからぬのに、八百万円だけ予算は振りわけたからといつて、脚を抜くか、欄干をとるか、または五間なら五間というものを削つて、八百万円の橋をかけるというようになるか、かようなことであつたならば、とうてい公共事業費というものを使う、またそれを査定される責任はどこに持つて行かれるか、かような点に対して、私まことにただいまの御意見に対しては不満を持つものであります。  しかし私どもは、今あなたに対してさようなことを申し上げるのではない。ただ四千港もある港湾を、一ぺんにやるわけには参りませんので、あらゆる努力をして、そのうちから重要なところを選んで六十一港に水産庁意見がまとまつて安本に対してこの承認方をお願いしておるのに、いまだにそのわけもきまらぬ、また新規の方の予算もきまらぬ、継続の方の予算もきまらぬ。こういうことは、どういうところにその欠陷があるのか、まことに私ども了解に苦しむものであります。しかも何のために六十一港というものが、四十五港に減らされるのか。私どもは良心的な仕事をするのだと、あなたは言うたではないか。あなたは良心的な仕事をすると言つておるのに、今日の予算の組み方は何であるか。でたらめもはなはだしいではないか。あなた方は国会できめた予算を、国会の意思によつてそれを完全に施行して行けばいいのだ。忠実にこれを施行して行けばいいのだ。それが行政官の役目である。しかもあなたは、主計局長自分グループのものであると常に豪語しているというじやありませんか。何たる言葉であるか。大蔵省からおいでになつて安本に来ておられるのかもしれないが、主計局長自分グループのものである、いかに大臣が何と言おうと、主計局長の方をおれはどうでもしてみせるということを豪語しているということを聞いている。かようなことで日本の行政官として仕事ができ得るか。おとといの委員会でもあつた運輸省の役人が、事もあろうに、水産委員会がそのときの勢いにかつて運輸省の反対をも押し切つて漁港法をきめたと言つて水産委員会を誹謗している。かような考え方をいまだ官僚は持つている。あなたは公共事業課長としてとるべき職責も満足にでき得ずして、どうして公共事業課長職責を全うすることができるか。まだできないじやないか。あらゆる事業計画というものは、何メートルの築堤をつくるには幾らかかるかということははつきりわかつているが、あなたはおわかりにならない。下林さんははつきりわかつている。何をこれをぐずぐずしているか。私は北海道出身なるがゆえに、北海道の問題は言いたくない。内地府県において六十一ということで、委員会も、農林大臣も、安本長官もそれでよかろうというので、われわれと折衝が成り立つた水産庁においても、これを最後の案としてあなたの方へ認証を願いに行つておるのであります。かようなことを、あなたの一存において反対する理由がどこにあるか。あなたは行政官である。大臣よりあなたは偉いというのか。決定権をあなたが持つておるというのか。持つておるなら持つておるということを、委員会においてはつきり言つてもらいたい。あなたの方の委員会はほとんど開いていないから、こういう議論が成り立たないかもしれぬけれども水産委員会は一日おきにあらゆる問題を検討しているのだ。農林大臣安本長官水産庁、当委員会がこの漁港を六十一つくろうという新規計画に対して、あなたはどういうことによつてこれに反対されておるのか、その理由を承りたい。
  12. 中尾博之

    中尾説明員 御質問の御趣旨が、非常に長くなりましたので、よく要点をつかめませんが、私のいろいろな事柄につきまして御質問があつたようでありますので思い出すままに一応申し上げます。  今お話がございましたが、私はただいまお答えいたしました際に、意見は申し上げておらないのであります。どういうふうに進んでいるかということで、その進みぐあいを申し上げた次第であります。なお私の職務遂行上のやり方につきまして、あるいは設計等は見ないで金をただわけるというようなやり方をしている。従つて千メートルの橋を八百メートルにしてかけるというようなことでありますが、それは少くとも今回の予算が成立いたしまする時期までは、それによつて予算はきまつたのであります。私自身は役所の一人の人間であります。どういうことでそういうことになつたかということになりましても、これはちよつと説明はいたしかねますが、とにかくそういうふうにきまつたことは事実であります。従いましてそのわくがきまりましてから、個々の港の設計書と首つ引きで一つ一つ今はめ込んでいる、こういう作業をいたしている次第であります。決して個々の港をばらばらに、全部数で割つてつてしまうということではないのであります。それで一港一港やつておりますので、意見もいろいろ違いますし、考え方の相違もございまして、折衝にひまどるのであります。数が多い関係上、いかにスピード・アップいたしましても、一定の時間を要しますので、その点は御了承願いたいのであります。ただ私といたしましては、できるだけ急いでやるつもりでおります。  いろいろお話がございましたので、一応私も誤解のないようにちよつと申し上げたいと思います。  実は継続の港につきましては、私が今苦慮いたしております。それにつきまして新規の話が当時ございました。新規をよけいやりたい、こういうお話でありましたので、やりたいことはもちろん私ども同感でございます。ところが継続事業がございまして、新規の港をあえて非常に小さい金でもつてたくさん手をつけますと、方々がみんななかなか進まないおそれがある。それでは結局来年度の予算がよほど増額する見込みがないならば、そこまでなかなか持つて行けない。全体の計画がございまするので、それは私どもの実は一番心配いたしておる点でございます。ところがこの問題につきましては、来年度の予算でありまするから、何人もこれを即断ずるわけにはいかぬ。事実わからない問題でございます。そこで今年度の公共事業編成の過程も考えまして、予算総額わくの問題、一般の国の予算全体から見ました場合の公共事業わくの問題、それからその中におきまするいろいろな事業に対する割当と申しまするか、配分の問題、そういうようなものをいろいろ考えてみなければならぬ次第であつて、従いまして、多くとりたいのはやまやまであるけれども残事業との関係を見まするならば、なかなかそうは参らぬ。ただ数の問題ではないので、残事業というものとのにらみ合せにおきまして、ある程度工事が進むならば、かりに港の数が多くとも早く効果は出て来るものであるから、そういう点でもつて実は苦労しております。事実それは水産庁あたり、あるいは北海道開発庁あたりとも相談をいたしまして、全体の計画効果の上る範囲でまとめまして、それに対して、たとい少い金額をつけてもまとまるようにするところの、進捗率を大きくするというようなくふうをいたしまして、なるべく多くの港をとりたい。こういうことで苦慮いたしております。そういうような事情を申し上げたのでありまするが、何人といえども来年度の予算がそう増額されるとも考えられないし、それからされないとも考えられないのであります。そういうこともございます。(「そんなこと君必要はないよ」と呼ぶ者あり)そういうことを—私はそのときに必要があつたかどうか存じませんが、そういう相談委員長といたしました。しかしその際さらに言われました。予算全体の問題はあるけれども、われわれは職能代表として出ているのであるから、その点をとにかく考えてもらわなければならぬ、こういうお話もございました。それで私は、もちろん職能代表の方の御意見であるだけに、それは私どもとして一番服庸いたすべきものとしていつも心がけているのであります。そういうお話もございましたが、要するに当時の事情はそういうことでございます。それからなお私が女木の内部おきまして、大臣がきめたものを私が最後決定権を持つているがごとくに言つておるという点は、これは非常に迷惑な点でございまするが、これについては私は何も申し上げることはございません。といづのは、役所の組織というものはそういうものでございませんので、私は大臣の御意見は何回も承つておりまするし、最近の大臣の御意見承知いたしております。なおその際内地何港、あるいは北海道が何港であるとかいうような、いろいろな数のお話がございましたが、これは役所内部の事務的の折衝の数字でありまして、外部に対して私から申し上げたことは一向もございません。私にはそういう職務は、ございませんので、あるいは外部方等がお見えになりまして、いろいろ御意見を承ることもございまするが、少くとも私といたしましては、大臣の御決裁をいただきまして、経済安定本部としての最終的な意見としてこれがきまつたという段階でない限りは、責任をもつて外部の方にそういうことを申し上げたことはございません。数の問題も、現在のところ私は大臣から御指示をいただいておりまするが、それはいまだ外部にはたれにも申し上げておりません。そういうようないろいろな内部事情も、委員会の方におきましても、あるいはいろいろ地元の方の方におきましても、御存じになつている向きもあるようでございます。懇談の席等では、役所関係の人からそういうことを申し上げたこともあるかと存じますが、私は、それは役所のことに対しまして最終的な決定であるかのように申し上げたことはないのであります。これはいろいろ仕事をやつておりまする過程におきましては、いろいろ議論もあるものであります。数の問題も当然出て来ます。それらにつきましては、おのおの最終の意見である。これが間違いない意見であると言つてつておるのではございません。現にきのう、おとといあたりでも、お互いに話合いまして、双方で了解するという点はあるのであります。その過程の数字でございます。初めから実は完全な此事はできないものでございます。いろいろな数字はございますが、一々それをあるいは私の最終的意見であるというようにおとり願いましては、私といたしましては、実は非常に迷惑いたしまするが、それならば私の仕事は何もないということになります。そうではございません。これは話合いの問題であります。私の一存だけで責任をとれる問題ではございません。その過程の問題でございますから、御承知を願いたいと思います。  それからもう一つ、話が前後いたすかとも存じますが、私が大蔵省の方のあるいは利益を代表すると申しますか、立場を代表して参つておるということでございましたが、これは答弁の限りでないかと存じますが、一応そういう誤解がございますならば、これは明らかにいたしておきませんと、必ずしも私個人の問題では、ございませんので申し上げます。それは私自身もともと大蔵省に縁故の深い経歴を持つた者でございまするが、現在は経済安定本部へ参つておるのでございます。その立場において仕事をいたしておるのであります。なお大蔵省の方では予算全体を見ておりまするから、それに関連しまして財政上の見地からいろいろな意見もございます。しかしながら個々事業なりというものは、おのずから計画がございまするので、それらの計画につきまして、大蔵省がそれほど深い研究はいたしておりません。これは私どもの方が詳しい。従つてそれらの問題につきまして、大蔵省がとやかく申すということは事実上ございません。役所内部事情になりますが、今まで予算のいろいろな折衝もございます。しかし大蔵省側から特にこういう点は不適当である、こういう意見を入れろというような強い意見というものは、私は受取つておりません。それから大蔵省と対立の意見に至つた事例も、今回の予算の編成についてはないのであります。過去のことは私はつまびらがにいたしませんが、少くとも私が参りましてから以来、農業関係等で二、三の問題がありましたが、それも順々に解決をいたしまして、現在はもう済んだ問題になつております。ごくつまらぬ二、三の問題がありました。それ以外、対立とか、あるいは大蔵省の意見公共事業計画がどうなつたというような点はございません。従つて私もその点何ら心配はしておらぬのであります。これは経済安定本部というものがございまして、事業面の総合調整という職権を持つておる、あるいは職責を持つておるという点を、大蔵省側で了解いたしておりますので、その点はこちらの意見を尊重いたしておるのでありまして、向うから特段の意見というものを出す必要を感じておらぬような状態にあります。従つて質問のような点は、私の考えます限り、何もございません。ほとんど関係の各省、それから安本だけの相談でこれはきまつて行く筋になつております。もちろん最終的には、大蔵省に持つて参りまして説明はいたします。しかし私が持つて参りまして、各省と話をつけて参りました原案に対して、大蔵省がこういたせというような意見を吐いた例は、今年度の予算に関する限りはいまだございません。なお漁港につきましても、まだ何も大蔵省の方から意見はございません。情報はみな大蔵省の方とは連絡をいたしておりますから、向うでも若干検討はいたしておりましようが、何ら意見はございませんし、今のところ別にそういう問題は、私どもとしては思い当るところはございません。大体御心配の点につきまして御説明申し上げますと、そういうふうな状況になつております。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 今世間では輿論として、安本が不必要だという議論もある。ところがわれわれとしましては、今日安本というものは一番重要であると考えておるのであります。あなた方もよくお聞きなさい。日本の国がやがて講和が成立して独立国とならんとするとき、今まですべてが占領下にあつて、一定のわくにきめられておつた日本の経済を脱皮して、あらためて日本の経済を自立しなければならないときが今やわが国に来るのであつて、このときこそ安本というものが重大な責任を持つということで、おそらく今までの安本と性格が一変した、実に重要なる安定本部となるであろうと私どもは考えておるのであります。しかしそれもすべてが内閣において、議会において決定された政策を、あなた方が実行することによつて、初めて各省間との割振りができ得るものであつて、そこが安本のなすべき道であるとわれわれは考えておる。あなたは一課長にして、明年のことも心配される、また明後年のことも心配される、このお考えについては私は敬意を表するものであります。しかし考えてごらんなさい。昨年の公共事業費は幾らか、本年の公共事業費は幾らか、この数字はあなたははつきりおわかりであろう。昨年の漁港予算というものは、わずかに六億五千万か七億であります。本年は十三億三千万円、この数字というものは、どのような関係によつてでき上つたかということを、あなたはまだ御認識がない。漁港というものは道路と同じものであつて、公共のために使われるものである。その県の船ばかりでなく、どこの船でもそれを活用するためにでき上つておるのが漁港であり、また商港であり、港湾である。こうした考え方をあなた方が今持つておられるかどうか。道路と何らかわるものじやない。道路を鋪装道路にすることも、商港をつくることも、産業面において、公共面において同じことである。いまだ漁港というものに対する認識をあなた方がしていないために、日本政府においてもまだしつかり把握できないために、いまだに漁港というものに対しては、内地においては国庫が四割の負担だ、やれ五割の負担だといつて論議されておるようなものだ。これは地方道路もあるし、国道もある。こういう例に従つて漁港などは全額国庫でやらなければならないものである。これが新しく日本の国の経済が自立されるときには、そう行かなければならないもので、ある。こういうことをまず念頭に置いてもらいたい。しかして去年の漁港予算と今年の予算とでは倍になつておるではないか、それは各大臣も、委員会も、また各代議士もよくこの意味をわかつておるがゆえに、将来もつともつと漁港予算というものはふえる可能性がここにはつきり現われておるものであります。あなたが一課長として心配されることもいいが、もつともつと国権の最高の機関としての国会はこれを心配しておる。あなたの御心配よりも、もつともち国会はこれに対してまじめな意見をもつて心配していることを、あなた方はよく考えておかれたいと私は考えます。それからただいままでのあなたの議論は、何たるしどろもどろの議論であるか。あなたの発言されていることを速記を見て答弁されなければいけない。予算わくというものは、ただ金額をあてがうか、あてがわぬかということを言つておるのじやないか、計画は何もなくてもやろうとあなたが言うたではないか。そういうものではないのである。下林さんは、現にどこの港がどれだけの経費がかかるか、どういうものになつておるかということは、はつきりおわかりになつておるのだ。また水産庁漁港課長も、北海道開発庁も、内地府県も、すべてがそういうことを計画ができずして何の予算要求があるか。そこにおいてわれわれも将来必ず、漁港というものに対するただいま私が申し上げたような考え方から、どうしても日本の国の海に対して、公共事業の面において、十分にこれを整備して行かなかつたならば、日本の国の産業経済というものは目立ができないという考え方から、国会はこうして予算要求に努力し、昨年の倍額にもなつておるようなものである。こういう面からいつて、あなた方の考え方の誤れる点を、私ども意見を、よく参考に供して直してもらいたい。またあなたは、どこどこの港をどうしたこうしたということはない、こう言われるが、きようは五月の十七日、今日まで、第一・四半期の半ばを経過しておる今日、今まで予算の裏づけがない、決定されていないために、あなたの手によつてでき得ないがために、今日事業を中止しておる。内地府県ならば、第四・四半期の三月三十一日、それから十二月でも一月でも施工できるが、北海道においては、十一月以降明年の四月まで仕事ができるか。このためにいかに地方庁、現業庁が苦労しておるか。あなたはおととい休んでおるではないか。あなたは体のぐあいによつて役所を休んでおるが、しかし現地においてどれだけの苦労をしておるか、国民がどれだけこれを待望しておるか、一日も早いこの予算決定を待望しておる。国会は何をしておるという電報だ。あなたはこの問題の解決に誠意をもつてつておると言われるが、何のためにお休みになつておるか。体のぐあいもあるだろう、またいろいろな御都合もあるだろう。しかし何のために五月の半ばを過ぎておる今日まで、これを決定されないか。予算は二十五年度のうちにはつきり決定されておるではないか。国会を通過しておるではないか。それにもかかわらず、五月の半ばを過ぎても、今日まだ決定されていないなどということは、安本として一体どういう考え方を持つておられるのか。あまりにも官僚独善的な考え方を持つておるのではないか。地方民はどれだけ苦しんでおるか。またあなたに繰返して言うが、戦争以前は上御一人の議会政治であつたし、戦争中はあなた方万能の全体主義的な日本の国の政治であつたが、主権在民の議会政治が今日の日本の政体である。あなたの今までの考え方、今まで言うておられること、しかも傲慢無札な態度をもつて委員会に入つて来たときだつてそうである、われわれ国会議員がおるのにあいさつ一つしないではないか。さような傲慢無礼な態度をもつて国会に臨もうなどという考え方が、常にあなたの安本において行つておる行為を立証しておるではないか。今日この委員会に入つて来たとき、われわれ国会議員がおるのに、あいさつ一つしなかつたではないか。かようなことで、日本の国政があなたの手によつてできると思うか。何のために五月の半ばにして、今日まだこれを決定でき得ないのか。あなたはおととい休んでいるではないか。これがあなたの今日まで行つて来た一つの例ではないか。あなたが答弁できるなら答弁してごらん。国会侮辱もはなはだしい。
  14. 川村善八郎

    ○川村委員 私は時間の関係上、漁港の問題で単刀直入にお伺いいたします。先ほどから松田君の質問に対して、課長がいろいろ御答弁されておりますが、私もその中にいろいろな疑問を持つのでありますけれども、今議論しておつたのでは、かえつて漁港関係が遅れますので、単刀直入にお伺いいたします。水産庁漁港課からも、あるいは北海道開発庁からも、それぞれあなたの方に、漁港の修復についての決定について要求があつたということは、もうあなたは認めておりますが、いつごろまでにこれが決定できるか。極端に言うならば、一体何日にできるかということを、まずお伺いいたします。
  15. 中尾博之

    中尾説明員 遅れておりまする点は、先ほど来いろいろ御説明申し上げた通りであります。結果において遅れておりますることにつきましては、まことに申訳なく存じております。なお仕事を急いでおりますが、いつまでということをここでお約束することは、実はちよつと私も自信がございませんが、極力急ぎまして、水産庁の方からは、二十日ごろまでには何とか地方に電報を打ちたい、こういうことを言つております。これはごもつともな点なので、私もそれまでに間に合わすようにという心づもりで、急いでおるような状態であります。
  16. 川村善八郎

    ○川村委員 あなたが約束できないとなれば、あなたは漁港法を一体研究しておりますか。私は漁港法を読んでみましよう。漁港法第十七條に「農林大臣は、漁港審議会意見を徴し、その意見を採択して漁港の整備計画を定め、閣議の決定を経なければならない。もし、農林大臣が、漁港審議会意見を採択することができないときは、その定めた漁港の整備計画に当該漁港審議会意見を添えて内閣に提出しなければならない。2、内閣は、前項の規定により漁港の整備計画決定したときは、これを国会に提出して、その承認を受けなければならない。この場合において、内閣が決定した漁港の整備計画漁港審議会意見と異なるときは、内閣は、漁港審議会意見を添えて国会に提出しなければらない。」こうなつております。この問題になりますところは、あなたがいつまでにこれを決定するという約束ができないということは、国会の承認を受けなければ予算の執行ができないという—第三項にはつきりさらにこううたつております。「内閣は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、前項の漁港の整備計画を実施するために、必要な経費を予算に計上しなければならない。」こうなつております。そこであなたの方では、一応予算をとつたから、いつきめてもいいんだという考え方があるんだろうと思つておりますが、この予算は、整備計画を出しまして、それを承認を受けなければこれ実施に移すわけには行かないというのが法律の内容になつております。そこで、あなたは御承知であるかもしれなせんけれども、私は審議会委員であります。国会から一人代表して出ております。審議会の方ではそれゆえに急いでこの整備計画を樹立いたしまして、大体港数もきめて、そうしてそれぞれ水産庁を通じあるいは北海道開発庁も通じて、皆さんに早く決定をするようにと急いでおるのであります。あなたの立場で今申されたことは、これをいつ決定するということも約束ができないとなれば、もし国会が過ぎてしまつたらどうなるか、それこれ事業の執行ができないことになります。今度の国会で承認を受けなければ、事業の執行ができないということになるのであります。でありますから、私らの方では、もちろんあなた方の予算範囲内で港数を決定するということにはいろいろな議論もありましよう、また将来の予算がどうなるかというようなことについて、完成年度の問題やその他いろいろ御心配なさつておるでありましよう。しかしながら何と言つても、法律にこうして定められておる以上は、われわれは今国会において整備計画はつきりして、国会の承認を受けなければならぬということになつておりますので、急いでおるのであります。従つてあなたはいつまでにこれ決定するという約束ができないなんてのん気なことを言つていると、ことし中に工事ができないということになります。でありますから、あなたも公共事業費についてはいろいろな法律も研究していたさるだろうけれども漁港法も十分研究して、そうしてこれが一日も早く決定しなけれぱ困る、季節的にいろいろ事情が違いますので、北海道につきましては、かりに今決定をいたしましても、六月からでなければ着工できない。そうすると六、七、八、九、十、この五箇月であります。十一月になりますと、北海道は雪が降つて寒くて、下手をすると今度はセメントが硬化しないために、波浪のために破壊されるという例がたくさんあるのであります。その例をあげたいのでありますけれども、時間の関係上申しませんが、実は森は私の地元であります。その地元の漁業で七つのケイソンをこわしております。それから昨年これは檜山郡の豊浜というところは四本入れた、村でやつたあとの三本はこわされておるのでありますから、北海道は季節的にそういつた欠陥がありますので、何といつても、これは一日も早くあなたの方で着工数を決定していただかなければならぬということが、私のあなたに対する要望であります。そこで今度の港数の問題でありますが、それぞれ要求しておるものに対して、いろいろ大臣意見もありましよう、またその他あなたの方の役所の中の御意見もありましよう。いろいろありましようけれども、われわれ審議会といたしましては、妥当な線と信じて内地は六十一港に、北海道審議会では二十一港と決定しております。それで開発庁から二十四港着工するということは、私は初めて今耳にするのでありますが、審議会の方では、北海道は二十一港、内地は六十一港と決定して、それぞれ本年の着工数としておるようなわけであります。そこで数の問題についてはいろいろ議論もありましよう。あなたの方の議論としては、予算が来年はよけいつけられないと、これはかえつて港数をふやすよりも、港数を減らして完成を早くした方がいいという議論もありましよう。しかし北海道に限つては、予算をあまりにたくさん一港につけましても、工事能力やそれから機械の設備等がないのと、それから季候の関係で、先ほど申し上げましたように、工事の期間というものは五箇月しかないというようなことから、一港のセメント工事に要する費用を三千万とか五千万ということをつけるということは容易でありません。でありますから、われわれの方では、今年は二十一港以上どうしてもふやしてもらわなければならぬ。そうして最終の完成年度においては、十箇年なら十箇年に、北海道漁港を完成してしまおうという整備案になつておるのでありますから、北海道の二十一港の数におきましても、さらに内地方面の六十一港の数におきましても、私は妥当と感じておるのでありますが、この点において、あなたのお考えはどうでありましようか。下林君とよく事情お話してありますが、あなたがお話合いなつたとするならば、私に対する明確な答弁ができるはずでありますから、数においてあなたの方でどの程度決定される意思があるかということを、お伺いしておきます。
  17. 中尾博之

    中尾説明員 今の私がお約束できないと申し上げましたのは、事実私できませんから申し上げた、と申しまして、私が延ばしておくというつもりはないのであります。なるべく急いでやりたいと考えております。腹ずもりでは二十日までに向うと話をつけたいと考えておるのであります。ところが話合いのことでありますから、そこでもつと早く行くか、あるいはもつと遅れるかというときに、お前それでは食言ではないかと言われますと、私もつろうございますので、実はお約束できないと申し上げた。ただこれは急いでやります。なお計画とか申しましても、私の方でかつてにやるつもりはないのでありまして、北海道開発庁なり水産庁なりと相談いたしまして、話のつきましたところでやります。最後まで私の方が意見を通すというようなことはありません。その点を御了承願いたいので、私としては、できるならば二十日に間に合せたいということに全力を注いでおるのであります。  それから北海道の港湾につきまして、いろいろな施工上の関係おきまして、そう一箇所にたくさんつけることは適当でないという事情は、たびたび聞いて私も承知いたしております。なお地元負担の関係もございます。それもあわせて考えますならば、あまり効果ばかりねらつてみても、かえつて育たぬということになるという意見はしばしばございますので、その点は私の方も十分考慮いたしております。  なお幾つとるつもりかというお話でございますが、これはほんとうに今私のところで全部見ておりませんので、幾つということを申し上げるのも私は持つておりません。私が個人的な意見でも持つておりますならば、参考までにそれだけでも申し上げることができると思いますが、それすらまだないので、いろいろ検討はいたしております。従つてこうでもあろうかというようなものもございますが、そんなものを申し上げるのもどうかと存じます。  さらに北海道の方から説明を聞いておりまして、もう少し立入つて詳しいことを申し上げますならば、継続してやつております方の港についてつけるべき予算を若干削減いたしまして、新規の方にまわすという作業をやつておるところであります。そういうような北海道開発庁からの意見が、相当まとまつた意見で二、三日前に出て来た、それにつきまして、私どもの方もすでに説明は聞きました。ごもつともの点もございますので、修正案もつくりつつあるという状態でございます。従いまして、せつかくのご質問に的確に答えられないのはまことに申訳ないのでございますが、それが実情でございますので、御了承を願いたいと思います。
  18. 川村善八郎

    ○川村委員 どうも課長さんのお答えは、あなたが事務的最高の責任者であると私は信じて質問しておるのでありますが、そうしますと、課長には何も相談がないということに結論づけた答弁だと思います。私は安本長官にも会つております。それから開発庁の村井漁港係長にも会つて、よく聞いております。これはあなたの方でがんばつてつてきめないという結論なんだ。大臣は、すでに漁港審議会審議をした数できめたらいいんではないか、私にかように言つております。私はこの御返答をとるに、いわゆる漁港法がかようになつておるから、今期国会のうちに承認をとらなければ工事が施行できないのだから、急いでもらいたい、こういう私の話から、大臣には、それでは審議会の方で出たいわゆる整備計画意見の中から、君たちの要求だけやつたらいいじやないかと言つて、つけ加えて、北海道は二十一港やつたらいいじやないか、あとから出て来た三港というものはとりやめにするぞと言つて親切に言つてくれておりました。ところがあなたの方からの答弁だと、さつぱり来ていない。それでは予算がきまつてから二箇月の間、一体何をしたかという問題になる。あまりそういうことは責めたくないが、とにかく下林君はよく連絡をとらたいとも私は感ずるのでありますが、双方で連絡をとりまして、内地の方面の要望もありましようし、また北海道の側の要望もありましよう。そこでその要望をよくお聞き取りくださいまして、できるだけ地方要望にかなうようにしてやるということが、私はあなた方のなすべきことだ、かように考えております。予算の将来の問題については、先ほど松田君も言われたように、昨年の七億五千万円から、今年は十三億以上になつております。あなたの心配する点については、われわれも同じ責任の上において、来年度は予算の獲得に勢力いたしまして、来年は二十億くらいもらつてやると、あなたの心配することも解消し、さらに漁港の数もたくさんできるし、竣工する漁港もたくさんできますので、やはりわれわれの考えており、現在計画を立てておりますところの十箇年で、完全に日本の漁港が修築できて、漁港が十箇年以内において完成するということになりますので、どうか官民相一致して、そうして国会と相協力いたしまして、漁港の完成に努力あらんことを切望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。
  19. 永田節

    ○永田委員 先ほどからの課長の答弁によりますと、まさに課長自身が思想的にレツド・パージに値すると私は考える。まあその議論は後に譲るといたしまして、一応大臣の意向を君は聞いたそうだが、大臣とどういうふうな話合いをなさつたのか、その内容をここで説明してもらいたい。
  20. 中尾博之

    中尾説明員 漁港に関しましては、非常に慎重に、いろいろな点から大臣とはたびたび連絡をとつております。一番初めの方から申し上げますと、長くなりますので、最近のところを申し上げます。最近のところでは、ただいま御質問の中にございましたように、内地六十一港、それから北海道二十一港ということ、それで水産庁北海道開発庁交渉をしておる、こういうことで私は承つております。但しどの港にどうつけるかというこまかい点までは、まだお話はございません。その交渉を今やつておるということであります。従つてその交渉の結果につきまして、まだ大臣に申し上げる段階になつておりません。大臣に申し上げるとすれば、先ほど申し上げたような経過になつておるわけです。北海道の方が、その三港の問題で行き悩んでおる。それから内地の方が、今の新規の方に幾ら割当てるかという金の点できまらない。こういう状態にあります。
  21. 永田節

    ○永田委員 われわれ国会においては、昨年の九月以来、各国会議員は、国政調査の目的をもつて全国を視察をして参つた。その調査に基きまして、予算というものがほぼわれわれの頭にある。それは国会を通過しておる。この間の日時の間に、水産庁においては、大体において所管事務といたしまして、予算と並行して、全国の漁港中、継続あるいは新規というようなものについて成案を得ておる。これは当然のことであります。しかるに公共事業を面接担当しておるところの安本における、君並びに周東安本長官において、すでに事業に着手してよろしいと思われるような今日の段階において、いまだに決定していないという理由はどこにあるか。先ほどから貴公の説明を承つておりますと、やれ予算というようなものに内訳がない、内訳がないものに、予算が来ておるからおかしな話だ。若干国会審議権を誹謗するような言辞を弄しておる。これは速記によつて明瞭だ。さような君の考え方がすこぶる危険だ。われわれが常に警戒しておるところの、今日の行政機構において、常に警告を発しつつあるところの官僚独善、官僚独裁に走る傾向が、君の頭に入つておる。今日の政治というものはそんなものではない。われわれは国会において予算を編成し、通過せしめ、そのもとにおいて、行政機構においては、その配分を適当にすればよろしい。しかもその行政の長には、君たちはどういうふうに考えておられるか知らないが、政党出身の最高責任者であるところの大臣がおる。この大臣がすべて決裁するのである。そこで今日の政治というものは、官僚政治ではない。民主主義政党政治である。これがほんとうの姿なのだ。君たちは今日まで、戦争中悪いことばかりしておる。軍と協力して、今日のような悲惨な状態に追い込んだのは、君たち官僚なんだ。しかし軍並びに思想界はみなそれぞれパージされておるが、ひとり君たちだけはパージをまぬかれておる。その責任をのがれておる。こういうずうずうしいやり方が官僚なんだ。われわれ今日官僚の追放を叫びたいと思うが、特に君のような、大臣は時代によつてかわるが、予算のつけ方は、それぞれ内訳がなくて予算をつけた、そういうでたらめなことはないのだ。こういうふうな議論というものは、もちろんこれは議論になりますれども、そういうおうなものの考え方をしている課長が、そのいすにおるこいうこが、われわれすでに遺憾に思う。そこで私はこの問題について君たちと議論したくない。結論といたしまして、安本大臣以下は、漁港予算の配分にあたつて法的処置を誤つておる。この誤りつつあるところの君たちの態度について、われわれは厳重に監督して行くものであるが、小物の君たちと議論をしてもしかたがない。委員諸君にこの機会にお諮りいたします。が、本日はこの程度で打切つて、次会は安本長官の御出席を求めて、責任ある答弁を聞こうじやないか。
  22. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 ちよつと質問があります。課長漁港予算の割振りについて、新規のものをよけいふやした場合には、継続のものは自然完成が遅れる、そういう点に非常に御心配をなさつておる、こういうことを言われたのでありますが、これは新規漁港予算をきめるのと、継続事業予算を割振るのと、それからその基準、そういう点はどうなつておるのでありますか、まずそれをお尋ねいたしたいと思います。
  23. 中尾博之

    中尾説明員 これは別にそれほどきまつたものがあるとか、それから役所内部で最終的な決定なつたとかいうはつきりした形のものは、ございませんので、ただ私が実際に仕事をいたしておりますときに、頭に入れております大体の考え方といたしておりまするのは、新規の港を取上げますと、次年度は大体仕事をふやします。それから三年度になるともつとふやす。その辺でぐつと経済的な速度をつけて、工事が進捗できるという能勢になる。あと金額によりまして、五年くらいのものもあるし、せめて一つの港を十年以下にしたい、こう考えて、長いところまでも、七、八年くらいのところで一応できる、完成とまでは行かぬまでも、一応泊地なら泊地の関係で、一応の効果が出て来るというふうに持つて行きたいと考えてやつております。今年度の新規の問題と関連して申し上げまするならば、昨年よりも大分予算もふえておりまするので、初年度少しつけるということをいたしませんで、去年におきまして、新規をとりましたときに相当進捗させておるので、せめてその進捗程度以下に落したくないという気持がございます。ところが先ほど申し上げましたような非常な御要望がありますので、若干それよりか下まわる形におちつくであろうと思います。しかし一方で整備計画の内訳の方がだんだん固まりつつありまするので、必ずしも全体の計画を一気にしないでもいいものが出て参ると思います。そういうものが出て参りますと、あまりよくないと思われる姿が、大分改善された姿に見えるというような事情も出て来るかと思います。今の新規並びに継続に対する配付の心づもりというものはその程度のものでございます。なお御説明はいたしかねますが、過去のようなやり方、それから将来のいろいろなことを見まして、計算をいたした一種のスライディング・ケースというものがございます。これも実はある程度全体の港を平均的にながめた場合に適用できるだけでありまして、個々の港につきましては、その事情々々に応じまして、いずれもそれに適用するようにやつて行くということをせざるを得ません。従つてあまり的確なものではありませんが、若干そういうようなものも実は用意してやつておるような次第であります。ただこれをもう二、三年たちまして、さらに検討を加えまして、そういう方も同時に固めつつ行きますと、あるいはこちらにもごひろういたしまして、御意見をいろいろ承つて、それでさらに修正をすることになると思いますが、現在のところ、まだお出しするほどの自信が持てないというような程度のものであります。ただ心づもりといたしましては、そういうような目安を持つてつております。
  24. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 先ほど永田委員から御提案になりました、安本長官に次回の委員会に御出席を求めまして、最高責任者としての漁港政策について所見をただしたいと思うのであります。つきましては、事務当局に対しましては、事務当局の御答弁のできる範囲内のことにつきまして、御質問を簡単に願いたいと思います。
  25. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 漁港法ができましたのは、漁業が急速に発展をし、かつこの以後の発展、現実の漁民の苦痛から漁港法ができたのでありまして、その関係から多くの希望者が出て参つた。それが本年著しくふえて、あなたのお手元に参つておるのであります。その建前から申しまして、たとい少額の予算でも、多くの新規漁港を取上げ、かつまた継続事業は多くの予算をもつて早く完成せしめる、こういうことをわれわれ委員は建前としておるのでありますが、それに対して課長は同調できる御意見を持つておりまするが、一応お尋ねをいたします。
  26. 中尾博之

    中尾説明員 今の継続漁港に多くつけるという点は、実は私努力いたしておりまするが、今の新規との関係おきまして、必ずしも経済的な速度で要望に沿うところまでつけるという姿には、実際問題としてむずかしいというふうに考えられます。これはまことに遺憾なことでありますが、しかし全体のわくが限られております関係上、これはしようがない結果になるのであります。もちろんそれでも予算が非常に増額になつておりまするので、今までもそうやつてつたところを、なるべく早くやるというふうに考えまして、大体どの港につきましても、経済的な速度に近いような速度をとりもどしまするように増額に努めてはおります。それから新規の港でありまするが、新規の港につきましては、今年度多くつけるとかつけないとかいうことよりも、その継続の方でできるだは効果を上げて、なおかつ金を節約して行きまして、財源をこの方面に充てますと、実際問題といたしましては、個々の港は相当少くなります。ただ方針といたしまして、個々の港に少く割振るという方針をとつたというわけでも、ございませんが、実際問題としてそういう形になるだろうと思います。それから個々の港についてよけいつけないで、少しずつでもつけて多くの港を取上げた方がいいか、あるいはとにかく一年だけである程度の防波堤も泊地もできるというふうにまとめ上げて行つた方がよいかという問題につきましては、実際問題として、これは程度問題でありまして、そう非常識なことはどつちにしろできないのであります。ある程度計画従つてつて行かなければならぬと考えまするが、公共事業全体を通ずる考え方といたしましては、なるべく効果を上げまして、一つ一つつて行きたいということであります。しかしこれは事業によつて違うのでありまして、漁港のごとき新規要望が急速にふえておりまするものにつきましては、必ずしもそういう考え方をとるべきでないし、それからこれらの資金は、来年度の予算が幾らになるかということを前提としての議論にわたることになります。これは別にわれわれとして議論をいたしましても、何ともいたし方のないことでありますから、その問題には触れないとして、実際問題としては相当多くのものをやつております。御質問の御趣旨にはずれたかと思いますが、そんなようなことでやつております。
  27. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 安本の方は、新規漁港継続漁港も、それぞれ予算安本独自の立場でおきめになるのでありますが、漁港にあつて水産庁の調査、意見を基礎にするのであります。もしその点に食い違いがあると、先刻来の意見が起ると思うのであります。その点はどういうことになつておりますか。  それから本年度の予算は昨年の倍額以上にふえたのでありますが、このふえたのは安本の力によつてふえたというお考えを持ちますか、あるいはそれ以外の力によつてできたものとお考えになりますか、その点についてのあなたの御説明によつて、さらに日をかえてお尋ねをしたくなるのであります。元来安本なるものは日本の産業経済の調節機関である、これはどの部門の問題も正しく解決するという点に重点があると思うのであります。しかるにそう行つていないということが、今日の議論の焦点になつたと思うのであります。そういう点に対するお心構え、またかりにこの漁港予算が倍額になつたことについて、安本の力でできたのであるならば、安本がその割振りに対して絶大な権利を持つことは当然でありますが、予算のことは他の方面の力で増額になつた、ただ割振りだけを安本が権利を持つ、こういうことになると非常に不條理なことになると思うのでありますが、その点に対するお心構えと経過を率直にお答え願いたい。
  28. 中尾博之

    中尾説明員 どうも今のはいささか私どもの方としてお答えする筋ではないようで、私もはつきりつかめませんので、その程度のこととお聞き願いたいのでありますが、私の心構えは、実際仕事をいたしておりまする人間でありますから、あるいは私の個人的な考え方になるかわかりませんが、第一に、安本としては水産庁と協議をいたして仕事をいたしております。従つてその間、安本がかつてなことをやるというつもりは持つておりません。それから実際問題といたしましては、私ども漁港については、仕事関係できわめて接触が限られております。水産庁は専門の役所でありまするから、その方で十分に基礎も勉強していただき、その情報を得まして、私どもは総合的な方面から調整を加えるということであります。この調整の面におきまして、公共事業一般を通じていろいろ考えております考え方と、それから個々漁港なら漁港という問題についての考え方と、いろいろ食い違いが出て来るわけであります。それがある場合には調整がつきますし、ある場合にはつきませんで、そこで調整をするということになりましようが、大際問題といたしましては、それで調整いたしているのでございまして、安本といたしましては総合調整の責任がございますので、これは何としてもやらなければならないのでありますが、この責任を果しますのに、独力でやるとか、あるいは水産庁のいろいろな企画、あるいは調査能力といつたようなものを全部基礎にいたして実はやつておりますので、その点は五分五分で話はいたしておりますが、実態は九分九厘まで私ども水産庁なり北海道開発庁なりの方からデーターをいただき、その方の数字をいただいて、その線に沿つてつているのであります。そういうことでございます。  それから二番目の予算の増額の点でございますが、これは実情を申し上げますと、予算がふえておるのはどういうわけでふえたかは私も実はよくわからぬのであります。意見といたしましては何ら持つておりません。ただ水産委員会その他非常な御要望がありまして、これが政治的にとにかく正当な評価を得て正当な予算ができたのであろう、こう心得ておるのであります。なお予算が増額になりましても、あるいは同額でありましても、あるいは不幸にしてこれが減りましても、それに対して、それだから安本が発言権があるとかないとかいうことでは、実はございませんので、その点は増額になりますれば気も楽になりましよう。少くなればつらくなるということもありましようから、ものの言い方がかわつて来る点があるかもしれませんが、決してそういうことではないので、責任範囲内で調整の労にあたつておるということで、私どもはやつております。
  29. 石原圓吉

    ○石原(圓)委員 それで安本予算に対しては別段努力をしなかつたことはわかるのであります。そこで安本が権利だけを主張するということはここにはつきりしたわけであります。これに関連してはまあずいぶん長くなりますから、後日に譲ります。ただ一つ私が申し上げておきたいのは、公共事業課におきまして、関係大臣大臣とが意見を交換して、閣議においてきめなければならないことを、すでにそこに至らないうちにいろいろ課内で発表して、それが紛糾の的になる、こういうことが私は非常な隘路であると思うのであります。それであるから、あなた方の御意見のうちにも、発表をなさるうちに非常によい議論もあれば、またよくない議論もある。また実行できる議論もあるし実行できない議論もある。そういう大臣意見を閣議を経由しないうちに、できもしないことをできるがごとく主張し、発表することが問題の種になると思うのであります。そういうことがいわゆる日本の政治、いわゆる安本の価値を落し、安本の使命を誤り、結局はすべてのことを停頓せしめるもとになると思うのであります。この点は私は非常に遺憾と思うのでありまするが、課長さんはどう考えておられますか。答弁のいかんにかかわらず、この席では私の質問はこれをもつて、打切りとするのでありまして、ただいまの私のお尋ねに対しての御答弁に対する再質問は、次の機会にすることになるのであります。
  30. 中尾博之

    中尾説明員 御質問は一点と存じますが、なお誤解がありますといけませんので申し上げたいことが一つあります。それは予算の増額について、水産委員会その他で御努力になり、予算をとられたという点を私は申し上げたのでありまして、安本といたしましては、長官以下水産に対しましては非常な努力をいたしまして、これはもちろんわく関係がありますが、長官は公共事業全体の責任を持つておられる方でありますから、いろいろな関係一苦慮されたと思いまするが、長官といたしましては、できるだけ水産の実情を御認識になつて、それに近い予算を組むようにやろうと努力されたのであります。この点はそういうふうに申し上げておく次第であります。なおそれだからと申して、こまかいことをぐずぐず安本言つていばつておるということには通じません。その点は誤解のないようにしていただきたいと存じます。  それからほかの第二点は、別に申し上げることはございません。
  31. 田口長治郎

    ○田口委員 私は中尾課長に一点だけ要望をしておきたいと思うのであります。海中における土木工事は、春をおいてほんとうに能率的にできる時期はないのでございます。御承知通り、春は非常に干満の差が大きくて、大潮でぐんと潮が減る、それと天候が春は非常にいい、波が稔やかである、こういう意味におきまして、春が一番海中におきましては工事の能率的にできる期間でございます。この大事な期間を、結局現局と安本との話が妥結をしないために、むざむざと過してしまうことは、水産業者といたしましても非常に大きな損をしておるわけでございますが、その原因をだんだん考えてみますと、表面の理由といたしましては、海の上の仕事はできるだけ早く完成をしなけければならない、いつまでもぐずぐずれしておつては途中で故障が起る、だから継続事業をできるだけ早くやつて新規のものをできるだけ少くする、こういうように表面の理由はなつておるように考えるのでございますが、もう一歩この問題を掘り下げてみますと、結局新規のものをたくさん認めることは、来年度からの予算を多く要求をする理由になる、こういうような観点が大蔵省方面にどうもあるんじやないかしらんと思うのでございます。これはそういうことはない、こういうようなお話をされるかもしれませんけれども、どうも意識すると意識しないとにかかわらず、新規のものをよけい認められると、結局後年度における予算をつけなければならない、こういうような意向が大蔵省方面にあるように考えるのでございます。中尾課長は幸か不幸か大蔵省出身である。こういうような意味におきまして、どうも表面は継続事業を早く完成させなければならない。こういうような理由でございますけれども、そのもう一歩あとには、結局大蔵省の意向が多少反映しておるのじやないかというような疑いを持たれるおそれもあると思うのでございますが、講和條約後における日本の経済自立は、結局水産においてほかに大した事業もないのでございます。それから現在の状態から申しまして、水産で使用しますいろいろな、質材というものがだんだ少くなる。少い資材をもつて生産を増強しなければならぬということになりますれば、結局漁港の完備よりほかに適当な方法はないのでございますから、大蔵省の立場として、できるだけ新規のものを少くするという意味ではなしに、今日まで非常に整備の遅れている漁港を一日も早く整備さして、そうして少い資材をもつて生産を増強させるということが、日本の経済自立に非常に必要である。こういうような観点から、あなたは大蔵省出身であられるけれども、この漁港に関する限りは、むしろ水産庁よりも安本の方が一歩積極的に、まだこれでも少し数が少いじやないかというようなつもりで、一日も早く漁港の整備計画ができますように、この点を大蔵省の立場でなしに、今の日本の経済自立の立場から特にお考えになりますように、この点だけを課長に強く要望をしておく次第であります。別に答弁はいりません。
  32. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 ただいまの中尾課長の御説明に対しまして、下林技官から補足説明をしたいというお申出がありますから、これを許します。
  33. 下林一雄

    下林説明員 ただいまお許しをいただきまして、補足説明とまで申しませんが、私末端の責任を持つております立場で、二、三事実を申し上げまして、御参考に供したいと思うのであります。私まだ国会に対して答弁などする資格もございませんし、はなはだお聞きずらいことだと思いますけれども、お許しをいただきまして二、三申し上げます。  先ほど課長が内訳の問題で非常に御質問を受けておられたようでございますが、御承知通り予算の内訳がなくして予算の成立するということは毛頭ないのでございます。課長のおつしやいましたことは、一番最後国会の協賛を経た予算の内訳のことを言つておられたと私は解釈するのであります。それにつきましては…(「弁護するな」と呼ぶ者あり)弁護ではありません。それには一つ事情がございます。御承知通り漁港審議会でご審議をいただいております漁港の指定の問題であります。指定の問題で漁港審議会が数回開かれまして、漁港の指定が大分狂つて参りましたこと、予算の御提出がありまして、国への協賛を経てから後に漁業の指定がかわりまして、三種になつたり、四種になりましたり、最近の例を申し上げますと、最後的に水産庁と打合せをいたしました後において、四種が三港ふえ、三種が一港ふえておる実情でございます。そういう関係がございまして、私、事務的にそろばんを入れております身にとりまして、その連絡がはなはだおそかつたという一つの事実があるのであります。はなはだしい例は、最近指定になりました四港の分につきましては、私の事務が非常に怠慢の結果かもわかりませんですが、一週間ほど前に伺つたというような実情がございます。それから整備計画につきましても、私は水産庁の出身でこういうことを申し上げるのはいかがかと思うのでございますが、私以外にこういう実情を皆様に申し上げて御了解をいただくものはほかにないと思いまして、お許しをいただいて申し上げます。  それからもう一つは、そういう関係でございまして、そろばんの上で予算の内訳が最後的にきまるのが非常におそいという結果が、たいへん遅らした一つ原因になつているのじやないかということも考えられるのであります。まだ申し上げたいのでありますが、そういつたような実情であるということを御認識いただきたく、弁解がましいことではございますが、申し上げました。
  34. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 時間も大分経過いたしておりますから、次会にこの問題を再度審議することにいたしまして、漁港の問題はこの程度審議をとどめたいと思います。     —————————————
  35. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 次に水産庁にお尋ねしておきたいのでありますが、さんま漁業の取締規則改正につきまして、昨日中央漁業調整審議会の御意見を開かれたそうでありますが、このさんま漁業の問題は、本委員会おきましても非常に重大な関心を払つている問題であります。つきましては、昨日の会議の経過、並びにこれが改正にあたつて、本委員会意見を十分聞いた上で当局は善処される御川用意があるかどうか、長官から御答弁を願いたいと思います。
  36. 藤田巖

    ○藤田政府委員 さんま漁業の問題はいろいろ事情が入り組んでおりますので、調整に毎年むずかしい問題があるわけでありますが、今年の問題につきましても、私どもといたしましても一つの案をつくつておりますが、これも決してそれをもつて決定案と考えておるのではございませんので、各方面の御意向を伺いまして最終的にきめたいと思つております。従つて、その意味におきまして業界関係お話を伺い、また主務課長会議にもかけ、また中央漁業調整審議会にもお諮りしたのでありまして、もちろんこの水産委員会にも私どもよく御説明をいたしまして、委員各位の御意向もよく伺い、その上に、どうすればよいかということを決定して行きたい、かように考えておるわけであります。
  37. 松田鐵藏

    松田委員 そんな簡単なことではとてもできないのだから、休憩して、午後から、意見を承るようにしたらどうかと思います。
  38. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 ただいま松田委員から、時間も経過しているから、午前中はこの程度にとどめて、午後委員会継続再開して、本問題を審議したいという御提案がありましたが、さようとりはからつて御異存ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 それでは午後続行することにいたします。
  40. 永田節

    ○永田委員 二十五年度の見返り資金の幽霊会社に対する不正融資の問題ですが、今日私は参考人として業者を呼ぶように委員会の決議を願つたのですが、欠席されておりますが、どういう理由でありますか。同時に、次の委員会においては、閣議で決定したその書類を委員会に御提出を願うようにおとりはからい願います。
  41. 鈴木善幸

    鈴木委員長代理 永田委員の前回の委員会における御要求に基いて、委員部の方で参考人として関係者の御出席を求めたそうでありますが、あいにく病気のため本日は出席いたしかねるという連絡があつたということを、ただいま委員部の方から報告があつた次第であります。この点はさらに厳重に督促いたすことに、委員部を通じていたしたいと思います。  なお閣議の決定書を次回の委員会に提出するようにという御要求は、その通り手続をいたします。  それでは午前はこの程度といたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時五十六分開議
  42. 冨永格五郎

    冨永委員長 午前に引続いて再開いたします。  さんま漁業取締りの問題等につきまして審査を進めます。まず水産庁より発言したいとの申出がありますのでこれを許します。高橋説明員。
  43. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 御存じのように、司令部より五ポイント勧告によつてお示しをいただいたのでありますが、これにつきまして考えた漁業としては、おもに三つの漁業があります。その第一が小型底びき網漁業の整理の問題と、第二点は旋網漁業の整備の問題、第三点はさんま漁業でございます。この三つの漁業について考えました根本的な考え方といたしましては、小型底びき網漁業を考えてみますと、これにつきましては、どうしても減船する方が一番いいだろうというような結論が得られましたので、大体この方針に従つて立案をしておる次第でございます。それから旋網漁業につきましては、これはまだいろいろな施策を行う態勢が整つておりませんので、旋網漁人につきましては態勢を整えるという意味で、整備をして参ろうというような方針で立案しておるような次第でございます。第三点のさんま漁業につきましては、これは昨年度の調査の結果を見ますと、資源に相当危険な情勢が出て参つておりますので、この資源の危険な情勢に対応するための措置といたしましては、根本的には減船というような方法をとらずに、大体は採業期間を短縮しようというような考え方で立山案進めて参つております。以上三つの漁業につきまして、それぞれ違う方式をとつたのでございますが、趣旨はいずれも五ポイントで指摘されました資源の面から見ましての減船あるいは整備、あるいは操業の短縮というような問題に帰着するのではないかというように考えて参つております。  次にこれまでの経過を簡単に御説明申し上げます。まずこの二つの問題につきましては、五月の八日、九日におきまして、全国の水産主務課長会議も開催いたしまして十分なる検討をいたしました。なおこの際は水産庁から一つの試案を出しまして、それについて具体的な御意見を伺つた次第でございます。次に五月十五日及び十六日に中央漁業調整審議会を開催いたしまして、やはり水産庁より試案を示しまして、これについての御意見を承つた次第でございます。なおこの水産庁の案は、決してきまつた案ではなくて、各方面から意見ちようだいする、一つの論議の種にしていただくという意味で出した次第でございますので、まだこれについて案そのものは確定はいたしておりません。その際に示しました案の大要について御説明申し上げます。  まず小型漁船底びき網漁業の整備、減船についての案を議説明いたします。小型漁器用底びき網漁業につきましては、御存じのように全国で三万五千隻の隻数がありますが。そのう正規の許可船は一万一千隻にすぎませんで、その他は無許可または許可違反船になつておるような状態であります。従いまして、これは単なる取締りの強化だけでは、とうてい収拾することができないというような現状に相なつております。そこで昨年度以来私どもの方で、小型底びき網漁業処理要綱というような試案をつくりまして、海区漁業調整委員会並びに府県当局、漁業者の各位に御審議を願つてつた次第でございますが、さらにその後五ポイント勧告が出ましたので、単に小型底びきをいかに処理するかということからさらに一歩を進めて、いかに減船して参ろうかということが新しい問題となりましたので、こういう意味で試案をつくつたのであります。これの試案の趣旨は、整理の目標は、資源調査が完成しないときめにくい問題ではございますが、一応昭和五年ないし九年当時の隻数を基準にいたしまして、その隻数までは一応減船したらどうかという案が骨子となつております。従つて三万五千隻を一応二万隻にまで減船することを目標にいたしております。なおこれにつきましては一応五箇年計画で減船してやつたらどうか、従いまして毎年減船して参りまする隻数は三千隻に相なつております。  次にいかにして減船して行くかということに入りますと、減船につきましては一応漁業者の希望によつて、所有漁船を国の費用で買い上げて参りたいということを骨子にしております。もちろんこのほかにいろいろの転換その他の処置が必要だと思いまするが、根本的な考え方としては、国が買い上げるという点に重点を置いてただいま立案しております。従いましてこれには相当の予算が必要かと思います。なぜこのような相当強い線を持ち出したかと申しますと、小型底びきの主として行われておりまする瀬戸内海その他の現状を見ましても、軽換が非常に困難でございますので、この小型底びきの問題を徹底的に解決するためには、どうしても国がこれを買つて処理するということでなければ、徹底的な処置はできないのではないかというふうに考えたからであります。この買つた船は今のところ原則として小型底びきの禁止区域内に沈めまして、小型底びき網の禁止区域内における操業を不可能にさせるとともに、築いその役目もさせまして増産をはかつて参りたい、かような一石二鳥の考えをとつております。いずれにいたしましてもこれには相当巨額の予算が必要かと思いますので、目下事務的に関係方面に説明をして参つております。  以上の案に対しまする府県及び中央審議会のご意見を簡単に申し述べます。各府県の御要望といたしましては、結論としてこの案を実行させるためには、どうしても予算的な裏づけが必要であるという点でございます。従いましてもし予算がとれないと、こういう減船の処置が事実上不可能になるという点を非常に重要に指摘して参つております。第二点は、これは合計一万五千隻の減船をするということになりますと、推定いたしまして四万人ないし五万人程度の失業者が出ることになるが、この失業対策がこの案では必ずしもはつきりしておらない。この失業対策に対しては、水産庁はもう少し具体的に検討を進むべきであるというような御意見でございます。第三点は、この要綱は、相当取締力が強化されなければ結局実行不可能であろう。かりに減船したところで、そのあとで依然として無許可船がふえるようであつては、結局効果が薄いことにたるのであるから、あわせて取締りの強化をぜひはかつてもらいたいという、以上の三点が各都道府県の係官の御意見でございます。  なお中央審議会おきまする御意見は、いろいろあつたのでありますが、結論としては、非常に困難な問題ではあるが、やはり小型底びきの減船の問題は実施しなければならないというのが結論でございます。ただやはり先刻申しましたように、予算の裏づけ、失業対策の問題は、もう少し真剣に立案すべきであろうというのが、ほぼ一致した御見解のようであります。なお主務課長審議に出なかつた問題としては、この問題は水産業内部だけでは解決しきれない問題ではないか。この水産業からはみ出る失業人口の問題、それから今水産業で包容しておるところの過剰な人口の問題、これを一体どうするのか、そういいましたような基本的な御意見が出たわけでありますが、別に具体的にこうしろというところまでにはまだたつておりません。以上が小型底びきに対しまする従来の経過の説明でございます。  次は旋網について申し上げます。旋網につきましても私どもの試案の骨子といたしまする点は、現在旋網漁業が地方の知事の権限に属しておりますが、旋網漁業の現状を見ますと、ことに最近の傾向といたしましては、非常に大型化いたしまして、操業区域が相当広くなつておりまして、数府県にまたがり操業をしておるものも決して珍しくはないのであります。従いましてこれが地方々々の知事の権限で許可とかということに相なつておりますと、その間個別的に処理されるために、相当注意しなければならないような弊害の面も現われておりますし、一方資源が、特にいわし資源が増加していないにもかかわらず、地方長官の権限で相当旋網がふえているといつたような悪い傾向もございます。従つてこの立案の根本といたしましては、まず旋網漁業というものの態勢を整備しよう、そのために地方長官にまかせるべき権限と、農林大臣が直接許可して参りまする点とをはつきりわけて処理して行つたらどうかというような点を考えたのであります。そのわけ方と申しますと、大体四つにわけてございます。まず五トン未満の旋網につきましては、これは原則として従来通り地方庁に一任いたしますが、六十トン以上の旋網につきましては、農林大臣が直接許可して参ろうということに相なつております。五トンと六十トンの間の中型の旋網につきましては、これを二つにわけまして、ある特定海区のものは大臣か直接許可をして行くが、それ以外の区域においては、従来通り地方々々の知事がこれを許可して行くという案でございます。ただ知事に許可権はそのまま認めまするが、やはり小型底びきの場合と同様に、許可し得るわくにつきましては、大臣の承認制をとつてつたらどうかというふうに考えておるのであります。以上お話しましたような考え方で旋網を四つのグループにわけて、それぞれ実態に合うように処理して行こうというのが案の骨子であります。  それに対しまして過日の水産主務部課長会議おきます都道府県の係官の意見といたしましては、六十トン以上の旋網を大臣の権限に属せしめること及び五トン未満の漁船を知事の権限に属せしめることについては異論はございません。ただ問題になりましたのは、その間の中型の旋網についてでございます。そのうち知事に権限を委任する点については異存ございませんが“大臣の直接許可する特定海区につきましては、直接許可するという部分につきましては、これはかなりの部分の県から反対があつたわけでございます。その反対の理由は、旋網漁業というのは、やはり底びきと同様、定置漁業その他の沿岸漁業と密接、不可分の関係にある漁業であるというのであります。従いまして、この旋網漁業の調整は、単に旋網の内部で調整を要する問題ではなくして、ほかの沿岸漁業と密接に  致をとらなければならない問題であるとして、この処置は、大臣がやるよりも知事がこの任に当るのが当然である、こういうような意見であります。ですからもう一度要約して申しますと旋網だけをとりはずして調整するというのは、大臣に権限をやつた方がよろしかろうが、ほかの沿岸漁業と非常に大きな関係があるから、知事がやはり許可の権限を持つてつた方が事実上いいではないかというような意見もあろうかと思います。  以上が主務部課長会議の大体の傾向でございます。この問題に対しまする中央審議会の御意見は、これは今お話しました主務部課長会議の空気とは反対に、地方庁が現在やつておりまするいろいろの欠陷を指摘いたしまして、大きな方向としては大臣が許可をすべき方向ではないか、というような意見を発表する委員の方が多いように拝聴いたしました。以上が旋網についての大体の説明でございます。  次はさんま漁業について御説明申し上げます。さんま漁業は、去年の調査に基きますと、資源に相当危険な状況か出て参りましたので、今年度は何か去年とは違つたさらに別の制限を考えるべきであるといつたような意見が、調査研究部の方から参つておりますので、そういう観点に基いて、操業期間の短縮を行うという点に重点を置いて立案をした次第であります。この案の骨子としましては、まず期間の短縮を行うということ、この期間の短縮の点は、必ずしも画一的ではなくて、ある数量というもの基準にいたしまして、その数壁にまで漁獲が達した場合には、さらにきまつた操業期間も短縮し得るというような点に重点を置いてあります。従いまして、もしこの数量の観念に基きました操業期間の短縮が可能であるということに相なりますと、従来十トン以下の漁船による例外規定があつたわけでございますが、これもはずすことができるであろうという趣旨で、十トン以下の漁船による除外規定は、この際廃止したらどうかという案でございます。それからなおさんまにつきましては、北海道に船籍を有する漁船の操業と、北海道以外の地に船籍を有する漁船の操業とを区分して考えた方が、いろいろな意味ですつきりするのではあるまいか、従いまして、考え方としては、北海道におけるさんまは北海道に船籍を有する漁船に限る、内地におけるさんまの漁業は、北海道以外の場所に船籍を有する漁船に限つたらどうかというふうに考えて参つております。なお解禁日といたしましては、北海道に船籍を有する漁船は、八月十五日から九月三十日までとし、北海道以外の地に船籍を有する漁船の期間は、一月一日から十二月十五日までというように期間を考えてみたわけであります。この期間は先ほど申しましたように、固定的なものではなくて、ある程度変動し得る、ことに漁獲数量をこちらの方で随時調べまして、それによつて繰上げることができるというような案に相なつております。   これに対しまして各県の御意見でございますか、主務部課長会議では、やはりこの考え方に対しまして、北海道庁とその他の府県意見はつきり対立いたしました。内地府県意見といたしましては、やはり解禁日は全国一木にすべきであつて北海道では八月十五日、内地では十月一日というような考え方をしておるのは不適当ではないかというような御意見であります。それに対して北海道庁の御意見は、全国一律の解禁日では、事実上北海道の漁業者がさんまをとることが非常に困難になるのであるから、やはりその点は実情に応じて、北海道ではいつ、内地ではいつというふうにわけて考えるべきであるというような御意見でございました。なお申し添えますか、漁獲 量の制限といつたような観念を取入れた操業期間の短縮につきましては、技術的に非常に困難ではないかというふうな御意見がかなり多かつたのであります。  次に中央漁業調整審議会おきます御意見を御紹介申し上げます。私どものつくつたこのさんまの試案に対しまして、中央漁業調整審議会委員の御意見といたしましては、さんまの資源枯渇の情勢から見まして、漁獲数量に制限を置くことができるようなこの案のやり方については、全面的に賛成するという御意見でございました。ただ北海道をどうする、内地をどうするという点については、必ずしも各委員の御意見が一致しないのでありますが、大体の空気といたしましては、北海道に対しさんまをとらせないというような考え方は、おそらく実行不可能であろう。従つてさんまの漁業に対しては、北海道に何か特例的な措置を認めることはやむを得ないだろうという点が、大体の結論であつたように聞いた次第でございます。  以上小型底びき網漁業、さんま漁業、及び旋網漁業につきましての私どもの持つて参りました案の概略と、これが審議された結果について御報告申し上げました。
  44. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま御説明の旋網漁業の整備要綱、それから小手繰り、底びきの整備要綱の試案に対しては、まだ相当払ども研究しなければなりませんので、この問題はさておいて、まずさんま取締規則の要綱に対してお尋ねしたいと思います。  三月十七日に私はさんま漁業の問題に対して質問をしておるのでありまして、これに対して家坂長官は答弁をされておるのであります。その答弁の中に「さんま漁業は、御承知のように、日本の現在行つております漁業の中でも筑豊な漁業でありまして、これに参加しております漁民も相当の数に上つているのであります。従いまして、この漁業の盛衰は、多数の漁民のために大きな影響のあるものであるということをよく承知しておりますので、北海道のさんま漁業につきましても十分意を盡して、繁殖の保護その他の重要な案件を円滑に運営して参りたい、かように考えているわけであります。それでこの二十二日には北海道、東北の係官、また業者のお集まりを願いまして、本年度いかにしたならば五ポイントに示された、繁殖保護というような意に沿つて行くことができるかというような、具体的な案件をいろいろ研究することにしあおります。ただいま松田委員からお話のありました稚魚の関係ども十分考慮に入れまして、本邦漁業の永遠の発展持続をはかつて参りたいと考えるのであります。」かように水産庁長官は答弁されておるのであります。家坂長官はかわりましたが、水産庁長官の職は藤田現長官でありまして、家坂長官がこの五ポイントに対して指摘されたる問題については、藤田長官も同意見だと私は考えておるのであります。さてこの要綱から行きますと、いろいろと各県の係官を招集されて意見を徴されて、大体こういう要綱ができたような報告があるのでありますが、特に三月二十日の委員会において、高橋説明員は、この問題に対してもまた答弁をされておるのであります。それは「さんま漁業は全体的に濫獲になつた結果、年をとつた魚が少くなつたために、魚体が小さくなつたのではないかという意見と、もう一つは、棒受けをやつたから全体の資源に非常に影響があつたのではないか、特に棒受けでは小さいざんまをとるから、稚魚が少くなつたのではないか、こういう二通りの御意見が今各方面から出されておるわけなのであります。」こう結んでおりまして、棒受けというものに対しての調査研究を十分しなければならないということを申されておるのであります。この長官の考え方と高橋説明員の考え方が、この要綱のどこに盛られてあるか見当がつかないのであります。五ポイントによつて日本の漁業の整備を行わなければならないと政府は主張しておるのであります。また当委員においても、日本の侵略漁業に対する調整を今にしてしなかつたならば、いつの日にでき得るかということにわれわれは深い関心を持つておるものであります。ところがこの要綱を見るときにおいて、この五ポイントの精神——ただ単に漁船を制限するとか、時期を制限するとか、かような のみうたわれておりまして、棒受網に対する意見一つもうたわれていない。この点が私非常に残念に思われる点であります。そもそも漁業者は、従来の侵路漁業の精神をいまだに脱却することができずして、とることをのみ主眼としておる。しかもその業者の中には、海区を一本にしてまで、北海道の漁場までも内地方面の漁船は出漁したいという考え方をも持つていることは、会議の資料の上においても現われておるのであります。また北海道の時期が十月以降だとしたならば、とうてい北海道に魚がいないのにもかかわらず、この時期をはずされておるような内容にもなつておるのであります。そうしたときにおいて、どのようにわれわれが委員会において長官に対し、また政府に対して意見を百申しても、一つもこの要綱に現われていないということを、私今日非常に遺憾に思うのであります。しかもこの中に、トン数が百トン以上の漁船によるさんま漁業を禁止するという字句がある。百トンの船でさんまをとるなどということは、それに類似した船が今まであつたのかどうか。かような漁船はさんまを業とするものでなくして、他の遠洋漁業に使われておる船である。その船が今までこういう漁業をやつてつたとしたならば、こういうものはもはや論議する必要のないことであろうと思うのであります。さんま漁業というものは、要するに沿岸漁業が非常に荒廃されて来ておるので、回遊性の魚を大衆の漁民が捕獲するということによつて、さんま漁業の意義をなすものであると私どもは考えておるのであるが、こうした点からいつて、特に百トン以上の漁船を使用する漁業は禁止する、こういうことはあり得べきことでないと思うのであるが、特にこういうことを書いて、いたずらに五ポイントの警告に対し出て、これらをもつてカバーしようとする傾向がここに現われておる。まことに笑止千万なことではなかろうかと思うのであります。一体棒受網に対する議論がどのように出ておつたか。また水産庁長官及び高橋課長はどのように皆様に対して、こういうことに対する説明をされておつたか、この点をまずお聞かせを願いたいと思います。
  45. 藤田巖

    ○藤田政府委員 さんま漁業に対する基本的な考え方は、前水産庁長官が話されましたと同様に私も考えておるわけであります。それから御指摘の棒受けの発達によりまして、特にそれがさんまの資源を脅す問題になつておるということも、私ども承知をいたしております。それで中でいろいろ議面をいたしましたときには、当然この棒受けをどうするかという問題も出たのであります。しかしながら、率直に申しまして、さんまの資源、あるいはその漁獲力等に対する完全な基礎調査というふうなものも、現在ではまだできておらないわけであります。さりとてこれを放任するわけにも行かないというふうな考え方でございますので、とりあえず私どもといたしましては、昨年の実施の経験にかんがみまして、その弊害と認められる点及び将来危険と認められる点についてこれを明確にして行き、そうして棒受けの根本的な解決策の問題は、なお調査研究の進むに伴いましてこれをやつて行きたいということで、その点には今度の漁期にはまだ触れることができなかつたわけであります。  なお百トン以上の漁船によるさんま漁業の禁止でありますが、これは最近御承知通り、かつおの船なんか相当さんまに転向をして参つて来ております。現実に百トン以上の船による操業というものがございます。それから傾向といたしましては、今後これはふえんとしておる傾向にございます。従いまして、私どもといたしましては、将来の方針として考えれば、大きな船によりさんまを棒受けでとる問題については、やはり資源上何らか制限をすることが妥当であるということで考えておるのでありまして、これを一年ほつておきますれば、それだけ将来の問題の解決を困難ならしめるというふうに私は考えております。しかしな、がらなおこの点については、かつお、まぐろの漁業者の側からは、相当強い反対か参つております。
  46. 松田鐵藏

    松田委員 まず私が冒頭申し上げたように、さんま漁業というものが、今日濫獲によつて資源が枯渇する憂いがあるというのが第一の要点で、この変綱が設けられたものと思うのであります。しからば、ただいま申されるような長官の御意見のように、八十トン以上とか、九十トンとか、八十トンとかいつて、他に漁業を営んでおる、大資本を持つておる漁業者に、さんまの濫獲になる憂いありというときに対して、なぜ水産庁はもつと大きな観点をもつて、むしろ五十トン以上の船を許すべきでないという考え方を持たれないか。さんま漁業を営むことによつて、初めて零細漁民が救われるのではないか。こうした点が一番重要な点になるのではないかと私は思うのであります。他に漁業を持つておる漁船、大資本を持つておる漁業者が、何のためにさんま漁業に従事しなければならないか。それがさんま漁業に従事するがために資源が枯渇するとしたならば、零細な漁民を切るが、大資本漁業を切るか、この点をいま一応考えてみなければならないのではないか。この点水産庁はどのようにお考えになつておるか、はつきり御意見を承りたいと存じます。
  47. 藤田巖

    ○藤田政府委員 御承知通り、さんま漁業といいますのは、季節的な漁業であります。そうして表作といいますか、裏作といいますか、本来その他の許可漁業等を営んでおりますものが、たまたまさんまの漁期に出て行くという形態になつております。従いましてこれを押える方法として、はたしていかなる押え方をした方が最も的確であるかということは、非常にむずかしい問題であります。従来許可漁業ということも唱えられておりますが、許可制度をとることに私どもが躊躇いたしておるのもそれが原因であります。従つて最も効果的な押え方をするのにどうすればよいかということについて、率直に申しまして非常にむずかしい問題かある。私どもは、御指摘のように、あるいは五十トン以上のものを切るというようなやり方が適当であるかどうか、なお検討を要したいと思います。むしろ私どもの基本的な考え方といたしましては、一応テストのやり方として、ここに提案をいたしておりますように、漁期を制限し、しかも一定の漁獲数量に達した場合にストップをかける、このかけ方は、私は中でも非常に「むずかしいと率直に言つているのですが、しかしこれ、は一つ考え方としてなお検討の余地があるのではないか、もしそういうことがうまく行くなれば、無用な空権をつけることもなく、また実質的にやり得るようなやり方もできるんじやないかと思つておりますので、今の考え方としては、むしろそういう許可漁業というような考え方でなく、操業期間を制限し、さらに一定の漁獲数量によつてこれを制限するというやり方が可能ではないか、その可能な方法について研究して参りたいというような態度をとつております。
  48. 松田鐵藏

    松田委員 まず許可をする権限が水難庁にないために、非常に苦しい立場にたつておられるのだろうと考えるのであります。地方長官の許可なるがために、かように苦しい立喝になつておられるのであるということは、私もよくわかるのであります。しかし全国のさんま業者を水産庁へ招集して、この資源維持のために協議されて、五ポイントの線に沿うべく努力されておることたるがゆえに、この点を十分に強力に推進して行くというお考え方でおろうと存ずるのであります。そこでこういう問題ができて来たものと思うのでありますが、ただいま私が申し上げるように、今や各沿岸における漁業の実態というものは、水産庁においては十分御承知のはずであつて、各漁業協同組合は、その組合の経営すら至難な状態にたつておる。また沿岸漁民は、実にその日その日の生活にも困つておる現在の姿であるのであります。こうした姿を、どのように水産行政の面において救済しなければならないかということが、焦眉の急であろうと私どもは考えており、いろいろとこの点に対し協議されておるのであります。そこでもつて、この零細なる漁民を救うか、また大き資本を持つておる資本漁業に対して、水産庁のお考えは、放任してこのさんま漁業を営ませるかというところに、議論の焦点があるのではなかろうかと私は考えるのであります。こうした点が一番重大な問題ではないか、漁期を制限する、漁獲高を制限するというよりも、船を制限することが、隻数を制限することが、濫獲で資深を枯渇させるという憂いのあるものに対する最も適切な行き方ではないか、これをおいていい方法が、はたしてあるか。われわれ漁業者の代表として、今日日本の国の政治をあずかつておる者は、この点に深く留意をしなければならない。この点に対する水産庁の行き方はどうか。
  49. 藤田巖

    ○藤田政府委員 許可漁業とすることが、はたしてさんま漁業の実態に沿う押え方であるかということについては、相当反対の意見も出ておりますし、私どもといたしましても、まだその点の結論はついておりません。しかしながら基本的に言つて、やはり大きな船で、非常に能率のいい船でとるようなやり方は、これを極力押えるということについては、私も同感でございます。  それからなお、あるいは将来さらに一層さんまの資源ついての危険が出ます場合にはいろいろもつと徹底した制度をとらなければならぬかとも思いますが、これにつきましても、私どもとしては、現在基礎になるところのはつきりしたデータをまだつかんでおりません。たとえば、御指摘の通り、それでは何そうにしたらいいかということについての、はつきりしたデータもまだつかんでおりませんので、こういう点はひとつ今後の調査、研究と相まつて、だんだんとその資料も集め、研究も進めて、適当なやり方をやつて行くことが必要ではないかと思います。
  50. 松田鐵藏

    松田委員 とんでもない長官の御意見であると私は考えます。その資料が概略的にでもできていないのに、こういう要綱が生まれる理由がないではありませんか。完全なる資料がないとしても、資源維持の建前からいつても、濫獲である。魚価維持対策の建前からいつても、いけないという議論が出て、初めてこういうものの整備がされなければたらないという議論が出ておることであるのであります。これに対して長官が、資料がないからそうすることはでき得ないということだつたら、この要綱なんというものは、これはむだなものである。全然こうしたものは意味をたさぬことである。また委員会においても、これを十分に検討しなければならない。昨年の漁獲と一昨年の漁獲と、またその以前の漁獲というものがはつきりわかつておる。しかも前のさんまの価格というものと今日の価格というものが、物価の指数の上からいつて、どれだけの暴落を来しておるかということは、水産庁においてもはつきりわかつておるがゆえに、濫獲はしてはいけない、稚魚をとつてはいけないという議論がここに出て、こうした要綱の発表になつたことでなければ、水産庁は何の意味があつてこういう要綱を出したか。この点に対しては長官の意見というものをまともに受けることはできない。これを僕は高橋課長に対して質問する、どういう考え方でこの資料を出したか、この点をお伺いしたい。
  51. 藤田巖

    ○藤田政府委員 ちよつとあるいは言葉が足りなくて誤解を招いたかと思いますが、もちろん決して現状で放擲することがいいとも考えていないし、全体のあのさんま漁業の資源については、すでに危険な状態が出ておるということは明らかでありますから、これを何らか取締つて、さらにこの資源との見合いをしたところの適当な漁獲数量まで押えなければならぬということについては、はつきりわかつております。ただ、しからばどのくらいの隻数で完全であるかということだ相なりますると、それについてはたお詳細な調さを進めて行く必要があろうと考えます。それからまたその抑え方について、どうすれば最も的確た抑え方になるかというこを研究として行かなければならぬかと思い嵐す。従つてどもといたしましては、現在わかつておりますデーターに基きまして、最も適当と君、えられる案を研究いたしたのであります。そういうふうな意味合いから、お示しいたしておりますような案が現状の策としては池当ではないかというふうな感じを持つております。
  52. 松田鐵藏

    松田委員 水産庁長官の御答弁には非常に食い違いが私は発見されるのであります。これは悪くとつてもらつては困るが、そういう意味合いでなく、何のために別な生業を持つている大きな漁船に、このさんまの期間的な漁業を営ませるか。そうした大きな漁船というものは、他に許可を持つていろいろな漁業をやつておる。こういう小さな沿岸漁民が持つておる十トンや二十トンの漁船を何のために制限する必要があるか。ここに一番の観点がある。この漁獲というものが多過ぎる、資源維持ができ得ない、こういう建前から行くならば漁業において非常に困つておる零細漁民で、資本のない漁民に、このさんま漁業をやらせることによつて、調和もできるだろうし、また真の漁村の経済の確立もできることとわれわれは考える。これに対して、何のために水産庁から許可をもらつておる大きな、たとえばまぐろつりの漁船であるとか、またはかつおつりの漁船であるとか、大資本を持つておる漁船に対して、さんまの漁業をやらして、魚価維持対策を破壊し、資源の維持を脅かされる必要がどこにあるか。こういう点であります。またもう一つは、あなたが、水産庁が、机の上でいかに数量を制限して漁獲を禁止しようとしても、目の前に来ておる魚族に対して、これをとるなといつたところで、とらないわけはないじやないか。そうしたならば、それが違反に問われるというようなばかな話がどこにありますか。しかも零細漁民というものは、北海道においては、さんま漁場としての太平洋沿岸は、今年は御承知通り流氷によつてすべての海藻が壊滅しておる。あの十トン、十五トンという小さな船が、品目の前に来ておるさんまをとらないでいようなどということはでき得ないじやないか。そうしたならば、やがてここにある小手繰網の整理というものも、これもその通りこれを取締るとと、ができ得ない現状において、国家の資金を出して整理しなければならないなどという考え方を持たれておるのでしよう。     〔委員長退席委員長代理着席〕 すべて北海道の小さな漁船が、目の前に来ておるさんまをとらないで、また禁止されるとしたならば、どうしてもこれは違反を犯さなければなりますまい。違反を犯したときは漁業法に触れることである。そうして日陰の者となつて、この漁某を常まなければならないなどということは、これら零細漁民をどういうように水産庁は考えられるか。ぼくはそこに非常な社会的な問題が起きることと考えておる。この点を憂えるのである。北海道の漁民は小さな漁船より持つていません。しかも零細漁民である。あなた方水産庁意見が、もし北海道において棒受けを禁止するであろう、しかも漁民は流し網によつてこのさんまをとることであつたならば、何用などという期間を切らずに、大型のさんまをとることを許すであろうといつたならば、北海道の漁民は棒受網をもやめて、今までは百そうか亘五十そうより許可がないものを、五百そうないし六百そうのものが出漁して、りつぱなさんまをとつて、漁価維持対策についても貢献することができ、漁民全体が生きることもできると私は確信しでおる。そこへ持つてつて内地の百トンも八十トンもある船がどんどん行つて棒受けでとられたならば、どうして北海道の漁民は默つていることができるか。ここなんだほんとの議論は……。ほんとうの北海道の零細な漁民は小さな船より持つていない。その漁民が、今内地から来た大きな、船でもつて棒受けをやられてとられておるから、あれほど進歩した漁業がないから、みな小さな船でも棒受網をやつて稚魚をも濫獲しておる。ゆえに内地の者は南京さんまをとつてはいけないから、漁期は十月一日からするようにしろなどというような議論がここに出ておるのだ。北海道の漁民はどうして目の前に来ておるさんまをとらないでいられるか。またとらないでいたならば、その日の生活にも事欠くのだ。水産庁は、資源維持の建前から、また魚価維持対策の建前から、さんま漁業というものを、輿に日本の重要な漁業とするたらば、内地においても棒受網を禁止してごらんなさい。百トンだとか七十トンだとかいう漁船は流し網というようなものはやれるものではありません。かような漁船はりつぱに水産庁から許可をもらつておる漁業に従事して、りつぱな成果をあげることだろうと私は考える。ここに私の論点があるのであります。いたずらに濫獲したり、資源を枯渇さしておる。こういうことを今議論しなければならないということは、あまりにも水産庁としてのこのさんま漁業に対する考え方が、何と言おうか、穏便と言おうか、場あたり主義と言おうか、この点に対してあなた方は強い考え方を持つてただかなければならない。二の舞がやがて来る。この小手繰網の整備の問題と同じ結果になることを、いかにあなた方が禁止しようとも、時期を制限しようとも、来ておる漁族に対して、北海道の小さな漁民は、その日のかてを得るために出漁いたします。違反をもあえてしなければならないことだろう。現在のあの太平洋沼津の零細漁民の生活の苦しみというものは、そんな簡単なものでないのでありまして、この点をもつともつと強くあなた方の方において御研究を願いたいと存ずるのであります。
  53. 林好次

    ○林委員長代理 小高委員
  54. 小高熹郎

    ○小高委員 私はさんま漁業なるものが北海道に偏してはならない、これは全国の漁民がとるべきものである。かように考えておるのであります。ことに北海道から和歌山県、四国周辺にかけましては、長い間の慣行がさように相なつておるのであります。しかるにもかかわらず、去る三月の国会においても議論が生じ、また水産庁主催の全国の業者打合せ会議においても、相当議論が大沸騰した事実があるのでありますが、これはどう考えましても、本日示された案によりますると、北海道にウェートがかかり過ぎておる。かようなことであつては、正しき政治ではないと私は断言するものであります。一応先ほど松田君からも御意見がありまして、北海道の零細漁民がたいへん困つておることも認めます。しかし困つておるのは北海道の周辺ばかりではなくて、千葉県からあるいは和歌山、四国周辺の小型漁船がみな悩んでおるのであります。これを同等のはかりにかけて解決するのが正しき方法ではなかろうか。かようなことを考えまするとき、これはやはり科学的な基礎調査に基いたろ答えを出さなければいけないということに思いをいたしまして、昨年の十二月の当委員会において、私は、全国八箇所の国立水産研究所が、多額の国費をもつて応創立された。しかしその風立水産研究所がいかなる調査をしたか、魚族の習性及び回遊及び繁殖等のいろいろの重要なる調査がすでにできてあるはずだ。それに対して、的確なるところの科学調査に基いたところの資料を提出してもらいたい、データを出してもらいたいということを要求したのでありまするが、当時家坂水産庁長官は、二月ころまでには皆さんのお手元へ提出いたしましようという答弁であつたのでございまするが、これはございません。三月の当委員会において、再び私はその点について催促をしたのでございまするが、近く提出するといつて、いまだ出ておらない。今日かような問題を論議するということに相なりまして、喜びその思いを新たにしたのでございまするが先ほど松田君と藤田水産庁長官との質疑応答中において、科学資料に基かないところの議論は空論である、無価値であるという言葉がございましたが、私もまことに同感であります。さような意味におきまして、基礎資料をも出せない、また出さないで、観念論でもつて、どこでさんまが産卵するのであるか、どういうような姿でもつて発育して行くか、そういうことをだんだんに基礎的に将棋をさすように詰めて行つて北海道におけるところの解禁日が八月十五日がはたして妥当であるか、しからざるか、内地北海道と解禁日を同一にしたらいいであろうかという結論が出るのでありまして、架空な事実に基いてかような原案を出されるということは、私ども漁業者として、経験者としてはなはだ迷惑千万なことでありまして、それらの資料が提出されないうちは、この原案に基くところの審議は私はできない。かような意味におきまして、少くとも水産研究所の調査報告がわれわれに提示され、われわれがその調査報告に慕いて——一応こう私議論する以上、水産研究所の調査報告というものを、信が置けるものなりとみなして申し上げておるのでございまするがゆえに、これらが出ないうちに、かようなトン数の問題ももちろんでございますが、解禁日の問題、あるいは終了期日等を審議するということはへいささか早計ではなかろうかという意味において、本間一題の審議は、しばらく留保されたいという意見を提出いたします。委員長において適当におとりはからい願いたいと思います。
  55. 藤田巖

    ○藤田政府委員 ただいまお話の、ございました水産庁の洲杏研究部が昭和二十五年度のさんま漁業について、不完全ではありますが、緊急に調査をいたしました報告もまとまつておりますからして、御要求がございますればこの資料を提示いたしまして、本委員会において、いろいろお聞きとり願う機会をおつくりいただけばけつこうだと思います。いつでも私どもの方からは申し上げることにいたします。
  56. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま水産庁長官から、さんまに対する基礎資料ができておるから、必要であるならば提出するということでありましたが、必要であればどころじやなく、われわれは早くからその必要を認めて要求しておつたのであります。しかしながら、その資料が私どもの研究しておる資料と合致するか、あるいは不完全であるかということにつきまして、しばらく研究の余地を求めるものでありまするがゆえに、一応その基礎資料を拝見いたしましても、私はここに少くとも数日間の研究期間を置きまして、私の調査と合致するかどうか、十分調査研究の上でなければ、審議の対象とはならぬということを御了承いただきたいのであります。
  57. 林好次

    ○林委員長代理 どうでしようか。その資料はこの次の委員会に提示してもらつて、さらに小高委員のお説のように、そのときに三日間ぐらい研究期間を置くとおきめになつたらどうでしようか。あさつての、委員会に資料を提出してもらつて、そうしてそのときに三日間ぐらい研究期間を置くということをおきめになつたらどうでしようか。1そういうことにいたします。では川村委員
  58. 川村善八郎

    ○川村委員 私はきようただいま漁業整備要綱の三案について概略的にお伺  いしたいのであります。詳細のことはいずれ懇談会等においてお伺いいたします。  第一に小型機船底びき網の整備減船に関する問題であります。これは減船ということを主眼としておりますが、どこまでも日本全国の小型の減船ということを建前にしてやるのかどうかお尋ねいたします。
  59. 藤田巖

    ○藤田政府委員 小型の底びき網については、現在の隻数というものが非常に過剰になつておりますので、やはり隻数を適当なところまで減らして行くということがポイントになつて来ると意いまし
  60. 川村善八郎

    ○川村委員 そういたしますと、北海道は全廃ということになるのだが、一体それとの関係はどうなりましようか。と申すのは、北海道は、さきにこれは全廃しなければならぬということで進んでおつて、今度は一年たたないうちに減船で行くという水産庁の方針は、まことにうやむやである。われわれはいやしくも漁業制度改革という大きな問題をここにひつさげて進まなければならぬというときに、一方は資一源があるにもかかわらず全然廃し、方は資源がなくなつてつておるという実情はつきりわかつておるにもかかわらず減船で行く、この二つの行き方については、私らは承服できないものであります。北海道は昭和二十七年の三月三十一日で全廃をしなければならぬという運命になつておるのでありますが、ただいま出されました案というのは、減船で行こうというところに私はあなた方の政策が非常にうやむやな、いわゆる不動のものでないということをはつきり申さねまならぬのは、まことに遺憾でありますけれども、ここに減船案と全廃案との二つの問題で、それならば北海道をいかにするかということをお伺いいたします。
  61. 藤田巖

    ○藤田政府委員 北海道はたまたま旧型の底びき網の整理期間において、この小型の問題を解決し得たのだと思いますが御承知通りに、内地の小型の底びき網というものは、従来なかなか手がつかずにずつと放置をされておるということは、御承知通り事情であります。ことにそのうちの大部分のものが——大部分と申しますか、三分の二程度は瀬戸内である。瀬戸内のこの小型の底びき網漁業の問題、これがやはり一番大きな中心になる問題であります。われわれから申しますれば、瀬戸内は規則ではさようなもの一がないはずでありますけれども現夫においてはそれが出て来ておる、でありますから、行政の考え方から申しますれば、やはり現在の事態からこれを整理して行くというふうな段階に、内地においては進ま、さるを得ないというふうに思うわけであります。これを規則通りに、みなないはずだから全部やめてしまうということも、これは行政としては非常に乱暴なことに相なると思います。私どもといたしましては、もちろん資源の濫獲のおそれのあるような場所——これは地帯々によつていろいろ違うと思います。さようなところをよく考えまして、やはりそれぞれの地帯に応じたところの整理計画を立てて行くということが、適当じやないかと思つております。
  62. 川村善八郎

    ○川村委員 もちろん、ときがかわりますと、方針もかわつて来るのでありますが、北海道の小手繰りがまだ幾つおるのでありますから、この案に基いて今後残して行くのか、あるいは北海道はあくまでも当初の方針通りに全廃をして行のか、これも承りたいのであります。
  63. 藤田巖

    ○藤田政府委員 北海道については、私どもといたしましては既定の方針によつてつて行きたいと思います。
  64. 川村善八郎

    ○川村委員 そういたしますと、非常に不公平になるではないかということを言いたいのであります。もちろん時間の関係意見については後刻の委員会に譲ることにいたします。  そこでこの減船した船を一体——今後漁業者が失業するということになるのですが、この船なりあるいは失業する漁民を、一体どこにどう転換させるのか、また転換せしめるだけの用意があるかどうか。さて転換するにいたしましても、何か国家補償がなければなりませんし、また国家補償がないといたしましても、何らかの方法を講じてやらなければ、すなわち予算措置なり、資金措置なり講じてやらなければならぬのでありますが、これに対しての確信ある御答弁をいただきたい。
  65. 藤田巖

    ○藤田政府委員 もちろん内地の小型底びき網の整理をいたします場合には、当然予算的な措置を伴わなければならぬと思つております。現在この本計画によりましても、初年度におきまして約十五憾見当の金がいることだと考えております。それで私どもといたしましても、問題はその予算的措置がはたしてできるかということが一点。それからいま一点は、これも御指摘ございましたように、その失業した者の転換先をどうするかということ、従つてこの二点について、率直に申しまして、転換先の問題等については、現在漁業部門も、それぞれの部門がいずれもきゆうくつになつております。転換先が限定されております関係上、円滑にすべての者が移り得るということは、私はむずかしいと思う。率直に申しまして、漁業声門のみによつてこれを解決するということは非常に困難だ、あるいはむずかしいのじやないか、こう思つております。しかしながら、私どもの案といたしましては、やはりこれを漁業部門なりあるいは漁業に関擁する部門にできる限り吸収する。そうしてまたその他の部門についての吸収ということについても、私どもとして、あらゆる機会をとらえてこれが実現をほかつて行くということで、これは具体的にさらに詳細に検討する必要があると考えております。今いろいろと検討をいたしておるわけであります。  それからなお予算につきましては、これも見通しはどうか、確信があるか、どうか、こういうことでございますが、これは何といたしましても、やらたければならぬ事柄であるわけでありますから、私どもといたしましては、これは極力絶対的に背水の陣をしいて、ひとつ財政当局に当つて実現を期したいというふうに、かたく考えております。
  66. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいまの藤田長官の答弁に対しては、それができますれば私らも賛成するのでありますけれども予算措置もはつきりできない。あるいは転換等にいたしましても、もちろん漁業問題ばかりではありませんけれども、他の部門にも転換させる、水産関係のある部門に転換させるというお話でありますが、それらの計画をこれもはつきり出して、われわれの論議の参考資料としてもらいたいということを要求しておきます。  昨日私ちようど中央漁業調整審議会会議の模様を傍聴しておつたのでありますが、この小手繰りの小型機船底びき網の漁業の転換の一つとして、説明の中に北海道の魚田開発に振り向ける、こういう言葉が第一課長からあつたようであります。もちろん簡単にテーブルで考えれば、たやすいのでありますけれども、藤田長官の言われるように、主として瀬戸内の問題だとすれば、北海道とこの瀬戸内海の気候の問題、それから簡単に魚田開発に振り向けると、こう言いましても、あの北海道の寒風にさらされなければならない魚田開発、しかも沿岸漁業の開発はすでにもう底をついて、沖合いに、沖合いにと進んで行かなければならない魚田開発、言いかえるならば、これから新魚田を見つけて進んで行かなければならぬというときに言うべくしてはたして行われるかどうかということを私は懸念しておます。もちろん昨日の案の説明を聞いておりますというと、二万隻くらいの転換だということでありますが、この二万隻に乗り込んでおるところの漁夫のうちのどのくらい転換させ6かわかりませんが、こり中で、かりに半分を北海道に転換させるとしても、おそらく三万人やそとらの人間が、いわゆる漁民があるだろうと思いますが、はたして一体北海道に行く気になれるかどうかということも懸念しております。従つて、まず案を立てましたならば、この委員会に瀬戸内海の漁民の代表を呼んで、そうして意見を承りたいと、かように考えております。でありまするから、適当な地区から適当な代表を本委員会に参考人として呼んでいただくことを、まず委員長にお願いしておきます。  それから次は旋網の問題でありますが、これらもこのままにしておくということは、濫獲のおそれがあるので、整理をしなければならぬということについては、吾人は同感であります。ただ要は、五トン未満の旋網と六十トン以上の旋網、これらについての問題はともかくといたしまして、地方許可をするが、わくを與えるといういわゆる五トン以上六十トン未満の旋網についての問題は、相当混乱するだろうと思つております。そこでわくをきめる場合に、一体水産庁独自の立場できめるか、あるいは中央漁業調整審議会意見を徴じてきめるか、あるいはまた本委員会にも諮つてきめるかはわかりませんけれども、相当に慎重を期して行かなければ、いたずらに混乱をして、かえつて違反者を出すようなおそれがあるのではなかろうかかように考えております。その一例といたしまして、現在までの操業状場熊を見ますと、権利だけ持つて、そうして他の者と契約をして、言いかえるならば、搾取的な存在もあるということもはつきりしております。また内地方面からは、北海道に相当に入り込むというような入会的の問題もあります。この問題についてはいろいろ複雑な事情がありますので、これらについても、でき得れば、現在までどういう状態になつておるかという資料も、この次の委員会に提示してもらいたい。それによつて細部にわたつてお互いに研究もし、お互いに議論もして結論を得た方がいいのではないか、かように考えております。  それから最後にさんまの問題でありますが、先ほど松田君の意見もあり、小高君の意見もあり、いずれにしてもこれも重要た、問題でありますが、とにかく今後の漁業調整というものは、相当これはめんどろであります。ただ北海道北海道だけ考えるべきかどうか。また各県は各県のことだけで、侵略的な考えで自分の県を荒しまわつて、さらに他県に行つて濫獲をするというような考え方でおつては、とうていこれが漁業調整ということに乗つてやるということは容易でないのであります。とにかくこの三つの問題は、今度の漁業調整の上において、一番めんどうな問題でありますので、慎重を期さなければならぬのでありますから、もちろん小高委員が要になりました資料も、この委員会に出て来ると考えますので、その資料に基いて検討いたし、あるいは大いに研究もし、でき得れば今期国会委員会できめてやつた方がいいのではなかろうか、かように考えております。  総括的に、この整備というものについては、どうしてもやらなければならぬということだけは、私は考えております。方法とか時期とか、いわゆる末端のいろいろな問題の細部については、時間の関係上申上げませんけれども、とにかくやるということにしなければならないことだけは、私は考えておりますので、ぜひ早くこの結論を見出したいと私は考えております。  そこでただ一点だけ最後水産庁考え方について私が申し上げておきたいのは、どうもいずれの漁業の整備についても、北海道最後の跡片づけをしなければならないというようなことが多いのであります。もちろん北海道では、まだ炎源も残されておるというようなことも考えられるでありましようし、また漁民も内地方面と違つて不足であり、また漁船の数においても、漁撈の方法におきましても、また資本におきましても、いずれも劣つておりますので、重た入り得る余裕があるというようなお考えでありましようけれども、しかし北海道といえども、あなた方の整備のやり方によつては、資源もまだあるのですけれども、濫獲するような整備の方法であるならば、北海道もやがて内地同様になつて最後には漁民全体が疲労困憊をするというようなことにもたりはしたいか、かように私は考えておるのでありますから、この漁業整備に当つては、一つの経済的に他の漁業よりも恵まれておる漁業等については、今後他種漁業にあまり手を出させないように、すなわち許可を與えないように、指り制度にして行かなければならぬのではなかろりかということを考えております。なぜとならば、小型整理の問題についても失業者が出ますし、漁船も余つて来る。それから旋網漁業の問題でも、これを整理して行くと、必ず船が余つて来ます。それからさらに以東底びき網も、現実の問題として整理して行かなければならない。かようにたりますと、この船も余つて行く、あるいは漁民も余つて行くということになります。そこで漁民は漁民のたどるべき道をとるということが、これは一番たやすいことであります。漁民から農民に転換するといいましても、いわゆる耕すべき畑もなければ田もない。またあつたとしても技術はだめだということで、これはとうていその業に励んで生業することは容易ではありません。また漁民が今後いろいろな土木事業とか、その他の労働に転換するといいましても、これも容易でありません。やはり漁民は、海によつて生計を立てるという性格を生れながらにして持つておるのでありますから、どうしても漁業に転換させて行くという方法が一番よいのであります。ただ北海道に行くか、あるいは問題となつておるさんま漁業に転換するか、いろいろありましようけれども、とにかく漁民は漁民としての立ち行く方法に転換をして行くことが、一番いい方法であると私は考えますので、先ほど松田君が指摘になりました百トン以上の船たどは、やはりかつお、まぐろというような経済に恵まれる漁業もありますし、将来講和條約が締結されまして、公海に進出することができるならば、こうした船はりつぱに大海に出て操業することがいいということも明らかであります。ところでそれに引きかえて零細漁民は、こうしたような機会を與えられましても、いわゆる船もなければ資金もない、技術もないというようなことから、容易に大海において操業することができないので、いずれにいたしましても、こうしたような大きな漁業整備をやろうとするときにおきましては、やはり大きい船あるいは大きい漁業者は、でき得るだけ沖合いに、あるいは大海に行つて操業のできる漁業に転換させるべきであり、あるいは今後、いろいろな沿岸漁業と摩擦を生ずるような漁業の許可を與えないようにしなければ、総合的にこれを転換させるということについては、相当混乱もすると思いますので、その心構えが必要ではなかろうか。こうしたようなことをいろいろ検討もしなければならぬので、ここの委員会へ資料が出て、これをただこの席で速記をとつて一々代論しておつたのでは、何日たつてもまとまりませんので、懇談の形式でもよろしいから、ゆつくりひざを交えて、そして結論を得た方がいいのじやなかろうかと思います。  その次にお伺いいたしたいのは、漁業法の実施に伴つて海区が設定され、海区内の漁業調整の新漁業計画というものを、各海区において進められることは御承知通りであります。その中でたくさん問題を聞いておりますが、私の手元に、ぜひこの委員会において解決をつけてもらいたいという陳情がありましたので、その一点だけを申し上げて御意見を拝聴したいと思つております。それは青森県と秋田県の県境に九六島という島があります。これは沖合いにある島といえば島でありますが、満潮の場合は水かぶりをしておつて、干潮の場合には出る島であります。私もこれを知つております。そこで、これまでの漁業の状態を聞きましたところが、青森県と秋田県との共管で、そしてこの島の周辺は、双方の県から行つて魚をとつても何ら違反でなかつたということであつたのであります。ところが今度の漁業制度改革によつて、海区の関係でこれを青森県に属さして行く。そして入漁で秋田県に出漁させたいというようなことを承つております。こうなりますと、両県下の漁民に必ず争いが生ずると私は思つております。同等の権利であるならば、そこに円満に調停ができるでありましようけれども、入漁の場合におきましては、秋田県のこの付近に住んでおります漁民は、非常に困るのではなかろうか、かように考えるのであります。そこで、青森県は御承知通り北海道とすぐ海が接続しておりまして、青森県のほとんどは北海道の海で操業している。一つの例をあげますと、六十数隻というものは、機船底びき網で入会をしている。松前郡の大島、小島の周辺においては、青森県の船が堂々と行つて漁業をしている。極端に言えば密漁している。かようにして青森県は北海道に行つて漁業をすることができますけれども、秋田県は双方から攻められて、行く道がふさがれておるというような、極端に言えばかわいそうな漁業の状態を続けなくてはならぬということになつておるのであります。でき得れば、やはり在来通り、これを青森県と秋田県の双方の漁民が、共管で漁業をするようにすれば円満に解決もつくし、また青森県といたしますれば、先ほど申しましたように、まだまだ北海道の入会というようなことや、あるいは将来北海道の大海区制というような、あなた方の御計画に沿うて行くたらば、一番近いだけに、北海道の漁場によつて漁業をするという恩典もありますので、この場合私の考え方では、ぜひとも在来通りにしていただきたいという考えを持つておりますが、水産庁はいかなるお考えでありますか、お伺いいたしたい。
  67. 藤田巖

    ○藤田政府委員 この九六島の問題については、私も前から聞いておるわけでございまして、現在両県にいろいろ資料を提出をしてもらうために照会をいたしております。この問題は、私どもといたしましては、各県々々が単独に行動しては非常にゆゆしい問題を起すと思いますので、やはり水産庁が仲に立つて、従来の漁業慣行を十分尊重いたしまして、円満に解決して行くというふうな態度で、この問題は解決しなければならぬと思います。両県に照会もいたしておりますし、またよく両県の事情も聞いて、水産庁が仲に入つて解決して行きたいと思います。
  68. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいまの問題につきまして、長官から懇切な御答弁があつたのでありますが、ぜひ早急にこの問題解決のために、両県の関係者を招請いたしまして、解決をつけるように御努力あらんことをこいねがう次第であります。  以上は私の質問でありますけれども、とにかく先ほどからいろいろ議論が出ましたように、このさんま漁業の問題、それから旋網漁業の問題、小手繰り漁業の問題、これらは今度の国会と最も密持な関係があり、われわれとしても、相当の責任を持つてこれの審議に当らなければなりませんし、解決のために努力しなければならぬと思いますから、できるだけあなた方の資料を提出いたしまして、懇談的に話し合つて、今期国会中に解決をつけられんことを、再び提出いたしまして、私の質問を終る次第であります。
  69. 藤田巖

    ○藤田政府委員 御趣旨私どもといたしましても同様に考えておりますので、ひとつ十分御審議の機会に私ども意見を申し上げ、御意見も伺いたいと考えております。  なお先ほどお話の、ございましたように、小型底びきの問題については、特に予算の問題がからみ合いますので、これは私どもといたしましては、むずかしいとは言い條、捨てておけない問題でございますので、今後われわれの責任として極力努力はいたしますが、水産委員会におかれましても、これはやはりどうしてもやらなければならぬという前提のもとに、これが実現できるような方向で、ひとつ御意見なりあるいはいろいろの御協力等を賜わりたいと思います。
  70. 林好次

    ○林委員長代理 それでは本日はこの程度にとどめます。  なおこの際御了承願つておきたいと思いますが、先ほど大蔵委員会との連合審査会は、明十八日午後一時半より開会の予定と申し上げましたが、部屋の都合等によりまして、明後十九日開会の予定になりましたから、御了承願います。次会は明後十九日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十八分散会