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藤田政府
委員 前会に小松
委員から
漁業権の補償についての御
質問がございましたが、これに対して
答弁を申し上げます。
まず第一点は補償金額の発表の問題でございます。
漁業法施行法では、
漁業権の補償計画は各都道
府県の補償
委員会が立て、補償計画では補償金額を定めて、その算定方法については基準年度における
漁業権の種類、
漁業権の行使方法等によ
つて、一箇年間の漁獲金額または賃貸料に一定の倍率を乗ずることにな
つており、その値を補償金額にすることと明記いたしております。しかしながら
漁業法施行法第十條第三項第六号では、主務大臣が特別の事由があ
つて規定の算出方法によることができない場合または著しく不適当と認められるときは、別に基準を定めることができるのでございます。また
漁業法施行法第十二條の2では、補償
委員会によ
つて立てられた補償計画を都道
府県知事が承認をしようとするとき、主務大臣は、他
府県の補償計画と均衡を失し、その他不当であると認めるときは、承認してはならないことを命ずることができるとございますように、農林大臣は法的にも補償計画の作成に関与をいたしまして指導する権限が与えられているわけであります。補償計画が
委員会によ
つて最終的に完了いたしましたあとにおいて、前述のような補償計画の不承認について知事に命ずるようなことがございますると、時間的にも労力的にも不経済でございますために、あらかじめ
水産庁におきまして、各
府県の補償
委員会の算出をいたしました金額を基礎といたしまして、各
府県間の均衡をはかり、補償に関する事務の円滑なる進捗を期する意味におきまして、今回のような
府県別、
漁業権種類別の補償金額を示したのであります。
第二点のセンサスの活用につきましては、
漁業法施行法第十條第四項では、補償金額の算定の基礎になる賃貸料または漁獲金額は
漁業権センサスによるということに相な
つておりますが、今回の
水産庁で発表いたしました補償金額では、センサス数量を基本といたしまして、別に客観的に
府県間の均衡をとるために、農林統計や実態調査の数量を加味しております。これ
はつまり
漁業権センサスだけによることは必ずしも適当でないというふうに
考えるわけであります。この実態調査の数量は、いずれも補償
委員会の提出いたしました
資料によ
つておるわけであります。
それから第三点の現実の賃貸料を使わないという点であります。これは
漁業法の施行法では、補償金の算定に際してその賃貸料を基準にしておりますが、これは同一の
漁業権種類、同じ程度の規模及び漁獲金額でございましても、
地方によ
つて賃貸料が異
つております。また本権者と賃借人との
関係によ
つても異
つております。つまり組合が組合員に賃貸するような場合は低額にな
つております。従
つて現実の個々の賃貸料を基準にするということは必ずしも妥当でございませんので、一律に漁獲金額の六%をも
つて賃貸料にいたしました
関係上、今回の
水産庁の計算では漁獲金額、すなわち漁獲数量と単価が計算の中心と
なつたわけであります。
なお第四点は点数制を採用したことであります。以上の
見解によ
つて、
水産庁は
府県別の補償金額を示したのでありますが、各補償
委員会はそれぞれその金額の範囲内において個別の
漁業権別の補償金額を定めるわけであります。その際
委員会には点数制を採用して行くように指導いたしております。これはセンサスその他を基準にして、基本になる
漁業権をまず百点といたします。他の
漁業権を九十五点、八十点こういうふうにつけまして価値評価をいたしました上で補償金額を求めますが、形式を合せますためには、漁獲金額に六%を乗じて賃貸料を出して、所定の倍率を乗じて補償金額を逆算をするという計算をいたしております。これは先刻申し述べましたように、現実の賃貸料そのものがそのまま使えませんので、やむを得ない
措置でありますのと、
漁業法施行法第十條第三項2の推定賃貸料という点、同條第四項の補正を参酌して定めることにな
つておる点から見まして、
漁業権間のバランスをとる上に便宜な方法と
考えたのであります。
なお
最後の第五点は、百七十億円程度の限界を設けたことについてであります。これはセンサスを基準にして
水産庁で定めました限界価格で計算いたしますと、百五十億円程度と相なります。若干の調整をする余地をみても大体百七十億円程度が適当であろうという概略の見通しをつけて、一応これを基礎として大蔵省方面と
連絡をして参
つた次第であります。
以上で補償に関する問題の箇所を説明いたしたのでございますが、これらはいずれも事前に法務府とも打合せ、了解済みの上
措置いたした次第であります。かようなやり方をいたしますことは実情やむを得ないことでもあり、また
法律にも抵触しないと
考えております。