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1951-05-15 第10回国会 衆議院 水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十五日(火曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君    理事 上林與市郎君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    永田  節君       平井 義一君    小松 勇次君       水野彦治郎君    佐竹 新市君  出席政府委員         水産庁長官   藤田  巖君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         運 輸 技 官 藤野 義男君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 五月十四日  委員大森玉木君辞任につき、その補欠として岡  山勢一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  漁業権証券資金化に関する陳情書  (第六八五号)  水産金融政策確立に関する陳情書  (第六八七号)  漁業用資材価格低廉化に関する陳情書  (第六八八号)  漁民権証券資金化促進並びに北海道の割当額増  額の陳情書  (第六九二号)  漁船の不法だ捕防止に関する陳情書  (第七〇四号)  沿岸零細漁業振興対策に関する陳情書  (第  七三三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  漁港に関する件  漁業権証券の補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  漁港に関する件を議題といたします。質疑を許します。川村委員
  3. 川村善八郎

    川村委員 私がただいまから質問いたしたいことは、とかくこれまで立法行政機関との間にいろいろ混乱をしておる点もあり、さらに官僚独善的考えから、とかく国会立法したことについて、いろいろと国会を非難しておるというようなことが見受けられるのであります。そこでいかにわれわれが立法いたしましても、これを執行するものは行政庁であり、行政官でなければならないにもかかわらず、とかく立法機関行政機関との間にいきさつを生じて、これをはばんでおるということがたくさんあるのであります。かくてはせつかく民主化されましたところの立法機関並びに行政機関が、今後そうしたようなことによつて、いろいろ行政事務あるいは事業等が行われまして、地方民が迷惑するということがありますので、かようなことのないようにしなければならない。すなわち立法行政とは一体になつてその実施に向わなければ、完全な行政が行われないという考え方から、私はこの際、ある一つ機関でありまする「建設」という新聞商港漁港という題のもとに書かれました藤野義男君に、御意思を確かめてみたいと思うのであります。そこで商港漁港とにつきましては、いろいろ見解の相違のあることも認めておりますけれども、われわれの常識から考えまして、商港使命漁港使命とはおのずから違つておることははつきりしております。ただこれまで法律がなかつたために、その判定にいろいろと食い違いがあつたことは事実でありますけれども、しかしながら、いずれにいたしましても、立法はこのことを明らかにしなければなりませんし、また工事等におきましても、それぞれその施行については、最終の目的等についてはかわつて参る点もあるということは、これはいなめないのであります。そこでそのことは、ただお互いに協調いたしましてやつて行けばいいのでありますが、われわれがいやしくも立法するときには、商港であろうと漁港であろうと、その地方の実情に即して、地方利益になるように、また漁港にいたしますれば、漁民利益になるようにしたいという念願で立法しておるのであります。でありますから、あるいは行政官から考えますと、いささかそこに物足りないような点もある関係上、法律内容の批判をすることについては、これは自由でありますけれども、いやしくも立法機関を非難するごとき言動というものは、行政官は愼まなければならない、かように考えておるのであります。  そこで昨年の五月に本国会を通過いたしました漁港法内容について申し上げますと、漁港漁業を基盤としている以上は、おのずから港湾施設と別個な考え施設をして行かなければならぬ。かような点から、一方は港湾法の規定を受けて修築しあるいは事業を遂行して行く、また一方は、漁業法によつていろいろ施設なりその事業を遂行して行くということに、国会決定したのであります。  そこでこのことを取上げまして、いろいろ内容的に申し上げたいのでありますけれども文章が相当長くなつておりますから、端的に伺いたいと思うことは、去る四月十五日付で、全日本建設技術協会発行人高橋壽男にかかるところの「建設とい新聞記事の中に、商港漁港と題して、筆者運輸省港湾局運輸技官藤野義男さんが、非常に不穏当なことを記述として表わしておるのであります。その一端だけをここに申し上げてみたいと思うのであります。「水産行政上の要求から従来より漁港修築助成農林省の所管であつたが、土木行政上の手続は運輸省に属していた。又運輸省でも一般港湾と同様に漁港修築助成にも手を出していて、水産行政立場から漁港行政は統一されてはいなかつたのである。終戦国民食糧蛋白質獲得の観点から急激に水産行政政治の表面に押出され、同時に水産業の根拠地となる漁港行政の整備と統一のために根拠法の必要が痛感されて来た。然し港湾の実体をみると其の沿革においても機能においても商港漁業との混合港湾が普通であつてこれを分離することは難しいと同様に港湾法漁業法の二本建の必要があるかいなかも問題である。仮に二本建がよいとしても漁港法土木法規であるから港湾法とあまりかけ離れていても互に困るのである。にもかかわらず漁港法は前記のごとく水産行政の旭日の勢をかつて国会水産委員議員提出法と称して運輸省反対無視の上強行に成立してしまつた。」これが非常な問題となるのであります。もちろん内容的にも少しく現在からの漁港あり方、あるいは港湾あり方について調べてみましても、事実を曲げて書いておることがあるのでありますけれども、われわれは国会議員立場として、また国会立法機関である建前からいたしまして、この最後字句の「国会水産委員議員提出法と称して運輸省反対無視の上強行に成立してしまつた。」これに私は問題があるのであります。しからば一体国会とは何をするものであるか、内閣は何をするものであるか、行政官は何をするものであるかということに、問題をさかのぼつて論じなければならぬのであります。申すまでもなく、憲法に定められております通り国会は国の最高の機関であつて唯一立法機関だとはつきり規定しております。それから内閣はその制定されました法律に基いてその行政をやつて行かなくちやならぬ。極端にいうならば、われわれがつくつた法律、すなわち国会制定した法律をすなおに内閣は執行しなければならない。その執行する場合の機関として行政機関があるのであつて内閣の命ずるところによつて行政官はこれを執行して行かなければならぬということに、はつきり憲法で定まつておるのであります。しかるに、一技官国会を非難し、むしろ国会を侮辱したようなこうした文章をここに掲示して、しかもそれが「建設」という公器を利用して他に流布しておるというようなことは、絶対にすべきでないと考えるのであります。そこで行政官でありますところの藤野義男君は、このことについてどういうふうに考えておるか。もしあなたの考え間違つておる、あるいは記事内容行き過ぎであるということがわかりましたならば、当然陳謝の意を表さなければならぬし、それに対してわれわれが何らかの処置をとらなければならぬのであるが、まずこれはほんとうにあなたが出した記事であるかどうか、それからもう一つは、行き過ぎであるかないか、さらに一体あなたの心境は国会を支持しておるのかどうか、行政官立場からひとつ答弁を願いたいのであります。以下、御答弁によつて一問一答の形式で私は質問してみたいと考えております。
  4. 藤野義男

    藤野説明員 私、ただいまの執筆者藤野でございます。執筆いたしました「建設」という印刷物は、私たち技術官仲間のひとつの団体の機関紙として発行しておるものでございまして、これは会員だけに配付し、一般には交付していない、会員だけの思うままのことを書くような印刷物でございます。それで、その点でお話がございましたが、もちろんただいまのお話のごとく、行政立法によつてきめられた範囲内のことをやるべきだと思つております。もしその印刷物に書いたものに不穏当な点がありましたならば、それは私の筆の誤りでございまして、そういうぐあいに考えておらないのでございますから、そう書いたことに対しましては、まことに申訳なかつたということをおわびさせていただきたいと思います。
  5. 川村善八郎

    川村委員 ただいま藤野君から、この「建設」という新聞はわれわれ内部のものであつて、他にこれを配付すべきものでないし、われわれ内部だけの、お互い意見を取上げるために書いておるのだというお答えでありますが、いやしくも新聞なり、あるいは雑誌なりというものは、内部だけだとわれわれは認めるわけに行きません。何となれば、内部であるならば他の方面に出すべきでもないのでありますし、もしほんとうにあなたの言う通り内部だけの問題だといたしましても、行政官庁内部がこうしたような字句使つて、あるいはほんとうにこうしたような精神でこれを書いてお互いに交換をして、そしてわがままかつてなことを言うようであつては、どうして一体完全な行政を執行することができるか、私はここに憂える点がありますので、立法機関行政機関とは一体にならなければ、これは完全な法律に基いた行政が執行できないというところに、悩みがあるから、この前提を置いて私は質問しておるのであります。もしかりに百歩譲つて、あなた方の内部だけの問題だとして考えましても、こうした国会を否認しておるようなことが、運輸省にもあり、あるいは農林省にもあり、各省がこういうふうなことを内部で植えつけたならば、これこそまことにゆゆしき問題であります。つまり内部だけだということに名をかりて、これを全部の官庁がやるというと、これは国全体の行政に及ぼす影響が大きいということを考えずに、内部だけだ、内部だけだと言うことは、私はこれは許すべき言葉でないと考えるのであります。いやしくも官吏国民の公僕であります。われわれが国の唯一立法機関として立法をしたものに対しては、官吏はこれをすなおに実施に努力しなければならぬというときに、かような記事内部だけである、他に漏れたということをかえつて変に考えておるというがごときことは、私は断然この場合許すべきでない、かように考えておるのであります。  そこで藤野君にもう一回承りますが、ここに最後運輸省反対無視の上強行した、これが農林省なりあるいは通産省なり、すべての各省にこうしたような自分たちの省の意見無視したというふうなことが取上げられるならば、法律の改正もできなければ、いわゆる根本たるところの立法もできない。立法ができなければ、一体日本はどうなるかということを大きく考えたときに、運輸省反対無視して強行したとは何事であるかと言いたいのであります。しかもさらにこの漁港法制定の場合においては、各党は全部賛成しております。一人の反対者もなかつた運輸省からだれが一体この委員会反対に来たか。運輸委員会からも反対がなかつた運輸委員会とは連絡をとつて私らはやりましたし、参議院とも十分に緊密な連絡をとつて制定したのであつて、何らわれわれは反対を受けてない。にもかかわらず、特に運輸省反対したと言うが、もし反対をしたならば、その記録がどこにあるか。私はこの漁港法制定に関しては、法案起案者となつてつたのでありますから、その際そうしたようなことは私に来ておりませんので、一体反対したということはどこで反対したのか、だれが反対したのか、この点をまず伺いたい。
  6. 藤野義男

    藤野説明員 その反対のことにつきましては、私はその法案成立後着任いたしましたので、そのときの事情はよく存じておりませんが、ただ内部にいろいろそういつたような風説があつたので、それをそのまま書いたのでありまして、もしそれが事実に反するとすれば、まことに申訳なく、それは取消したいと思います。
  7. 川村善八郎

    川村委員 事実に反するも反しないもない。そこで四月の三日に石原委員長から相当長い報告があつて最後にかように結んであります。「本案は、四月一日及び四月三日の二日にわたり、本委員会において愼重審議をしまして討論に入り、日本共産党中西伊之助君より原案一部修正の意見があり、民主党林好次君より国の支出増額を希望して賛成する旨の意見を述べられ、さらに自由党川村善八郎君より委員会原案賛成意見があつて、続いて成案決定について採決を行いましたところ、多数をもつて原案通り委員会成案決定を見たのであります。」こういうふうに結んでおります。そこでこの報告には、二回にわたつてのみ委員会で取上げているようになつておりますけれども、この成案を得るまでには相当の長い時間において各党意見も十分徴し、もちろん小委員会においては委員会意見も十分徴し、運輸委員会意見も聞き、さらに自由党のそれぞれの機関に諮つてたちはこれを立法したのであります。その場合に、運輸省からの一つ反対意見もなかつたのでありまして、またかりに運輸省意見反対表示されましたところで、国会運輸省反対があつたからといつて立法できないものでもない。これははつきり憲法できめられている通りであります。しかるに反対もなく、またこの内容を見ましても、相当事実を曲解して書いている点もあるのでありまして、今藤野君は、反対のあつたかどうかというその表示がどこにあつたかという私の質問に対しても、うやむやな答弁をしている。かようなことでわれわれをごまかそうとしても、われわれはこれに応ずるわけには行きません。反対意思表示委員会にしたかどうか、ここが問題であります。この字句通り国会水産常任委員議員提出法と称して、運輸省反対無視して強行したというこの事実がない限りは、あなたはこの委員会に対して一体どういう責任を持つか、むしろ大きく申し上げますならば、国会に対してどういう責任を持つか、こういうことであります。持つか持たないか、イエスかノーか、はつきりこれを言つていただいてから、さらに私は質問をいたします。
  8. 藤野義男

    藤野説明員 先ほどのお話のごとく、立法行政とは一体となつてやるべきものでありまして、ただいま書いてありますことが間違つてつたことは、まことに申訳ないことでございます。これは私の誤りでございまして、どうかそういうことでひとつお許しを願いたいと思います。
  9. 川村善八郎

    川村委員 あやまつたから、これは改めるにはばかるなかれで許してやらなければならぬのでありますけれども、私はこの内部の問題だとして考えられない点があります。私たち国会議員となつたのは五年前であります。こういうことが非常に横行している。水産庁内部にも遺憾ながらたくさんあつたのであります。われわれは声を大にして、しかもからして、粛正に乗り出して、水産庁はようやくややよくなつたのであります。当時のそのことを聞いた藤田長官もここにおられますが、とにかくかようなことが各所にありましては、劈頭に申し上げた通り、せつかくわれわれは国民の意を体して立法しても、完全に行政が行われないとすれば空文になるのでありますから、今後藤野君が自分で改めてほんとう行政官としての職責を全うせられんことを希望いたすのでありますけれども局長さんにちよつとお伺いしたいことは、これは藤野君の言う通り内部の問題だと私が解釈しましても、かようなことが運輸省内部にありましては、今後の運輸行政、大きく申しますならば、国家の文化の最も重大な問題でありますところの運輸交通の問題にも、非常な支障が起るということも考えられますので、局長はこうしたような記事に対して、部下の今後の指導もして行かなければならぬ、してもらわなければならぬが、いかなる考えをもつて今後これに対処すべきやということについて、一言承らしていただきたいと思います。
  10. 黒田靜夫

    黒田政府委員 この件につきましては今述べた通りで、今後立法行政運用一体になつて、うまく行くように十分注意して行きたいと思つております。
  11. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま川村委員から、藤野技官に対していろいろな意見がありましたが、いまだに役所の方々がはき違えた考え方をしておるのではないかと非常に心配をされるのであります。まず私どもは、日本の国というものは、戦争前は、主権は上御一人の天皇にあつた民主主義議会政治であつた考えておるのであります。また戦争中は、全体主義的な傾向を持つてこれに迎合したのが官僚であり、国の政治が、それがために誤れる戦争をし、遂に国民がその負担を負い、犠牲をあえてしなければならなかつた時代である。終戦によつて初めて日本の国が真の民主主義に生きなければならない国政となり、今や主権在民議会政治であるのであります。官僚において、いまだにこの日本政治の実態をわきまえずしておるがために、かような、ただいま川村委員から指摘されたような文書をもあえて発行し、しかもその内部のみで交換する機関に備えておるという御意見があつたのでありますが、これこそ日本の国の民主主義を冒涜するもはなはだしい。もしかような機運がいまだに除去されない場合においては、日本の国は一体どうなつて行くか。再び戦争当時の全体主義国家に逆もどりするような傾向が、あなた方の手によつて構成されるのではないか。これは非常なる憂いを持たなければならない。われわれはこの点に対して、ただあなたがあやまればいい、かようなことで事がすむものではないと考えております。幸いにしてただいま局長もあなたも、これに対して陳謝の意を表し、また局長から気をつけさせるという御意見も承つたので、この問題に対しては将来十分考えられることであろうと存ずるのでありますが、国の政体に対して局長はどのようにお考えになつておるか。私の意見が誤つておるか、また局長はこれに対しどういう意見を持つておるか、このことをまず局長に聞きたいと存ずるのであります。
  12. 黒田靜夫

    黒田政府委員 今あなたが言われた通りでございます。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 さすがに国の大官としての黒田局長の御意見は、私どもと同様に、日本の国を民主主義に育て上げて行きたいという御意見のように承りました。まことに御同慶の至りだと存ずるのでありますが、ややもすれば——今年の四月この問題が起きておる。あなたの部下には、まだまだそのような考え方を持つておられる方があると私は見ておるのであります。将来われわれがいろいろな関係運輸省に行つたときにおいても、ただいまのあなたの御回答によつて、ぜひとも国のあらゆる問題は、今の日本の国の政体に合致するように御努力をお願い申し上げまして、またそれに準ずるようにすることが、本日の局長意見であると私は了承いたしまして、私の質問を終ります。
  14. 石原圓吉

    石原(圓)委員 漁港指定に関する運輸省協議につきまして、昨日の自由党政務調査会協議会でありますが、その席上に資料として出された書類の中に、運輸まの見解が出ておるのであります。それを読み上げてみますと、「重要な港湾のうち、漁港区域商港区域とを分割することが、港湾管理運輸省見解として不適当と考えるものは、府県及び地元関係者が希望しても分割に同意しない、」こういう意見運輸省として出ておるのでありまして、かかる思想運輸省思想であるといわなければならぬと私は思うのであります。地元関係者が希望しても、府県が希望しても、運輸省見解によつて不適当と考えてこれを分割に同意しない。これほど非民主主義的な横暴な意見はないと私は思うのであります。元来漁港法ができたということは——港湾なるものは昔から、われわれ日本国民が生れてからあるのである。そうして港湾の中から漁民がだんだんと発達して来たから、漁港がいるというので漁港の制度ができたのであります。従つて漁港法ができたならば、漁港としての要素を具備しておるものは、全部港湾の中より分割すべきものである、あるいは分割をさせるために漁港法をつくつたのであります。それにかかわらず、運輸省見解によつて同意ができないとか、分割はしないとかいうことは、これは運輸省所有物であるかどうかということになる。かような思想運輸省にあるから、ここに非常な支障を来すものである。あくまでも漁港としての要素を含み、また漁港としての性格を含んでおるものは、従来の港湾より分割すべきものである。そして漁港と普通の商港との相錯綜する点については、水産庁運輸省とが十分行政的な適当な措置をとつて商港としての機能発揮あし漁港としての機能も発揮して、両者が相融和してこの産業の発達に資すべきものである。漁港運用商港運用を活用すべきものである。こう言えるのでありますが、これに対する運輸省港湾局長のお考えを承つておきたいのであります。
  15. 黒田靜夫

    黒田政府委員 今石原委員からお話のありました漁港指定に関する運輸省との協議についての資料でございます。その資料に基いてお話になりましたが、この資料水産庁漁港課で印刷されたものでございまして、運輸省といたしましてはこのようなことは考えておりませんので、府県並びに地元関係者十分連絡をとつて、その港湾が、漁港としても、はたまた商港としても発展できるような措置をとつて行きたいと考えております。
  16. 石原圓吉

    石原(圓)委員 その局長のお考えならば、別段にいろいろ協議をして、十七港が指定できるとかできぬとか、そういうような問題は起らないはずなのであります。ただここでさように仰せられても、腹の中では、どうしても従来のなわ張り争いという一つ思想を打破して、時代に即するような施設をするというところに、運輸省行政的な考え方が向いていないと私は思うのであります。このことが港湾行政漁港行政の上に非常な支障を来して、各業者に非常な不便、不利を与え、現在でも十七港に対する予算をどう振り向けたらよいかというようなことになつておる。ということは、これは両省の役人がいたずらにそういうことをやるがために、仕事が停頓して、そうして時期が遅れるということになるのであります。このことは日本産業行政の上からも、非常に重大なこととして考えなければならぬと思うのであります。よつて、ただいま局長が言われたことと実際とは違つておりますけれども、一応今日は反省を求めるという意味において、この程度にとどめておきますが、さらにまたこれに対して追究することがあるかもしれないから、さよう御承知を願いたい。
  17. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま審議の対象になつております漁港法港湾法に基く指定の問題につきまして、昨日来党の政務調査会及び運輸省水産庁の間で検討して参つたのでありますが、本日もまた国会鮫島法制局第三部長並びに運輸省和田港湾局管理課長水産庁林漁港課長及び党の方から岡田海運部長、それに私と協議を重ねまして、一応の話合いがここにまとまつたわけであります。これを委員各位に御報告申し上げまして、御賛同を得ますならば、そのように措置して参りたいと考えておるわけであります。そこでその結論をお話し申し上げますと、現在の漁港法及び港湾法に基きまして、懸案になつておりますところの二十三港につきましては、運輸農林両省間において、運輸次官水産庁長官との間に、来る十九日までの間に、指定の問題については、事務的ななわ張り等にこだわらずに、大局的な見地から極力妥協点を発見して指定を進める。つまり二十三港をぐつとしぼつて参りまして、最後漁港なりあるいは一般港湾としてどうしても指定ができないというものが若干残りました場合には、これを漁港及び港湾としてだぶつて指定ができる。こういうことに立法措置を講ずるようにしたいということに相なつたわけであります。そのどうしても協議がととのわないで最後に残つた場合に、だぶつて指定をするために立法措置をどういうぐあいにするかということを協議いたしたのであります。その結果港湾法の第三條に、「この法律は、もつぱら漁業の用に供する港湾として他の法律によつて指定された港湾には適用しない。」と規定してあるのでありますが、そのあとに、「但し、当該指定された港湾であつて政令で定めるものについては、この限りでない。」ということをつけ加えまして、第三條をこのように改正しようということであります。そういたしますと、この「但し、当該指定された港湾であつて政令で定めるものについては、この限りでない。」ということは、そのしぼられてなお残つた若干の特殊の港、それを何港々々と、その港の名称をはつきりと政令でうたうのであります。でありますから、最後に残つた三つなり五つなりが、この政令でだぶつて指定できるということに港湾法の改正をしようという結論に一応到達したわけでありますが、この点を委員各位に御報告申し上げまして、幸にして御賛同を得まするならば、早急に港湾法の一部改正を進めたいと考えておる次第であります。
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員各位にお諮り申し上げます。ただいま鈴木委員から港湾法の一部改正に関する件の御報告がありましたが、これを了承するに御異議ありませんか。
  19. 川村善八郎

    川村委員 私も相談にあずかつた者ですから了承するのでありますけれども漁港法の第五條の指定の問題で、運輸大臣に協議しなければならぬという点はそのまま残つて、ただ港湾法だけを改正するということですか。
  20. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの川村委員の御質問は、ごもつともでありますが、今お話がございましたように、漁港法におけるところの、指定の際に農林大臣と運輸大臣が協議をして指定をするという條項はそのまま存置いたしまして、そうして協議をしてもなおまとまらないで最後まで残つたものについて、この政令でその港の名前をあげて、その分だけはだぶつてもよろしい、こういうことにしたいという考え方であります。
  21. 川村善八郎

    川村委員 そうしますと、漁港法には政令で指定するということがないのでありますが、その場合に、つまり漁港法によつて一方的の意思指定をした、そこでさらに運輸省がまたぞろ政令によつて指定する、こういうことなんですか。その点を伺いたい。
  22. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの川村委員の御質疑の通りにはならぬわけであります。要するに、農林大臣と運輸大臣が協議をいたしましてそうして協議がととのつて漁港ならば漁港としての指定を極力進めて行く。そうして両者いずれとも指定することについての意見の一致を見ないで、最後に残つたものにつきましては、農林大臣と運輸大臣とがお互い協議の上で、その残つたものだけを政令でだぶつて指定をするということであります。
  23. 冨永格五郎

    冨永委員長 ちよつと速記をとめてください。   (速記中止〕
  24. 冨永格五郎

    冨永委員長 速記を始めてください。
  25. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 先ほど御報告申し上げましたことに、つけ加えまして申し上げたいのであります。それは港湾法の第三條の改正によりまして、農林、運輸両大臣の協議が円満に行きませんで、やむを得ずそれを政令によつて若干の港をダブつて指定をするという改正が成立いたしました場合には、それに伴つて漁港管理の問題、それから修築についての予算の問題、そういう問題が関連して必ず起つて参りますから、それらに必要なる立法措置は、来る次回の臨時国会におきまして漁港法の一部改正によつて善処するようにしたいということにつきまして、運輸省及び運輸関係委員の諸君との間にも了解が成立いたしておりますから、それをつけ加えて御報告申し上げます。
  26. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの鈴木委員報告を了承するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 冨永格五郎

    冨永委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。  この場合委員各位にお知らせいたします。安定本部公共事業課長は本日の委員会に出席を求めておりましたが、役所からは出席するために役所を出たとの返事でありましたが、その後出席いたしておりませんので、再三出席を督促いたしましたところ、実は本日欠勤いたしましたとの回答がありました。よつて委員会としては、次回の委員会にはぜひ出席するよう文書をもつて通達しその回答を求めることにとりはからいますから、御了承願います。
  28. 石原圓吉

    石原(圓)委員 海藻利用工業のことで、水産庁長官その他にお尋ねするために御出席を求めましたが、本日は時間の関係で次に譲りますから、さよう御承知を願います。
  29. 冨永格五郎

    冨永委員長 小松委員の質疑がありましたが、水産庁当局から御答弁を願います。
  30. 藤田巖

    藤田政府委員 前会に小松委員から漁業権の補償についての御質問がございましたが、これに対して答弁を申し上げます。  まず第一点は補償金額の発表の問題でございます。漁業法施行法では、漁業権の補償計画は各都道府県の補償委員会が立て、補償計画では補償金額を定めて、その算定方法については基準年度における漁業権の種類、漁業権の行使方法等によつて、一箇年間の漁獲金額または賃貸料に一定の倍率を乗ずることになつており、その値を補償金額にすることと明記いたしております。しかしながら漁業法施行法第十條第三項第六号では、主務大臣が特別の事由があつて規定の算出方法によることができない場合または著しく不適当と認められるときは、別に基準を定めることができるのでございます。また漁業法施行法第十二條の2では、補償委員会によつて立てられた補償計画を都道府県知事が承認をしようとするとき、主務大臣は、他府県の補償計画と均衡を失し、その他不当であると認めるときは、承認してはならないことを命ずることができるとございますように、農林大臣は法的にも補償計画の作成に関与をいたしまして指導する権限が与えられているわけであります。補償計画が委員会によつて最終的に完了いたしましたあとにおいて、前述のような補償計画の不承認について知事に命ずるようなことがございますると、時間的にも労力的にも不経済でございますために、あらかじめ水産庁におきまして、各府県の補償委員会の算出をいたしました金額を基礎といたしまして、各府県間の均衡をはかり、補償に関する事務の円滑なる進捗を期する意味におきまして、今回のような府県別、漁業権種類別の補償金額を示したのであります。  第二点のセンサスの活用につきましては、漁業法施行法第十條第四項では、補償金額の算定の基礎になる賃貸料または漁獲金額は漁業権センサスによるということに相なつておりますが、今回の水産庁で発表いたしました補償金額では、センサス数量を基本といたしまして、別に客観的に府県間の均衡をとるために、農林統計や実態調査の数量を加味しております。これはつまり漁業権センサスだけによることは必ずしも適当でないというふうに考えるわけであります。この実態調査の数量は、いずれも補償委員会の提出いたしました資料によつておるわけであります。  それから第三点の現実の賃貸料を使わないという点であります。これは漁業法の施行法では、補償金の算定に際してその賃貸料を基準にしておりますが、これは同一の漁業権種類、同じ程度の規模及び漁獲金額でございましても、地方によつて賃貸料が異つております。また本権者と賃借人との関係によつても異つております。つまり組合が組合員に賃貸するような場合は低額になつております。従つて現実の個々の賃貸料を基準にするということは必ずしも妥当でございませんので、一律に漁獲金額の六%をもつて賃貸料にいたしました関係上、今回の水産庁の計算では漁獲金額、すなわち漁獲数量と単価が計算の中心となつたわけであります。  なお第四点は点数制を採用したことであります。以上の見解によつて水産庁府県別の補償金額を示したのでありますが、各補償委員会はそれぞれその金額の範囲内において個別の漁業権別の補償金額を定めるわけであります。その際委員会には点数制を採用して行くように指導いたしております。これはセンサスその他を基準にして、基本になる漁業権をまず百点といたします。他の漁業権を九十五点、八十点こういうふうにつけまして価値評価をいたしました上で補償金額を求めますが、形式を合せますためには、漁獲金額に六%を乗じて賃貸料を出して、所定の倍率を乗じて補償金額を逆算をするという計算をいたしております。これは先刻申し述べましたように、現実の賃貸料そのものがそのまま使えませんので、やむを得ない措置でありますのと、漁業法施行法第十條第三項2の推定賃貸料という点、同條第四項の補正を参酌して定めることになつておる点から見まして、漁業権間のバランスをとる上に便宜な方法と考えたのであります。  なお最後の第五点は、百七十億円程度の限界を設けたことについてであります。これはセンサスを基準にして水産庁で定めました限界価格で計算いたしますと、百五十億円程度と相なります。若干の調整をする余地をみても大体百七十億円程度が適当であろうという概略の見通しをつけて、一応これを基礎として大蔵省方面と連絡をして参つた次第であります。  以上で補償に関する問題の箇所を説明いたしたのでございますが、これらはいずれも事前に法務府とも打合せ、了解済みの上措置いたした次第であります。かようなやり方をいたしますことは実情やむを得ないことでもあり、また法律にも抵触しないと考えております。
  31. 小松勇次

    ○小松委員 ただいまの御答弁に対しまして私はまだふに落ちない点が多々あるのであります。お伺いしたいことはきわめて数字的にわたりまするので、これはこの機会にお伺いすることを私は避けまして、また後日の機会にお尋ねして、その際納得の行くような方法をとつてもらいたいと思いますので、本日は重ねてお伺いすることは差し控えます。
  32. 川村善八郎

    川村委員 ただいま長官の漁業権の補償の問題について御説明があつたのでありますが、その中に、法律で定めてあるものを一部かえることの規定もはつきりありまするが、これは私は承知しております。しかし漁獲高と魚価ということに重点を置いて今度の補償の対象にしたということでありますが、それならば、各府県から出て参りました漁獲高の数字は、一体どこで押えておるか。極端に言えば、各道府県からの基礎的資料を十分持たないで、そのとき場当り式の計画を立てて来て出した場合に、これをどう見て行くか、あるいはあらゆる資料から——もう少し詳しく申し上げれば、北海道であるならば道庁、試験場あるいは検査場、その他いろいろこうしたような公の機関が、すでに漁業権の補償の対象とすべき年度において、はつきりした資料によつてこれを押えて行くというのであれば妥当でありますけれども、そういうものがなくして、ただ場当り式に出して来た漁獲高をどう押えて、どういうふうに判定するか、非常にめんどうだと思つております。当時の状況からいたしますと、非常に漁獲が不足であつて、しかも統制時代でありますので、横流し等が多分にあつたことを知つております。この横流しのあつたものを、ある場合においては数字に持つて来ておるものもないとは限りません。一体こうしたようなものを認めるのか、認めないのか。はつきり数字に現われて来たものでやるのか。また横流しをしたものもあとで、これは補償をもらえるものだからといつて、不良心的なものを出して来た場合において、それを認めるとすれば、これは補償の決定にあたつては非常な不純なものができると思いますが、一体長官としてどの程度の数字をつかまえて、はつきり補償の対象にしたかどうか、こうしたような点も、これは今お答えできないとすれば、あとで文書でもよろしゆうございますから、各府県資料をすべて持つて来て見せてもらいたい。今説明されました漁獲と魚価とで割切つて行くと、どこの県は大体幾らになるということがはつきりするのでありますから、まずこの点を明らかにするために、道府県の漁獲高の数字を、われわれの納得の行く書類で見せてもらいたい。  もう一つは、道府県で点数制を採用した、これは一応やむを得ないものと思いますけれども、中にはこういうことを私は聞いております。休業漁業が非常に多くて、着業者が非常に不足だ。そこでみんなが集まつていろいろ協議したけれども、着業者が不足で休業者が多いので、休業漁業の点数がぐんと上げられて、そうして着業漁業の真に漁獲を上げておる漁業権は補償が不足になつた、いわゆる点数が不足になつたということも聞いております。今の長官の説明によると、漁獲高とさらに魚価でこれをきめて行つたとすれば、休業漁業は漁獲高がないはずであります。だから一銭も補償しなくてもいいという議論もあります。また旧漁業法によりますと、免許または許可を受けて一年以上着業しない者、もしくは二年以上引続き休業した者は、行政措置によつてこれを取消すことができるとはつきりしておるのであります。でありまするから、私の考え方は、補償は休業漁業に最も少くして補償しなければならぬ。それから着業しておる漁業には、損失補償であるから、でき得るだけ幅を持たせて補償をしてやつた方がいいじやないかという考えも持つておるのでありますが、この点について長官はどういう御所見を持つておられるか、承りたいと思います。
  33. 冨永格五郎

    冨永委員長 お諮り申し上げます。川村委員並びに小松委員の質疑に対する答弁は、次会に長官からすることにしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 永田節

    ○永田委員 前国会から問題になつておりますところの旭冷蔵に対する見返り資金の不正融資の問題につきまして、次会に質問したいと思いますから、水産庁の方でも十分資料を集めていただくと同時に、当時の委員会の空気では、それぞれ参考人として喚問することになつてつたと承知いたしておりますので、次回の委員会にはさようにおとりはからい願いたいと思います。
  35. 冨永格五郎

    冨永委員長 委員各位にお諮り申し上げます。ただいまの永田委員の御要望の通りとりはからうことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 冨永格五郎

    冨永委員長 それではさようとりはからうことにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。次回は明後十七日木曜日午前十時より開会いたします。     午後零時三十九分散会