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1951-05-12 第10回国会 衆議院 水産委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十二日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    川村善八郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       福田 喜東君    大森 玉木君       小松 勇次君  出席政府委員         水産庁長官   藤田  巖君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      高橋 泰彦君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   水野  榮君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  眞治君         参  考  人         (石川経済部         水産課長)   永井敢次郎君         参  考  人         (富山経済部         水産課長)   宮崎 廣三君         参  考  人         (新潟主事)  齋藤鐵三郎君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 五月十二日  委員岡田勢一君辞任につき、その補欠として大  森玉木君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁区旋網及び漁業権切替等に関する件  漁港法の一部を改正する法律案起草の件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  漁区旋網及び漁業権切りかえ等に関しまして、幸い本日参考人が見えましたので、御意見を承ることにいたします。  なお参考人の件についで御了承願いたいと思いますが、新潟水産課長中林孝二郎君が都合で出席できませんので、齊藤鐵三郎君がかわつて御出席されましたから、御了承願います。参考人の氏名を申し上げます。石川水産課長永井敢次郎君、富山水産課長宮崎廣三君、新潟主事齊藤鐵三郎君であります。  なお参考人から御意見を承る前に、委員の皆様にお諮り申し上げます。漁港法の一部を改正する法律案委員会提出をいたしますにつきまして、その原案の起草委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員長 異議なしと認め、さようとりはからうことにいたします。
  4. 松田鐵藏

    松田委員 緊急質問をいたしたいと思います。水産庁次長にお伺いしますが、かつて休会前に、旭冷蔵工業株式会社の件で、水産庁より書類がわれわれに提出されたのであります。この書類によりますと、旭冷蔵株式会社冷蔵庫敷地として東京中央卸売市場内一部の使用許可されることを出願した、そこに東京都の中央卸売市場長中島儀平から、右申請のあり次第許可する予定であるという書類をつけてわれわれに配布されたのであります。こうしたことが、私の調査するところによりますと、いまだに東京市場内には、その敷地は決定されていなくて、この書類も一時の方便として当時われわれに配られたものと私は考えるのでありますが、敷地はどのようになつておるものであるか、この点お伺いしたいと思います。
  5. 水野榮

    水野説明員 ただいまの松田委員の御質問にお答え申し上げます。去る三月二十日に松田委員お話にありましたように、東京中央卸売市場長中島儀平から申請あり次第許可する予定であるという書類をもらつたのであります。その後われわれはこの敷地が一体どこであるかということをただしたのでありますが、その調査によりますと、現在築地の市場の場内にあります東京都の冷蔵庫の西側でありますが、そこに約四百七十坪の土地があるのであります。現在そこは容器組合作業場として使用されておるのでありますが、その作業場を適当なところに移転することによつてその土地があくので、そこを旭冷蔵工業株式会社に提供するということを場長から聞いておるのであります。現在のところまだ正式使用許可はおりておらないようでございます。きようその後の模様を聞いたのでありますが、ちようどきようは十二日で市場は休みで、会社の方とも連絡がつきませんし、また場長関係課長もまだ出勤しておらないような状況で、現在までこれに許可がおりておるかどうかということははつきりいたしませんが、今までわれわれが知り得たことを御報告いたしまして、なおこの点がどういうふうになつておるかということを、再調査の上また御報告することにいたしたいと思います。
  6. 松田鐵藏

    松田委員 水野課長からのただいまの答弁から行きますと、またここに疑惑の念が出て参るのでありますが、何も設立した旭冷蔵工業株式会社というものは市場でないのであります。きようは土曜日でありまして、日曜日ではないのでありまして、旭冷蔵株式会社という会社は、市場とは関係がないことだと私は考えるのであります。そこに連絡がとれないということは、旭冷蔵株式会社というものは存続しておらないのではないかというような考え方を持つめでありますが、こうした点はどういうことになつておるのであるか、その連絡がとり得ないという理由が、私にははつきりわからないのでありまして、その点一応お伺いいたします。
  7. 水野榮

    水野説明員 私の説明が不十分であつたかと思いますが、実はきよう電話はしたのでありますが、当面の責任者でありますところの社長がおりませんので、職員が電話に出たのであります。それによりますと、まだ許可はおりておらないように伺つております。
  8. 松田鐵藏

    松田委員 ひとつ火曜日までにその内容を御調査してくださつて、御報告を願いたいと思います。
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 なお皆さんにこの際お諮り申し上げます。この次の委員会安定本部公共事業課長を呼んで、漁港関係について質疑いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 川村善八郎

    川村委員 その場合の委員会には港湾局長とさらに運輸省の藤野義男という人を呼んでもらいたいと思います。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは旋網漁業等に関して永井敢次郎君に御意見を承りたいと思います。
  12. 永井敢次郎

    永井参考人 石川県の旋網、すなわちきんちやく網のことにつきまして経過を一応御説明申し上げたいと思います。     〔委員長退席鈴木委員長代理着席〕  石川県は能登半島を抱いた漁業地区でありますが、従来漁撈方法は非常に単純でありましたので、いろいろ多角経営についての問題、それからもう少し漁法を改良すべき問題等がありましたので、昨年県費をもちまして、旋網漁業につきまして、いささか調査研究をしたわけであります。その結果によりまして、大体能登沿岸におきましては、旋網による漁法が非常に有効であるという結論を得ましたので、これを一般の業者希望者許可を與えて奨励してみたいという意見を持つたのであります。しかしこれには根本的に、従来のような役所、すなわち県庁だけで操作することは非常に大きな問題でもあり、また現在制度改革が進行中で、その線に沿つてあらゆる民主的な各方面意見を取入れてやるという方法が望ましいことに考えましたので、昨年発足しました漁業調整委員会ができましたので、その連合海漁業調整委員会を開きまして、広く各方面の御意見を聞いて、将来の許可方針その他について検討を加えようと考えたのであります。そうして今のような連合海漁業調整委員会という組織が一応——ただいま月日その他は記憶がありませんが、昨年の秋と考えておりますが、問題といたしましては、いろいろ沿岸漁業に対する摩擦、あるいは調整などの問題があるから、いかにしてこれをやるか、もちろん将来許可するかどうかというような問題、もし許可するとすれば、一体どういう統数許可すべきか、操業区域をいかにすべきか、あるいは許可を與える人間はどういう者を優先的に考えなければならないかというような根本方針をきめました結果、大体いろいろな御意見がありましたが、結論といたしましては、石川県の漁業といたしましては、石川県の沿岸の大体三千間の沖合い操業させる、ただ問題といたしまして富山湾の方に面したところにおきましては、定置漁業その他が非常に盛んでありますので、これをどうするかということになつたのです。その間にいろいろ過程はございましたが、結論といたしまして、地名的に申しますと、能登半島長手崎という岬があるのですが、その岬からたしか西東の線を切りまして、それから富山湾内には他の漁業は入れない、こういう結論を得たのであります。それからなお許可を與える人たちに対しましては、これはいわゆる新漁業法に基く多角経営協同化というふうな線からいたしまして、漁業協同組合のごとき、零細漁民を一丸としたものに対する許可を優先的に與えて行くというふうなこと、それから、もちろん県内漁船県内業者ほんとうに盛り立つて行くというものを優先的に考えるというのが根本方針でありますが、何分石川県といたしましては、今までそうした旋網専業漁船もあまりないということで、去年の十月から本年の十月までは他府県からの漁船を傭船、いわゆるチヤーターいたしまして漁業を経営するということも、一応暫定的な措置として認めよう、その結果ほんとうに自信がつき、技術的に研究して立ち上れるものにつきましては、更新その他の許可を與えて、将來はつきりしたものにしたい、言いかえれば、現在の過程にある約一箇年は、試験過程の中に置こうというような結論を得たのであります。大体大きな目標といたしましてはそういうふうになつた次第であります。  次に出て来ます問題は、許可統数をどうするかという問題がいろいろありました。御承知のように石川県の海区は四海区あるわけであります。それで海区ごとに海区調整委員が地元に帰りまして、いろいろな構想をめぐらしまして、あるいは公聴会その他を開きまして漁民意見を聞き、結論といたしましては、当初そういつたもので新規許可を與えるものは約二十統という線が出たのですが、その後数回にわたりまして、その間にいろいろな過程がありますが、約半箇年の間に、次々にいろいろは派生的な問題その他が出て來まして、許可統数もそれから大分ふえまして、約十統ふえまして、計算いたしますと三十統ないし三十五統というところまでやつて來たのであります。ところが本日問題になりましたる問題といたしまして、本年の四月に入りまして、たまたま先ほど申し上げました能登半島内側相当いたします長手崎祿剛崎、あの地帶におきまして、まあ海況その他の異変もあつた関係と思いますが、あそこの地帶さばが非常に密集しまして、従つて旋網漁船団もそこに集中したという結論になりました。そしてもちろん操業区域を犯すというようなこともあり、これは一応取締りを厳重にする——あそこに非常にさばがわきまして、多くの漁船団が行く。ところが、たまたまあそこの近海には、従来から小づり、はいなわあるいは定置漁業というような漁業が、漁区あるいは漁法によつて依存しておる漁業者も非常にあるわけです。そういう人たちが、たまたま多数の船団が行つたために、そこに自分たち漁業が成り立たないというようなことで、その結論としましては、現実の問題として、自分たちの職業が圧迫されることになるから、ぜひ現在きめられておる長手崎から云々の操業区域の線を、それより北になるのですが、祿剛崎から佐渡を結ぶ線——ここに地図がないからちよつと御説明いたしかねますが、言いかえれば少し操業区域を縮小してもらうというようなことの要望があつたわけです。その行き方といたしましては、あるいは郡で申しますと珠洲郡という地区で、海区で申しますと内浦北部地区になりますが、そこの漁民たちが、いろいろ漁民大会を開いて意見の交換をして、何とかこの線の変更をやりたいということで、当時その地区漁業調整委員会にも申込み、さらに県にも参りましてこの善処方を上要望したのであります。県といたしましては、どういう関係になるかと申しますと、県はこれは大きな問題であるから、すべて漁業調整委員会連合会に諮問し、その諮問の結果によつてすべての許可統数、すべての問題を処理して来たという過程がありますので、連合委員会を招集いたしまして、それに付議したというふうになつております。ところが連合委員会の方といたしましては、彼らの言う実情は非常によくわかる。わかるけれども、すでに漁期最中に際会しておる。従つてすでに許可を與えたものも数十統に及んでおる現在におきまして、今にわかにその線を変更することは、現実の問題としていたしかねる。ただ連合委員会としてとつた手段は、昨年の秋から、操業区域の線にいたしましても、すべての点を、各協同組合漁村において公聴会その他を経て、こういう結論にも一応達したのだ。ところがさば異変と申しますか、あそこにさばが密集した関係も一つの原因でもありましようが、そういつた関係からいたしまして、そこに摩擦といいますか、沿岸の小づり業者その他に対する思わざる、妙な桎梏ができた、こういう結論のことはよくわかるのですが、今申しましたように、漁期半ばに達しているものですから、この際変更するわけには行かぬ。それでこの旋網その他の問題につきましては、御案内のごとくに、新しい漁業制度改革によりまして、府県の取締り制度その他を根本的に改める時期が、六月あるいは七月、八月ごろに、いずれは県下全部の連合委員会を招集して結論を持たなくてはならぬ。その時期に、十分諸君希望を入れて善処しようということになつてつたのですが、一方漁民側といたしましては、それではあまりに先の問題であつて現実の問題として非常に困るから、何とかそこに早急に手を講じてもらいたいという、一方の訴える気持と受ける連合委員会との間に、若干の食い違いを生じたという結論なつたわけであります。ところが大体におきまして、あの地方漁期と申しますのは、四月の下旬までが漁期でありまして、すでにあそこの魚群は散りました。そういうような関係で、そのことは漁民各位も一応御承知なのですから、漁民からすれば、そういう口約束的なものであつては将来に対する不安が非常に濃いから、何か言質なり、はつきりしたものを與えてくれというような御意見もあつたわけですが、遺憾ながら連合委員会としても、どこをどうするというような十分な、責任ある言葉を吐けぬというような関係で、今のような情勢、言いかえれば物わかれになつたという形になるわけであります。その間にこの地区の海区調整委員に対して、諸君のやつたことは非常にまずいから、諸君は辞職すべきだというような御意見もあつて、海区調整委員会人たちは、一応辞意を表明したというようなことになつておるのであります。     〔鈴木委員長代理退席委員長着席〕  それが大体現在までの経過でありまして、従つて県といたしましては、この問題はあげて連合調整委員会に諮問して、その御意見を伺つて来たような過程にありますので、将来ともに連合調整委員会人たちの御意見沿つて、この問題は処理して行きたいという気持はありますが、ただ漁民各位が、非常に生活問題として熱心な叫びをあげておられますので、来るべき漁業取締規則の改正というふうな段階に至りましたならば、十分彼らの御意見も入れて、いわゆる漁業調整の完璧を期したいというふうに考えておる次第であります。  以上大要御説明申し上げました。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 その内容はただいまのお話でよくわかりましたが、石川県で行つておる旋網漁業というものの丈立はどのくらいあるのでありますか。何尋立くらいまで立つものであるか。
  14. 永井敢次郎

    永井参考人 規模はいろいろございますけれども、丈の長いものになりますと百尋くらいあるかと思つております。
  15. 松田鐵藏

    松田委員 かつて漁業問題でとやかく議論のあつたのは、機船底びき漁船沿岸漁民との争いであつたのでありますが、ただいまの石川県における紛糾というものは、旋網漁業沿岸漁業との摩擦であるのでありまして、かようなことは今までの漁業においては、かつてなかつた珍らしい問題であるとわれわれは考えるのであります。そこで海流の関係及び風波関係からいつて能登半島によつて西風を受ける、また潮流の関係でそこに泡だまりができる、そうした所に魚族がたくさん密集する、またプランクトンや何かの関係で密集するということになつたのだろうと思うのであるが、機船底曳取締規則の線は、大体において八十尋から百尋において限られておるように、われわれは図面の上において見たのでありますが、今ここに図面がないのでありますが、大体において紛糾を起しておる箇所というものは、それよりも以南の漁民湾内に入つておる漁民との関係はどのような関係になつておるか。
  16. 永井敢次郎

    永井参考人 お答えいたします。その湾内の方の漁民の経営しておる漁業の多くは、一番主たるものは定置漁業です。それから村によりましてははいなわ、一本づり、それから機船底びきというような種類を富んでおるわけであります。従つてこの旋網の問題につきましては、湾内定置漁業者——主たるものは定置漁業でありますから、少くとも湾内に対しては、こういつた旋網区域を限定して入つてくれるなというふうな気持が非常に濃いのであります。それからなお一本づり、はいなわというふうな、漁民の職場といたしましては、いわゆる自分地先の場合もありますし、今御指摘になりました、地先あるいはもう少し北へ行きまして、輪島の沖合いになりますが、向うの方に漁場を求めるというふうな人たちも多分にあるわけであります。
  17. 松田鐵藏

    松田委員 そういたしますと、旋網漁業によつて昨年漁獲された数量というものがどのくらいかあつて、それによつて影響をこうむつた地先及び湾内影響はどのくらいになつておるかということの御調査は、まだできておりませんか。
  18. 永井敢次郎

    永井参考人 できておりません。
  19. 松田鐵藏

    松田委員 聞くところによりますと鵜川というのですか、九十九湾というものがありますが、九十九湾付近漁民も、ただいまの長手崎祿剛崎という方面の、今問題になつておる漁場に出漁をされるのですか、されないのですか。
  20. 永井敢次郎

    永井参考人 その方面にも出漁しております。九十九湾というものは湾の名前でして、町村の名前は小木という町です。
  21. 松田鐵藏

    松田委員 新しい漁業というものができますと、概してその地方方々は、これに反対するのが今までの漁村実情のようにわれわれも体験をしておるものであります。しかし、ただそうばかりも考えられない点があるのであります。先ほども申したように、機船底びき漁船沿岸漁民との間に、いかなる地方においても摩擦が生じておるのが現実の姿であります。ところがあなたの方の石川県においては、水産当局も、県の御努力によつて、そこにまじめな調整ができておるということを聞いて、非常に喜んでおるのであります。ところが新しくできたこの旋網漁業によつて、この能登半島内側漁民が非常なる反対意見を持つてつた。その理由というものは、要するに旋網漁業が百尋立の網を使うということによつて、その弊害機船底びき漁業よりももつとひどいということを言うのであります。われわれの体験からいたしますと、旋網漁業がはたしてそのような弊害來すかということに疑念を持つてつたのでありますが、ただいま承るところによると、百尋以上の網を使用して、おそらく海底までつけて、それを引締めるということになれば底びき漁業というものは、網とロープによつて魚族が包囲されて、それから方々に飛んで出る、漁獲というものが一割ぐらいよりないものだというふうにわれわれ考えておるのでありますが、この旋網漁業によつて、百尋以上の網を使つて七十尋や五十尋のところで操業するということになると、これはもう海底の一匹の魚をも他へのがすことなくして、その巻かれた範囲内というものは、全部捕獲されてしまうということになると思うのであります。浮魚のさばならさばというものだけでなくして、ほとんど海底のあらゆるものがそこに捕獲されてしまう。それが二十箇統、三十箇統漁船をもつてやられたなら、ここの漁民のただいまの反対陳情は、実に現状を見るよりもわれわれが切実に考えさせられるのであります。こうした点から行きまして十分なる御配慮を願いたいと存ずるのであります。御意見から行きますと、あらためて、一年の臨時許可であるがゆえに、将来相当考慮をしなければならないという御意見があるようでありますが、要するに二十箇統、三十箇統という大きな資本をもつて協同組合でやるにしても、大きな資本をもつてつている漁業者と、零細漁民の何千という数の方々漁場を荒らされるということになると、ここに非常なる社会問題も起ることだろうと思うのでありまして、この漁場を禁止することによつて——尋線というものがずいぶん内側にまで入つているようにこの海の状態が見受けられるのでありまして、その浅海漁区を保護するというお考えを十分に考えられて行つたならば、こうした紛糾がなく、百尋線以上の所で操業をやれということはたいへんけつこうなことではないかと思うのであります。こういう点を十分お考えなされるように、ひとつお願いしたいと思うのでありますが、問題が、ここの先が泡だまりになる、風波をよける、またプランクトンの発生の地だということも聞き及んでいるのでありますが、私ども委員会としたならば、こうした紛糾のある所は、機船底曳網漁業取締規則の線と同様のところまで操業を禁止すべきでないかと考えているのであります。ただいまは水産庁権限でなく、地方庁の権限許可になつているのでありますが、近い将来において水産庁許可方針が定まることになるように、われわれも考えているのでありまして、こうしたときにおいては、県としてこの漁区における漁獲機船底曳網漁業取締規則線外においても、百尋という網を使用することであつたならば、相当沖合いにおいても漁獲ができ得るものと考えられるのでありまして、願わくばこうしたところは禁止区域にされんことを希望いたしまして、水産課長の意のあるところを了承したいと思います。
  22. 林好次

    ○林(好)委員 ちよつと伺いますが、あなた方の方の定置の浮出しはどのくらいになつておりますか。それからはいなわの燥業している大体の深さ、それはどの程度の所をやつておられるのですか、定置の浮出しはどのくらい出しているのですか。
  23. 永井敢次郎

    永井参考人 定置はあの辺ではぶり網から小さいたら網、そうしたものがたくさんありますが、ぶり網の大きいものについては千間くらいありましようし、たら網の方はすぐ岸ばたでやつております。ぶり網漁場は非常に各方面にわたつておりまして、水深も非常に浅い所から非常に深い二百尋その他に行く所もいろいろあります。
  24. 林好次

    ○林(好)委員 そうすると旋網沖合い三千間ですか。
  25. 永井敢次郎

    永井参考人 一応三千間です。今年の漁場については、一応そういうふうに考えております。
  26. 林好次

    ○林(好)委員 三千間より以上はやらぬことになつておるのですか。
  27. 永井敢次郎

    永井参考人 そうです。
  28. 林好次

    ○林(好)委員 大体わかりました。
  29. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁業権切りかえに関して、富山県の宮崎廣主君にお願いいたします。
  30. 宮崎廣三

    宮崎参考人 皆さんも御承知の通り、富山県の定置漁業と申しますれば、全国においても沿革も古いし、なお現在におきましてもこの日本においてよい漁場を持つている。富山県は定置漁業漁業をなしているといつても過言でないように、定置漁業で立つているような状態であります。それにつきまして、富山県の漁場隣接の距離が非常に近いという関係で、この点から申しましても集約的利用という立場から、今申し上げたように非常に隣接漁業が接近している。なお沿岸状態から申しまして、平坦な海岸線にその漁場が連続してあるというような関係からいたしまして、従来から定置漁業者間の摩擦が非常に深刻であつたという状態であります。それにつきまして、一応漁業の時期を申し上げたいと思うのでありますが、漁業の種類といたしましてはぶり漁業、いわし漁業さば漁業が主体なものであります。ぶり漁業の時期は、十月中旬から二月中旬までであります。いわしになりますと二月から四月の時期になります。さばになりますと、やはり二月から四月というような漁業の時期になりますというような漁業の時期になりますが、その中でぶりの漁獲がまた定置漁業の首位を占めております。そのぶりの時期と今度の漁業制度改革の切りかえ時期を考えてみますと、今本省でお考えになつているところの切りかえ時期は、九月と十二月との二回のように承知いたしております。それで九月にぶり網を切りかえるといたしますれば十月から着手する。そうしますと、一箇月足らずの準備期間しかない。はたしてこれは切りかえ問題に適応するかどうか、もう一つ、今度二回目の十二月に切りかえるといたしますれば漁期の半ばである。はたしてこの切りかえを富山県の実態に応じて切りかえ得るかということが、私どもの非常に苦しんでいるところであります。なおせつかくのこの漁業制度の改革の実施にあたつて、今申し上げたような準備態勢もできないうちの切りかえ、漁業時期中の切りかえが、はたして妥当であるかどうかという苦しみを持つておるのであります。それで、でき得れば一応当初考えられた八月、十二月、三月、この三月をもう一度御再考願つて、三月に切りかえれば、ぶりの就漁時期も終つて、りつぱに切りかえができる。なおあとで引受けたものは翌年十月までに十分の準備ができるのではないか、そうしますと切りかえ得られる者も、切りかえたあとで引受けた者も、お互いにうまく行くのじやないか。なお私ども事務当事者から考えまして、今私が申し上げた無理な切りかえをした場合、われわれが実情に沿うように事務処理をある程度怠つた場合には、知事初め政令による罰を受けなければならぬ。またわれわれ漁業制度の切りかえ時期をおもしろく愉快にやつて行けぬような実情にあるようにも考えますので、大体簡単でありますが、漁業時期の切りかえを申し上げます。  いわしは二月から四月でありますから、八月に切りかえたいと考えております。八月末に切りかえませんと、また三月に切りかえましてもちようど漁業時期になります。そうしますとまた来年に持ち越さねばいかぬので、八月に切りかえたいと考えます。
  31. 松田鐵藏

    松田委員 水産庁の御意見を伺います。
  32. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 富山県の問題につきましては、水産庁としては大体このように考えております。大体の県では漁業計画が相当進行しておりまして、二、三の県については、すでに漁業計画の完成を見ております。従つてそういつたような県におきましては、すでに今問題になりましたぶりのような、十月中、ころから三月、ころまでかかるような定置についても、最初の九月の切りかえに間に合うように大体進行して参つております。ただ富山県の場合は、事実上漁業計画が遅れておるというように聞いておりますが、私どもの方針といたしましては、あまりずるずる遅れるならば、かえつていかがかと思いますので、既定の方針のように九月と十二月二回の切りかえで進みたい、かように考えております。ただ事実上九月と十二月の切りかえができなかつたという事態が起れば、これは政令の改正の問題も起ろうかと思いますけれども、ただいまのところは、各県の進行状態から見まして、九月と十二月の二回の切りかえで行きたい、このように考えて事務的にとりきめて参つております。
  33. 松田鐵藏

    松田委員 富山定置漁業の主たるものがぶり漁業だということは、周知の事実であるのであります。このぶり漁業定置網が、この切りかえによつて半ばになる、かような観点から言つて、非常なる災いができるような、ただいまの参考人の方の御意見であるのでありまするが、こうした問題が政令によつて定められるという方法があるのならば、なぜそのような考え方に進めないのか、こういうことが私ども非常に心外にたえない次第であります。ところがもう一つ、水産庁の進めておる各県の調整ができておるのに、富山県のみが少しく遅れておる。これは業者の譲り合いができれば、何ら支障のない方法によつてでき得るのでなかろうかとわれわれは見る面もあるのであります。九月のものを八月とし、十二月はそのままでいい、そのような観点から言つて来たならば、何かここに災いがあるのでなかろうか。この災いというのは、われわれが常に第六国会から意見を述べておる。あそこに中央漁業調整審議会委員である安居某という者がおつて、その期限を業者がお互いに妥協し合つてやろうというものをも、彼は、法の違反であるとして告発しておる件数が、四十二件もあるということを聞くに及んでは——漁民の意思を代表して真に調整を行つて行くのが、また参考意見を述べて行くのが中央調整審議会の使命だとわれわれは考えておるのでありますが、かねてから問題になつておる安居篤孝という人が、それらの中央漁業調整審議会委員をはき違えて、みだりに漁民の安定、秩序を害して、調整どころか、これを法の定むるところにより告発をしなければならないなどという考え方で告発をしておることによつて、なおなお紛糾するものでないか。せつかく業者がお互いに譲り合つてやろうということも、こうした人々がおるがために、富山県においてのみはこの調整ができ得ないのではなかろうかという考え方が、われわれに浮ぶのであります。しかも農林大臣においても、前水産長官においても、はつきりこの委員会において、安居篤孝氏を中央調整審議会から除くという言明をされておつたのであります。いまだにこの人に対してその措置をとらずして、四十何件も告発をしておるということをあえてさせておることに対して、水産長官はどのような考え方を持つておるか、この点に対して御意見を承りたいのであります。
  34. 藤田巖

    ○藤田政府委員 実はまだ私、その問題まで詳しく聞いておりません。従つてこの点については、よく従来のいきさつを聞きまして、適当に善処したいと考えております。
  35. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま私が申し上げるように中央漁業調整審議会委員の職責を逸脱して、四十数件を告発しておる海区調整委員というものは、全国におそらくないことでなかろうかと考えるのであります。またとかくの批判があつて、当委員会におきましては、厳重に安居氏をこの中央漁業調整審議会委員から除くべきであるということを常に申しておるのであります。しかもその思想たるや、かような思想である。こうした人がおつて、せつかく漁民が、また県当局が——、切りかえの時期も一箇月の間であつて、これが紛糾になつておるが、一箇月の間お互いが調整すれば、何も海の中に立つておる網を、片方はこれを片づけようと準備をし、片方は切り上げるまでの間にそのお互い同士の話合いができ、また県当局においても、その指導はでき得るものだと考えるのであります。あらためて政令に出すとか出さぬとかいうことも現地を見て調査をしなければわからないことであるが、でき得ることではなかろうかとわれわれには考えられる。そこで中央漁業調整審議会委員に任命したその人に対する、こういうこともあり得るだろうということで、当委員会は何回にもわたつてこの安居篤孝氏に対する忠告を発し、農林大臣もそれをやめさせるということを委員会で発言されておる。それだのに今までこの安居篤孝氏に対する措置をとらなかつたということは、新長官は御存じないと言われますけれども、山本次長もおることであるし、こうした紛糾を起しておることをどう考えておられるか。ただちにこの措置をとるべきではないか。調整審議会の委員があまりにも権限を逸脱しておるがために、能登半島の問題が起きたり、また新潟県の問題ができたり、また富山県の問題ができたりしておるのであります。その中央調整審議会委員が自己の職責をはき違えておるがために、かような問題が起つおるものとわれわれには考えられる点がたくさんあるのでありまして、これは大きな問題であります。あらためて政令を出さなければならないというような問題は、大きな問題だと私は考える。新長官においては、決断をもつて十分これに善処せられんことを要望し、私の意見を終らせていただきます。
  36. 田渕光一

    ○田渕委員 告発事件のことは初めて聞いたのだが、大体中央審議会の委員などにのさばらせるというようなことが間違つておる。審議会の委員が少くとも国会で問題になつて、それが事務上どの辺まで進んだかということは今次長に伺うのですが、大臣までが言明しておるならば、なぜかようなことの事務手続を済ませなかつたか。いつごろこの問題が起きたか、時日は私はまだお伺いしておりませんが、少くとも今日まで時間的に相当つたのだから、その間に電報で解任してもよろしい。こんなふとどきなものが、とかく審議会ということでのさばる。水産委員会相当目を光らせておつてものさばつておる。あたかも水産委員会以上の権限を持つておるようなことを使嗾するから、こういう逸脱したことをするのではないかと思う。少くとも委員会で問題になり、当委員会で大臣が言明されたならば、事務当局はただちに手続をとり、電報で解任すればよい。なぜそれができなかつたか。何かそこに地元の要望もあつたのか。あるいは大臣はここで言明したが、事務当局としてできなかつたというような事情があるのならば、率直にわれわれも伺えば、われわれはまた適当な方法を考えてもよろしい。ひとつ考えていただきたい。
  37. 山本豐

    ○山本(豐)政府委員 今の調整委員のやり方の問題でありますが、この点につきましては、これは他の委員会においてもこういう切りかえどきでありますから、ある程度はあり得ると思いますが、お説のような節もあり得ることであろうと思うのであります。ただいま松田委員から申されました県内におきます調整審議会委員としてのいろいろの告発事件というようなものは、私は初めて伺うのでありますが、そういう事実があるとすれば、それがどういう事情で来ておるか、特に安房氏は法律的な頭の非常に強い人のように聞くのでありますが、そういう意味から一徹ことられた行動であるのか、あるいは他に考えがあつてやられおるのか、それらの点は、県当局もおられることでありますから、ひとつ至急に聞いてみたいと思います。この富山県の切りかえの問題でありますが、これは大体的に申しますと、程度は多少の違いはあると思いますが、全国的の問題であります。ただぶり網の問題につきましては、ひとり富山県のみならず、他の県においても大体冬季が漁期であります。従いまして、一応は目標の期間までに計画が立ち得るはずであろうと思う。その点は松田委員からもちよつとお話しがあつたのでありまするが、当局としてもかように考えるわけであります。しかしながら、それがある中央漁業調整審議会委員等の歪曲された行動のために、どうしてもむずかしいのを、無理やりに早めてやられようとしている実情があるということになりますれば、水産庁としましては、それらの点は十分考慮しなければならぬと思うのであります。これは政令の上では、この規則にもありまするように、大体来年の三月十四日までの間は期間があるわけであります。従つていよいよの場合“には、例外的にそういう異例を置くような政令を出すことはもちろん不可能ではないのでありまして、実情によつてはそういう臨機の措置も考えなければならぬと思うのでありますが、ただ現在の段階におきまして富山県のみその実情をはつきりと突きとめまして、富山県のみを主にしてこの政令の切りかえ期を三回に持つて行くということは、今までいろいろ事務当局として、仕事を運んで参りました一応の目標というものがあるのでありまして、証券の切りかえの問題もありまするし、いろいろの関係がございますので、やはり事務の促進の上から言つてもいかがかと思うのであります。しかし具体的な事情で、どうしてもその場になつて各般の状況から見てやむを得ぬという場合には、臨機の処置をとることにはやぶさかではないつもりであります。
  38. 田渕光一

    ○田渕委員 臨機の処置をとるのにやぶさかではないというようなことは非常に悠長な話だが、それは少くとも主管大臣が、そういうようなやめさせようということを事実言つたのですか。言つたなら、どうして事務当局は切らなかつたのか。これは何も地方のお手数を煩わさなくても、中央漁業調整審議会が、こつちでやつたらいい。それを、そういう地元の意見を告発するような、今次長が言われたような法律的な頭のがんこな者、一体そんな者を審議会に推薦したからいけない。そんな者を推薦した者はだれか、そこまで洗つて行かなければならぬ。そういう者を審議会の委員に推薦したところに、すでに大きな間違いがあつた。しかも調整すべき者がその紛争を起す。告発というような逸脱した行為まで出て来れば、そういう者は審議会に置く必要はないから、こんな者はきようただちにやめさして、ほかから補充すればよろしい——いいか悪いかは、私はまだ聞いていないから、一ぺんにここで独断的にきめるわけには行かないけれども、少くともこういう問題が以前にあつて、大臣まで言明せられたものが、事務当局で進まなくて、ただ事情を調べるというようなことで置いておいたのでは、一体水産委員会は何のためにあるのか。少くとも、事務怠慢とまでは言わなくても、なぜできなかつたのか。安居という者は水産庁に何か勢力を持つているのか、あるいは農林省首脳部との間に何らかの関係があるからできないのか。できないならばわれわれは委員会でやつてやりましよう。少くともこの問題は片づけなければいけません。愼重に調べるというようなことではいけませんから、首を切つてしまいなさい。そこまで行かなければいかぬ。
  39. 山本豐

    ○山本(豐)政府委員 今、田淵さんの御質問の点についてのお答えを忘れておりまして、どうも申訳なかつたのでありますが、安居さんの身分の問題は、大体におきまして松田委員の申されましたような経緯はあつたわけであります。従いましてわれわれといたしましても、もちろんひまがなくて常にその行動を監視するというようなわけには参らないのでありますが、しかしながら中央漁業調整審議会におきます発言、あるいはまた外に向けてのいろいろの行動は、中央審議会としては現在までのところ何もやつていないのであります。しかしその審議会における態度等につきましては、われわれも十分注意はいたしているわけであります。初めて承ります告発事件の内容も、聞いてみなければわからないのでありますが、これは民間におきますいろいろの行動に関連のあることだと思うのであります。それらの点につきましては、私きよう初めて承るわけでありますので、県当局の意向も、あるいはまた漁民各界の意向も聞いてよく実情を調べないと、簡単に私としては申し上げかねるのであります。そういう点も今後十分注意をいたしまして、また適当に措置いたしたいと考えます。
  40. 田渕光一

    ○田渕委員 次長の御説はよく了解します。しかしいつごろ問題になつたかしれませんが、少くとも当委員会で問題になつて、今日までその処置ができなかつたというところに——いわゆる実行に移さぬからなめられる。少くとも委員会で問題になつたものは、ただちに事務当局がこれを実行に移して行かなければならぬ。聞いておきましようなんていうことで行くから、安居篤孝というような人間がのさばるのだ。水産委員会をそのままにしておいて、審議会は審議会で独立して行くのだという観念を持たしてはいけない。少くとも今日の憲法上において、当水産委員会以上の権限を持つものはあり得ない。その末端機構であるところの審議会、その一つの諮問機関であるものが委員会の趣旨に反した行動をとつて、それが問題になつておるのには、まだ処分ができておらぬ。これから調べるということではいけない。しかもそういう者が法律的な思想を持つておるとか、認識を持つておるのならば、なおさらびしびしやつつけなければならぬ。これは至急に調べてもらいたい。一日、二日でもよいからただちに呼んで、悪いのだつたら次の委員会で何とか処置するよう考えなければいけない。
  41. 冨永格五郎

    冨永委員長 この際皆さんにお諮りいたします。委員外の発言として大森玉木君から発言を求められておりますが、これを許すのに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認め、これを許すことにいたします。大森玉木君。
  43. 大森玉木

    ○大森玉木君 今地方から参考人が来ておられますから、この機会に長官にお尋ねをいたしておきたいと思います。  地方において、先ほどから問題になつておりますあるいは沿岸漁業と、またきんちやく網と申しますか、旋網であります。この問題がいろいろ地方では両者両立をいたしておるのであります。しかしここにどうしても大資本家によつて旋網というものが少し越権行為のような、そうして行き過ぎたような点がたくさんあるのであります。それに加えまして権利貸をやつておる、こういうことを私ども聞いておるのであります。この権利貸をしてまで各県が大資本家を誘致して、そうして沿岸漁民をいじめなければならないのか、沿岸漁民を苦しめるということは適当であるかどうか、こういうことに対しまして、長官はいかなる考えを持つておるか。もしも権利貸をいたしておるものがあるといたしましたならば、これに対してどういう処置をとるつもりであるか。これらの点についての長官の答弁によつて、重ねてまたお尋ねをいたしたいと思います。
  44. 藤田巖

    ○藤田政府委員 最近は漁獲が少くなり、経営が行き詰まつておりますために、量さえあれば問題がないのに、量のないことがいろいろの摩擦を生じている原因になつていると思います。この問題につきましては、先ほど石川県の方からお話がございましたように、現在は県の許可となつておりまして、県で処置をやつている問題であります。おそらくこれは暫定的な考え方でやつておられることだと思つております。旋網については、やはり全体的に調整をする必要を認めております。私どもは近く法律の改正をいたしまして、もつとはつきりした形にいたして行く、また沿岸漁業との摩擦の点につきましては、これを調整するようなこともやつて行きたいと思つております。従つて御趣旨の点は十分尊重いたしまして、全体的に至急にはつきりいたしたいと考えております。その時期までの間につきましても、おそらく県といたしましても、十分注意をしてやられておることだろうと思いますから、それまでしばらくお待ちいただきたいと思います。
  45. 大森玉木

    ○大森玉木君 私、長官の答弁を聞いて、はなはだ遺憾に思うので、あります。漁業法が発足いたしたことはいかなるゆえんであるか、今までのような、権利的にすべて横暴ないわゆる独善的の資本家を排撃する、そしてこそ公平な漁業の分配であろうと思う。しかるに今お話のように、しかたがないからしばらくの間大目に見ておられるのだろうというようなことであれば、一体今法規を改正し、そしてその実行に当らんとしているところの趣旨とは違うのでないか。私はどうあつても権利貸をするというがごときことは、断じて許すべきでない、こういうことが行われるならば、何のために漁業法というものをつくるか、しからばこれは権利をとつてやはりもう一度——農地のように、親の代から持つてつた農地でも、これを開放して全部小作に譲つた。しかしこれは、海のものはいつかの時代に権利をとつたその権利をそのままにしておいてはいかぬというので、これの改正を行わんとしている。しかるに今度あらためて認可をするものが、権利貸をするものに認可をして、しばらくは大目に見てもらいたいということは、これは長官の言われる言葉であるか。この点は私は非常に不可解に思うのだが、一応お尋ねいたし、もしもそういうことをあなた方が考えておられるならば、この漁業法の精神が根本から間違つていることであるということを申しあげなければならぬ。今石川県から見えておられる、こういう場合において、法の精神をはつきりしておいてもらいたい。石川県も富山県も各県から出ておられますが、県においては長官の認可であるということのみによつてすべて支配にゆだねていいものであるかどうか。法規はどうなつているか、その法の精神をはつきりここで長官から説明してもらいたい。
  46. 松田鐵藏

    松田委員 私はただいまの意見に対して賛意を表するが、私ども水産委員会においては、この問題は毎度繰返えされているのであつて、当委員会委員外の発言をもつて水産長官に対してかような質問をされるということは、あまりにも水産委員会を侮辱しているものである。われわれはこの問題は、こうしたことはやつてはいけないということで、委員会漁業法を制定するにあたつて大分これを述べて、第五国会、第六国会を経て第十国会までの間、その精神を十分把握しているものである。ただいま田淵委員、私の安居篤孝氏に対する意見も、こうしたことによつてつておるのである。われわれ委員会に対して、その発言の内容も了解を得ずして、どこからか入つて来て、かようにして水産長官に対して食い下るということは、あまりにも当委員会を侮辱するものであつて、私は遺憾の意を表するものであります。われわれは少くとも水産委員会としての責任上、ただちにかようなことはやむべきである。しかし旋網漁業水産庁の認可ではありません。地方庁の認可であつて、あなた方石川県の議員の方々は、何のためにその地方の県庁に向つてかようなことを申してくれないか。旋網漁業というものは、水産庁の認可ではないとはつきり水産長官も言明された。しかも水産庁において認可されておるもので、他のものに権利を貸しておるものは一つもないはずであります。もしあつたとしたならば、その漁業者名前を、また船名をここに明言していただきたい。私はまことにあなたの意見に対して遺憾を表明するものであります。
  47. 大森玉木

    ○大森玉木君 ただいまの私に対する意見は、はなはだ私も遺憾に思う。私が今長官に尋ねたその問題は、あなた方論議されておるかもしれません。しかしながらここに参考人が出ておるから、私の県などにおいてもそういうような問題を聞いておるから、こういうときに法規の趣旨をはつきりしていただきたいということを尋ねたのであります。何がこれが間違いであるか。しかも私は発言許可を得て発言いたしたのであります。あなたは侮辱すると言われたが、この水産委員会というものは、何か特定の考え方を持つておられるのかどうか。私は決して侮辱するために申し上げたのではなく、地方からの参考人が出ておりますから、その機会において誤つた考え方があつてはならぬから、長官からその言明をしてもらいたいということを要求したのである。であるからして、あなたから遺憾であるとか、侮辱したとかいう言葉を聞くことは、私もはなはだ遺憾と思う。お互いに同僚ではないか。お互いに議員である。しかるに今の言葉に対して、私があなたからとがめを受ける、そんな発言は私はしていないと思う。
  48. 冨永格五郎

    冨永委員長 大森君に申し上げます。大森君の質問石川県の永井参考人質問する前提として水産長官に、一体水産長官は法を守るかどうかというような言葉を、石川県の永井課長質問する質問のあやにお使いになつたものと了承いたしますが、しかし法を守るかどうかという質問に対しては、守るという答弁の一遂に盡きると思いますから、その点は少し手が込み過ぎたように思います。松田委員に何か御質問があれば許しますが、大体大森君は永井さんに質何したいという御趣旨でありますから、これを許したいと思いますが、御異議ありませんか——大森君。
  49. 大森玉木

    ○大森玉木君 先ほど私は永井課長にお尋ねいたしたかつたのでありますが、済んだと言われるので、私はしなかつたのであります。こういう場合において、法の趣旨が徹底していないと、地方においてもあやまつた取扱いをいたすことになるから、法の趣旨をここにはつきりしておきたいということを、私は長官に申し上げたので、これは決して違法ではない。一体何が間違つているのか。私は参考人質問する前提として申し上げておるのでありますから……。
  50. 冨永格五郎

    冨永委員長 大森君に申し上げます。時間の関係がありますから、必要な質問を願います。
  51. 大森玉木

    ○大森玉木君 決して私は間違つた発言はいたしておらぬと断言いたしたいと思います。
  52. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁区の問題について新潟齊藤鐵三郎君にお願いいたします。
  53. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 水産課長が病気で休んでおりますので、私ちようど協同組合関係の会議で上京して参りました機会に、こちらに代理で参つたわけであります。私の知つております範囲で、新潟県の機船底びき網漁業禁止区域の点につきまして申し上げたいと思います。  現在の禁止区域は大体本県は海区が四つございまして、佐渡と新潟県北部、中部、南部、こういうことになつておりますが、多少のずれがございますけれども、特に中部の区域が一応問題になつておるわけであります。この中部と佐渡を結びますところの縦の線、これを沿岸漁民は確保したいということでございます。一方底びき業者の大部分は、新潟、つまり北部の海区に根拠地を持つておりまして、今までの禁止区域というものが非常に不合理であるので、縦の線を横に変更してくれという要求を出しているわけであります。昨年の十月ごろに、底びき漁業者が縦の禁止線を侵しまして、中部の海区に入つて参りまして、漁業をやつたのでございますが、これが一つの契機となりまして、沿岸漁民と底びきの間には、深刻な争いが起つてつたのであります。  この禁止線の変更につきましては、一応水産庁権限になつておりますので、県といたしましては、調整委員会相互の協議によりまして、変更できるかどうかという措置をとつてもらいたいということで、協議してもらつたのでありますが、ついに協議がととのわずに、両方から県のあつせんを求めることになつたわけであります。県といたしましても、副知事があつせんに乗り出しまして、両方の代表を呼んで数次にわたつて懇談をいたしましたが、ついに妥協点に達することができなかつたのであります。一方底びき漁業者といたしましては、根本的な変更が不可能ならば、暫定的に、冬のさめの回遊時期において入漁ができないかどうかということを申し出て参つたのであります。この点につきましても、一応両方の調整委員会の了解がつけば、水産庁の方へ話をいたしまして、何とか措置ができる道も全然ないというわけではあるまいということで、いろいろ努力いたしましたけれども、ついに両方の話が妥結に達しなかつたのであります。そのうちに小型底びきの禁止区域につきまして、水産庁かから県に諮問がございました。県といたしましては、事重大でありますので、連合委員会を開きまして、この問題についての意見を求めたのでありますが、委員会では相当紛糾いたしまして、一月の十日、十九日、二十日と三回にわたつて審議をいたしましたところ、ついに結論を見出すことができず、知事に一任するということに話がきまつたわけであります。県といたしましては、一応この委員会の空気を察知いたしまして、愼重に実情調査をやる必要を認めまして、水産庁から係官の派遣もお願いいたしまして、県と共同で沿岸地区の実態調査をいたしました上で、県としての一応の意見を決定いたしたのであります。  その意見と申しますのは、一応五トン以上の底びき船につきましては三海里を禁止区域といたしました。但し佐渡は四海里を禁止区域といたしました。また五トン未満につきましては、これは区域によりまして、沿岸から非常に近距離で操業するところもありますので、一海里ということにいたします。なおえさを引きますところの船は、別に禁止区域を設けないということにいたしたのであります。問題の中部の海区につきましては、水産庁で示されました小型底びきの整理要綱に基く特殊海域として指定していただきまして、特にこの区域における資源の保護をはかつて行きたい。但しここで操業しておる一部の小型の底びき業者漁業を全然禁止することも酷だと考えまして、一応二十馬力以下の場合につきましては、知事が許可をする道を開いてやる。但しこれも決して無制限に許可をするのではなくて、一応全体のわく等を考えまして、必要に応じましては県の取締り規則において相当の條件をつけたいというふうに考えておつたわけであります。一方底びき業者に対しましては、非常に同情すべき点もあるのでありますけれども、一応彼らの要求する線が通らないというような結果になつておりまするが、ただ冬のさめの時期におきましては、底びき業者はこのさめに対して非常に大きな期待を持ち、また漁獲によつて経済を大きく依存しておるというふうな関係もありますので、できるものならば特別措置というものを考えまして、この特殊海域におきましても、知事が操業区域と期間を指定し、またそこで操業いたしますところの漁船の隻数と馬力数のわくを限定いたしまして、この地方におけるたらの漁場を荒さない、しかも資源保護に積極的に協力するという條件のもとに、一応許可する道を開こう、こういう案であります。しかしこれは決して必ず許可しなければならぬという考え方ではないのでありまして、従来のような侵犯事件が起り、また資源保護に支障があると認める場合には、これは許可をしない、こういう考えでおるわけであります。一応こういう案を設定いたしまして、水産庁に答申した次第であります。
  54. 松田鐵藏

    松田委員 新潟県に機船底びきの隻数はどのくらいありますか。
  55. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 大体許可いたしておりますのが百三十隻ぐらいであります。
  56. 松田鐵藏

    松田委員 それは大型船でありますか。
  57. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 全部を含めたものであります。
  58. 松田鐵藏

    松田委員 中越海区には、この沿岸に小手繰り漁船は何そう許可されておりますか。
  59. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 ちよつと今ここへ資料を持つて参りませんでしたので、はつきりした数字はお答えいたしかねます。
  60. 松田鐵藏

    松田委員 大体でけつこうです。
  61. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 約四十隻ぐらいあるかと思います。
  62. 松田鐵藏

    松田委員 それは五トン以下ですか、五トン以上ですか。
  63. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 大体五トン以上、十五トン未満のものが大部分であります。
  64. 田渕光一

    ○田渕委員 昨年の秋であつたかと思うのでありますが、私新潟県へ参りましたときに、私の友人である民主党系の人から、自由党の政府であるのじやないか、石川あるいは新潟漁業の紛争問題というものは、大体漁業法の改革が誤つているのではないか、諸君の政府で至急にこういうことをまとめてくれという話を聞いた。これは山間の——まるで漁業者じやない、炭鉱をやつておる人でありますが、こういうようなことを聞いた。こういうような、問題がここまで紛糾するまで県当局は打つ手はなかつたのですか。今いろいろ問題になつて来たので、そこで水産本庁からも応援を求めて、共同調査をして、こういう妥協をしたということになつたが、そのときにはもうすでに大きな紛争が起きておつたように私は聞いております。かようなことに対して、県当局として、ここまで来ぬうちに打つ手がなかつたかということを伺いたい。
  65. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 県の首脳部といたしましては、できるだけ業者の円満な妥協の線を基礎にして、この問題を解決したいという考えがございまして、一応県といたしましては、懇談的に両方の意思の疏通をはかるまとめ役を引受けたという形で参つたような次第であります。
  66. 松田鐵藏

    松田委員 陳情の趣旨から行きますと、中越地区には一隻も小手繰網はないと言うておるのですが、それは誤つておりますか。
  67. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 従来の底びきというものはないように言われておりますけれども、いわゆる手繰網はございます。
  68. 松田鐵藏

    松田委員 機船底びき小手繰網のことであります。螺旋推進機をつけた手繰網というのはあるのですか。
  69. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 ございます。
  70. 松田鐵藏

    松田委員 それは何隻ぐらいあるのですか。四十隻ですか。
  71. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 大体先ほど申し上げた数字でございます。
  72. 松田鐵藏

    松田委員 そこで今問題になつておるのは、この操業区域に対する四十隻の十五トン未満の小手繰網がこの海区に入りたい、こういう考え方を持つておるのであるか、または新潟港を根拠としておるほんとう機船底びき漁船がここを開放しろというのですが、この点伺いたい。
  73. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 この海区内のいわゆる小手繰りと申しますのは、えさをとる目的で許しておるものでありまして、今の紛争のもとになつております底びきというのは、新潟に根拠を持つておる純然たる底びきでございます。
  74. 松田鐵藏

    松田委員 今まで新潟から出ておる機船底びき業者は、相当の沖まで行つて、また北海道まで出漁しておる。現に入会の許可を持つておるものさえある。かようにしておる機船底びきは、大きな資本を持つてつておるのである。かような機船底びき業者が、何年間という間この中越海区を守り育てて来た漁民の海区を開放せよということは、県としてどういうようにお考えになつておるのですか。ただ紛糾しておるから、それを解決しなければならない、開放しなければならないという考えを持つておられるのですか、この点について伺いたい。
  75. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 県といたしましては、限られた狭い漁場で底びきをやつてもらうよりは、新しい漁場を開拓してほしいという方針で、ただいま指導しておりますし、また若干ながら奨励金も出して、そういう方向に持つて行きたいというように考えております。
  76. 松田鐵藏

    松田委員 長官にお尋ねしますが、ただいままでの参考人意見、それから亘議員の一昨日の意見、かようなことから総合いたしましても、新潟県におけるこの中越海区というものに対して、農村大臣が指定してこれを禁漁区として設定されておる今日、機船底びき大型漁船にこうした零細漁民のおる海区を開放しろなどということは、現在の漁業制度及び漁区の保護、漁族の保護というような面から言つても、新潟県の大型機船底びき業者はどのような感覚を持ち、こういうような議論をするのか、私どもは実際その判断に苦しむものであります。しかも大型漁船においては、秋田県沖までも操業区域はあるわけであります。また北海道の入会いの許可も受けておるものがあるはずであります。かような大型漁船、百馬力、百五十馬力というような漁船がこの狭い湖水のようなわずかな海区を——汽車に乗つて見ても、佐渡の島というのはおそらく目の前に現われておる島であります。せめてその島との間の海区に発生するあらゆる魚族を、新潟県の漁民はとり、その中越海区からまた離れた両方の海区に育てられた魚が入つて行くというように考えられるほんとう禁止区域じやないか、かようなところに、ただ自己の常業を樹立せんがためにこれを開放しなければならぬなどということは、みずから自分の首を絞めるようなものではないか、しかもそれ以外に零細なる漁民がもつともつと苦しまなければならないことになるのではないか、かように考えられるのであります。この小手繰りの四十そうというものも、今後漁民方々が一致団結して、その権利を放棄してまでもこの海区を守つて行こうというような考え方をもつて行かなければならない問題ではないか、また水産庁もそれを指導してやらなければならないのじやないかとわれわれは考えるのであります。しかも現在農林大臣の禁止区域として育てておるこの区域内を開放しろなどということは——縦の線だとか横の線だとかいつて、開放しろなどということは、とんでもない話だとわれわれは考える。魚族の繁殖保護をしなかつたならば、小さな漁民は死んでしまう。また大きな機船底びき業者といえども、ただちに二年か三年において自分の首を絞めるようなことになる、かように考えるものでありまして、私の意見としたならば、この海区というものは、永久に禁止区域として残してやるべきじやないかという考え方を持つておるのであるが、水産庁長官はどういう考え方を持つておるか御意見を承ります。
  77. 藤田巖

    ○藤田政府委員 底びきと沿岸漁業は各地に摩擦を起しておりますが、ことに新潟県の問題は従来から紛争の絶えないところでありまして、現在の禁止区域もいろいろの経過からこれをきめておるわけであります。従つて私も原則的には松田さんと全然同感の意見でございまして、沿岸漁業の将来のことを考えますを、やはり禁止区域というものは、少くとも現行の禁止区域を縮小する、つまり底びきがさらに入る得るようにするということには、私はやはり反対であります。あくまでも沿岸漁業魚族の保護ということを第一に考えてやつて行かなければならないと思つております。ただしかしながら率直に申しまして、これはそういうりくつだけでは解決のつかない問題だと思います。そこで将来の問題としては、やはり以東の底びき網、小型の底びき網の整理ということと相まつて、底びき網の方もほんとうに許された範囲内で成り立つようなやり方に指導して行くということを根本的にやつて行くのでなければ、いつまでもこれは絶えないと思つております。
  78. 松田鐵藏

    松田委員 最初の答弁は非常に満足するのでありますが、あとの方の答弁はずいぶんぼやかしておるように聞えるのであります。そのぼやかすということは一つの政策であろうと思いますが、あなたの御意見として、新潟県の中越海区に対しては、どこまでも禁止区域を設定して、このままに持続して行こうというお考えであろうと考えるのでありますが、その意見を承ればけつこうであります。
  79. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これは先ほども申しましたように、現在の禁止区域はやはり維持して行くという建前を私どもは考えております。
  80. 川村善八郎

    川村委員 齊藤参考人ちよつとお伺いいたします。この新潟県の問題については、私漁業法の制定前に、調査班の班長として参つて公聴会を開いております。その際開放しろという意見と、どこまでも資源維持のために、またさらに小漁民の生活保護のために、これをどこまでも守るべきであるという二つの意見があつたのであります。あなたは幸いに協同組合の主事でありますので、どこまでも漁民を基盤としている協同組合でありますので、あなたの意見としては、これを開放することがいいか、それから現在の禁漁区域をそのままにしておくことがいいか、あるいはいろいろな客観的情勢から、一部を変更して解決した方がいいか。いわゆる解決策にはとの三つがありますので、そのいずれを選んだ方が、今日の新潟県の漁業実情からいつて妥当であるか。これをまず承りたいと思います。
  81. 齋藤鐵三郎

    ○齋藤参考人 私といたしましては、これはきわめて重大な問題でございますし、目下完全に解決した問題でも、ございませんし、また上層部の御意見もはつきり承つておりませんので、遺憾ながらお答えいたしかねます。
  82. 川村善八郎

    川村委員 用意周到な答弁でありますので、これ以上申し上げませんが、とにかく私らといたしましては、できるだけ保護区域を設定して、今後憂いのないようにすることが一番最善の方法ではないかと考えるのであります。  そこで一言水産庁長官に申しておきますのは、先ほど松田君も指摘したように、自分漁区を荒らしまわつて狭くなると、とかく北海道に行くことであります。それがこれまでの内地の漁業者の常套手段と言いましようか、必ずそのしりは北海道でぬぐわなければならぬという現状であります。そこで私は先般の委員会においてもお話申し上げましたが、以東底びき網並びに小型機船底びき網の整理を断行するという建前から要綱をつくつて新聞に発表しており、またさらに本委員会にも大体示したのであります。しかしそれが立ち消えになつたということは、われわれ予算の裏づけがない限りは、ただこれを整理するというだけでは、法律をつくる国会議員としての責務からも、どうしてもこれはただ一方的な施策を講じられないから、大蔵省と折衝して、転換するのにも資金がいるし、さらに権利を消滅させるのには国家の補償がなければならぬということで、一応出た法律案をわれわれが握りつぶしたということになつております。いつまでもこういうことを繰返しておつて委員会を開きましても、委員会のなすべき使命に前進をすることができないのであります。でありますから、大体今年中にこうしたような問題を解決せられる意思があるかどうか。新長官は、おそらく就任するにあたつて相当の決意をもつて就任されたと私は考えております。以前に飯山君にしろ家坂君にしろ、民間から出て、そうしてやり玉に上つて遂にやめてしまつた。こうした混乱を見て、そうして今度何か決意を新たにして新長官が就任されたものと思いますから、こういうことをいつまでも委員会でごたごたやつてつたのでは、日本の水産の改革にも進まれないし、いわんや現在漁業法が制定されまして、着々新漁業計画において漁業権の再配分をしなければならぬということが目前に迫つておるときにおきまして、長官は真の決意を示して、こうした陳情の解決はもちろんでありますけれども、これに伴うところの整備等を、一日も早く案を出していただかなければならぬのではないか、かように考えるのでありますが、一体長官の決意のほどと、見通しのほどはどの程度であるか。見通しがないのであつたらば、どうか前長官みたいにまたやめてもらいたいという気が私はするのであります。
  83. 藤田巖

    ○藤田政府委員 ただいま川村さんの御質問に対しては、私、先ほど松田さんに対して第二にお答えをいたしました通り、私といたしましては、これは非常な困難な問題でありますが、やはり根本的な解決策としては、以東底びき綱及び小型底びき網の適当数まで減船するということは、ぜひやらなければならぬと思つております。これはあくまでもやるつもりでおります。ただ、これには莫大な予算が伴うわけであります。私も極力これについては実現をするように努力をいたしますから、委員会におかれましても、それに御後援をいただきたいと思います。それからなおこの整理を断行いたして行きますと、必ずいろいろな大きな問題が、整理される側から出て来ると思いますから、さようなときにはひとつ水産委員会で、この整理を断行する方向に御協力いただきたいと思います。
  84. 川村善八郎

    川村委員 決意のほどは伺つたのでありますが、どうも許可、免許等は、水産庁なり県庁なりでかつてにやつて、そのしりを結ぶに委員会でやつてもらいたいというような言葉は、私はまことに不穏当な言葉であると思う。これはどうしても承服できないのであります。われわれはもちろん協力もいたしますし、また予算措置についても十分努力もいたしますけれども案が出て来ないものはやれないのだ。とかく水産庁で出した案は、出してはひつ込め、出してはひつ込め、そうしてしまいにはやらないで、北海道へしりを持つて来られるというようなことをやつておるのだが、その決意と見通しの時期等はいつごろで、大体決意はわかりますけれども、見通しはどの程度でやれるのか、今度の国会ではもちろんできませんけれども、臨時国会ででもやるとか、あるいは来るべき来年度の予算に織り込まなければならぬ場合もあると思いますから、それまでにやるとか、はつきり決意を示すと、本委員会でもまた相当にその案に基いて取上げて行かなければならぬので、まず早く全面的に、小出しでなく案を出していただきたい。私はあなたにこういう申入れをするわけであります。とにかく小出しをしておると、毎日委員会を開いて行かなくちやならぬから、水産庁の新長官の案はかようかくかくであるという、白書とも言わるべきものを出して、それからその白書に基いてだんだんと解決をつけて行く、最後には、一年なり二年なりかかつても解決をつけて行くというようなことでないと、ただいたずらに一つ一つちつぽけな問題を取上げて、委員会で議論して行くということは、まことに時間を空費すると同時に、実を結ぶことは相当に時間もかかりますので、私の申し上げておるのは、とにかく日本全体の漁業はかようかくかくになつておる、従つてこれはこうして免許して行かなけきばならぬという、一つの大きな白書を出して、それに基いて今度は一つ一つこうして行こうというふうにやられて行つた方が早いのではないかと思いますので、その意思があるかどうかということをお伺いしておきます。
  85. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これにつきましては、すでは小型底びきについては要綱も大体でき上つておりますので、今は予算の折衝の段階に入つております。私どもとして、でき得れば二十六年度の補正予算から始めたいということで、補正予算の要求をいたして、それについて努力をいたしております。どうしても補正予算が財源その他の関係でかりにできないにいたしましても、少くとも二十七年度の本予算にはこれは何とかいたさなければならぬと考えておる次第であります。  それから先ほど申し上げました意味は、決して責任を回避する意味で私は申し上げておりませんので、この整理はあくまでも政府の責任においてやつて行くということは決してこれを避けておるわけではありません。ただ整理をやります場合には、いろいろの問題が関連して出て参ります。さような場合に、その整理を断行する方向にまたお知恵を貸していただくなり、あるいは御協力をいただきたい、こういうことを申し上げた趣旨でございますから、どうか御了承いただきたいと思います。
  86. 田渕光一

    ○田渕委員 先ほどから川村委員質問に対しての長官のお答えは、はたで聞いておつた石川県の人は、人間ならば相当に冷汗をかいただろうと思う。大体こんな問題を中央の委員会に出して来るということは、われわれが率直に見れば県当局がだらしがないからだ。どうも地方庁は、底びきとか何とかすべて資本を持つておるものに往々迎合しやすい。石川県はそんなことはなかろうと思うけれども、それがこういう原因になつて来た。結局最後はその地元民と水産委員会に転換しなければならぬ。たよるべきところは国民よりないといつて、かようなことを国会に持つて来たということは、県の大きな失態だ。県がだらしがないからだ。石川県がもう少ししつかりやつておられたら、こんなことは起きなかつたと思います。そこでわれわれ委員会としてはこれをきめておく。長官は、委員会は責任をもつてつてくれという、かつてにしたことはやれないというならば、漁民はどうなるか。私はこの問題の焦点は、漁民を助けてやらなくてはならぬ。助けて行くとすれば、われわれの委員会——水産庁長官はかなりやつておるが、県当局が聞かないならば、予算面においては何をやつても、現在の諸右がやつている間は、やつているだけの力を示して行かなければならぬ。口だけで言うて聞かないならば、あらゆる陳情、あらゆる施設その他において、われわれは與党の力をもつてもやつて行こうということまで考えている。それでもよろしいか。そこらをきめて行かなければ、こんなことは聞くものでない。民主主義をはき違えて……。委員会で口角泡を飛ばして論ずるのは、この問題を円満に解決して、水産資源が向上し、水産業が向上して円満に行くために骨折つている。土曜日の十二時半、一時、二時までやるというのは、そこにある。あなたは責任者ではないけれども、実際石川県はだらしがない。こんなものを持つて来るということは、これは県当局の重大なる失策だと思う。もつと熱意を持つてつたらどうか。とにかくこういうものを中央の委員会に出すということは、石川県の大きな欠点です。われわれとしては、将来石川県から陳情が来るとしても、あんなだらしのない県にこんな予算はやるな、こんなものはあとにまわせと言わざるを得ません。與党としては当然だ。だからそのくらいの薬をきかすところに持つて行つたらどうだ。石川県は水産委員会水産庁長官をいじめることをしないで、はつきりこの点を片づけて行つたらどうか。大体地元からこの嘆願書が出て来るということは——もはや他の所はわれわれにおいては解決をつけておる。こんなものを出すということは、県の責任じやないか、少なくとも県はだらしなかつたか、熱意があつたか足らなかつたか、人事を盡さなかつたかということになる、そうでしよう。私の言うことに対して、あなた方は、断じて石川県としては最善を盡したのだ、天地に恥じないというようなことが言えるのなら言つて、こらんなさい。少くともこれだけの委員会を開いて、二時間も三時間もやつた以上は、結末をつけなければならぬ。川村委員の言うごとく、今年中に結着をつける、そんな悠長なことを言つたら増長するから、ある程度まで結着をつけなければならぬ。予算がないから引締めて行かなければならぬ。それがための水産委員会である。最高の権限を持つているものは、それくらいの薬をきかさなければどうする。とにかく私の今の焦点はそこなんだ。県がだらしなかつたかどうであるか、あるいは率直に言えば底びき業者に買収されておつたのかどうか、そして零細漁民を見てやれなかつたのかどうか、あるいはまた最善を盡したのであるけれども、零細漁民がここに陳情書を持つて来たのはうそであるかどうであるか、はつきり言いなさい、それだけ聞きたい。
  87. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 大体今日の議題になりましたこの問題につきましては、漁業法の運用の問題であり、海区調整委員会、県及び水産庁が、漁業法の精神を生かすために確固たる態度をとつて運用してもらいたい。そこで先ほど来川村委員松田委員、田淵委員からも御発言がありましたように、こういう問題をなまのままで衆議院の本委員会に持ち込まれるということは、これは行政の失態であります。もう少し県及び水産庁におかれましても、漁業法の精神を生かすために、確固たる信念で制度改革に当つていただきたい。そういう意味合いで本委員会といたしましては、十分今日の参考人の御意見も徴したわけでありますから、今後水産庁を鞭撻いたしまして善処することを要望して、本日はこの程度にこの程度にこの問題は打切つていただきたいと思います。  次に委員会各位に御報告申し上げまして特段の御協力を得たい問題があるのであります。それは、漁港指定の問題が、港湾法と漁港法との実施の際にあたりまして、農林大臣と運輸大臣との協議によつて漁港の指定を行つて行くということになつておるわけでありますが、これが長い間の、内務省当時からの港湾行政が運輸省によつて引継がれて、その官庁間のなわ張りと申しますか、そういう観点からこの両省間の協議が整わないために、漁港の指定がいまだ行われていない港が七十もございます。整備計画ですでに取上げておりますものがそのうち十七港あるわけです。この漁港指定の問題につきまして早急に解決しなければ、二十六年度の予算の実施もできない、こういつた段階にあるわけであります。本日も自由党の政務調査会におきまして、海運部会、水産部会及び運輸委員会水産委員会諸君が集まりまして、この問題を討議して参つたわけでありますが、それは各党におかれましても、ぜひとも水産委員各位の御盡力によりまして、早急に漁港指定ができますように、しかもそれは漁港法の精神を生かして、そして漁港の指定ができまするように、御配慮を煩わしたいというのであります。この中には青森県、岩手県、宮城県、宮崎県、静岡県、京都府、和歌山県、広島県、長崎県、熊本県、大分県、これらの諸県の有力な港が、両省間の協議が整つていないために指定ができないでおる。こういう現況でございますから、ぜひ本委員会の各党の委員方々におかれましても、各党の政務調査会その他を通じまして、この漁港法の運用が円満にできますように御配慮を煩わしたい、このことを委員各位にお願いいたしておきたいと思うのであります。
  88. 川村善八郎

    川村委員 ただいま鈴木委員から各委員に申入れをいたしましたが、実は私御承知の通り、漁港法に基きまする漁港審議会の委員でありまして、去る七日に第一次の整備計画を発表いたしまして、これを農林大臣に提出し、さらにこれを内閣に農林大臣が提出しまして、本国会に承認を得なければならないということになつておりますので、非常に急を要する問題であつたのであります。ところが先ほど鈴木委員から言われましたように、農林大臣と運輸大臣との協議が整わなければ指定もできない漁港が八十数箇所あるのであります。そのうちに最も急ぎますところの、予算の裏づけをしなければならない、いわゆる整備計画に基いて、国家の予算の支出をしなければならないのが十一港ございますので、それらの継続事業については、指定ができなければ整備計画を立てることができない、従つて内閣の承認も、国会の承認も得る段階までに至らないということになりますので、地方相当に混乱をいたしますし、迷惑をするということになつておりますので、審議会から本委員会委員長に向つて陳情を申し土げたことになつております。そこで本委員会ではこれを取上げまして、大体今日の政調会で十四日に解決するということまでになりましたが、ただいま鈴木委員の言われるように、各党でこれに相当協力をしてもらわなければ、実現が早急にできない問題だと思いますので、どうか審議会の委員の立場からもひとつ、各県に関係のある問題でありますから、各党は御協力を願つて解決に努力されんことを、私からも重ねてお願いを申し上げる次第であります。
  89. 大森玉木

    ○大森委員 私は先ほど委員外発言を申し上げたのですが、非常にごきげんに触れまして、まことに私も遺憾に思つてつたのであります。今私委員になりましたから、委員としてひとつ仲間入りさせていただきたいのであります。それを前提として申し上げます。  そこで先ほど長官にお尋ねをいたしました問題は、各委員は御存じだそうであります。私は今初めてなつ委員でありますから、詳しいことは存じないので、さつき申し上げた点をお聞かせ願いたい。いわゆる漁業法によるところの今度の改正に対しては、いかな、る方針を持つておられるか。またそうした網の権利などを貸すことがいいかどうか。それからそういうことに対しましては、先ほどから重ねていろいろな御質疑があつたが、これに対しましてはどういう処置をとつておられるかということについてお尋ねをいたすのである。さらにまた、簡単ということですから簡単にいたしますが、私は先ほどの安居何がしという人の問題が出ておりましたが、この中央漁業調整審議会というものについてお尋ねをいたしたいのは、私の地方からも横田象三郎という人が審議会の議長か何かやつている……。
  90. 冨永格五郎

    冨永委員長 大森委員に申し上げますが、参考人方々に対しての質疑はございますか。参考人に対する質疑がなければ、参考人方々の御退席をお許しするようにいたしたいと思います。
  91. 大森玉木

    ○大森委員 私はこれにからんで、石川県の参考人の方だけに簡単に伺いたい。
  92. 冨永格五郎

    冨永委員長 参考人に対する質疑だけ簡単にして、あとのことは次会にお譲り願いたいと思います。
  93. 大森玉木

    ○大森委員 石川県だけ……。そこでこの議長をしておられる横田象三郎という人の話によると、審議会は、漁港の認可権まで審議会に全部ゆだねてあるのであるから、私のままであるということが、今度の選挙に流布されている。ですからこういう点も先ほどの安居篤孝という人に対しての御意見がありましたが、そのようにいたしまして、議長であるところの横田象三郎君が、今漁港の問題を審議することを、その中央漁業調整審議会によつて決定するのであるから、選挙に対してもわしの言うことを聞かなければならぬというようなこと存言つて歩いた事実があるのであるが、こういう点に対しては、どういうことになつているか、審議会の内容ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  94. 冨永格五郎

    冨永委員長 ちよつと大森委員に申し上げますが、今参考人方々をお帰しすることは御異議ありませんか。
  95. 大森玉木

    ○大森委員 参考人のうち石川県の人にちよつと残つていただきたい。そしてあと二人は私は関係はない。そうするとこういう事実がある……。
  96. 冨永格五郎

    冨永委員長 しかし大森委員に申し上げますが、審議会の内容から、調整委員会内容から、それぞれ御答弁申し上げるということになりますと、簡単簡単といつても三十分や一時間で済まぬと思いますが、そうすればその点はひとつ次会にお譲り願つて……。
  97. 大森玉木

    ○大森委員 参考人もおられるから……。
  98. 冨永格五郎

    冨永委員長 いつもの平日の場合ですと……。
  99. 大森玉木

    ○大森委員 石川県における大きな問題であるから……。その大きな問題で罹災の漁民は非常に苦しんでいる。そこで大資本家のために圧迫されて、要するにそういう方面の人々が出て来ている。であるから、そういう者どもが寄つて漁業権をすべて獲得して抑圧するということになつてはいかぬから、この点をはつきりしておきたいと思うから、私は参考人の……。
  100. 冨永格五郎

    冨永委員長 大森委員に申し上げます。審議会の内容調整委員会内容ということになると、いつもですと時間の制限はいたしませんし、また質問があれば午後に続行いたしますが、きようは土曜日なので部屋の関係もあつたりしますので、でき得ればそういう問題は次会に譲つていただいて、今出席せられている参考人に関する質問だけにお願いいたしたい、こう申し上げておるのですが、そういうふうにおとりはからい願えませんか。
  101. 大森玉木

    ○大森委員 それならば今お尋ねいたしました問題についての結論だけと、今の内容に対しての結論だけを簡単にお聞きしたい。その審議会というものは、そういう……。
  102. 藤田巖

    ○藤田政府委員 漁港審議会ですか。
  103. 大森玉木

    ○大森委員 中央漁港審議会というものの内容は、どういうものであるかということです。これを私は聞きたい。
  104. 藤田巖

    ○藤田政府委員 第一点の御質問でございますが、これは漁業法の精神から申しまして、経営する者に漁業の免許をし、また許可漁業についても経営する者に許可を與えるということが法の精神でございます。従つて鑑札だけを出して実質上は他の者が営むということについては、法律としては認められておりません。具体的な旋網の問題につきましては、現在は県の許可漁業であります。県もおそらくその法律に従つてやられて、おることと考えております。
  105. 大森玉木

    ○大森委員 審議会はやはり政府の任命でありましよう。それであなた方は関係あるのですか、ないのですか。
  106. 藤田巖

    ○藤田政府委員 漁港審議会の委員は政府が任命をいたしております。その審議会によつて整備計画を立てます。その整備計画は、閣議を経、国会の御承認を経まして、予算の範囲内においてその整備計画に従つて補助をする、かようなことに相なつております。
  107. 大森玉木

    ○大森委員 私の聞かんとすることは、審議会というものはすべての認可権を持つているか、持つていないかということです。いるか、ないか(「そんなことはわかつているじやないか」と呼ぶ者あり)わかつておるが、だめ押しをして聞いておきたい。
  108. 冨永格五郎

    冨永委員長 簡単に願います。
  109. 藤田巖

    ○藤田政府委員 横田さんのお話であれば、それはおそらく漁港審議会であると思います。その漁港審議会は、先ほど申しましたように諮問機関であります。
  110. 大森玉木

    ○大森委員 私の質問はまだ打切つてないので、この次にここでまたやります。
  111. 冨永格五郎

    冨永委員長 参考人方々に申し上げます。各位は御多忙のところ出席せられて意見を述べられた点については感謝いたします。しかし内容は遺憾の点が非常に多いのでございますから、特に善処を要望いたします。
  112. 小松勇次

    ○小松委員 ただいま鈴木委員から漁港法に伴うところの最近の経過お話がありました。われわれは実に意外の感に打たれるのでありますが、これはこのまま捨ておくことは断じて許されない。すみやかに漁港法の目的を達するように、われわれが努力しなければならぬことは申し上げるまでもないのであります。ただそこで伺いたいことは、農林大臣と運輸大臣との両者の間の協議が整わない、どういう理由で整わないか、どういう点が整わないかということです。まずその理由を私は伺いたい。そうして、もしそういうようなこと、がそのまま続いておるならば、内閣の不統一だ。これは断じて許されぬ。党に帰つていろいろこの促進をはかる上においても、われわれはその内容を承らなければ話ができない。だからひとつこの内容鈴木さんから伺いたい。
  113. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私は政府委員でありませんから、お手やわらかにお願いいたします。ただ国会議員の一人といたしまして、当水産常任委員会の一員といたしまして、漁港法の精神が生きるように漁港規定が円満に参りまして、漁港整備が順調に進みます観点から、各委員とともに協力いたしまして漁港法の円満なる実施をはかりたい、こういうことで先ほど発言いたしたわけであります。しかし小松委員からのせつかくのお尋ねがございましたから、私の承知いたしております範囲でお話を申し上げたいと思います。小松委員も御承知のように、漁港指定につきましては、漁港法の第五條の規定によりまして、農林大臣と運輸大臣が協議をして、意見の一致を見たところで指定をして行く、こういうことになつておるわけであります。ところが今日まで協議が行われたわけでありますが、その第一次分といたしまして千二百九十八港については協議が整いまして、これは指定をすることに相なつておるのであります。ところが八十港につきまして、不幸にして両相間の意見が整つておりません。それにはいろいろ理由があるようであります。あるものにつきましては、現在商港の区域の中に漁港の区域をきめまして漁港を指定をするということは、港湾の管理の面から非常に問題が将来に残るから、そういうものは困るという運輸省の意見、それからあるものにつきましては、現在はほとんど漁港専用として使われておる港であるけれども、将来の港湾の機能を考えると、将来は商港的な役割も果すであろう。その地方の産業構造等から考えて、将来は商港としての機能も持たせなければならぬというような、遠い将来を考えての面から、一方的に漁港としての指定は困る。こういうようないろいろの理由から、協議が整わないということになつておるようであります。しかしながら各地元県におきましては、その漁港を利用いたしますそれぞれの関係者の意見を徴しましたところが、ある港につきましては、漁港区と商工区に港域を区分をいたしまして、そうして商港及び漁港として区分して指定をしてもらいたいと、はつきり地元で割切つて来ておる。また現在漁港専用であります港につきましては、将来商港的な機能も果さなければならないような事態が起つてつた場合に、あらためて協議をして商港と漁港とを区分したらどうかということで、現状においては漁港としての指定をすべきものであるという観点から、漁港の指定を願い出て来ておる。こういうぐあいに、地方においては、すでに問題になつております十七港につきましても、大部分地元の意見というものははつきりして割切つて、そうして漁港の指定を要請して来ておるわけであります。そこで農林大臣及び運輸大臣は、協議にあたつては、地元の実際に利用する者の立場を十分尊重して指定をして行くということであれば、決して両者の意見がいつまでも整わないということはあり得ないものと私どもは考えておるのであります。しかるに先ほども申しましたように、運輸省の一部官僚が、従来のなわ張り根性から、むしろ拒否権を発動して協議に応じない、こういうようなことが明らかに見受けられるわけであります。あまつさえ、こういうぐあいに漁港法と港湾法との間には不備な点があるから、港湾法を改正して特別漁港区として処理して行きたいというような一方的な考え方の上に立つて、港湾法を改正するというような態度に出て参りまして、運輸委員会等を通じて、議員提出の形でそれを実現しよう、こういう動きも明らかにあるわけであります。私どもといたしましては、去る国会において、港湾法も漁港法も通過したばかりであります。そして実施になつたばかりであります。われわれは、あくまでこの公布されましたところの漁港法、港湾法の現行法の運用をできるだけ進めて参つて、漁港の発展もはかつて行きたい。軽々しくそういう一部官僚のなわ張りや何かで法案の改正はすべきでない。あくまで現行法を生かすように全力をあげて努力して参りたい。最後にどうしても法の実施の上に不備が発見された場合に、初めて国会として法案の改正を勘案すべきであつて、現段階においては、あくまで国会が議決しましたところの漁港法、港湾法の精神を生かすために、官僚のなわ張りと封建制を打破いたすために、国会側としては全力をあげて努力すべきものである。こういう考え方であります。その点について民主党の小松委員の御援助を大いに煩わしたい、こういうわけであります。
  114. 小松勇次

    ○小松委員 よくわかりました。なお私は漁港の委員会に川村さんがおいでになるから、御参考に承つておきたいのであります。今懸案になつております未指定の漁港については、審議会においてはどういうように御意見がまとまつておるのか、そのことを承りたい。もしも審議会の意見がまとまつておるものを、官僚の人たちがさような態度に出ておるということでは、まつたくその審議会をつくつた精神を没却され、官僚独善の弊をますます助長するものであるから、われわれはこれは大いに考えなければならぬ。まずその委員会内容を承りたい。
  115. 川村善八郎

    川村委員 去る七日に審議会を開いたけれども、その際にまず法の建前から行きまして、御承知の通り、第一には指定をしなければならぬのであります。指定された漁港の中から、国の予算の許す範囲においてぜひとも整備計画を立てて、予算の裏づけをしなければならぬということで、大体その方向に進んで、いよいよ整備計画を立てて予算の裏づけをするという案が審議会に提出されたわけであります。ところがその中に最も急を要して、しかも予算までも大体内定しておつて、前年度から継続事業となつておりますところの漁港が十一ほどあるのであります。そこで先ほど申し上げましたように、協議が成り立たないために指定ができない、指定ができなければ整備計画ができない、整備計画ができなければ勢い予算を裏づけするような措置をとられない。かようになりますので、この十一については、もう地元が相当に損害をこうむるばかりでなく、漁業者そのものも大きな損害をこうむるということになるので、これを運輸省に数度漁港課当局と折衝させたわけでありますけれども、いわゆる法の不備といいましようか、あるいは官僚のなわ張り争いといいましようか、これらに対して協議が整わないということから、指定もできなければ整備計画もできないというところまで相なつたのであります。でありまするから、審議会としては、ぜひともこの十一は急速度に協議を整わしめて、これに対する整備計画を立てて、予算の裏づけをしてやるということに進んだのでありますけれども、遺憾ながら先ほどから申し上げましたように、私らから率直に申し上げると、農林省当局と運輸当局とのなわ張り争いからかようなことになつておりますので、審議会では意を決しまして、地元にもこの旨をはつきり通達して、地元からも声を上げさせる。さらに当水産委員会並びに参議院の水産委員会、さらに運輸委員会等にも、それぞれ審議会の意見を具して、最善の努力をいたしてその実現を期したいということになりまして、本委員会に申入れをしたのであります。申入れに対してとられた態度につきましては、先ほど鈴木委員から御報告申し上げた通りでありまして、われわれといたしましては、やるという決意のもとに進んだのでありますけれども、事務当局のそうした暗礁に乗り上げておることから、整備計画も立てられないという実情にありますので、この点につきましては、ぜひとも本委員会、特に野党の方々におかれては政調会なり、あるいはそれぞれ委員方々によく納得せしめるように努力していただきたい、かように考えております。本審議会といたしましては、やらなければならないという決意のもとにこれまでとつた態度でありますので、このことも申し上げておきます。
  116. 小松勇次

    ○小松委員 今の問題につきましては、この委員会が終つた後に打合会を開いていただいて、ひとつこの問題の対策を御協議願いたいと思います。  なお次に、漁業権の補償額の決定に対して、私はいささかふに落ちない点がありますので、大綱だけをこの際伺つておきたいと思います。漁業権の補償につきましては、申し上げるまでもなく、漁業法施行法の第十條に規定してある補償額決定の基準によらなければならないものだと、私は信じておるのでありますが、今回の御措置は、この漁業権補償金配分に関する具体的算定方法によつて算定されたように、この間の御説明で伺つたのであります。そうしてここに出されたようなこの漁業権等補償金額というようなものができたように伺つたのでありますが、このような三つの関係は、はたしてどういう根拠があるか、私はこの点に対して第一に大きな疑問を持つ。この漁業法施行法の第十條には、「補償金の交付は、漁業権補償委員会が補償すべき漁業権ごとに定める漁業権等補償計画に従つてしなければならない。」とあるのに、府県別補償金額作成にあたつて、何ゆえにこの方法をとらないで、こういう方法をとつたかということに、私は疑問があるのです。  いま一つは、漁業法施行法の第十條の三項以下において定められております補償額の限度及びその総計に対して、今回発表されたこの補償額とどういうような開きがあるか、この点を伺いたい。漁業法施行法の第十條の第三項以下にいろいろ示してあります。賃貸価格の十一倍以内とか、あるいは十六倍以内、こういうもので算定した補償金額はどのくらいになるか、そういうことをまず私は伺いたい。この差額を聞きたい。しかもこの海面と内水面、各府県の区別をはつきりと私は知りたい。府県の比率も知りたい。こういう点が不明です。  それから漁業権等補償金額の配分に関係して、当局の採用しております具体的算定方式につきまして、非常な疑問があるのです。たとえば算定の基準として、漁獲数量の算定と単価の算定とによつておるが、その他にいろいろの條件がなかつたか。この漁獲数量の算定と単価の算定だけに依存しておつて、これでよいのか。いま一つは、漁獲数量の算定が、たとえば定置漁業権の場合においては、これは十一ブロックにわけてありますが、この十一ブロツクにわけて、はたしてこれでほんとうに所要の目的に対する信頼度が持てるか。十一のブロックにわけたというのはこの間御説明は伺つたけれども、その内容を検討してみますと、これに対してもわれわれは非常に疑問を持つ、こういう点。それから基準県として岩手県として岩手県を採用した根拠がきわめて薄弱だと私は思う。査定率の算定にあたつて、五つの要素がいろいろここに示されてありますが、五つの要素でいうところの比率とは、どんなものであるかということ。何に対する比率であるかということ。それから、算術的平均が査定率として示す信頼度はいかに考えておるか、これにはまだほかのものがいろいろあると思うが、こういうぐあいに算術的の平均査定率を出して、はたしてこれで信頼が置けるかということに対する一つの疑問があります。あるブロック内において調整された信頼度が、次々にだんだんとずれができておる。そうして順次異なつた基準県を採用して調整して行く方法は、調整数量の正確度をますます弱めて行くような感じが私はするのです。そうしてだんだんとずれを大きくして行く、こういう疑いを私は持ちます。こういう点に対しての御説明を願いたい。なお単価の算定方法におきまして、魚類は基準年度内に設定されたマル公の七割引きでこれを出してある。ところが貝類のごときは、マル公の二倍の七割引きにしてある。こういうものは、どういうわけでこういうことをしたか。なるほど貝類はその当時はマル公はなかつたのでしようけれども、貝類に対してだけはこれを二倍にして七割引きにしてある。魚類とその基準が違つておる。これはどういうわけであるか。この点をひとつ伺いたい。そうして私はこまかいことをいろいろお尋ねいたしたい。きようわからなければ、資料を出してください。これは重大問題です。こういうことでは、われわれはどうしても承服できません。地方の大問題です。
  117. 藤田巖

    ○藤田政府委員 今漁業権の補償金額の算定についていろいろ御意見がございましたが、もしお許し願えますならば、今資料をつくつておりますから、その資料をお出しをいたしまして、なお本日はその担当の課長も来ておりませんから、課長も来ました上で、ひとつ具体的な問題についていろいろ御説明をいたしまして、それによつてまた御質問をいただくということにお願いしたいと思います。できますれば、ひとつ次の機会に資料の用意をして来ますから、そういうように御了承願います。
  118. 小松勇次

    ○小松委員 けつこうです。念のために伺いますが、まだこの前の数字は決定ではありませんね。
  119. 藤田巖

    ○藤田政府委員 これはすでに仮割当も一応やり、各種の調査をやりました結果、われわれといたしましては、ここらが妥当なところだろうときめたわけであります。しかしながらこの法律によつて、いろいろの異議の申立及び訴願の規定もございます。またこれは人間のやることでありますから、計算上不適当なことがないとは言えないと思います。さようなものがいろいろわかりました場合は、計算上のミス等については直して行かなければならぬ、かように考えております。
  120. 小松勇次

    ○小松委員 なおこの際にお願いしておきますが、来るべき委員会で詳細にいろいろ検討することはけつこうでありますが、最初あなたが百七十億という数字を出したその基準を、参考にひとつ知りたいので、ついでにお願いいたします。
  121. 冨永格五郎

    冨永委員長 大体質疑は盡きたようでありますから、本日はこの程度で終りたいと思います。次会は来る十五日火曜日午前十時より開会いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時十三分散会