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1951-03-31 第10回国会 衆議院 水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君    石原 圓吉君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       福田 喜東君    小松 勇次君       岡田 勢一君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         水産庁長官   家坂 孝平君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         参議院議員   入交 太藏君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   水野  榮君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君 三月二十八日  委員佐竹新市君辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月三十一日  漁船保険法の一部を改正する法律案参議院提  出、参法第一六号) 同月二十八日  海区漁業調整委員会経費増額に関する請願(  逢澤寛紹介)(第一五七五号)  同(三木武夫君外一名紹介)(第一六三四号)  小型機船底びき網漁業整備に伴う転業資金交付  に関する請願外一件(逢澤寛紹介)(第一五  七六号)  漁船保険法による漁船保険制度改革に関する請  願(角田幸吉紹介)(第一五七七号)  同(田口長治郎紹介)(第一六三六号)  第五種共同漁業権証券資金化に関する請願(  田口長治郎紹介)(第一五九五号)  荒浜漁港修築工事施行請願(佐々木更三君紹  介)(第一六一六号)  小型機船底びき網漁業に関する請願外一件(三  木武夫君外一名紹介)(第一六三五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁船保険法の一部を改正する法律案参議院提  出、参法第一六号)  小委員長中間報告聴取  水産資材に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  水産資材に関する件を議題といたします。石原委員
  3. 石原圓吉

    石原(圓)委員 かねてから私の担当する水産行政充実に関する小委員会におきまして、わが国重要産業である真珠養殖事業について、立法措置を講ずるようになつていたのでありますが、この基本方針により、真珠事業法案決定を見ましたので、ただいま関係筋了解を得るよう手続中であります。近い機会にこれが了解を得られる運びになると考えますので、一応御報告を申し上げておきます。その了解が得られ次第、一日も早く本委員会にお諮りをして賛同を得て、本会議提出をいたしたいと存じます。以上中間報告をいたします。     —————————————
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 現下の漁業経済を圧迫しておる要因は多々ありますが、なかんずく漁業用資材高騰魚価低下が最も重要なる要素の一つであると思われます。ついては漁業用資材のうち綿糸及び綿網につきましては、昨年の二月値上げになり一梱の価格が八万四千九百九十円であつたものが、一昨日改訂せられた純綿の新価格は十四万四千九百円であるように聞くのですが、今回の値上げは七〇%以上であり、これが製品は倍以上に当然値上りになると考えられます。このことは漁業経営上まことに重大でありますので、当局としては事前において種々交渉されておられるところでありましようが、いかなる理由によつて値上げを見たのか、あるいはその間の交渉経過について御説明を願います。
  5. 水野榮

    水野説明員 綿糸値上げが一梱十四万円と決定をしたのでありますが、この値上げ原因は、海外におきまする輸入綿花高騰原因をしておるのでありまして、私どもはこの綿糸値上げが最近行われるというようなことを聞きましたのは、二月の中旬ごろだと思いますが、それでわれわれといたしましては、綿花値上りによる綿糸値上げということは一応やむを得ないにいたしましても、できるだけこれが低いところにすえ置くことを希望いたしまして、物価庁及び通産省繊維局と連絡をとつてつたのであります。初め価格の形成の仕方といたしまして、輸入綿花基礎としてやる方法と、現在輸出されますところの綿布基礎としてやる方法と二つ考えられたのであります。私どもといたしましては、輸入綿花を中心にして価格を形成してもらつたら、綿布基礎にして価格を形成するよりも安いだろうという見解で交渉を進めておつたのでありますが、輸入綿花基準にして価格は形成されませんで、結局輸出綿布基準になつて価格が形成されましたのが、現在きまつた通り十四万円という値上げでありまして、現在の八万一千円に比べて約七割近い値上げであります。なぜ輸出綿布基準にして値段をきめたかということを、物価庁なり繊維局なりにただしますと、輸入綿花基準にして価格を形成すると、輸出綿布基準にして価格を形成すればそこに若干の一、二万円の差ができるのでありますが、この差があるために、せつかく内需用綿糸価格をきめても、その公定価格が守られないということから、どうしても綿布基準にして価格を形成しなければいけないという主張なのであります。そういうことからこの十四万円という価格がきまつたのであります。これによりまして綿漁網値段も現在よりも約六割方また値上げを必要とする、こういうふうになると思います。
  6. 松田鐵藏

    松田委員 綿糸値上げにつきましては、こうした価格になるというただいまの水野課長からの説明もあり、また前に当委員会通産省綿業課長説明にもこの問題があつたのであります。しかもそのときにおいて、内需用の綿に対しては五万五千梱あつたならば十分である、それが確保でき得る予定でおるという説明があつたのでありますが、新聞に出ておるところから行きますと、内需用として五万梱が確保されたという発表があつたのであります。現在は三万五千梱とかということであつて、大体において五万五千という必要の数量であり、五万梱が確保されたということであれば、もはや綿糸に対する従来のごとき需給調整意味からの割当などということは用をなさぬことだろうと思うのであります。これがために生産業者は幾多の煩わしい手続を経て、しかも十分に買い得ることができなくて今日悩んでおるのであります。この統制がどこまでも需給調整の線で行つても、行く先がどこにあるかということが、われわれの議論をしておるところであります。これに対して農林当局水産庁は、何のためにこの需給調整をして行かなければならないかというところに、私どもは疑問を持つものであります。もしこの需給調整がなかつたならば、綿糸の五万梱に対する買付方法も、金融ができ得ることであろうとわれわれは考えるのであります。しからばこれに対して、製網業者はその金融によつて綿糸を買い入れて、従来のごときどこにはどのような綱が必要であるか、どういう時期にはどういう網が必要であるかということは、長い間の体験と漁業実態を考えて、その網を製造し得ることができるのである、これが戦争以前の綿網状態であつて、こうした方法に持つて行かなければならないのでないかということを、たびたびの委員会において繰返しておるのであります。それを需給調整の線に向つてどこまでも進んで行かなければならないというその議論が、私どもはわからないのでありまして、もしその議論が、正確にわれわれの納得でき得ることがありましたならば、水産庁として御説明を願いたいと思うのであります。
  7. 水野榮

    水野説明員 ただいまの松田委員の御説明、私どもももつともと思うのであります。現在われわれが稼働船につきまして、綿漁網用といたしましていろいろの綿糸数量的に計算いたしてみますと、やはり二千万ポンドから二千六百万ポンドあれば、大体のところ足りると思うのであります。これが先ほどお話にありましたように、毎月三万七千五百梱から五万五千梱にふえて行くということになれば、相当漁網の方にまわる数量はふえると思うのでありますが、われわれとして、まだ若干ここで不安を持つておるのであります。というのは、四月から五万五千梱にふえるのでありますけれども、安本ないしは繊維局は、まだ内需用綿花なり綿糸につきまして、配給統制を続けて行くということを言つておるのであります。その配給統制を続けて行くという裏に、その部門々々に充てられるところの綿花なり綿糸が、まだ十分に手当がつかないであろうという、若干の懸念があるのじやないかということが予想されるのでありまして、そういうことから行きますと、漁網用に割当られた綿糸が、はたして漁網なり漁業用綿糸に行くかどうかという点が、われわれとしてはまだ疑問があるわけであります。そういう意味から行きまして、大勢がみな統制撤廃の方向に向つております。たとえば綿織物にしましても、メリヤス生地にしましても、統制撤廃の機運に向つておりますので、われわれはこの大勢に抗することはできないと思いますが、漁網特殊性漁網が特に採算からいつても非常によろしくないということから行きますと、もう一期か二期かは経過を見た方がいいのじやないか、はずすにももう少し時期を見た方がいいのじやないかというふうな気がただいましておるわけであります。
  8. 松田鐵藏

    松田委員 先ほどの説明にもあつたように、輸出綿布価格基準にしなければならない。ゆえにこれだけの値上りをするのであるという説明があつた。現在国内に売られておる綿織物輸出されておるものの価格というものは、相当に幅があつて輸出の方が高いのであります。その輸出価格に適応するようにということで、国内の綿の価格を上げて行くことによつて国内における綿製品というものも、一切が輸出価格と同じコースをたどることだと私は考えるのであります。そこで今水野課長のおもんぱかつておるところの唯一理由は、製網業者採算がとれないから、これに対して相当考えて行かなければならないという親心の親切な気持はよくわかる。それを調整する方法は、金融業者に与えることによつて、何もかもわれわれの心配というものがなくなることだろうと考えるのであります。要するに、金融が円滑でないがために、現金を持つて行かなければ糸を渡してもらえない。そこに非常なる金利の高いことと、また金融の梗塞によつて製網業者が苦しんでおるという実態で、よく陳情も受け、また実態についてもわれわれ知つておるのであります。ゆえにこれに対して相当融資をすることによつて、初めて漁網というものに対しても、ある程度までの利潤で、まじめな昔からの業者はやろうとしておるのであります。ただ戦後において漁網用綿糸が安かつたために、インチキなる業者もできて、今日においてもまだ二百軒なり三百軒なりの許可を持つておる業者がある。こうしたものが、現在までにおいては安い漁網用のわくの中からこれをやみ買いして、そうして自己の利益をはかつてつたが、輸出価格国内消費価格が同一になることによつて、もはややみ買いする必要もなくなつた、われわれはそう考えられるのであります、ただまじめなる漁網業者に対して——そういう業者はその営業をやめようたつてやめられるものではない、それらに対して選んで金融をして、政府が援助してやることによつて、初めて生産者も非常なる恩恵をこうむる。三箇月も四箇月もたたなければ網が手に入らないというのが現実の姿である。これらを是正することが最も水産委員会としての重要な役割だと、われわれは考えておるがゆえに、需給調整の煩わしい方法を一刻も早くやめて、金融の道を講じてやるのが、水産庁農林省方針でなければならない、政策でなければならないと私どもは考える。またこの金融の問題についても、当委員会としても相当に努力をして、見通しがついておるはずであります。それにもかかわらず、需給調整をどこまでもやらなければならないというところに、われわれは納得のでき得ない点がある。どうしてかような納得のできないことをやつて行くのか、その御趣旨がわからない。旭冷蔵の問題もここに納得のできない問題がある。われわれは今日水産庁行政の面に対しては、まつた疑惑の目をもつて進まなければならない実態に入つておることを、私は非常に遺憾に思う。
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 御答弁ありますか。
  10. 松田鐵藏

    松田委員 答弁はなくてもいい。
  11. 田口長治郎

    田口委員 三月二十九日決定と思うのでございますが、原糸が十四万四千九百円、約七割値上げ、この数字につきましては、われわれはもう少し具体的に、綿花がこの程度上つた単価がどういう状態であるというように、少くとも今日水産関係資材問題につきまして——石油問題については業者その他におきまして、相当詳細な基礎をつくつて原価計算をやつておる。それに対しまして、この綿糸関係につきましては、ほんとうのアウト・ラインだけで非常に大きな値上りをうのみしなければならぬ、こういう事情にあるようでございまして、まず第一に、私は水産庁といたしまして、かくのごとき数字のよつて来る基礎をもう少し深く研究していただきたい、こういうことを希望するものであります。大体におきまして、世界物価その他の関係からして、相当値上りになるということは、これはやむを得ないと思うのでございますが、一面漁業経済資材値上りということを考えてみますと、いかにいたしましても今の資材値上りでは、あらゆる漁業経営ができないようになります。結局国際物価につながつおる品物は、天井知らずにどんどん上る、しかるに国内消費に充てられる、いわゆる国際物価につながつていない品物値上りがない、そこに非常にはさみ状の形をつくる。この問題はどこまで行きましても何か——自由取引関係もありますけれども補給金かあるいは助成金か、そういうような制度をつくらなければ割切れない問題と考えるのでございます。通産省におきましては、燐鉱石その他につきまして、補給金問題を今盛んに研究しておるように聞いておるのでございますが、この漁業用資材関係につきまして、農林省あるいは水産庁におきまして、補給金あるいは助成金というような、そういう形のものを現在研究しておられますかどうか。またそういう方面の必要を認めておられますかどうか、その点を、ちようど政務次官もおいでになつておりますので、政務次官にお伺いしたいと存ずるのであります。
  12. 島村軍次

    島村政府委員 各種の資材値上りが、最近非常に産業全体に影響しておることは、われわれも非常に遺憾に思うのであります。特に綿糸の問題は、最近朝鮮動乱以来かくのごとき情勢になりましたことは、いろいろの事情もあつたと思いますが、特に水産業に対してこれが非常に影響のあることに対しましてはお話通りで、これは水産業実態に即して考えるべき筋合いのものだと思うのであります。ただお話補給金等の問題は、他の産業との関係がありまして、燐鉱石のような、原料がすぐ過燐酸石灰になるというものについては、補給金の問題が考えられているようでありますが、他の物資については、ほかとの関係でなかなか困難な事情にあるのではないかと思うのであります。要するに価格政策及び補給金政策については、物の量を確保することにわれわれは特に今後も努めたいと思うのでありまして、補給金を今ただちに出す問題については、研究は進めていない情勢であります。
  13. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの次官の答弁によりまして、補給金支出については研究していないということでございますが、現在の水産業実態から申しまして、これをいかにしてバランスを合せるかということを考えますと、結局魚価を何とかして値上げをする政策を講ずるか、あるいは生産費を低減する方策を講ずるか、どつちかでなければ、今の状態においては、あらゆるしわを原始産業が一手に引受けなければならぬというようなことで、原始産業が成立しないような状態に漸次なりつつあるのであります。魚価をつり上げるという問題は、なかなか言うべくして急に行われる問題でありません。この急に行われない政策の実現するまで、業態が持てるかどうかということが非常な問題でございまして、われわれ常識的に考えますと、業態はそれまで持てない部分が非常に多いと考えるのでありますから、結局この生産費を低減させるという問題に何とかメスを入れなければ、救済の方法がないと考えるのでございます。業者といたしましても、いろいろこの問題については研究をしておりますけれども業者だけではいかにしても割切れない部分が非常にあるというような点からいたしまして、これは自由党の政策関係もありますけれども、時勢がここまで参つたのでございますから、補給金という名称が悪ければ、助成金あるいは補助金というような名義にいたしましても、この漁業用生産費低下ということにつきまして、資材を安く供給する——漁業をつぶしてしまいましては、国民食糧の点から言つて、国家としても非常に困るのでありますから、何とか仕事を継続させる方法を講じなければならぬ。こういうような意味において、数量の確保だけでは、今日ではどうしても追いつかないのであります。少くとも単価の問題に触れて漁業経済を一つ一つ計算してみましても、その点ははつきりするのでございますが、量だけではどうしても割切れないのでございます。政府といたしましては、ほんとう漁業経済を収支償わせる意味におきまして、資材に対して補助金助成金か、何かそういうような道を講じなければ、今日のあらゆる漁業が破壊に陥つてしまう、こういうはつきりした認識のもとに、真剣にこの問題に取組んで御研究になるように、切に私はその点を要望いたす次第でございます。
  14. 松田鐵藏

    松田委員 一昨日の小委員会における水産庁の御答弁が、旭冷蔵株式会社に対しての事柄に対してあまりに不誠意である。かような点から、本日は当委員会において水産庁長官不信任案を出そうとわれわれは考えたのでありますが、某氏より特に今日そういうことはしてもらいたくないという意見があつたので、その成行きを注視しつつ、今日はかようなところに議論を進めて行かないことに私どもは申し合せたのであります。しかし本日われわれに配付された書面を見ますときにおいて、われわれは水産庁行動に対して非常な疑惑と不満を持つておるものであります。また二十七日の委員会における水産庁長官の御答弁の中に、この問題は関係方面からの強い要望もあつた声がかりもあつたということを言われて、そのあとに、それもあるが、われわれの態度においてということを言われているのであります。また私からの要望に対して、この問題の閣議提出を阻止するというような考え方を持つていないという言明をされたのであります。その問題と、きようここに配付された書面内容を見るときにおいて、この幽霊会社に対する融資方針閣議に対して申請をした点に対しては、水産庁は少しも間違つているなどということは考えていないように見受けられるのであります。この問題は二十七日の閣議において保留、取消しとかになつたということを委員長から聞かされて、われわれもほつとしたものでありますが、この書類をわれわれに出されるときにおいて、なお以上にわれわれは忿懣やる方のないものがあります。なぜなれば、旭冷蔵株式会社というものが、三月七日に水産庁長官にあてて名義変更を願い出て、三月十四日に許可を得た次第でありますと書いておる。しかも大蔵省日銀打合せの際に、他に前例があるから、見返り資金に対しては貸出しするまでに会社を設立すればさしつかえない。なるべく早く設立した方がよいとの御意見でありましたので、準備を急に進めて十七日に発起人会を開き、すでに現実の払込みも完了しておるので、二十九日に創立総会を開き、手続もでき得れば即日登記完了する方針でありました。かような書面がわれわれのところに配付されたのであります。まずこの点に対しては、十七日に発起人会が開かれたのであります。三月七日には、水産庁長官に対して、あたかも発起人会を開いた書類によつて名義変更手続を完了したとある。発起人会が開かれて初めて、この会社をつくるか、つくらないかということが発起人会意見によつてきまるものである。それを十七日に発起人会を開いておるのに対して、三月の七日に水産庁長官に対して名義変更をしたのであるということをはつきり書いておる。十四日に許可を得たものであるということが書いてある。こうした矛盾もはなはだしい書類を、どのような考え方から本日私どもの手元に配付されたか。われわれは先日の委員会において、この問題のけりをつけようとしてつけたものである。但しもつと水産庁として責任ある何らかの方法に出ることだろうということで、小委員会を開いたのであるが、その小委員会に対してはあのような状態で、今日当委員会に対しては、ことさらかような書類を配付されて、またこの問題をむしかえすがごとき行動に出たことに対しては、私は非常に遺憾の意を持つておる。また誤りを繰返しておる。ああした問題が惹起されたならば、水産庁は当然三十日の閣議に対して、自己の非を認めたならば——関係方面の強い要望があつたかは存じません。しかし日本の最高の機関たる閣議に対して、自己の責任において大蔵省を通じてこれを阻止しなければならないものである。それをも阻止しなかつた。しかも本日こういう書類をわれわれに配付されたということに対しては、まことに遺憾であり、この問題をまたまた紛糾させることにしてしまつたことを私は本委員会に述べて、五月からの国会の問題としなければならないはめに陥れられたことを、非常に残念に思うものであります。
  15. 永田節

    永田委員 私は本日の委員会においては内閣総理大臣、並びに担当廣川農林大臣大蔵大臣出席を求めたのでありますが、御出席がない理由説明してもらいたい。
  16. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいま永田委員からのお尋ねがございましたが、永田委員からの御要請のあつた日の休憩後の再開の委員会におきまして、本委員会においてはこの問題に関する質疑を打切ることに結末がつけてありますので、今日来ていただくような手続はいたしておりません。
  17. 永田節

    永田委員 旭冷蔵不正融資の問題は、順を追つて御質問いたしますが、まず見返り資金放出の条件といたしまして、五十数社という多数の会社から申請されており、その申請されておるところの書類内容というものは、まず冷蔵施設として見るならば、いろいろな条件水産庁調査をしなければならないのであつて、他の会社にありましては慎重に調査が進められて、この旭冷蔵限つてのみ愼重なる調査が行われていないと思われる節が多々ある。そこでこの見返り資金融資というものは、二箇年すえ置きの、七箇年年賦、いわば九箇年年賦ということになつて参りますので、十二分に活用すれば確かに水産界の飛躍であるということが期待されるのでありますが、誤つた場合にはたいへんな問題が起つて来る。第二の復金事件が起つて来るのであります。その条件といたしまして、調査しなければならない事項としては、まず旭冷蔵には敷地がある。敷地があつたとしたならば、どういう設計が施されるのであるか、しこうして工事金は幾万になるのであるか、かような調査も十二分に遂げられておることと思うのでありますが、一応御説明を承りたいと思います。
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員にお諮り申し上げます。本日は石油に関する問題について政府当局者を呼び出しておりますし、ただいまの御質疑は、一応二十八日の委員会で打切りにいたしておりますから、近い機会にやるとして今日のところはひとつお考えおきを願いたいと思います。
  19. 永田節

    永田委員 もちろん委員長の御意向も尊重いたしますが、今日この旭冷蔵不正融資の問題は、おそらく天下の人心をして首肯せしめなければならない重要な問題であると思う。他の問題に先がけて、まずこの内容をこの機会において明瞭にしておく必要がある、かように思つて私は緊急質問をするのであります。他の質疑事項は一応延期しても、この事件だけは徹宵しても解決しなければならないお互いに重大なる責任を痛感するものであります。従いまして、私の今の質問には、どうでもこうでも答えてもらいたい。
  20. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員の御意見は尊重いたします。しかし先ほど小委員会を一度やりまして、この問題を次会にまたやることにいたしてありますので、御一考を求めたのであります。
  21. 田口長治郎

    田口委員 この問題につきましては、小委員会としていろいろ調査をしておりまして、大体形式的の問題はおおよそつかめたと思うのでございますけれども、精神的の問題がどうしてもはつきりいたしません。従つて私は次の小委員会あるいは委員会におきまして、当事者であります旭冷蔵工業の発起人を参考人として呼びまして、その実際関係した、物心ともにわかつておる発起人から、詳細に考えなり今までのやり方なりということをつつ込んで聞いてみたいと思うのでございますから、この次の委員会旭冷蔵工業の、発起人を参考人として呼ばれる、こういうことを動議として提出したいと考えるのであります。
  22. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員にお諮り申し上げます。今の田口君からの御意見に御賛成願いたいと思いますが、いかがですか。(「できません」と呼ぶ者あり)発起人総代であり、現在の社長である桶口氏を参考人としておいでを願つて御尋ねをいたしたいと思います。
  23. 石原圓吉

    石原(圓)委員 永田委員の質問をするという点には全面的に賛成であります。委員長は本日の委員会は綿、油等の関係の問題を主とした。これも了とせなければならぬと思うのであります。従つてあるいは今日の午後でも継続委員会でも、また明日日曜でも、そのことのみに委員会を開いて、そうして十分質疑応答することには賛成であります。但しさしあたり田口君の御意見には私は全面的に賛成であります。なぜならば全国にかなり多くの見返り資金を持つて高度の利用というものの融資の申出は、零細なる漁民から多数の申出があるのであります。それとこの旭会社との重要性の比較対照ということは、われわれとして非常に重大に認識をせなければならぬ問題であります。よつてこの際まずわれわれが審議する上から、田口君の動議に賛成であります。すみやかに実行あらんことを希望するものであります。
  24. 松田鐵藏

    松田委員 私は旭冷蔵株式会社に対して、融資をするということに対しては、何ら問題はないのであります。しかしこれに対する水産庁手続の上において問題が惹起されておるのであります。この点を政治問題化されておる今日において、これをどのような方法によつて処理するかというのが重大な問題である。将来の見返り資金に対する要望に対しては、ただいま申されるように、石原委員田口委員の御発言に対しては私も賛成するものでありますが、これは将来に対するいろいろ各地から出ておるこの見返り資金融資の点に対し、重大なる意味を有することであつて、またこれも当然なことと思うのでありますが、問題は旭冷蔵株式会社個人の問題でなく、本日私の発言した問題は、この手続の点に対して、水産庁に対する私の警告であり、なぜこういうことになつたかということなのであります。政治問題化されておることを私は言つておるのであつて、この点に対する永田委員の発言に対しては、委員長はこれを阻止する何ものもないであろうという見解を持つものであります。
  25. 永田節

    永田委員 松田委員の御発言に関連しておるのでありますが、議事の運営上私の質疑には應答ができないというふうなおとりはからいのように承りますが、議事の運営というものは、もちろんあなたが私の発言を封ずる権利もありませんし、私の質疑には係の者は当然答えなければならない義務もあるし、さらに私が本日緊急質問をいたしますところのゆえんは、このたびの幽霊会社に対する不正融資というものがかりに行われてもけつこうなんです。ただ私の憂うる問題は、日本の法律をどういうふうに適用されておるのか、守つておられるのか、守つておらないのか、犯しておるのか、いわゆる官庁の法的処置をこの際十二分に究明しておく必要がある。この必要を痛感し、この問題を解決するにあらずんば、余事にわたることは無益であろうと思う。従いまして私はただいま御質問申し上げましたことについて愼重なる答弁を求める次第であります。
  26. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員にお諮り申し上げますが、御質問の趣旨はよく了承いたしました。従つて午後続行して答弁を求めることにいたします。今幸いに物価庁第三部長が臨席せられましたから一応石油の問題に議事を進めることに御同意を願いたいと思います。
  27. 永田節

    永田委員 もちろん石油関係のお役人方もこの質疑応答を聞きたいだろうと思う。どうです、ついでだからこれをやりましよう。
  28. 冨永格五郎

    冨永委員長 永田委員にお諮り申し上げます。午後続行いたしまして御要請の通り質疑することにいたしたいと思いますから、議事の進行上御了承を願います。ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  29. 冨永格五郎

    冨永委員長 速記を始めて……。  暫時休憩をいたします。午後会議を続行いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後六時十六分開議
  30. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより再開いたします。  漁船保険法の一部を改正する法律案が、ただいま付託になりましたので、これを日程に追加して審査したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松田鐵藏

    松田委員長代理 御異議なしと認めまして、これより漁船保険法の一部を改正する法律案を議題として審査いたします。  まず提案者より提案理由説明を願います。入交太藏君。
  32. 入交太藏

    ○入交参議院議員 漁船保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。  近年頻発する漁船の捕獲、拿捕、抑留の事故は、わが国の置かれております特殊な国際的環境によるものでありまして、これによつて業者が受ける精神上並びに経済上の打撃はまことに深刻なものがあるのであります。  漁船の拿捕事件は、昭和二十年の韓国によるものを初めとし、引続き同国、ソ連、中国および中共により年々増加を見ているのでありまして、本年二月末日までの累計は実に二百三十七隻、内、抑留、未帰還のもの百十二隻に上つております。ことに昨年末、上海水産公司の手によつて送還された拿捕漁船乗組員五十数名の言明によりますと、中共側はマッカーサーラインの存在を否定しておるばかりでなく東支那海全体を中国の領海であると宣言しているありさまでありまして、漁業関係者に非常な衝動を与えるとともに、またこれを契機として、この種の事故はさらに頻発する趨勢を示しているのであります。これがために、関係業者の不安は申すまでもなく、関係金融機関にまでその不安が波及し、特に東支那海を漁場とする以西底びき網漁業はもちろん、千島、樺太に面する北海道各種漁業は前途まことに暗澹たるものがあるのであります。この窮状を打開することはもとより関係業者の熱望するところでありまして、先般参議院においても外務、水産連合委員会を開き、証人を喚問し、詳細に実情を聴取した結果、政府において至急これが対策を講じることを強く要望した次第であります。政府においては、それに基いて過日連合軍総司令部に対し切実な懇請を行つたのでありますが、一方漁業経営上の不安を除去するためには、とりあえず国の再保険を建前とする漁船保険法を改正し、この種の危険を保険する道を開く必要がありますので、同法に対し次の改正を行わんとするものであります。すなわち (一)現行の漁船保険制度におきましては、前に述べましたような漁船の拿捕、抑留による損害を填補する道が開かれていませんので、今回の改正によつて、新たにその道を開くことにいたしたのであります。但しこの場合においても法令に違反して航行または操業した場合には損害を填補しない建前をとつております。 (二)組合員は保険の目的たる漁船が拿捕、抑留せられ三十日間解放されないときは、これを組合に委付して保険金額の全部を請求することができることにしております。  以上がその大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられますようお願いする次第であります。
  33. 松田鐵藏

    松田委員長代理 質疑を許します。小高君。
  34. 小高熹郎

    ○小高委員 本案に対しましては別に問題もありませんので、質疑及び討論を省略し、ただちに採決せられんことを望みます。
  35. 松田鐵藏

    松田委員長代理 ただいまの小高君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松田鐵藏

    松田委員長代理 御異議なしと認めまして、本案に対する質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決いたします。  本案に対し原案の通り可決するに異議なき方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  37. 松田鐵藏

    松田委員長代理 起立総員、よつて本案は原案通り可決せられました。  なお本案に対する報告書作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松田鐵藏

    松田委員長代理 異議なきものと認めまして、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十三分散会      ————◇—————     〔参照〕  漁船保険法の一部を改正する法律案  (参議院提出)に関する報告書     〔都合により別冊附録に掲載〕