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1951-03-24 第10回国会 衆議院 水産委員会 第24号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十四日(土曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 松田 鐵藏君    理事 二階堂 進君 理事 林  好次君       石原 圓吉君    小高 熹郎君       田口長治郎君    田渕 光一君       永田  節君    平井 義一君       小松 勇次君    井之口政雄君  委員外出席者         参議院議員   秋山俊一郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保險課長) 伊藤  茂君         参  考  人         (東京都水産物         卸売人協会長) 寺田 省一君         参  考  人         (東京中央卸         売市場長)   中島 儀平君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君 三月二十三日  委員井之口政雄辞任につき、その補欠として  苅田アサノ君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員苅田アサノ辞任につき、その補欠として  井之口政雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業法等の一部を改正する法律案永田節君提  出、衆法第一四号)  漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律  案(平井義一提出衆法第二〇号)  漁船法の一部を改正する法律案秋山俊一郎君  外三名提出参法第一二号)(予)  中央卸売市場機構に関する件  漁船保險に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開会いたします。  漁業法等の一部を改正する法律案議題といたします。まず提出者より提案理由説明を願います。永田節君。
  3. 永田節

    永田委員 昨年三月十四日施行をみた新漁業法においては、漁民による漁業秩序の再建を意図し、旧法に基き免許された漁業権の再編成を行うとともに、許可漁業についても、それぞれ漁業民主化という見地から再検討を加えることとしたのであるが、このいわゆる漁業制度改革は、現在断々固として進行の過程にあります。ところで今ここに新漁業法について一部改正を行う法律案提案するゆえんのものは、この一年間における実績に基き、制度改革をより円滑に実施するためにほかならないのであります。以下法律案において取上げました重要事項について説明申し上げます。  さて、この改正案は、漁業法漁業法施行法、両法の一部をそれぞれ改正する内容になつておりますが、まず漁業法関係について説明します。  第一は、瀬戸内海におけるます網漁業は、現行法において定置漁業に該当しておりますものについても、すべて共同漁業にいたす法第六条関係改正でございますが、これはまず網漁業経営規模がさして大きなものでないことと、瀬戸内海における該漁業経営は、現在その大部分が輪番制による行使を行つている実情にあります。従いまして、もし身網設置場所が二十七メートルであります網漁業が、定置漁業としての取扱を受けることとなるといたしますと、定置漁業免許優先順位関係で、現在の輪番制による理想的な経営の一角が崩れることにも相なるわけでございまして、この際協同組合のみが免許適格性を持つております共同漁業権内容に組み入れることにより、組合管理のもとに該漁業を輪番経営させることが、最も適切な漁業調整のあり方ではないかと考える次第でございます。  第二は、入漁権享有者協同組合または同連合会に限定することでございます。現行規定によりますと、若干個人入漁権を取得できることを認めている節もあるのでございますが、入漁権対象となりうる漁業権は、組合にのみ免許される共同漁業と、組合が自営しない場合にあつても最優先的に免許が保障されております一部の区画漁業権に限定されております。これは、その漁業実態組合管理のもとに調整されることが最も適切であると考えられるからであつて、こうした内容漁業を入り会つて操業いたす権利である入漁権個人が享有できることは、いささか妥当を欠くものではないかと考えるわけであります。従つて今回第四十二条のこの新しい規定を加えまして、入漁権を取得できるものを、協同組合と同連合会に限定することを明確にいたした次第であります。  第三は、現在漁業取締りに関しては、農林大臣及び知事命令でもつて規定した事項が多々あるわけでございますが、これら省令、規則に定められております懲役、罰金、拘留及び科料の罰則は、互いに併科できるようになつておりますが、この点漁業法自体命令への委任の内容が不分明でございますので、この際明確にいたしたのが第六十五条第三項の改正であります。  第四は、小型底びき網漁業関係でございますが、この漁業は、現在機船底びき網漁業取締規則第二十六条の二によつて規律され、以東底びき網漁業とは取扱いを異にし、知事許可にゆだねられております。ところでこの小型底びきは、戰時戦後を通じ、わが国の食糧危機の緩和にすこぶる貢献いたした漁業であつたのでありますが、その漁業能率のよいことと、沿岸至るところで操業され、あまつさえ法規律の紊乱は、現在沿岸漁業秩序維持にゆゆしき事態を惹起している現況にあります。これが進行中の漁業制度改革に与える影響は、いまや看過できない段階に達しているものと考えられます。今回法律改正する機会に、この漁業の処理についての方針を確立し制度改革をさらに強力に推進する法的根拠規定いたしたいものと考え、新しく第六十六条の二の規定を制定するものであります。  第五は、有毒物を使用して水産動植物を採捕する禁止の一部解除の点でございますが、これは現在内水面漁業にかかる免許の際に要する増殖、養殖の基準作成する必要に迫られているわけでございまして、その際局部的に増殖実績について悉皆調査をする必要があるため、この場合には例外的に有毒物使用を認めようとするものでありまして、第六十九条に法律案通り但書を加えた次第であります。  第六は、第七十八条から第八十条までの免許料許可料徴収に関する一連の改正でありますが、これは昨年第七国会におきまして、国税徴収法の一部改正が行われた際、当然に改正する必要があつた事項でありますが、実際にはこれらの規定がいまだ適用の段階になかつたため、今日までそのままになつていたのを、今回正確な内容改正いたしたものであります。内容はまつたく従前通りでございます。  第七は、第八十九条の改正でございますが、これは海区漁業調整委員会委員選挙人名簿調整期日を、現行の二月一日から九月十五日に改めまして、公職選挙法による名簿調製期日を一致させ、事務簡捷化をはかつた次第であります。  第八は、第九十四条及び第九十七条関係改正でございますが、これは昨年第七国会において成立制定された公職選挙法に関連いたしまして、これらの規定が大幅に修正されたのでありますが、若干法律的に不備な点がありますので、法案通り改正いたすものであります。  第九は、漁業法規定によりますと、知事が具体的に漁業調整につき処分を行うに際し、多くの場合、海区漁業調整委員会意見を聞くことを要件といたしておるのでありますが、委員会が解散されるとか、委員が不足したために委員会が成立し得ないことがあるわけでありまして、そうした場合、可及的すみやかに補欠選挙を執行いたしますことは当然の理としましても、なお不測の緊急を要する事態が予想され、そうした際委員会意見を聞かずして知事が措置できるよう第百四条の二の規定を新しく制定いたしたいと考えるのであります。  第十は内水面漁場管理委員会都道府県の議会の議員の兼職の禁止をいたす点でございますが、これはこの委員会が海区漁業調整委員会と大体同一の法的性格を持つものであることから、海区漁業調整委員会と同様の取扱いをいたすのが当然と考えられますので、第百三十二条をしかるべく改正いたした次第であります。  以上が漁業法関係改正点の概要でありますが、漁業法施行法関係といたしましては次の二点でございます。  第一点は、旧漁業法に基く漁業権消滅時期を指定する手続についてでございますが、現行法によりますと、政令によりまして一括地区ごと漁業権ごと指定を考えているのでありますが、漁業法によつて現在樹立されております。漁場計画進行状況を考えまするに、画一的に消滅時期を指定いたすことは、いささか困難の模様であります。従いまして、この際漁場計画作成により、密接な位置にある知事をして指定事務を行わせることがより適切だと考え、第一条第二項をしかるべく改正いたしました。  第二点としまして補償事務開始の時期でありますが、現行規定からみますと、漁業権消滅後に手続が開始されるようになつておるのでありますが、漁業権補償が、むしろ沿岸沖合漁業協同化のための生産資金に活用される希望がすこぶる多く、かつまた、かくすることが制度改革をして有終の美を全うさせるゆえんでもありますので、できる限り早く補償額を確定し、証券交付時期を繰上げることが望ましく考えます。第十条第五項を法案の如く改正いたしますのは、如上の意味からでございまして、権利消滅前にも補償計画手続を開始し得るよう、措置したわけであります。  以上が本法案提出いたす事由でございますが、愼重審議の上、賛同あらんことをお願いする次第であります。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 本案に対する質疑次会よりいたします。     —————————————
  5. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁船法の一部を改正する法律案議題といたします。提出者より提案理由説明を求めます。参議院議員秋山俊一郎君。
  6. 秋山俊一郎

    秋山参議院議員 漁船法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。  漁船法は、第七回国会において、衆議院の当水産委員会の発議によつて成立し、昭和二十五年五月十三日、法律第百七十八号をもつて公布、同年八月十二日施行になりましたが、その後の運用の実績に徴しまして、所要改正を施そうとするものであります。  まず第一点は、漁船建造等工事完成後に認定を行うことにいたしたことであります。現行法によりますと、漁船建造及び改造の許可には、漁業種類総トン数その他各種の許可要件条件となりますが、既往の実績によりますと、必ずしもでき上つた漁船がこれらの条件に合致していない場合がございます。しかしこの許可要件が巖守せられますことは、合計総トン数最高限度性能基準を確保して、漁業調整及び取締りの完全を期しますために、ぜひとも必要なことでありますので、このたび新たに規定を設けまして、この種の違反の絶滅を期そうとするのであります。これによつて、現在各方面から要望されております漁業取締りの強化も、僅少の経費をもつて十分の効果をあげられることが期待できるものと信じます。  第二点は、登録票検認制度を設けたことであります。漁船登録された後、その登録事項変更を生じましたときには、変更登録をしなければなりませんが、その申請を怠り、または故意にしない者が多いために、漁船原簿に現われたものと漁船実態とがとかく遊離しがちでありましたので、これを確実に合致させる必要から、新たに都道府県知事に三年ごと登録漁船登録票について検認を行わしめることにいたしたのでございます。  第三点は、登録手数料都道府県收入とすることにいたしたことであります。従来登録手数料は国の收入といたしまして、実務を取扱う都道府県には平衡交付金によつて還元していたのでありますが、地方財政の確保の見地から、直接都道府県收入とすることに改め、かつ検認制度の創設に伴いまして、その手数料をも徴収できることにいたしたのであります。  以上三点が改正点の主要なものでありますが、その他現行法において建造等許可基準の箇所の中に含めて規定されております合計総トン数最高限度及び性能基準の設定について、新たに一条を設けて別個に規定することにいたし、建造等許可基準から造船所及び機関製作所技術的能力資金調達能力に関する規定を削除しまして、民間の自由意思にまかせることにいたしましたほか、法文について所要の整理を施したのであります。  以上がこの法律案の大要でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 本案に対する質疑次会よりいたします。     —————————————
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案議題といたしまして、提案者より提案理由説明を願います。平井義一君。
  9. 平井義一

    平井委員 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を簡単に御説明申上げます。  この法律案は、各委員も御承知の通り有明海漁業複雑性から見て、この海区を特別海区といたしたいと考えるのであります。有明海においては、長崎県、佐賀県、福岡県、熊本県の四県の間で絶えず紛争がありますので、これを円満に解決し、漁業改革目的を果し、漁業の安定をはかるため、この海区に漁業調整事務局連合海漁業調整委員会を常置して、漁業調整をすることが、有明海十三万漁民の要望でもあり、最善の方法と考えまして、本法律案提出した次第であります。何とぞ御審議を願い、至急御決定くだされんことをお願いいたしたいと思います。
  10. 永田節

    永田委員 本案につきましては、別に質疑もないようでありますから、質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決せられんことを望みます。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの永田節君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、本案に対する質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決いたします。  本案について原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  13. 冨永格五郎

    冨永委員長 起立総員。よつて本案原案通り議決すべきものと決しました。  なお本案に対する報告書作成等に関しましては、委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に漁船保險の問題について政府より説明を求めます。
  16. 伊藤茂

    伊藤説明員 漁船保險の問題について御説明申し上げます。  ただいまの漁船保險制度のもとにおきましては、拿捕抑留の事故につきまして填補の道が開けておりませんので、この情勢に備えますために保險法の一部を改正いたしたいと存じます。要綱によりますれば、特殊保險は、普通現在やつております通り漁船保險組合が特約によつてこれを引受けることといたします。損害の填補におきましては、従来の填補対象のほかに、捕獲拿捕抑留の三項を余分に加える次第であります。保險金額におきましては、特殊保險の金額は普通保險保險価格以内といたしますが、この点につきましては、漁船保險及び保險会社海上保險保險金額を越えない範囲になつております。それから保險料率は一応農林大臣がこれを定めることができる道を開きました。組合員保險目的たる漁船が、捕獲拿捕抑留されまして三十日間解放せられなかつたときは、組合に委付して保險金額の全部を請求することができるようにする。これがために本法の第十七条の二並びに第十八条の二を加えるということがおもな点でございます。
  17. 冨永格五郎

    冨永委員長 本問題に対する質疑を次の機会に譲ります。     —————————————
  18. 冨永格五郎

    冨永委員長 次に中央卸売市場機構の問題について、昨日に引続いて参考人中島儀平君及び寺田省一君に対する質疑を行います。質疑をお許しいたします。——ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  19. 冨永格五郎

    冨永委員長 速記を始めてください。  ただいま委員各位から御希望もありましたように、本日は時間の関係もありますので、参考人に対する質疑次会に譲ります。  次会は二十七日午前十時より開会いたします。  なお船舶職員法案に対する運輸委員会との連合審査会は二十六日月曜日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十二分散会