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山本(豐)
政府委員 国際捕鯨條約の説明をいたしたいと存じます。お手元に簡単な
資料がお配りしてあると思います。この捕鯨條約は御
承知のように、昭和六年にジユネーヴにおきまして一応條約が協定にな
つておるのでありますが、それとは別個に昭和十二年にロンドンにおきまして、英国外八箇国が新たに捕鯨協定を締結したのであります。それを根幹としたものが昭和二十一年に締結を見まして、これが二十三年の十一月十日から実際有効に
なつたわけであります。現在の国際捕鯨條約というものはそれをさしておるわけであります。これらに対しましてわが国といたしましては、昭和十二年の国際協定には代表者の出席方を要請されたのでありますが、これは派遣もしておりませんし、また加入もしなか
つたのであります。翌十三年、十四年の
会議に代表者を初めて派遣いたしました。この際には協定に加入したいという趣旨のもとに加入の旨を
宣言いたしまして、その後国内法規の手続等を進めてお
つたところが、欧洲
戦争が勃発いたしました。ために加入できずに
戦争に
なつたわけであります。
終戦後、昭和二十年の十一月三日に
連合軍最高司令官の覚書によりまして、この本邦の捕鯨
漁業が初めて許可にな
つたのでありまするが、この許可の條件として、右申しました国際捕鯨協定の趣旨に違反しないことを條件として許可に
なつたわけであります。それに基きまして、今日まで毎年船団を二つずつ南方に出しておる次第であります。
現行條約の概要について申しますると、先ほど申しましたようにこの條約は昭和二十年ロンドンで署名の議定書に定められたものに基きまして、二十一年にワシントンで米国外十四箇国によ
つて再び捕鯨條約として締結せられたものであります。この
内容を簡単に申しますると、本文と十八項の附表と最終議定書と、この三つにわかれておるのであります。
まず本文についてでありますが、本文につきましては、この條約の加入国の捕鯨母船でありますとか、あるいは捕鯨船でありますとか、陸上の捕鯨
基地、あるいは捕鯨の行われる全水域にこれの適用があるという、いわゆるこの條約の適用範囲を明確にいたしておるのであります。次にその本文の最も主要な部分を占めまする運用
委員会の問題が規定してあるわけであります。それでこの運用
委員会の構成でありますとか、あるいはまたその効力であり
ますとか、あるいはその
内容等につきまして規定がありまして、次に本文のしまいの方に参りまして、この加入国がどういう義務を負担するかというふうな点の規定があるわけであります。それで本文の最終のところでは、この條約の批准の問題、あるいは効力発生の問題、加入の問題、これらの点を明瞭にいたしておるのであります。
次に附表の問題でありますが、この附表におきまして、加入国の捕鯨母船、あるいは陸上の鯨体処理場に
政府の監督官を配置すること、それからまた條約本文に規定する事項のほかに約十一項くらいのいろいろ制限禁止事項を規定いたしておるのであります。その禁止制限事項は附表をお読みいただけば大体のことはおわかりいただけるものと思うのでありますが、そういうような
内容をなしておるのであります。
次にこの條約に加入の運びになりました経過をこの際簡単に御報告しておこうと思うのでありまするが、二十五年、昨年の十二月十一日に、初めて
外務省から、この條約の加入方につきまして
考慮してもらいたいという
意味の請願を
関係方面に出したわけであります。これと並行いたしまして昭和二十五年の十二月八日に、
外務次官から農林次官あてにこれに加入することについて
意見があるかどうか、こういう相談がありまして、同十一日に異存はないという申入れを農林次官から
外務次官に出しておるのであります。その十一日に
外務省は
関係方面にその
考慮方の請願を出しておるわけでありまして、これらに対する回答として、本年に入りまして一月の十七日によろしいという許可が参
つたのであります。このよろしいというのは、要するに加入文書を作成いたしまして、そうして
アメリカ政府へ伝達のために
司令部へ書類を提出することが許可に
なつたわけであります。これに基きまして本年の二月二十日に閣議で決定になりまして、今後
国会の了解を得まして
アメリカの方に伝達されることに相なると思うのであります。
以上簡単でありまするが捕鯨條約の
内容を御説明申し上げました。