運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-19 第10回国会 衆議院 水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十九日(月曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 冨永格五郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君    理事 松田 鐵藏君       石原 圓吉君    川端 佳夫君       角田 幸吉君    永田  節君       平井 義一君    福田 喜東君       岡田 勢一君    小松 勇次君       井之口政雄君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豐君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 曾根  徹君         專  門  員 杉浦 保吉君         專  門  員 徳久 三種君     ————————————— 本日の会議に付した事件  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号)  漁業経営安定に関する件     —————————————
  2. 冨永格五郎

    冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  水産業協同組合法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず漁業制度に関する小委員長より小委員会における審査経過について御説明願います。川端委員
  3. 川端佳夫

    川端委員 ただいま議題になりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして漁業制度小委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  御承知のごとく、この法案は一月二十九日に水産委員会に付託に相なりまして、二月一日島村政務次官より提案理由説明を聽取し、一日、三日、六日の三日間に本委員会審査をなさつたわけでありますが、その後二月六日漁業制度小委員会にこれが移されました。引続きまして詳細にわたりまして二月八日及び十六日の両日間に、さらにこれを検討いたしたのであります。その間にこの法案は、いずれにいたしましても組合の経営に最大の負担となつております負債の金利についての補給を行うということを目途といたしまして今、農業協同組合並びに水産業協同組合再建整備法考えられ、近くこれが具体化して行こうということになつているのでありますから、こういう再建整備法利子補給を行つて行くというような建前からいたしまして、協同組合経理関係の帳簿の検査等は、どうしても必然的に行われることが妥当であろうということ、並びにこの協同組合の指導、こういう面をもう少し強化して行かなければならない。従つてこの改正案は妥当なものであるというようなことから、小委員会におきましては、この案の通り決定することに意見がまとまつた次第であります。  なおこの検査を所期の目的のごとく実施するためには、予算並びに人員が必要であるが、これが実現のために、政府は万全の努力をしてもらわなければならないというような強い御意見もあつたことをつけ加えまして、御報告を終ります。
  4. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの御説明に対して、他に御意見のある方はありませんか。——それでは石原委員
  5. 石原圓吉

    石原(圓)委員 本案に対しましては、しばしば質疑を重ね、なお川端委員長より詳細な御説明もあつたのでありまして、もはやその論議は盡きておると思います。よつて質疑を打切り、討論を省略してただちに採決せられんことを望みます。
  6. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの石原君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、本案に対する質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決いたします。  本案について、原案の通り可決するに御賛成の諸君の御起立を願いまする     〔賛成者起立
  8. 冨永格五郎

    冨永委員長 起立多数。よつて本案は、原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に対する報告書等の作成に関しましては、委員長に一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 冨永格五郎

    冨永委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。     —————————————
  10. 石原圓吉

    石原(圓)委員 ちよつと一言発言のお許しを願います。最近の新聞に、ダレス氏が参つたときに、この漁業関係につきまして、日本政府より東南太平洋に対しては出漁を遠慮するというような申出があつたということがあるのであります。この事実はどうか知りませんが、その内容につきましては、一応官房長官を招致して適当の日にその内容説明を求めることを要望するものであります。
  11. 冨永格五郎

    冨永委員長 ただいまの石原委員からの発言は、石原委員の御希望の通り、とりはからうことにいたじます。
  12. 冨永格五郎

    冨永委員長 それでは松田君。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 水産庁次長にお伺いいたします。近いうちに太平洋沿岸さんま漁漁期の調整を行うというような話が最近あるのであります。現在までの操漁期間は八月の二十五日と記憶しておるのでありますが、内地方面では、これをもつとおそくしなければならないというような議論があり、また北海道方面においては、八月の一日から操業したいというような希望があるように聞いておるのであります。この間に対し、水産庁はどういうお考えを持つておられるか承りたいと存ずるのであります。  この問題に対する私ども調査実態を一応参考までに申し上げておきたいと存じます。御承知のように、さんま回遊魚潮流によつて移動して来るものであつて、それを多量にまた早く漁獲したからといつて、その漁獲に対する影響は全然ないものと考えておるのであります。ただここで内地方面漁期をおそくしろという議論の焦心は、八月はまだ暖かいときであつて、魚が非常に品いたみをする時であるしいうことが一つ理由、もう一つは、南下する魚族北海道でとられるということであれば、南下して行く数量が非常に減るために、内地漁民は非常なる不漁を来すというこの二つ理由によつて、操業の漁期をおそらくしろという意見のようにとられておるのでります。しかし私ども考えは、もし第一点の、暖かいがために魚の品いたみがあり、また市価を非常に減ずるということは杞憂にすぎないと考えておるのであります。なぜならば、日本全国定置漁業は七月をもつてほとんど切り上るのであつて、八月という月は、日本全国において魚の一監不足な時期であるのであります。しかも政府において非常にその政策として力を入れておる、高度利用の立場からいつても、あらゆる冷蔵庫を完備して、しかして漁民魚価維持対策を行わんと、昭和二十五年度からこれに力こぶを入れておるのであつて、また水産庁予算の中にもその予算が盛られておる次第であるのでありまして、こうした事柄からいつても、産地に対する冷蔵庫設備が、将来非常な勢いをもつて建設されることだろうと考えるのであります。こうした一番魚の不足な時期においてこれを漁獲するということは、最も当を得たことでないかと考えられるのであります。戰争中統制経済の盛んであつたころは、八月の夏枯れ時期として、相当の補助まで出して魚を中央に集めた実績もあるのでありまして、かかる時代における八月というのは全国的に魚の一番盛んなときであつて、そのようなときの漁獲に対しては、先ほども申しましたように、あらゆる設備を整え、輸送の潤沢を来したならば、決して市価の暴落ということはないはずである。大体漁民はこれによつて非常に潤うものであると考えておるのであります。  第二点は、南下する魚が途中においてとられるので、南下が著しく不足になるというような議論があるのでありまするが、これはまことに誤つた考え方であつて潮流の変化によつてその年によつて銚子沖まで来ることもあり、また来ないときもあるのでありますが、寒流に乘つて来る魚族であつて潮流そのものに支配されるのである。しかも前年度において相当の豊漁があつたにもかかわらず、その翌年は依然として漁があるということは、漁獲を八月にしたから、十月、十一月に漁獲ができ得ないのだ、不足になるのだという議論は消滅するものであります。かように考えるときにおいて、内地漁民がただ観念的に、北海道でとられれば内地へ来なくなるというような考え方は、われわれとして信じられないことであり、また調査研究もあることであつて、この議論はくつがえされることであると思うのであります。  そこで、こういう問題に対して私はもう一つ考えておることは、最近さばの棒受網から端を発して今日さんま棒受網によつて漁獲されておることであります。太平洋沿岸さんま産卵後のさんまであつて資源維持建前からいつても、日本漁業政策からいつても、これを漁獲することはよいことであると考えておるのでありますが、ただ棒受網によつて漁獲される場合は稚魚濫獲するおそれがある、かように考えられるのであります。ゆえに棒受網というものは、全面的に廃止する考え水産庁は持つておるかどうか。また私どもとしたならば、水産庁としては、棒受網稚魚濫獲する憂いありとしてこれを禁止すべきではなかろうかと考えられるのであります。そうした場合において網の目を流網なり刺網並にして、一寸二分なり一寸二分五厘なり、または一寸一分五厘なりに限定して、成魚を漁獲するということからいつたならば、濫獲または資源枯渇などということは考え得られないことではないか。また八月一日ないしは十日から漁期を再開させることが北海道漁民を救う道である、かように考えるのでありますが、もし私の意見に対して水産庁に具体的なお考えがあつたならばお示しを願いたいと存ずると同時に、こうした問題に対して、私ども意見を十分御参考に供していただきたい。
  14. 山本豐

    山本(豐)政府委員 ただいま松田委員から、さんま資源的関係から見ました考えをいろいろ拝聽したのであります。私もしろうとでありますが、いろいろごもつともなところがあると思います。御承知のように、さんま期間の設定の問題はひとえに資源保護見地から発生したものであると思います。ただそれが従来は長年一つの固定した考え方でもつて安易な方法でやつておつたのを、昨年度からこういう回遊魚でありますし、資源の動きというものは必ずしも毎年同様でないので、一つの新しい調査方法考えつきまして、昨年はその具体的の調査の結果に基いて解漁期をきめたような次第であります。今年もおそらくそういう方向に参ると思うのでありますが、しかしこの漁期を早めるか、あるいは遅らすかという問題につきましては、ただいまのところ、資源関係から見て、早めても大丈夫である、あるいはまたおそめなければならぬというはつきりした結論はまだ出ておらぬのであります。従つて、おそらく今年もそういう机の上の機械的な議論でなしに、その研究はなお一、二年かかると思うのでありますが、具体的な処置としましては、解禁日少し早目現地について、実際に調査した結果によつて期限がきまると思うのでありますが、資源保護見地からしまして、内地の業者が反対しておりますし、松田委員のおあげになりました二つ理由についても、私は大いに傾聽すべき御議論であると思うのであります。しかしこれらの点については、十分な調査研究結論はまだ出しておらぬのが実情でありますので、ここで簡單に結論をお答えすることは差控えたいと思うのでありますが、ただいまお話になりましたような点は十分参考にいたしまして、ひとつ本年の漁期の問題については愼重に扱いたいと思つておるわけであります。  棒受漁業について、これは濫獲一つ原因であるから、流網、あるいは刺網にかえろという御見解も、これも時と場合によりまして、いわゆる資源が非常に急激に減りつつあるという事態でありますれば、これは漁業者の犠牲を押し通してでもやらなければならぬ問題であろうと思いますが、現状におきましては、数量的にはそう激減というか、その心配はないのでありますが、ただ今年あたりの漁を見ておりますと、量的の問題より、質的に、三年生以下のものが非常に多い、五年生程度のものもがほとんど姿を隠したというような実情を耳にしておるのでありまして、これらの原因がどこにあるか、また量的に少くなる遠因であるかどうかということも、よほど考えてかからなければならぬと思うのであります。そういういろいろの根底問題、基礎問題をよくきわめた上で、これらの問題も考えなければならぬと思うのであります。棒受の禁止必ずしも私も反対ではないのでありますが、しかしこれは、漁民に及ぼす影響相当ありまするから、いわゆる資源的に相当押し追つた状況であるかどうかということも、いろいろ判断の材料として考えなければならぬのではないかというふうに考えるわけであります。この問題につきましては、今朝松田委員自身がお見えになりまして、さんまのことに関する会議があるとかいうお話がありまして、あとでわかつたことでありますが、何か水産庁考えつつある方向に対して、北海道さんま漁業者が、この問題についていろいろ陳情に来るらしい話を聞いております。それらの現地の方々の御要望も、大体松田さんの御意見に一致するかと思いますけれども、なおよく拝聽いたしまして、係の方でも十分研究した上で結論を出して行きたいと考えております。
  15. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの次長の御意見は、私の申し上げた意見に対する御答弁としては、非常に要を得た御答弁として私は了承するのであります。その中に、四年生の魚が不足になつて、三年生の魚が量的に多いというお話があつたのでありますが、この四年生がとれるということは、結局その数量においては不足になるのであります。一年を経過するごとに、その他の魚族によつて侵害される数量、または漁民の手によつて漁獲される数量というものが非常に多いのである。三年生が多いということは、結局稚魚が三年になつて産卵した後において初めて漁獲されるのであつて、非常にその数量が多くなることであつて、大漁の前兆であるのであります。これでほんとうに大きな漁獲があるということになるのであつて、四年生が多いからこれが永続するとお考えになることは誤りであり、三年生の産卵後にとられるということで、ちようど適当な漁業実態であると私ども考えておるのであります。ただここにおつて北海道内地両方においての利害関係が、單なる先ほど申したような考え方から行くようなことであつて、もし両方考え方を、誤れる方法によつて調査され、決定されるようなことがあつたならば、将来に対して非常に災いを来すのではないかと考えられるのでありますから、国民の最高の機関である国会の御意見をも十分お聞きとり願つて、そしてこういう問題は科学的に、また調査資料についても、あらゆる問題からこれを検討されて御決定くださることによつて、忌まわしい紛争というものがなくなるのではないかと考えるのであります。これもまた参考までに申し上げておく次第であります。
  16. 冨永格五郎

    冨永委員長 他に御質疑はございませんか。——ないようでありますから、本日はこの程度で散会いたします。次会は二十二日午前十時より開会いたします。なお議題は公報をもつて御通知申し上げます。     午前十一時三十七分散会      ————◇—————