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川村委員 第四点は、北海心全区にただいま試験船を配置して、試験操業をいたさせ、底びき
漁業の資源の調査をするということに相な
つて、それぞれ船の選択にかか
つておるということを承
つております。そこでこの問題については、昨年の十二月の本
委員会であつたと思いますが、私から
指摘されて、十五隻は不正があつたということで取消したという事実があつたのであります。そこで私はその十五隻の試験船が多いとか、試験の目的方法については反対するものではありませんが、その取上げ方についていささか私が疑義を持つ点があり、その疑義を持つた点が私の疑義
通り現われて来たから、ここに
質問をしなければならぬということに相
なつたのであります。そこで私は、もう必ずこれには不正行為があつたと見て、
昭和二十五年の十一月三十日に、衆議院
水産常任委員会水産資源に関する小
委員会小
委員長川村善八郎の名前のもとに、
北海道の
水産部長、それから
北海道の第一管区海上保安本部長、
北海道水産試験場並びに経済調査庁等に回答を求めるべく文書を出したのであります。ところがその回答はここに全部参
つておりますが、
水産庁の
説明したことと、それからさらに各関係官庁からの回答は、おのおの立場は違うけれども、どうも食い違いがあります。ただ食い違いのないのは
水産部長からの回答と、札幌管区経済局査察部長からの回答で、試験船に採用された船から、総計で百八十五万円をと
つてお
つて、そのうち百三十五万円は
水産試験場にやり、それから七万幾らかを專務費として使
つて、四十二万何千円かを
北海道機船底びき網連合会が保管をしておるということだけは一致しておるが、さて試験場から来た回答文には、その百三十五万円を受取つたとも何とも言
つて来ていない。そこに一体
水産庁はどういう
責任を持つか、われわれはただしたいのであります。そこで私は提出した文書を読上げます。
北海道における
機船底びき
漁業資源調査試験船に関する件
標記の件につき別紙漁船(
水産庁の傭船したる底びき
漁業資源試験船)の実体を至急調査する必要がありますので御多忙中御手数とは存じますが左記
事項中貴庁の関係所管
事項を至急御調査の上御
報告願います。
左 記
一、試験船と称して操業している漁船は別紙記載の漁船と相違はありませんか
二、十五隻の試験船は全部試験し従事して居りますか、又は代船を使用しているものもありますか
三、試験船は指示示された試験操業区域で忠実に試験操業に従事しておりますか、又試験操業区域外でも試験操業と称して従事していることはありますか
四、試験船は
機船底びき漁船と操業方法は同しでありますか、又異つた操業方法で試験に従事しておりますか
五、
前項にある異つた操業方法で試験に従事して居るならばその点を詳細に御
報告を願います、
六、試験船は
水産庁より一隻当り何程の傭船料を支給されておりますか又は支給されている傭船料の使途は如何ようにされておりますか
七、試験船はある底びき関係団体等に斡旋料、負担金、手数料又は試験料等の名目で相当額を支拂
つているということでありますが、それは事実でありますか、(若しその事実がありましたら支拂先の団体等の所在地団体及びその代表者又は個人名並びにその
金額及び其使途等)
八、試験船を
水産庁が傭船契約するまでの斡旋等は如何なる機関又は団体又は個人等でありますか
九、以上のことで本
委員会は必要に応じ参考人として召請する場合もありますから直接に調査を担当される
責任者の職種氏名等を御
報告願いますこういう文書を出しましたところが、去る二十五年十二月九日に、
北海道区、
水産研究所長大島幸吉氏から私あてに回答が参りました、その
大要を申し上げますと、
一、漁船は船主及び操業の都合により変更があるので別紙の
通り報告する。但し第二征波丸は本所において傭離し直営を以て資源調査
施行中であるの別紙から除いた。
二、しらとり丸、第八松島丸、幸丸三隻以外は試験に従事している。
但し十二月三日以降は
水産庁長官よりの指令により調査中止中である。
三、試験船は担当者が乘船し忠実に試験操業に従事している。
四、操業方法は同じであるが測深、採泥、海洋観測等を
施行している。
五、なし
六、試験船は
水産庁より傭船料を支給されていない。
七、このことについては詳細判らない。
但し資源調査に要する費用は
北海道区
入会関係業者協議会において負担している。
八、試験船の斡旋、各基地への配船、操業許可申請等は一切
北海道区
入会関係業者協議会において
行つた。
九、この調査は本所沿岸資源部と海洋資源部との共同調査であ
つて調査
責任者は次の
通りである。
沿岸資源部資源科長
技師(兼職)佐藤 榮
海洋資源部長
農林技官 大垣 光平以下別紙がついて来ておりますが、これも
水産庁から出されましたこの調査表とは少し違
つております。一々これを申し上げると時間が長くなりますので、あとで
水産庁に提出いたします。第一回、第二回、第三回と
報告がこうな
つているのが違
つておりますから、これは
水産庁がだまされているのか、あるいはまかせてあつたのか、いろいろただしたいのでありますけれども、時間の関係上この書類を見て本
委員会に書面で回答を願いたいと思います。
それからさらに昨年の十二月二十七日に
水産部長から私あてに来ております。
北海道における
機船底びき
漁業資源調査試験船に関する件
標記の件については
北海道区
水産研究所より詳細御
報告あつた事と思いますので御申越
事項の第七項の点のみ左記の
通り回答致します。
なおこの事についてはさきに
北海道海区
入会関係業者協議会会長渡辺照平名義にて一括許可を受有していたのですが、その後の
水産庁長官の
指導もあり今回
北海道水産試験場の委托操業として実施し経費は道底曳連合会の寄附採納による予算
措置を講ずる事に決定され二十三日の道議会にても可決し目下事務的
処理を取進め中ですから予め御諒承下さい。
記
このことについては、
入会協議会が試験調査協力費として各船より応分の額を徴收し試験場との連繋のもとに協力することとされていましたが、左記の
通り予算
措置により実施することと
なつたことから右既徴收額は一切返還されます。
なおその
内容は次の
通りであります。
收入として第八早取丸二十万円、第一三好丸十五万円、釧路三隻十万円、室蘭三隻七十五万円、第二菊理丸二十万円、稚内三隻四十五万円、計百八十五万円、
支出として調査費百三十五万円、消耗品費、通信費七万六千四百七十円、預り金四十二万三千五百三十円、計八百十五万円。こういう
報告が部長から来ております。
それから札幌の経済局の査察部長からの回答はこうな
つております。
北海道における
機船底びき
漁業資原調査試験船に関する件
十一月三十日付標記について御照会あつた件左記の通回報致します
記
一、左記一乃至五の
事項に関しては、道
水産部長、道試験場長及び第一管区海上保安部長等本照会を発せられた他の所管官庁より回答さるべきものと
考えられます。
ただ別紙十五隻の試験船の外更に一隻を許可申請中(第七神正丸、
根拠地小樽、所有主小樽市中本彦七)であるが
水産庁に於て許可保留にな
つているとのことで
す
二、六乃至八の
事項に関しては次により御諒知されることと存じます
(イ)本資源調査の実施は本州漁船の
北海道入漁に関連して発生したものであるが、所要経費の国費計上ない
水産庁は
漁業者による経費負担とその所有船による試験実施を計画し、道の反対を押し切
つて行つたところに無理があつた、試験船の選定に際しては一応道に推薦方を依頼したが事実は
北海道機船底曳網
漁業協同組合連合会専務
理事藤野戸多喜雄が單位
組合に諮ることなく独断をも
つて個々の
漁業者に交渉し選衡して道に提出し道は連合会の推薦によることを
理由として形式的副申を付して
水産庁に上申したのである
(ロ)試験実施による経費は当初一船あて五十万円と見込み、総額六百万円として従事試験船の所有者より徴收し、試験に要する設備資材、
水産試験所職員の試験旅費等に充当するものとし、その
経理は
水産試験所に一任することとした。現在までの費用の徴收状況及び
支出は次の通である。
ということで、ここに
水産部長の回答と違
つて今度は
支出にな
つております。読み上げますと、船名は第二
昭和丸、三号壽々丸、千技丸、第二
昭和丸は網走の大和田広義という人の所有、壽々丸は宮城県の臼井福司という人の所有、千技丸は稚内市石本鉄蔵という人の所有、三船で四十五万円、時間が長くなりますので少し省略いたしますが、第十六明神丸、第十五明神丸、やまさん丸、この三船で七十五万円、第八早取丸が二十万円、それからしろとり丸、第一星徳丸、第十千代喜丸、この三船で十万円、それから第一三好丸十五万円、第二菊理丸これが二十万円、あと出さない船が二隻、こうな
つて百八十五万円、そのうち
支出は、
水産試験所へ送つたのが百三十五万円、
北海道機船底曳
網漁業組合連合会の
支出にな
つているものは七万六千四百七十円、これは旗、通信費、試験場との打合せ、旅費等に
支出したもの。保管金は
北海道機船底曳
網漁業組合連合会四十二万三千五百三十円、こうしたような
支出と
收入にな
つております。
それから
(ハ)試験船の許可受有者が
北海道人会関係業者協議会とな
つているのは抑々本協議会は道底びき
漁業者と道沿岸
漁業者及び本州より
入会の底びき
漁業者をも
つて構成している為、本試験の如きは本協議会名によ
つて行うを適当と認めたからである
従つて個々の漁船は本協議会に使用
承認を與えた形式をとつたものである、出願の形式が
入会協議会長名とな
つており傍々夫々試験費用を徴收したことなどに一般の疑惑を招いたものではないかと推知される。
以上の通であるから試験船は
水産庁より何等傭船料の支給を受けることなく、かえ
つて一船宛の試験所要経費五十万円の見込の下にその経費を負担し試験に従事するものである
三、本調査に従事した調査官は次の通であります
査察部物資課勤
務経済調査官 川北 熊壽
こういう回答書が来ております。もちろんこの回答書の
内容には同じところもありますが、違
つておるところもある。まず一点を
指摘しますと、許可は
入会協議会で一括してとつたし、また與えたんだということにな
つておるが、金の集め方だとか、その
支出については連合会がや
つておる。試験場がやるのだというふうにな
つてお
つても、試験場はや
つていない。それから試験場に百三十五万円渡したと言
つているけれども、受けとつた者がない。その他いろいろここに疑義を持つことがあるが、これに対して一体こうした違いがあることを知
つているかどうかということと、一体この
責任を
水産庁はいかにして解決するかということと、それからこの調査によると、連合会の藤野戸專務が独断でや
つておる。言いかえれば、
自分の許可でないにもかかわらず、五十万円ずつと
つて、そうして百八十五万円集めて、それをか
つてに試験場へ百三十五万円や
つて、
支出も七万幾らを
支出して、四十二万幾らというものを連合会が預
つておるということにな
つております。しからば一体これは横領ではないか。
自分の許可でもないのに、
自分がか
つてに集めて、か
つてに預か
つて、か
つてに
支出する、こうしたようなことは、私から見ますると、横領だと
考えます。こうしたようないろいろな矛盾がある点から、
水産庁は一応解消しまして、新たな試験船を物色しておると思うのでありますが、とにかく今までの経過からいうと、こういう経過にな
つておりますので、これをどこまでも明らかにして、
水産庁の
責任はどこにあるか、それから連合会の
責任は一体どこにあ
つて、どうやつたのか、あるいは試験場がはたして百三十五万円受取
つて、そうして
支出しておるのか、あるいはこの
内容だと、全部船にもどすということにな
つておるが、もとしておるかどうかというようなこと、それからさらにこうしたいろいろな内部的に策のあつたことが明らかでありますので、その船が再び採用されておるかどうかということを、私は明らかにいたしたいので、今もし回答ができないとするならば、この書類をお貸し申し上げますから、よく究明をして、書面で御回答を願いたいのであります。もし今ただちに御答弁ができれば幸いでありますけれども、ずいぶん複雑な
内容にな
つておりますので、今回答ができなかつたならば、文書をお貸し申し上げますから、文書で回答願いたい。
最後に、先ほどいろいろ御答弁があつたのでありますが、
大海区制については私は全面反対をします。
従つて大海区制と
北海道の海区の問題をどう解決するかという問題と、それから内地自県のおのおのの海区と
漁業許可、それから
隻数その他について、書面をも
つて、どういうふうな方針で進めるかということを御回答願いたい。
それから
入会と取締りの問題については、
違反船がたくさんあるということは、
指摘したばかりでなく、事実でありますので、各方面から御調査をせられて、一体どういう船が
違反船として入
つておるのかどうかということをきわめて、これに対する今後の
行政措置を一体いかにするかという問題も、書面で回答願いたい。
それから前の試験船の問題は、もちろん詳細に文書をも
つて御回答下さるように願いまして、私の
質問を終る次第であります。