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1951-05-31 第10回国会 衆議院 人事委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月三十一日(木曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君    理事 松澤 兼人君       加藤隆太郎君    塩田賀四郎君       西村 久之君    本間 俊一君       今井  耕君    中曽根康弘君       成田 知巳君    八百板 正君       加藤  充君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         総理府事務官         (特別調達庁労         務管財部長)  中村 文彦君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君  委員外出席者         総理府事務官         (特別調達庁労         務管財部次長) 曽田  忠君         総理府事務官         (特別調達庁労         務管財部労務給         与課長)    鈴木  信君         專  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 五月二十五日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として加藤  充君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員加藤充辞任につき、その補欠として上村  進君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員佐藤重遠君及び上村進辞任につき、その  補欠として本間俊一君及び梨木作次郎君が議長  の指名委員に選任された。 同月三十一日  委員足立篤郎君及び梨木作次郎辞任につき、  その補欠として小淵光平君及び加藤充君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員小淵光平辞任につき、その補欠として越  智茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  一般職員勤務地手当支給地域区分に関す  る説明聽取の件  連合国軍労務者雇傭切換に関する説明聽取の  件     —————————————
  2. 田中伊三次

    田中委員長 これより人事委員会を開催いたします。  お知らせを申し上げておくことがございます。電気通信委員会から、電気通信省職員に対する給与制度の改善に関する申入書というのが当委員会のあてに参つておりますので、皆様のお手元に配付いたしておきました。御研究おきを願いたいと存じます。なお郵政委員会、それから運輸委員会からも同様趣旨の申入れがございます。あわせてお知らせを申し上げます。     —————————————
  3. 田中伊三次

    田中委員長 人事院から提出になつております意見書中心として一般職職員勤務地手当支給地域区分に関する質疑は、去る二十四日の委員会において大体終了をいたしておりますが、なお相当質疑が残つておることであると存じますし、またその後の情勢の変化も多少あるやに見受けられますので、この際これらの点について質疑を継続して参りたいと存じます。通告順によつて質疑を許します。まず淵上君。
  4. 淵上房太郎

    淵上委員 私どもは現在の公務員の待遇につきまして、きわめて不満を持つておるのでありまするが、この給与のベース・アップの問題につきましては、先般来当委員会においても、それぞれ当局とある程度質疑応答が重ねられたのであります。このたび提出せられるやに聞いておりまする、ただいま委員長のお示しの勤務地手当支給地域区分に関する法律、この勤務地手当につきましての人事院勧告につきましても相当大きい不満を持つておるのでありますが、一体政府はこの法律をお出しになるのか、お出しにならぬのか聞きたいのでありますが、責任者がまだお見えにならぬようでありますので、委員長の御観測をまず冒頭に伺いたいと思います。出すものであるか出さぬものであるか、ひとつ委員長の御観測を聞かしていただいて、それからさらに……。
  5. 田中伊三次

    田中委員長 委員長観測を申し上げます。これは勧告の線に従いまして、法案はすでに立案をして、閣議決定を経まして、提出の手順を行つておるものと承知しておりますが、御承知のように提出に先だつて関係方面と所要の手続をとつておるもの、こう考えております。従つて関係方面よりの了解が得られ次第、正式に提出するものと見通しておる次第でございます。
  6. 淵上房太郎

    淵上委員 御説明によりまして了承いたしましたが、会期は残すところ今日を加えて三日しかありません、この間に関係方面承認が得られそうなお見込みであるかどうか、それだけひとつお伺いいたしたいと思います。
  7. 田中伊三次

    田中委員長 私のほんとうの勘でございますが、いまだに法案も出ておらないことであり、従つて法案に関しましては、私が委員会を代表して関係方面折衝をする余地がないわけであります。ただせんだつて来しばしば勧告案内容をめぐりまして、私が呼び出されて参りましたりいたしまして、いろいろな雑談をいたしました経過から考えますと、あるいは切迫をいたしました本日の午後か明日午前早々くらいには、政府了解を求めております法案そのものについての了解が得られるんじやないか、こう実は観測をしておるわけであります。
  8. 淵上房太郎

    淵上委員 きようあすにオーケーが来そうだという見通しでありますが、非常に長い間その筋の承認が得られませんし、先ほど申しますように、会期いくらもありませんので、私どもはこれが正式に提案になりましても、国会の権限と責任範囲内におきまして、この勧告内容につきまして相当是正すべき必要を痛感しておるのであります。私は務政当局がおいでになるまで一応質問を保留いたしまして、後ほどまた質問をさせていただくことにいたします。
  9. 田中伊三次

    田中委員長 今政府側から大蔵省主計局東條次長が来ております。それから特別調達庁中村労務管財部長がおられます。
  10. 成田知巳

    成田委員 それでは特調の方にお聞きしたいのですが、質問の点は、最近進駐軍関係家族宿舎要員が、聞くところによりますと六月三十日付で約四万人が全面的に解雇になるという話を聞いておるのでありますが、それは事実かどうか、もし事実だとすれば、それに至るまでの経過説明していただきたい。
  11. 中村文彦

    中村(文)政府委員 ただいまの御質問について私の知つていますことを御説明申し上げます。五月十一日付をもちまして総司令部渉外局発表になりましたのは、非軍事的なまた個人的な使用関係の、従来LR労務者として使つておりました労働者は、七月一日付をもちまして全面的に軍の直接雇用に切りかえるという発表があつたのであります。発表文が非常に簡単でありましたので、その後軍とも数次にわたりまして折衝いたしました結果判明をいたしました事情に、軍の個人的な家事使用人、それからPXクラブハウスというふうな軍と直接関係のないようなものに使われます者、これらの労務者は、御承知通り従来はレーバー・レクイジシヨンの発出に基きまして、政府労務者雇用契約を締結し、労務提供の義務を果しておつたのでありますが、今回七月一日より、さようなものは政府雇用関係から断ち切られまして、全部これらの直接の使用関係に入る、こういうことであります。従いまして各軍人、軍属に使われております家庭使用人もちろん、それからクラブハウスとか、そういうところの家事使用人につきしては、使用主労務者との直接の雇用関係に入ります。それからPXクラブハウス、それらのものにつきましては、それらの経営者の直接雇用になるわけであります。この関係で、六月末日をもちまして一応政府との雇用契約は切れるということに相なります。政府といたしましては軍に申し上げまして、あらかじめさようなものにつきましては、御承知基準法に定めます通り三十日間の予告期間を与えてもらいたいということも申し上げております。それから政府との関係が断たれますので、軍の都合による解雇としまして、一応国との雇用契約は切れます。その後の保護の問題につきましては、実はいろいろとわれわれも研究いたしまして、軍でも非常に研究しておるようであります。軍の見通しといたしましては、従来と同じような保護に欠けるようなことはいたさないつもりだということを言うております。しかしながら御承知通り、もし軍あるいは軍属などに使われます者になりますと、国内法適用の問題について多少疑義が起つて参ります。従いましてさような場合に、従来いろいろな問題がありましたときに処理して参りました労働基準法その他の法律保護を、はたして完全に満足に受け得るかというふうな疑問もあります。この点につきましては労働省ともいろいろ話を進めております。また健康保険法の問題もあります。家事使用人につきましては御承知通り五人以上使われる者がなければ健康保険保護も受けられませんので、これらにつきましても厚生省の方に話を進めております。この問題は、実は七月一日の切りかえの措置がありますれば、政府としては雇用関係も切れますから、全然関係のないようなものでありまして、つまり今後は民間使用人と同じ立場に相なるとわれわれは考えます。従いまして政府としての世話は七月一日で切れるということに相なると考えますけれども、従来この種の労務者につきましては、保護の問題もあり、またいろいろな苦情ども相当出ておりますことは御承知通りでありますので、これらについて今後も十分に保護できるように、苦情の聞いてやれるように、また保護に遺憾の点がないようにと考えまして、実は近く次官会議などにもお諮りして、各関係省とも手拔かりのないような措置をとつてもらうようにお願いいたしておるような次第であります。
  12. 成田知巳

    成田委員 七月一日から政府との関係は切れまして、進駐軍との直接の雇用契約になる、こういうお話ですが、講和会議ができまして、お互いに対等な立場契約ができるという情勢になりましたならば、そういう関係もいいかと思いますが、現在占領下にあつて力関係が非常に違うのであります。そういうときに政府が仲々に立たずして直接の雇用関係、直接の取引にまかすというようなことは、進駐軍労務者にとつて非常な不利をもたらすというふうに感ずるのでありますが、それについて政府はどう考えますか。
  13. 中村文彦

    中村(文)政府委員 ただいまのお話の点につきましては、御趣旨も十分わかるのであります。ただ軍といたしましては、先ほど申し上げました通り、今後の保護につきましては、従前とかわらないように万全を期したいということも言うておりまするので、われわれといたしましては、軍の意向をくんでこの際その線に持つて行くよりほかはないのじやないかというふうに考えております。それからこれは御承知通り、今日まではレーバー・レクイジションが出まして、それに基きまして実は国が提供いたしているのでありまして、それが今後切られた、つまりレーバー・レクイジシヨンを取消された場合に、それを出さなければ困るというようなことは、国としても申し出ることはできませんので、この点はちよつと私どもの方の立場はぐあいが悪いと思つております。向うで出さぬというものを出してほしいとは言えませんから。ただ保護についての万全を期してもらわなければならぬということにつきましては、私ども重大な関心を持つているわけであります。御承知通り従来よりカテゴリ・ワンカテゴリー・ツーというものがありまして、カテゴリー・ワンは全部今申し上げましたようなレーバー・レクイジシヨン労務者でありまして経費は終戦処理費によつて経理いたしております。カテゴリー・ツーの方はさようではありませんので、これは軍自体負担でやつているのがあるのであります。今回は単に家事使用人、あるいは先ほど申しましたようなPXクラブハウスというような方面の施設の使用人は、全面的に軍側負担に切りかえようというふうに、幅を広げられたものだとわれわれは考えているのであります。また軍が労務者保護に万全を期すというようなお話も申されているからは、われわれといたしましても、この切りかえはやむを得ぬことではなかろうかというふうに考えるのであります。それからこの件につきましては、先ほど申しました通り関係各省にも、重大関心をもつて今後の措置について遺憾のないようにしていただきたいというふうにくれぐれも連絡いたしておりますので、各省において、労務者保護についてはまあ欠けることはないとはつきりは申し上げかねると思いますけれども、かようなことのないよう十分に留意していただこうと考えているわけであります。
  14. 成田知巳

    成田委員 軍の方で保護に欠けることのないように処置する、また政府の方でも次官会議その他で保護の方策を具体的研究する、こういうお話なんですが、これはごもつともだろうと思いますが、問題はそういう気持だけじやなしに、はたして、それが確保できるかどうか。具体的に軍とどういう御折衝をなさいまして、こういう問題につきましてはこう処置する、こういう問題についてはこう処置まると、政府の方でどういう具体的な案をもつて折衝になつているか、それを承りたい。
  15. 中村文彦

    中村(文)政府委員 具体的な例といたしましては、先ほどもちよつと触れたのですが、健康保険の問題なども一つの例であります。御承知通り家事使用人の五人未満のものにつきましては、健康保険加入もできませす、つまり組合加入もちろんのこと、政府管掌健康保険保護もありません。これらにつきましても何とか考えるべき筋じやないかということも申し上げております。それからPXクラブハウスにつきましては、これは当然組合をつくるなり、あるいは政府管掌の線に加入することができるだろうと考えます。それから従来御承知身体検査などの問題もあります。軍においては、身体検査は、採用時におきましても採用後におきましても非常に厳格であります。これらにつきましても、従来はPDが出まして、それに基きまして全部措置をして参つたものでありますが、今後はいかような取運びになるかというようなことについて尋ねたのでありますが、これにつきましても、軍としてはいろいろ研究しているようであります。当時私が聞きに参つたときも、その席で大分議論もあつたのでありますがつまり家事使用人につきましては、使つておりますテナントの経費負担によつてやるか、あるいは労務者負担によつてやるか、それは当然テナントの利益のためのものであるからして、テナント負担においてかような健康診断その他が講ぜられるべきものだということを申し上げまして、向うでも一応了承したと私は認めて参つております。さようなわけでありまして、今日までのところ、軍側といたしましてもまだ結論が出ませんで研究しているところは相当あります。従つてはつきり全面的な御説明ちよつといたしかねるのでありますが、いろいろ個々の具体的事情について、向う研究をしておりまするし、私の方も今折衝を重ねでおるわけでありますので、全面的な御説明はいたしかねます。さような事情であります。
  16. 成田知巳

    成田委員 家事使用人も五人まではPXとかクラブハウスの場合は国民健康保険に入れるだろうが、五人未満の場合を何とかしたいというお話ですが、具体的にはどういうようなことをお考えになつておりましようか。
  17. 中村文彦

    中村(文)政府委員 これは、実はLR使用人健康保険法適用する問題のときにも問題になつたのであります。なるほどLR労務者としての資格であつても、家事使用人家事使用人という性格にはどこまでもかわりがないわけであります。しかも各家庭を見ますと、やはりそうたくさんのメイドを使つておるようなところはないのでありますので、この適用をどうするかという問題が実はあるのであります。わが方といたしましては、かような場合には御承知労務管理事務所がありますから、それを単位にしまして、そこで家事使用人としてのメイドハウスキーパーその他をどれだけ使うというふうな見通しを立てて、それを一括して考えますと相当の数になりますから、そういう考え方健康保険加入を認めたわけであります。今回におきましても、実はこれらのメイドあるいはハウスキーパーというものを使用するにつきましては、各人がいろいろと給与をきめたり、面接いたしたり、あるいは身分証明書をつくつたりというふうなことはとうてい各人ではできぬだろうということは、軍自体も認めております。それで軍のそのような一切の世話をやく機関をつくつて、そこでいろいろな面接をやり、交渉をやり、あるいはカードを発行する、あるいは本人経歴書の保管もするというふうなことを考えておるようであります。つまり言葉をかえますと、日本の労務管理事務所でやつておりましたような仕事軍側労務事務所がやるというふうになるのではないかと考えられるのでありますが、もしさような措置が講ぜられますれば、政府としてやつておりましたような方法で、集団的に健康保険法適用ができるのではないかということであります。ただこのときに問題になりますのは、御承知通り保険料半額使用主負担し、あと半額労働者負担するわけでありますので、この件ではたして各テナントが、すなわち使用主保険料半額負担するような措置を講じて参るかどうかという問題はまだはつきりしておりませんが、この点は多少疑義があります。しかし金額は大した金額ではありませんので、これは話合いによつて方法がきまれば、さような線で行けるのではないかというふうに考えておるのであります。
  18. 成田知巳

    成田委員 従来は、労務管理事務所管轄範囲内のものを総合すると相当な数になるから、これで健康保険加入させたのでありますが、今度建前違つて政府の中から抜けるのですからこれはできない。軍の方でそれと同じようなものを考えるだろうというお話なんですが、そこに進駐軍労務者の不安があるわけであります。実質的には仕事は同じことをやつておるのでありますから、今まで政府がやつておられたように、労務管理事務所範囲内のものを一括しまして、健康保険に切りかえる。そこで保険料につきましては、大した金額でもないし、実質的な仕事は同じなんですから、政府が何らかの形でこれを負担されまして、従来と同じような取扱いを継続される、こういう御意思はないでしようか。
  19. 中村文彦

    中村(文)政府委員 ただいまの御質問によりますと、結局身分関係が切れましたあとも、なお従来の政府との使用関係と同じような考え方措置できないかという御質問と伺いますが、それはちよつと法律建前からいいましても困難じやないかと思います。と申しますのは、身分関係がすつかり切れるのでありますので、政府といたしましても負担する根拠がないのであります。この問題につきましては、実はLR労務君の方でも非常に大きな問題としております。また労働組合としても非常に大きな関心を持つております。先般連合軍要員健康保険組合というのをつくつてあるのでありますが、この組合理事会でもいろいろこの問題が議論されました。しかしながら結局するところ、政府使用主としてめんどうを見ることは困難だという見通しを持つておりますので、これは先ほど申し上げましたような面で厚生省話合いをいたしまして、何とかその保護に欠けないようにしたい。政府管掌に持つて行きますればいくらかでも何とかできぬかということでありますが、先ほどもちよつとお話をいたしました、政府管掌の方に持つて行きますれば問題はないわけでありますが、ただその場合本人負担がふえますし、多少気の毒な点も考えられるわけであります。この点では厚生省と今後折衝いたしまして、何とかいい道がないものかということを向うにも苦労してもらおうと思つております。大体かようなわけでありまして、御質問の点につきましては非常に困難だと考えております。
  20. 成田知巳

    成田委員 実質的には同じだけれども建前違つて来たから、法律関係上やれないということであれば、法律をかえていいと思う。こういうものこそ政令でも出して、そういう不合理を救済されることが当然だと思うのですが、そういうお考えを持つておられませんか。
  21. 中村文彦

    中村(文)政府委員 ただいまのところさような考えは実は持つておりませんが、健康保険法建前をとつてその線で行きたい。ただ先ほど申した通り保護措置について厚生省としてよく研究していただきたいと思つております。
  22. 成田知巳

    成田委員 研究されることは当然だと思うのですが、自信はどうなんですか、何とかできるでしようか。従来と同じような保護を与えられるでしようか。労務者から見たら何ら仕事はかわらないのですが、ただ建前違つたというだけで、従来与えられた保護が与えられないということは納得が行かない。これは当然政府責任において、従来と同じ程度保護は与えられなければいかぬと思うのですが、お見通しはどうですか。研究されることはぜひやつていただきたいが責任を持つてつていただけるでしようか。これを御答弁願いたい。
  23. 中村文彦

    中村(文)政府委員 ただいまの法律改正のことにつきましては、これは厚生省の所管でありまして、決して言いのがれをするわけではありませんけれども、私の方の立場ではありませんので、ちよつと見当がつきません。ただ現行法で何とか保護の方針を立ててもらいたいというふうに考えておるわけであります。  それからこの関係は、十分御承知の線でありますので、重ねて申し上げるまでもないのでありますが、やはり雇用関係というものが中心になつていろいろな問題が取上げられておりますので、法律考え方相当直しませんと実は困難な問題だと考えられるのであります。と申しますのは、御承知通り使用主と使われる者との立場から法律ができておりますので、この関係を全然切り離した線で、国が使用主立場負担金を持つということについては、相当困難な問題ではないか、話がどこまで発展するかわからぬようになりはせんかという心配もありますので、これは相当困難な問題ではないかというふうに考えております。
  24. 成田知巳

    成田委員 法律々々といわれますが、健康保険法つて、その他の法律つて、こういう占領下における特殊事情というものは考慮してないのです。普通の場合の法律なんです。その場合の雇用者、被雇用者関係を規律しておるのです。そういう不合理があるために、従来とても政府が仲に立つておりますと、政府雇用者労務者が被雇用者ということで、一般労務者と同じような待遇を与えておつた。ところが被占領下でありますために、軍の一方的な命令によつて今度は雇用者が形式的にかわる。これは何と申しますか、超法律的な状態なんです。だから従来の法律観念でこれを規律しようとするところに無理があるのではないか。占領状態であるために、軍の命令によつてこうなつたのだ。そうしますと実質関係を考慮されまして、保護すべきものについては保護するような処置をおとりになるのが法律の精神だと思う。それを従来の法律観念で、雇用者がかわつたということで保護が与えられないようなお考えをおとりになるというのは、少しおかしいじやないですかその点はいかがですか。
  25. 中村文彦

    中村(文)政府委員 御趣旨の点につきましては、私実は十分承服いたしかねるのでありますが、お気持につきましては十分わかります。この件につきましては、軍もいかような考えを持つておるか、ひとつ尋ねてみたいと思います。その上であらためてお話申し上げたいと考えます。
  26. 成田知巳

    成田委員 健康保険の方はその程度にいたしまして、失業保険とか労災保険労働基準法適用関係はどうなんでしようか。具体的に伺いたい。
  27. 中村文彦

    中村(文)政府委員 先ほども申し上げましたように、国内法労働関係の法規などの適用については、相当疑義があるようであります。労働省でも目下研究しております。実は昨日もその線で労働省いろいろ話合いをしたのでありますが、この問題は発展して参りますと、御承知の民事、刑事に関する裁判権の特例、あの関係にまで発展するので、多少まだはつきり結論出しかねております。法務府の方にも研究を願つております。
  28. 成田知巳

    成田委員 最初のお話では、軍の方でも保護に万全を期する、政府の方でも従来とかわりないようなやり方をやりたいという御答弁があつたのですが、具体的に労働法規の問題を取上げますと相当疑義があるというので、従来と同様の取扱いがされないような感じを受けるのですが、こういう法規を適用することに、今までの法律的な解釈からいつた疑義があるという話なんですが、先ほども申しましたように、これはやはり超法律的なものだろうと思う。単なる形式をあまり問題にされないで、実質をとられまして——少くとも労務者の側には責任がないのです。たまたま今まで政府雇用主であつたものが軍にかわつたというだけなので、その間の労働事情というものは全然かわつていないのですから、従来と同じ保護を当然与えなければならぬ。疑義があるならば、その疑義内容について法律改正をやるなり、あるいは解釈をはつきりするというように措置するのが当然だと思うのですが、その点についてはどうでしようか。
  29. 中村文彦

    中村(文)政府委員 実は私たちは事務的な立場において今日まで労務上のいろいろな問題を扱つてつたのでありますが、私の方は、それらの関係各省できめました個々の法律なり措置なりを運用いたし、適用いたして参る立場でありますので、御説の点につきましては私たち十分わかつておるのであります。従いまして劈頭の御説明に申し上げましたように、この際次官会議なりその他の会議におきまして、関係各省に十分に手落ちのないよう措置してもらうように取運ぶつもりでおります。お話につきましても、実は多少今後遺憾の点が出て来るのじやないかという心配もあるのであります。従いましてこの件は軍にも申入れをし、また関係各省にもそれぞれ連絡をいたしまして、万全を期するというふうな考え方をもつて目下進めておりますので、御趣旨の点は十分くみまして、遺漏ないようにいたしたいと考えております。
  30. 成田知巳

    成田委員 今後の点について、十分保護に万全を期するような方策をとられるという御答弁なんですが、私たち非常に危惧しますのは、今後の措置でなしに、現在の措置についても、相当進駐軍労務者にとつて不利な取扱いを受けておる。たとえば先ほども御答弁があつたと思うのですが、今度約四万人の労務者について、労働基準法に基いて三十日間の解雇予告をしておられる。ほんとうに労務者のことを考えるならば、三十日間の解雇予告というのでなしに、三十日間の解雇予告手当をお出しになるのが当然じやないか。解雇予告をやられて、三十日たてば仕事がなくなるのですから、進駐軍労務者が職業安定所などに仕事を探しに行きましたら、その日は仕事をやつていないというので給料をもらえない。また聞くところによりますと、出て来なくてもいいというようなことを一方的に言つているらしいのです。ほんとうに労働基準法の精神を生かすというお考えつたら、三十日の解雇予告手当の形でお考えになるのが当然だと思うのですが、それについてなぜ予告措置をおとりになつたのか、お尋ねしたいと思います。
  31. 中村文彦

    中村(文)政府委員 この件につきましては、法律も十分御承知の上での話だと私は考えますので、いずれを選ぶかは実は事業主の方の考えだと思うのであります。従いまして、御指摘の三十日前に予告を与えまして、その後職を探すような便宜を与えないのではないかという点について申し上げます。その点につきましては、私どもも実は心配いたしております。この件は、今まですでにそういう事例が再々ありますので、そういう便宜を与えるように軍とも折衝いたして参つておるのでありますが、何分にも御承知通りのような事情でありまして、軍といたしましては、希望にも沿い得ないような場合もあるということを言つております。その点は民間に雇われております者と多少違いがありますので、非常に遺憾に考えまして、従来とも折衝いたしております。しかし今日では大体その線に沿うて実施されておると私は考えておるのでありますが、一、二さような事例で便宜を与えられないで、最後まで自分の就職先を探すことのできないような事例も聞きますけれども、最近はあまりさようなことがないように聞いております。
  32. 成田知巳

    成田委員 そういうのが一、二というのですが、一、二じやなくて、大分そういうような取扱いをされているらしいのです。予告手当の制度をとるか、三十日の予告にするか、これは事業主の選ぶところだ、こう言われるのですが、事業主の選ぶところであればあるほど、やはり政府としては労務者に利益な取扱いをしてやるのがほんとうじやないか。ほんとうに必要ならば、三十日間の予告手当をやつて即日解雇しましても、使用主の方で使うだろうと思います。そうすれば、労務者はそれだけ利益の恩典にあずかるわけです。三十日の予告期間を置いて手当は出ない、働きに行こうと思つても、働きに来なくていいとか、あるいは三十日たてば仕事がなくなるのですから、やむを得ず職業安定所へ行く、そうすると、その日は賃金をもらえない。こういうような状態になつているので、政府としては当然三十日の予告手当を出して、あと三十日間を働くか働かないかは雇用主と労務者の間の話合いできめるべきだと思うのです、その方こそ政府としてとるべき態度だと思うのですがどうなんですか。
  33. 中村文彦

    中村(文)政府委員 ただいま御指摘の点は、一応私ごもつともと思いますけれども、なかなか向うも予算その他の面で制約を受けまして、相当苦労があるようであります。従いましてわれわれの希望通り必ずしも参りませんので、私どももいろいろ事ごとにさような点を申しておるのでありますけれども、そう希望は達せられないというのが今日までの実情であります。
  34. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、ただいまの御答弁で、最初はどちらを選ぶかは雇用主のかつてだと言われたのですが、政府としては三十日間の予告手当を出す方向に持つて行きたかつた、しかしながら関係方面との交渉でそれができなかつた、こういうように了承してよろしいわけですか。
  35. 中村文彦

    中村(文)政府委員 いや、そう言われてもあれでが、われわれといたしましては、実情から申し上げますと、最初御承知の公務員の性格も与えられません当時におきましては、実は労働三法の適用がどうなるかという問題につきましても、非常に不明確であつたのであります。従いまして当時における措置としては、いろいろな事情が発生しております。その後労働三法の適用があるのだという結論はつきりいたしまして、従いまして労働基準法適用も受け、先ほど御質問のような問題も出たわけでありますが、当時は軍は無関心でありまして、即日解雇というような措置相当講じました。さような場合には予告手当の問題が起つて、そのときには手当を支給する措置を講じております。事例から言いますと、むしろ以前は予告手当を出した例が相当あるのでありますが、最近は先ほど申し上げましたようなぐあいで、予算も相当きゆうくつになつておりますし、軍といたしましても相当関心を持つてつておりまして、なるべく予告手当でなくて事前の予告でまかなおう、考えようというような措置にかわつて来ております。従いまして、最近はできるだけ早く予告を発するという御趣旨を確保させるという線をとるようになつてつておるのであります。われわれといたしましては、当初の事例からいいますと、相当予告手当を出しておつた。最近はあまりその方面の金を使うことについては関心を持ちまして、節約をいたす、予告をあらかじめ発しておくというふうな措置にかわつて来ておるということだけは申し上げられると思います。
  36. 成田知巳

    成田委員 政府としては当初予告手当を出した、これは正しいやり方だと思うのですが、だんだん悪い方向に進んで来ておる、こうお認めになりますね。
  37. 中村文彦

    中村(文)政府委員 私は悪い方向じやないと思うのですが、ただ金の計算からいいますと、なるほど金を出すのをだんだんセーブして参つておりますから、その線ではそれは悪いというふうになりましようが……。
  38. 成田知巳

    成田委員 労務者立場からです。
  39. 中村文彦

    中村(文)政府委員 私の考えとしては、いずれもやはり法律はよい、保護の面でもどちらでもいいという線が出ておりますので、決していずれの立場からいいましても悪い面だとは考えておりません。ただ労働者の実収入から見ますれば、多少それだけ減つておるということにつきましては、私も認めます。
  40. 成田知巳

    成田委員 労働者の収入という点から行けば、労務者に不利な方向に進んでおる、これはお認めになるわけですね。
  41. 中村文彦

    中村(文)政府委員 それは単なる金の側だけから申せば、まさにその通りであります。
  42. 成田知巳

    成田委員 金の額だけの問題ではないと思うのです。先ほど申し上げましたように、三十日の事前の予告を与えられたものの、職業安定所に行けば、その間一日働けない。そうすると賃金ももらえない。こういうことになると、単に金の問題だけではないと思う。一箇月分の予告手当を出して、そうして本人が安心して一箇月間の生活が保障されて、進駐軍の方で働きながら仕事を探しに行けるのですから、そういう点からすると、単に金だけの問題ではなしに、自分の今後の職業を得るための方途につきましても相当な問題があると思う。単なる金だけの問題ではない。法律でどちらを選んでもいいのですけれども、どちらを選んでも、政府といたしましては、こういうやむを得ざる状態労務者解雇するようになつたのだから、労務者に有利なような、取扱いをするのが当然だろう。現在のような情勢からいいますと、まず予告手当を出す。そうして完全に一箇月間の生活を保障するというのが、法律としては正しい、特に政府としてはそれをやるべきではないか、こう考えておる。——ではそれはそれでいいです、次に退職手当はどうなりましようか。予告手当の問題でなしに、一年、二年勤めて首になるわけですが、退織手当の制度はどうなつておりますか。
  43. 中村文彦

    中村(文)政府委員 これは今回の問題についてでありますか。
  44. 成田知巳

    成田委員 そうです。
  45. 中村文彦

    中村(文)政府委員 それは過去の勤続期間を計算いたしまして出します。軍の都合による措置としまして、解雇いたしますものに対し出しております。従いまして、各人の個人的な事由による希望ということになりますと、退職手当は半減されますから、さようなことはないわけであります。
  46. 成田知巳

    成田委員 雇用主側の都合による解雇としての取扱いになるわけですね。
  47. 中村文彦

    中村(文)政府委員 はあ。
  48. 成田知巳

    成田委員 具体的に大体一年について何箇月分ということを、お示し願いたい。
  49. 中村文彦

    中村(文)政府委員 それは御承知通り退職給与規定というものがありまして、それに基いて計算いたします。金額は基本給を一箇月分まず見ます。それから一年について一箇月分本給がつきます。そして一年増すごとに今度は歩増しで行きますから、結局一年間では二箇月分の退職金が出るということになります。
  50. 成田知巳

    成田委員 一年につき一箇月ですね。
  51. 中村文彦

    中村(文)政府委員 まず俸給が一箇月分入ります。それから次に一年間の期間の分として一箇月分、こういう率になります。これがもし十一箇月でありますれば、十二分の一ずつ十一プラスされることになります。勤続一年一箇月の者については、俸給の二箇月分と十二分の一箇月分として計算されることになつております。それは本俸のほかにであります。本俸分として一箇月加えたほかにさらにプラスされる、こういうことであります。
  52. 成田知巳

    成田委員 一年について二箇月、一年を増すごとに一箇月分、こうなりますから、二年で三箇月分、三年で四箇月分、こうなると考えてよろしゆうございますか。
  53. 中村文彦

    中村(文)政府委員 一年から二年までは一年の勤務につき一箇月分です。それから二年から五年までは一年につき一、二箇月分となり、これに一箇月分がそれぞれ附加されます。
  54. 成田知巳

    成田委員 具体的に数字でひしとつ……。勤続一年で何箇月分とか、一年から二年で何箇月分というように……。
  55. 田中伊三次

    田中委員長 成田君、官房長官が見えましたから……。
  56. 成田知巳

    成田委員 では、向うで計算されておりますから、官房長官にお尋ねいたします。地域給の法律案の問題ですが、この前私官房長官に御質問いたしましたときに、人事院勧告は妥当な線だと思うから、政府としては全面的にのむのだ、実施期日は勧告案に書いてないのですが、私の質問に対して官房長官は、六月一日から実施する予定だとこう言われた。予算の面について御質問申し上げたところ、現在地域給の予算はあるのだ、だからそれを先繰りして行つて、八月か九月の補正予算で、足りないところは出してやる、こういう三点についてまことに明快な御答弁があつた。ところがその後待つておりましても、一向に法律案は出ないのです。先ほども淵上委員からも言われましたが、あと会期三日になつておる。六月一日から実施するといたしますと、きようぐらいにはどうしても出なければならぬと思いますが、この法案提出時期についての政府のお見通しをお伺いしたい。
  57. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 今成田委員のおつしやつた通りの御答弁を私はいたしたのでありまして、人事院勧告法案の形に作成いたしまして、勧告そのままを骨子として、ブランクのところは六月一日という期日を入れまして、成規の手続によりまして関係方面にそれを提出したわけであります。ところがいろいろの考慮があつたのであろうと思いますが、今もつて話合いが終了しておりません。理由は多々あろうと思いまするが、これは関係方面の方の理由でありまするから、ここで申し上げるのは差控えますが、まあ一例をとつてみますれば、国鉄専売等々の給与のやり方が一般公務員と違つてつて、融通がつかない、ポ政令がなければうまく行かないのではないかという点にも疑念があるようであります。  それからよく世にいわれまするマーカット声明といいますか、インフレ対策というような点からも考慮がなされておるんじやないかと思いまして、ほとんど政府側としては毎日のように関係方面に出向きまして話をいたしておつたのでありますが、今もつて結論に到達いたしていないので、はなはだ残念ではありまするが、前途はなかなか楽観ができないような状況になつております。それで試案としては、あしたがもう六月一日でありまするから、一両日前に六月一日という点をとりまして、実施期日は政令によるということで、話合いがついたときに実施する、その法律案は今通しておく、こういうことでどうだろうかと思いまして、非公式ではありますが、そういう意見も持ち出して、向う側と話を始めたのでありまするが、これでも理由はやはり同じようでありまして、どうもむずかしいような状況になつております。しかしまだ努力は続けております。
  58. 成田知巳

    成田委員 先ほど淵上さんから委員長に、委員長としての関係方面との折衝の線過、見通しを御質問なさつたのですが、委員長としては、今明日中にオーケーが来るんじやないか、こういう見通しだという御答弁があつたのですが、今の官房長官の御答弁と大分食い違つておるのですが、まずこれについて委員長のお考えを承りたいと思います。
  59. 田中伊三次

    田中委員長 先ほどお話を申し上げたように、法案が出ておらぬ、従つて法案に関して私が総司令部と折衝をする権限はないこういう建前ですが、雑談をしたその雑談から申し上げると、きちきちの時間である本日の午後でも、あるいは明日の午前中くらいには何とかごあいさつがあるのではないかと想像する、こういうことを申し上げたので、それは官房長官の申しましたこととは食い違つておるかもわかりませんが、私はそう思つております。
  60. 成田知巳

    成田委員 非常に大きな食い違いになつておりますが、雑談のうちに、委員長は今明日中にオーケーが来るということを感得された、これはもう委員長が申したとは申しませんが、政府はこの問題について、関係方面との折衝は非常に手ぬるい、ほとんど折衝をやつていない、こういうことさえ私たち聞いているのですが、官房長官のお話では相当折衝されたらしいのですが、その間受けた印象としては、委員長の御答弁とは大分違つておるのです。委員長の言われたように、今明日中にオーケーが来るということをお気づきになつた節はございませんでしようか。
  61. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 私も委員長のおつしやるいうなふうになればいいと、非常に強く希望しておりますが、私にはまだそれほどの自信はないのであります。
  62. 成田知巳

    成田委員 ただいまの御答弁によりますと、この前に私たちに御答弁になりますしたところと違つて人事院勧告そのままをのんで、六月一日から実施することはほとんど不可能である、その結果、期日のブランクになつているのをそのままにして、政令で期日を定める、これについでもなお相当困難だと言われるのですが、実施期日を政令で定めて、まだ困難だと言われる根拠はどこにあるのですか。
  63. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 それは先ほど申しましたような点もあろうと思いますが、それは関係方面の意向でありまするから、ここでは御説明申し上げることは差控えたいと考えます。
  64. 成田知巳

    成田委員 関係方面の意向として国鉄、専売を例にとられたのですが、国鉄、専売は御承知のように、コーポレーションで独立採算制をとつている。ですから、それを例に持つて来て、国鉄、專売関係がむずかしいから、一般公務員の地域給の問題についても、これは現段階においては延期するということは、筋として成り立たないと思いますが、それについて政府はどうお考えになつているか。
  65. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 政府了解を求めるべく努力をいたしておるわけであります。
  66. 田中伊三次

    田中委員長 それでは加藤さん、長官は関係方面の急用で急ぐんだそうです。
  67. 加藤充

    加藤(充)委員 順序が逆になつたので、前提が明らかになりませんから、はなはだ質問が唐突のように響くのは遺憾であります。私はそのことを意識しながらあえてお尋ねするんですが、進駐軍関係の要員が二十八万有余人、約二十九万人ほどあるがごとく聞いよおるのであります。そのうち家族宿舎要員が約四万人だと聞いております。それで今六月三十日に限り七月一日から大量的に首になるのは、今申し上げた家族宿舎要員四万人についてなのだ、これだけ多数の日本人が日本の国内で、雇主がだれであろうとも、労働に服しながら、自分の生活並びにその実族その他生活につながるものの中心的な給料を得て生活をしているのでありますが、これははなはだ重大な問題だと思うのであります。と申しますのは、進駐軍関係という雇用関係に入りますために、日本の法律適用にならない、さりとてアメリカの労働関係その他の法規も適用にならない。そうすると、日本の国内におきましては、まず占領下であります時期におきましては、これだけ多数の者が何らの法律的な保護の対象にならないで取残される、いわばエア・ポケットがある。しかも最近の講和の内容あるいは形式からいいますると、講和に付随した條約に関連いたしまするが、結局占領軍が今度は進駐、駐屯軍ということになる。やはり多かれ少かれ、今申し上げましたような量、質の日本人労働者雇用関係を結んで残されている。その関係においては依然として何らの法律的な対象にならないし、法律保護を何ら受けないということに相なりますと、これは重大な問題だと思うのでありますが、その点どういうことになるのか、それでいいと思うのか、それに対する対策をどうお考えになつているのか、長官にお聞きしたいと思います。
  68. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 これはまだ決定から日もないことでありますので、特別調達庁その他の方面研究をしてもらつている段階でありまして、正確なことはまだここで申し上げるところまで行つておりません。しかしながら原則的にいいますと、今までのようなやり方よりも、今度のやり方の方が普通の関係でありまして、平和になれば当然こういう関係になるのがあたりまえだと考えております。そこでそういう場合には、日本人である国民の普通の家庭の雇い人と同様の立場において雇用関係を結ぶのであつて、それ以外のことは何もないと考えております。しかしさらに詳細のことはまだ研究中であります。それからこれは四万人という話でありますが、正確な数はむろんまだはつきりしておりません。そのうちでかなりの数は再び雇われるような状況になると思いますが、残りの人々に対してはどういうような救済策をするか、これはさしあたりは一率に退職のときの手当を出すわけでありますが、その後の失業状態のないようにするためには、今せつかく特別調達庁の方で研究中であります。
  69. 加藤充

    加藤(充)委員 労働三法というようなものができましたことについては、言うまでもなく資本家と労働者という関係、雇われ人と雇い主との関係でもありましようが、そういうようなものをそのままに置いたのでは、いわゆるフェア・プレー、対等的な取引契約はできないということのために、社会立法としての労働三法その他のものができて参つたのであります。御承知のように、占領軍、進駐軍というのは、普通の雇い主という性格よりも、特別に強い権力を持つたものなのでありますが、そういうものについて、そこに直接タッチすることができなければ国家がそれを強力な——強力なといつて、私は必ずしも権力的なものをさしませんが、内容的にいつて万般の保障を立法その他の措置によつて政府において裏づけて参らなければ、きわめて劣悪な雇用條件、劣悪な使役の中にまつたく泣かなければならぬ。極端なことを言えば、奴隷的な労働にもたえなければならない。しかもそこには人間として食つて行かなければならないいうことがあるので、それに泣寝入りしてでもすがつて行かなければならないような状態になつて来ておると思う。これは先ほど申し上げましたように、数十万の日本人が日本の国内においてそういうエア・ポケット状態にあるということは、これはきわめて基本的な人権、日本人の生活水準の向上という点から見てきわめて重大な点だと思うのでありますが、そういう意味合いにおいて研究中といいますけれども、私は労働三法の適用すらが除外されておつて、これを研究しなければわからない、しかも七月一日からはまつたく失業地獄の中に何らの保障なしにぶつつけられ、たたき込まれで行くというようなことなので、これは研究とか何とかいうことでは時宜に適しませんし、そういうことでいいとお考えになつているのでは、私は根性の置き方、考え方というものが少し堕弱であり、脆張であり、不規則きわまるものだと思うのであります。従いましてこの問題については、平常にもどれば好ましい状態、平常の状態に復する一つの過程の現象と言われますけれども、しかしそのうちに一時的に大量な失業者が出て来るのであります。すなわち失業者のできる過程というものは、質的には多少違いますが、最近の大量的首切りの事例から見て、行政整理の問題にも私は類似すべきものでもあろうかと思うのであります。行政整理のときにはそれ相当の対策、保障というものが不十分きわまるものではあつたけれども国家として対策を持つたのですから、今申し上げましたように、この総計約四万人の大部分が非常な不安にかられておりまするこのさしあたりの失業問題、またその後の再雇用関係に入りますときの保障の問題、なべて四万人を中心といたしまして、二十八万有余千の進駐軍用員が全部不安と動揺の中に今おののいておるのであります。そういう点について一段の配慮が必要だと思うし、大量首切りが先ほど申し上げましたように出て来るのでありますから、それに対する対策として、さしあたり行政整理の失業並の御処置をとるおつもりがなければならないと思うのですが、その点についての御答弁を願いたいと思います。
  70. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 加藤君のお考えと、われわれの考えはやや根本的に違う点がたくさんあるようでありまして、結局意見の相違になるのではないかと思いますが、われわれもむろんまじめに研究しております。こういう問題を研究せずにすぐやれということは、実際上に合わないのでありまして、まじめに研究しておることだけを申し上げておきます。
  71. 淵上房太郎

    淵上委員 先ほど官房長官の御説明によりまして、政府当局の非常な御努力に対しましては深い敬意を表しておりますが、一面公務員の地域給の問題はきわめて重大なる問題だと私ども考えておるのであります。先ほど交渉の経過を御報告いただきましたが、会期切迫しておることでありますが、今期中に御提案ができそうなお見込みであられるかどうか。その点をひとつお伺いいたします。
  72. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 それは先ほど委員長からもお話がありまして、今明日に何かできれば非常にいいという強い希望を持つておりますが、まだはつきりしたことを申し上げる段階にはなつておらないのであります。さよう御承知を願います。
  73. 成田知巳

    成田委員 強い希望を持つて、出るということを期待しておられるようですが、官房長官の御答弁を承りますと、ちよつと困難ではないかというような印象を受けるのです。もしこれが出なかつた場合、この前の委員会では、官房長官は明快に人事院勧告をそのままのむ、六月一日から実施する、これが正しいのだということを言われておるにもかかわらず、これが実施できないということになりますと、政府の政治的な責任というものは最も重大だと思う。それに対して政府はどういう前後措置をおとりになる御方針でありますか、最後に承りたいと思います。
  74. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 これは政府としては出すつもりであつて、正直に努力をしておるのですから、さよう御承知を願います。これは他に責任を転嫁する意味ではありませんけれども関係方面という相手方があることでありますから、政府だけでできるものではないということを御承知願いたい。
  75. 成田知巳

    成田委員 責任を転嫁するというわけではございませんが、官房長官自身人事院勧告が妥当である、六月一日から実施するのが正しい、こういうお考えを持つてつたのが、あの関係でできないということになると、当然やらるべき正しい人事院勧告、地域給の問題が解決できなかつた、こうなるのですね。それに対して政府はどういう政治的な責任をおとりになるか、これを承つておるのです。
  76. 岡崎勝男

    ○岡崎政府委員 こういうことは過去においてもしばしばありまして、政治的責任というほどのことではないと考えております。
  77. 成田知巳

    成田委員 先ほどの退職手当の問題ですが、数字はおきめになつたと思うのですが、加藤君が質問しましたように、これは一種の行政整理なんです。最も強力な行政整理だと思うのです。そうするとこの前の定員法で大量首切りをやつたときに、種々議会でももめまして、普通の政府の都合による解雇以上の退職手当が与えられた。もちろん十分ではありませんが、少しく色がついたわけであります。今度の退職手当は当然定員法による行政整理の場合の退職手当を上まわるとも下まわらない、こういう退職手当が出されると思うのでありますが、それについて政府はどういう御方針を持つておられますか。
  78. 中村文彦

    中村(文)政府委員 先ほどの成田委員の御質問についての退職金の問題でありますが、これはひとつ表にしてお手元に差上げます。それからただいまの御質問の件についてお答えいたしますが、実は進駐軍労務者関係は、いろいろな面におきまして特殊な事情がありますので、従いまして恩給のきめ方その他につきましても相当配慮しております。特別の事情と申しますのは、御承知通り風俗習慣が違うところのああいうような環境の中に働かなければならぬということもありますが、もう一つは、非常に短期に餓首される傾向があります。それからまたいつ講和條約の態勢に入るかもわかりませんというような点、あるいは公務員ならば普通の年金とか恩給という面についても受けておりますので、それらを全部合せてみまして、退職金の計算につきましても実は相当配慮いたしておるのであります。従いましてただいまのお話のような線は、あらかじめ最初から私どもの方としては計算に入れて立てておりますので、今回のような事例がありましても、格別の臨時の措置を講ずるということは考えておりません。御了解を願います。
  79. 成田知巳

    成田委員 臨時の措置をとる意思はないと言われるのですが、先ほども申しましたように、これは行政整理以上の行政整理なんです。特別な環境にあるというのですが、その特別な環境というのは一般公務員よりは悪いのです。一般公務員でさえ政府の政治的な理由による行政整理の際は、普通の退職手当以上の退職手当が与えられたのですかち、少くともこれを下まわらない退職手当を出すべきだと思うのです。数字的にひとつこれを示していただきたい。
  80. 中村文彦

    中村(文)政府委員 先ほども申しました通り、表にいたしまして、どういうふうなことになるということを御説明いたしたいと思います。  なお下まわるということは今日でも決してないはずでありますので、それを御承知願いたいと思います。
  81. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほど成田委員方からいろいろこまかい質問があつたのですが、この首切りということ自体が非常に不都合であるのに、退職金の支払いというものをまた一段と遅れますると、さらにひどいことになるのですが、退職金というふうなものは、首切りがきまつたら国家はすぐにお支払いになるだけの準備なり決意をしていますか。
  82. 中村文彦

    中村(文)政府委員 退職金の支払いが非常に遅れるのじやないかという御質問と存じますが、従来多少さような事例もありましたのですが、最近におきましてはこの点の是正は相当進めております。今回の措置につきましても、さようなことがないようにわれわれとしては十分に措置いたすようなつもりでおります。
  83. 加藤充

    加藤(充)委員 念のためにその時期を承つておきたいのです。それからなおいろいろむつかしいところがあつて研究中であるということですが、研究期間中に首切りの方が先に出ますので、その首切りに対してさしあたりの応急の退職金を渡さなければならない。また渡してもらいたいのです。それは研究が一応の妥結点に到達いたす前の一時金あるいは前渡金というような性格を持つものになりまして、解釈なりの研究が一応妥当な結論に到達したときになつて、初めて退職金というものが出されなければならない。さすればここで、先ほど承りたいと思つたように、退職金を出す時期はいつかということを明確にしていただく必要が出て参るのであります。
  84. 中村文彦

    中村(文)政府委員 まず最初の御質問の、退職金を支給する時期はいつだ、明確にせよという御質問でありますが、この点は御承知通り四十数県にわたつて措置でりまして、なお下には管理事務所等がありまして、事務上においてもいろいろ事情がありますので、何日にお支払いをするということはちよつと申し上げかねるのであります。ただ先ほど申しました通り、できるだけひとつ早急に手元に入るようにしたいと存じます。またそれまでのいろいろな対策研究などに時間をとつておる間の一時金の性格を持つものかというような御質問かと存じますが、この問題は先ほど申しまうた通り、七月一日以後の保護の問題、あるいはその他の法の適用の問題等が実は目下研究されておるのでありまして、六月末日までの関係におきましては、RL労務者としての規定その他の適用がありまして、その点につきましては何らの疑義を持つておりません。従いまして退職金の計算その他につきましては、何ら支障がないと考えております。
  85. 加藤充

    加藤(充)委員 そこで次にお伺いしたいのは、労働基準法その他の問題にも関連するのですが、たまたま運悪く、法律には違反しないにしても、人情味のないところに雇われ、住み込まされちやつた進駐軍要員については、私はこの主人はいやだという自由選択はあつたのですか。
  86. 中村文彦

    中村(文)政府委員 お答えいたします。それはもちろん本人の希望なり、先方のテナントの方の意向を聞いて決定いたすのでありまして何の何がしは必ずここへ来てくれというように、強制的に本人の意思を無視してやるというようなことは従来もやつておりません。
  87. 加藤充

    加藤(充)委員 これはずるいやり方で、人情味のない雇い主だと思うのですが、中には予告手当を非常に巧妙に休業措置ということで、三十日の六〇%を補償してやるというようなことになつてしまつて、純粋の予告手当の一〇〇%をもらえない。こんなことであつたら、成田君が言つた最低の三十日の解雇手当ももらえない、こういうようなことになつてしまつて非常に不安だ。しかもこの七月一日の首切りについて退職金が十一月ごろになると、もう夏も過ぎ、秋も終つてしまうというようなことで、われわれはしんぼうできないということを、きのう陳情に来た人々から聞いたのです。進駐軍というのは特別な一体的な性格の雇い主です。そこに持つてつて、情深い人のところでいわゆる行政整理的な措置の平均以上行つておるような場合においては私はいいと思うのですが、それ以下の措置を受けて泣いておる人たちを、ただ個別的な雇用関係ということで抹消してしまつて政府がそつぽを向いておるというようなことでは、無責任きわまると思うのです。今申し上げましたように、個々ばらばらの問題があつたときに、それに対して国家が雇い主の間に調整の労をとるか、あるいは政府がその裏づけをしてやるという気持がなければ、これは不十分だと思うのです。その点を承つておきたいと思います。
  88. 中村文彦

    中村(文)政府委員 第一点の御質問の六〇%の休業手当を支払う措置をして予告手当の措置をしないのがあるのじやないかということですが、この辺はちよつと事情が違うと存じます。休業補償の問題につきましては、実は解雇自体の問題につきまして相当苦情がありまして、相当期間を送つた問題であります。予告手当の関係とは全然関係なく、苦情処理機関でどういうふうな給与に持つて行くかということで実は問題がありまして、これは休業補償の線で行こう、こういうふうな措置を講じられたはずであります。今の予告手当を休業手当で肩がわりするというような考えは、私どもの方では毛頭持つておりません。  次は第三点の御質問の十一月ころ退職金がわたるようなことになりはせぬかというお話だと承つたのでありますが、さよな長期に——三月も四月もかかるような退職金の支給の事例はないと存じます。もしあるといたしますれば、それは先ほども第一点について申し上げましたような退職そのもの、解雇そのものにつきまして多少問題がありまして、いろいろと関係方面との折衝その他に時間を食いましたための支給の遅れ方だというように考えます。普通ならば、大体遅くても二週間くらいのうちには退職金が出るのが普通でありますので、そのようなことはないと考えます。
  89. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは今おつしやつたことに関連して一点だけお尋ねするのですが、雇用主との間に問題が起きて遅れるというような特例の場合だというのですが、その裏返しをいたしますと、どんな條件であつても首を切られてしまえば、早いこと退職金の方に手を出して行かなければならないということをあなたが肯定される。やはり雇用主が軍関係であつても、それは正式な労働関係なのでありますから、いろいろな制限がありましても、労働組合あるいは労働組合を離れた個人の労働者として、雇用主といろいろな條件について折衝を重ねるということは労働者の権利であるはずであります。しかしそういうことが遅れるためにというよりも、今のようなやり方でやられますと、そういう折衝の余地は当然長引いて来ることが予想されるのであります。長引かせないで、その形のままで片づけてしまえというのは、圧制に泣いてしまえということを肯定しているということになると思うのですが、そういうふうな條件とにらみ合して、私は先ほどの質問をしたわけなのであります。今の話では、きまつたら二週間くらいには退職金を出すというふうなことも聞きましたが、結局成行さにまかせて片づけて行くというようなことでは、私は承知しがたい。それでお聞きしたいのは、法的な研究も必要だけれども——基本はそこにありましようけれども、大量の人間が首を切られて生活の問題にぶつかつているのですから、いろいろな法的な措置のほかに、事実的な生活の対策、いわゆる失業対策という大きな面でこれをカバーする配慮が、相手が進駐軍であるから特別に必要なのであつて、あなたは当面の責任者として、一段の決意と方針を持たなければならないということを、私どもはあなたに要望して質問を重ねているわけなのであります。  これはちよつとはずれますが、最後に一点お尋ねいたします。岩国市においては飛行場があるようでありますがそこに最近までに総計六十機余り飛行機が墜落したり、いろいろな飛行事故を起しているというのですが、あの地域の日本人進駐軍要員の中で、公務災害を受けた者に対するいろいろな補償の実情はどうであつたか、御存じであれば承つておきたい。
  90. 中村文彦

    中村(文)政府委員 私うかつと申しますか、さような事実を実は聞いておりませんので、取調べましてお答えいたします。
  91. 田中伊三次

    田中委員長 それでは本日はこを程度にとどめまして散会いたします。     午後零時四十五分散会