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1951-05-24 第10回国会 衆議院 人事委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)     午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 藤枝 泉介君    理事 田中 重彌君 理事 淵上房太郎君    理事 平川 篤雄君 理事 松澤 兼人君       小澤佐重喜君    塩田賀四郎君       西村 久之君    藤井 平治君       中曽根康弘君    成田 知巳君       八百板 正君    岡田 春夫君  出席政府委員         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君  委員外出席者         人事院事務官         (事務総局給与         局研究課長)  尾崎 朝夷君         人事院事務官         (事務総局法制         局審議課長)  鶴海良一郎君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 五月二十四日  委員有田二郎君、西村直己君及び福田篤泰君辞  任につき、その補欠として大野伴睦君、今村長  太郎君及び星島二郎君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 五月二十三日  下館町の地域給指定に関する請願北澤直吉君  紹介)(第二二六〇号)  池田町の地域給指定に関する請願三木武夫君  紹介)(第二二六一号)  大府町の地域給引上げ請願久野忠治君紹  介)(第二二九六号)  大洲町の地域給指定に関する請願藥師神岩太  郎君名一名紹介)(第二三〇七号)  勝山町の地域給指定に関する請願逢澤寛君紹  介)(第二三〇八号)  松柏村の地域給指定に関する請願越智茂君紹  介)(第二三〇九号)  勝間田町の地域給指定に関する請願逢澤寛君  紹介)(第二三一〇号)  足尾町の地域給指定に関する請願戸叶里子君  紹介)(第二三三八号)  勝浦町の地域給引上げ請願森曉紹介)(  第二三三九号)  初声村の地域給引上げ請願松澤兼人君紹  介)(第二三四〇号)  南田平田平両村の地域給指定に関する請願(  西村久之紹介)(第二三四一号)  三島、川之江両町地域給指定に関する請願(  小西英雄君外六名紹介)(第二三六二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  一般職職員勤務地手当支給地域区分に  関する件     —————————————
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。  委員長にしばらくの間おさしつかえがありますから、私がかわつて委員長職務を行います。  ただいまより一般職職員勤務地手当支給地域区分に関して質疑を継続いたします。中曽根康弘君。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 これは一般職地域給の問題ではないのですが、懇談的に人事院の方に御相談申し上げたいと思います。  この国家公務員制度及び人事院制度が行われましてから、日本の官庁機構というものが非常に抜本的にかわつて来たのでありますが、しかしまだ従来の惰性が各官庁に非常にあるようです。たとえばある官庁などの事情を聞くと、任用基準あるいは給与基準というものが、勤務年限とかあるいは就職前のいろいろな経歴というものを勘案して行われているらしいのですが、非常に不均等なものがある。これは現在の恩給制度自体が御存じのように非常な不均等になつてつて昭和二十一年以前のものと以後のものとは、同じ年、同じ経歴を持つてつてもずいぶん違うようになつておるようですが、それと同じようなことがやはり任用基準その他においても依然として行われておることが多い。私のところへどういうかげんかひんぴんとしてそういう陳情が来ます。ある官庁から単独で人事院の方へ公務員陳情行つたことがあるらしい。人事院の方では、そういう不均当なことがあつたのなら、ひとつ実情調査しようというようなお話で、その官庁に対して実情調査資料を要求したらしい。そうしたところが、その官庁の方では、だれがそんなことを言いに行つたかというようなことで、その係の方が非常に怒つたそうで、そうしてその密告というか陳情に来たやつの名前を知らせなければ、その資料を渡さないと言う、そういうことで張り合つているというのが現状だそうです。これは公務員制度あるいは人事院というものができた精神が没却されることになるのではないかと思う。これは給与とは関係ないかもしれませんが、しかし任用基準給与基準に関することでもあるので、その辺は今人事院としてはどうしておるか、これは別な話でありますけれども、お伺いしたい。
  4. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 法制的な詳しいお話になりますと、法制局審議課長参つておりますから、そちらからお答え申し上げますが、実情を申し上げますと、人事院ができまして、新しい任用制度給与制度ができるはずでございますが、新しい任用制度給与制度と申しますのは、これは職階制に基いてつくることになつておりまして、現在職階法の制定をしていただきまして、それでわれわれといたしましては、極力全部の官職を格づけいたします作業をやつておる最中でありまして、近くそれが完了するという現状であります。これに基きまして、われわれは職階制に基く給与準則——給与の法規でございますが、これを現在研究を進めておりまして、おそらくこれは通常国会ぐらいまでには間に合うという見当であります。従いまして、そういうふうになつて参りますれば、これは職階制に基く給与規定でございますから、その職務の困難、複雑、責任程度というようなことによりまして、もちろんやり得るわけでありますが、現在はまだ職階制度ができておりませんので、やむを得ず従前新給与実施本部時代につくりました給与法というものを、ごくぐあいの悪いところは改めまして、なるべく無理のないように運営いたしております。しかしながら現在行われておりまする給与法というものは、どうしても学歴、あるいは経験年数というようなことが主になつて参つておりますので、そういう意味から申しまするならば、まだ職階制度に基く端的な給与制度というものは、確立されておらないというのが現状でございます。今お話がありました点等につきましては、どうも話がずつと給与の点をはずれまして、ある一つ官庁がそういうことを言つたとか言わないとかいうようなお話でありましたが、私今その事実をはつきり知りませんし、そういうことがあるという前提でお話し申し上げるわけにも行かないと思います。往往にしてそういうあやまちはありがちなものでありますが、なるべくそういうことは戒めまして、そうして十分注意して、そういうばかな話はないようにいたしてはおります。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 どうも今の御答弁では釈然としませんから、もう少し御質問したいと思います。まず第一に、各官庁ごと給与平均が非常に違うようです。これは今の職階で、ある同じくらいの年月を勤務して、同じぐらいの家族を抱えて、同じくらいの前歴を持つた人で、理想的に言えば当然同じに平準化されなければならないものが、各官庁によつて非常にでこぼこがある。それは特別手当とか、官庁内部で操作して、見えないような形で金を出しているのなら別ですが、そうではなくて、国家から正式にお給金としていただいている平均基準額というものが、官庁によつて非常にバランスがとれていないということがある。ここに現に私は表を持つておりますので、あとであなたに差上げましよう。こういうものをこのまま放置しておいてよろしいのか。これは一体どういうふうにして救済なさるのか。今度新しい職階に対して、給与の裏ずけを行われる場合に、今までの前歴なんかを全部調べ上げて、各官庁一齊にやり直しをやるのか、その場合に今までの既得権は一体無視されるのかどうかというむずかしい問題が出て来る。こういう点は一体どういうふうに編成がえをなさるおつもりかお尋ねしたい。
  6. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 従来の給与はいろいろな不均衡の点があるかもしれませんが、しかしそれも経験年数学歴というような観点から相当整理されて参つておるはずであります。各官庁によつて平均給与が違うということを言われます。それはそういう官庁におきまする職員構成、男女の構成あるいは年齢別構成というようなもの、あるいは学歴別構成というようなものが違いまするので、各庁における平均給というものが違つてつても、しかしそれをもつてすぐ非常にアンバランスであるというわけには参らぬのだと思います。なおもう一つ給与法を施行しておりまする関係上、従来ならば当然昇給ができたというものが、級別定数というようなものが定まつており、そのために上の級に行くことができないというような実情もあります。そのために頭打ちになつているものも相当ある。たとえば電通、郵政関係におきましては、そういう事例があるのであります。こういう点は非常に不合理であるというふうにわれわれ考えておりますので、こういう点の救済につきましては、案は本年の一月一日の給与法の改正のときに、わく外昇給ということを認めまして、ある程度これは救済したはずであります。従いましてそれだけで十分であるとは申しませんが、そういうふうに行われておりますので、漸次バランスは現在の給与法においてもとれつつあるということは、言い得ると思うのでありまするが、ただいまお話のように、新しい職階制に基く給与準則に移行いたしまする際には、やはりそのポジションのデューテイ・アンド・リスポンサビリテイということで再評価して行くということは当然だと思います。すなわち給与準則というものは新しい職階制に基く格づけに応じてきめるということになつておりまするから、そういうことは当然であろうと思います。しかしながら学歴経験年数といいましても、やはりそれは現在の職務に非常に関係が深いのでありまして、中には変なものがあるかもしれませんが、大部分においては、やはり相当相関関係というものは深いと思いまするので、現状をそれほど大きく変更するということにはもちろんならぬだろうと思います。一般的に、統計的に見まして……。しかし中には非常に重要な職務についておられて、なおかつ非常に低い給与をもらつておるというような人がありますれば、そういう人はもちろん職階制に基きまする給与準則に移行いたしまする際には、相当給料が上るということになるのは当然であろうと思います。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 そこで一番大事なことは、各官庁バランスをとるために、人事院の方で何か操作するということはできないか。というのは、たとえば各官庁内部で今まで歴史的にこう流れて来ていますから、実際問題として……。それで今でこぼこが非常にあるわけです。それはつまり号俸が同じなら同じ給料をもらつておることになるのだけれども、それに採用する人間前歴とか、あるいは今までのいろいろな前職の給与とか、いろいろな関係から見て非常にきびしくて、いいやつばかりとつて、しかも基準の低いというところもある。そうでなくて、いいかげんなものでも給料の高くなつているところもある。そういうものをこわすために、人事院というものはできたと思う。そういうものは依然としてそうこわされていないらしい。だから新しい給与準則をやる場合には、人事院の方で何かそういう各官庁ごとの実質的なバランスをとる方法を講じてもらわないと、人事院ができた意味をなさないと思う。そういうことはお考えになりませんか。
  8. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 いつを基準にとつてアンバランスというかということによつて大分話が違うと思います。われわれは現在を過去に比較いたしまするならば、相当程度アンバランスということは是正されておるのではないか。今中曽根さんのおつしやいましたような意味におけるアンバランスは是正されているのではないか。たとえば現在の給与法ができます以前におきましては、給与というものは何も法律に基いてやつてつたわけではありませんので、各省各庁の秘書課長あるいは人事課長というようなところで任意におとりになつた。たとえば同じ大学を卒業しまして、その当時は高文制度というものがあつたのでありますが、高文試験を通られて入つて来られた人々に対しましても、各省でその給与が違う。ある省が非常に給与がよいと、そういうところは志望者が多いというような実情もあつたわけであります。また昇給規程等も全然各省各庁で任意にやつておられましたので、そういうことは当然あつたわけであります。しかし給与法が出ましてからは、やはり級別定数でありますとか、昇給基準というものをはつきり定めて、各省各庁の統一をはかつておりますので、そういう過去の実情というものは相当程度是正されておると言い得るのではないか。しかし最もきびしい立場から現在を見ますならば、まだまだ不備な点がたくさんあると思います。従いましてわれわれは、職階制に基く給与準則に移行いたします際には、その職務責任あるいは複雑、困難の程度ということを基準にいたしましてすべて給与体系を組み立てて参りますならば、そのときには、極言すれば、そこで従来と非常に趣をかえるというふうにもいえまするし、また再格づけ、全部従来のものを御破算にするといつても、もちろんさしつかえないということになるのでありますけれども、なほ一方で考えてみますと、たとえばある省の課長というような人が、従来と非常に給与が違うかというと、そうは行かないので、従来その課長さんがその職務につくのに、学歴あるいは経験年数というものを基準にして、漸次昇進して参つて、そういう課長になつておるということでありまするけれども、やはりその程度学歴あるいは——何も学校を卒業しておるということに拘泥いたしませんがその程度の学力というものと、その後における経験、その程度の能力というものがやはり要求されておる仕事でありまするから、それほど違うというふうには考えられません。こういうことを申し上げておきます。
  9. 中曽根康弘

    中曽根委員 前から比べると、非常によくなつたということは、私もよく知つております。しかしそれでもまだ全部統一されたというわけではないので、形式的な平準化の外に、もつと実質的な平準化といいますか、その人の前歴や年、そういうものをもう少し考慮して、実質的に平準化されるような考慮を、今度の新しい給与改訂をやる場合に、ぜひこれは考えていただきたい。そういうことを私は申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、ある官庁から人事院の方へある人間が、こういう不合理があると言いに行つた場合、そういう不合理は実際あり得ないはずだが、ではひとつ資料をとろうというので、ある官庁資料をとりに行つたら、そんなけしからぬやつがおるなら名前を知らせろ、名前を知らせなければ資料をやらぬ、こういう事実がある。こういうことは、人事院としては一体どういうふうに処置なさるつもりでありますか。
  10. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その具体的なお話をどうも私はよく知りませんもので、仮定の話のようなことになりますが、先ほども申し上げましたように、そういうことはあるはずはないというふうにわれわれは思つております。しかし万が一そういうことがありました際には、それは相手の官庁に反省を求めまして、そうしてその資料はとるということは、もちろんやるつもりであります。
  11. 中曽根康弘

    中曽根委員 その公務員が心配をしておることは——これは先ほどあなたに御相談的に申し上げたいといつたところですが、自分の名前が知れると首になつてしまう。あなたは首をかしげるけれども、実際官庁というところは、それくらいまだ封建的である。それで先生はびくびくしておる。暮夜ひそかに私のところに来まして、こういう事実があるので、とてもまだ封建的で困る、何とか助けてもらいたいと、戦々兢々として言つて来ておるわけです。こういうことはあまり感心したことではないのであつて国家公務員制度人事院というものができた趣旨に反すると思う。その件は私はあとであなたに本人名前を申し上げてもよろしゆうございます。あるいは資料を差上げましよう。これは本人が傷つかないように、しかるべく善処していただきたい。それを機縁にほかの官庁にも、そういうことを反省するような機会が与えられれば、私は国家のために非常に喜ばしいと思います。  それからその次は地域給の問題でありますが、いろいろ基本的な問題やその他については質問が終りましたから、私は私の関係しておる一つ中小都市の実例を申し上げてみたいと思います。一番問題が多いのは中小都市だろうと思います。たとえば県庁所在地とか、あるいは大きな市とか、そういうところよりも、実質的に生活が苦しくなつておるのは、その土地特有の現象があるために苦しい、そういうケースが案外考慮されていないのではないか。たとえば温泉場であるとか、そういう著名なところは割合考慮されておるようです。しかしそうではなくて、地方の、たとえば地方事務所所在地であるとか、あるいは特別の官衙があるところであるとか、そういうところは案外考慮されていない。そういう中小都市に対しては、どういうお考え方で今度の格づけをおやりになりましたか。ちよつとお聞きしたいと思います。
  12. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれの方の格づけの原則を申し上げますならば、これはもう何回か繰返して申し上げておるわけなのでありますが、特別CPSというものを元にいたしまして、それからつくつた地域差指数というものがございます。これは全国で三百八十都市くらいでありますから、数は非常に少い。一つ府県で申し上げますれば、四箇所ないし五箇所程度のところが、この特別CPS施行地になつておるわけであります。従いましてこの特別CPSから求めた地域差指数というものが、各府県に四つないし五つあるということになります。これを一つの基幹といたしまして、根幹といいますか、われわれかぎの都市というふうに言つておりますが、それを一つの根つこといたしまして、それに府県からわれわれがお願いしてつくつていただいた、その都市生活事情というようなものを基礎にいたした、府県内における都市順位表というものがございます。この両者をかみ合せてやるということが、われわれの作業の基本でございます。従いましてCPS地域差指数というようなものから見ても非常に低い、そういうところが、府県順位表都市名前が並んでおりますが、こういうところにずつと来ておるといたしますれば、それからさらに低いところにあるような都市というものについては、当然今回は考慮が払われなかつたということになります。従いましてある都市に、それが府県地方事務所所在地であるというようなことが、かりにありましても、やはりそういうように府県順位表でずつと下になつており、しかも地域差指数から見ましても、やはりそれを特に取上げることができないというようなところは、もちろん今回の指定から落ちておる、こういうことになつております。
  13. 中曽根康弘

    中曽根委員 特別CPSというものも全部の都市を調べたわけではないのでありまして、多少任意的に選んだところが非常に多いだろうと思います。それから地域差指数というものも、はたして全部の各都市について調べて、そういう横断線でもつくつておやりになつたかどうか知りませんが、私はそれほど確実なものでないと思う。大体県庁が出したもの自体も、それほど正確なものであるとは思えない。割合に政治的な数字も、実際的に調べてみると出ておるようであります。そこでどうしても客観的な科学的な基準というものが、なかなか見出せない。そうなると具体的にいろいろ陳情のあつたところは、人事院の人が直接出向いて調べてみるなり、あるいはそういうところについては特別の何か調査方法でも講じておやりになつて、そうしてこれはだめだ、そういうふうにお考えなつたのなら、これは振られたところもある程度あきらめがつく。ところが一生懸命にそういうふうな実情を訴えても一向聞かれない。単に形式的な一片の調査くらいで済まされたというのでは、公務員としての生活が維持されないというところがあると思う。たとえばある工場がある、あるいは特別の産業がそこに発達しておる、あるいは地域的に見て交通の関係が非常に不便であるとか、あるいは便利であるとか、そういうようないろいろな問題や、あるいはもう一つ大きな問題は、産業が季節的に非常に動いておるというところ、たとえば養蚕をやり出して非常に景気がよくなるときと、景気の悪くなるとき、そういうことは全国都市によつてずいぶん千差万別の差がある。そういう特殊事情を持つたところをどういうふうにして正確にとらえるか。この点は人事院としてどういうふうに御考慮なつたか、もう一回承りたい。
  14. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 全国で三百八十都市特別CPS調査地では、非常に少いのではないかというお話がございました。これはまことにごもつともなわけでありまして、多ければ多い方がいいということは、もちろん申し上げられます。しかしこれは総理府統計局任意抽出法という方法でやつてもらつておりますから、数はそれくらいでありましても、なおかつ全国的な関係をわれわれはとらえ得るという自信を持つております、もちろん調査というものはすべて万全というわけには参りませんし、それが含んでおる標準的な誤差というものはあり得るわけであります。従いましてそういうことは、当然数字を読みます場合に入れて読んでおるということでございます。なお特殊な土地、たとえばある産業で一部市が占められておる。そのためにそういう産業に従事いたします職員はその購買施設とか、あるいは福利施設等を利用いたしまして、そうして比較的安く生活しておる。そういうものがCPSに反映いたしまして、低く出ておるというような場合があるわけであります。そういうときには、もちろんそういうことは十分考慮いたしまするし、CPSの対象になりましたある都市が、たまたま季節的に非常に変動があるという場合には、もちろんそういうことも考慮に入れるわけでございます。たとえばある都市観光地である。そのために春から夏、秋の初めごろにかけまして非常に物価が高騰するが、そういうときがたまたま調査の時期にあたつていなかつたために、その都市としては非常に低く数字が出ておるということもあり得るわけであります。そういうときにはもちろん考慮に入れるのであります。従いましてわれわけが数字を読みます場合に、もちろんいろいろな数字を加えておるわけでありますが、全国に一万四百ほどありますすべての市町について、それを一々精細に調べたかということでありますならば、そこまでは何としてもわれわれの調査陣をもつては届かなかつた。従いまして府県順位表というものに相当重点を置きまして、これを使つておるというわけであります。もつとも府県順位表というものを、頭から信用してのんでかかつたかというと、そういうわけではございません。われわれがいろいろ研究しております途中におきまして、非常にどうも納得が行かないというような場合におきましては、府県に照会を発するなり、われわれが直接出向くなりして調べております。また府県順位表がどうもおかしいというような場合には、さらにもう一度よく検討して、順位を訂正する必要がないかというような注意ももちろん喚起しております。すべての府県に対しまして、三回ないし四回にわたりましてそういうことはやつております。従いましてわれわれは、これ以上はやはり府県から出ておるものを、一応はこの基礎において使わなければならないというふうに考えております。また陳情がありましたところはよく事情がわかつておるという事実はございます。しかしながら陳情がないところにつきましても、そういう陳情がなかつたために損をするということがあつてはいけませんから疑念のあるところにつきましては、われわれ出向きまして直接調査いたしておりまして、その点は十分注意してやつたつもりでおります。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員 今度の表に漏れたところで、そういう非常に独特の事情のあるところはないとはいえない。従つてそういう独特の事情のあるところで漏れたところに対しては、何らかの方法でこれを調べてみるとか、間に合わぬけれども念のために調べてみて、次の修正のときにそれを是正するという考慮をおやりになりませんか。
  16. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 給与法によりますと、人事院はこの地域の生活費の差等差等につきまして、絶えず調査研究しなければならぬという義務があるわけであります。それで今回つくりました案は、人事院の能力をもつていたしますならば、われわれは最善のものであるというふうに考えておるのであります。しかしながら今後におきまして、やはり経済事情の変化、あるいはいろいろな事情がございまして、改訂を適当とするというようなところがある場合には、もちろんやらなければなりませんので、今後におきましても、人事院は絶えずこの問題を研究いたしまして、そうして次期の適当な機会に、やはり相当改訂を加えて行くという用意はあるわけであります。
  17. 中曽根康弘

    中曽根委員 次期の適当な機会というのは、大体どれくらいの期間になりますか。それも非常に重大な関心事になつておりますから……。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 時期ははつきりと申し上げるわけに行かないのであります。人事院がそういうふうに考えましても、国会ではなかなかお取上げにならないというような場合も往々にしてあるわけであります。しかしわれわれがそういう問題を取扱うといたしますならば、やはり地域給の問題だけを取上げて今後やるということは行かないだろうと思うのであります。今回地域給の法規というものが出されておりますが、これは実は昨年八月にわれわれが勧告いたしました八千五十八円べースの勧告の一環でございます。これが本当の一月に実施されまして、この問題だけが残つたということになるのであります。われわれは次期の給与べース引上げの際には、やはり総合的に俸給表の問題のみならず、扶養手当でありますとか、あるいは地域の区分、あるいは支給率の問題でありますとか、またそれに伴います、およそ給与体系関係のあります問題を、すべて総合的に考えるわけであります。そういう際に当然この問題は取上げるべきであるというふうに考えております。
  19. 中曽根康弘

    中曽根委員 私が知つている範囲でひとつ申し上げたいのですが、それは群馬県の富岡という町であります。この富岡の実情につきましては、すでに給与局の方に数回にわたつて陳情を行つているはずでありまして、ここで私はこまかく申し上げません。この町は群馬県でも有名な養蚕の中心地で、製糸工場が非常にあるところであります。しかも群馬県というところは、御存じのように非常に仁侠の精神の発達したところで、よい越しの金は使わぬというところです。しかも養蚕の中心地というのは、最近は蚕の景気が非常にいい。そのかげんで非常にはでなところになつている。これは一種の観光地によくにて来ているくらいにはでなところである。そういう特別な事情がありまして、高崎とか、前橋とか、あるいは倉賀野とか、今度ここに載りましたところと実際はそう大差がないような生活事情にある。そのほかこの町は沖電気であるとか、あるいはいろいろな工場があります。これは戦争中疎開された工場がかなりあります。あるいは御存じのようにもう一つ大きな問題は、こんにやくの産地なんです。こんにやくというのは、非常に相場と投機の対象になつておるわけでありまして、これも非常に最近もうけておるわけであります。そういう影響から、公務員生活は非常に圧迫されて、ほかの都市と均衡を失しているようにわれわれは考える。私も群馬県下の各都市を見てみまして、この町は特にそういう景気がいいといいますか、物価が高い。そういう事情にあるので、給与局の方には、私はお願いに行つたことがあるのでありますが、今回は遺憾ながら漏れております。県の順序からしますと、ちようどこれがボーダー・ラインになつておりまして、もつとも県庁が提出いたしました一つのグループ別から見ますと、ボーダー・ラインであるとか、あるいは違うグールプも入つておるわけであります。しかしこの都市は、人事院の方においてぜひもう一回調査してもらいたい。この法案をわれわれがどうするかということは、党によつてきめて来なければならぬと思いますが、しかし漏れても、あるいは修正されるにしてもされないにしても、ぜひ人事院の方ではもう一回調べて善処していただきたいということをお願い申し上げておきます。
  20. 成田知巳

    ○成田委員 ただいまの質問に関連して二、三お尋ねいたします。最初給与ベースの問題であります。前の委員会で官房長官か給与局長に、私は最近の民間工場の賃金の値上り、物価の高騰から考えまして、もう給与ベースの引上げの時期が来たのではないか、こういう質問を申し上げたところ、今資料調査中である、こういう御答弁であつた。それからきのうの予算委員会で、講和会議の前後に予想されます臨時国会で補正予算案を出す。その補正予算の中に公務員給与ベース引上げの予算も考えておる、こういうことを政府は答弁しているのであります。政府がすでにそれほどの心構えを持つておるのに、公務員給与の実施について重大な責任を持つておる人事院が、まだベース勧告についてはつきりした態度をとらないということは遺憾だと思います。もう時期が来ておる、近く勧告なさるのが当然だ、こう考えますが、いかがでございますか。
  21. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれ事務的には十分準備を進めておるのであります。しかし現在まだ完結しておるという段階ではございません。これはいろいろ問題がございまして、われわれのやつておりまする仕事というものは、すべて予算に関係がございます。予算がなければなかなかできない。毎年民間の給与調査ということを五月にやつております。これは新年度の予算を使いましてやるわけでございます。五月という月をなぜ選ぶかと申しますると、五月は、比較的に季節変動から見ますと平均的な月である。新しく入つて来る者も大体四月に入つて来る、落ちついた月であるというので、五月をとつて、五月並びに十一月というような月が調査の対象としては非常によろしいので、そういう月をとつて調査することにいたしておるのであります。ところが今年はいろいろの事情もございまするので、特にそれを繰上げて本年の三月分についてそういう調査をやつたのであります。これはやはり新年度の予算を使うということで、その新年度予算が使える最も早い時期はいつかと申しますと、四月の中旬ごろであります。その一番早い時期を選びまして、この時期にやり得る最も新しい調査の対象となる時期はいつかということを考えましたら、三月であります。従いまして三月について調査をやりました。この結果が大部分まとまりまして、今集計の最後段階にあるというのが現実の状況でございます。従いましてわれわれといたしましては、作業は遅滞なく進めておるというのが現実の状況でございまするが、しかしいつ勧告するかというような事情になつて参りますると、この前総裁も申し上げておりまするように、まだ明言する時期に達しておりません。
  22. 成田知巳

    ○成田委員 今の御答弁で、予算との関係があるから、そのにらみ合せを考えてやるということでありましたが、従来人事院側は、予算の問題は政府、国会がやる、人事院としては科学的な客観的な調査に基いて、公務員法に規定している五%以上の上昇があれば当然勧告するのだ、こういうことをしばしば言つておられたのです。従つてそういう予算の問題は一応切り離して、現在の作業でそういう結論が出たとすれば、当然勧告なさるのがほんとうだと思いますが、いかがですか。
  23. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ちよつと私の言葉が落ちまして、十分御了解いただけなかつたので、繰返して申し上げますが、予算と申しましたのは、われわれが調査をいたしまするために必要な予算のことを申し上げたのであります。全体の予算のことではないのであります。その調査をいたしまする予算を最も早く使い得る時期に本年はやつておる。でありますから、準備といたしましては万全を期しておるということを申し上げたまででございます。
  24. 成田知巳

    ○成田委員 現在判明しましたその作業の結果によりますと、大体勧告の必要があるというようにお考えになつておりましようか、どうでしようか。
  25. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまも申し上げましたように、この作業はほとんど完成の段階に達しておりまするけれども、まだまだ完成いたしておりません。従いましてそのことは申し上げかねるのでございます。
  26. 成田知巳

    ○成田委員 では、地域給の問題について二、三お尋ねいたします。実施期日の問題でございますが、勧告には御承知のようにブランクになつております。この前の官房長官の答弁では、六月一日の予定だと言われたのですが、先ほども御答弁のあつたように、せつかく万全を尽してあとう限り合理的な地域差というものを考えられたとすれば、暫定的な措置を一応これで改めるわけなんですから、一月一日に遡及してこれを実施されるのが正しいのじやないかと思いますが、これについていかがでしようか。
  27. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この問題は、実を言えば、ほんとうは予算のわくはもうきまつておるといわなければならぬ問題じやないかと思うのです。と申しますのは、本年の一月一日に施行されました給与法というものがあるわけでございまして、それに暫定的に地域給は二割五分、一割五分、五分ということできまつております。今回の地域給の勧告は、その中の地域を改訂するということだけが残されておるわけでございますから、そのために予算をふやすということは、そのときにはなかつたのではないかというふうにわれわれは思つてつたのでございます。ところがまずいろいろわれわれが作業をやつて参りますとなかなかそうは参らない。給与行政上バランスをとるといいましても、従前——従前と申しまするのは本年の一月以降でございますが、暫定的にきめられております率をさらに下げるということは、何と申しましても給与行政上好ましくないというような事情が起つて参りまして、われわれのやりました作業は、下げる方は下げないで、上げる方だけ上げておるということになつております。従いまして、これは最初予定されましたものよりも予算が相当かかる。何回か申し上げておりまするように、これは年間を通じまするならば約八億ないし九億程度の予算増を要する問題であります。従いましてそういうような問題をわれわれ遡及してやるということは、とてもできたものではない。むしろわれわれといたしまするならば、これは政府の方の御都合で何とか予算のやり繰りをしていただきまして、できるだけ早い機会にやつていただきたい、こういう申出をしたわけでございます。
  28. 成田知巳

    ○成田委員 今予算のわくを非常に御心配なさつておるのですが、この前官房長官に私が質問いたしましたところによりますと、政府側としてもまだはつきりした予算はわからない、現在地域給参つておるところの予算を先に食つて、そうして足りなくなれば臨時国会に補正予算を出すのだ、こういうことを言われておるので、相当弾力性があると思います。今給与局長も言われたように、せつかく現状よりも下げないで、合理的に検討した結果、上つている物価もたくさんあるのですから、この合理的な地域差というものを当然一月一日に遡及して、差額をバツク・ペイするという形をとるがほんとうだと思います。たとえば麦とか小麦についてもバツク・ぺイの問題が出て、またやつた事実もあつたのですから、当然差額は支給すべきだ、こう考えますが、いかがですか。
  29. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、新しくきめますことをバツク・ペイするということは給与行政上どうもとり得ない原則である。すなわちわれわれが勧告いたしますものはこの勧告以降の問題でありまして、以前にさかのぼるということは給与行政上原則的に容認しがたいと考えております。
  30. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それではちよつとお伺いしますが、給与体系一つとして地域給の問題が取上げられておりますが、この間のあなたの御答弁並びに岡崎官房長官の答弁によると、この間の給与ベースの勧告はこれで完結をしたというお話でありました。その給与ベースは、何月から支給することが妥当であるとお考えになつて御勧告になつたんですか。
  31. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 あの給与勧告につきましても、時期は明示してないのであります。人事院としましては、なるべく早い時期に勧告を実施してもらいたいという申出をしているわけです。
  32. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 明示してないことは私もわかつておるのですが、しかし大体十二月に勧告されるならば、あの当時において少くとも一月からこれが実施されるべきである、こういうお考えであつたのだろうと一応考えられる。少くともなるべく早い機会ということになれば、十二月ないし一月ということになるだろうに思うのですが、あの給与ベースが実施される中で、その一部分である地域給だけがあとになつて延びてしまうということになれば、勧告の万全を達し得ないと思う。もらう方の公務員の側とすれば、その足らない分しかもらつておらないということになる。やはり給与べースがここで完結されるということになれば、一月から実施になつている給与ベースに合せたように地域給の支給されるのが人事院として望ましいのではないですか。どうですか。
  33. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 あのとき官房長官が言われましたことは、この地域の区分の意見の申出があつたので、地域の区分を改訂するということによつて、これで今回の一応の一段落がつくのだということを申された。われわれもそういうふうに了解しておるのです。すなわちあの一月一日から行われましたものは、われわれ八千五十八円の勧告をいたしたのでありますけれども、あのときにも申し上げましたように、十二月の公務員平均給与がいくらになつておるかということを調べてみました結果は、年末給とかあるいは勤務地手当を除きまして、平均七千二十円ないし三十円という数字であつたわけです。(「岡田さんが言われるように、望ましいと答弁した方がいいよ」と呼ぶ者あり)人事院としましては、なるべく早く実現されることを望んでおります。
  34. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それは人事院としては望ましいだろうと思います。われわれもそういうふうに望んでいるのです。それではなぜ期日を一月一日というふうにお入れにならなかつたか。先ほどから、予算上の見地については自分は考えていないとお話なつたけれども、われわれから考えてみると、この期日を書き入れていないということが、予算上の点を考えている証左である、こういわざるを得ないように感じるのでありますが、日にちをことさら指定しないことについて、それ以外の理由が人事院におありならば、その点をお伺いいたしたいと思います。
  35. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、なるべく早い機会にこの勧告が実現されることを希望しておるわけなのであります。しかし政府の予算やいろいろ都合もありましようから、これはなるべく早くやつてもらいたいということで、特に時期は明示しなかつたわけであります。
  36. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 予算上の理由はないのでしよう。それ以外にあつたのではないのですか。今のお話だけを伺つておると、人事院は予算上の点を考慮して、具体的な期日を書き入れなかつたのだというような御答弁としか受取れないわけであります。私が伺つたのは、人事院は、予算上のことは考えておらないのだろうから——期日を明確に指定しなかつたのは、人事院としては予算上の点を考慮して期日を入れなかつたのじやないのであつて、勧告の日を入れないというのは、何か別の人事院の理由があるのであろうから、その理由があるならばお伺いをいたしたい、こういうふうに伺つたのであります。
  37. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、なるべく早い機会にやつてもらいたいという一心でありまして、別に理由はないのであります。
  38. 成田知巳

    ○成田委員 次に二、三お尋ねいたしますが、消費者物価地域差指数をおつくりになるときに、内閣統計局の資料に基いたと思うのでありますが、私が聞いたところによりますと、特に北九州工業地帯、炭鉱地帯でありますが、調査の対象がどういう世帯をもつてつておるかと申しますと、百人調査するといたしますと、はなはだしいところは七割とか八割を、その大きな炭鉱、工場に勤めている民間の家庭を調査の対象にとつている。そして本来この地域給の対象になるべき官公吏は五人か六人しかとつていない。こういう不合理があるのですが、この事実は御承知でございますか。
  39. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは不合理といいますかどうですか、その事実は知つております。
  40. 成田知巳

    ○成田委員 その事実を知つておられるとしたら、非常に不合理なのであります。何と申しましても大きな工場、炭鉱の労務者といいますと、賃金も非常に高いし、また実物給与も受けている。さらに共済組合の非常に安い物資の配給を受けている。こういう人々を対象にして、こういう恩典のない官公吏をほとんど調べないで調査をされると、非常に不合理になる。その事実を知つておられるならば、その調査に基くこういう統計表というものは、不合理な結果になつて来ると思いますが、いかがでありましようか。
  41. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 公務員の立場から、これが公務員生活実態であるというふうにもし見えるならば、まことに不合理であると思います。しかし内閣統計局でやられます特別消費者価格調査というものは、もちろん人事院の依頼もあることでありますけれども、やはりその年における平均的な消費状況というものをつかむことが目的でありますから、炭鉱等におきまして、そういう共済組合の施設等を利用し得る人が多ければ、やはりそういう平均が現われて来るのはあたりまえのことだと思います。しかしながらわれわれはそういう場合には、先ほどから申し上げておりますように、そのままその数字を読むということはいたしておりません。たとえば八幡でありますとか、北九州の筑豊炭田地域でありますとか、大牟田でありますとか、そのほか全国にいろいろあるわけでありますけれども、そういう場合におきましては、やはりそういう実情があるということを十分考慮に入れまして、そういう数字を読んでおる、こういうわけであります。
  42. 成田知巳

    ○成田委員 それからいただきました資料でありますが、二十四年の五月、二十四年の十一月、二十五年の五月をとつていらつしやるのですが、この三回の指数の算術平均をとつて地域差というものをお定めになつたのでありますか。それとも物価指数の上昇率を考慮されてやつたのですか。
  43. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 二十四年の五月と二十五年の五月をまず算術平均いたしまして、それをさらに二十四年の十一月と平均したわけであります。すなわち五月と十一月は、大体におきまして全国的に見て季節変動的に安定した時期であります。しかしながら五月と十一月ではまたかなり違いますから、従つて五月を平均して、十一月とさらに平均した、これが基本になつております。幸いと申しますか、二十四年の五月から二十五年の五月にかけましては、経済的にあまり大きな変動がなかつた。不十分ではありますが、割合安定しておつたという事情があるわけであります。従いまして二十四年の五月と二十五年の五月の数字平均するということが、意味があるというふうにわれわれは考えた次第であります。そういう数字と、さらに十一月の数字平均いたしますならば、それはもちろん先ほど申しておりますように、例外はございますが、一般的にはそれの年間の平均指数というふうに見得るということを考えた次第であります。しかしながらその数字を読みます場合に、今仰せになりましたように、二十四年の五月、十一月から二十五年の五月というふうに、指数が上昇傾向にあるというものにつきましては、やはり考慮を加えております。
  44. 成田知巳

    ○成田委員 それから具体的に個々のものに当つてみますと、でこぼこな、権衡を失した点があるのであります。私の県のことを言うのは、いかがかと思いますから申し上げませんが、たとえば秋田県の秋田市は二十四年の五月が八三・四、二十四年の十一月が八〇・八、二十五年の五月が八三・一となつております。ところが同じ秋田県の横手町では、二十四年の五月が八五・八、二十四年十一月が八二・三、二十五年五月が八五・六というふうに、秋田市より高いのです。高い横手に地域給がつかないで秋田市についておる、こういう不合理があるのであります。  それから札幌と名古屋を比較いたしますと、名古屋はよ過ぎるというのではないのですが、名古屋は二五%もらつておる。ところが名古屋の指数よりも札幌の指数が大分高いのです。しかも札幌は三級しかもらつていない。こういう不合理があるのですが、こういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  45. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 名古屋と札幌でございますが、名古屋は確かに仰せの通り指数が低いのであります。しかしこれはわれわれは二大原則といたくまして、CPSからとつた地域差指数というものを原則として使うということは、申し上げたのでありますが、さらにもう一つ本年の一月以降の支給率を下げない、こういう一つの標準が入りましたので、名古屋の場合におきましては、そういう標準のために、二割五分を維持しておるというのが現状であります。ところが札幌はどうかと申しますと、従前は乙地でございまして、五%というものがついております。これは指数から見ますと、非常に不当でございますから、指数で適当と考えられる一五%にいたしたわけであります。  それからもう一つ、秋田と横手の例でありますが、これは横手はなるほど秋田に比べまして指数は高く出ております。しかしながらこの横手の指数といえども、われわれが考えます五%に比し得る指数の範囲に入つておらないのであります。秋田は従前五%ついておりましたから、そのままの実績が残つた、こういうことになるわけであります。
  46. 成田知巳

    ○成田委員 従来の既得権は保護してやるという御趣旨はけつこうで、私は決して名古屋は高過ぎるとは思いません。何と申しましても、科学的に御調査になつて、それがこの数字になつて現われるといたしましたならば、名古屋が二五%であるにもかかわらず、それより高い札幌が一五%というのは、少し低過ぎるのではないか、せめて二〇%までは行くべきだと思います。数字がそれを証明しておるのであります。名古屋を決して下げろとは言いませんが、札幌の上げ方が少いのです。せめて二〇%までは上げて行くべきだと思います。
  47. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 一番初めのときにも、委員会でわれわれのやりました作業の大方針を申し上げました際に、今回の方針の中におきましては、相矛盾するものがあるということを申し上げた次第であります。その方針を撤回しろということでありまするならば、これはまた話は別になると思うのであります。しかしその方針は、やはりこれは現在の給与行政上、われわれといたしますれば、どうしても撤回することができない方針であるというふうに思つておるのであります。そういたしまするならば、その方針と、それからわれわれが作業をやりまする際のCPS地域差指数、あるいは府県順位等をかみ合して、合理的に科学的にきめて行くということになりますれば、現在の場合としてはこういうふうになる。しかし札幌がなおわれわれが持つておりますその後の資料によりまして、今後改訂を必要とするというような事情がもし出て参りますならば、それは今後においてそういう問題を当然研究しなければならぬというふうに考えております。
  48. 成田知巳

    ○成田委員 御方針々々々と言われるのですが、その御方針は、私たちの聞いておるところでは、既得権は守りたい、あとは何と申しましても、数字の示すところによつて、合理的な地域差をおつけになるのが方針だと思いますが、札幌を一割だけ上げて、名古屋よりも指数が高いのに、二割を与えないという御方針はどこにあるのでしようか。
  49. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは方針を申し上げたわけでありますが、名古屋と札幌を比較して見ますと、二十四年の五月におきましては、札幌は九二・八、名古屋は九二・四、これは大体同程度の指数を示しております。それから二十四年の十一月には、札幌は九三・五でありまして、名古屋は九四・九、こういう数字を示しております。それから二十五年の五月においては、なるほど名古屋は九〇・八、それから札幌は九五・九であります。しかしながら名古屋と札幌を比べると、断然札幌の方が指数が高いということを主張し得るというわけには参らぬ。全体の平均を見てみますと、名古屋は九三・三、それから札幌は九三・九という数字になるわけであります。
  50. 成田知巳

    ○成田委員 そこで最初私が方針としてお聞きしたのですが、算術平均だけではだめなんで、その後の指数の上昇傾向というものが相当考慮されなければいかぬ。それを考慮されたと言われたのですが、そうすると、名古屋の場合は逆なんで、九二・四、九四・九であつたのが、最近の二十五年の五月には九〇・八に落ちている。札幌はどんどん上つている。こういう上昇傾向も加味されるとしたら、少くとも名古屋と札幌とは同じにすべきだ。平均指数が札幌の方が高い。しかもその後の上昇傾向というものを考えましたならば、むしろ名古屋より高くなるのがほんとうだと思うのです。それを一割も差をつけるということに私は疑問を持つのです。
  51. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれ札幌につきましては、現在のこの作業から申しますと、適当なことをやつたということになりまして、名古屋と比較をされますならば、名古屋は下げることを希望しないのだとおつしやるのでありますけれども、これは札幌と名古屋の関係を是正することになれば、札幌を上げるということになるより、名古屋を下げるということにしかならぬと思います。
  52. 淵上房太郎

    ○淵上委員 ただいまの成田委員の御質問に関連して、私もちよつとこの機会にお伺いしたいのです。人事院は東京都内の今日の石炭の値段が幾らしておるか、お調べになつたことがあるかどうか、今札幌の問題が出ましたが、北九州もそうでございます。昨年四千円ぐらいで買えた石炭が、今年は今七千円出さなければ東京では手に入らない。しかるに二十五年の五月の調査は、私どもの最もよく実情を知つておる北九州においては、非常に石炭産業の不振の時期であります。従つてその下請の工場、ことに直方市などは百八十か七十幾つの炭鉱関係、鉄鋼関係の工場があるのでありますが、まつたく不振の状態にあつたのであります。あるいは若松市、あるいは小倉市における機帆船の問題は、御承知のように重油の割当が非常に減らされたのであります。あの機帆船の柱が林立しておる港が、まつたく機帆船が姿を消したというような実情でありまして、あるいは北海道でもそうかもしれませんが、北九州においては特に各会社工場においては人員の整理、あるいはこれに関する争議、あるいは給料の遅欠配が特にはなはだしい時期であつたのであります。ここに御提出になりました資料が出ておるのでありますが、先ほど成田委員お話のように、これは統計局で調べた指数でありますが、人事院としましては、そういう一般の経済情勢を考慮されて、かつ公務員生活状態もあわせて考慮されなければならぬという立場にあるのであります。かねがね科学的にきめるというその根本方針に、そこに非常な矛盾があるのじやないかと思います。先ほど局長の御説明も伺いましたが、お出しになつた勧告は、最善と認めてお出しになつたのでございましようから、撤回してくださいとは私ども申しませんけれども、この指数によつてきめられた勧告そのものが、そこに多少ともおかしい点があるというふうに全然お考えになりませんか、その点をひとつ伺つておきたいと思います。
  53. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれがいたしました勧告は、人事院といたしますれば最善の努力をいたしましてやりました。現在の場合、人事院が望み得る最も合理的なものであると考えておる次第であります。しかしながら今後におきまして、いろいろ事情も変化するということは当然予想されるところでありますし、また給与法でわれわれがこの問題について今後とも研究を重ねて行くという義務が課せられておるわけでありますから、今後研究を重ねまして、今後なお改訂を要するという必要が出て参りました際には、次回にわれわれは給与ベースを勧告し得るというふうな時期に、この問題をよりそのときの事情に合うように直して行きたいと考えております。
  54. 淵上房太郎

    ○淵上委員 その心構えはまことにしかるべき心構えだと思いますが、現在御提出になつておりますこの勧告につきまして、先ほど成田委員からもお話のように、たとえば田川市におきましては、この世帯数百九の抽出の仕方が、炭鉱従業者から出しておるものが七八%であります。炭鉱に生活しておる人たちはいわゆる住宅費、光熱費、一般市民と非常な違いがある。その企業の福利厚生施設の恩恵に浴しておるのであります。一般公務員とは何ら関係がないのであります。こういう人たちの生活費を七八%も抽出して、それによつてできたこの資料によつて統計をとられるということは、私はきわめて非科学的だと思うのであります。成田委員の質問と同じ質問でありますが、将来の心構えはただいまお話の通りでありますが、私が先ほど伺いましたのは、現在お出しになりましたこの勧告につきまして、多少非科学的な点もやむを得ないというお心持がありますかどうかを伺つておるのであります。
  55. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 田川につきましては、なるほどその調査対象の大部分が炭鉱従業者であるということは、これはわれわれもよく知つておるところであります。しかしCPSというものは、全国的にバランスをとることが最大眼目になつております。そのために田川だけ別の調査をする、別にそこだけ公務員を対象としてすることは、全体との関連をとり得ないうらみがございますので、やはり合理的な調査ということになりますと、CPSのような調査によらなければならぬであろうと思うのであります。ただ田川について申しますならば、たとえば二十四年の五月には八七・七%、二十五年の五月が八五・九%という数字が出ておりますが、われわれはもちろんこの数字をそのままに読んでおらないのであります。すなわちここには炭鉱従業者が多くございまして、そういう人が非常に福利施設の恩恵を受けておることをよく知つておりますので、このままには読んでおらないのであります。もしこのままに読むといたしますれば、この田川地区は五%に格づけされることになりますけれど、もすでに従来から一五%の実績が存置しておりますので、この実績の点から申しましても、一五%は当然であろうと思うのでありますが、さらにわれわれはその地区のそういう事情を十分考慮いたしまして二〇%にしておるわけでございまして、この数字をそのままとつておるわけではございません。かくのごとく、われわれはこの作業全体を通じまして、特殊事情というものは十分考慮しておりますので、現在のわれわれの得ました結論に不十分のところがあるというようには考えておらないのでありまして、われわれの達し得る最善のものであると思つている次第であります。
  56. 淵上房太郎

    ○淵上委員 よくわかりました。また最善のものであるという責任と自覚を持つていなければ勧告できないのでありますが、ワイシャツの洗濯代が東京は三十円ですが、田川とか八幡、飯塚、直方では六十円かかります。公務員は女房が洗濯をしましようが、実際はそういうように生活費を必要としておるのであります。あくまでも最善と言われたことはまことに頼もしい心構えでありますけれども、実情は先ほど申しました大企業の福利厚生施設の恩恵に浴した生活をしておる世帯を四分の三も抽出してできたこの御提出の指数であります。ほんとうに人事院公務員生活を保障するという立場から、この統計局の調べにかかわらず人事院独自のお考えで、本来の使命に向つて、もう少し努力して研究することが望ましかつたのであります。あえてこの機会に特に一言申し上げた次第であります。質問はこれで打切ります。
  57. 平川篤雄

    ○平川委員 なかなか政府の提案がされませんので、ちよつと気になつて来出したのですが、一体どうして遅れておるのか。委員長、御承知ならばお答え願いたいと思います。
  58. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 お答えいたしますが、詳しい事情は私もまだ了承いたしておりませんけれども、大体予算関係の問題がありまして、関係方面との折衝のために遅れておるというように伺つております。
  59. 平川篤雄

    ○平川委員 それは人事院が約九億というものを必要とすると言い、官房長官がもし足りなければあとの分を先に使つてでもやると言つておりましたその線がゆらいでおると了解してよろしいですか。
  60. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 お答えいたしますが、官房長官のこの委員会における御答弁の線がゆられているという意味ではないのでありまして、何と申しますか、予算を食い込んで行くということについての多少の疑義が、関係方面にあるやに伺つております。
  61. 平川篤雄

    ○平川委員 参議院でまた審議が行われているということになると、会期一ぱいでは済まないと思います。委員会として非常に心配な点でありますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  62. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 この点は委員長といたしましても非常に心配をいたしておりまして、政府の提案が一刻でも早いことを望んでおります。また田中委員長も、その点につきましては政府側と随時折衝いたしまして、提案の促進方について御努力なさつているようであります。どうぞ御了承願います。
  63. 平川篤雄

    ○平川委員 政府の提案がありましたら、各方面から聞きたいと思つていることなのでありますが、その前に私の質問に関連したことを、人事院の側の立場としてお聞きしておきたいのであります。  まず内閣統計局のやりました調査でありますが、この前の私の質問のときにかなり詳しくお答えをいただいたと思いますが、その中に、これは聞き違いかもしれませんが、内閣統計局におきましても、あの調査を活用することについて、しまいには疑義を持ち出したかのような御口吻があつたように思うのでありますが、そんなことがありましたでしようか。
  64. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そういうことは申し上げなかつたのであります。ただ全国で三百八十都市でございまして、この調査都市につきましても、調査の対象になります世帯の数が限られておりますので、出ました数字というものにはやはり誤差がある。これは抽出統計にいつでも伴う問題であります。従いましてその数字を正確に読むために、やはり標準誤差というものを読む必要がある。こういうことを内閣統計局でいつているということを申し上げた次第であります。  なおこの機会に、前会松澤委員にお答えいたしました中で、数字の違いがありますので訂正さしていただきたいと思います。それは現在勤務地手当を受けている者が国家公務員の数の中で幾らかというお尋ねに対しまして、約七五%ということを申し上げたのであります。これはよろしいのでありますが、今般の改訂によりまして全体でそのパーセントがどれだけになるかというお尋ねに対しまして、約七八%になると申し上げましたが、これは七九・四%になるのであります。なお今般の改訂によりまして引上げ並びに新指定の措置を受けましたものがあるわけでございます。すなわち今回の改訂によりまして、少くも地域給の増額になつたものが五%以上、すなわち本俸と扶養手当を加えました額の五%以上増額になつたものが、全公務員の何パーセントに当るかという数字をたいへん間違えておりましたので、訂正いたします。約九%と申したのでありますが、これは約二三%であります。
  65. 平川篤雄

    ○平川委員 この地域給調査をなさつたのでありますが、一体人事院は同名のスタッフでおやりになつたのでありますか、それをお聞きしたいと思います。
  66. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 地域給調査といいますと、実地調査でございますか。
  67. 平川篤雄

    ○平川委員 こうした勧告の立案その他の各般のことを、内閣統計局以外に実際におやりになつ人事院の事務当局の数です。
  68. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 内閣統計局にお願いしましてやりました調査というものは非常に人員を食つております。これは内閣統計局の局員——集計に従事しておる者もおりますし、企画に従事しておる者もおります。ところがこれは内閣統計局自身がやつたのではないのでありまして、各府県の統計課に命じましてやつております。なお調査員等も府県で雇つておるというようなこともございますので、相当厖大な数に上ると思います。人事院で直接この仕事に従事いたしましたのは、人事院給与局の研究課でございます。人員にいたしまして約三十三名おります。これが実地調査を、ちよつと回数がわからぬのですが、相当の場所に対しまして行つております。しかしこの調査は、あまり調査をやると言わずにやりましたので、調査されたという中で来たかどうか知らぬというようなところが相当あると思います。そのほかに、なおわれわれがこういう作業をとりまとめまするために集計に臨時に雇いましたもの、あるいはほかへ頼みまして集計いたしたものもございますので、その数字は今はつきりただちにお答えできにくいわけであります。そういうものが従事しております。
  69. 平川篤雄

    ○平川委員 先般山下人事官の、費用もないことだしできないというような御答弁でありましたが、一体地域給の問題について必要とせられる予算というものはどういうふうになつているのか、あるいは本年度の予算ではどういうふうになつているのか、それを…。
  70. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 最初は人事院で予算をとりまして、そして内閣統計局へまわしたのであります。これは二十四年度におきましては、二十四年五月のCPSをやります費用が約三千万円、それから二十四年十一月の調査をやりました費用が約二千五百万円、二十五年の五月のCPSをやります費用が約三千万円、それからそのほかにわれわれが直接必要といたしまする府県に依頼等をいたしまする費用を約百万円とつております。そのほか人件費等は別であります。
  71. 平川篤雄

    ○平川委員 今年度はこれはとれておるのでありますか。
  72. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今年度も約百万円とれております。
  73. 平川篤雄

    ○平川委員 そうすると、今のCPSに類するような調査をせられる費用というものは全然ないのですね。
  74. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この点はわれわれ大蔵省へもずいぶんかけ合つたのでありますが、最初こういうものを認めるときの話合いが二十三年ごろになされたわけであります。そのときに、こういう調査はほぼ二回ぐらいやればよろしいということで予算が認められたいきさつがあるように私承つております。従いまして、実際には三回やりましたから、もうこれ以上やる必要はないのだというようなことで、われわれ懸命に事務的には交渉したのでありますが、遂にとれなかつたのであります。また現在の場合におきまして、今後われわれが地域給の改訂をするという際に、またああいう特別CPSというようなものによるのが適当かどうかというようなことにつきましても、今後は技術的に若干疑問を持つております。
  75. 平川篤雄

    ○平川委員 この特別CPS調査の問題については、私自身も先般申し上げたように非常に疑問を持つているのでありますが、内閣統計局その他のところでつくつておりますこの資料のうちで、このような予算を再び計上せずともやれるような資料というものがありますかどうですか。
  76. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 政府側に申し上げますが、今の御質問は、現在の統計局で調べている既存の統計によつて地域給を改訂するために役立つような統計があるかどうかという御質問だと思います。
  77. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 統計局でやつておりまする毎月のCPSでございますが、これは二十八都市つております。これはある程度役に立つと思いますけれども、しかしそれは非常に範囲が狭いのでありまして、全般的に活用するわけに行きません。これはただ傾向等を見る大まかの資料にしかすぎません。それから勤労者世帯収入調査というものを統計局でやつております。これも副次的には参考になりますけれども、しかしこれにたよるということはできない。まあかくのごとくでございまして、現在既存の資料でわれわれが地域給算定のために使用し得る資料があるかどうかということになりますと、ないと申し上げなければなりません。
  78. 平川篤雄

    ○平川委員 そうすると山下人事官の言われたように、全然今後改訂をするためには今弾丸がないということでございますね。そういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  79. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれそういうふうに思つておらないのであります。それはわれわれこの本年度の地域給改訂のためには変算を持つておりまするし、それから漸次人事院地方事務所というものも拡充強化されまして、実地調査をやるということにつきましても、従前は、人事院研究課の職員がわざわざ出向いて調べてみなければならぬという事情がございましたが、今後におきましては、全国に約八箇所ございまして、平均三十人程度職員を擁している地方事務所でございますので、こういう機能を十分活用し得る——これは特に地域給改訂のために新設したものでもないことは申し上げるまでもございませんが、しかし特に費用を支出しませんでも、そういう機能を使用し得るという現在われわれ便宜を持つておりまするので、そういうものを活用して、県内の実情調査するというような便宜もあるわけでございます。今後におきまして、われわれは方法を持つていないというふうには考えておりません。
  80. 平川篤雄

    ○平川委員 このたびわれの委員会の席で、今後も十全を期して研究を続けるとおつしやつたのでありますが、今回の勧告に要しました三回のCPS調査八千五百万円という金が、それじやいらないのでございますね。もうさようなものは、ただ百万円の事務費だけでけつこうだとおつしやるのですね。
  81. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれそういうふうな申し上げ方はしておらないのであります。すでに八千何百万円によりまして、基礎作業というものはできたわけでありますが、これを今後はまたがらりとかえるような地域給の再区分ということは、必要がないというふうに思つております。基礎作業はできたのでありますから、今後はこれを根幹といたしまして、これを基礎にしてかえて行く。一応従来の地域区分というものをもう御破算にいたしまして、そして新しく組立てて行く場合と違いますから、そういう基礎作業に要します費用は要しないというのであります。
  82. 平川篤雄

    ○平川委員 おかしな話であつて、二十五年五月の数字というものは、まあその調べました三百八十都市というものがいいか悪いかというような問題もあるのでありますが、かりにそれをそのままにいたしましても、その数字自体というものはもう役に立たない数字になつてしまつている。傾向というものを見る数字にはなるかもしれませんが、今度新しくこれにどこの地域を加えるとか、あるいはこの不均衡を是正するとかいう場合に役立つ資料であるとは思われない。もしそれをやるとすれば、また改めてそれぞれの都市、町村について調査をなさなければならない。そうすればそれに必要な費用というものは、やはり件数としてはそれだけ必要だ。それが百万円あつたらいい、がらつとかえる必要はないのだから、いらないとおつしやるのは私はどうしてもふに落ちませんが、ほんとうにそうなんですか。
  83. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今われわれは特別CPSのような調査を今後やる予定を持つておらない。かりに今後やりましても、おそらくは正確な申告は期待し得ないのじやないか、いくら言いましても、これはできないのであります。従つてそういうことから、われわれは正鵠を得た資料は、今後は特別CPSというような形はとり得ないのであるという意味から、特別CPSをやる意思もないし、またそれに要する費用というものもいらないということを申し上げたのであります。さしあたり百万円持つているということを申し上げたのでありますが、なお必要とするならば、人事院の予備費というものもございますので、そういう面からも支出し得るという道もございます。今の平川委員のお尋ねでは、それではしかしお前たちの言つているように、全国的にバランスのとれた一つ調査というのはないではないかという御指摘であろうと思うのであります。まあそういうことにつきまして、この調査にただたよればいいというものではございませんが、われわれは、どう申しまするか、やはり賃金の統計、あるいは地方における賃金の統計というようなものもありまするし、それからまた内閣で新しくつくつておりまする小売物価調査というものを府県所在地についてやつている。これはかねて内閣統計局で研究中であつたのでありますが、ごく最近にわれわれがそれを使用し得るという便利もあるのであります。その小売物価調査というものもある。しかしこれにのみたよるということはできませんが、しかしいわゆる従来の地域給をきめます際に、一番根幹にした特別CPSというものはない。そういう意味におきまして、たよるものがないというふうに先ほど申し上げましたが、しかし副次的に使用し得るものは、いろいろ資料があるわけであります。そういうものも使つて行きたいと考えます。
  84. 平川篤雄

    ○平川委員 私は人事院に予算がなくて完全なものができないのではないかということを一番心配をいたしておるのでありまして、できるとおつしやればそれは何をかいわんやであります。先ほど岡田委員や成田委員、淵上委員などからお話がありましたように、また私が先般指摘しましたように、大体個人々々の消費形態というものを中心にする調査というようなものが中心になつておるから、めんどくさくもあつたし、今もおつしやつたように、正しい調査が再び出て来ようとも思われないということがいえるのであります。実際はもう少しすつきりした調査があるように思われるのです。いわゆる薪炭手当でありますとか、あるいは僻陬手当であるとかいうようなものを、別個の体系にして切り離してしまつて、ただ生活にどの程度必要であるかということを調べて行くのならば、物価の調査みたいなものも十分にとつて行けるんだろうと思う。そのような点で確信を持たれて、予算百万円と人事院の予備費でけつこうだと言われるならば、私はそれも了承をせざるを得ないのであります。ただ先ほど申し上げたように、山下人事官の言われるように、何ももうできないんだというようなことを言われたんでは、この委員会の結末はつけられぬ。それから地域給をだんだんだん削減して行く傾向にただいまの経済事情がなつて行くということは、私どもも認めておりまするし、なるべく早くこれは撤廃をされたいと思うのでありますが、今回の勧告においてとられましたような態度を続けて行かれる限りは、絶対に千三百幾らの地域給のついております地域数が減少しないんではないかということを私はおそれる。今度は五段階のものが三段階になりますか、あるいは四段階になりますか知りませんが、それを削減をして行かれるのに、いわゆる既得権ということはおかしな言葉でありますけれども、今までもらつておるものを減らすということは、給与政策の上からこれはおもしろくないと思う。そういたしますと、また先ほど来問題になつております名古屋みたいに、もとの大蔵省の時代についておりましたああしたものもそのまま認められるということになれば、これもむずかしい問題になつて来る。これはどうも抜本的に合理的にあつさりとやつてしまうということができないといたしましたならば、私はこれは減つて来ないと思うのでありますが、どういうふうにして減らされようとするのか。一般給与を上げて行つて、それに吸収させるのはりくつからいえばそうなんでありますが、はたしてそういうことをおやりになれるかどうか。今までの五級地はゼロの中に入れてしまうのだ、そういう点でどういうお見通しの上でやつておられるか。ちよつとその点を聞きたい。
  85. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今後の問題につきましては、さらにわれわれ研究を重ねて行かなければならぬ。従いまして人事院として今方針を決定しておるかといわれますと、なかなかそういうようなことを私はただいまの場合として申し上げにくい点がございます。しかしいろいろ考えられることはございます。今回のように、地域区分の改訂を給与ベースの引上げの際から遅れましてやるという場合には、これは非常に困難な事情があるというふうに見えるのでありますが、しかし地域区分改訂ということが給与ベースの引上げと同時に行い得るというような場合には、あるいは抜本的に行き得るということも考え得るのであります。また今後研究を重ねまして、そうして適当と思われるような地域区分並びに率を勧告いたさなければならないのでありますけれども、やはり方向といたしましては、本俸をふやしまして地域給というものは漸減せしめることが、これは正しい方向であります。その方向に進まなければならぬというふうに思います。しかしただいまのところ、人事院は今後どうする方針かと端的にお問いになられますることに対しましては、確定的にお答えは申し上げかねるのであります。
  86. 平川篤雄

    ○平川委員 先ほど成田委員からお話になりました給与増額の時期なんでありますが、大蔵大臣がきのう予算委員会で言われた給与ベース引上げをやるというこの時期は、非常にいい時期じやないかと思うのでありますが、それにあわせて今不満のあります地域区分を再検討なさるようにやられないと、今おつしやつたことと違つたことになるというふうに私は思います。それは別といたしまして、大蔵省の当局の方で、勧告を待たずして給与の増額をやるということになれば、人事院としてはどういうことになりますでしようか。これは仮定の上に立つた議論でありますが…。
  87. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今のお話は、人事院としましてはなかなか答えにくいと思うのですが、しかしわれわれがやつておりまする作業は大分進捗しておりまして、勧告の時期をはつきり言えということであるならば、それはなかなか現在の場合、その時期は申し上げられないと思いますが、しかしそれをいたしまする準備は着々進めておりますということは言えます。
  88. 平川篤雄

    ○平川委員 その準備が進んでおるというのがどうも合点が行かないのであります。いつでもあなた方の方でおつしやるのは、現在の給与というものは、民間給与等を見ましてそれによつてやるのであるとおつしやることからいうと、五月の統計が集計せられて五%の差ができたかどうかということを見られなければ、この決定はできないのだと思うのでありますが、今のお話を聞いていると、何やらもう勧告すべき時期になつて、それは確信がある、ただその作業が進んでいないからできないんであつて、この作業が終れば勧告ができるんだというふうに聞えますが、どちらですか。
  89. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれが勧告をいたしまする場合に、俸給表をつくりまする際に用いまする原則といいまするものは、これは標準生計費というものと、それから政府の仕事と同じような仕事に従事いたしておりまする民間の職務、たとえば職務内容の酷似しておりまする職務給与というものを調べます。そういうものを調べまして、そうして俸給の上下の金額を定め、それから俸給表というものをつくつて行くのでありまするから、そういう具体的な資料が全部完結いたしませんと、それはなかなか勧告という段取りに行かないのであります。従つて今われわれがやつておりますることは、標準生計費の方は毎月出るわけでありますから、すぐできるのでありますが、ただ民間給与調査の方の収集並びに集計が、本年の三月分について四月十五日以降行つたものであります。大馬力をかけてやつておりまするが、現在のところはその集計の最後段階にある、こういうわけであります。ただ毎月の勤労統計でありまするとか、あるいは毎月行つておりまする消費者価格調査というようなものについて、ある程度生計費が昨年の五月に比して高騰しておるというような状況は十分存じておりまするが、それからただちにわれわれの俸給表が算出できない、こういうことであります、
  90. 平川篤雄

    ○平川委員 そこまで進んでおるということになれば、その際の地域給はどういうふうに扱われるかという大体の方針はわかるわけでありますね。人事院給与体系というものを常に重んじられるのでありますから、その新しい勧告をすべきときには、一体今出ております地域給の勧告というものはどういうようなお取扱いになりますか、そのまま残るのでありますか、それともその際にまた再検討をして新しい観点で行くのか、あるいはまた五分くらい幅が狭まるのか、そこらについて何もお見通しがないはずはないと思いますが、どうですか。
  91. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 どうも話が、次第に追いつめられて、非常に苦しいのでありますが、われわれとしましては研究を進めております。しかしそういう最後的なことになりますと、やはり人事院といたしましては、人事院会議で最高方針がきまるわけでありまして、現在のところはわれわれ事務当局といたしまして、いろいろ研究を進めておるという段階でございまするから、御了承願いたいと思います。ただわれわれの研究の結果によりますると、一般的には地域給の差というものは漸減しつつあるということは申し上げられると思います。
  92. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 平川委員に申し上げますが、ただいまの御質問は、いずれ法案の出ました際に人事院総裁、その他の人事官も御出席になりますので、そのときにあらためてお聞き願つたらいかがですか。
  93. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 関連です。平川君から問いつめられて、瀧本さんもつらいところらしいのですが、私らの聞きたいところも、実はその点にからまつて来るわけなのであります。今のところ事務的な操作としては、上げるべきかどうか、勧告すべきかどうかという判断が、まだ事務的には出ない、こういう点は実はよくわかります。しかし調査する、先ほど成田君への答弁にもあつたように、ことさらに一月早めて調査をしなければならないという気持に人事院なつたというのは、これはやはり現在の賃金では食つて行けないのだろうという一つの目途があつたから、その上に立つて調査をしておるのだ、そういう食つて行けないような現在の賃金が妥当でないという一応の見通しが立つておるのではないかと思いますが、この点はどうでありますか。
  94. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは各種の指数を見まして、ことしは例年に比べて少しスピード・アップして、いろいろな準備をする必要があるというふうに人事院は感じたわけでありまして、準備を進めたわけであります。ただ人事院人事院が俸給表を五%以上上け下げする必要があると認めた場合に勧告するということになつております。
  95. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、最後的な判断はそれがなければできないということになるのですか。しかしともかくもいろいろな指数が上つているということになると、だから調査をしてみなければならぬということになつて、それを四月の中ころからやり始めた。そうすると、今度の地域給が実施されるのは六月一日であると仮定するならば、この六月一日から行われる地域給というのは、前の賃金体系のときの地域給、そうすると少くとも一月に行われた賃金体系とはおのずから別個のものになつて来なければならない。そこで、いろいろな指数が上つているから、当然これは新たな給与体系ができなければならぬとするならば、少くとも六月現在において実施され、これによつて完結される給与体系は、地域給を含めて現在において妥当なものでないということも、一応はいえることになるわけだろうと思います。この点についてはいかがですか。
  96. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれの地域給の勧告は、昨年五月現在でやつておるのであります。しかしながら、そうは申しましても、それ以後において朝鮮動乱等の影響もありまして、地域的に部分的にやはり困難なところもありますから、そういうところは可及的すみやかにかえて行きたい。
  97. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは法案が出たら詳しくやりますが、私は昨年の五月に出されたものならなおさらだと思う。今私は地域給をもらう側の立場に立つてお伺いしておるのですが、去年の五月に行われた地域給の勧告が今六月になつて行われる。そうすればますます実情に即さない地域給というものが与えられているという結論が出ざるを得ない。特にその間において、相当指数が上つているので、人事院としては再調査をやらなければならないような段階に来ているときに、去年の五月の段階における地域給が今行われるというようなことでは、もらう方の側にとつては、きわめて実情とかけ離れたものが支給されるということになるのではないか。こういう点は人事院もお認めにならざるを得ないと思う。
  98. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれは昨年の八千五十八円の勧告が一刻も早く実施されるようにということでございました。しかし実際は本年の一月からそれが行われるということであつた。そのときに、人事院といたしましては、やはり俸給表の改訂と同時に、そういうことを行つていただきたかつたのでありますが、国会で暫定的に二割五分、一割五分、そういうことをきめるということでおきめになりました。そして現在こういうことになつておるのでありまして、われわれとしましては、ことさら遅らして勧告するということは考えておりません。
  99. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 大分おそくなりましたので、簡単にお伺いいたします。先ほどの成田君の質問にも関連をいたしますが、今度の地域給の五段階を決定するにあたつて、科学的に相当考慮された。それは従来のいろいろな格づけを考慮すると、そこに矛盾があつて科学的な考え方が必ずしも一貫されておらない点もあるということはお認めになつたように私は考えるのですが、そうではありませんか。
  100. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれはそういうふうには思つておりません。従来のものとかみ合せまして、最も合理的にこれを決定したというふうに考えております。
  101. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 一応科学的な基準ということになれば、これが妥当なものであるかどうかということは論外といたしまして、特別CPSの問題にしても、これは一応科学的なものさしになるので、そのものさしから見てはなはだしく相違のあるような場合には、これは合理的なものである、あるいは科学的な筋が通つているとは必ずしもわれわれ考えられない。それでもなおかつ科学的であるという根拠は、われわれちよつと考えられないのです。この点いかがですか。
  102. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれは、今回やりました作業は非常に合理的である、こういうふうに考えております。
  103. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 合理的であるならば、ひとつ具体的に伺いたいと思うのですが、たとえば神奈川県の場合に、科学的なものさしではかられて、きわめて合理的であるというお話であるとすれば、特別CPSのあなたの方からお出しになつ資料で見てみると、大体横浜、川崎、藤沢の例を取上げてみます。この勧告案によると、横浜、川崎、鎌倉、これが五級地になつて、四級地の中には藤沢というのがあります。もしあなたが科学的な基準でやられているというならば、この特別CPS数字を見てみますと、横浜市の場合と藤沢市の場合は、ほとんど相違のない数字が出ている。特に川崎の場合と藤沢の場合を調べてみると、当然藤沢はあなたの言われる合理的な前提からすれば、五級地に上らなければならないはずであります。それにもかかわらず、藤沢だけが一級格下げになつているというのは、これは合理的なものではなくて、先ほどから私が再三申し上げているように、従来の関係というものが無視できなかつたのだ、そういうところには科学的なものさしは通つておりませんということを、率直に御答弁になつた方が早いと思うのでありますが、どういうようにお考えになりますか。
  104. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 私が申し上げておりまするのは、特別CPSだけが科学的だ。これは科学的であります。しかしそれだけが合理的というふうに申し上げておるのではないのであります。特別CPSと、それから府県順位表、さらに従来の基準というものをかみ合せまして、合理的にやつたということを申し上げたのであります。従いまして今の関係は、名古屋と札幌の例に非常に酷似しておると思います。
  105. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし私の知つておる限りにおいては、順位表においても藤沢の場合が四級になつておるというような実例も聞いておらないのですし、おそらく特別CPS順位表と、もう一つ従来の関係——従来の関係が一番重点になつてつたのではないか。これは単に一例をあげて私は申し上げておるわけですが、こういう点は必ずしも実は神奈川県ばかりでなく——先ほど給与局長は重大な発言をされたと思うのであります。もし札幌をこの程度にするならば、これが科学的な根拠で、成田君の言う通りであるとするならば、名古屋市を引下げなければならぬ。こういうお話があつたのですが、これはそういう考え方をするならば、単に名古屋市ばかりではない、全国的にわたつてそういうような場合がおそらく出て来るだろうと思う。一つ一つ私は例をあげろといえばあげてもよろしいのですが、そういうようにかえて来なければならないとすると、全面的にこの勧告というものが科学的な根拠、合理的な根拠によつたものじやないということにも結論から言うとなつてしまうわけです。やはりああいうような御答弁じやなくて、われわれから期待できるものは、今科学的な合理的な基準で横浜あるいは名古屋というものはこの水準にとまつた。その場合に特別CPS、あるいは順位表においてこれ以上の格上げになつておるものは、少くともこれと同等あるいはそれ以上の額に上げるという形に人事院が持つて行かれるのが私は妥当なのじやないか、それが合理的な筋を通すことになるのではないか、こういうふうに思うのです。こういう点についても、もう一度はつきりと御見解を承つておきたい、かように考えます。
  106. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 従来の率を確保するというところがございますが、これを基準にして判断いたしますと、またずつとすべてが上に上るということになるわけであります。そういうことになりますと、われわれはむしろCPSと、それから順位表というものを基礎作業をしておる。これが大原則でございますから、やはり原則はそこに置いておかなければならぬ。ただそれにもう一つの原則、すなわち従来の地域給を確保するという線が入つて参りましたから、これと両者を勘案いたしまして、そこで合理的にきめておる、こういうわけです。
  107. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし従来の線は、上つた場合にはいくらでも確保できるわけなんですね。下る場合には確保できないという心配はあるけれども、上つて行く場合には、そのほかの要素において上げられるべき条件が出て来ているとすれば、それを上げて行くということで、従来の線を確保するということに何らこれは支障、矛盾するものではないはずだ。どうも私はこれを見ていると、従来の特地、甲地、乙地の大蔵省時代のあの格づけというものをあくまでも基準にして六大都市というものを考えて、それの上において科学的な、数字的な計算をもつと極端に言うと、私は悪口を言うようで悪いのですけれども、科学的な擬装をこらしたものがこういうことになつてしまうのじやないか、だからあちこちにもつとこまかく調べて行くと、矛盾するものが出て来ているのではないか。先ほど申し上げたように、川崎と、横浜は六大都市の中であるから五級地は当然だと思う。ところが瀧本さんだつて御存じのように、藤沢というところは東京から通勤地域です。この通勤地域は、指数の上から見てもこれは当然五級地に該当しなければならないところであり、順位表から見ても当然そうなつているところが、ことさらに四級地に落ちているということは、これは何も人事院がことさらに藤沢をきらいであつて下げたのだと私は考えてはおらない。そうでなくて、これは従来の大蔵省的な考え方にこだわつてつて、いまだにそれにとらわれているから、五級地になれないようになつているのじやないかと私は伺つているのです。その点なんです。そういうことが合理的じやないのじやないかということを続いて伺つているわけです。
  108. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 藤沢の例でございますが、藤沢につきましては、平均の指数は九七ということになつております。これは二〇%ということになりまして、特に藤沢をひどく扱つたということにはならないように思います。川崎市は従来から特地でございます。従いまして指数だけからは参らぬということになるのであります。
  109. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あまりこまかい点はあれしても……。一応はあなたのお話で、特地であるからということで、結局川崎市を五級にさしたということだと思います。そうですね。ですからそういうところで大蔵省的な考え方がいまだに残つてつて、これは合理的な筋が通つていない。川崎市が下げられる上げられるはともかくとして、通つていないということにもなろうと思うのであります。それから藤沢が九七であるとするならば、これはさつきも成田君が言つたように、上昇傾向が問題なんですから、二十四年の五月と二十五年の五月の算術平均と、二十五年の十一月の算術平均とするならば九七かもしれませんが、これは横浜の場合平均するとどのくらいになるか知らないが、大体同じような指数しか出て来ないだろうと思う。もし横浜の数字が出て来ればお伺いしたいと思いますが、横浜と藤沢と私は何らかわりがないと思う。にもかかわらず、横浜だけが従来特地であるから五級にして、藤沢は九七であるから科学的な筋を通してということで、一つの条件が出て来るとするならば、全体として出て来たものは合理的じやないのじやないかということを言わざるを得ないわけです。そうじやないですか。バランスの問題です。
  110. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今の点だけごらんになれば、確かにそういうことは言い得ると思うのでありますが、しかし今回の地域給の改訂ということは、一月一日に行われませんで、すでに現在六箇月を経過したこのときに限つて取上げていただいておるわけであります。従いましてわれわれは、昨年の五月の水準で給与ベースの勧告をしておるのであります。それが本年一月から実施されたわけであります。昨年の五月以降におきましては、朝鮮動乱というようなこともあつて、相当経済事情も変化しておる。すなわち本年の一月一日に実施されました給与ベースというものは、われわれの勧告いたしました水準と大体似通つたものではありますけれども、そこに時間のずれというものがあつて、現在の場合においては、必ずしもそれが十二分に適当なものであるというふうにわれわれには考えられないのであります。しかもさらにそれから遅れまして、こういう改訂をやるということになつて参りますと、これはやはりそういう不十分な給与水準というもので、かりに二割五分もらつてつた、あるいは一割五分もらつてつたということがあつても、なおそれを引下げるということになりますと、これは引下げられる方におきましては相当の苦痛であろうというふうに思いますし、またわれわれが給与行政をやつて参ります上におきましても、こういうことは給与行政の上でやり得ることではないというように判断いたします。従いましてここに新しい基準というものを入れまして、従来の率というものは一応下げないということでやつておるわけであります。今御指摘の点は、みな従来の特地のものに関連しておるのでありますから、われわれが何も大蔵省的感覚でやつておるわけではないのであります。ただそういう基準を入れましたので、そういう基準が入つて来ておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  111. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あとでこれはやりますけれども、先ほども問題になつたのですが、実は瀧本さんの書かれたものを拝見したのですが、公務員の五月号ですが、これにも書いているように、さつき成田君が質問をしておりましたが、どうも北海道のことを取上げるのもどうかと思うのですけれども、北海道の札幌と名古屋の場合とを見てみても、北海道の特別CPSは当然これは五級に該当すべきであるにもかかわらず、二階級も下つて、三級にしかなつていない、そういう状態です。しかも特別CPSでは当然名古屋ばかりじやありません。これは福岡その他等を見ても、大体五級と判定し得べき条件のもとにあるとわれわれは考えられるのですが、それにもかかわらず三級になつているというのは、瀧本さんの文章の上では石炭手当、寒冷地手当とは別個であるといつているが、心理的な条件のもとにおいては、これを格づけをする場合に、寒い地帯は別な手当をもらうのだから、少し下げてもいいというような総合的な御判断で、これを科学的なりと称して御判断をされているような印象を受けるわけです。石炭手当あるいは寒冷地手当とは全然別個に考慮されているであろうと私は考えるのですが、その場合に札幌、小樽その他が指数相当上つているにもかかわらず——これがまだ五級にすべきものを四級にしたというならばわかるのですが、ことさらに三級に下げているというような特別な理由があるとするならば、その点を伺いたい。
  112. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれ北海道のことを考えまする際に、寒冷地手当、石炭手当とこの問題とは切離しております。その点は、それがあるからこつちを下げていいというようなことを考えておるわけではございません。ただ指数から見て参りますと、札幌はやはり三級になるのでありまして、この指数を直接に名古屋と御比較になりますれば、名古屋が五級地になつておるのだから札幌がなつていいじやないかという御議論が成り立つかと思うのでありますが、しかし先ほどから申しておりますように、従来の地域給というものは、一応存置するということで、名古屋の方は五級地になつております。札幌の方は従来は五%であつたわけであります、これが今回の指数によりまして一五%になつたというわけであります。
  113. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私は単に名古屋の例ばかりを申し上げているのではございませんで、決して名古屋を下げろということを私は言つているのじやないのです。そうではなくて逆に全体のバランスを、従来のところは特地が一つ基準になつて、これを下げないという原則に立つて、全体が合理的な——瀧本さんは先ほどから合理的な、科学的なということを再三言われるのですが、合理的な科学的なという判断の中には、やはり全体のバランスがとれるということが合理的なことの一つであろうかと思う。そうすれば最高の点は完全にこれは特地の条件、五級以下には下げないという基準が立つとすれば、それを全体としてバランスをとる場合に、やはり合理的な判断からいうならば、この下つた基準から見て、どれはどの程度までに格づけしなければならないかという点が出て来なければならない。その点が出て来ていないから、地域的に見ると非常に凹凸ができて、アンバランスができて来る、こういうようにわれわれは考えざるを得ないわけです。石炭手当、寒冷地手当の点は考慮されておらないというようにお話になつておりますが、それでは、たとえば石炭手当という点は考慮されておらないという場合に、数字的に考慮されないような条件のもとに指数が出されているのだと思うのですが、そういうような具体的な数字的な根拠をもし伺えればけつこうだと思います。
  114. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 的確な数字的な根拠を出せと言われても、ちよつと困るのでありますが、大体寒冷地にありまする地域におきましては、六月から十月くらいの間、すなわち活動し得る時期に大体冬のものを用意するということになるのでありまして、年間を通じまして季節変動を見ておりますと、六月からずつと支出がふえるという傾向が出ております。われわれといたしましては、六月、七月、八月、九月、十月ころの年間に比べられる消費増というものを押えまして、そういうものを原則といたしまして石炭手当、寒冷地手当というものを考えて行くのでありますから、一応切離して考えてさしつかえないというふうに考えております。
  115. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどほかからも質問があつたのですが、特殊な炭鉱地帯あるいは工業地帯の場合に、やはり厚生施設というものを相当考慮して、CPSの算定の場合においては、いわゆる人事院の格づけの場合に考慮しているということは、瀧本さんも言われ、書いておられるのですが、それはどういう形で考慮されておるのですか。
  116. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは数字的にはつきりと幾ら以上こうでしてというふうにはなかなか申し上げられませんが、しかしそういう事情のもとにおきまして、どの程度の炭鉱関係者がそういう中に含まれておるかというようなことも、知り得る限りはそれを調べるということをいたしまして、その程度考えております。
  117. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 特に特別CPSという数字が出て来る場合には、ある程度数字的な考慮もできると思う。ところが特別CPSが施行されておらないような場合には、数字的に考慮をしようということも——実際数字としては出ないとおつしやつたのですが、その基礎になる特別CPSさえないような場合、しかも人口七割までが炭鉱地帯であるという場合には、これを何らか考慮をしたのだといつても、どの程度考慮したかということは、われわれとしては疑えば疑い得るような考慮しかできないような場合も相当出て来ておる。こういう点については、もう少し今日のわれわれの実情を聞いていただいて、そうして御考慮を願うことが非常に望ましいと思いますが、こういう点についてはいかがですか。
  118. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 従来も十分そういう事情をお聞きしておるのでありますが、今後にわたりましても、なお十分そういう事情をいろいろな機会にお聞かせ願いたいと思います。
  119. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 人事院の意見書を中心といたしました一般職職員勤務地手当支給地域区分についての質疑はこの程度といたしまして、政府よりこれに関する法律案が提出されました際に、また並行いたしまして審議をいたしたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は法律案の提出せられました際に公報をもつてお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十九分散会