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1951-02-21 第10回国会 衆議院 人事委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長代理理事 藤枝 泉介君    理事 淵上房太郎君 理事 田中 重彌君    理事 平川 篤雄君 理事 松澤 兼人君       足立 篤郎君    加藤隆太郎君       塩田賀四郎君    藤井 平治君       本間 俊一君    中曽根康弘君       加藤  充君    岡田 春夫君  出席政府委員         人事院事務官         (事務総局給與         局次長)    慶徳 庄意君  委員外出席者         議     員 菊池 義郎君         議     員 中川 俊思君         議     員 坂口 主税君         專  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 一月二十九日  委員塩田賀四郎辞任につき、その補欠として  足立篤郎君が議長指名委員に選任された。 二月十三日  委員今野武雄辞任につき、その補欠として加  藤充君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員松澤兼人辞任につき、その補欠として稻  村順三君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員加藤充君辞につき、その補欠として河田賢  治君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員井上信貴男君及び河田賢治辞任につき、  その補欠として塩田賀四郎君及び加藤充男が議  長の指名委員に選任された。 同月二十一日  委員稻村順三君辞任につき、その補欠として松  澤兼人君が議長指名委員に選任された。 同日  松澤兼人君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 二月三日  尾崎村の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三三九号)  江井町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三四〇号)  阿萬町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三四一号)  福良町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三四二号)  多賀村の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三四三号)  大町村地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三四四号)  郡家町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三四五号)  由良町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三七〇号)  塩津村の地域給引上げ請願鈴木茂三郎君紹  介)(第三八四号)  形原町の地域給引上げ請願鈴木茂三郎君紹  介)(第三八五号)  西浦町の地域給引上げ請願鈴木茂三郎君紹  介)(第三八六号)  金沢市の地域給引上げ請願岡良一紹介)  (第三八七号)  筑豊四郡下町村地域給引上げ請願松本七  郎君外二名紹介)(第三八八号) 同月八日  伊丹市の地域給引上げ請願松澤兼人君紹)  (第三九五号)  市村地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三九六号)  岩屋町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第三九七号)  鈴鹿市の地域給存続請願水谷昇紹介)(  第三九八号)  洲本市の地域給存続請願塩田賀四郎君紹  介)(第三九九号)  生野町の地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇〇号)  日高町の地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇一号)  出石町の地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇二号)  香住町の地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇三号)  名張町の地域給存続請願川崎秀二紹介)  (第四〇四号)  和田山町の地域給存続請願有田喜一君紹  介)(第四〇五号)  城崎町地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇六号)  豊岡市の地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇七号)  浜坂町の地域給存続請願有田喜一紹介)  (第四〇八号)  仮屋町の地域給指定に関する請願塩田賀四郎  君紹介)(第四〇九号)  新居町の地域給指定に関する請願中村幸八君  紹介)(第四一〇号)  瀬高町の地域給指定に関する請願龍野喜一郎  君紹介)(第四一一号)  草津町の地域給指定に関する請願堤ツルヨ君  紹介)(第四一二号)  舞阪新居両町地域給指定に関する請願(中  村幸八君紹介)(第四一三号)  琴似町の地域給指定に関する請願松澤兼人君  紹介)(第四一四号)  京都築上両郡下町村地域給指定に関する請  願(平井義一紹介)(第四一五号)  盛岡市の地域給引上げ請願山本猛夫君紹  介)(第四六七号)  長浜市外二市の地域給存続請願河原伊三郎  君紹介)(第四六八号)  西宮市の地域給指定に関する請願塩田賀四郎  君紹介)(第四六九号)  松山町の地域給指定に関する請願藤枝泉介君  外一名紹介)(第四七〇号)  福島町の地域給指定に関する請願甲木保君紹  介)(第四七一号) 同月十三日  江田島地域給引上げ請願中川俊思君紹  介)(第五一三号)  伊豆七島の地域給引上げ請願菊池義郎君紹  介)(第五一四号)  志段味莊職員地域給指定に関する請願丸山  直友君紹介)(第五一五号)  高知県下の地域給指定に関する請願大西正男  君外二名紹介)(第五五〇号)  富島町の地域給引上げ請願塩田賀四郎君紹  介)(第五五四号)  志筑町の地域給指定に関する請願塩田賀四郎  君紹介)(第五五五号)  佐世保市の地域給指定に関する請願岡延右エ  門君外一名紹介)(第五五六号)  舞鶴市の地域給存続請願田中伊三次君紹  介)(第五五七号)  猪高村の地域給引上げ請願川本末治君紹  介)(第五五八号)  富山市、高岡市及び氷見町の地域給存続請願  (内藤隆君外一名紹介)(第五五九号)  長岡町の地域給指定に関する請願田中伊三次  君紹介)(第五六〇号)  玉島長尾両町地域給引上げ請願中原健  次君紹介)(第五六一号)  掛川町の地域給引上げ請願神田博紹介)  (第五六二号)  金沢市及び動橋外四町の地域給引上げ請願(  松澤兼人紹介)(第五六三号)  清水市の地域給引上げ請願西村直己君紹  介)(第六〇四号)  琴似町の地域給指定に関する請願松澤兼人君  紹介)(第六〇六号)  起町の地域給指定に関する請願藤枝泉介君紹  介)(第六〇七号)  須崎町の地域給指定に関する請願大西正男君  紹介)(第六〇八号)  日田市の地域給指定に関する請願村上勇君紹  介)(第六〇九号)  日光町の地域給存続請願高塩三郎君外六名  紹介)(第六一〇号) 同月十九日  長浜市の地域給存続請願堤ツルヨ紹介)  (第六六〇号)  尼崎市の地域給存続請願吉田吉太郎君紹  介)(第六六一号)  鳴海町の地域給引上げ請願川本末治君紹  介)(第六六二号)  四街道地区地域給指定に関する請願竹尾弌  君紹介)(第六六三号)  八日市町の地域給引上げ請願堤ツルヨ君紹  介)(第六八四号)  大三沢字下久保部落外部落地域給指定に  関する請願山崎岩男紹介)(第六九三号)  宮田町の地域給引上げ請願江崎真澄君紹  介)(第六九四号)  津島市の地域給引上げ請願江崎真澄君紹  介)(第六九五号)  久居町の地域給存続請願松本一郎紹介)  (第六九六号)  千歳町の地域給指定に関する請願松澤兼人君  紹介)(第七二六号)  和田山町の地域給指定に関する請願赤松勇君  紹介)(第七二七号)  新潟下市町村地域給引上げ請願塚田十  一郎君外十三名紹介)(第七二八号)  島根下市町村地域給存続請願木村榮君  外一名紹介)(第七二九号)  大和村の地域給指定に関する請願鈴木幹雄君  紹介)(第七五八号)  姫路市の地域給指定に関する請願堀川恭平君  紹介)(第七五九号)  札幌市、豊平町、琴似町及び札幌村の地域給指  定に関する請願松澤兼人紹介)(第七六〇  号)  糸魚川町の地域給指定に関する請願塚田十一  郎君紹介)(第七六一号)  荒尾市の地域給指定に関する請願坂口主税君  外一名紹介)(第七八五号) の審査を本委員会に付託された。 同月五日  宇治山田市の地域給引上げに関する陳情書  (第一六八号)  北海道の地域給指定に関する陳情書  (第一七五号)  庄内町の地域給引上げに関する陳情書  (第  二〇八号) 同月十四日  八幡町の地域給指定に関する陳情書  (第二〇九号)  須崎町の地域給指定に関する陳情書  (第二一八  号)  盛岡市の地域給一割存続陳情書(第二四四号) を本委員会に送付された。 同月十七日  国家公務員災害補償に関する研究の成果及び法律制定に関する意見 を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選   請願  一 尾崎村の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三三九号)  二 江井町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三四〇号)  三 阿萬町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三四一号)  四 福良町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三四二号)  五 多賀村の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三四三号)  六 大町村地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三四四号)  七 郡家町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三四五号)  八 由良町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三七〇号)  九 塩津村の地域給引上げ請願鈴木茂三郎    君紹介)(第三八四号) 一〇 形原町の地域給引上げ請願鈴木茂三郎    君紹介)(第三八五号) 一一 西浦町の地域給引上げ請願鈴木茂三郎    君紹介)(第三八六号) 一二 金沢市の地域給引上げ請願岡良一君紹    介)(第三八七号) 一三 筑豊四郡下町村地域給引上げ請願(松    本七郎君外二名紹介)(第三八八号) 一四 伊丹市の地域給引上げ請願松澤兼人君    紹介)(第三九五号) 一五 市村地域給引上げ請願塩田賀四郎君    紹介)(第三九六号) 一六 岩屋町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第三九七号) 一七 鈴鹿市の地域給存続請願水谷昇君紹    介)(第三九八号) 一八 洲本市の地域給存続請願塩田賀四郎君    紹介)(第三九九号) 一九 生野町の地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇〇号) 二〇 日高町の地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇一号) 二一 出石町の地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇二号) 二二 香住町の地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇三号) 二三 名張町の地域給存続請願川崎秀二君紹    介)(第四〇四号) 二四 和田山町の地域給存続請願有田喜一君    紹介)(第四〇五号) 二五 城崎町地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇六号) 二六 豊岡市の地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇七号) 二七 浜坂町の地域給存続請願有田喜一君紹    介)(第四〇八号) 二八 仮屋町の地域給指定に関する請願塩田賀    四郎紹介)(第四〇九号) 二九 新居町の地域給指定に関する請願中村幸    八君紹介)(第四一〇号) 三〇 瀬高町の地域給指定に関する請願龍野喜    一郎紹介)(第四一一号) 三一 草津町の地域給指定に関する請願堤ツル    ヨ君紹介)(第四一二号) 三二 舞阪新居両町地域給指定に関する請願    (中村幸八君紹介)(第四一三号) 三三 琴似町の地域給指定に関する請願松澤兼    人君紹介)(第四一四号) 三四 京都築上両郡下町村地域給指定に関す    る請願平井義一紹介)(第四一五号) 三五 盛岡市の地域給引上げ請願山本猛夫君    紹介)(第四六七号) 三六 長浜市外二市の地域給存続請願河原伊    三郎紹介)(第四六八号) 三七 西宮市の地域給指定に関する請願塩田賀    四郎紹介)(第四六九号) 三八 松山町の地域給指定に関する請願藤枝泉    介君外一名紹介)(第四七〇号) 三九 福島町の地域給指定に関する請願甲木保    君紹介)(第四七一号) 四〇 江田島地域給引上げ請願中川俊思君    紹介)(第五一二号) 四一 伊豆七島の地域給引上げ請願菊池義郎    君紹介)(第五一四号) 四二 志段味莊職員地域給指定に関する請願(    丸山直友紹介)(第五一五号) 四三 高知県下の地域給指定に関する請願大西    正男君外二名紹介)(第五五〇号) 四四 富島町の地域給引上げ請願塩田賀四郎    君紹介)(第五五四号) 四五 志筑町の地域給指定に関する請願塩田賀    四郎紹介)(第五五五号) 四六 佐世保市の地域給指定に関する請願岡延    右エ門君外一名紹介)(第五五六号) 四七 舞鶴市の地域給存続請願田中伊三次君    紹介)(第五五七号) 四八 猪高村の地域給引上げ請願川本末治君    紹介)(第五五八号) 四九 富山市、高岡市及び氷見町の地域給存続の    請願内藤隆君外一名紹介)(第五五九    号) 五〇 長岡町の地域給指定に関する請願田中伊    三次君紹介)(第五六〇号) 五一 玉島長尾両町地域給引上げ請願(中    原健次紹介)(第五六一号) 五二 掛川町の地域給引上げ請願神田博君紹    介)(第五六二号) 五三 金沢市及び動橋外四町の地域給引上げの請    願(松澤兼人紹介)(第五六三号) 五四 清水市の地域給引上げ請願西村直己君    紹介)(第六〇四号) 五五 琴似町の地域給指定に関する請願松澤兼    人君紹介)(第六〇六号) 五六 起町の地域給指定に関する請願藤枝泉介    君紹介)(第六〇七号) 五七 須崎町の地域給指定に関する請願大西正    男君紹介)(第六〇八号) 五八 日田市の地域給指定に関する請願村上勇    君紹介)(第六〇九号) 五九 日光町の地域給存続請願高塩三郎君外    六名紹介)(第六一〇号) 六〇 長浜市の地域給存続請願堤ツルヨ君紹    介)(第六六〇号) 六一 尼崎市の地域給存続請願吉田吉太郎君    紹介)(第六六一号) 六二 鳴海町の地域給引上げ請願川本末治君    紹介)(第六六二号) 六三 四街道地区地域給指定に関する請願(竹    尾弌君紹介)(第六六三号) 六四 八日市町の地域給引上げ請願堤ツルヨ    君紹介)(第六八四号) 六五 大三沢字下久保部落外部落地域給指    定に関する請願山崎岩男紹介)(第六    九三号) 六六 宮田町の地域給引上げ請願江崎真澄君    紹介)(第六九四号) 六七 津島市の地域給引上げ請願江崎真澄君    紹介)(第六九五号) 六八 久居町の地域給存続請願松本一郎君紹    介)(第六九六号) 六九 千歳町の地域給指定に関する請願松澤兼    人君紹介)(第七二六号) 七〇 和田山町の地域給指定に関する請願赤松    勇君紹介)(第七二七号) 七一 新潟下市町村地域給引上げ請願(塚    田十一郎君外十三名紹介)(第七二八号) 七二 島根下市町村地域給存続請願木村    榮君外一名紹介)(第七二九号) 七三 大和村の地域給指定に欄する請願鈴木幹    雄君紹介)(第七五八号) 七四 姫路市の地域給指定に関する請願堀川恭    平君紹介)(第七五九号) 七五 札幌市、豊平町、琴似町及び札幌村の地域    給指定に関する請願松澤兼人紹介)(    第七六〇号) 七六 糸魚川町の地域給指定に関する請願塚田    十一郎紹介)(第六七一号) 七七 荒尾市の地域給指定に関する請願坂口主    税君外一名紹介)(第七八五号)     ―――――――――――――
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。本日は委員長がおさしつかえがありますので、しばらく私が代理をいたします。  まず御報告いたしておくことがあります。去る一月二十七日の当委員会おきまして、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案の起草並びにその提出手続について、諸君の御了解を得て委員長に御一任を願つておきましたが、去る一月二十九日に私より仮提出手続をとつておきました。  また去る二月十七日に人事院より国家公務員法第二十三條及び第九十五條に基き、国家公務員災害補償制度に関する意見書が国会に提出せられ、議長よりその意見書を当委員会に参考送付せられましたので、御報告いたしておきます。
  3. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に理事補欠選任についてお諮りいたします。去る二月十四日に理事であられた松澤兼人君が委員を一旦辞任せられましたので、理事一名が欠員となつております。この際その補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例によりまして選挙の手続を省略し、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 御異議なしと認めます。それでは松澤兼人君を再び理事指名いたします。
  5. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 それではこれより議事に入ることといたしまして、まず請願審査より始めたいと思います。前回の委員会以後に本委員会に付託となりました請願は、本日の請願日程にあります通り、全部で七十七件でありまして、全部が地域給に関する請願でありますので、これを一指して議題といたします。  審査の方法は、前会同様に、紹介議員またはその代理の方より御説明を願い、政府側意見を聽取し、これについて何か委員の方々で御意見があれば承ることといたしまして、採否の決定は後刻一括して行うことといたします。  日程の順序は都合により委員長において随時変更いたして行いますから、さよう御了承願います。  まず日程第一尾崎村の地域給引上げ請願文書表第三三九号、第二、江井町の地域給引上げ請願文書表第二西〇号、第二、阿萬町の地域給引上げ請願文書表第三四一号、第四、福良町の地域給引上げ請願文書表第三四二号、第五、多賀村の地域給引上げ請願文書表第三四三号、第六、大町村地域給引上げ請願文書表第三四四号、第七、郡家町の地域給引上げ請願文書表第三四五号、第八、由良町の地域給引上げ請願文書表第三七〇号及び第一五、市村地域給引上げ請願文書表第三九六号、第一六、岩屋町の地域給引上げ請願文書表第三九七号、第一八、洲本市の地域給存続請願文書表第三九九号、第二八、仮屋町の地域給指定に関する請願文書表第四〇九号、第三七、西宮市の地域給指定に関する請願文書表第四六九号、第四四、富島町の地域給引上げ請願文書表第五五四号、第四五、志筑町の地域給指定に関する請願文書表第五五五号、これらの請願はいずれも塩田賀四郎紹介のものでありますので、一括して紹介議員塩田賀四郎君の御説明をお願いいたします。塩田賀四郎君。
  6. 塩田賀四郎

    塩田委員 私は洲本市の勤務地手当支給について現在までの甲の引下げ絶対反対と、尾崎村、江井町、阿万町、福良町、多賀村、大町村郡家町、由良町、市村岩屋仮屋富島志筑の各町村級地手当をそれぞれ公平適切に支給せられんことを要望いたしますことにつきまして、一応その妥当なる理由を申し上げたいと思うのであります。  以上の洲本市並びにただいま申し上げました町村は、兵庫淡路島所在の市町村でありまするので、個々の町村にわたる説明は省きまして、淡路島全体につきまして、その淡路島特異性と申しますか、そういうことにつきまして十分ひとつ御理解をいただきたいと考えるのであります。地理にお詳しい方ならば、淡路島はわが国において佐渡島に次ぐ大きな島であるということは御承知だと存じます。あの三原山の大島のような小さなものではないということは御承知のことと思うのであります。また淡路島は古く万葉の昔から和歌などによりましていろいろ歌われております。そういうふうにこの島は昔から非常に美しい島で、夢のようなよい土地だといわれておるのであります。事実昔はそうであつたのでありますが、ただいまは日本全体と同様に非常に苦しい島になつております。この淡路島には現在洲本という一つの市と四十八箇町村があるのでありまするが、これは昔は五十二、三箇町村あつたのであります。合併いたしまして、現在は一市四十八箇町村あります。面積は三十六万里、周囲は四十里といわれておりますが、この島の中央には、北の端から島全体の三分の二、約九里にわたりましてずつと山が続いております。そうしてその両端が各海岸地なつておりまして、そこに二十八箇町村あるわけであります。これが津名郡と申しまして兵庫県第一の大きな郡であります。その南の方にかけまして、少し平野間隔を置まして、また長さ約五里の山があるのであります。その中間の部分平野をなしておりまして、ここが三原郡と申しまして十九箇町村があるわけであります。兵庫県で二十何箇の郡があります中で、三原郡十九箇町村は第三番目か第四番目の大きな郡になつておるのであります。そうしてこの両郡の中心地なつておりますのが洲本市、すなわち大阪湾側のこの両郡の中心にくらいしておるのが洲本という淡路の首都になつておるわけであります。大体淡路という島は、ただいま申し上げましたごとく、三十六万里面積があるのでありまするが、大部分が山でありまして、約五分の一くらいが平地でありまして、この平地一つの市と四十八箇の町村がずつと続いてあるわけであります。そうして約人旦三十万弱、二十七万何千の人間が住んでおる次第であります。そこ大体われわれの概念から申しますと、島といいますと何だか人里離れた非常にさみしい、たとえば八丈島とか隠岐島とか、そうでなくても佐渡島とかいうような島を連想しやすいのでありますが、わが淡路島はまつたくそれと反対にしごく便利な、そうしてまことににぎやかな土地なのであります。と申しますのは、地理をごらんいただければわかるのでありますが、淡路の北端の岩屋という人口一、二万の町がありますが、この町と対岸の神戸の隣の明石市とは、わずか一里しか離れていないのであります。すなわち明石海狭はわずか一里でありまして、連絡船によりましても二十五分間、タバコを一、二本吸つておる間に汽船が着いてしまう。連絡船が着いてしまう。こういうところでありまして、しかも朝晩は半時間おきに船が出ておる。日中でも一時間ないしよほど間隔が広いときで二時間くらい、上下二十四回の連絡船が今通つておるわけであります。また神戸大阪あるいはただいまの明石とか、大阪府の淡輪、深日という港、あるいは四国の徳島県の鳴門、こういうようなところからは、淡路洲本その他各地へ一日二十数回大小の汽船が往復いたしておる非常に便利な土地であります。そこでこの淡路島は、連絡船によりますと一番最短の時間が約四、五十分、最も長い時間を要するところで洲本大阪間の約三時間、洲本神戸間の約二時間半、こういうふうな土地柄であります。従つてただいま申し上げましたように、淡路島といつても非常にさみしい、本土から離れた土地では断じてないのであります。ただいま申し上げましたごとく、神戸大阪からはしごく近い、便利な土地であります。また島内は全島にわたりまして非常に道がよく、淡路島の道はたいへんいいと、これは定評のある島であります。従つて鉄道以外に、バスがおもな道路には半時間おきに二台くらい発着いたしております。どんなところへ行つても一時間ないし一時間半おきにバスが出ておる。島内自体も非常に交通便利な土地であります。そこで以上のようにこの淡路島神戸大阪とは交通が非常に便利でありまして、いろいろな物資はこの神戸大阪の両都市を通じまして大体入つて来る。そのために文化が非常に進んでおる。これは昔からそうでありますが、淡路島は非常に文化の進んだところであるということで、関西地方では定評のある島であります。淡路島が文化が進んでおるもう一つの理由は、昔から土地柄が非常にゆたかであります。それについ先年までは男子の中学校がたつた二つしかなかつた。中学校が一つで商業学校が一つしかなかつた。それも洲本という町にしかなかつた。女学校が四つか五つしかなかつた。それもりつぱな設備を持つた女学校は洲本市に一つしかなかつた。それで多くの家庭はその子女を大体京都とか大阪とか、あるいは神戸のその土地の学校にみな競つてやつたものであります。またこれを誇りとさえいたしておつたのであります。そうしてこの連中が業を終えるとどしどし帰つて来る。ことに男子は高等教育を受けて帰つて来る。男の大体半数以上は東京に遊学しておる。そうして郷里べ帰つて来て土著する。こういう連中が東京なり京都なり、その都会地の文化を持つて帰る。そこで先ほど申し上げましたごとく、淡路のすべての商人は、全部大阪あるいは神戸の商人の手を通じて物を入れて来る。こういう関係上、若から淡路島は島でありながら文化の高い土地である、こういわれておる次第であります。ことに洲本市の場合は、全淡路島の主都であり、中心地でありまして、日本における東京のようなところでありまして市民はよい意味の一種のプライドを持つております。町並も家並も非常にきれいで、皆様が一度おいでになつたら、淡路島はこういうりつぱな町なのかと驚かれるような島であります。  そこで淡路島はかくのごとく文化の非常に高いところでありながら、主食はどうか、こういうかうな第二の段階に入るのでありますが、この島は土地が非常に肥沃であります。気候は非常に温順であります。それから地味がゆたかでありますがゆえに、非常に米のおいしいものができます。おいしいものができますが、悲しいかな土地が狭い。だからあまり量は多くできませんが、とにかく淡路米と称しまして、京阪神のすし屋、料理屋というものは皆淡路の米を持つて行くのであります。またいい家庭どんどんこの米を淡路島に買い出しに来ておる。こういうことのために淡路島で事実相当の米がとれるのでありますけれども、その値段というものは阪神地方とかわらない。ただいまその値段は東京より高いように私は聞いておるのであります。それで主食は結局大阪神戸などとかわらない。こういう結果を招来いたしておるのであります。  次に副食のことを申し上げたいのでありますが、ただいままで申し上げましたごとく、耕地が狭いのであつて、土地は非常に肥沃である。そして米、麦をおもにつくります。その次はタバコを多くつくる。これも品質が非常によろしい。この米、麦、タバコは御承知のようにふだん非常によく売れるものでありますから、農家は競つてこういうものをつくりまして、野菜はあまりつくらないのであります。野菜はただ農家が自家のために食べられる程度の野菜しかつくらない。だから案外野菜が品不足であつて高い。神戸大阪のように近府県からどしどし野菜が入つて来ますところよりもはるかに野菜は不自由しておる。従つて高い。こういう奇現象を呈しておるのであります。  魚類にいたしましても、島でありますから四面法でありますのに、これまた神戸大阪より高い。こういう奇現象を呈しておる。それはなぜかと申しますと、淡路中心にいたしました海は、プランクトンの関係上魚が非常においしいのであります。それでどうしてもこのおいしい魚が阪神間に売れて行く。しかも大体たいとか、さわらとか、高級なものしかとれないのであります。そのほかはいわゆるいわしと申しまして、だしじやこにするようなものしかとれない。ところがだいとかいう高級の魚は、京都とか、大阪とか、あるいは神戸の料理屋にどしどし高い値段で買われるために、どういたしましてもわが淡路の一般家庭人の手には届かない。こういうわけであります。しやこは安いが、年中しやこを食つておるわけにも行かない、また年中しやこがとれるわけでもない。こういうわけでありまして、魚が大阪神戸よりも高い。こういうような事実があるのであります。  また肉類に至りましては、これは神戸を通じまして入つて来る。従つて悪くて高い。これは定評のあるものであります。概括いたしまして副食物は神戸大阪よりは事実高いのであります。こういうばかげたことが実際現実の姿であります。  かりに果実にいたしましても淡路には柑橘類はやや多くできるのであります。ところがその他の果物はできない。柑橘の中でも最も多くとれるのがいわゆる鳴門オレンジ、鳴門みかんでありますが、これは非常に風味がいいために、東京、大阪あるいは神戸等の市場に非常に高い値で売れておるので、とても土地の人間は手が出ない。こういうことになつておる。わずかに手に入るのは初夏のころにできる夏みかんでありますが、この夏みかんは安い。これくらいが結局安くて手に入る。こういうふうな現象を呈しておるのであります。  次に衣食住の衣類のことでありますが、これはくどくど申し上げるまでもなく、衣類は大阪神戸より三割は高い。すべて大阪神戸の商人の手を通じて淡路の商人が買う。それを一般人が買うのでありますから、完全に三割は高い。くつも完全に高い。くつ下などはお話にならぬほどで五割も高い。こういうふうな現象を呈しておるのであります。家賃はと申しますと、この土地は大きな立木がないために、材木は全部やはり大阪神戸の商人の手を通じて買う。あるいは紀州和歌山から買う。建築に要する諸材料はみな高い。ただ安いのは瓦だけがである。瓦は土地に産しますから、幾分か安い。こういう状態であります。従つて家賃も決して安くはないのであります。以上淡路島における衣食住を総合いたしまして大体、神戸大阪よりは安いものはほとんどないということが言えるのであります。  また文化が割合高い。知識人が割合に多い。それに昔からゆたかな土地で、礼儀作法が非常に正しい。従つて生活程度が高い。とは申しましても、やはりそれは大阪神戸から見ればいなかであることは事実で、あります。従つて華美な、浮薄な状態や、あるいは頽廃的な気風というものは少い。そういう観点から見れば、公務員諸士は幾分か神戸大阪より生活がしやすいわけであります、しかし淡路島中心地洲本市は、神戸大阪より暮しにくいのではないか。少くとも神戸大阪の場末に住んでいる人たちよりは、洲本市に住んでいる人の方がずつと暮しずらいであろうと考えるのであります。そのわけは、決して官尊民卑の土地下はありませんけれども、由来一般の公務員諸士というものは、一般の住民よりは高度の教育を受け、りつぱな人格を備えた人であるという観念を昔から持つておる次第であります。それで官公吏あるいは学校の先生というものは、非常に尊敬を受けておる。そのために御自身も、あるいはその家族の方も、そう見苦しい服装や、見苦しい生活はどうしてもできない。こういうことに相なつておるのであります。ことにこの島は、ただいままで申し上げましごとく、土地が割合ゆたかでありまするからして、一般人の服装や生活が割合よろしい。従つて公務員諸士の苦しさというものは、実際察することができる次第でありますが、これは一例であります。  くどく申し上げて時間をつぶし、まことに相済まぬのでありますが、従来の淡路島があまりにひどいものですから、私はもう一言、二言言わしてもらいたいのでありますが、早い話が、陸地続きの土地でありましたら、公務員の皆様方が京都なり、あるいは神戸大阪なりに出て行くのでも、汽車や電車で簡單に出て行けるのであります。散歩にでも出かけて行けるのであります。ところが淡路島からかりに神戸に行くにしましても、大阪京都に行くにしましても、一応船で神戸なり、大阪なりに行かなくてはならぬ。そこでこういうところですから、汽車なら三等で行ける場合も、どうしても汽船というものは三等には乗れぬものでありまして、大体一等に乗らずとも、二等に乗らなければならぬ。字数以上は、少くとも船は二等を利用することになる。そうすると、それが公用である場合、なるほどその船賃は役所の方から出ましても、ボーイにはやはり百円やそこいらのチップもやらなければならぬ。結局往復になると二百円かかる。こういうふうにわずかではありまするが、余分なものが出る。家族が出かける場合も同じであります。こういうふうなことは、事実その土地に住んでみなければちよつと気がつかない。こういうふうなところにも費用がかかる次第であります。  それからこの淡路島土地の公務員というものは、決して大阪神戸に劣らない生活費を要するものだ、こう私は考えております。むしろ私をして率直に言わせましたならば、淡路島、ことに洲本市における公務員の諸士は、あの物価の安い兵庫県下における尼崎や、明石や、高砂というところよりも、また大阪おきましては岸和田や、貝塚・泉大津、こういうふうなところにおられる人たちよりも、ずつと高い生活費を要する。私は実際大阪にも長くおりました。従つて神戸もよく知つておる。阪神間は選挙区だからよく知つておる。だから私はそう断言し得られると考えるのであります。洲本市以外の土地はもちろんでありまするが、洲本市でも、物価が高いために公務員の皆さんが来ることをいやがる。来たら高いのにびつくりしまして、早々逃げ出すことを考えておる、こういうような状態であるのであります。ほかの土地を例にひつぱり出して申訳ないのでありますが、わが兵庫県下においては、淡路島より生活のしにくい土地は断じてない、私はこう考えております。たとえば明石尼崎、高砂、相生などよりずつと高い。ましてやその土地以外の土地とは比べものにならぬ。大阪おきましても、ただいま申し上げた岸私田、泉大津、あるいは貝塚、和歌山よりも淡路島、ことに洲本市は高いということを断言いたします。ことに私が最近承つたところによりますとしこれは今まで知らなかつたのは、はなはだふつつかでありまするが、大阪府におきましては、和歌山県との魔、あるいは奈良県との境というものは、物資に恵まれた安い土地柄で、みな級地手当を受けておる。それからわが兵庫県下におきましても、明石郡が全部であります。以下淡路に比べましたらずつと辺陬な土地であるところの有馬郡が約二町五箇村級地手当を受けております。一つの郡の半数以上であります。加古郡において四町九箇村、担保郡においては五つの町と六箇村、印南郡においては三つの町と十箇村、飾磨郡において二つの町と七箇村、神崎郡においては二つの町に六箇村、こういうふうに以上の各郡は一つの郡におきまして、少くとも五、六割以上十割近くの町村がいわゆる級地手当を受けておる。しかるにもかかわらず、わが淡路島の津名郡は県下随一の二十九箇町村を有しておる。しかもただいま申し上げましたごとく物価が非常に高いが、その二十九箇町村がただの一つも今まで級地手当を受けていない。これは実に言語道断な話であります。またお隣の三原郡は、これは十九箇町村あります。県下第三か、第四の大きな郡でありまして、たくさんの町村のある郡であります。ここでもただの一つでも級地手当を受けていない。しかも請路には現在六つの新制高等学校があります。また三つの国家警察があるのであります。農林省の出張所もあれば、県の保健所その他いろいろの機関があるのであります。兵庫県下におきまして新制高等学校のある町村、あるいは国家警察のある町村、あるいは県の保健所のある町村、その他中央機関の出張所、出先機関のある町村で、級地手当を受けていない町村一つもない。ただ淡路だけであります。今回級地手当支給を要求いたしておりまする町村は、それぞれみな淡路島約五十箇町村中心地でありまして、本来ならば淡路島が全部級地手当を受けるべき土地と私は信ずるのでありますが、一度に淡路島全部四十八箇町村級地手当を望むということは、限られた予算の範囲内であやりになることでありますから、これは私は御遠慮申したわけでありまして、各淡路の全町村の代表者が参りましてやかましく言つたのでありますが、高いことはよくわかつているけれども、だれが見ましても納得の行ける町村まず十二、三からお願いしようじやないか、しかる上に全体にひとつお願いしよう、実は私はこう代表者の諸君にお話をして納得をしてもらつた次第であります。今までのような、こういう矛盾したわが淡路に対する不公平は、今後断じて改正していただきたい。わが淡路に対して公平適切な、何人も首肯し得られるところの支給の規定の御設定をお願いしたい。以上要望いたす次第であります。  なお最後に洲本市のCPSのことにつきましては、非常に洲本市におきまして恵まれた環境にある鐘淵紡績会社の洲本工場の勤務者、あるいは同工場の関係者の者が約四〇%ほど調査対象に含まれておつたということが、再三の調査によつて判明せられましたことをここに付書いたす次第であります。  次に簡單に第三七の西宮市の地域給指定に関する請願でありますが、この西宮市は御承知のごとく阪神間の中心でございます。これは実は先般芦屋が特地でおるのに西宮が下げられるのじやないかというおそれがあるというので、私のところへやかましく言つて来たのであります。芦屋はむしろ西宮より率が高いというのでありますが、芦屋が高いのは土地柄非常に変なプライドを持つておつて、たとえば魚でも蘭でも特等とか一等しか買わない、三等、三等ならよそへ行つて買う。こういう土地柄であるためにCPSが高いので、土地全体が、西宮よりも高いのではない。西宮は御承知のごとく芦屋とともに京阪神の中心でありまして、非常に高級な住宅地であります。これは私がくどく申し上げるまでもなく、事実神戸やあるいは大阪、少くとも神戸大阪中心地以外の土地よわは確かに西宮の方が芦屋とともに高い。この点で、ただ西風のこの級地指定に関する請願は現在の特地をどうぞそのまま保留しておいてもらいたい、こういうお願いでございまして、これをよく御調査、御検討をいただきますならば、当然のことだと存ずる次第であります。どうぞこの点を重ねて要望いたしまして、私のお願いを終る次第でございます。
  7. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 本日議題にいたしております請願全部が地域給に関する問題でございますので、政府側意見は一括し、後ほど伺うことにいたしまして、紹介議員の御説明を続けていただきたいと思います。  日程第四〇、江田島地域給引上げ請願文書表第五一三号につきまして、紹介議員中川俊思君の御説明を願います。中川俊思君
  8. 中川俊思

    中川俊思君 盛んにどうも先ほどから島の問題で塩田君も論ぜられて、また島でありますが、しばらく御請聽を願います。  私は広島県江田島に対する地域給を大都市並に昇格していただきたい、うういうことにつきまして以下請願の画旨並びに理由を申し述べて皆さん方の御参考に供したいと思うのであります。  江田島は歴史的、地理的、社会的、経済的及び占領軍関係の特殊事情をよく御考慮願いませんと、單に小さな島だからというので簡單に葬られますと、非常な支障があるということをまずもつて御了承を願つておきたいと思うのであります。お手元に配りました請願誤に、非常に残念でありますが、写真を添付するつもりでおつたのでありますが、写真がなかつたために、実情を写真によつて御高覧願うことができなかつたことはまことに遺憾に存ずるのでありますが、この点もあわせて御了承願いたいと思うのであります。江田島と申しますと、皆さん十分御存じの通り終戰まで海軍兵学校が所在しておつたところでございまして、いわゆる日本におきまする海軍揺籃の地として、その名は十分に海内に知られておつたところであります。終戦後は英連邦占領軍の司令部が設置せられまして、現在はロバートソン中将がここにおります。昭和二十三年の二月英連邦軍司令部が呉市に移駐のあとを受けまして、極東米軍の教育司令部の所在地となつでおります。小さなこの島は現在ほとんど国際都市のような観を呈しておりまして、広島の方面では日本の香港である、こういうようなことまで言つておるような状態であるのであります。  江田島面積はわずかに千三百十六町歩の小さな島でございまして、地勢はおおむむ山地が多ございます。従つて耕地は非常に少いのであります。米麦の産はきわめて少うございまして、さつまいも以外の食糧の大部分は島外から移入して来ておるのであります。食糧の自給率は年間わずかに八十日内外にすぎないという実情であります。しかるに昭和十五、六年以降終戦までの軍備拡張時代におきましては、海軍兵学校の用地及び海軍用地が次第に拡張せられまして、さなきだに少いといろの耕地はますます縮小の一途をたどつて参つたのであります。かくて数次にわたる接收によりまして、ほとんど全海岸線にわたりまして平坦部の土地という土地は大部分海軍の施設に徴用さたのであります。終戦後、占領軍が先ほど申し上げましたように進駐して参りましてからというものは、この旧海軍兵学校の用地であるとか、あるいは海軍用地はおおむねそのまま引続いて占領軍のために使用をされておりますほか、さらに飛行場が津久茂というところに設置されまして、少いところの平垣地がこの飛行場のために五十三町歩もとられるというような状態になつたのであります。これらの詳細な点につきましては図表で示しておりますから御高覺願いたいと思います。  狭小のこの島に、明治二十一年海軍兵学校が東京築地から移転して参りまして以来、人口は漸次増加の一途をたどりましたが、太平洋戦争中海軍兵学校の大拡張に伴う増加のあとを受けて、さらに終戦後占領軍要員として多数の労務者がこの土地に各地から流入して参りまして、人口はますます飽和状態を呈するに至つたのであります。この人口過剰に悩みます周回わずか七里のねこの額ほどの島に、占領軍兵士相手の約千五、六百名に及びますところの。パンパン・ガールが流入して風俗を壊乱し、さらに島の経済体系の根本をゆるがしておりますことば、島民一般として非常な痛恨事としておるところであります。これらのパンパン・ガールによりまする悪影響を受けて、青年男女の風紀はさらに乱れて参りますし、風俗もむしばまれて、浮薄な外国居留地的な気風の発生を今日見るに至つておるのであります。  これらの関係上、経済生活の血におきましても消費都市的な色彩がきわめて濃厚になつて来ておるのであります。すでに述べましたごとく、数次にわたる土地收用によりまして、さなきだに狭小なこの島が、実質的におきましてますます縮小して来ておるにかかわらず、終戦後さらに急激に人口の増加を見るに至つたのは、占領軍要員として要求せられる職種が運転手、自動車修理工、ペンキ工、英文タイピスト、通訳など、従来の居住者のみでは応じ切れない種類のものが大多数でありますために、他の土地から多数の労務者が流入して来たためであります。これに加えて人口統計に現われない浮動性のパンパン・ガール及びその付添いが流入して参りまして、人口はいよいよ増加をして来ておるのであります。もともと食糧不足のこの島にこのような異常な人口増加と、食糧の配給を受けないところの多数のパンパン・ガール及びその一派の人たちの流入等のために、米その他食糧品の価格は大都市以上に高値を示して参つたのであります。さらに江田島の物価高の根本的な理由といたしましては、食糧初め一切の消費物資は狭小なこの島では産出する道がございません。従つてその大部分は隣接都市すなわち呉、広島の両市に仰いでおりまする関係上、旧海軍兵学校時代から一般物価は常に呉、広島両市より高値を示しておるのであります。占領軍労務者の異常なる流入によつて、さなきだに高騰を示していた家賃が、パンパン・ガールの流入によりましてさらに一層拍車をかけられ、現在では呉や広島では六疂一間が三百円ぐらいでありますのが、江田島では三千五百円くらいまでに高騰をいたしております。普通のサラリー・マンの住む程度の家で、呉市において家賃八百円くらいの家屋を持つている者が、月額家賃一万円くらいをかせいでいる者も珍しくないありさまであります。従つて普通労務者の住む最小限度の家二部屋でも、月額千円以下のものは絶無に近い状態であるのであります。パンパン・ガールに部屋や家を貸して不当に高額な利得を上げている者はありますが、これらはきわめて小数の有産者階級でありまして、三千名に近い俸給生活者は、食料品及び諸物価並びに家賃の破壊的高騰のためにその生活を極度に圧迫せられ、辛くもその生活を維持している現状であります。しかも島與部であります関係上、病人の医療及び子弟の教育等については、島内において用を弁じかねることが多ございますために、隣接都市であります呉、広島両市に通うとか、あるいは通学する等の必要がありまして、ますます交通費等のために生活費の窮迫に拍車をかけられておるのであります。  すでに述べましたごとく、占領軍の要求する労務者の職種は、従来この島になかつた種類のものが多ございますので、当然それらは島外よりの供給にまたねばならないわけでありますが、前項において述べましたごとく、この島のきわめて困難な経済條件のもとにあつては、地域の特殊事情を勘案した上で、公正妥当な待遇の改善がはかられない限り、これ以上労務者を他の土地より移入することは絶対に不可能というふうになつて参つたのであります。目下すでに占領軍の要求する労務の提供すら完全に遂行されていないありさまでございます。かくてはポツダム宣言の受諾に基きまする占領軍の占領目的遂行に協力すべしという、この至上命令の遂行にも多大の支障を来しておる実情でございます。  江田島は、半世紀以上にわたる兵学校の影響を受けて、従来より文化的水準は軍港呉市よりもはるかに高かつたのでありますが、終戰後におきましては、英連邦軍司令部、ついで米軍教育司令部が設置せられて、比較的高級将校が多く、従つて現在勤務している労務者に対しましても、相当程度の文化水準を要求せられるのであります。すなわち服装の面のみについてみましても、雇い主である米軍将兵に不潔感や不快感を持たれることは、ときに即時即刻解用、失職を意味することになり、しかもそれらに対しましては弁解も嘆願もほとんど無効であることは、労務者にとつて何ものにもまさる恐怖であります。これはただに服装の面ばかりではございません。言語、動作、みだしなみ、品性等につきましても、相当高度のものを要求せられておるのでありまして、かかる地域の特殊事情を十分に勘案せられて、公正妥当な地域給の査定を願いたいのであります。  以上私は概略を御報告申し上げたのでございまするが、詳細にわたりましては、お手元に差上げました資料によつて十分御調査を願いたいと思うのであります。物価等におきましても、呉、広島と比較をいたしました資料をつけておりまするが、いずれの面を見ましても、呉、広島よりかはるかに高いという実情でございまして、それらの点を十分に御勘案をいただきまして、少くとも呉、広島と同種度の地域給を御指定願うようにお願いする次第であります。
  9. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に日程第四一、伊豆七島の地域給引上げ請願文書表第五一四号につきまして、紹介議員菊池義郎君の御説明を願います。
  10. 菊池義郎

    菊池義郎君 伊豆七島と申しましても、これは静岡県でなく、東京都下に所属しております。昔は静岡県についておつて、それから神奈川県に追い込まれまして、神奈川県から東京都に追い込まれまして、今日は東京都下になつておる。大島、三宅島、新島、神津島、御蔵島、利島、八丈島、青島、小島、小さな島を合せますと四、五十ありましよう。同じ東京都下に小笠原、硫黄島、大鳥島、南鳥島がございましたが、小笠原以南は、今日アメリカにとられておるようなわけでございます。これが東京都の大森、荏原、品川の東京第二の選挙区に所属しておりまして、社会党の松岡駒吉、自由党の私、共産党の伊藤憲一、この三人の地盤になつております。終戰前まではえんえん千八百マイル、温帶から熱帶に延びる世界第一の長い選挙区でございました。その七ツの島がございますけれども、ほとんど島には票がございません。伊豆七島全部合せまして三万か四万くらいでございましよう。内地には六十万くらいの人口がございますから、われわれ選挙区では票数の九分九厘は内地でとらなきやならぬようなわけであります。それでここに住んでおります官公吏でありますが、公吏の方になりますと東京都でございます。東京都の職員は今日五級地の手当に相当する、つまりそれと同率の特別の給與を受けておるのでありますが、官吏だけはまだその給與がございませんので、官吏と公吏との間に非常に均衡が破れておるような次第なのであります。それで向うの官吏である測候所とか、郵便局とか、その他のところに勤めておつた者が、みな東京都の支庁の方に引拔かれるというような形でございます。内地ならば何でもございませんが、何しろ小さな、ねこの額ほどもない島のことでございますので、ただちにそれが評判になりまして、官吏の方は安いのだ、東京都庁の方が月給がいいのだというようなことでもつて、官吏の方は肩身も狭いというような状態でございます。非常な悪條件のもとにこの官吏諸君が生活しておるわけでございまするが、この実情を訴えまして、第五国会、第六国会に請願を出しました。その請願の結果、人事院から東京都庁に調査方を委嘱したのでございます。東京都庁から調査の結果を答申に及びました結果、第五、第六国会で請願が採択されたようなわけなのでございます。ところで伊豆諸島がなぜ官吏が暮しにくいかというと、申すまでもなく独占航路でございまして、船会社がとりほうだいの運賃をとつておる。それがために物価が非常に高騰しておるような次第なのでございます。のみならず、島というところは非常に土地がやせている。一運の富士火山帶でございまして、島へ参りましても、ほとんど山岳地帶で、地面は石だらけで耕地がほとんどないのでございます。そこへもつて来て、戰争中に日本の軍隊が何万と駐屯いたしました。その当時は、アメリカの軍隊は必ずこの島嶼に上陸して島嶼を侵すであろう。島へ飛行場をつくつて、その飛行場を基地として日本本土に襲撃するという想像のもとに、何万という軍隊が駐屯いたしまして、飛行場をつくるために、かわいそうに平地はことごとく一尺くらいの厚さに砂をもつて埋めしまつた。その砂を掘り返さなければ耕地にできないような実情なのであります。そへもつて来て、南方で生き残つた連中——内南洋、すなわちサイパン、テニヤン、ロタ、ポナペ、ヤルート、トラック、パラオ、そういうところに伊豆七島の住民が参りまして、出かせぎでもつて南洋興発会社の小作人として使われておつたのでありますが、終戰後、あるいは終戰前にこれらの島民がみんな島へ引揚げて参りまして、人口はほとんど倍になつておるような、状態で、耕作地はない、住む家はない、そこへ持つて来て人口は倍加しておるのであります。その上に汽船賃が高いというわけでありますから、島の人の生活はほとんど地獄の苦しみと言つても過言ではないくらいに逼迫しておるのであります。従つてそこに住んでおりますところの官吏諸君の生活がいかに悲惨なものであるかということは、御想像願えると思うのであります。島はいかにも魚が豊富であるように思われます。なるほど魚は豊富でありますが、内地、静岡県、神奈川県、その他方々からとりに来る漁船が、島の近海においてとつた魚を、島へはちつとも揚げない。まとまつて売り込む市場がないから、みんなまとめて内地へ持つて来て売り込む。そういうようなわけで、魚が拂底しているような奇現象を呈している。夏のころには、むろあじが海岸に山に積まれるほどとれるのでありますが、それは一時的であつて春とか秋とか冬とかにおいては、ほとんど魚がないというような状態であります。しからば肉類はどうかといいますと、肉類は、この戰争中に駐屯した日本軍が、牛をみんな殺して食つてしまつた。種なしになつてしま つた。その秘を持つて来るのに、これまた金がないというわけであります。肉類はなくなる、魚は内地へ持つて来るというわけで非常に高い。運賃が高いのであらゆる物質が高いというわけであります。耕作者がないものだから、たいこんだとかねぎを内地からわざわざ移入する——移入はおかしいと思いますが、こちらから売り込むというふうなふしぎな現象を呈しておるような次第なのでございます。そういうわけでございまするから、何とぞ特別に御考慮を願いまして、ぜひとも東京都が実施しておりまするように、それと同じ第五特地給を支給支給せられんことを切にお願いするものであります。
  11. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に日程第十四、伊丹市の地域給引上げ請願文書表第三九五号、第三三、琴似町の地域給指定に関する請願文書表第四一四号、第五三、金沢市及び動橋外四町の地域給引上げ請願文書表第五六三号、第五五、琴似町の地域給指定に関する請願文書表第六〇六号、第六九、千歳町の地域給指定に関する請願文書表第七二六号、第七五、札幌市、豊平町、琴似町及び札幌村の地域給指定に関する請願文書表第七六〇号、これらはいぜれも松澤兼人紹介請願でありますので、一括して御説明をお願いすることにいたします。松澤兼人君。
  12. 松澤兼人

    松澤委員 日程の一四伊丹市の地域給引上げ請願の件であります。伊丹市は尼崎の北にありまして、尼崎市、西宮、芦屋、そういつた非常に物価の高い都市に近接しており、また大阪府といたしましては、池田などそれぞれ特地の都市に隣接しているのであります。元来伊丹尼崎西宮、芦屋、そのほか鳴尾でありますとか、最近神戸市に合併になりました阪神間の西の五箇町村、これらは同一の物価高の状態にありまして、今申しましたようなところは、伊丹を除きましてそれぞれ特地の指定を受けているのであります。そういう関係で、伊丹市だけが甲地に指定されておつて、他の都市より低い地域給をもつておつたのであります。人事の交流などにおきまして非常に不便でありますので、他の阪神間の市町村並びに特地の地域給をいただきたい、今後は二割五分の最高の地域給、五級地に指定していただきたい、こういう請願の趣旨であります。  次に琴似町の地域給指定に関する請願であります。これは三三と五五と請願の内容はまつたく同一であります。請願人が違いまして二本の請願なつて出ております。琴似札幌市に隣接いたしました郊外の町でありますが、札幌琴似とすでに一体をなしておる。札幌市の施設が琴似町に置かれてありましたり、あるいはバスが札幌琴似の間を結んで、ほとんど市内と同一の取扱いになつております。そのほかこの二つの市町が一体をなしているということはいろいろと例示ができるのでありますが、ともかくも琴似の町はそういうように札幌と不可分の関係にありますので、札幌と同一の地域給の級地に指定していただきたい、こういう請願の趣旨であります。  次に五三でありますが、金澤市及び動橋外四町の地域給引上げ請願であります。金澤市の問題は、もちろん説明するまでもなく、北陸第一の都市でありまして、最高の級地に指定していただきたい、こういう陳情であります。その他の都市におきましては、大体に温泉の町でありまして、そういう特殊の事情によつて物価が非常に高い。主として金澤方面より物資が流入してをる関係あるいは観光地帶であります。ために非常に物価が高いということで、現在の地域給をそれ以上に引上げていただきたいという趣旨であります。  次は六九、千歳町の地域給指定に関する請願でありますが、千歳町は札幌から苫小牧に行きまする街道のちようど中間になつているのであります。農村的な様子を持つているのでありますが、実際その町へ行つて見ますと、以前から飛行場のあつたところでありまして、現在もそういう関係から物価が非常に高くなつて、るのであります。農村的でありますけれども、特殊の事情がありますので、地域給を引上げていただきたい、そういう趣旨の請願であります。  次は七五ですが、札幌豊平町、琴似町及び札幌村の地域給指定に関する請願でありますが、これは先ほど琴似町のことを申しましたが、いずれも札幌市の周辺に位しております町村でありまして、先ほど琴似の場合に申しましたように、いずれもすでに一体的な大きな都市を形成している実情にありますので、これらの地域おきましては同一に、しかも地域給の指定におきましては高い地域給をつけていただきたいというのであります。御承知のように東京から名官街の長その他政府職員などが札幌とかその週辺の町村に転任する場合におきましては、その地域給の差が二割もあるということで、事実上は非常な減俸になつているということでありまして、各官衙長などが非常にそういう点を苦慮いたしまして、人材を集めようとするけれども、十分に思うように行かない、物価は最近特別CPSの調査によりますと、これらの市町村における物価は、東京に比較してみて非常に大きな相違がないということがわかつて参りました。全体に北海道の場合は特別CPSの数字は高く出ているのであります。これまでそういう事実はいろいろと口にはいわれておつたのでありますが、今回の特別CPSの調査によりましてはつきりとそういう数字が出て来たのでありまして、この数字によつても札幌を二割五分あるいはどんなに低く考えても二割以下の地域給支給の率をつけるということは不合理であるということが、数字の上からはつきりわかるのであります。そういう意味がありまして、これらの札幌市周辺の町村札幌と同様に取扱つていただき、しかも最高の地域給をつけていただきたい、こういう趣旨であります。
  13. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に日程第七七、荒尾市の地域給指定に関する請願文書表第七八五号について紹介議員坂口主税君の御紹介を願います。坂口主税君。
  14. 坂口主税

    坂口主税君 本請願の趣旨を一口に申しますと、熊本県荒尾市は、現在甲地二割の地域給を受けておりますが、結局福岡県の隣接大牟田市と同一の待遇を受けたい、現在は同一でございますが、それを変更されぬように、大牟田市以上でもなく以下でもない、こういうことをお願いいたしたいのであります。これは県が違いますけれども大牟田市と荒尾市は一体をなしておりまして、いわゆる三池炭鉱は現在四つでありまして、その二つは大牟田市に、二つは荒尾市というようなことで、またその炭鉱の従業員、わるいはその他の工場の従業員もお互いに荒尾市に住まつておつて大牟田市に通う、あるいは大牟田市に住まつておつて荒尾市に通うというようなことで、炭鉱の従業員が数千人荒尾市にいるのであります。そういうような状態で、何ら経済上かわることがありません。日常生活物資にいたしましても、まつたく同じところから出ているというような関係にあるのであります。これはたまたま県が違つておりましたために、第一回に地域給がきまりました場合に、大蔵省時代でございますが、大牟田市は有名な炭鉱都市でありまして、人口も多い、そういうようなことで大牟田市だけを甲地に指定され、荒尾市を落したのでありますが、その後事情をよく説明し、実地調査をされまして、まつたく同一であるというようなことで、現在同じ甲地待遇を受けておる、こういうような沿革もあるわけであります。その後事情の変化もございません。ますます緊密に——同じ福岡県にありますとすれば、やはり福岡県の一都市としてもうすでに一緒になつておる。現在荒尾市としては人口は七万、大牟田市は二十万ございまして、大小はございますが、地形的にも経済的にもまつたく同一である、そういう意味であります。この炭鉱都市につきましてことにCPSの数字が非常に低いということは、すでに方々で御説明があつたと思います。ことに北九州あるいは北海道あたりにもそういう例がございますので、ここで重複して申しませんが、その事情はそういうところとまつたく同一でございます。大牟田市からも請願が出ておりますので、大牟田市の説明にもすでにあつたと思いますけれど、荒尾市のごときは調査の対象百十戸でございますが、そのうちの七〇%が炭鉱関係の人であるというようなことから、CPSとしてはそういう低い数字が出ており、炭鉱労務者が非常に困つておる、そういうような事情にあるわけであります。この点はここに請願書の中に相当に詳しく出しておるつもりでございますので、御調査を願いたい。大体そういう趣旨でありまして地域の給の引上げでもありません。新指定でももありませんで、要するに大牟田市と同一待遇をしていただきたい、そういう趣旨でございますので、それだけお願いしておきます。
  15. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 次に日程第七二、島根下市町村地域給存続請願文書表第七二九号につきまして、紹介議員の一人である加藤充君の御説明を願います。
  16. 加藤充

    加藤(充)委員 私は島根下市町村地域給存続請願についてその理由を簡單に申し述べたいと思います。  先ほど広島県江田島全官公署から、江田島地域給昇格に関する請願が出されましたが、その中に理由の六のところの占領軍関係特殊事情の二の問題ですが、それと同様に、服裝の面のみについても、雇い主である米軍将兵に不潔感や不快感を持たれることは、特に邸時解職や失職を意味することになる、しかも弁明も嘆願もほとんど無効である。こういうことが出されておるのでりますが、これは非常に重大なことだと思うのです。これらのことを繰返して申し上げるのは、私の請願理由において島根県下の既得地域給を確保し、新しく支給の條件の備わつた地域についても地域給を拡充して低いベースの補給をやつてもらいたいとう意味があるからこういうことを申し上げるのですが、しかも先般これは東京の家庭裁判所関係の事務局長をやつている亀田とかいうお方が、地方に職を奉ずる書記官や事務官の人々に対して、給與が低くて文句が出るならば、女の人だつたら、行儀見習いにお役所に出たんだから、それで文句があるならパンパンになれというようなことを言つたということであります。これは労働組合関係の新聞にも出ていることなんですが、この二つの事例を申し上げても、これは日本人としてよほど考えてみなければならぬと思う。勤め人が労働しながら、まるきりルンペンかこじき同様です。先般大橋法務総裁は共産党、わが党に対する批判をやつて、ルンペンか無頼漢の徒輩の集りだというようなことを言つたか、共産党がそうであるかどうかは別といたしまして、苦しかつたらパンパンになれ、服装がきたないからもう問答無用で、おつぱらいになる、文句も言えないということになるならば、こじきかルンペンが日本の勤め人しかも官公方面に職を奉ずる人々なんです。しかもそこでは威儀とか風采とかいうことがいろいろな給與の問題にもなつている。気のきいた方の條件をいろいろ持つている人といわれている人たちでそうです。これは民族に対する大きな反省の余地を持つていると思うのでありまして、一面からいえば屈辱です。これは人事院にお願いするのですが、方々からのつつぱりやいろいろな暗示か何かでそうやれというけれども、どうもやれねえというようなことになつておる。それで人事院がいま少ししつかりなさらないと、これは大きくいえば、日本民族が働きながら犬畜生みたいで、きたなくて寄れねえからおつぱらえということだつたら、これはずいぶんひどい悔辱だと思うのです。この問題は、全官公の国家公務員並びに地方公務員の給與については考えてみる必要があると思うのです。大体このたびの地域給の問題でこれほど大きな請願がたくさん方々から出て来ている、こういうことは本委員会のこの前の給與ベースのいわゆる千円アップという括弧つきの問題のときに、あるいはその後の補正予算の問題のときにも言えるとことで、また現在問題になつておる本年度の予算の問題についても、與党である自由党の方、本委員会の光栄ある、各誉ある委員の方々に御発奮を願わなければならぬと私は思う。ああいうものを通されたというようなところに地域給の嘆願、陳情というものがこれほど多くなつて来たことなんです。あれはベース・アツプじやないんです。だから地域給を削つたり、号俸調整を削つたりしたしわ寄せがここに来ているのです。なるほど上の方は二万円から下の方では三百円というあれがありましたが、結局ベース・アップにも何にもならないで、実質上の格下げになつて、そこへ朝鮮内職以来のべらぼうな物価の騰貴があつたからこういうことになつて来てしまつたので、この地域給の問題は、一つ地域給の既得権を侵害してほかのところへつけてやる、下つたところがある、上つたところがあるということではこれはごまかしになるし、解決になりません。ですから、私どもが請願紹介をいたしておりまする部分についても、既得地域給を確保して、給與そのものが不十分なために屈辱的な給與を公務員の方々が受けておるという事柄と関連して、新しく支給の條件の備わつたところはもつと増級、増俸をしなければならないということを言いたいのです。これは先ほど言いましたように、ほかの既得権を侵してそうしてこつちへくつつけるというようなことでは、これは何にもならなのです。そういう点をぜひひとつ御配慮になつていただきたい。私はあとで人事院や大蔵省関係の方に御質問をして、いわゆる地域給の問題、あるいはベースの根本問題についての勧告、あるいはこのたび各地から寄せられた地域給請願、陳情に、対しまして、予算のわく内でどういう措置ができるという計数資料をお持ちになつておるのか、こういうことは質問では明らかにしたいと思いまするが、そういう意味合いで、私どもの紹介いたしまする島根県全官公庁労働組合連絡協議会から出て参りました島根下市町村地域給存続請願というような意味合いのことを申し述べたつもりであります。
  17. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 残余の請願につきましては、その趣旨が今まで審査をいたしましたのと同趣旨に基くものでありまして紹介議員の御出席がございませんので、説明聽取は省略いたしたいと思います。  この際ただいままでに議題になりました各案件につきまして、政府側意見を聽取いたしたいと思います。慶徳人事院給與局次長
  18. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 勤務地手当の問題につきまして、それぞれ具体的な内容を前提として陳情及び請願等を伺つたのであります。従いまして、本来ならば、その具体的問題につきまして率直に政府側の立場においてお答え申し上ぐべき筋合いであろうかと存ずるのであります。ところが、御承知の通り何分にも勤務地手当の問題は内容がきわめてむずかしい問題でありますると同時に、相当一波万波を呼ぶところの非常にデリケートな問題でもございまするので、まことに申訳ない次第でございますが、具体的事例に対するお答えはどうかお許しを願いたいと存じます。ただわれわれ人事院といたしまして考えておりまするところの考え方の端を申し上げてみたいと思います。  申すまでもなく人事院といたしましては、全国的視野に立ちまして、愼重にかつ嚴正公平にこの問題の勧告原案を作成いたしたいという考えをもちまして、目下事務的にもせつかく努力中でございます。率直に申し上げますならば、事務的な案は大体完了いたしかかつております。ただ若干一部に問題がありまするので、目下再検討を加えつつあるいような現状でございますます。なおまた先ほど請願の中にもいろいろございましたように、私どもの方で調べました特別CPSに対するところの信頼性の問題が問題とされたようでありますが、もちろん人間がやることでありまするので、現われた計数が絶対的なものであるとは私どもも考えておらないのでございます。一例を申し上げまするならば、炭鉱地区というようなところにおきましては、それぞれの厚生施設によりまして非常に安い物資を入手いたしまして、それがまた特別CPSに相当具体的に入つている。それがためにまた現われた結果的計数も必要以上に低くなつておるという面があることも、私ども十分承知いたしておるのであります。従いましてこのような部分につきましては、單に現われた計数のみに依存することなく、適正な修正方法を講じて行きたいという考え方を持つております。  さらにまた先ほど御意見のございましたある大きな都市の周辺、これがただ單に行政地域を前提とすることに上りまして、実質的には大都市と寸分かわらないようなところであるにかかわらず勤務地手当から除外されておるというような御意見があつたのでありますが、こういう点につきましても、各庁とも緊密な連絡をとりまして、そういうことのないように公正な線を引きれいという考え方をもちまして作業を進めておる次第であります。  さらにまたベース・アップしない今の段階におきまして、地域給のみを引下げることが不当であるというような御意見もあつたのでありますが、これらにつきましても、現われた計数に依存するばかりでなく、一面給與政策というような観点からも十分考慮いたしたいと考えまして、これまた割合の作成に努力している次第でございます。すでに淺井総裁あるいは山下人事務官から当委員会おきましても再三お答え申し上げております通り、近く人事院の勧告も出されるような気配になろうかと存ずるのであります。ただ何分にも相当問題がございまするので、今後いろいろな意味合いおいて難航を重ねるであろうかと想像いたすのであります。しよせんこのような問題が起りますことは、加藤さんの言われました、はたして屈辱的なベースのためがもつぱらの原因であるかどうかはしばらくおきまして、率直に申し上げまして、公務員の給與ベースが比較的低い、それが陳情なり請願に集中されて法でありますが、一定の係数をかおるという事実は決して見のがすことのできない事実であろうと私どもは考えております。申すまでもなく、人事院国家公務員の利益を保護する唯一の機関としての存在でありますので、今後もますますこの方面に努力を傾注いたしたいと存ずるのでありますが、国権の最高機関たる国会におかれましても、どうぞ御理解ある御協力にお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。
  19. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 ただいまの政府委員意見に対し何か御発言はありませんか。
  20. 淵上房太郎

    ○淵上委員 勤務地手当の勧告の作成につきましては、人事院が非常な御苦心をされておられることを承知いたしまして、深く敬意を表するのであります。ただいま次長の御説明の中に出ました問題でありますが、念のためにこの機会にお尋ねいたしたいと思うのであります。  炭鉱地のCPSの問題が例にあげられたのでありますが、あるいは八幡方面の大きい企業のある地帯、こういうとこちにおいて百十世帶なら百十世帶からいろいろな資料を抽出されておることだと思うのであります。特にこの機会にお尋ねいたしたいと思いまするのは、大企業の恩恵に浴してある人がそらいろ土地にはかなりあるので、特別CPSというものは平均して安いという問題があり得るのでありまして、この消費者価格の公定といろ問題と、国家公務員の生活費の問題、これは截然と区別さるべき問題だと思うのであります。光熱費だとか、あるいは住宅費だとか、その他食糧その他につきましても、化活必需品につきまして特別なる施設によつて非常に安く供給されているのが実態でありまするが、これらの問題はそこの土地に居住する、あるいは勤務する公務員の生活とは別個の問題である、この点は申し上げるまでもなく十分御考慮に入れられていることと思うのであります。念のために、この機会に、この点についてどういう御方針で勧告を作成されつつあるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  21. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 ただいま御質問がございました通り、私どもの方の調査によりましても、たとえば炭鉱労務者でありまして、炭鉱自体からの厚生施設を利用いたしまして、非常に格安の物資によつて生計を維持しているものが特別CPSの中に相当部分入つているという事実は、先ほど申し上げました通り、はつきり認めているわけであります。従いまして、おそらくやこれらの関係もいろいろ影響しているのではなかろかと思うのであります。ただいま福岡地区を例にとられまして御質問がございましたので、一応そこに例をとりましてお答え申し上げますと、特別CPSにおきましては、都各市によりましてそれぞればらばらの指数が出ておりますことは、淵上さん御承知の通りと思います。ばらばらの指数が出ておりますことの大きな理由は、ただいま御指摘になりました特殊の労務者が入つている比率が多い少いということも、また大きな原因をなしているのではなかろうかというふうに、率直に考えております。従いましてそういう特殊なものにつきましては、その特株的事情に対応する十分な考慮を佛いまして、ただいたずらに表面に現われた計数のみによつて甲乙丙丁をつけるようなことをしないという考え方で、事務的には処理しておることをお答え申し上げます。
  22. 松澤兼人

    松澤委員 いろいろ次長からお話がありましてわかるのでありますが、ほかに、これという材料もない場合に、特別CPSあるいはレギュラーCPSを使用するということはまことにけつこうなことでありますが、この問題自体が統計上いろいろ問題があると思うのであります。ただいまお話になりました炭鉱地帯であるとか、あるいはまた大きな造船所のあるところなどにおきましては、比較的大きな部分がそういつた大きな施設に使用されておる職員であり、その公務員の生活実態というものが把握されにくいということがあると思うのであります。なお大きな都市におきまして、調査の対象がどういうところから偶然に選ばれたかという問題が起つて来ると思います。この具体的な例は、たとえば尼崎市の場合であるとか、あるいはまた名古屋市の場合であるとかいつたような、特に偶然に比較的農村的な型の地区が選ばれた。これはまつたく偶然の結果でありましようが、そういうことになつておるということも考えられますし、また、たまたま選ばれた特別CPSの調査の月が偶然にも、たとえば二十四年の五月と十一月両月とも食糧の配給の場合において、価格の高い米が配給されずに、麦その他比較的安い価格の食糧が配給されておるというような事実、これは神戸市などにそういう例があるのでありますが、こういつたことにもなるのであります。これを修正する方法でありますが、一定の係数をかけたりすることも一つの方法であろうと思うのであります。しかしそれはその都市都市の実情によつて一定の係数という数字を出すことも困難であろうと思うのであります。これを修正すると先ほど言われたのでありますが、その修正の方法というものはどういうことが実際上考えられておりますか、特別CPSの持つております欠陷を是正する修正方法というものは、どういうことを用意されておりますか、承つてみたいと思います。
  23. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 ただいま御指摘になりましたように、特別CPSの選定都市のよしあし、あるいはまた調査月のよしあしというような点が、いろいろ影響を持つておるという事実も率直に私ども認めているものであります。しかしながらこの特別CPSは必ずしもそれのみに依存するのではなくして、しよせん一箇年間における生計費を推定する一つの道具として用いるという基本的心構えで考えておるわけでございます。ただいま修正する場合における具体的なやり方についてどういう方針をとつておるかという具体的な御質問でございましたが、おそらくや、何人がこの勤務地手当の作業にかかりましても、非常にむずかしい問題であるということは、いまさら私から申し上げるまでもないことと存じます。要は比較論の問題でございまして、何がより合理的であり、何がより納得しやすいであろうかという、結局資料の比較的客観性ある妥当性というようなことが問題であるのではなかろうかと存ずるのであります。従いまして修正の具体的方法につきましては、技術的に非常にむずかしいと申し上げざるを得ないのでございますが、ただ私どもの念願しておりまする点は、従来のごとく運動が上手であつたとか、あるいは陳情のやり方が下手であるとか上手であるとかいうようなことによりまして勤務地手当がそのときの恣意によりまして時々刻々左右されて決定されるというようなことは、言うまでもなく国家的にも不経済でございまするので、そういうことのないようにいたしたい。それにはせめて相当程度の都市における生計費の実態を把握いたしまして、それをいわば一種の棒ぐいといたしまして、その基準によりまして、むずかしい作業ではありますけれども、まあまあというところで線を引いて見た方がよろしいのではなかろうか、かくすることによりまして、従来からさつぱり運動もなければ陳情もないというところでも、新規に勤務地手当のつくところも当然出て参りましようし、従来必要以上に不遇な待遇を受けておりますところも、上の合理的な待遇に改善されるであろうという、大きく苗一口いますとそういう考え方を持つて対処しているわけでございます。後いまして具体的な修正その他の方法論等につきましては、いろいろ御意見奮るこ圭・存じ写るが一嵩か覚ましてまあくというようなところでごかんぺん願うより方法がなかろうかと、実はお答え申し上げるわけであります。
  24. 松澤兼人

    松澤委員 まあまあというところで合理的に、科学的にひとつやつていただきたいと思うのです。  もう一つお伺いいたしたいことは、朝鮮動乱後の物価上昇ということは、相当これは重大な問題であろうと思います。ところが今まで聞いておりますところによりますと、昨年の五月までは一応考慮に入れておられるようであります。その後の情勢というものは非常に破行的に物価が高く現われて行く場合と、それからそれほどでもない場合と出て来ると思うのでありますが、この点私どもは、もちろん勧告は早期に出してもらいたいという根本的な方針は堅持しておりますが、これが遅れるならば、少くとも朝鮮動乱後の物価の動向というものを勧告の中に取込んでいただきたいということを痛切に考えております。こういう新しい経済界の動向というものに対して、この勧告はどういうふうにそれを取入れて是正されるお考えか、この点をお伺いしたいのであります。
  25. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 御指摘になりましたごとく、朝鮮動乱後における新たな事情ということも十分考慮をいたしたいと考えております。ただ具体的実際閥題を考慮いたしまするときに、朝鮮動乱によるところの影響が相当跛行的な状態でございまして、それぞれの地域あるいは場所等によりまして、その影響するところの程度なり度合いなりというものが相当遅つておるやに見受けられるのであります。従いまして私どもの方で見当をつけたものだけが見られまして、見当をつけないところが見られないというようなことになりますと、また別の意味における問題が出て参りまするので、基本的方針としましては、朝鮮動乱後における影響を十分考慮するという基本方針ではありまするが、それの具体的なやり方につきましては、目下愼重検討中でございます。
  26. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほど請願に対する御見解の吐露の中に、勧告は人事院で進んでおるという話ですが、その点について二点お伺いしたいのです。御承知のように地域給の問題は、こういうふうに幾多の請願、陳情が出て来ている。それからいろいろその中には、またベースそのものの請願や苦情も出て来ていますが、勧告とは一体どの点についての勧告なのか、それをひとつ承つておきたいと思います。
  27. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 地域給に対する勧告と申し上げますのは、現在の給與法のたしか第二條第五号だつたかと記憶いたしまするが、勤務地手当の支給割合につきまして、人事院は、常時全国的生計費の調査をいたしまして、その合理的改訂について国会及び内閣に勧告すべしという條項がございます。その條項につきまして、勧告するという前提のもとにお答え申し上げている次第でございます。
  28. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほど松沢委員からの発言にもあつたようですが、朝鮮内職以来、統計上にあらわれた物価指数というものは融著な高騰を示しておるのですが、今地域給についての勧告は、子の根拠などをお示しくださいましたけれども、いわゆる国家公務員法の二十八條による給與の勧告というようなものについても、先ほどの勧告は進んでおるということの中に含まれておるのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  29. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 国家公務員法の第二十八條の、いわゆる情勢適合の原則に対する勧告というものは、ただいままでお答え申し上げましたものの中に含まれており幸せん。それで、なお一つつけ加えて申し上げたいと思うのでありますが、御承知の通りに、私どもの方としましてはいろいろの調査をやつているのでありますが、従来からべ改訂勧告の一つの基本となつておりますところのマーケット・バスケット、これも実は毎月調査をいたしておる次第でございます。一般的に朝鮮動乱に伴うところの物価が相当上昇していることは事実でありますが、生計費に及ぼす影響は、一般が思つたより割合に少いというような計数が現在のところは出ている次第でございます。従いましてただいまの現在といたしましては、公務員法第二十八條をただちに発動させるには時期少しく尚早ではなかろうかというような考えを持つておるような次勢でございます。
  30. 加藤充

    加藤(充)委員 その二十八條に基く勧告については、大いに議論しなければならぬのですが、また私どもは結論からいうと、人事院が今こそ二十八條の勧告をやらなければ、人事院は無能か怠慢か、とにかくそのそしりを免れない、これは常識上明らかなんです。私は統計の数字をあげませんが、あげるならば、ここに今地域給の問題で陳情請願なつた文の引用から見ても、その数字を指摘するのにはそう困難ではありませんが、大体常識ということです。生活の苦しみから来る実感です。それから見てそれこそが最も科学的合理的な、人間的な、勤め人的な基礎だと私は思うのですが、そのことについては今預かりますが、地域給の勧告ということらしいのですが、これけ時期いかんによつては予算の通過というような問題とも関連いたします。またそういうような観念からお尋ねするのですが、大体先ほども意見の中に申し上げましたように、給與そのものが低過ぎるのですから、まるきり犬、ねこ、牛、豚並ですから、どうにもならないから、地域給の問題で問題が出て来ているわけなんです。そういう地域給の問題ですから、ごまかして片一方からとつて片一方に渡せる、そして予算金のわく内で納まりがつくものではないのです。そういう点で地域給——今詳細はおつしやられないかもしれませんけれども、大体地域給の勧告というものが、今申し上げたような点からの関係におきまして、空気の拔けた手まりのように、片一方をふくらませるならば、片一方がひつ込むというような意味合いじやない地域給の勧告をお出しにならなければならないと考えておるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  31. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 ただいま加藤さんの御指摘になりましたように、予算のわく内において片方を削つて片方にまわすというような方法もどうかと思われますが、必ずしも方法論としてはそれのみではないのでありまして、別途給與政策的見地から考えていろいろのやり方があろうかと思うのであります。従いまして私の方といたしましては、いろいろの角度から研究いたしまして人事院の使命でありますところの公務員を保護する唯一の機関とし、かつまた中立的な立場といたしまして、嚴正かつ公平な案を勧告いたしたいという考えのもとに、せつかく努力中であるとお答え申し上げたい思います。
  32. 加藤充

    加藤(充)委員 その科学的合理的で——いろいろな方法があるという——その複雑巧妙性に便乗されて、結局昨年のいわゆる千円ベース・アップが何もならないということになつてしまうと、生活苦に直面しておりまする下級の公務員は、まつたくこれはとびに油揚げをさらわれたようなことになつてしまつて、その恩恵に浴さないことになるので、科学的合理的ということの中に、ごまかしにならないように、ひとつ今度だけはしつかりやつてもらいたい。そうしやければ納まりがつかぬのだということを知らなければならない。  それからその点で関連いたしますが、政府あたりで考えておる自立経済というような問題の立て方、あるいは案によりますと、二十五年度には昭和九年から十一年度の生活水準の八〇%に引上げるということなんです。八〇%に引上つたかどうかわからないのですが、そういうふうな案がある、二十八年度には基本年度の八九%に引上げるというような自立経済の案を持つておるということであります。そうなると特別CPSや何かの数字の調査の問題にも関連いたしますが、世の中で、新聞では、大分税金なんかの取立てや、納率のパーセンテージなどをやるときには、生活水準がこのくらい上つて、国民総所得はこのくらいになつたというようなことで、税金のパーセンテージはきわめて低いのだというようなごまかし繰作や宣伝や何かやられておりますが、少くとも給與体系のベースにおきましても、基本年度の八〇%に上げられるというようなときであるならば、そのいわゆる高められた生活水準に相応する、それの実質を享受でき得るだけの給與というものが與えられなければならないと思うのでありますが、従来のペースの勧告、あるいはこのたびの地域給の勧告に、自立経済の中に盛られておる、二十五年度は、昭和九年—十一年度の基本年度の八〇%に生活水準を上げるという、その生活水準をいわゆる消費生活においてその給與で実現できるだけの措置がとられておるか、またこれから後はとらなければならないと考えておるのか、おらないのか、その点を承りたいと思います。をいたしたいと考えております。
  33. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 勤務地手当の加藤さんの御批判につきましては、具体的内容にわたらざるを得ませんので、やがて勧告が行われましたときに、その勧告の案に基きまして、またあらためて御批判をお願い申し上げたいと存じます。さらにもう一つの、いろいろの計画からいたしまして、国民生活の向上というような問題もお話でございましたが、私どもといたしましては、国民生活が向上するにつれまして、給與体系もまた本然の姿にもどすべきであろうというふうに考えておる次第でございまして、かくのごとくなればなるにつれまして、ただいま問題になつておりますところの勤務地手当は逐次減少して行く、行く行くはなくして行きたいという考えでおります。かくいたしまして、本俸によりまして、大部分の生計を全うし得るというような状態に相なりますると、軍に経常的給與ばかりでなく、本俸を基礎として算定されますととろの恩給の問題とか、あるいは退職手当の問題とか、共済組合の給付の問題であるとか、非常に国家公務員といたしましてはその恩恵に浴する面がますます大きくなることに相なりますので、かくのごとき日の一日もすみやかに来らんことを念願しておる次第であります。
  34. 加藤充

    加藤(充)委員 むずかしいことを言わずに、あなたは去年、昭和九年—十一年度の八〇%の生活の回復があなたのもらつている給料でできますか。それだけお聞きしたい。
  35. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 どうも昭和八、九年時代と比較して云々ということになりますと、私も経済学者ではありませんので、経済的分析につきましてもきわめてうとうございます。従いましてその比較の対象、あるいはその具体的内容等についてあまり存じておりませんので、はつきりお答え申し上げるには、私自身がふさわしくないものであろろと存じます。
  36. 加藤充

    加藤(充)委員 地域給の諸手当の整理の問題ですが、これは基本給との関連において、雑手当は給與制度の中から整理して行きたいということはよくわかるのですが、そうなると、先ほどの地域給の勧告の中には、当然その原則が貫かれて、しかも昨年の朝鮮動乱以来の物価指数、というよりも生活の困窮度合いの実態から、給與ペースそのもの、基本給そのものの勧告が当然理論的に科学的に合理的に出て来なければ、地域給をいくらひねくりまわしても問題の解決にならないと思うのですが、一体その点についてはどう思うか。なおこの際、いわゆる世界的なインフレ情勢によつて、賃金のストップの傾向がアメリカやイギリスあたりでは進んである。それに対して労働者は非常に反揆しているということが、坊間の新聞のニュースにも散見するのであります。日本でもどうせインフレの問題は考えなければならないと思うのでありますが、そういうようなややこしい情勢の中に最低賃金制、あるいは地域給、あるいは基本給のベースの勧告問題などについて配慮されて行かなければならないと考えているし、また差迫つた勧告の中にも、そういう配慮がなされているかどうか、その点を承りたいと思うのであります。  なお入時間労働制を基準にいたしまして、アメリカでは勤労者の平壇收入が大体月三百ドルくらいだといわれております。これは約十万円見当になりましよう。古い資料で間違つているかもしれませんけれども、アメリカでほ一時間の最低賃金が大体七十五セントと定められているとかいう数字を見たとともあるのであります。そういう点について、日本でも最近官公労その他一般のところでも——官公労が中心ですが、八時間労働で一万二千円ないしは十八才の独身青年について月額五千五百円という要求が出ておるようであります。最低賃金制の線の引き方は、科学的合理的にむずかしいのかもしれませんが、大方これらの数字に現われているのが、やはわ実質的に最低賃金だと私は思うのでありますが、その点について人事院の御意見を承りたい。
  37. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 国家公務員の待遇がすみやかに是正されることを期待します点については、まつたく加藤さんの御意見と同感でございます。ただその手段、方法といたしましては、国家公務員法第二十八條の規定に該当したであろうと認めました場合に、最善の努力をいたしたいと考えております。
  38. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 他に御発言がなければ、ただいまより本日の日程にあります請願全部について採否を決定いたしたいと思います。本日の日程にあります請願は、全部が地域給に関するものでありまして、その趣旨がすこぶる適切妥当なものと認められますので、内閣においてよくこれらを研究し、これを参考とし、趣旨の達成について努力すべきことを望む意味におきまして、本委員会といたしましては、これらの各請願はいずれも議院の会議に付して採択の上、内閣に送付することを適当と認めることに議決いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたしました。
  40. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 なお当委員会に多数の陳情書が参つております。その概要はお手元に配付してありますが、これらの陳情はいずれも切実な内容を有しておりますので、これらを十分に参考とするよう、政府特に人事院に送付いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。  国家公務員法に対する災害補償制度に関する件について辺調査は後日に延期いたしまして、本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせすることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十七分散会