○
塩田委員 私は
洲本市の
勤務地手当支給について現在までの甲の引下げ絶対
反対と、
尾崎村、
江井町、阿万町、
福良町、
多賀村、大
町村、
郡家町、
由良町、
市村、
岩屋、
仮屋、
富島、
志筑の各
町村の
級地手当をそれぞれ公平適切に
支給せられんことを要望いたしますことにつきまして、一応その妥当なる理由を申し上げたいと思うのであります。
以上の
洲本市並びにただいま申し上げました
町村は、
兵庫県
淡路島所在の市
町村でありまするので、個々の
町村にわたる
説明は省きまして、
淡路島全体につきまして、その
淡路島の
特異性と申しますか、そういうことにつきまして十分ひとつ御理解をいただきたいと考えるのであります。
地理にお詳しい方ならば、
淡路島はわが国において
佐渡島に次ぐ大きな島であるということは御
承知だと存じます。あの
三原山の大島のような小さなものではないということは御
承知のことと思うのであります。また
淡路島は古く万葉の昔から和歌などによりましていろいろ歌われております。そういうふうにこの島は昔から非常に美しい島で、夢のようなよい
土地だといわれておるのであります。事実昔はそうであつたのでありますが、ただいまは日本全体と同様に非常に苦しい島に
なつております。この
淡路島には現在
洲本という
一つの市と四十八
箇町村があるのでありまするが、これは昔は五十二、
三箇町村あつたのであります。合併いたしまして、現在は一市四十八
箇町村あります。
面積は三十六
万里、周囲は四十里といわれておりますが、この島の中央には、北の端から島全体の三分の二、約九里にわたりましてずつと山が続いております。そうしてその両端が各
海岸地に
なつておりまして、そこに二十八
箇町村あるわけであります。これが津名郡と申しまして
兵庫県第一の大きな郡であります。その南の方にかけまして、少し
平野の
間隔を置まして、また長さ約五里の山があるのであります。その中間の
部分が
平野をなしておりまして、ここが
三原郡と申しまして十九
箇町村があるわけであります。
兵庫県で二十何箇の郡があります中で、
三原郡十九
箇町村は第三番目か第四番目の大きな郡に
なつておるのであります。そうしてこの両郡の
中心地に
なつておりますのが
洲本市、すなわち
大阪湾側のこの両郡の
中心にくらいしておるのが
洲本という
淡路の首都に
なつておるわけであります。大体
淡路という島は、ただいま申し上げましたごとく、三十六
万里の
面積があるのでありまするが、大
部分が山でありまして、約五分の一くらいが
平地でありまして、この
平地に
一つの市と四十八箇の
町村がずつと続いてあるわけであります。そうして約
人旦三十万弱、二十七万何千の人間が住んでおる次第であります。そこ大体われわれの概念から申しますと、島といいますと何だか人里離れた非常にさみしい、たとえば八丈島とか隠岐島とか、そうでなくても
佐渡島とかいうような島を連想しやすいのでありますが、わが
淡路島はまつたくそれと
反対にしごく便利な、そうしてまことににぎやかな
土地なのであります。と申しますのは、
地理をごらんいただければわかるのでありますが、
淡路の北端の
岩屋という人口一、二万の町がありますが、この町と対岸の
神戸の隣の
明石市とは、わずか一里しか離れていないのであります。すなわち
明石海狭はわずか一里でありまして、
連絡船によりましても二十五分間、タバコを一、二本吸つておる間に
汽船が着いてしまう。
連絡船が着いてしまう。こういうところでありまして、しかも朝晩は半時間
おきに船が出ておる。日中でも一時間ないしよほど
間隔が広いときで二時間くらい、上下二十四回の
連絡船が今通つておるわけであります。また
神戸や
大阪あるいはただいまの
明石とか、
大阪府の淡輪、深日という港、あるいは四国の徳島県の鳴門、こういうようなところからは、
淡路の
洲本その他各地へ一日二十数回大小の
汽船が往復いたしておる非常に便利な
土地であります。そこでこの
淡路島は、
連絡船によりますと一番最短の時間が約四、五十分、最も長い時間を要するところで
洲本・
大阪間の約三時間、
洲本・
神戸間の約二時間半、こういうふうな
土地柄であります。
従つてただいま申し上げましたように、
淡路島といつても非常にさみしい、本土から離れた
土地では断じてないのであります。ただいま申し上げましたごとく、
神戸や
大阪からはしごく近い、便利な
土地であります。また島内は全島にわたりまして非常に道がよく、
淡路島の道はたいへんいいと、これは定評のある島であります。
従つて鉄道以外に、バスがおもな道路には半時間
おきに二台くらい発着いたしております。どんなところへ
行つても一時間ないし一時間半
おきにバスが出ておる。島内自体も非常に交通便利な
土地であります。そこで以上のようにこの
淡路島は
神戸、
大阪とは交通が非常に便利でありまして、いろいろな物資はこの
神戸、
大阪の両都市を通じまして大体入つて来る。そのために文化が非常に進んでおる。これは昔からそうでありますが、
淡路島は非常に文化の進んだところであるということで、関西地方では定評のある島であります。
淡路島が文化が進んでおるもう
一つの理由は、昔から
土地柄が非常にゆたかであります。それについ先年までは男子の中学校がたつた二つしかなかつた。中学校が
一つで商業学校が
一つしかなかつた。それも
洲本という町にしかなかつた。女学校が四つか五つしかなかつた。それもりつぱな設備を持つた女学校は
洲本市に
一つしかなかつた。それで多くの家庭はその子女を大体
京都とか
大阪とか、あるいは
神戸のその
土地の学校にみな競つてやつたものであります。またこれを誇りとさえいたしておつたのであります。そうしてこの連中が業を終えるとどしどし帰つて来る。ことに男子は高等教育を受けて帰つて来る。男の大体半数以上は東京に遊学しておる。そうして郷里べ帰つて来て土著する。こういう連中が東京なり
京都なり、その都会地の文化を持つて帰る。そこで先ほど申し上げましたごとく、
淡路のすべての商人は、全部
大阪あるいは
神戸の商人の手を通じて物を入れて来る。こういう関係上、若から
淡路島は島でありながら文化の高い
土地である、こういわれておる次第であります。ことに
洲本市の場合は、全
淡路島の主都であり、
中心地でありまして、日本における東京のようなところでありまして市民はよい意味の一種のプライドを持つております。町並も家並も非常にきれいで、皆様が一度おいでに
なつたら、
淡路島はこういうりつぱな町なのかと驚かれるような島であります。
そこで
淡路島はかくのごとく文化の非常に高いところでありながら、主食はどうか、こういうかうな第二の段階に入るのでありますが、この島は
土地が非常に肥沃であります。気候は非常に温順であります。それから地味がゆたかでありますがゆえに、非常に米のおいしいものができます。おいしいものができますが、悲しいかな
土地が狭い。だからあまり量は多くできませんが、とにかく
淡路米と称しまして、京阪神のすし屋、料理屋というものは皆
淡路の米を持つて行くのであります。またいい家庭どんどんこの米を
淡路島に買い出しに来ておる。こういうことのために
淡路島で事実相当の米がとれるのでありますけれども、その値段というものは阪神地方とかわらない。ただいまその値段は東京より高いように私は聞いておるのであります。それで主食は結局
大阪、
神戸などとかわらない。こういう結果を招来いたしておるのであります。
次に副食のことを申し上げたいのでありますが、ただいままで申し上げましたごとく、耕地が狭いのであつて、
土地は非常に肥沃である。そして米、麦をおもにつくります。その次はタバコを多くつくる。これも品質が非常によろしい。この米、麦、タバコは御
承知のようにふだん非常によく売れるものでありますから、農家は競つてこういうものをつくりまして、野菜はあまりつくらないのであります。野菜はただ農家が自家のために食べられる程度の野菜しかつくらない。だから案外野菜が品不足であつて高い。
神戸や
大阪のように近府県からどしどし野菜が入つて来ますところよりもはるかに野菜は不自由しておる。
従つて高い。こういう奇現象を呈しておるのであります。
魚類にいたしましても、島でありますから四面法でありますのに、これまた
神戸、
大阪より高い。こういう奇現象を呈しておる。それはなぜかと申しますと、
淡路を
中心にいたしました海は、プランクトンの関係上魚が非常においしいのであります。それでどうしてもこのおいしい魚が阪神間に売れて行く。しかも大体たいとか、さわらとか、高級なものしかとれないのであります。そのほかはいわゆるいわしと申しまして、だしじやこにするようなものしかとれない。ところがだいとかいう高級の魚は、
京都とか、
大阪とか、あるいは
神戸の料理屋にどしどし高い値段で買われるために、どういたしましてもわが
淡路の一般家庭人の手には届かない。こういうわけであります。しやこは安いが、年中しやこを食つておるわけにも行かない、また年中しやこがとれるわけでもない。こういうわけでありまして、魚が
大阪、
神戸よりも高い。こういうような事実があるのであります。
また肉類に至りましては、これは
神戸を通じまして入つて来る。
従つて悪くて高い。これは定評のあるものであります。概括いたしまして副食物は
神戸や
大阪よりは事実高いのであります。こういうばかげたことが実際現実の姿であります。
かりに果実にいたしましても
淡路には柑橘類はやや多くできるのであります。ところがその他の果物はできない。柑橘の中でも最も多くとれるのがいわゆる鳴門オレンジ、鳴門みかんでありますが、これは非常に風味がいいために、東京、
大阪あるいは
神戸等の市場に非常に高い値で売れておるので、とても
土地の人間は手が出ない。こういうことに
なつておる。わずかに手に入るのは初夏のころにできる夏みかんでありますが、この夏みかんは安い。これくらいが結局安くて手に入る。こういうふうな現象を呈しておるのであります。
次に衣食住の衣類のことでありますが、これはくどくど申し上げるまでもなく、衣類は
大阪、
神戸より三割は高い。すべて
大阪、
神戸の商人の手を通じて
淡路の商人が買う。それを一般人が買うのでありますから、完全に三割は高い。くつも完全に高い。くつ下などはお話にならぬほどで五割も高い。こういうふうな現象を呈しておるのであります。家賃はと申しますと、この
土地は大きな立木がないために、材木は全部やはり
大阪、
神戸の商人の手を通じて買う。あるいは紀州和歌山から買う。建築に要する諸材料はみな高い。ただ安いのは瓦だけがである。瓦は
土地に産しますから、幾分か安い。こういう状態であります。
従つて家賃も決して安くはないのであります。以上
淡路島における衣食住を総合いたしまして大体、
神戸、
大阪よりは安いものはほとんどないということが言えるのであります。
また文化が割合高い。知識人が割合に多い。それに昔からゆたかな
土地で、礼儀作法が非常に正しい。
従つて生活程度が高い。とは申しましても、やはりそれは
大阪や
神戸から見ればいなかであることは事実で、あります。
従つて華美な、浮薄な状態や、あるいは頽廃的な気風というものは少い。そういう観点から見れば、公務員諸士は幾分か
神戸や
大阪より生活がしやすいわけであります、しかし
淡路島の
中心地の
洲本市は、
神戸や
大阪より暮しにくいのではないか。少くとも
神戸や
大阪の場末に住んでいる人たちよりは、
洲本市に住んでいる人の方がずつと暮しずらいであろうと考えるのであります。そのわけは、決して官尊民卑の
土地下はありませんけれども、由来一般の公務員諸士というものは、一般の住民よりは高度の教育を受け、りつぱな人格を備えた人であるという観念を昔から持つておる次第であります。それで官公吏あるいは学校の先生というものは、非常に尊敬を受けておる。そのために御自身も、あるいはその家族の方も、そう見苦しい服装や、見苦しい生活はどうしてもできない。こういうことに相
なつておるのであります。ことにこの島は、ただいままで申し上げましごとく、
土地が割合ゆたかでありまするからして、一般人の服装や生活が割合よろしい。
従つて公務員諸士の苦しさというものは、実際察することができる次第でありますが、これは一例であります。
くどく申し上げて時間をつぶし、まことに相済まぬのでありますが、従来の
淡路島があまりにひどいものですから、私はもう一言、二言言わしてもらいたいのでありますが、早い話が、陸地続きの
土地でありましたら、公務員の皆様方が
京都なり、あるいは
神戸、
大阪なりに出て行くのでも、汽車や電車で簡單に出て行けるのであります。散歩にでも出かけて行けるのであります。ところが
淡路島からかりに
神戸に行くにしましても、
大阪、
京都に行くにしましても、一応船で
神戸なり、
大阪なりに行かなくてはならぬ。そこでこういうところですから、汽車なら三等で行ける場合も、どうしても
汽船というものは三等には乗れぬものでありまして、大体一等に乗らずとも、二等に乗らなければならぬ。字数以上は、少くとも船は二等を利用することになる。そうすると、それが公用である場合、なるほどその船賃は役所の方から出ましても、ボーイにはやはり百円やそこいらのチップもやらなければならぬ。結局往復になると二百円かかる。こういうふうにわずかではありまするが、余分なものが出る。家族が出かける場合も同じであります。こういうふうなことは、事実その
土地に住んでみなければちよつと気がつかない。こういうふうなところにも費用がかかる次第であります。
それからこの
淡路島の
土地の公務員というものは、決して
大阪や
神戸に劣らない生活費を要するものだ、こう私は考えております。むしろ私をして率直に言わせましたならば、
淡路島、ことに
洲本市における公務員の諸士は、あの物価の安い
兵庫県下における
尼崎や、
明石や、高砂というところよりも、また
大阪に
おきましては岸和田や、貝塚・泉大津、こういうふうなところにおられる人たちよりも、ずつと高い生活費を要する。私は実際
大阪にも長くおりました。
従つて神戸もよく知つておる。阪神間は選挙区だからよく知つておる。だから私はそう断言し得られると考えるのであります。
洲本市以外の
土地はもちろんでありまするが、
洲本市でも、物価が高いために公務員の皆さんが来ることをいやがる。来たら高いのにびつくりしまして、早々逃げ出すことを考えておる、こういうような状態であるのであります。ほかの
土地を例にひつぱり出して申訳ないのでありますが、わが
兵庫県下においては、
淡路島より生活のしにくい
土地は断じてない、私はこう考えております。たとえば
明石や
尼崎、高砂、相生などよりずつと高い。ましてやその
土地以外の
土地とは比べものにならぬ。
大阪に
おきましても、ただいま申し上げた岸私田、泉大津、あるいは貝塚、和歌山よりも
淡路島、ことに
洲本市は高いということを断言いたします。ことに私が最近承つたところによりますとしこれは今まで知らなかつたのは、はなはだふつつかでありまするが、
大阪府に
おきましては、和歌山県との魔、あるいは奈良県との境というものは、物資に恵まれた安い
土地柄で、みな
級地手当を受けておる。それからわが
兵庫県下に
おきましても、
明石郡が全部であります。以下
淡路に比べましたらずつと辺陬な
土地であるところの有馬郡が約二町五箇村
級地手当を受けております。
一つの郡の半数以上であります。加古郡において四町九箇村、担保郡においては五つの町と六箇村、印南郡においては三つの町と十箇村、飾磨郡において二つの町と七箇村、神崎郡においては二つの町に六箇村、こういうふうに以上の各郡は
一つの郡に
おきまして、少くとも五、六割以上十割近くの
町村がいわゆる
級地手当を受けておる。しかるにもかかわらず、わが
淡路島の津名郡は県下随一の二十九
箇町村を有しておる。しかもただいま申し上げましたごとく物価が非常に高いが、その二十九
箇町村がただの
一つも今まで
級地手当を受けていない。これは実に言語道断な話であります。またお隣の
三原郡は、これは十九
箇町村あります。県下第三か、第四の大きな郡でありまして、たくさんの
町村のある郡であります。ここでもただの
一つでも
級地手当を受けていない。しかも請路には現在六つの新制高等学校があります。また三つの国家警察があるのであります。農林省の出張所もあれば、県の保健所その他いろいろの機関があるのであります。
兵庫県下に
おきまして新制高等学校のある
町村、あるいは国家警察のある
町村、あるいは県の保健所のある
町村、その他中央機関の出張所、出先機関のある
町村で、
級地手当を受けていない
町村は
一つもない。ただ
淡路だけであります。今回
級地手当支給を要求いたしておりまする
町村は、それぞれみな
淡路島約五十
箇町村の
中心地でありまして、本来ならば
淡路島が全部
級地手当を受けるべき
土地と私は信ずるのでありますが、一度に
淡路島全部四十八
箇町村が
級地手当を望むということは、限られた予算の範囲内であやりになることでありますから、これは私は御遠慮申したわけでありまして、各
淡路の全
町村の代表者が参りましてやかましく言つたのでありますが、高いことはよくわかつているけれども、だれが見ましても納得の行ける
町村まず十二、三からお願いしようじやないか、しかる上に全体にひとつお願いしよう、実は私はこう代表者の諸君にお話をして納得をしてもらつた次第であります。今までのような、こういう矛盾したわが
淡路に対する不公平は、今後断じて改正していただきたい。わが
淡路に対して公平適切な、何人も首肯し得られるところの
支給の規定の御設定をお願いしたい。以上要望いたす次第であります。
なお最後に
洲本市のCPSのことにつきましては、非常に
洲本市に
おきまして恵まれた環境にある鐘淵紡績会社の
洲本工場の勤務者、あるいは同工場の関係者の者が約四〇%ほど調査対象に含まれておつたということが、再三の調査によつて判明せられましたことをここに付書いたす次第であります。
次に簡單に第三七の
西宮市の
地域給指定に関する
請願でありますが、この
西宮市は御
承知のごとく阪神間の
中心でございます。これは実は先般芦屋が特地でおるのに
西宮が下げられるのじやないかというおそれがあるというので、私のところへやかましく言つて来たのであります。芦屋はむしろ
西宮より率が高いというのでありますが、芦屋が高いのは
土地柄非常に変なプライドを持つておつて、たとえば魚でも蘭でも特等とか一等しか買わない、三等、三等ならよそへ
行つて買う。こういう
土地柄であるためにCPSが高いので、
土地全体が、
西宮よりも高いのではない。
西宮は御
承知のごとく芦屋とともに京阪神の
中心でありまして、非常に高級な住宅地であります。これは私がくどく申し上げるまでもなく、事実
神戸やあるいは
大阪、少くとも
神戸、
大阪の
中心地以外の
土地よわは確かに
西宮の方が芦屋とともに高い。この点で、ただ西風のこの級地指定に関する
請願は現在の特地をどうぞそのまま保留しておいてもらいたい、こういうお願いでございまして、これをよく御調査、御検討をいただきますならば、当然のことだと存ずる次第であります。どうぞこの点を重ねて要望いたしまして、私のお願いを終る次第でございます。