○柏村
証人 警察の側におきましては、これは
密航者であるという認定をした場合、
警察の立場から相当に証拠も固めてや
つておるつもりでありますが、
検察庁とされましては、公訴の維持という観点からさらに正確な証拠というものが要求されるという
建前もありまして、
警察から立件
送致したものが起訴されずに済んでおるというようなものも相当あるようであります。ただいまここに数字的なものを持ち合せておりませんが、
事例としては相当あるようであります。これにつきましては、
警察の側におきましても、非常にむずかしいことではありまするが、
密航につきましての証拠固めという面において、
警察官の教養その他
警察技術の進歩発達のために、十分今後努力をして行きたいと考えております。それから先ほどの
出入国管理庁について申し上げましたときのほかの官庁との
関係ですが、
海上保安庁は
海上の
取締りの
責任を持
つておるわけであります。
海上保安庁におかれても、その
機構であるとかあるいは船舶数量であるとか、そういうものがこの
取締りのためには必ずしも十分でないというふうに考えられますので、
海上において
密航者をつかまえるということはなかなか困難であります。
従つて沿岸または上陸後において
警察でこれを取締るということになる部面が非常に多いように思うのであります。
海上保安庁の応援を要請することもしばしばあるわけでありますが、これについてはなかなか船の
関係等で要求に応じていただけないこともあるのであります。自治体
警察との
関係でございますが、自治体
警察はその
警察署の管内の
密貿易事犯
取締りという
責任を持
つておるわけでありまして、おおむね自治体においてもそういう点においては努力されておると思うのであります。ともすればこの
密航、
密貿易というものは、その管轄の自治体に必ずしも深い利害
関係がないということから、ほかのことが忙しい場合においては、ややもすれば自治体
警察としてはこれに対しての関心が薄くなるということも考えられるわけでありまして、そういう点においても、機関の間に一貫性がないということが、こうした事犯についての
取締りを円滑にする面において、不都合な面もあるというふうに考えられるわけであります。なお費用の負担等についても、自治体
警察におきましては、先ほど申し上げましたようなその自治体に直接した利害
関係が薄いということから、多大の費用を費してまでこれに従事するということは、少くとも小さい自治体においては非常に困難になるのではないかと考えておるわけであります。