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久下説明員 さきの
国会におきまして両院を通過いたしました
保健婦助産婦看護婦法の
施行に関しましては、
さきの
国会の終りごろに、
省令の
要綱につきまして御
説明を申し上げ、御
了解をいただいてお
つたのでありますが、その後、その
要綱に基きまして正式に
省令にいたすべく、
厚生省といたしましては、案を進めてお
つたのであります。最近に
三つの
省令案の成案を得ましたので、これを去る十四日の本
厚生委員会の
看護婦制度小委員会のお集まりの際に御
報告を申し上げまして、御
了解をいただいた次第でございます。
この
三つの
省令と申しますのは、まず第一は
保健婦助産婦看護法施行規則という
表題をつけておりまする、主として
法律の
施行に関しまする
手続に
関係した
規定をいたしたものであります。
第二は、
保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則という
表題をつけたものでございます。これはその標題の示しますごとく、
保健婦、
助産婦、
看護婦を養成いたします
学校または
養成所の持
つておらなければならぬ要件につきまして、
規定をいたしますと同時に、これらの
養成所の監督、
指導の面につきましての
規定をいたしたものでございます。
第三の
省令は、
都道府県知事の
看護婦免許を受けた者の
講習等に関する
省令という
表題を設けたものであります。これは言葉をかえて申しますれば、いわゆる
既得権看護婦につきまして、
厚生大臣が特別な
講習を行い、その
講習を終了いたしました者に対して新
制度による
看護婦免許を与えることに
なつておりまするので、この
講習をだれが行うか、またその
講習の
内容はどういうものであるべきかというようなことにつきまして
規定を設けたものでございます。
以上申し上げました三
種類の
省令によりまして、
さきの
国会におきまして御審議御
決定願いました
法律は、
法律の
規定の
通り九月一日から
施行せられることに
なつております次第であります。この
省令の
内容が
相当厖大にわたりまするので、こまかい
一つ一つのことにつきまして御
説明申し上げると、不必要な時間を要すると思いますので、
さきの
国会以来問題に
なつておりましたおもな点につきましてこの際御
報告を申し上げ、さらにまたこの
省令に基きまして、そのおもな点をいかように実施いたすつもりであるかというような点につきまして、私
どもの
考え方を御
説明申し上げて、御
了解を得たいと思う次第であります。
まず、先ほどの
三つの
省令のうち、最後に申し上げました
講習に関する問題でございます。これは
既得権を持
つております
看護婦が、御承知の
通り現在約八万ございますが、そのうち過去二回の
国家試験を受験し、これを通過するであろうと想像せられまする者が約二万を越えるのではないかと想像をいたしておるのであります。と申しまするのは、昨年は約七千名ほどの
合格者があ
つたのであります。しかもその大
部分は
既得権看護婦であります。この春行いました
国家試験が、まだ
合格者の
決定に至
つておりませんが、実際に受験をいたしました総数は一万五千名を越えております。しかもその大
部分がいわゆる
既得権看護婦であろうと思います。今想像せられます
合格率から
考えましても、両者を合せまして優に二千名を突破する数が、
看護婦国家試験によりまして、新しい
制度に基く
看護婦の
免許が受けられるであろうと思うのであります。そういたしますると、残りの六万近い数が、この
講習と、また今後行われます
国家試験の
対象として
考えられるわけでございます。この点につきましては、なお先般来問題に
なつておりました、従来新しい
省令で
考えておりますような
講習を行いました者につきましては、これをこの
法律に基く
講習を
行つた者として取扱う
方針でございます。これは正式に私
どもの方なり、あるいは
都道府県で行いました、はつきりした
数字だけで
考えますと、約四千名足らずの者が従来
講習を受けたものとして
免許を与えられる
数字であろうと思うのであります。これらを差引きますると、大
ざつぱな数字でございまするが、結局約五万の
既得権看護婦につきまして、この
講習の実施ということを
考えて参らなければならないと思う次第であります。この
講習は、先般御承認を得ましたように、一箇月間、時間数にいたしまして総計百四十五時間というのを
講習の
基準としておるのであります。従来行いました
講習につきましても、この
省令によ
つて定めました
基準に該当いたしますものは、
都道府県知事に、この
省令に基く
手続をしていただきまして、そこで認定をするようにいたしたいと思
つておる次第であります。
そこで私
どもといたしましては、先般御
報告を申し上げましたように、とりあえず本
年度の
看護婦再
教育のための
予算が若干ありますので、そのうちいわゆる
幹部看護婦の
講習と称しまするもの、それから
都道府県知事に
補助をして行います一箇月
講習、さらに
結核の
幹部看護婦の再
教育という名目で全国九地区で、本
年度二回ほどの予定に
なつておりますが、これのうち一回分が以上申し上げました三
種類のものをこの
法律に基く
講習の費用に振りかえて、さしあたり実施して参りたいというのであります。これは金額にいたしましても二百万
ちよつと越える
程度の額にすぎないので、その多数の者を
教育することはできないだろうと思
つております。実際の問題といたしましては、先般も
日本看護婦協会の会長とも話合いをいたしました。
協力をして
予算を有効に使
つて、できるだけ多数の
看護婦さんにこの
講習が受けられるようにいたしたいという話合いを進めておる次第であります。さらに本
年度の補正
予算、来
年度の通常
予算にも、私
どもとしては
相当大幟な
予算の要求をいたしまして、私
どもだけの計画いとたしましては、今後二箇
年間でその大
部分を
講習会に、その一
部分を
国家試験にいたしまして、
既得権看護婦に対して新しい
免許を全部が獲得できますような政策で進みたいと思
つております。
次に、新しい
看護婦養成所の指定
基準のことでございますが、この点につきましては、
法律の定めによりましても、従来の甲種
看護婦と新しい
制度の
看護婦とは、その
内容におきまして
法律の
改正がございません。指定
基準につきましても、ほとんど同じ
方針でや
つておるのであります。ただ看護
教育につきましては、一方におきまして
助産婦と
保健婦は、従来一箇
年間の
教育を受けなければならないということに
なつておりましたのを、六箇月に縮小されました。そしてその六箇月分は三箇年の看護
教育の課程中において
教育をする、いわゆる浸透
教育を行うという
法律の精神でもございますので、その意味合いにおきまして、従来の甲種
看護婦の教科課程に対しまして、今申し上げたような、将来
保健婦あいるは
助産婦として立ちます場合にも、その基礎となり得るような知識なり技能なりは、
看護婦教育の中におきまして
教育のできるように、学科課程の仕組みをかえた次第でございます。そして
保健婦と
助産婦の課程につきましては、一
年間が半分の六箇月に縮まりましたので、それに応じまして学科課程の
内容の
改正をした次第であります。大体の
考え方は、基礎的なことは
看護婦の
教育の課程中に終了をいたしまして、
保健婦あるいは
助産婦として六箇月の
教育に入ります場合には、最初からそうした基礎
教育を受けたものとして、いわゆる実務に属するようなことを始めさせたいという仕組みにいたした次第であります。
次に、最も問題と
なつておりました准
看護婦の
養成所の学科課程並びに指定の
基準でございます。学科課程につきましては、従来の乙種
看護婦と大体期間も同様でございまするので、ほとんど同じような課程にいたしたのであります。
学校の指定
基準につきましては、私
どもの
考え方は、先般も御
了解を得ましたように、准
看護婦の
養成所につきましては、わが国現下の一般の
実情から
考えまして、物的な設備の面におきましては、あまりやかましいことを申さないという
考え方で
規定をいたしておるのでございます。すなわちその典型的なものを申し上げますると、従来は乙種
看護婦につきましては、必ず寄宿舎を持たなければならないということがございましたが、今回は、なるべく寄宿舎を持つ
程度でよろしいということにいたしました。同時にまた、
看護婦の
教育を行います上に必要な実習施設でございまするが、従来の乙種
看護婦につきましては、
養成所なり
学校なりの経営主体が、直接実習施設を持
つておらなければならないという扱いにいたしてお
つたのでありまするけれ
ども、今回の准
看護婦につきましては、
学校なり
養成所の経営主体は、必ずしも自分自身のものとして実習施設を持ちませんでも、他の病院と契約をし、その病院を実習に使用できるようにしておきさえすればよろしいというふうな
考え方にかえたのであります。このことはよく問題に
なつておりました、医師会などが
養成所を経営するということも、この方法によ
つてできることになるものと思います。それは
養成所指定規則の第八條の第九号が臨床実習施設であります。第十号が今申し上げた寄宿舎の設備に関する
規定であります。言葉の表現は抽象的でありまするので、今申し上げましたようなことは、この解釈から当然出て来るというふうな
考え方であります。その他の点につきましては、従来の乙種
看護婦の
養成所と大差はないのであります。その
程度の基本的な
方針を改めることによりまして、かねて御要望のありましたような線に沿
つて実施ができるものと
考えておる次第でございます。
その他この指定規則につきましては、今申し上げたようなところが基本的な線でありまして、あとはこれに関連した付随的な、いろいろこまかい
手続規定等が設けられておるのでございます。
最後に、
法律そのものの
施行規則でございまするが、これは形式的には、従来の規則の
改正ということにいたしましたが、実質的には、これはあくまでも
法律そのものの
手続的な
規定でございまして、本質的な影響のあるものは、ほとんどないと申してよろしいと
考えておる次第でございます。
はなはだ簡単でありますが、この
程度の御
説明を申し上げまして、何かまた御質問でもございましたならば、お答えをいたすことといたします。