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1951-05-18 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君    理事 福田 昌子君       大石 武一君    高橋  等君       堀川 恭平君    清藤 唯七君       岡  良一君    堤 ツルヨ君       松谷天光光君  出席国務大臣         厚生大臣臨時代         理       保利  茂君  出席政府委員         厚生事務官         (医務局次長) 久下 勝次君         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正巳君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君  委員外出席者         厚生事務次官  宮崎 太一君         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     高田 浩運君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 五月十二日  委員竹村奈良一君辞任につき、その補欠として  江崎一治君が議長指名委員選任された。 同月十四日  委員堀川恭平辞任につき、その補欠として生  田和平君が議長指名委員選任された。 同月十六日  委員丸山直友辞任につき、その補欠として堀  川恭平君が議長指名委員選任された。 同月十八日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として丸  山直友君が議長指名委員選任された。 同日  理事柳原三郎君の補欠として金子与重郎君が理  事に当選した。 同日  丸山直友君が理事補欠当選した。 五月十七日  生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出第一七一号)  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出第一七二号)  身体障害者福祉法の一部を改正する法律案内閣提出第一七三号)  検疫法案内閣提出第一七四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  児童福祉関係経費特別補助に関する陳情書(第七一二号)  国立大久保病院移転に関する陳情書(第七二〇号)  児童福祉関係経費特別補助に関する陳情書(第七二三号)  同(第七二四号)  同(第七二九号)  同(第七三六号)  同(第七三七号)  戦ぼつ者遺族に対する補償に関する陳情書(第七四二号)  医薬分業目的とする薬事法等改正に関する陳情書(第七四三号)  医薬分業反対に関する陳情書(第七四四号)  同(第七四五号)  外地引揚歯科医師の免許に関する陳情書(第七四六号) を本委員会に送付された。     ————————————— 本日の会義に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出第一七一号)  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出第一七二号)  身体障害者福祉法の一部を改正する法律案内閣提出第一七三号)  検疫法案内閣提出第一七四号)  医師法歯科医師法及び事業法の一部を改正する法律案内閣提出第一二七号)(予)  厚生住宅に関する件     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  まず、理事並びに遺家族傷痍軍人等援護に関する小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。理事並びに該小委員でありました丸山直友君が一昨五月十六日に、理事でありました柳原三郎君が去る三月二十八日に、該小委員でありました堀川恭平君が去る五月十四日に、それぞれ委員辞任されまして、現在理事及び遺家族傷痍軍人等援護に関する小委員会は、それぞれ二名欠員いたしておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、選任手続に関しましては、先例により委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永佛骨

    松永委員長 御異議がなければ、  丸山直友君、金子與重郎君を理事に、  丸山直友君、堀川恭子君を遺家族傷痍軍人等援護に関する小委員に、それぞれ指名いたします。     —————————————
  4. 松永佛骨

    松永委員長 次に、検疫法案児童福祉法の一部を改正する法律案生活保護法の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法の一部を改正する法律案、以上四法案を一括して議題とし、審査に入ります。まず保利厚生大臣代理より趣旨の説明を聴取したいと存じます。保利厚生大臣臨時代理。     —————————————  検疫法案   検疫法目次  第一章 総則(第一條—第三條)  第二章 検疫(第四條—第二十三      條)  第三章 検疫所長の行うその他の      衛生措置(第二十四條—      第二十七條)  第四章 雑則(第二十八條—第四      十一條)  附則    第一章 総則  (目的)第一條 この法律は、国内に常在し  ない伝染病病原体船舶又は航  空機を介して国内侵入すること  を防止するとともに、船舶又は航  空機に関してその他の伝染病の予  防に必要な措置を講ずることを目  的とする。  (検疫伝染病)第二條 この法律において「検疫伝  染病」とは、コレラペスト、発
  5. 保利茂

    保利国務大臣 ただいま議題となりました各案につきまして、提案理由を申し上げたいと存じます。  まず、検疫法案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  従来検疫は、海港検疫法及び航空法に基く航空検疫規則によつて実施されていたのでありますが、終戦後は、これらの法令の施行は事実上停止せしめられ、これにかわりまして、総司令部より回章が出され、この回章に基いて総司令部によつて実施されて来たのであります。しかしながら昨年の二月、この検疫業務実施責任は、わが国に委譲せられ、わが国検疫官の手によつて行われるようになりましたが、現行の海港検疫法及び航空検疫規則規定には、最近の諸外国検疫制度と比較して改めるべき点が多く、また国際間の自由交通場裡に復帰する日も近くに予想されまするので、政府といたしましては、その改正に鋭意研究を進めまして、ここにこの法案提出いたした次第であります。  法案内容といたしましては、第一に、外国から来航した船舶または航空機は、まず検疫港または検疫飛行場に来て検疫を受けた後でなければ、国内の港または飛行場において他と交通し、または物を搬出することができないということを規定いたしております。これは従来のように、検疫を受けた場合のほか、特殊の手続をふめばいずこの港または飛行場においても他と交通し、または物を搬出することができるという制度では、外国から検疫伝染病国内侵入することを防遇するために万全を期せられないからであります。  第二に、検疫を受けて、検疫済証交付を受けた船舶等は、爾後特別の事情のない限り、国内のいずこの港または飛行場にも自由に出入りすることができることを規定いたしております。これは、一港検疫主義と申しまして、今回の改正にあたり、諸外国の例を範にとり、従来の制度を改めました主眼点であります。すなわち従来は、多港検疫主義と申しまして、港がかわるたびごとに、新しく検疫を受けなければならなかつたのでありますが、防疫技術の進歩した今日におきましては、これほどまで厳重にする必要はないと認められるのでありまして、船舶または航空機運航経済上も、従来のごとき制度は不必要な損失をこうむらせることにもなりますので、今回改正することといたしたのであります。  第三に、仮検疫済証交付という制度を、新たに設定いたしたのでありますが、これは一応検疫をいたしまして、発航地衛生状態等から勘案して、おそらく検疫伝染病侵入のおそれがないであろうと認められる場合には、般舶等の運航経済の点を考慮に入れまして、一定條件のもとに仮検疫済証交付し、一応他との交通及び物の搬出を許可し、もし検疫伝染病が発生する等の事故があるならば、ただちにその効力を失わせるという制度であります。  この法案は、以上の諸点を骨子といたしまして、その他に、検疫港または検疫飛行場の指定、検疫開始から検疫済証交付するまでのいろいろの手続緊急避難を行つたときの措置検疫官等に関する規定を設けてあります。  この法律施行につきまして要する費用は、検疫国家事務であります関係上、全額国庫負担いたすことになつております。  以上が本法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられますよう希望申し上げます。  次に、児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、この三月制定を見ました社会福祉事業法において、社会福祉事務所制度が創設せられまして、児童福祉行政についても、第一線機関として働くことになりましたため、これと従来の児童福祉機関との活動領域の調整、その他児童福祉法自体規定中二、三の点を改正しようとするものであります。  次に、この法案内容について御説明いたしますと、第一点としては、ただいま申し述べました社会福祉事務所及び社会福祉主事に対し、一定児童福祉行政事務を行わせることであります。  第二点は、法人設置する児童福祉施設に対して、その修理、改造、拡張または整備に要しまする費用に対して補助する道を開くことであります。  第三点は、身体障害のある児童に対して、保健所長相談に応じ、必要な療育の指導を行うほか、盲人安全つえ、補聴器、義肢、車いす等補装具交付し、もしくは修理することができるようにすることであります。  第四点は、児童福祉施設の長の親権規定を整備いたしまするとともに、児童相談所長が、家庭裁判所に対して親権の喪失及び後見人の選任または解任の請求をすることができるようにすることであります。  第五点は、児童事後補導の万全を期するため、義務教育を終了した児童を預かつて保護し、自立に必要な指導をすることを目的とする保護受託者制度を設けようとすることであります。  最後の改正点は、教護院の教科に関する事項について、教護院目的特殊性にかんがみて、教護院の長が文部大臣の勧告の範囲内で必要な学科教育ができるような規定にしようとすることであります。  以上が、児童福祉法の一部を改正する法律案のおもな改正点に相なつておる次第でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。  次に、生活保護法の一部を改正する法律案について、その理由を御説明申し上げます。  本法律案提案いたします理由は、さきに制定公布せられました社会福祉事業法の中に規定されておりまする福祉に関する事務所設置に伴いまして、生活保護法実施においても、これに対応し、保護実施機関及び費用等に関する規定を改める必要が生じたからであります。  本法案のおもな改正点を申し上げれば、次の通りでございます。  第一は、保護実施機関に関する事項であります、現在市町村長保護実施機関とされておりますが、福祉に関する事務所設置に伴いまして、保護実施機関を、福祉事務所を管理するところの都道府県知事及び市町村長としようとするものであります。  第二は、福祉事務所設置しない町村の長の協力義務に関する事項であります。このような町村長保護実施機関でなくなるわけでありますが、保護実施機関が行う保護事務の執行を適切ならしめるために、緊急の場合これにかわつて保護を行い、かつまた一定範囲事項についてこれに協力すべきものとすることにしようとするものであります。  第三は、費用支弁に関する事項であります。現在保護費等支弁は、市町村が行うものとされていますが、保護実施機関が変更されることに対応しまして、保護費等支弁もまた保護を行う都道府県または市町村がこれを行うものとしようとするものであります。第四は、費用負担に関する事項であります。その一は、現在保護費等については、市町村及び都道府県が、それぞれ一割ずつを負担しているのでありますが、これを保護費支弁した都道府県または市町村がそれぞれ二割を負担し、八割を国が負担することとしようとするものであります。その二は、現在居住一年未満の被保護者に対しては、都道府県がその保護費等の二割を負担することとなつておりますが、市町村都道府県とが同等の立場で保護管等支弁することとなる関係上、このような居住期間による負担率差別扱いを撤廃しようとするものであります。  第五は、保護施設に関する事項であります。現在保護施設は、都道府県市町村以外は、公益法人設置し得るものとなつておりますが、社会福祉事業法によつて社会福祉法人なる特別法人がつくられることになつたのにかんがみまして、社会福祉法人のみがこれを設置し得ることにしようとするものであります。  以上が本案の概要でございます。何とぞ御審議をお願いいたす次第であります。  次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  先般社会福祉事業の全分野におきまする共通的、基本的事項が確定せられたのでありますが、特に第一線現業機関として福祉に関する事務所設置され、この事務所を中心として福祉事業が総合的に行われることとなりましたので、身体障害者福祉行政組織運営も早急にこれに即応して整備する必要があり、この法律案提出した次第であります。  以下本法案内容について、その要点を概略申し上げますと、第一に、身体障害者更生援護実施機関は、従来都道府県知事なつておりましたが、これを改め、社会福祉事業法により設置された福祉に関する事務所を管理するところの都道府県知事、市長及び町村長としたのであります。  第二に、身体障害者福祉司身体障害者更生相談所福祉事務所等身体障害者更生援護業務に従事する末端現業機関所掌事務を明確にするとともに、それら相互の関係を調整した点であります。  第三に、本法は十八歳以上の身体障害者対象として更生援護措置を講じているのでありますが、今回十八歳未満身体障害児童についても、児童福祉法により、各種の更生援護措置を講ずることといたしているのでありますが、身体障害者手帳については、更宜土木法により交付することといたしたのであります。  以上が本法案要点でありまするが、何とぞ御審議の上御可決せられんことをお願いいたす次第であります。
  6. 松永佛骨

    松永委員長 引続き山口公衆衛生局長から、検疫法案について、大臣説明補足説明を聴取いたしたいと存じます。山口公衆衛生局長
  7. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま大臣が御説明申し上げました検疫法につきまして、逐條的に私から御説明申し上げたいと存じます。法案はお手元に差上げてございますので、その法案について逐次御説明申し上げることにいたしたいと存じます。  本法案は、第一章から第四章までにわかれておりまして、第一章は総則、第二章は検疫、第三章が検疫所長の行うその他の衛生措置、第四章が雑則、それに附則がついているのでございます。  まず第一の総則——一條は、この法律目的をうたつているのでございます。この法律目的二つございまして、第一は、検疫実施することによりまして、検疫伝染病国内侵入して来るのを防止するということでございます。第二は、検疫所長が行うその他の衛生措置によりまして、検疫伝染病以外のその他の伝染病予防を行うということでございます。ここで検疫と申しますのは、外国から来航いたしました船舶航空機につきまして、ただいま申し上げました目的を達成いたしますために行われまするところの書類検査、あるいは診察病原体検査消毒、あるいは鼠族昆虫類駆除、隔離、停留、予防接種等措置をいうのでございます。  第二條は、本法対象となります検疫伝染病についての規定でございます。この法律において取扱います検疫伝染病と申しますのは、国際衛生條約に従いまして、コレラペスト、発疹チフス、痘瘡、黄熱を取扱うようにいたしておるのでございます。  第三條は、検疫実施いたします港についての規定でございまして、これは検疫実施いたします港を政令で定めるようになつておりますが、その定めます基準は、一応入港船舶の実績、それから防疫的の見地、この二つからきめて行きたい、そういうふうに考えております。  第二章は、さきほど申し上げましたように検疫に関する事柄でございまして、第四條から第二十三條までございます。  第四條は、入港禁止でございまして、これはさきほど大臣から御説明申し上げましたように、従来は検疫施行港に入つたものだけ成規検疫をいたしまして、そのほかの港に入りまするときには、特別な事情のない限りそのまま入れる。伝染病が発生しているような場合には、その土地の当該官憲に報告して、その指揮を受けるというふうになつておつたのでございますが、そのようなやり方で、検疫実施しない港に船が来ることを認めて、そこでは特殊の手続をふめば検疫を受けたと同様な効果を与えるというような制度は、検疫港を設ける必要性も、あるいは伝染病国内侵入を完全に防遇するということ、あるいはひいては検疫ということ自体をも否定するようなものになるのでありまして、従つてこの考えを排しまして、新しく今回は、第四條に掲げてございますように、外国からわが国に参ります船舶は全部一応、検疫実施いたします港に参りまして検疫を受けなければならないということにしたのでございます。第二項は航空機についての規定でございます。本條に違反いたしました場合には、十万円以下の罰金という罰則がついております。  第五條は、検疫根本規定でございまして、外国から来航した船舶または航空機につきましては、その長が検疫済証あるいは仮検疫済証—これは後に申し上げますが—、これらの交付を受けた後でなければ、何人も船舶あるいは航空機から、上陸したりあるいは物を陸揚げしたりすることができないという規定でございます。但し、その乗客乗組員のうちに、虫垂炎患者のように、非常に火急を要するような患者が乗つてつた場合には、検疫所長の特別の許可を受けて、そういう許可証をもらう前に上陸することができるということになつております。本條規定に違反いたしました場合には、一年以下の懲役または十万円以下の罰金という罰則がついております。  第六條は、検疫前の通報でございますが、これは検疫を受けようとする船舶などの長は、あらかじめ検疫港あるいは検疫飛行場に近づきましたときは、無電あるいは信号などで通報をするということでございます。これは検疫所において準備態勢を整えさせるために、そういう措置をとらせるわけでございます。  第七條は、航空機についての虫類駆除でございますが、これは主として黄熱を媒介いたします特殊なかの侵入を防止いたしますために、検疫飛行場に着く前に虫類駆除を行うということでございます。船舶検疫区域陸岸から四百メートル以上離れて設けますので、かが飛んで入るという心配はございませんから、船舶についての規定はないわけでございます。  第八條は、検疫区域についての規定でございますが、これは検疫能率の点と、港内あるいは飛行場の汚染を防止いたしますために、検疫を受けようとするときには、一定区域に入つて、そこで検疫を受けなければならないということにしているのでございまして、その検疫区域を定めます場合には、厚生大臣運輸大臣と協議して定めるということになつております。第三項に、天候その他の理由、たとえば天災とか、地変などのために、どうしてもその定められた検疫区域に入ることができないという場合には、臨時検疫所長が指定した場所に入つて、そこで検疫を受けるということになるのでありまして、その場合には、検疫所長は、その港の港長と協議してきめよということにいたしております。  第九條は、検疫信号に関する規定でございます。これは検疫をしてほしいという検疫の要求と、それからほかの船に対して、この船はまだ検疫が済んでいないのであるということを示します注意のために、信号を掲げさせることにしているのでありまして、定められました場所に入つた時から検疫済証を受けますまでの間、晝の間は黄色い旗を前橋頭に掲げておく、夜は紅白二燈を上下に連繋させて掲げておくということにしているのでございます。この規定に津反いたしました場合には、五千円以下の罰金という罰則がついておるのでございます。  第十條は、検疫開始のことに関する規定でございまして、これは、船舶などが検疫区域に入りました場合には、非常に天気が悪い、あるいは陸上の天災地変などがあるという特別なやむを得ない理由のある場合を除き、ただちに検疫開始しなければならないという規定でございますが、ただ、旧没後は検疫をしないということになつております。これは、夜間は危険を伴いますことと、乗客の睡眠を妨げるということから考えて、船舶についでの夜間内検疫実施しないということになつております。但し、伝染病が発生しているときとが、あるいは小型船舶の場合、あるいは公務上特に緊急を要するというようなときには、夜間も行うようになつております。航空機につきましては、夜間検疫実施するのでございます。  第十一條以下は、検疫の具体的な規定になるのでございまして、第十一條は、書類提出及び呈示に関する規定でございます。これは、検疫を受けますに際しまして、船舶などの長は、検疫所長に対しまして、明告書提出しなければならないのでございます。明告書と申しますのは、そこに書いてございますように、船舶等の名称あるいは登録番号発航地名寄航地名、その他省令で定めます幾つかの事項がございますが、それを記載した明告書提出しなければならないのであります。この明告書という制度は、検疫にあたりまして、的確な判断を下す基礎資料となりますと同時に、検疫を早急に終了させ得るという利点がございますので、この制度を設けているのでございます。なお、第二項におきましては、明告書以外に、そこに掲げましたような書類提出または呈示を求めることができるという規定でございまして、本條規定に違反いたしました場合には、六箇月以下の懲役または五万円以下の罰金という罰則がついておるのでございます。  第十二條は、船舶に乗つている者に対する質問に関する規定でございまして、検疫所長は、船舶に乗つている者に対して質問を行い、あるいは行わせることができるという規定でございます。虚偽の答弁をいたしました者に対しては、六箇月以下の懲役または五万円以下の罰金という規定がついておるのでございます。  第十三條は、船に乗つている者に対しての診察、あるいは船に対するいろいろな検査についてでございます。この診察並びに検査に対して拒否をしたり、あるいは妨害をした者に対しましては、六箇月以下の懲役、五万円以下の罰金という罰則がついているのでございます。  以上は、健康な船舶についてすべての船舶についての規定でございますが、第十四條は、検疫伝染病病毒に汚染しているもの、あるいは汚染した疑いのある船舶に対する措置でございまして、必要があると認めた場合には、そこに掲げてございます第一項の第一号から第七号に規定いたしました措置をとることができるのでございます。第一号は患者を隔離すること、第二号は病毒に接触したと思われる者を停留すること、第三は消毒、第四は死体の火葬、第五は物の使用禁止、第六は鼠族昆虫駆除、第七は予防接種ということでございます。この措置に対して拒否したり、妨害したり、忌避した者に対しましては、一定罰則がついておるのでございます。  第十五條は、先ほど申し上げました者者隔離についてのこまかい規定でございます。  第十六條は、先ほど申し上げました第十四條第一項第二号の、接触者の停留に関する規定でございます。この患者隔離あるいは接触者の停留に関する命令に違反いたしました場合には、やはり一定罰則がつけられているのでございます。  第十七條は、検疫済証交付でございまして、検疫所長検疫実施いたしました結果、伝染病がその船あるいは航空機によつて国内に搬入される心配がないと認めましたときには、検疫済証交付するわけでございます。  第十八條は、先ほど大臣が御説明申申し上げました仮検疫済証交付でございまして、これは絶対百パーセント安全とまでは行かないけれども、大体十中八、九は大丈夫だろうというようなときには、一定條件をつけまして、許可証を与えるわけでございます。  第十九條は、その一定の監察期間内に伝染病が発生した、あるいはそのほかの事故が起りました場合には、その検疫済証の効力が失効するという規定でございます。  第二十條は、船舶のねずみの駆除などを行いました場合に、それに対しまして証明書を交付するという規定でございます。二十條の第一項が鼠族駆除でありまして、第二項は、予防接種をやりましたときには、予防接種をやつたという証明書を与える、こういう規定でございます。  第二十一條は、緊急避難の場合でございまして、急迫した危難を避けるために、やむを得ず船が国内の港に入り、あるいは飛行場に着陸させるというような場合には、検疫施行港あるいは検疫実施飛行場でなくてもさしつかえない。そういうやむを得ない急迫した危難を避けるというような場合には、さしつかえないという規定でございます。  それから、第二十二條は、軍用艦船に対する検疫でございまして、これは別に法律で定めなければならない。現在のわが国の置かれております状態から考えまして、これは講和條約の締結された後に、別にきめなければならないと思うのでございます。  第二十三條は、海上保安庁の船舶などに対する特例でございまして、これは密入国者などのありました場合に、一々検疫実施する港まで連れて行くことができないというような場合の特例を規定しているのでございます。  以上が成規検疫に関する規定でございまして、検疫伝染病対象といたしましての検疫に関する規定でございますが、第三章は、検疫伝染病以外の伝染病に対する措置、あるいはねずみの駆除というようなことに対しての規定でございまして、第二十四條は、検疫伝染病以外の伝染病が発生いたしまして、まだ国内法の適用を受けないというような場合に対して、応急的に検疫所長伝染病予防措置を講ずるという規定でございます。  第二十五條は、健康船舶についてのねずみの駆除でございます。これはねずみが繁殖しておりますと、一たび病原体船舶に入りますと、爆発的に発生いたしますので、あらかじめねずみの駆除を行わせるという場合でございまして、行わなくてもいいというような状態の場合には、免除証明書、あるいは行つたというような場合には施行証明書という証明書を出すということでございます。  第二十六條は、船側の方から、あるいは飛行機側の方から、検査をしてくれと言われた場合に、その検疫所業務にさしつかえない範囲内において、検査、あるいは検診してやるという場合でございまして、この場合には政令で定めた手数料を納めさせるということになつております。その額はまだ検討中でございます。第二十七條は、港地区におきまするいろいろな清掃、あるいは鼠族昆虫駆除というような、伝染病予防上必要であるという措置につきまして、特別な場合に検疫所長がそういう措置を講じ、あるいはまた港の区域内で労働に従事しておりまする者につきまして、健康診断をやつたり、虫類駆除を行わせるというような規定でございます。  第四章は雑則でございまして、第二十八條検疫官という職名に関する規定でございます。  第二十九條は立入り権限についての規定。  第三十條は、この法律による検疫所長及び検疫官の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないという権限解釈でございます。  第三十一條検疫に従事する者の制服あるいは証票についての規定でございます。  第三十二條は、検疫に際しましてとりました措置に対する実費の徴収規定でございます。  第三十三條は、緊急避難の場合にとつた措置費用支弁のことでございます。  第三十四條は、検疫伝染病以外の伝染病について、この法律を準用する場合の規定でございまして、外国に非常に検疫伝染病以外の伝染病が発生して、それが国内に持ち来たされるおそれが非常に多いというような場合に、特別にこの法を準用するという規定でございます。  第三十五條から四十條までは先ほどから申し上げました罰則に関する規定でございます。  第四十一條は、省令委任に関する規定でございます。  附則につきましては、本法を制定していただきますのにつきまして、他の法令との関係、あるいは経過規定などを規定しておるのでございまして、この法律施行期日は、本法施行いたすということになりますれば、世界各国に周知させる必要がありますので、一定の期間を設ける必要上、二十七年の一月一日から実施したいというふうなことでございます。  以上簡単でございますが、一応逐條的に御説明申し上げました。
  8. 松永佛骨

    松永委員長 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案について質疑の通告がございます。これを許します。岡委員
  9. 岡良一

    ○岡(良)委員 児童福祉法に直接関係はないかもしれませんが、しかしごく特別な環境にある子供たちのことで、今は医務局の方で取扱つておられますので、久下さんに少し御意見を承りたいと思います。と申しますのは、全国合せてわずかに二百名足らずの子供たちだと思いますが、国立癩療養所に附設されている保育所にいる子供たちであります。長島の愛生園や、栗生の楽生園等に四、五十名ずつおりますが、これは今どういうふうな形で子供の保育をやつておられるのか、予算の数字、施設の内容等についてお話を願いたいと思います。
  10. 久下勝次

    ○久下政府委員 具体的数字をただいま手元に持つておりませんので、後刻数字をもつてお答えいたしたいと思いますが、この施設のごく概要についてだけ、本日お答え申し上げておきたいと思います。  私から申し上げるまでもなく癩患者で療養所に入所しております者の子供につきましては、いろいろ社会的な環境の問題もありまするし、また一面には、癩という疾病の発病が、他の疾病と違つて、そう急激でありませんので、それらの事情もあり、癩療養所といたしましては、患者に準じまして、これら入所中の癩患者の子供を養育いたしておるのでございます。従つて、筋から申しますれば、療養所として本来やるべき仕事でないようにも考えるのでありますけれども、ただいま申し上げました通りに、こうした子供をいきなり一般社会に出しましても、社会生活との順応は必ずしもうまく行かないような事情もございますのと、一面におきましては、感染しているかどうかということが、なかなか判然といたしませんし、いつまた癩が発病するとも限らないという懸念も若干はありまするし、それと同時に、その親との関係なども考慮いたしまして、お話の通り、ごく少数ではありまするけれども、国立の癩療養所で癩患者の子供を養育いたしておるのであります。大体の考え方はこういう筋に基きまして、患者に準じました取扱いをいたしておるのでございます。もちろん癩療養所の中に施設を持つておりますが、これらの子供は、いわゆる癩患者とは全然分離いたしまして、私ども患者の汚染地帯と申しておりますが、癩患者が出入をいたします場所と区画いたしまして、これらの子供の収容施設を持つておるのでございます。  ごく大体の考え方だけ申し上げましたが、後刻資料を差上げることにいたしたいと思います。
  11. 岡良一

    ○岡(良)委員 事情は御存じの通りだと思いますが、何しろ癩が発生する可能性が非常に多い。栗生楽生園の統計では、やはり三%ぐらい癩が発生するというふうなことを聞いて参りましたが、そういうふうなわけで、厳密な健康管理というか、病気の発生のための予防ないし観察、追究ということは、相当綿密でなければならないということを私どもは考えるのであります。  なお行つてみますると、子供たちに、一週間に日をきめて親との面会を許しておるようです。厳重な消毒のもとに許しておりますが、物心ついた子供たちは、親に会うことをあまり好まない。親の方では一目でも見たいという、まことに両方どちらの言い分を聞いていいかわからないというふうな気の毒な悲痛な立場に親子がおるわけであります。それから学校教育もやつておりますが、小さい施設ではあるが、六・三制の義務教育もやつております。それからやはり一人前になれば結婚もさせてやらなければならないし、あるいはまた職業もつけてやらなければならないというので、職業補導などもやつておりますが、やはり安全地帯であるといつても、癩療養所の附属施設であるというふうなところから、心快く社会が迎え入れてくれないというふうなことも、実際においては起つておるというので、そういう不安も少からずある。そういういろいろな條件を考えた場合、わずかな子供たちではありまするが、まことに気の毒な、ほんとうに気の毒な立場にいる子供たちのことでもあるし、これはやはりああいうところに置かないで、どこか一括して、そして乳児院でもあり、保育所でもあり、また職業補導もやり、教育もやる。せめて何かそういう統一ある一貫された施設で、なおかつ健康管理については専門的な立場からやつて行くというようなもので、あれを栗生にも置けば、長島にも置くというふうにはしないで、何か特別に国としてこれを一括収容して乳児にも、あるいは幼児としても、保育なり教育なり、職業補導、健康管理についてめんどうを見てやる、こういうふうなことでもしてやらなければ、あの人たちの将来というものは、まことに気の毒なまつ暗なものだと思うのですが、あなたは率直にどうお考えになりますか。
  12. 久下勝次

    ○久下政府委員 ただいまお話の通りでありまして、私たちといたしましても、この子供たちが健全に大きくなりましたあと、りつぱに社会生活に入つて行けるようにしてやりたいということは、常々念願をいたしておるものであります。ただ先ほどちよつと申し上げましたように、従来の経験から申しますると、普通の一般の養護施設等に収容いたしますことは、必ずしもその子供のためにも適当でない。と申しますのは、いろいろどこから来たというようなことがわかりますと、非常な迫害を受けたりなんかする例も過去にあつたようであります。いきなりそういつた施設に入れることも、なかなかむずかしい事情もありまして、やむを得ず実は療養所の中で世話をいたしておるのであります。実は最近、今ちよつと名前を失念をいたして申訳ないのでありまするが、横浜にある某財団法人から、このことにつきまして協力の申出がございまして、一部の未感染場児童を引取りまして、これに職業補導をやるというようなことを、まだごく少しではありまするけれども、手をつけていただいております。私どももこうした篤志の方々の御協力を得ますことを、非常に感謝もしておりまするし、またこの具体的な事例による将来の結果を見守つております次第でありますが、私どもといたしましても、十分これらの方々に御協力を申し上げ、今お話の通り医療上の管理につきましても、これは幸いにそう遠いところでもございませんので、それらの関連をつけつつ、これらの子供たちがりつぱに社会に順応して立つて行けるようにいたしたいと思つているのであります。ただいまのところ、別に私どもの方で療養所と分離してそういうものをつくりますということにつきましては、まだ具体的には考えておりません。むしろ国の施設というようなことよりも、あるいは今申し上げたようなところにお願いをして、何らそこに無関係のようにしてしまつて、またそれを引取られた方々のところにおきましても、十分その点を含んで教育をし、あるいは職業補導をしていただくということになりますれば、ぐあいがいいのではないかと考えております。ただいままだその程度でありまして、一括してこれを一挙にどうこうしようというところまでは、はつきりした考えはございません。
  13. 岡良一

    ○岡(良)委員 その問題は何とかやはりそういうふうに国の方でも御奮発願いたいと思います。その方が一番適当なように子供たちの声も聞き、保姆や所長の声を聞いても、やはりそれを希望しているようでありますから、何とかそういうふうに願いたいと思います。  なおちよつとこの検疫法のことについてお尋ねをいたしますが、こうして国際的な基準に沿うた検疫実施するわけですが、かりに、たとえば日本人が外国へ渡るという場合、現在お医者さんが各府県におりまして、その指定医が検疫をするということになつておりますが、あの程度の数で、あれでようございますか。
  14. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま岡委員からお尋ねの点は、日本人が外国へ参ります際の手続の問題じやないかと存じます。ただいまは関係方面からの指示によりまして、予防接種を受けるのは、ああいうふうに限定されておるのでございますが、これは講和條約が成立いたしますれば、ああいう措置はとられなくなると想像いたします。そうして出港いたします場合に、一応検査するというふうなことも考えられますけれども、国際衛生條約には、出港の規定は一応あるのでございますけれども、この検疫法におきましては、出港に関する規定は、今度は規定しないでやつて行こうということでございます。もし先方の入ります国において、いろいろな予防接種を要求しておるというような場合におきましては、こちらで予防接種をして行き、そしてそれを向うで認めてもらうというふうになると思うのでございます。ただいまのような措置は、暫定的な措置でございます。
  15. 松永佛骨

    松永委員長 児童福祉法の一部を改正する法律案についての御質疑の通告が他にもございますが、ちようど高田児童局長が、児童福祉大会に出席せられておりますので、ひとつ明日にお願いします。
  16. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 高田児童局長ではないけれども、医務局長が出席しておられますので、ちよつと医務局長に多少児童福祉に関連のあることをお尋ねしたいと思います。
  17. 松永佛骨

    松永委員長 では福田君。
  18. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 児童福祉に直接関係ないかとも思いますが、しかし半分ぐらいは関係あると思いますのでお尋ねいたしたいのですが、今日小児結核という問題が大きな問題になつております。結核は全般的に、予防におきましても、措置におきましても、重要な今日の大きな厚生問題でございますが、ことに小児結核というものは、おとなの結核とはまた別個に取上げて処置したければならない重大な問題だと思います。これに対しまして、医務局次長に伺いますが、小児結核に対してどういうお考えを持つておられるか。結核対策ですから、公衆衛生局長かとも思いますが、小児結核の対策として、医務局の方で小児結核療養所というようなものをおつくりになる御意思があるかどうかを、まず承りたいのであります。
  19. 久下勝次

    ○久下政府委員 ただいま私どもの方といたしましては、国立の療養所を多数持つておりまするけれども、特に小児だけのために特別な療養所をつくるうという考え方は持つておりません。しかしながら、現在持つております五万有余のベツドの中に、小児結核患者も収容いたしまして、小児結核に適応する処置を講ずるような考えで行つておるのであります。なお一般的には公衆衛生局の方でその方針を考えておりますので、公衆衛生局長から申し上げたいと思います。
  20. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 医務局におかれましては、小児に対しまする結核対策の一つとしまして、今日の療養所、病院の中に、小児結核に対する特別な病室、あるいはまたその他の機関を設けていただくことは非常にけつこうでありまするが、さらに私といたしましては、特別に小児結核の療養所というようなものをもおつくりになるというお考えのもとにおいて、小児結核というものをお考えいただきたいと思うのであります。そのことをお願いいたします。  次に、山口公衆衛生局長に、小児結核に対しましてどういうふうなお考えでいられるかということを、ちよつとお伺い申し上げたいのであります。
  21. 山口正義

    山口(正)政府委員 結核対策として、小児を特に重要視して行かなければならないという御説ごもつともでございます。私どもといたしましても、御承知のように先般御可決いただきました結核予防法に基きまして、健康診断あるいは早期に予防接種実施して、発病を防止するという措置を徹底的に実施して行きたい、そういうふうに存じております。ただいま医務局次長にお尋ねがございました小児結核の療養所の点につきましても、地方公共団体で小児結核保養所というものを設置しておりますので、そういうものを助成して行くという方針で進んでおります。
  22. 松永佛骨

    松永委員長 次に、検疫法案についての質疑の通告がございますので、これを許します。丸山委員
  23. 丸山直友

    丸山委員 講和を前に控えまして、ようやく日本の自主性の上に立つた検疫法案のようなものが漸次できて来るということは、まことに喜ばしいことと考えておりますが、実はこの法案を今手に入れ、今御説明を聞いたので、詳しくまだ内容を検討しておるひまがないわけでございますが、さつき船舶は四百メートルを離して繋留するというお話でございましたが、それはこの法律の中にあるのでございますか。
  24. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまお尋ねの点は、この法案の中にはございませんで、これは黄熱の流行しておりますような土地では、そういう措置がとられておりますので、そういうふうに申し上げましたが、わが国ではそういう措置はとつておりません。
  25. 丸山直友

    丸山委員 さようにいたしますと、日本では四百メートル離して繋留するということは、行われないことになるわけですか。
  26. 山口正義

    山口(正)政府委員 さようでございます。
  27. 丸山直友

    丸山委員 そうしますと、さつきの第七條の虫の駆除の点につきまして、船は四百メートル離すから、かが飛んで来ないだろうというようなお話だつたのですが、四百メートル離さないで、ただちに繋留した場合には、どういうことになりましようか。
  28. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほど検疫錨地の点を御説明申し上げましたが、検疫錨地は、岸壁から相当距離を離れたところに設定いたしまして、そこで検疫実施いたしますので、かが飛んで来る心配はないということを申し上げました。飛行場につきましては、そういう隔絶したところを設定することが困難でございますので、航空機についてだけ、そういう特別な措置を設けたということを申し上げたのであります。
  29. 丸山直友

    丸山委員 さようにいたしますと、その検疫錨地なるものは、どのくらい離れたところにお設けになる御意向でございましようか。
  30. 山口正義

    山口(正)政府委員 これは大体港の外に設ける予定でございます。
  31. 丸山直友

    丸山委員 港の外と申しますると、ただいま想定せられておりまするのは、陸地からどのくらい離れた場所ということになるので、ございましようか。
  32. 山口正義

    山口(正)政府委員 大体、港域の外でございますので、海岸から一キロ以上は離れておるというふうに存じております。
  33. 丸山直友

    丸山委員 私ども、まだ詳しい数字はただいまここに持つておりませんが、かと申しますものは、上下に飛びまする距離というのは非常に少いのでありますが、水平移動の距離というものは非常に大きいのであります。風のぐあいによりますと、一里以上の移動距離を持つておるというようなことは、実際数字に出ておるはずであります。そういうような場合に、昆虫駆除というようなことが、そういうような陸地から一キロというような距離で完全に防止できる、従つて船舶に対しては虫の駆除はいらないのだ、こういうふうなお考えを続けて行かれて、さしつかえございませんでしようか。
  34. 山口正義

    山口(正)政府委員 御説のように、非常に遠く飛ぶ場合もあるかとも存じますが、大体普通の場合は四、五百メートルというふうに言われております。国際慣行上も大体四、五百メートル以上離しておればいいというふうなことになつておりますので、そういう措置をとりたいと考えております。
  35. 丸山直友

    丸山委員 かの水平移動距離が四百メートルもしくは五百メートルという数字は、私は実は出ておらぬと思います。これは一応御調査になつていただきたい。ただいまこれを修正したいとかなんとかいう意味で申し上げておるのではございませんが、これから自由貿易のような形になります場合には、南方等に相当の交通があると思います。その場合に、かというものは今伝染病の媒介者としてのウエートがだんだん重くなつて来ている現状でございますから、この点についてもう少し考慮したいと思いますので、場合によりましたら、今まで調査した実際の数字があるはずでございますから、それをお調べくだすつて、お出しを願いたいと考えます。  それから第十四條に、汚染したおそれある者を停留するという字が使つてあるのでございますが、この「停留」という字の、ほんとうの意味はどういう意味でございましようか。
  36. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘いただきました第一段の点につきましては、よく調査いたしまして、検疫区域の設定等につきまして十分注意をいたして参りたいと存じております。  第二の「停留」という意味でございますが、これは病毒に接触したおそれのある者を一定場所に収容いたしまして、そうして他との交通を制限いたしまして、その間の健康状態を観察する、そういう意味でございます。     —————————————
  37. 松永佛骨

    松永委員長 次に、医師法歯科医師法及び業事法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。通告順により、丸山直友君。
  38. 丸山直友

    丸山委員 この法律は、いわゆる医薬分業に関する法律という名前で、普通呼ばれておるわけでございますが、大体医薬分業ということを考えられました基本となりましたものは、アメリカの薬剤師協会の使節団が日本へ参られて、日本政府に対して勧告書並びに報告書というものを出された、それがきつかけになつておると考えるのであります。しかし政府におかれる分業に関しまするお考えは、これを可とするか否とするかということに関しましては、前国会及び前々国会等の質疑応答においても明瞭になつておりましたように、これに関しては、いいとも悪いとも政府は考えておらない。後になりましてからは、臨時医薬制度調査会ができたから、その結果等にまつて考える、こういう御答弁がありましたので、政府としては何らのこれに対する御定見はなかつたと、私は考えられるのでございますが、このアメリカの使節団の薬事勧告書と申しますものが日本の政府に渡されましたのは、たしか昭和二十四年の九月十三日に、サムス准将から渡されたと考えておるのであります。昭和二十四年の九月十三日から最近に至るまで、つまり臨時医薬制度調査会の報告書が二十六年の二月二十八日に出るまでは、政府としては医薬分業が可であるとか否であるとかいうことに関する決定的のお考えはまだきまらなかつた、かように解釈してさしつかえございませんでしようか。
  39. 久下勝次

    ○久下政府委員 お尋ねの点につきまして、私からお答えを申し上げます。お話の通り、医薬分業の問題が最近の問題となりましたのは、アメリカ薬剤師使節団の勧告書によるものであるのであります。この勧告を受けまして、政府といたしましても、部内においては、受けました直後からいろいろ話合いはいたしておつたのでございますが、別段、明白な結論までは到達をしなかつたのであります。そうしておりますうちに、私どもの承知いたします限りにおきましては、昨年の一月になりまして、関係方面から医師会、歯科医師会、薬剤師協会の三者に対しまして、この種の問題は専門の職能を持つておる関係の三団体の間におきまして自主的に話合いをして、何らかの解決点を見出すのが適当であろうというような示唆があつた模様でありました。関係の三団体は、いわゆる三志会というものをつくりまして、数箇月にわたりまして話合いがあつた模様でございます。しかしながら、その結果は、結局何らの結論も得ることたく、いわゆるものわかれに終つたように承知いたしておるのであります。昨年の四月ころであつたと記憶しておりますが、関係方面から厚生大臣に直接話合いがございまして、この問題を検討いたしますために、厚生省に調査会を設けて検討をしてみたらどうかというような話がありましたので、さつそくこの調査会の設立に着手をいたしたわけでございます。しかしながら、この調査会の構成あるいは任務等につきまして、いろいろな紆余曲折がありまして、なかなか結論に到達いたさなかつたのでありますが、ようやく五月下旬になりまして、大体の見通しを得まして、それから具体的な委員の人選等に着手をし、昨年の八月七日に臨時診療報酬調査会、臨時医薬制度調査会という二つの調査会を、厚生大臣の諮問機関として設けまして、審議を続けて参つたのであります。政府といたしましては、さような手続によりまして、医薬分業につきまして、これを可とするか、あるいは否とするかというようなことにつきまして、慎重に各方面の専門家の御意見を伺つて、その上で措置しようというのが、昨年春ごろから今日に至るまでの一貫した考えであつたのでございます。もちろんさかのぼりますれば、私から申し上げるまでもなく、医薬分業の問題は、明治の初年から、政府の方針としては、医薬の分業をやるべきである、薬剤師は調剤に専念をし、医師、歯科医師は治療に専念をするという行き方であるべきであるという原則を示しまして、その後機会あるごとに、政府の当事者によりまして、いつかは医薬分業をすべきである、医薬分業になることが原則であるべきであろうというような意思の表明はされて参つておるのであります。  なおこの問題は、御承知の通りたびたび話題に上り、相当大きな議論の種となつて参つたのでありまするが、明治初年の原則はそうであるが、例外的に医師、歯科医師及び獣医師は自由調剤ができるのであるというような建前を、今日まで続けて参つて来たわけでございます。先ほど申し上げました再調査会は、設置後非常に熱心な審議を続けていただきまして、本年の春二月に、医薬分業をなすべきであるという答申が参りましたので、先ほど申しましたような態度である厚生省といたしましては、この調査会の答申を尊重いたしまして、その線に沿つて法律案をつくり、御提案をいたしました次第でございます。  お尋の点に直接ぴつたり行つておりますかどうか、懸念をいたしまするが、以上御質問に対してお答えを申し上げます。
  40. 丸山直友

    丸山委員 ただいまの久下次長の御説明によりますると、政府の考えは、最初から医薬分業をなすべきものであるということであつたのだ、こういうお話であります。実はただいま速記録を持つて来ておりませんので、日も覚えておりませんが、たしか前国会であつたと思いますが、森本総務課長は、政府としては、分業を可とするか否とするかということについては、きまつた意見はないのである、今臨時医薬制度調査会が開かれて、それに諮問しておるから、その意見によつて政府はこれから考えるのであるという御答弁を、確かに承つておるのであります。ただいまの御答弁と多少食い違いがあると考えまするが、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  41. 久下勝次

    ○久下政府委員 私が申し上げました意味は、原則としては医薬分業をすべきであるという方針がきまつたということだけでございまして、もちろん先ほど来申し上げておりますように、例外的に医師及び歯科医師、獣医師の調剤を認めて行くということは、政府といたしましても、従来これを是としてやつてつたのであります。従つて結果的に申しますれば、医薬分業をしてないというのが、政府の方針であると申してよろしいのでありまするけれども、私が申しましたのは、くどいようでございますが、原則としては医薬分業に進むべきであるという意思が、伝統的に表明されておりますことを申し上げたにすぎないのであります。
  42. 丸山直友

    丸山委員 原則としては認めておつた、しかしこれをやるかやらぬかということに関しては、決定的の御意見はまだなかつた臨時医薬制度調査会の答申をまつて、初めて御決定があつたというふうに解釈できる御答弁であつたわけであります。さようにいたしますると、昭和二十四年の九月十三日にサムス准将から渡されました使節団の報告書並びに勧告書というものが政府の手元にあつて、しかもそれを渡されるときには、たしか注文がついておるはずだと思います。日本側においておのおのこの勧告書を綿密に研究し、この国に適用して益ありと思われるものについては、これを実行に移すことを希望するということがついておつたわけであります。従つて政府としては、この勧告書、報告書に対しては、無関心ではなく、綿密に研究を進められておつたものと考えられるのであります。しかるに、なおそれを研究せられても、政府としては、分業を行うことがいいか悪いかということの決定的な御意見はできなかつたわけであります。この二月二十八日に、臨時医薬制度調査会の報告があつたときに、初めてそこで御決心がついた、こういうわけでありますが、そうしますと、臨時医薬制度調査会、臨時診療報酬調益金の考え方をそのままうのみにせられて、その後別に研究は進められなかつた、こういうふうに解釈してよろしいのでございましようか。
  43. 久下勝次

    ○久下政府委員 先ほど申し上げましたように、確かにお話の通り、この勧告書を渡されますときに、十分日本側において研究をし、適当とするものは実行に移すようにという注意のありましたことは、事実でございまするし、私ども政府といたしましても、この勧告を受けまして、先ほども御指摘を得たように、研究をいたしておつたのでございます。そのやさき、関係方面から三志会において自主的に検討するようにというような話のあつたことも承知いたしましたので、その間は、その三志会の結論を見守つておるというような態度であつたのであります。しかしながら、これはわずか三箇月ほどの間でございまして、結論が出ませんでしたので、調査会を設立をし、そこで研究するという態度をとつたわけであります。これは決して調査会の言いなりになるという厚生省の考え方ではないのでございまして、御承知の通り、この両調査会には、厚生省の関係職員も委員として出席をしておりまして、必要の都度、それぞれ厚生省としての考え方も委員会において発言をいたしておるような次第でございます。従つて私どもとしては、くどいようでありまするけれども、そうしたいきさつを経まして調査会の答申が出て参つたわけでありまするので、この調査会の意見を尊重して案をつくることが最も適当であるという考え方に到達をいたしたわけであります。決して調査会にまかせ切りで、何も考えなかつたというのではなしに、ただいま申したような関連におきまして、政府自身も十分その間において検討を進めつつ、最後に本法案を御提案申し上げるというような結論に達したわけでございます。
  44. 丸山直友

    丸山委員 これは私の考え違いかもしれませんが、勧告書政府に出して、綿密にこれを研究して、日本の国に適するものは、あるいは益ありと思われるものは実行に移すようにという特に注文が出ておるにかかわらず、政府があまりはかそれしい研究も進められなかつたということを見られて、三志会にこれをやらせようというふうにお考えになつたというふうな解釈も一志成り立つわけでございますが、そうはお考えになりませんでしようか。
  45. 久下勝次

    ○久下政府委員 私どもは必ずしもさようには理解いたしておりません。と申しますのは、確かにこういうふうな問題は、長年関係専門団体におきまして、ずいぶん議論をして参つた問題であります。従つてこれらの三団体が円満に話合いがつきまして、その話合いの結果が、国民の医療の上にもよい結果を及ぼすような結論でありますれば、政府は十分これを尊重してやりたいつもりであつたのであります。従いまして、私どもの研究が不十分だからということでなしに、むしろ私どもとしても、三団体が自主的に話合いをせられて、円満なる結論を得られることを希望しておつたような次第でございます。
  46. 丸山直友

    丸山委員 三団体の円満なる解決を御希望になつたという御趣旨は、よく了解いたしましたが、不幸にして三団体の円満なる解決ができなかつたわけであります。できないがゆえに、三志会というものにまかせられたことがやめになつて、臨時二つの調査会ができたという経過をとつておるわけであります。しかもその調査会の経過等も、これからおいおいに証人に出ていただいてお伺いしたいとは考えておりまするが、漏れ承るところによりますると、この二つの調査会に出された資料というものは、政府から出されたものが一番少かつた、ほとんどこれを参考とするほどの資料は出なかつたというふうに聞いておりますが、そういう事実があつたでしようか。
  47. 久下勝次

    ○久下政府委員 調査会に提出いたしました厚生省の資料は、お話の通り枚数におきましては、必ずしも多かつたとは申せないと思います。しかしながら、臨時診療報酬調査会の答申にもございますように、厚生省の資料も、日本医師会から提出した資料も、あるいは日本歯科医師会、薬剤師協会から提出いたしました資料も、それぞれこの答申の具体的な決定をします上に、きわめて有益なものであるというような説明も答申の中に書いてありまするし、また別紙に、特に具体的な資料の名称等もあげてありまするので、あるいはごらんになつていただいておるかと存じますが、そういう意味合いにおきまして、厚生省の出しました資料が、量が少かつたがゆえに価値がなかつたというふうに調査会から判断を受けておるとは理解をしておりません。
  48. 丸山直友

    丸山委員 政府がアメリカの薬剤師使節団の薬事勧告書をごらんくださいまして—これは私どもも拝見いたしまして、この中には御自分の言うておられることでありながら、多少箇條によつては矛盾しておるような場所もあるのでありますが、それらの点について、大体との薬事勧告書に関して一番重くお考えになつたような事項は、どんなようなことをお考えになりましたか。もしただいま資料がありましたらお聞かせ願いたい。
  49. 慶松一郎

    ○慶松政府委員 この勧告書は、おそらくお手元にお持ちと存じますが、それはごらんになります通り、全体で相当な條項になつてございます。四十五條からなつておると存じますが、それはまず第一に、書いてございます通り医師と薬剤師の仕事の分野をはつきりすること。従いまして、そのためには病院あるいは町の薬局等の設備を完全にすること。次は、薬学の教育の点におきまして、従来の日本におきます教育をいろいろ検討されまして、その中で特に伸ばすべき点並びに改良すべき点等を書いてございます。そのほかの点におきましては、特に最初に申しました医薬品の調剤に関しまして、調剤をする者は十分その資格を有する必要がある、並びに設備を十分によくする必要があるということ等がございますし、なおその中には、医師法の中の医者が調剤をし得るという点、あるいは医師法の中の処方箋の交付の点につきましての改正を望んでおります。なおそのほかの点におきましては、薬局法その他日本の薬の規格を十分に改正するようにという点がございます。なお薬品の試験あるいは品質の保持について、適当なる措置が講ぜられるようにということがございます。次に薬品の製造に関しまして、工場の施設等を完全にすること、また配給、販売につきましては、大体アメリカにおける方法と同じであるが、なおそれについて研究の余地があるであろう、また病院薬局に対する基準を設定することがよろしい、あるいは薬剤師の関係の団体につきまして、病院の薬剤師の団体をつくつたらよろしかろうとか、アメリカにおきましていろいろやられておりまするようなことにつきまして、日本と比較されて、その中で日本において取入れたらよかろうと思われることが書いてあるのでございます。もちろん日本における薬の進歩が相当である、あるいは日本の病院薬局にも、なかなか完全なものがあるというようなおほめの言葉もあるのでございますが、大体におきましては、いろいろな、ただいま申しましたような勧告がまことに時宜を得たものがあるのでございますが、特にその中で大きな点は、やはり今日問題になつておりますような、医師は診断、処方箋の発行をやり、そうして薬剤師の仕事は、最も優秀な医薬品を確保し、適当に貯蔵し、そうして医師の処方箋によつて調剤投薬するにあるべきこと、こういうことが書いてあるのでございます。  なお、この勧告書につきましては、厚生省といたしましても十分検討いたしまして、その中におきまして、今日問題になつております医薬分業の問題以外の点につきましても、いろいろ検討いたし、かつ取入れるべきものは取入れておるのでございまして、たとえて申しますれば、薬局方のごときものは、すでに今日改正をいたしまして、新しい改正されました薬局方がこの三月に出版されましたようなこともございます。また市販されております薬の検定、あるいは品質の保持のための国家によりまする検査のごときものも、着々やつておるのでございまして、そのために、昨年に比べまして、本年におきましては、よほど薬の品質も上つて来たということが言い得るのでございます。  なお薬剤師の教育関係につきましては、これは直接厚生省の問題ではございませんで、文部省の問題でございますが、この勧告書を文部省にも手交いたしまして、その点は文部省あるいは日本薬剤師協会に設けられてございます薬学教育審議会等におきまして十分な検討がされまして、従来の日本の薬学においては、化学の面においてはアメリカ等に比べても劣らない、あるいはある点では進んでおるが、その他の面、たとえて申しますと、薬理学あるいは細菌学等の点においては、アメリカの方が進んでおるがゆえに、そういう点を十分教科課目等に取入れるべきこと等が決定されておるのでございます。また薬事審議会の内容につきましても、いろいろな勧告がございまして、その点につきましても、この組織を改めます点についていろいろなことをやつておるのでございます。たとえば、この中に、薬事審議会は委員の過半数が薬剤師であるようにした方がよかろうというようなこともございまして、その点は、昨年改選されました審議会の委員を大体それに近いようなことにいたしておるのでございます。ここにもございますように、第一に大きな点は、医師の仕事と薬剤師の仕事を明確にするということ、あるいは薬学教育の改正、あるいは薬の規格の向上等にあると存じます。従いまして、それらの各項目ごとに、私どもの方ではアメリカ側の援助によりまして、アメリカ人を派遣いたし、また私自身も派遣されまして、品質の向上、あるいは製造所の整備等につきまして、着々努力いたしておる次第でございます。なおこれにつきましては、民間からも相当人々を派遣いたしておりますし、またアメリカ側の技術の導入につきましても、外資委員会その他の了解を得まして、相当な程度進めておる次第でございます。それらの点の一環といたしまして、本日問題になつておりますところの、すなわち俗に申しまする医薬分業の問題が取上げられておる次第でございます。
  50. 丸山直友

    丸山委員 この法律は、国民の生活に重大な影響がありますので、慎重な審議を進めたいと考えております。従つて私といたしましては、これの政府提案にたりましたまでの経過を、なるべく明瞭にしておきたいと考えております。しかる後に、この法案内容だついて質疑を進め、委員会臨時調査会等の内容について、またその他の学識経験者を招いて意見をお伺いすることはたくさんあるだろうと考えます。私のお伺いしたいことは、政府の考えの基礎となりました米国使節団の薬事勧告書につきまして、政府一條々々に対して、どういう経過でこの計画を進められたかということを承りたいと存じます。これはたいへん広汎にわたりますので、次会に一條々々に対して、政府はどんな考え方でお取扱いになつたかということをお伺いいたしますから、次会までにその資料を御整理願つて、御答弁願いたいと考えております。本日はこれをもつて中止いたします。
  51. 松永佛骨

    松永委員長 なお本法案に対しましては、相当多数の質問通告もございますが、時間の都合上、これは次会に譲りたいと存じます。  この際委員諸君の御了承を願つておきたいと存じますことは、本法案の取扱いに対しまして、御承知の通り参議院先議と相なつておりますが、今国会の会期も旬日となつた今日、憂慮いたします点は会期一両日となつてから衆議院に送付され、本付託となつたのでは、予備審査は行つて参りましたとしても、国民生活に影響するところ少くない本法案でございますから、当委員会としても困りますので、本日参議院の山下厚生委員長に対し、少くとも会期終了五日前までには、一応経過を当委員会へ報告賜わりたき旨申し入れましたところ、山下参議院厚生委員長もこれを了とされ、その旨確約されましたから、この点御了承を願いたいと存じます。     —————————————
  52. 松永佛骨

    松永委員長 次に、厚生住宅委員長より発言を求められておりますので、これを許します。亘四郎君。
  53. 亘四郎

    ○亘委員 先般来問題になつておりまする厚生住宅の案の問題でございますが、御案内のように、建設委員会におきまして公営住宅法案というものができ上りまして、議員提出のもとに提案なつて、建設委員会におきましては、すでに委員会を通過いたした案があるのでございます。ところがこの公営住宅法案と当委員会厚生住宅法案と、その内容におきまして非常に接近したものがあるのでありまして、同じような法案二つ、別々の委員会から出すということは、あまり好ましい結果でないというような御意見もございました。せつかく建設委員会の方で、すべて完了いたしたものでございますから、この際厚生委員会の立場といたしましては、いろいろ以前からの経過もございますので、ここに厚生委員会といたしまして、この建設委員会においてつくられた公営住宅法案に修正を加えたい、こう考えまして、委員長また当局の方とも御相談を申し上げまして、ここに修正案を一條加えることを準備いたしたのであります。その修正案をここに読みます。    公営住宅法案修正案   第二十九條の次に、次の一條を加える。   第三十條 建設大臣は第二種公営住宅については、建設基準、建設三箇年計画案の作成、需要主体に対する指導監督、入居者の資格及び選考その他重要事項は、厚生大臣と協議して決定しなければならない。  この一條を修正案といたしまして、公営住宅法案に対する修正をいたしたい。かように考えておる次第でありまして、まだ建設委員会の方に、この案を何ら修正案として提出する意思のあることを申し入れてはないのでありますが、もし当委員会の各委員の方々の御賛成を得ることができまするならば、この案を修正案といたしまして申し入れました、なお交渉を進めて行きたい、かように考えておりますので、皆様方の慎重なお答えを一つ決定していただきたい、かように考える次第であります。
  54. 松永佛骨

    松永委員長 亘委員の御発言に対し、何か御意見がございますか。
  55. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまの住宅法案の問題でありますが、ただいま亘さんの読まれた修正案によつて、これにピリオツドを打つということに対しまして、厚生省としてはどういうお考えを持つておるのですか。
  56. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 厚生省の事務的な立場から申しますれば、低家賃の住宅というものを一つ切り離した施策といたしますれば、これを一元的に措置をするのが、最も適当であろうというふうに考えております。従いまして、われわれの意見といたしましては、なるべくならば低家賃住宅につきましては、厚生省に一元的にその権限を持つようにするのが、最も適当ではないかというふうに考えております。ただこれにつきましては、前にも申し上げたのでございますけれども、現在の建設、厚生両省の間の関係は、現在ただいまお話がありましたように扱われておるという実情でございます。従いまして、ただいまの修正意見によりますれば、一応現状維持ということに相なるのではないかと思いまして、それもまだ現状といたしましてはやむを得ないのではないかというふうに考えます。ただ、一つ心配になりますることは、引揚者の住宅の問題でございます。現在の公営住宅法案によりますれば、引揚者の住宅につきましても、やはり全面的に公営住宅法案によることになりまして、その建設は建設省がやることに相なつております。従来引揚者住宅につきましては、厚生省がこれを建設し、またその後これを修繕いたしましたり、あるいはこれの疎開をいたしますような場合におきまして、厚生省でもつてこの予算を獲得いたしまして、実施いたしております。これが建設省におきまして建築いたしまするように一元化いたされます結果、従来あります引揚者の集団住宅の修理及び疎開といつたような問題が、従来のようにうまく運営されるかどうかという点につきまして、私の方といたしましては、若干疑問を持たざるを得ないのじやないかというふうに考えております。
  57. 金子與重郎

    ○金子委員 亘小委員長にお伺いしますが、もう少し研究してはまずいのですか。これはもう研究時間の余地なしですか。
  58. 亘四郎

    ○亘委員 建設委員会の方で非常に急いでおりまして、本来ならば、昨日の本会議にこれを上程したいというくらいまでに急いだのでありますが、交渉の結果、昨日は上程することを延ばしてもらいました。そうして建設委員会の方の言い分ですと、厚生省の方でそうした考えのあつたことを知らなかつたということでございます。それで、今初めて聞くのであるが、そういうことであるならばということで、一応修正案があつたなら出してもらいたいということでありますので、取急いでこうした案を入れたのでありましてこれは、厚生省の立場としては、そうした低家賃の家というものを、厚生省が今まで主管して参つたのでありまするから、また当然そうした家屋は、厚生省が社会福祉の一環としてなすべき仕事の範囲でありますので、従つてその意思を尊重する意味においてという考え方からなされたのであります。私どもといたしましては、もつとこれを両方の委員会で、できるならば協議をするような時間のゆとりがあることを、一番希望するのでありますけれども、まだその申込みはしてない、なかつたうちに、すでに建設委員会としては可決してしまつたというくらいに、スピード・アップされたということなのであります。
  59. 松永佛骨

    松永委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  60. 松永佛骨

    松永委員長 速記を始めて下さい。  ただいま亘委員からの御発言に対しては、いろいろと問題も残されており、研究もしなければならない点があると存じますので、各委員の方々におかせられましては、なおこの問題について、十分の御考慮と御研究を賜わりまして、明日の当委員会開会前に一応理事会を開催いたしまして、その際に意見をまとめたい、かように存じますが、それで御了承願えますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 松永佛骨

    松永委員長 それではそういうことにお願いいたします。  それでは次会は明十九日午後一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十九分散会