○
青柳委員 本日私は
丸山委員、
岡委員と御一緒にGHQの
サムス准将を訪れまして、
看護婦制度につきまして御
意見を承
つたのであります。それに関しまして御報告を申し上げたいと存じます。
九時半から十一時まで一時間半の長きにわたり、よく
サムス准将はわれわれの話を聞かれ、またわれわれも腹蔵のない
意見をかわし得たのであります。まず私から
衆参両院、それも各党派こぞ
つて態度をきめました将来の
看護婦制度の
あり方に関しまして
説明をいたしました。それに対しまして、
サムス准将は、従来から
衆参両院におきまして、
看護婦制度について自発的に、非常に熱心に
調査研究を重ねて結論を得られたその
状況は、つぶさに
自分は
知つてお
つて敬意を表しておる、非常にうれしく
考えておる。そうして
皆さんのつくられたものにつきましては、
自分はほとんど
異議はない。ただしかし例外的なものがあ
つて、それについては
自分の
意見をあなた方に話したい。この
意見は、
自分の
意見としてある程度、しかるべき
関係に話を通じておる問題であるから、と
言つて書面によりまして、われわれに
サムス准将の
意見を聞かしてくれたのであります。
それによりますと、まず第一に
衆議院の
看護婦制度に関する案のうちに
准看護婦とあるが、この
准看護婦というのはどうも名前がよくない。
補助看護婦、アシスタント・ナースとしてもらいたい。これはしかし大した問題ではない。
第二点としては、六・三・三すなわち
高等学校を出ました後において、
衆議院の案は二年の
教科課程を経て、それから
国家試験を受けて
大臣の
免許を受けるものである。しかしこの点は
自分は
反対であ
つて、やはり
現行通り三年の
課程としてもらいたい。それについては
自分はこう思う。
看護婦の任務の本質は、
国民によい
医療を与えて
国民を
疾病から保護するにあるのだ、質をよくしなければならない。
自分たちは
占領五年半、この問題について一生懸命にや
つて来たのだ。思い出せば
自分たちが
占領のために
日本にや
つて来た際には、
看護婦さんは
召使と同じであつた。ベツドについて適当な
訓練を受けておらず、ほとんど
召使と同じであつた。しかもそのほかに
病院には患者の
家族の者が出入りする。そういう習慣は、健康なそれらの
家族に
病菌を与え、またその
病菌を外部に伝播させるものである。
自分たちとしては、そういうことをなからしめようというようなことやら、いろいろ熱心に研究し、この改善に努めて来たのだ。二年、三年の問題についても、アメリカでもほかの国でも、今までいろいろな
体験を持
つておる。
看護婦さんの数を多くしようがために教育する年数を少くしたこともあつた。ところが少くしたためにかえ
つて看護婦さんの数はふえなかつた。これをこの
年限を多くしたことによ
つて質がよくなり、社会的にもりつばな仕事であるということが認められ、また待遇もよくなり、そうして初めて
看護婦さんたらんとする
志願者もふえて来たという実例を、
自分たちは
知つておるのだ。二年よりも三年にした方が、
看護婦さんの質をよくし、また
看護婦さんの数を、ほんとうに長い目で見たならば多くするものであるということを説いて、この点はどうしても三年にしてもらいたいという話が第二点であります。
第三点といたしましては、よい
看護婦をつくるためにはよい
学校を持たなければならない。
内容を充実した
学校をつくり、それを維持して行くためには、これらの施設を監視
監督するために
委員会をつくつたらどうかという
考えも持
つておるという
お話もありました。またさらに
看護婦さんは、ただいま申しましたような
課程を経て
看護婦さんになり、その上に
保健婦、
助産婦になるためには、さらに一年の
訓練を必要とすると思う、という点が第四点であります。
さらに第五点といたしましては、
国家試験を存置することがどうしても必要である。その
理由は二点あるのだ。
一つの点は、
国民大衆が不完全な
訓練を受けた
看護婦の
看護を受けて
——搾取と言いましたが、搾取されるようなことをなからしめるために必要である。第二の
理由としては、尊敬さるべき職にある人を正当に保護してあげるために、
国家試験は存置を必要とする。そういうのが大体の
意見でありました。これに関しましては、
岡委員、
丸山委員からいろいろ
意見を述べられて、ことに主としてというよりも、ただ
一つの問題、二年、三年の問題につきまして、両
委員から非常に詳細にわたる
意見を
開陳されて、
サムス准将の
考えを頼んだのであります。
岡委員からは、
自分が今まで
体験した
体験談を述べて、最近また
欧洲を見学して来た、ことにイタリアでいい
療養所を見た。そこの
状況な
どもお話がありました。
日本におきましては、最近は
結核予防法というような
法律ができて、また
看護婦さん
保健婦さんの量の多いことを必要とするようなことに
なつたという点を述べられて、量を多くするために、また実際の
自分の
体験からい
つても、二箇年間の養成で足りると思う。ことに今回行おうとしている
制度は、われわれ
議員たちが集ま
つてつくつたものであるから、
国会の
責任においてこれに必要な
予算を獲得する、
責任を持
つてこれに対して相当な
予算の実現をはかるということについての決意も持
つておるというような点も述べられたのであります。
さらに
丸山委員からは、
日本の
経済力というものは、まだ回復はしておらぬ。ぜいたくなことはできない。三年にするよりも二年にした方が、
学校の
回転率がよくなり、
学校をたくさんつくらないでもいいし、また
看護婦さんもたくさんできるのだということにつきまして、こまかく
説明をされたのであります。そうして三年、二年の論議が主としてかわされました。しかしながら
サムス准将としては、
自分たちの今までの経験をいろいろ述べられまして、
自分たちとしては、
皆さん方の言うことはわかるけれ
ども、
年限の点だけは三年にしてもらいたいというような
意見でありました。最後に、しからば現在われわれの
考えておる
補助看護婦の
制度につき、また従来
看護婦の新
制度への切りかえにつきましてほ、ほかに御
意見があるのかということを聞きましたならば、何もない、ただ
自分の
皆さん方に主張したい点は、
皆さんが方が二年としておるところを三年にしたいのだということでありました。われわれは相談の結果、また
国会に帰りまして、
国会の各政党、
両院の議をまとめて
意見を申し上げに来るということで、十一時ごろ、一時間半にわたる会見を
終つた次第であります。
以上御報告申し上げます。