運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-30 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十日(金曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 松永  佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君 理事 福田 昌子君       高橋  等君    田中  元君       中川 俊思君    堀川 恭平君       山村新治郎君    金子與重郎君       清藤 唯七若    今野 武雄君       松谷天光光君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 黒川 武雄君  出席政府委員         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員外出席者         参議院議員   中山 壽彦君         厚生事務官         (医務局医務課         長)      河野 鎭雄君         厚 生 技 官         (医務局看護課         長)      金子  光君         参議院参事         (法制局第一部         第一課長)   中原 武夫君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 三月二十九日  委員金子與重郎辞任につき、その補欠として  小林運美君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員小林運美君及び苅田アサノ辞任につき、  その補欠として金子與重郎君及び今野武雄君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十九日  診療エツクス線技師法案谷口弥三郎君外六名  提出参法第一四号)(予)  診療エツクス線技師法案参議院提出参法第  一四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  診療エツクス線技師法案谷口弥三郎君外六名  提出参法第一四号)(予)  保健婦助産婦看護婦法の一部改正に関する  件  遺族戦傷病者及び留守家族対策に関する件     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。  参議院より提出されました診療エツクス線技師法案議題とし、審査に入ります。まず提案者より趣旨の御説明をお聞きしたいと存じます。中山参議院議員
  3. 中山壽彦

    中山参議院議員 ただいま提案になりました診療エツクス線技師法案提案理由について、御説明申し上げます。  現在の医学界におけるエツクス線の利用はきわめて広く、疾病診断に、またその治療に欠くべからざるものとなつておりますることは、皆様のすでに御承知の通りであります。医療法病院に対してエツクス線装置と、これが操作に当るべき技術者の設置を命じておりますことは、エツクス線疾病診断治療との密接な結びつきを、法的に規定したものということができるのであります。エツクス線は、このように医療面に必要不可欠なものとして、人の健康保持のために、多大の貢献をいたしておるのでありますが、その反面におきまして、使用法を誤ると逆にいやすことのできない障害人体に与えるものであります。エツクス線の誤つた照射によつてこうむつた障害、また過度のエツクス線吸収による白血球の減耗は、その程度が大になると、今日のところこれを救済する方法がないとさえされているのであります。エツクス線は、その性質を十分に理解し、その使用を誤らない優秀な技術者の手によるときは、顯著な治療効果を発揮し、素養の不十分な、または技術り拙劣な人の手にかかるときは、人体を破壊する力を現わす両面の作用を持つ点においては、劇薬毒薬の施用と軌を一にするものがあるのであります。人の生命健康を預かる医療従事者につきましては、医師歯科医師を初めといたしまして、保健婦助産婦看護婦歯科衛生士、さらにあんま師はり師、きゆう師に至るまで、その資格が法的に定められて、素養なきしろうとの関与が排除されております。しかるに診療ときわめて密接な関係にあり、かつ使用のいかんによつては、恐るべき障害をさえ伴うエツクス線の取扱いに当る者についてだけは、同じく医療従事者でありながら、今日まで放任されて来ているのであります。このために、現在約四千名のエツクス線技術者の中には、基礎的な教育を経たきわめて優秀な技術者もいると同時に、またごく短時間の見習いだけによつて、その操作に従事している好ましからざる技術者も介在しておるのであります。  わが国における国民保健のがんとしての結核撲滅対策が、今日特に強調されておりますが、結核適確診断は、エツクス線照射による撮影にまたなければならないことは、いまさら申し上げるまでもありません。今回結核予防法が全面的に改正されまして、エツクス線照射に伴う多数人の健康診断が実施されることを予定しているようでありますが、このような制度を生かすためにも、すべてのエツクス線技術者を信用のおける技術者たらしめて、これを活用することが必須の條件となるわけであります。  以上申し上げましたような趣旨によりまして、一般的には医療関係者としての、エツクス線技術者素質向上をはかつて医療制度に間隙なからしめんことを期しまするとともに、当面の差迫つた結核対策一環としての機能を、十分に果させる焦眉の必要から、本法案提案いたすことといたしました次第でございます。  次に本法案内容骨子を申し上げたいと存じます。  この法案のねらいは二つございまして、一つ診療エツクス線技師資格を法定することであり、他はその業務あり方につきまして、医師との関係を明確にすることを目的としているのであります。  まず第一の点でありますが、この点については、ただいま申しましたように、エツクス線照射は、これに関する十分な知識と熟達した技術とを有する者によつて行われなければ、人体に恐るべき障害を起させる危険の大きいものでありますので、かような危害を防止いたしますために、エツクス線人体照射する業務は、免許を受けた者でなければ行うことができないようにいたしますとともに、その免許は一定の国家試験に合格した者に対してでなければ与えないこととし、なおその受験資格といたしまして、高等学校卒業の後さらに二年間エツクス線に関する知識技能の修得を終えたことを必要とすることに規定いたしたのであります。これに関連して現在業務に従事している者及び過去において三年間の業務経歴を有する者に対しましては、届出制をとつた上、暫定的に五年間を限つてその業務の継続を認め、その間に届出者に対する試験を行うことによつて、新制度へ移行させるよう考慮いたしました。  次にその業務あり方につきましては、医師の行う診療行為ときわめて密接な関連を持つている点から、医師のみが行い得る診断の分野にまで入ることがないよう、診療補助者としての性格を明確にすることといたしました。すなわちエツクス線照射を行うには、必ず医師または歯科医師の具体的な指示をまたなければならないこととし、またその業務に従事する場所を原則として病院または診療所内に限ることとして、その業務が常に医師監督下に行われるように配慮いたしました。またエツクス線照射を行いましたときには、照射記録を作成させ、これにエツクス線照射に関する指示を与えた医師または歯科医師の署名を受けさせることにして、右の方針をエツクス線技師の側からも裏づけるようにいたしているのであります。  なおこの法律の施行上の事務担当につきましては、試験に関する事項だけは全国的に統一する必要がありますので、厚生大臣の所管といたし、他の免許登録等事務は知事にゆだねることといたしました。  その他免許証に関する事項届出に関する事項監督に関する事項等につきましては、他の医師補助者と大体同様の規定を設けておるのでございます。  以上が本法案提案理由及びその内容骨子でございますが、エツクス線技師者医療従事者としての素質向上、特に結核対策一環としてになう重要性にかんがみまして、何とぞ御賛成を賜わりますよう、お願い申し上げる次第であります。
  4. 松永佛骨

    松永委員長 本案についての質疑議案熱読のため、明日午前より開会される委員会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なければ本案についての質疑は明朝に譲ります。     —————————————
  6. 松永佛骨

    松永委員長 次に看護婦制度に関する件を議題といたします。高橋委員より発言を求められておりますので、これを許します。高橋委員
  7. 高橋等

    高橋(等)委員 厚生大臣にお伺いいたしたいと存じます。昨日看護婦制度法律案審議の過程におきまして、いろいろと医務局長その他と質疑をかわしておりまする際に、国会におきまする委員会立法権と、これに公務員がどの程度関与し得るかという、われわれとしまして今後解決しておかなければならない重大なる問題に実は逢着をいたしたのであります。少し抽象的になるのでありますが、この際大臣より明確なる御見解を承りたいと存ずるのであります。委員会におきまして議員提出法案につきまして、大体委員会の議として法案ができ上りまして、もし占領下でなければ、ただちに本会議に上程になる筋合いのものでありますが、占領下の現在、これを関係方面と折衝をいたす必要があることは申すまでもないのであります。その際に委員会におきまして、一応の案を関係方面に持出したものに対しまして、政府側においてこれに反対見解をお述べになるとというこが、もしあるといたしまするならば、これはわれわれの立法権を遂行して行く上におきまして、非常に困つた問題になるのではないかと考えられるのであります。公務員法その他の法律上の解釈——法律的にこれを考えてみますと、政府がそれらの点につきまして意見を述べてはいけないということは、必ずしも法的には言えないかと思うのであります。また政府としましても、国会できめようとしております法案執行責任政府にありまする関係上、行政機関としてはこの法案通つた場合に、はたして執行責任が負えるかどうかというような意見開陳をなす必要もあるかと考えるのでございますが、私はそうした問題は、すべて委員会審議の途中において十分にお互いに納得が行く問題である。もし政府と立法府とがその点において合わないような場合におきまして、政府の方が異つた意見開陳をして、その立法権の遂行を妨害するというようなことは、政治的に考えれば差控えていただかなければならないのではないかと私は考えております。この点につきまして、厚生大臣からお答弁をいただきたいと考えるのであります。
  8. 黒川武雄

    黒川国務大臣 お答えいたします。政府の職員が司令部関係官から、担当行政事務に関し意見を求められた場合におきましては、意見を一応申し述べることが、日常行政事務運営上あり得るわけでございます。ただ国会における委員会審議権を妨害するがごとき言行は、絶対に愼むべきことでございまして、もしも委員会において審議せられます案が、これを実行するについて不便であるとか、あるいは不適当であるというような場合には、当然御審議中にその点を申し上げて、十分御審議に御便利をはかり、そうして完全なる法案ができますように努力するのが、これは行政当局としても当然のことでございます。ただ昨日言葉の行き違いから、あるいはこの看護婦法案につきまして、事務当局が、何らか司令部の方に意見を申し述べて、国会審議についておじやましたというように、おとりになつたように聞いておりますが、その事実はありませんので、きようサムス准将衆議院委員の方方がお会いになりましても、決して厚生事務当局として、せつかく国会において立案中の法案におじやましたということはございませんことをつけ加えまして、国会審議を十分尊重し、御協力申し上げるのが当然だということをお答えいたします。
  9. 松永佛骨

    松永委員長 本件に関しまして、青柳委員より発言を求められております。これを許します。
  10. 青柳一郎

    青柳委員 本日私は丸山委員岡委員と御一緒にGHQのサムス准将を訪れまして、看護婦制度につきまして御意見を承つたのであります。それに関しまして御報告を申し上げたいと存じます。  九時半から十一時まで一時間半の長きにわたり、よくサムス准将はわれわれの話を聞かれ、またわれわれも腹蔵のない意見をかわし得たのであります。まず私から衆参両院、それも各党派こぞつて態度をきめました将来の看護婦制度あり方に関しまして説明をいたしました。それに対しまして、サムス准将は、従来から衆参両院におきまして、看護婦制度について自発的に、非常に熱心に調査研究を重ねて結論を得られたその状況は、つぶさに自分知つてつて敬意を表しておる、非常にうれしく考えておる。そうして皆さんのつくられたものにつきましては、自分はほとんど異議はない。ただしかし例外的なものがあつて、それについては自分意見をあなた方に話したい。この意見は、自分意見としてある程度、しかるべき関係に話を通じておる問題であるから、と言つて書面によりまして、われわれにサムス准将意見を聞かしてくれたのであります。  それによりますと、まず第一に衆議院看護婦制度に関する案のうちに准看護婦とあるが、この准看護婦というのはどうも名前がよくない。補助看護婦、アシスタント・ナースとしてもらいたい。これはしかし大した問題ではない。  第二点としては、六・三・三すなわち高等学校を出ました後において、衆議院の案は二年の教科課程を経て、それから国家試験を受けて大臣免許を受けるものである。しかしこの点は自分反対であつて、やはり現行通り三年の課程としてもらいたい。それについては自分はこう思う。看護婦の任務の本質は、国民によい医療を与えて国民疾病から保護するにあるのだ、質をよくしなければならない。自分たち占領五年半、この問題について一生懸命にやつて来たのだ。思い出せば自分たち占領のために日本にやつて来た際には、看護婦さんは召使と同じであつた。ベツドについて適当な訓練を受けておらず、ほとんど召使と同じであつた。しかもそのほかに病院には患者の家族の者が出入りする。そういう習慣は、健康なそれらの家族病菌を与え、またその病菌を外部に伝播させるものである。自分たちとしては、そういうことをなからしめようというようなことやら、いろいろ熱心に研究し、この改善に努めて来たのだ。二年、三年の問題についても、アメリカでもほかの国でも、今までいろいろな体験を持つておる。看護婦さんの数を多くしようがために教育する年数を少くしたこともあつた。ところが少くしたためにかえつて看護婦さんの数はふえなかつた。これをこの年限を多くしたことによつて質がよくなり、社会的にもりつばな仕事であるということが認められ、また待遇もよくなり、そうして初めて看護婦さんたらんとする志願者もふえて来たという実例を、自分たち知つておるのだ。二年よりも三年にした方が、看護婦さんの質をよくし、また看護婦さんの数を、ほんとうに長い目で見たならば多くするものであるということを説いて、この点はどうしても三年にしてもらいたいという話が第二点であります。  第三点といたしましては、よい看護婦をつくるためにはよい学校を持たなければならない。内容を充実した学校をつくり、それを維持して行くためには、これらの施設を監視監督するために委員会をつくつたらどうかという考えも持つておるというお話もありました。またさらに看護婦さんは、ただいま申しましたような課程を経て看護婦さんになり、その上に保健婦助産婦になるためには、さらに一年の訓練を必要とすると思う、という点が第四点であります。  さらに第五点といたしましては、国家試験を存置することがどうしても必要である。その理由は二点あるのだ。一つの点は、国民大衆が不完全な訓練を受けた看護婦看護を受けて——搾取と言いましたが、搾取されるようなことをなからしめるために必要である。第二の理由としては、尊敬さるべき職にある人を正当に保護してあげるために、国家試験は存置を必要とする。そういうのが大体の意見でありました。これに関しましては、岡委員丸山委員からいろいろ意見を述べられて、ことに主としてというよりも、ただ一つの問題、二年、三年の問題につきまして、両委員から非常に詳細にわたる意見開陳されて、サムス准将考えを頼んだのであります。岡委員からは、自分が今まで体験した体験談を述べて、最近また欧洲を見学して来た、ことにイタリアでいい療養所を見た。そこの状況どもお話がありました。日本におきましては、最近は結核予防法というような法律ができて、また看護婦さん保健婦さんの量の多いことを必要とするようなことになつたという点を述べられて、量を多くするために、また実際の自分体験からいつても、二箇年間の養成で足りると思う。ことに今回行おうとしている制度は、われわれ議員たちが集まつてつくつたものであるから、国会責任においてこれに必要な予算を獲得する、責任を持つてこれに対して相当な予算の実現をはかるということについての決意も持つておるというような点も述べられたのであります。  さらに丸山委員からは、日本経済力というものは、まだ回復はしておらぬ。ぜいたくなことはできない。三年にするよりも二年にした方が、学校回転率がよくなり、学校をたくさんつくらないでもいいし、また看護婦さんもたくさんできるのだということにつきまして、こまかく説明をされたのであります。そうして三年、二年の論議が主としてかわされました。しかしながらサムス准将としては、自分たちの今までの経験をいろいろ述べられまして、自分たちとしては、皆さん方の言うことはわかるけれども年限の点だけは三年にしてもらいたいというような意見でありました。最後に、しからば現在われわれの考えておる補助看護婦制度につき、また従来看護婦の新制度への切りかえにつきましてほ、ほかに御意見があるのかということを聞きましたならば、何もない、ただ自分皆さん方に主張したい点は、皆さんが方が二年としておるところを三年にしたいのだということでありました。われわれは相談の結果、また国会に帰りまして、国会の各政党、両院の議をまとめて意見を申し上げに来るということで、十一時ごろ、一時間半にわたる会見を終つた次第であります。  以上御報告申し上げます。
  11. 松永佛骨

    松永委員長 ただいま青柳委員から看護婦制度に関するその後の経過を御報告くださいましたが、本問題につきましては、火急を要することでございますので、参議院厚生委員会とも両院合同協議を開きたいと存じます。幸い参議院厚生委員長もお見えくださつておりますから、この際暫時休憩をいたしまして、参議院との合同協議会を開きたいと存じます。どうか委員の方はお残り願います。  この際暫時休憩をいたします。     午後二時四十一分休憩      ————◇—————     午後五時二十分開議
  12. 松永佛骨

    松永委員長 休憩前に引続き、会議を再開いたします。  まず遺族援護対策等に関する件について、高橋委員より発言を求められております。これを許します。高橋委員
  13. 高橋等

    高橋(等)委員 遺族戦傷病者及び留守家族対策につきましては、終戦以来五箇年間にわたわまして、いろいろと本委員会におきましても努力をいたし、政府におきましてもいろいろ努力を払われて参つたのであります。また遺族援護につきましては、昭和二十四年の五月、第五国会ににおきまして、これが援護徹底を期するために、本院は決議を行つておるのでございます。しかるにこの施策について見ますると、いろいろと努力の跡はあるのでございますが、占領下状況におきまして、思うにまかせない不徹底さがあつたのであります。講和が間近かに迫つて参つております現在におきまして、この遺族人々、あるいは戦傷病者、あるいは留守家族人々は、講和を迎えるにつきまして、割切れない感じで日々を過されておるのでございます。またこれらの人々がその援護に対しまする希望は、非常に熾烈なものがあることは御存じの通りでございます。理論的に考えて見ましても、これらの遺族戦傷病者及び留守家族援護という問題は、戦争に勝つた国、あるいは負けた国というようなことで、差別すべきではなく、また戦争目的がどうあつたか、間違つていたかどうかというようなことで、差別すべきではないのでありまして、国とこれらの人々との関係というものは、これはどこの国におきましても、同じ立場であろうと考えるのであります。実に深い人道精神に立脚して、解決せられなければならない問題であることは、申すまでもないのであります。ただいま講和が間近に迫りまして、日本の産業を振興いたしまするためにも、また国土の防衛をいたしまするためにも、高度の愛国心が要求をせられ、また愛国心のないところに、真の独立が得られないということは、申すまでもないのでありまして、この際に高度の愛国心を発揮せられまして、なくなられたところの戦歿者遺族、あるいはまた戦傷病されていろいろと不自由なさつておられる人々、あるいはまた留守家族人々援護ということが、解決せられておらないというのは、国民感情的に見ましても、これは非常な矛盾を感ずるところでございます。しかし一面遺族等援護につきましては、第二の愛国心を求めますることを目的に、解決せらるべきではないのであります。先ほど申し上げましたように、深い人道精神に立脚して解決せらるべきものであつて、もし愛国心を求めるためにこれらを解決するという観点で進みましては、これほ遺族戦傷病者及び留守家族人々を、侮辱するほかの何ものでもないと考えるのであります。こういうような状況をいろいろと考えまして、講和も非常に近いことでございますし、これらの人々の長年の不自由な、気の毒な状況から、一日も早くこれらの人々援護徹底を期するということは、目下時期的に見ましても、非常に必要なことと考えるのであります。  そういう意味におきまして、この際本院において遺族戦傷病者及び留守家族対策に関する決議をなしまして、政府を鞭撻し、将来予算的にも画期的な考え方のもとに、財政が許すならというようなことでなしに、この目的のために新しい財政計画を立てるというような見地に立ちまして、この問題を解決するようにさしてみたいというように希望いたします。そういう意味からいたしまして、決議案を上程したいと考えるのでございます。
  14. 松永佛骨

    松永委員長 本問題についての御発言はありませんか。
  15. 今野武雄

    今野委員 ただいまの御説明を承つておりますと、私どもこの遺族の問題などについては、非常に日常接していることでございますし、これを援護強化しなければならぬということは、痛感しているわけであります。従つてこういうような決議を第五国会でもして、そうしてまたそれが実効が十分でないから、強化してもらいたいということを言うのは、私どもとしても大賛成なのでございます。しかしただいまの御説明の中で、ちよつと私の聞き違いかもしれませんが、よくわからなかつた点もある。というのは、やはりこの決議文にも載つておりますが、講和受入態勢急速整備、こういうときになると、高度の愛国心が必要である。言葉はなるほどそのまま受入れれば、すなおにとつていいのかもしれませんが、ただ現在自由党並び吉田内閣考えておる講和というものは、単独講和である。そうして盛んに日本自衛権というようなことが問題になり、また再軍備ということが問題になつている。そういう際に、こういうようにうたつて、「講和受入態勢急速整備の要ある情況を勘案し」云々とうたつてやるというと、さつき誤解を招くとおつしやつたことが、やはりそのまま真実になつて来はしないか、こういう心配もあるわけであります。従つてやはり決議案を出すことは賛成でございますが、できるならば案文を「人道精神に立脚し」これはたいへんけつこうでありますが、それ以下を省いて「人道精神に立脚しこれら戦歿者遺族戦傷病者及び留守家族に対し」云々、こういうふうに直していただけば、非常にすなおに私たちとしても賛同してやつて行ける、暗い影を残さないでやつて行けるように考えられる。その点をお願いできたら幸いだと思うのであります。
  16. 高橋等

    高橋(等)委員 これはまだ案分の相談はしていないのです。決議を出すか出さないかということなのです。
  17. 松永佛骨

    松永委員長 他に御発言はありませんか——それではお諮りいたします。高橋委員より発案されました遺族戦傷病者及び留守家族対策に関する決議案の案文を、一応朗読いたします。    遺族戦傷病者及び留守家族対策に関する決議(案)   去る昭和二十四年五月第五国会において、本院は「遺族援護に関する決議」を行い、政府に対して速やかなる対策の樹立並びにその実施を強く要望したのである。   しかるにこれら施策の成果は、所期せられしところより甚だ遠く、戦歿者遺族及び未帰還者留守家族の悲況並びに戦傷病者の惨状が、国民の到底黙視し得ざる状態に放置せられていることは、遺憾とするところである。よつて深き人道精神に立脚し又講和受入態勢急速整備の要ある情況を勘案しここに、決意を新たにして、これら戦歿者遺族戦傷病者皮び留守家族に対し、国家保障を断乎として早急に確立することを期する。政府も又、この国民の強さ要望に応え、諸般の施政について格段の努力を払うべきである。   右決議する。  以上朗読いたしました案文のごとくでありますが、これが取扱いにつきましては、高橋委員提出されたものを内容として、提案者には高橋等君の外御賛同を得た委員総員として、決議案提出いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
  18. 今野武雄

    今野委員 私、先ほど申した点で——これに不賛成ということじやないのですけれども、そういう点がありまするので、提出者という点は、私ちよつとごめんこうむりたいというふうに考えるわけです。なおこの点について、討論とか、いろいろなそういうものはどうなるのでしようか。これは質問になりますけれども……。
  19. 松永佛骨

    松永委員長 それは議院運営委員会においてとりきめるかと思います。
  20. 今野武雄

    今野委員 そうですか。その案文は、もうこれ以上審議して、できるだけ穏やかにかえるようなことはできないものですか。非常にけつこうなことなので、ほんとうなら共同してやりたいのです。
  21. 松永佛骨

    松永委員長 これは高橋等君が草案された案分でございますから、この案文等につきましては、さらに協議もいたしまするし、内容その他は、御同意を得ればとりかえることはできると思います。  なおこの決議に関連ある海外同胞引揚特別委員会の有志代議士をも加えて、提案者とすることを御了承願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  なお決議案の取扱い及び案文の整理、修正に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、さよう御了承願います。     —————————————
  23. 松永佛骨

    松永委員長 次に看護婦制度に関する小委員補欠選任についてお諮りいたします。小委員でありました金子與重郎君及び苅田アサノ君が、それぞれ委員辞任に伴い、現在小委員が二名欠員になつておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、その手続に関しましては、先例により委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認め、再び委員に選任されました、金子與重郎君及び今野武雄君を看護婦制度に関する小委員指名いたします。     —————————————
  25. 松永佛骨

    松永委員長 次に看護婦制度に関する件を議題とし、看護婦制度に関する小委員長青柳一郎君より発言を求められておりますので、これを許します。青柳一郎君。
  26. 青柳一郎

    青柳委員 先ほどの委員会におきまして、丸山委員岡委員を同道しまして、サムス准将を訪れた経緯は、皆さん御存じの通りでございます。その後におきまして、われわれが関係方面の了解を得ようとしておりまする案について、実はオーケーが参つたのであります。しかしわれわれは行きまして、いろいろ論議を尽しました点もあり、また関係方面の意向についてある程度、首肯すべきものもありますので、この際われわれが提案しておりますものを、ある程度修正しまして、またオーケーを取直したいと思うのであります。その内容はいかなる点であるかと申しますると、名称の点は、やはり准看護婦といたしまするが、現在もありまする准看護婦につきましても、プラクテイカル・ナースという言葉が使つてあるのに準じまして、今回も准看護婦であるけれども、アシスタント・ナースということにいたしたいというのが一点であります。  さらに看護婦になるための六・三・三・二のあとの二の問題は、これを三にいたしまして、その三年の間に看護婦助産婦保健婦ともに必要な教育もある程度加えるという、いわゆる滲透教育というのを施して行きたい。そして三年の、学科を終えた者に対しまして、国家試験を行つて看護婦とする。さらに助産婦看護婦になるためには、その上になお半箇年の学科を課しまして、それを出た者に対して、大臣国家試験を行いまして、それぞれ助産婦看護婦たるの資格を与えるというのが第二点であります。  第三点といたしましては、准看護婦から看護婦になる道でありますが、この准看護婦が最後の三年制の学校、養成所に入ります場合には、その学校で二箇年以上の学科を終えて、その後において国家試験を受けて看護婦になるという道にいたしたいという点であります。  さらに第四点といたしましては、現在旧看護婦から保健婦になる道といたしまして、五箇月間の講習を受けて知事の行う試験に合格した者を、保健婦とする道が本年の八月に切れるのであります。ところが先般われわれが審議いたしました結核予防法等におきましても、保健婦の需要が非常に多いのでありまして、この制度をなおその後一年間延ばすことにするというのが第四点であります。  第五点は、改正法令の施行期日についてでありまするが、現行法におきまする乙種看護婦の養成についてだけ、一年後、すなわち二十七年九月一日よりとするという点であります。  以上の五点を前の案に修正を加えまして、本日関係方面に交渉いたしたい。その点につきまして皆様方の御了承を得まして、これまた全会一致をもつて、そういう手続をいたしたいと思いますが、何とぞ皆様方の御賛同を得たいと思います。
  27. 松永佛骨

    松永委員長 ただいまの看護婦制度に関する小委員長青柳委員の御報告を了承するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松永佛骨

    松永委員長 御異議なしと認めまして、了承することにいたします。  明三十一日は午前十時より開会し、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十四分散会