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1951-03-22 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十二日(木曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君    理事 亘  四郎君       大西 禎夫君    高橋  等君       田中  元君    中川 俊思君       堀川 恭平君    松井 豊吉君       金子與重郎君    清藤 唯七君       井之口政雄君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房渉外         課長)     齋田  晃君         厚 生 技 官         (公衆衛生局結         核予防課長)  小川 朝吉君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君         專  門  員 山本 正世君     ————————————— 三月二十日  委員田渕光一君及び佐藤親弘辞任つき、その  補欠として岡崎勝男君及び高橋等君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十二日  委員岡崎勝男君、小林運美君、苅田アサノ君及  び松本太郎辞任につき、その補欠として田  中元君、金子與重郎君、井之口政雄君及び羽田  野次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  結核予防法案内閣提出第一一五号)  国際連合世界保健機関加盟に関する説明聽取     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長 これより会議を開きます。まずWHO加盟に関する件について厚生省渉外課長より発言を求められておりますのでこれを許します。齋田渉外課長
  3. 齋田晃

    齋田説明員 国際連合衞生の面におきまする專門機関なつております世界保健機関という団体に対しまして、先ごろ政府より加盟手続をとつておいたのでありますが、来る五月のジエネヴアにおいての総会にこれを付議するという通告を受けたのであります。その総会におきまして加盟承認をせられますと、おのずと憲法に従いまして、国会においての御承認をいただかなければならないことになつておりますので、條約関係のことでありますので外務省が主管をいたしておりまして、外務委員会を通じて国会の御承認をいただくという手続になるかと思うのでありますが、内容につきましては、厚生省の最も関心を持つておりますところでありますので、厚生委員会の皆様にも御説明を申し上げて、御了承をいただきたいと考えておるのであります。お手元に差上げてあると存ずるのでありまするが、国際連合世界保健機関WHO加盟に関する説明書というのがございます。この中に一応過去における国際的な保健衞生協力態勢ということを御説明申し上げてあります。さらに終戦後においてそれらのものが、ワールド・ヘルス・オーガニゼーシヨンという形でもつて整備強化せられて今日に至つた状況も、御説明を申し上げておきましたので、後ほどごらんを願いたいと考えておるのでありますが、今回で第四回目の総会が開かれるようになつております。WHOと申しますのは、世界中の国が寄つて保健衞生の面において協力をして、人類の福祉貢献をしようということをねらいといたしておるのであります。終戦以来私ども厚生省日本政府といたしましても深い関心を持ちまして、第一回のジエネヴアにおけるところの総会以来、毎回いろいろな形において代表を送つて、陰ながらこれに協力参加をして来ておつたのであります。すなわち第一回のジエネヴアにおきまする会合には司令部代表テクニカル・アドヴアイザーとして東医務局長出席せられました。第二回のローマにおきまする会合には、時の公衆衞生局防疫課長であられ、今日の公衆衞課長であられます山口課長がやはりテクニカル・アドヴアイザーとなり御出席なつておられます。第三回、昨年は司令部の方からはだれも出席いたしませんで、特に日本人側だけで行つてみるというような意向に基きまして時の三木公衆衞生局長が単独で出席をいたしているようなわけであります。今回は第四回にあたりまして、しかも幸いにして司令部当局の好意あるはからいによりまして、講和前であるけれども、この機関に正式に加入のできるような下準備整つたから、正式に申し込んでみろという御趣旨従つて正式に加入を申し込んで、幸いにして加入を議案として受付けていただくようは状態になつたのであります。これにつきましては、さらに総会の決議をまたなければなりませんけれども、私どもの希望といたしますところ、また多分そうであろうと考えておりますところは、過半数の賛成を得て正式に、国際政治的な分野における国際間の復帰を前にして、保健衞生の面におけるところの国際間の仲間入りが実現するのではないかと、たいへん楽しみにいたしているようなわけであります。簡単に申し上げまると、WHOと申しますのは保健衞生の面においての世界協力をするという団体、当然世界福祉貢献せんとする平和日本加入すべき事柄であると思う。この特に特質といたしますところは、正式に加入することによりまして、世界中疾病病気状況などの情報が、きわめて迅速に私ども手元に通達を受けるのであります。世界中のどこでもつてどんな病気が起つているか、それがどんなぐあいに広まつているかというようなことが東洋のここにおりながら、いながらにして世界の様子がわかつて来る。特にそれは伝染病などの場合におきましては、非常に私どもに益するところがあると思うのであります。インフルエンザであるとか、その他いろいろな伝染病の場合に、その情報に基きまして、われわれ国民保健衞生をつかさどつております者が確固とした方式を立て、あるいはまたそれに必要であるところの医薬品の生産準備もすることができるということで、真に国民福祉貢献をする有力な衞生行政を進展せしめることができると考えているような次第であります。また万一、非常に大きな疾病あるいは不慮の災難のためによるところの混乱に基いての、衞生上の混乱というような場合におきましては、私どもの要請に基きまして、将来加盟いたしますならば、このWHOからもいろいろな援助が与えられるというような場合もありますので、この点もたいへんありがたいことだと考えておるような次第であります。さらにまた後進国技術援助というようなことも入つておりまして、われわれが加盟いたしますならば、少くとも東洋においては、われわれは進んだ技術人々を持つておるのでありまして、進んでわれわれの中から、そういう人々をこれらの後進国に送つて技術援助をすることができる。これらのことは、一方においてはそういう国の人々を助けると同時に、われわれといたしましても非常に名譽なことであり、また、そういう面の專門家に大きな励みを与えるということにもなりはしないかと考えておりまして、いろいろな面からこれに加入いたしますことがきわめて適切であり、またわが国といたしましても大きな利益となるのではないかと考えておるのであります。もちろん加盟をいたしますと、負担金の責任を負わなければならないのであります。この点につきましては、いずれ正式に加盟承認を受けました後に、世界保健機関事務当局と折衝をいたすわけでありますが、ただいままでの国際連合のいろいろな機関のしきたりによりますと、大体国民所得を勘考して算定するようになつておるのでありまして、われわれの見当といたしましては、一年間約四千三百万円程度のものではないかと考えております。これもまた正式に決定した後において、はつきりと固めて参らなければならないと思つておるのであります。  以上をもちまして、はなはだ簡単でございますが、一通りの御説明を終ります。     —————————————
  4. 松永佛骨

    松永委員長 次に結核予防法案を議題とし、前回に引続き質疑を通告順に許します。丸山委員
  5. 丸山直友

    丸山委員 少しきようは逐條的に、そうしてこまかいことをお伺いしたいと思います。前回大体十二條までの部分に対してはこまかい点を多少伺つたのでございますから、十三條からひとつ伺いたいと思います。  この十三條に規定せられております「予防接種を行わなければならない。」この予防接種を行う対象の数というようなものは先般承つたわけでありますが、現在この予防接種を行いますのに必要なBCG生産の現状はどんなふうであるか、将来の見通しはどうであるか、これに対して十分に供給し得るかどうか。またBCGの品質はよろしいかどうか。そうして今の生産機構はどんなふうにしてやつていらつしやるかということを承りたいと思います。なおあわせましてツベルクリンについてもひとつ承りたいと思います。
  6. 山口正義

    山口(正)政府委員 お尋ねツベルクリン生産予定量は、大体四千万人分の見通しでございます。BCGの方は大体三千二百万人分の生産予定でございます。なおツベルクリン並びにBCG力価その他の基準につきましては、薬務局の方におきまして判定いたしました最低基準に基きまして、過誤のないようにしてもらつております。
  7. 丸山直友

    丸山委員 生産機構は、どんなふうになつておりますか。
  8. 山口正義

    山口(正)政府委員 BCG生産は現在結核予防会製造所において実施いたしまして、それを予防衛生研究所におきまして最低基準に従いまして検定を実施いたしております。ツベルクリンの方は自由生産でございまして、これは生産されましたものを同じく予防衞研究所において検定をいたしまして、販売するという建前をとつております。ただツベルクリンの方の製造業者の名前は、ただいま手元に持ち合しておりませんので、これは薬務局の方に問い合して、また後刻申し上げたいと思います。
  9. 丸山直友

    丸山委員 BCG結核予防会のみでつくつておられるということでありますが、これは一つ法人で、民間の団体だと思いますが、これを政府でおつくりなつておらぬのは、何か理由があつてつくりなつておらぬのでしようか。  それから予研検査をなさる、これは非常に壽命の短かい製品でありますが、予研検査能力関係上、非常にそこで時間をとつて予研を通過してから後の使用期間が、非常に短か過ぎるということを聞いておりますが、現在の予研検査能力はどうなつておりますか。これは今後非常に増加されると思いますが、それに対応して検査して行けるだけの能力を発揮できるかどうかということを、ひとつ承りたいと思います。
  10. 山口正義

    山口(正)政府委員 細菌製剤ツベルクリンBCGだけではございませんで、細菌製剤はきわめて特殊なものを除きましては、法人その他一般の製造業者に製造させまして、それを予防衞研究所において検定をするという建前をとつております。ただ特殊なペスト・ワクチンのようなものは、予防衞研究所において製造いたしております。なおツベルクリンBCG、特にBCG検定能力でございますが、御指摘通り今まで検定能力がややもすれば不十分であつた検定が遅れがちになりましたために、いろいろ迷惑をかけたという声も聞いておりますので、本法に基きまして大々的にBCG接種をいたしますのにつきまして、その検定に遺漏のないように準備を整えております。
  11. 丸山直友

    丸山委員 今までずいぶんここに隘路があつたように聞いておりますから、十分に御用意が願いたいと思います。同じく十三條の三は、三十歳未満の者の定期的の健康診断であるのでございますが、同時に予防接種のことが書いてあります。この定期健康診断というものは、第四條に一括して出ておる方が非常にすつきりするように思うのでございますが、そういうふうなお取扱いはお考えにならなかつたのでありましようか。
  12. 山口正義

    山口(正)政府委員 十三條の三は、定期健康診断をやりましたものは、すぐそれに引続いて予防接種をいたしますが、定期健康診断対象者以外の者で、三十歳未満の者に予防接種を実施するということでございまして、これは定期健康診断をはずれた者に対する規定なのでございます。
  13. 丸山直友

    丸山委員 はずれた者とおつしやいますと、こういう者に対しては定期健康診断を行わないという意味なのでございましようか、こういう者もやはり定期的に検査をして、定期的に予防注射をやるということではないのですか。
  14. 山口正義

    山口(正)政府委員 丸山委員お尋ねは、予防接種を実施いたします際に、ツベルクリン反応検査をいたしますので、それで定期健康診断の方へ入れればいいのではないかというお尋ねかと存じますが、この十三條の三に規定いたしておりますのは、第四條で規定いたしました普通の定期健康診断は実施いたしませんので、その漏れた者に対して予防接種を実施する、但しそのときにはツベルクリン反応検査だけを実施して、それに続いて予防接種をする、そういう建前にあるのであります。
  15. 丸山直友

    丸山委員 そういたしますと、定期健康診断を受けた者は、再び定期健康診断のときに、ツベルクリン反応検査規定してございます。また同時に予防注射をするときに、もう一度ツベルクリン検査をしなければならぬというのでありますから、二回のツベルクリン検査を受けるわけであります。しかるにこの者についてはツベルクリン検査は一回だけ行われるということになります。ツベルクリン反応検査というものが、絶対に誤りないものならばけつこうだけれども相当誤差がある。その誤差のあるものに対してBCG注射いたしますことに対しては、かなり愼重な態度をとらなければならないものであります。従つて私は漏れた者もやはり定期健康診断のごとく、ツベルクリン反応検査は二回行うのが正当ではないか、かように考えて申し上げたのであります。
  16. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘定期健康診断に引続きまして、予防接種をいたします場合には、やはりツベルクリン反応検査は、定期健康診断のときに実施いたしましたそれ一回だけなのでありまして、それは二回いたさない建前なつております。定期健康診断ツベルクリン反応検査をいたしまして、それに引続いてすぐ予防接種を実施する、そういう建前なつております。
  17. 丸山直友

    丸山委員 ちよつとおかしいのでございます。十三條の二項には「健康診断を受けたものと見なされた者」これは定期健康診断と同じわけでありますね。すなわちツベルクリン検査を一度受けておる者に対して「ツベルクリン反応陰性又は疑陽性であつた者に対して、すみやかに、期日又は期間を指定してツベルクリン反応検査を行い、」とあるから、当然二度になります。この場合のことであります。
  18. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の第二項は、これは八條にございますように、他で受けた健康診断該当者でございまして、定められた期間前三箇月以内に受けておればいいのでございます。三箇月以内に、たとえば二箇月前に受けまして、そのときに陰性でございましても、先ほど丸山委員の御指摘のように、またそれが陽性に転化する場合もございますので、第八條の場合には三箇月以内すなわち二箇月ぐらい前に実施いたしました定期健康診断の部面では、それでもう二度繰返さなくていいことになつておりますが、ツベルクリン反応だけは、二箇月たちますとまた陽性に転化する場合もございますので、あらためて再検査するというのが第二項でございます。私先ほど御答辯申し上げましたのは、第一項でなしに、全体的に普通実施いたします場合、第二項の場合でないことを考えて、御答辯申し上げましたので、その間に私の言葉の間違いがございましたことを、この際おわび申し上げておきますが、先ほど御答辯申し上げましたのは、第八條のような場合ではない、普通学校工場等集団健康診断をいたしまして、それに引続いて予防接種をいたします場合には、その際の健康診断ツベルクリン反応の結果をただちに利用して、再びツベルクリン反応を繰返さずに、予防接種を実施する、そういう意味でございます。
  19. 丸山直友

    丸山委員 今の御答弁ではつきりわかりましたが、問題は一回の検査でいいか悪いかということが、そこに残るのでございます。それが一つ。  もう一つ定期健康診断をやりましても、そのあとすぐ短かい期間で、ただちにBCG注射ができるように、現在の保健所の機構その他でととのうかどうか、あるいは定期健康診断予防注射まで、相当期間を必要とするようなことがありはせぬかということも考えられますので、ツベルクリン検査を慎重にする意味において、あらゆる者が二回行われるように直される御意思はないのでございましようか。
  20. 山口正義

    山口(正)政府委員 ツベルクリン反応を一回でいいか二回でいいかという面につきましては、従来各方面の学者その他の方々の御意見を伺いまして、一回やつてすぐ続いてやる場合には、一回やつただけでさしつかえないというお話でございますので、その方法によつて実施したいと存じておりますが、但し今丸山委員の御指摘のございましたように、いろいろな都合でただちに実施できないというふうなときには、再び繰返して再検査を実施いたす必要があると存じますので、その点につきましては、本法の第十五條に、二週間を越えるような場合には再び検査するという建前で行きたいと存じております。
  21. 丸山直友

    丸山委員 まだどうも釈然としない点もございますが、それで一応打切りまして、ツベルクリン検査を私ども地方で見ておりますと、定期健康疹断ツベルクリン反応が非常に強陽性に出る者がありまして、水泡を生じましたり、あとに潰瘍の残つたりするとひどい者がある。そういう者は結核に感染していることは明瞭なものでありますから、その次の年には当然ツベルクリン検査はやらなくてもいいわけです。しかしそういうことがその次に引継ぎがないものと見えまして、毎年やられて、いつも水痘を生じて苦しんでおる者を見るのであります。感染しておると認められた者の除外は規定せられておりますけれども、実際にはそれが行われておるのでありますが、定期健康疹断の場合に、簡単な検査証のようなものを与えて、明瞭に陽性であるというような者には、再び繰返さなくても済むようにすれば、資材の節約にもなり、人件費節約にもなるのでありますから、検査証ぐらいなことは簡単なことでありますが、そういうようなことをおやりになるお考えはありませんか。
  22. 山口正義

    山口(正)政府委員 検査証本人に渡しまして、それを翌年の定期健康疹断の場合に利用するという御趣旨かと存じますが、そういう方法考えられるのでございますが、ともすればそういう個人に渡します検査証は紛失する場合もございますので、私の方といたしましては、予防接種につきましては個人票整備いたしまして、その個人票にその年の結果を記入いたしまして、ただいま御指摘のように、翌年再び繰返してやるということのないように、実施して行きたいと存じます。ただこの個人票整備につきましては、ふなれな点もございまして、現在のところ十分なまでには行つておりません。今後この個人票整備につきましては、その正確を期しますように、十分努力して行くつもりでおります。
  23. 丸山直友

    丸山委員 第十四條に「結核予防上特に必要があると認めるときは、第五條各号に掲げる者について、それを受けるべき者及びその期日を指定して、ツベルクリン反応検査を行い、」ということがここにあるのでありますが、特に必要がある場合におきましては、これは念のために二回行うということになるのでございましようか。
  24. 山口正義

    山口(正)政府委員 この場合は特に必要あるものにつきましては、二回実施することになります。
  25. 丸山直友

    丸山委員 それから第十七條の2でございますが「前項の規定は、その受けたツベルクリン反応検査又は予防接種が、それぞれ第二十一條の規定に基く省令で定める技術的基準に適合するものである場合に限つて、適用する。」こういうふうなことがありますが、技術的基準に適合したものであるかいなかという判定は、どこでなさるのでございましようか。証明書を見ただけでは、ちよつとむずかしいと考えるのでございますが……。
  26. 山口正義

    山口(正)政府委員 証明書の様式は省令で定めたいと存じておりますが、その証明書によつて技術的基準に適合しているかどうかわかるようにさせたいと思つております。
  27. 丸山直友

    丸山委員 次に十八條、やむを得ざる場合の延期の條項でございますが、延期せられた場合の実施義務者は、当然十三條の規定通りと同様に考えるのでございますが、その通りでございましようか。
  28. 山口正義

    山口(正)政府委員 この場合は本人義務を課しておるのでございます。
  29. 丸山直友

    丸山委員 本人義務があるとしますると、それは普通の開業医等でやつてもらうということになるわけでございますか。
  30. 山口正義

    山口(正)政府委員 御説の通りでございます。
  31. 丸山直友

    丸山委員 二十二條、これは届出義務規定してあるのであります。従来届出が非常に不完全になつておつたということは、先般申し上げた通りであります。ところが不完全であると同時に、重複もあるのでございます。つまり結核という病気は非常に長期にわたりますので、同一医師でなく、方方を渡り歩くということが相当にあるのであります。同一患者が数回届出をしておる。今度はカードをおつくりになるので台帳が整備すればけつこうであると考えるのでありますが、ただこの場合に罰則規定がございまするから、念のために伺いたいのでありますが、同一病院で科が異なる、内科で一度診察を受け、外科でも診察を受けた場合に、その患者に対しては、内科の主任たる医師届出をせなければならないし、外科医師届出をせなければならぬ義務があるのかどうか、それを伺いたいと思います。
  32. 山口正義

    山口(正)政府委員 医師が診断した場合というふうになつてございますので、法律の建前から申しますと、やはり両方に義務があるように解釈されると思います。
  33. 丸山直友

    丸山委員 診療目的以外の場合の結核の発見は、やはり届け出なければなりませんでしようか。例を引きましよう。内科医者結核を見て届け出るのは当然であります。しかし内科でないほかのたとえば、できものならできものができたということで外科病院へ来た。偶然その外科医者結核があるらしいなというふうに発見した。しかしそれは診療目的ではない、それを見てもらうためにその患者は来たのではない。できものを見てもらうために来たのである。そういうような場合には、その外科医者に対しては、結核届出義務が生じまするか、いかがでございましようか。
  34. 山口正義

    山口(正)政府委員 医者患者を見られて結核らしいという程度の場合ならば、義務はないかと存じますが、はつきり結核患者であると診断されました場合には、やはり届出義務があると存じます。
  35. 丸山直友

    丸山委員 なおもう一応伺いたいのであります。これはなかなかめんどうなのでありますが、胸郭成形術をやつて、たとえばそこに多少のフイステルのようなものが残つておる、それでフイステルだけのための治療で近くの外科医者のところへ行つた胸郭成形術をやつたから、当然結核があるであろうということは想像できるのであります。しかし診察はしておらぬ、フイステルだけを見ている、こういうような場合には、やはり届出義務があるのでございましようか。
  36. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘のような場合には、ないと存じます。
  37. 丸山直友

    丸山委員 生命保険診査員生命保険診査をしたときに発見しても、やはり届け出なければなりませんでしようか。
  38. 山口正義

    山口(正)政府委員 診査をされまして、結核診査されました場合には、届出義務があると存じます。
  39. 丸山直友

    丸山委員 まだいろいろこまかい場面があると存じますが、大体の常識的のことだけお伺いしておきます。第二十六條医師は、結核患者診療したときはこれこれに対して伝染防止に必要な事項を指示しなければならない。これも罰則を伴うのでありますが、この診療したときというと、きよう診療したから伝染防止に関する必要な事項をきよう指示しなければならない、これはわかります。あさつてまたその患者が来る、そのときも診療いたします。そうするとまたあさつても指示しなければならぬ、またその翌日診療したからまたその指示をしなければならぬ。こういうような意味に解釈すべきものでございましようか。法文から考えるとそういうふうにとれるのですが。
  40. 山口正義

    山口(正)政府委員 診療いたしまする全体を一つと見ますれば、長くかかるような場合につきましては全体的な指示をし、必要に応じてまた新しく別の指示をしなければならないというときに指示をされればよい、そういうふうに解釈をいたします。診療全体を一つの大きなものと考えまして、指示をされるようにということを規定いたしております。
  41. 丸山直友

    丸山委員 私は実はこの文句は「診断したとき」のミス・プリントでないかと考えておるのであります。「診療したとき」でございますと、治療が伴わなければ伝染防止に関する指示をする必要はございません、そこで診察だけの場合には伝染防止の指示をする必要はないという御趣旨で、診療という字をお使いになつたのでございましようか。
  42. 山口正義

    山口(正)政府委員 診療診察治療の意味でございます。どちらか一方の場合でも診療の中に含まれる、そういうふうに考えております。
  43. 丸山直友

    丸山委員 その点法律の文章といたしましては、これは非常に不明確な文字でございます。それを明確にせられる方を私は望むのでございます。これは罰則を伴つておりますから私は申し上げるのでございます。何かひとつそういうふうなことの御考慮を願いたい。あるいはただいまこの法律を修正することが非常に困難であるならば、通牒でもけつこうでございますから、その点を明確にしていただきたいということであります。その次に二十七條であります。二十六條は、伝染の危険のない者であつても、いやしくも結核患者である場合には全部適用になつております。二十七條は結核を伝染させるおそれがある患者限つて條項であります。いやしくも結核患者であるならば、全部それに対して伝染防止に必要な事項を、指示させるという法の趣旨を普及徹底させるということであるならば、やはり死体についても、伝染させるおそれのある患者の死体でなくても、結核患者の死体であれば、私はやはりこの義務を課すべきものであると考えますが、二十七條にはなぜ特に伝染させるおそれのある患者に限つたのであるかということをひとつお聞かせを願いたい。
  44. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほどの第二十六條の診療の点につきましては、実施をいたします場合に、御指摘のような過誤の起らないように、十分注意して参りたいと存じます。それから二十七條と二十六條の差の御指摘でございますが、これは罰則を伴う義務を課しますので、できるだけ範囲を限定して行つた方がいいと考えたのでございます。二十六條の方は患者が生存しておりますので、いつ菌を排出するようになるかもわからないということも考えられますので、広くとつたのでございます。二十七條の方は先ほど申し上げましたような趣旨で狭くとつたのでございます。
  45. 丸山直友

    丸山委員 御趣旨はわかりました。これは死体でございますから、その患者を前から診療しておつたときには、もう生きておるときにすでに指示してありますから、診療しておる医者がその死体を死亡診断したときでございますから、非常にそれは適当しておるのでございます。しかし死体を検案したときには、解剖でもしない限りなかなか結核を伝染させるおそれがあつたのかなかつたのかということまでわかりません。事実この條項が行われずにしまうのではないか、こういうような逃げ道も場合によつてはあるのじやないかということを心配して伺つたのであります。しかし死体でございますから、その方々にまき散らす危険もないのでございますから、この程度でも承認できないこともないように考えられます。ただしこういうことをひとつ考え願いたいのであります。前からずつと続いて診療しておつた場合にはいいのでありますが、ある一人の患者を見ておつた医者でない人が、病人がまさに今瀕死の状態になつた、死戦期の状態になつたときに、あわててその主治医を呼んでも来ないという場合に、近所の医者を呼んだ、つまり第二の医者は前から見ておらないで、死戦期の患者を見た、こういうことでございます、そういう場合においては二回伝染防止に関する指示をしなければならぬわけになります。その第二の医者は生きておるときにも一度やる、また死亡診断したときにもやる、これを二回わけて行わなければならぬ義務を生ずるように考えられますが、さようでございましようか。
  46. 山口正義

    山口(正)政府委員 二十六條、二十七條とわけて考えますと、そういうふうに二回というふうに考えられますが、指示の内容が同一であれば、実際問題としては一回指示していただけばその目的を達し得ると考えます。
  47. 丸山直友

    丸山委員 そういうつまらないことをなぜ念を押してお伺いしておるかというと、実はこういうことがあるのであります。医者というものは罰則を伴いまする法律に対しましては、法律の解釈によつてはいつでも処罰できる状態になつておる。これが単純な場合ならよろしいのでありますが、古い時代の例を申し上げます。東京の本所の方で、ある医者が区会議員に立候補いたしたのであります。それを反対の人たちが、その人が強過ぎるので、それを陷れるために医師法違反で訴えまして、それを勾留したのであります。そういう事実があつたのであります。それはどういうことであつたかというと、こういうつまらない條項を、二回やるべきものを一回しかやつていなかつたじやないかということで、そういうことが行われた。その当時でありますから、この條文ではありませんが、そういうふうに解釈のしかたによつて、当然これは法律から見ると二回いたさなければならぬことになるのでありますが、それを一回しかやらなかつた。二回やつた証拠はどこにあるかということで、それを勾留して、選挙最中に引つばつたという事例があります。そういう意味から特に罰則を伴う法律に対しては、くどくお伺いしておるのであります。この点は明瞭にしておいていただきたいということを、特にお願い申し上げておきます。  それから第二十八條、これは従業の禁止の條項でありますが、この従業という言葉であります。従業という言葉は実は近ごろの労働基準法及び労働者災害補償保険法においては、従業の禁止という言葉は用いておりません。就業という言葉が用いてあるのであります。「危険、有害の業務に就業し」と、すべて就業という言葉が使つてあります。ここには従業の禁止という言葉が使つてあるのであります。その従業の禁止というと、その職を解く、解雇するという意味が含んでおると考えられるのであります。法律の趣旨はそういうものではない。ある一定の期間を定めて、仕事に従事するというようなわけでありますので、従業という言葉が使つてあると思いますが、それを就業という言葉におかえになるお心持はございませんか。これは法律の用語がまちまちになつておるということは、私どもとしては非常にわずらわしいのであります。また誤解を生ずる危険もあるのであります。近ごろの新しい言葉には労働基準法においては雇用するとか、雇入れるとか、使用するという言葉が使つてあるのでございます。就職と就業という言葉は使いわけてあつて、従業という言葉は現われておりません。特に業務につくとか、やめるということを、本来の目的としておるところの労働立法においては、従業という言葉は使われておらないのであります。そういう意味におきましてその方へ一致させる意味において、業務を離れてしまうということの意味を含む危険なる従業という言葉は、おかえになる御意思はございませんでしようか。
  48. 山口正義

    山口(正)政府委員 従業につきまして、御指摘通り労働基準法では「就業」という字を使つております。私ども本法に「従業」という字を使いましたのは、本文の中にもございますように、業務に従事するという意味でございます。意味は就業とまつたく同じ意味に使つているのでございます。また旧法におきましても「従業」という字を使つておりましたので、それをそのままここへ使つたわけでございます。御指摘のように、労働基準法と字句の差はあるのでございますが、意味はまつたく同じでございますので、今後その従業、就業の意味が全然同じである、聞違いを起さないというように指導して行きたいと思つております。
  49. 丸山直友

    丸山委員 これはGSの方へお出しになつた文章などに関係のないことであつて、これは就業と、ミスプリントとしてお直しになる方がいいのじやないかと私は思うのでございます。実は昭和二十二年度に制定された労働基準法の古いものを見ますと、従業という言葉を使つており、従事ということは職につくということであつて、就業とは違う意味に用いた実例があるのであります。しかもその後の労働立法において、従業という言葉、あるいは従事するという言葉はすべて削除してございます。そういう事実がございますから、これは労働立法にそうなつておるのでありますから、そこであまりこだわらずに、従業、従事という言葉も何とか他の言葉に——これはGSの方に関係なく、私はミスプリントとしてできることではないかと思いますので、かえたらいかがかと思うのであります。一応御相談申し上げます。
  50. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の点少し研究さしていただきたいと存じます。
  51. 丸山直友

    丸山委員 二十九條に「結核患者がその同居者に結核を伝染させるおそれがある場合」というのがございますが、伝染させるおそれがあると認定する機関は、どういう機関が認定するのでありましようか、またその認定する條件は、どういうことをもつて條件とするのでありますか。
  52. 山口正義

    山口(正)政府委員 認定いたします機関は、都道府県知事になつておりますので、実際問題といたしましては、保健所長になると存じます。また條件は大体常に菌を排出しているというような者をこれの対象にいたしたい、そういうふうに考えております。しかも同居者が多数におりまして、菌を常に排出しておつて、他に伝染させるおそれがあるというような場合を考えております。
  53. 丸山直友

    丸山委員 そういう場合に、「期間を定めて」とありますが、これはこの前松谷委員が御質問になつたときに、六箇月を一区切りにするという御答弁があつたように思います。この六箇月を一区切りにするという意味は、これは伝染防止に関する目的の法律でございますから、伝染の危険がなくなるまでというふうな意味期間でございましようか。あるいは病気が治癒するというようなことを目標としての期間でございましようか、あるいは予算上の措置としての便宜上の期間でございましようか、それをひとつ承りたい。
  54. 山口正義

    山口(正)政府委員 目的伝染防止でございますので、他に伝染させるおそれがあれば、さらに六箇月延長しなければならないと存じます。また六箇月以内に他に伝染させるおそれがなくなれば、早目にその制限を解くということも考えられるのでございます。
  55. 丸山直友

    丸山委員 これは実際問題としてなかなかむずかしい問題が起つて来ると思います。これはつまり命令入所でございますから、その入れられる場所は療養所等が相当の重点を占めるものでないか、かように考えます。現在の療養所に入つております患者は、なかなかペツドの回転等に関して強い反対をしておつて、退所するような命令には服従しない現実があるのであります。ただいまのお話でございますと、この強制的命令入所の患者は、他に伝染する危険がなくなれば、それでもう出すのだ、こうおつしやいますが、そのときにおいてはまだ病気は直つておらぬのであります。直つておらないけれども、他に伝染させる危険がない程度にまで来た場合に、それを退所させようといたしましても、事実その者は退所をがえんじないという場合が相当出て来るのではないか、そういうふうに考えるのであります。そういう場合の処理に対して何らかのお考えがあるのでありましようか。
  56. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘のような場合は入所の義務がなくなるだけでございまして、強制退所をさせるという趣旨ではございません。
  57. 丸山直友

    丸山委員 強制退所させるという趣旨ではないとおつしやいましたので、それは他のことと関連がありますので、他の機会にまた再びお話を進めたいと考えます。  第三十條の費用負担でございまするが、最初の部分の、患者、保護者、管理者、その代理という者に消毒を命ずる、そうすると当然その命ぜられたその者が行い、費用はその者が負担するということになり、またそうでない場合、当該職員に処置をとらせる場合には、その当該職員がとつた処置に対しては、県がそれを負担する、こういう考え方だと思いますが、そういう区別は大体どういうふうにしてお立てになるのでありましようか。
  58. 山口正義

    山口(正)政府委員 その措置をとる能力がある者に対しましては、措置をとることを命じますし、能力のない者に対しましては、都道府県が費用を負担いたしまして、都道府県職員に実施させるようにして行きたいと思つております。
  59. 丸山直友

    丸山委員 能力のある者というお話でございますが、その能力がどのくらいであるかということを、あらかじめ承わつておきたいのであります。大体家屋の消毒にはいかなる方法を用いられるか、費用の概算はどのくらいかかるものであつて、たとえば家屋であるならば、一立坪についてどのくらいのものがかかるのであるかという見通し、それに従わない者には罰則がございますが、処罰してもなおこれが行わなかつた場合においては、その消毒はだれが代行するのでございましようか、やらないうちは何べんでも罰するという処置をとられるのでありましようか、いかがでございましようか。
  60. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御質問の消毒の費用その他につきまして、ただいまここにこまかい資料を持たないので、ただちに御返答申し上げられません。次回に御答弁申し上げたいと思います。
  61. 丸山直友

    丸山委員 同じく三十一條の、衣類の消毒でございますが、これもやはりどういう方法で、どのぐらいの費用であるということを、あわせてお調べ願いたいと思います。  それから、その衣類の消毒の、燒却するような場合において、損失の補償をする規定がございますが、この補償をする場合に金額の決定をする機関は、どういう機関がするのでございましようか。
  62. 山口正義

    山口(正)政府委員 実際にあたりましては、評価員を指定しまして、その評価によつて損失補償といたしたいと存じております。
  63. 丸山直友

    丸山委員 その評価員の任命の方法でございますが、実際こういう場面は割合少いとは考えますけれども、その決定に不服があるというと六十日以内に裁判所に訴えろというような規定がございましても、その裁判費用の方がはるかによけいかかりまして、こんなものはあつてもなくてもいい條件なので、こういうようなものの評価員の決定によつて、この法の運用がうまく行くか行かないかということがきまるのであります。それに対する何らの規定がありません。これは省令でお出しになるものと考えますが、この点についてひとつ十分な御考慮が願いたいと考えるのであります。  次に三十四條、これは命令入院ではない入院であると考えます。しかしこの費用の負担をいたします場合においては、現在の病床数の状態、それから本年度の増床の見込み等から考えましても、また一方結核患者の実数から考えましても、任意に入院して、二分の一の負担を都道府県からしてもらえるという患者は、比較的少数にとどまるのではないか、かように考えるのであります。その場合に、入所することのできない非常にたくさんの、自宅において療養しておる患者に対しては、何らの特典というようなものが考えられておらないように考えるのでございますが、この点はいかがでございましようか。
  64. 山口正義

    山口(正)政府委員 原則として、入院患者について費用を負担する建前でございますが、しかし人工気胸のように、自宅におきまして通いながら治療を受けられるというものにつきましては、本法に基きまして費用を負担いたしたいと存じております。また外科手術は別でありますが、ストレプトマイシン、パスのようなものは、原則として入院しておる者と考えておりますが、例外的には、自宅におる者に対しても費用の負担を実施いたしたいと考えております。
  65. 丸山直友

    丸山委員 入院しておる者と入院しておらない者との間に相当の開きがあることは、これはもう間違いございません。従つて、指定病院、指定の診療所というものが、非常にたくさんの人を收容できる数があればけつこうなのでありますが、事実はさように参らぬと思います。この三十四條による自分の意思によつて入院する希望者というものが殺到するような——こういうりつぱな法律ができて、道が開ければ開けるほど、入所希望者が殺到すると考えるのでございますが、その辺に対して何らかのトラブルが起るということは、御懸念になりませんでしようか。
  66. 山口正義

    山口(正)政府委員 入所希望者が増加いたし、しかも病床の増加が、本年度におきましては大体一万七千程度でございますので、御指摘のようなことが起りはしないかということを、私ども懸念はいたしております。それにつきまして、優先入所順位をきめるというようなことも考えてみたのでございますが、実施上なかなかむずかしいではないかというようなことで、一応それはとりやめにしたのでありますが、現状におきましては、ある程度需要に対して供給が十分に参りませんので、その間にトラブルがないとも限らないと存じます。その点につきましては、できるだけそういうことの起らないように指導して行きたいと存じております。
  67. 丸山直友

    丸山委員 次に三十六條でございますが、これはこの前に一度お伺いいたしましたけれども、小川課長から訂正がございまして、その後はつきりした数字が出ておりませんですが、この診療所という言葉は病床数二十床以下のものを診療所と称するのでございます。国の診療所あるいはそれ以外の診療所、この診療所というもののベットの中で、結核に指定ができるであろうという数のお見通し——先般この指定の標準に対しては、松谷委員の御質問にお答えがあつたはずでございますが、それに適用する診療所のベット数はどのくらいあるかというお見通しは、まだついておりませんでしようか。
  68. 山口正義

    山口(正)政府委員 御質問の病床数は、まだ的確の数字をつかみ得ておりませんので、できるだけ早く調査いたしまして、御報告申し上げたいと存じております。
  69. 丸山直友

    丸山委員 その三十六條の三項の「省令で定めるところに従い都道府県知事の行う指導に従わなければならない。」こうなつておりますが、この指導というものの内容は、大体どういうふうなことが予想できるのでございましようか。つまり診療方針であると考えますが、診療方針は先般承りました医療の内容ということの中に人工気胸、胸郭成形術、ストレプトマイシンの注射、パスの内服というふうなことに相なつておるのでありますが、それの使い方の詳しいことを省令でおきめになる、こういうふうな意味なのでございましようか。
  70. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の三項の省令は、これはたとえば大学のような教育機関につきましては、その教育に支障のないように実施したい、そういうふうに考えておりますので、主としてこれは文部省関係との話合いで、この省令をきめて行きたい、そういうふうに考えております。
  71. 丸山直友

    丸山委員 その次に三十七條でございます。これは費用の負担のことでございますが、大体この結核予防法によりまして半額の負担をし、社会保険に加入しておる者に対しては、社会保険の規定によつてやるのが半額というふうに、費用を負担いたします場合に、健康保険法の四十三條の二によりますと、診察、薬剤の給付または診療所への收容等々一号から四号までの給付は、保険医及び保険薬剤師並びに保険者の指定する者のうち、自己の選定したる者につきこれを受ける、とこうあります。自己以外の選定したるものではなく、自分が選定したものについてこれを受ける。ところがこの結核予防法の三十四條の一項によりますと、県から費用の負担を受ける患者のうち、第二十九條によつて知事が入所を命じた者は、その第三者である知事が選定したところに入所しなければならぬ。すなわち健康保険法によりますと、給付は自己の選定したるところの治療を受けた場合にせられるのであるが、この法律では、第三者である知事が選定したところに入つたものである。従つて健康保険法における給付は、現物給付ではなくして療養費の給付で行われるという形になると考えるのであります。ところがここに一つの問題があるのであります。療養の給付をなすこと困難なりと認めた場合と、被保険者が緊急その他やむを得ざる場合だけ健康保険においては療養費給付を認められているのであつて、こういうふうな場合はまだ予想せられておらないのであります。そうしますと、給付の残りの半額は、健康保険法における療養費の給付よりも困難である場合が起ると考えますが、その点はいかがでありますか
  72. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の入所命令は、療養所に入れということを命令するのでありまして、その入りまする療養所は、患者自身が選定してさしつかえないことになつておりますので、御指摘の点支障は起らないと存ずるのであります。
  73. 丸山直友

    丸山委員 それは私が予想しておつたこととまつたく違うのでありまする入所命令を出される場合には、どこどこの療養所なら療養所、どこどこの診療所へ入れというふうに出るものと、私は考えておつたのであります自分がかつてに選べるということになれば入所命令はどこと出たけれども、自分がどこにべツドがあいているということを探して歩かなければならぬので、そこに非常な不便が起る。入所命令でどこどこの療養所なら療養所に入れというふうにするものと私は信じておつた。これは大部話が違いますが、間違いございませんでしようか。
  74. 山口正義

    山口(正)政府委員 入所命令を出します場合には、入所を命令いたしまして、どこどこがあいているということを教えてやることになりますから、その中でどこへ入るかということを選定し得る、あくまで自己が選定し得るという建前になると思うのであります。
  75. 丸山直友

    丸山委員 健保の規定で、一定の健康保険に限つた診療方針というものがあるのであります。この診療方針というものは、私どもから見ますと、一種の制限診療だと解しております。政府は制限診療ではないと言われますが、私は一種の制限診療であると考えております。ともかくも、保険経済を勘案した診療方針というものがきまつているわけであります。ところがこの結核予防法は、非常に進歩的なお考えでおつくりになりましたために、治療の万全なることを目的とせられておりまして、経済上の制限ということがどこにもうたつてないのであります。私は非常に進歩した法律だと考えておる。しかるに一方においては、健康保険はそういうふうな経済に制約を受けたるところの診療をやつておるのであります。従つて結核予防法における診療方針と、健康保険における診療方針というものには若干食い違いがあるのであります。そういう場合に——その半額は健康保険で出すのだ、半額はこの法律で出すのだという場合に、この半額に対する食い違いはどういうふうになるか。
  76. 山口正義

    山口(正)政府委員 本法で適切と認められる医療費につきまして、その半額を負担するのでございます。その残りの半分は、先般も申し上げた分と存じますが、健康保険の半分を社会保険の方でいかに給付して行きますかについては、社会保険法の規定従つてつてもらう、そういう建前でございます。
  77. 丸山直友

    丸山委員 さようにいたしますると、実際治療をしてもらつて、半額は結核予防法で出していただいたあとの半分は健康保険で出してもらえるものと信じて、自分は金を出さずに治療を受けられると思つてつたのにかかわらず、あにはからんやその診療方針が違つているから、健康保険の方はこれだけしかやらぬ。あとはお前自分で負担せいということが事実上起つて来ると思いますが、それでよろしゆうございますか。
  78. 山口正義

    山口(正)政府委員 現在考えておりますところでは、大体私どもの方と保険局の方と話合いをいたしまして、そういうことが起らないように進み得ると考えております。
  79. 丸山直友

    丸山委員 これは船員保険法においても同様でございます。また労働者災害保障法においても同様でございます、一々のことをみな調べておりまするが、わずらわしいから申しませんが、しからば三十七條の2の生活保護法の適用の場合をお考え願いたい。生活保護法の場合におきましては、ただいまの話とは全然違います、結核予防法におきましてはパスの内服を認めているが、生活保護法におきましてはパスの内服は認めておらないのでございます。そのおらないのが、経済上の理由によつて認めておられないのならば、金の裏づけができればこれはすぐ直すことができるのであります。しかるにそうでない。先だつて社会局長の木村さんの御答弁を読みます。「パスにつきましては、現在必ず効果がある、それからこれがなければだめだという、はつきりした点につきましての衞生関係方面からの御意見がございませんので」生活保護法は最低診療という点から給付をしないのであるというはつきりした御答弁があつた結核予防法においてはパスの内服を認めておる。そうすると、そのパスというものが安いものならよろしいが、一クール九千六百円だかかかる。その半額ですから四千八百円ぐらいになりましよう。その四千八百円は当然生活保護法で出してもらえると思つた生活困窮者が、生活保護法では給付は認めぬのだということになると、だれが一体負担するのですか。
  80. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 パスの使用につきましては、先般衞生当局の方からはつきりした証明書をつけて答えております。先般これを保証するということを認めるようにいたした次第でございます。これは通牒しております。
  81. 丸山直友

    丸山委員 先般とおつしやいますと、いつでございましようか。
  82. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 一週間か十日ぐらい前だと思います。
  83. 丸山直友

    丸山委員 私があなたからお伺いいたしまして、衞生関係方面でパスというものに対してはきくという意見がないという御答弁があつたのは、二月の二十二日でございました。その後一箇月たたないうちに、衞生関係方面からは効力があるというような意見が出ておる。私は多分そう御答弁になるだろうと予期しておつた。それではこの前の答弁というものは非常に不誠意だと私は考える。私はそのときに、パスというものの効力につきまして、医学的の討論をここですることは本員の目的でないと思うので、衞生関係方面の意見がないということに対しても、意見にわたるからやめるということを申し上げたのです。パスというものの位置がはたしてどのくらいにあるかということくらいは知らないわけではありますまい。しかし二月二十二日の当時においては、木村局長は、パスというものの効力があるという意見はないのだから、これは生活保護法においては使わないのだとおつしやつた。しかも最低医療ということからいうと、これを使うことが妥当でないというような御答弁があつた。それが日ならずしてそういうふうに豹変せられた。これは私はすこぶる奇怪だと思う。その点に対してどうお考えになりますか。
  84. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 私の方はその方面の技術を持つておらないのでありますから、衞生方面におきまして正式なる資料をお出し願いまして、その資料が整つておりますれば、ただちにそれに対する手続をいたすわけであります。先般お答えいたしましたときには、その手続が済んでおりませんから、そういうふうにお答えいたしました。その後そういう手続がいたされましたので、そういう御答弁をしたのであります。
  85. 丸山直友

    丸山委員 私は社会局長の頭を疑います。結核予防法が起案せられましたのは、二月二十二日よりはるかに前のことであります。起案せられたときは、公衆衞生局においてはパスは認めて結核予防法の中に入れようという企画を進めておられ、そのときに社会局では、まだ衞生方面だとかなんとか言うておられた。実はそういうのはただの詭弁であつて、これは財政的の裏づけを考えてからやられたものだと私は考えております。あえてこれ以上追究いたしませんが、御答弁というものはもう少し誠意を持つていただきたいということをお願いするものであります。  その次に四十一條の三項、この医療費をあとでやる場合でございまするが、「それが必要であつたと認められる」というのは、どういう機関が認めるわけでございましようか、何か調査をするのでしようか。
  86. 山口正義

    山口(正)政府委員 認めますのは都道府県でございます。従いましてこういう急迫時の特例の場合には、あとで診査協議会を通すという予定でございます。
  87. 丸山直友

    丸山委員 四十八條を拝見いたしますると、診査協議会の任務は、三十四條の一項の申請に関することに限つてある。四十一條の三項のことは、これを審議するということが認められておらない。これは脱漏でございましようか。
  88. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の点は四十一條の二項に、「第三十四條第二項及び第三項までの規定は、前項の申請に準用する。」という規定がございますので、その規定によりまして、診査協議会に一応諮るということになると思います。なお三十四條二項、三項は申請の手続規定でございます。
  89. 丸山直友

    丸山委員 逐條的なこまかい質問は、大体これでよろしいかと思います。この次の機会を得まして、全体的のもう少し広い観点からの運用の面に関して申し上げたいと考えます。私一人だけであまりに時間をとり過ぎても、他の委員にはなはだ申訳ございませんので、本日はこの程度で終ります。
  90. 松永佛骨

    松永委員長 井之口委員
  91. 井之口政雄

    ○井之口委員 ただいま逐條的な御質問で非常に参考になりましたが、私は大体この法案の全般的な点について、一応御質問申し上げたいと思つております。  この法案を見ますと、結核患者を調べて、そうしてこれに入院その他の強制的な手段をとられ、それにそむいた場合には罰するということで、結核患者に対する懲罰法的な感じを深くするのであります。しかるに結核というものは元来各人みな自分自身の病気でありますがゆえに、自分自身が進んで結核の治療を心がけておるので、それをただ隔離とかなんとかいうふうなことでは無理が行き、かえつてそのために非常に害があると思う。決定的に民主主義的な結核予防法を制定するのでありましたならば、こういう懲罰的な強制的な方法を用いぬでも、自発的に実施せられると、われわれは思うのであります。この法はわれわれとしては大体において懲罰的なふうに考えるのですが、政府としてはどういう建前から結核予防法をお出しになつたか、ちよつとその点を伺いたい。
  92. 山口正義

    山口(正)政府委員 結核のみならず、すべての疾病は御指摘通り国民が進んで予防を行うというようになるのが理想でございまして、今後衞生教育に重点を置いてわれわれの行政もやつて行かなければならぬと存じます。本法におきまして罰則が多過ぎるのではないかという御指摘かと存じますが、本法といえども決して懲罰を主眼として制定いたそうと存ずるのではございません。あくまでも一般国民の自発的な意思によつて結結が予防せられますように、その道しるべの意味本法の制定をお願いしたい、そういうふうに考えておるのでございます。従つて罰則規定いたしました條文も、特にその規定を守らなければ公共の福祉を害するというような場合に限定して、罰則をするという趣旨でございます。たとえば定期健康診断定期予防接種というような場合には、罰則はございません。予防上どうしても実施しなければならないというような、定期外の場合に罰則を付するという建前でございます。
  93. 井之口政雄

    ○井之口委員 もしそうだといたしますならば、もう少し法案の内容が民主主義的になつていなければならないように感ぜられるのであります。しかるにすぐ感ぜられますことは、患者にきらうことを強制するという形で法の上に現われておる。そこでこれは予算の関係とも密接な関係を持つものでありましようが、お尋ねしてみたいと思います。  第一番目に、この結核予防法案なるものが提出されましたその説明書には、結核対策の実体的な一元化がとられておるというふうにおつしやられております。しかるに私たちが常識的に考えてみましても、結核を根絶するためにはまず第一番に予防に対する規定がなければならぬ。次にもし予防ができなくて罹病した者に対しては、医療の方法規定されなければならぬ。しかしそれだけをもつてしては不十分である。一ぺん結核にかかつてそしてなおつた。そのなおつた後までもその患者の健康を見てやるということがない限り、この結核というものの根絶は不可能だ。また再発して来る。そして同じ道を行つたり来たりして、結局は重い病気なつて、これは社会に非常に害毒になる人間であるから、この人間だけは懲罰的に取除いてしまえというような方針になつて来るのではないかと思う。この法案には後の保護をするという規定一つも見当つていない。これをわれわれは非常に懸念するのでありますが、その点に対しては政府としては特別考慮を払われているりかどうか伺いたい。
  94. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の後保護の問題につきましては、私どもこれを後療養、それから後保護——広い意味の後保護の中には後療養と狭い意味の後保護が入つておるのでありますが、後療養は本法におきまして医療の面で取扱つて行きたいと存じております。後保護は社会福祉施設として、社会局の方にお願いして取扱つていただきたい、そういうふうに考えております。ただ先般も松谷委員から御質問がありましたのにお答えいたしましたが、結核対策審議会におきましては、これらの問題も取上げまして、国の結核対策としては後保護の面までも取上げて考えて行きたい、そういうふうに考えております。
  95. 井之口政雄

    ○井之口委員 その後保護を社会局の方にまかすということになりますと、そこにちぐはぐが出て来て、一元化もできなければ、一貫的な結核に対する治療もできないということになりはしませんか。もうこれでこつちの方は済んだのだ、あとは社会局の方だ。社会局は社会局で、非常にたくさんの不十分なる社会施設を、今日われわれは見るのでありますが、そういうことでなかなか患者のために、めんどうを見て行かれぬというふうなことになつて来て、あなたの方で見放された者が、社会局においてまたさらに見放されるということになつて、結局結核の治療というものが、仏つくつて魂入れずということになつて来やしないかと思うのでありますが、どうでございますか。
  96. 山口正義

    山口(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、本法規定されております結核対策審議会におきましては、一元的に後保護の問題を取上げ、実施の面におきましては、社会局長もここにおられますが、私ども連絡を十分保ちまして、御指摘のようなことの起らないようにやつて参りたいと考えております。
  97. 井之口政雄

    ○井之口委員 それでは審議会の問題についてはまたあとでお尋ねいたします  次にお尋ねしたいことは、これが強制検診を行うことになりますと、そのために労働者が集団的にいるところに対しまして強制検診が行われ、いろいろな反応によつて、この人間は結核だということが判定されますると、それが工場において馘首の原因になることが現実上あるわけであります。それに対してこの法案は何らの保障を与えていない。たとい軽い病気の人であつても、工場において結核だということが認定されますると、これは馘首の強い動幾になつて来るのであります。それに対して何らの保障が与えられておらないのですが、それに対して特別に何か今から追加しようとか、何らかの方法でしようというような意見はないのでありますか。
  98. 山口正義

    山口(正)政府委員 本法には健康診断に基いて馘首というような條項はございません。その点御懸念があるかとも思うのでありますが、本法におきましては従業の禁止あるいは入所命令というような規定だけでございまして、そういう強制措置の規定に対しましては、訴願の規定がございます。それからなお労働者の保護の点につきましては、別に労働基準法に基いて実施せられる、そういうふうに考えております。
  99. 井之口政雄

    ○井之口委員 労働基準法がほとんどあつてなきがごとき状態に事実ある。そういう状態の場合に、その上にまた強制的に検診して、公然と発表され、そしていろいろな注意を受けるということになれば、明らかにもう馘首を奨励するようなものなんです。事実上それが社会に起ると思うのです。それよりはこうした者は自分の名前を秘してでも、あるいは自分の自由意思により、費用もかからずにどんどんと政府に要求して、個人の資格において診療を受けるという道、診療を楽しむというふうな制度に持つて行くことが、結核一般を駆除すると同時に、また労働者に社会的な危害を与えずに済むと思うのでありますが、そういうようなことは法律制定上に考慮は払われなかつたのでありますか。
  100. 山口正義

    山口(正)政府委員 労働基準法との関係につきましては、労働基準法におきましても労働者の健康診断規定がございますので労働基準法と本法との調節をはかりますために、第四條の四項にもございますように、労働基準法で実施いたしました場合には、本法で行う健康診断をやつたものとみなすというような規定を設けまして、大体労働基準法で実施されました結果を尊重してやつて行きたい、そういうふうに考えております。
  101. 井之口政雄

    ○井之口委員 それならば、これを任意に、自由に労働者の要求に従つて検診するというふうな規定にする意思はないのでありますか。
  102. 山口正義

    山口(正)政府委員 任意に受けた健康診断も、本法に基いた健康診断とみなす——みなすと申しますか、第八條にございますように、進んで医師について健康診断を受けた場合も、本法定期健康診断あるいは定期健康診断とみなすというふうにいたしております。進んで健康診断を受けるということは、もちろん奨励するつもりでおります。
  103. 井之口政雄

    ○井之口委員 そういう場合に任意に受けた健康診断の費用は、やはり国家において負担するのでありますか。
  104. 山口正義

    山口(正)政府委員 任意に受けました場合の費用は、現在国家において負担しない建前なつております。
  105. 井之口政雄

    ○井之口委員 それを国家において負担しなければ、結局富裕な人たちが自分の自由意思によつて受けたところの健康診断くらいが、強制的な検診よけのまじないに使われるというくらいのものになつてしまつて、労働者全般としての自主的な検診ということは阻害されると思うのですが、これはぜひとも自分自身で進んで受けた健康診断に対しても、同一に国家の費用をもつて医師に支払うというような制度に改める考えはありませんか。
  106. 山口正義

    山口(正)政府委員 労働者につきましては実施着すなわち使用者の責任になつておりますので、使用者が費用を負担することになつております。また進んで一般の開業医その他で健康診断を受けるというときに、その人が費用の負担能力がないという場合には、この費用を負担するという建前なつております。
  107. 井之口政雄

    ○井之口委員 一般的な健康診断を聞いているわけではないので、結核予防法に規定するところの義務を果すために、自分自身で特定の医者に診断を頼む場合でありまして、その場合も雇い主がこの費用を負担するのでありますかどうですか。
  108. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘のような場合には事業主は負担いたしません。
  109. 井之口政雄

    ○井之口委員 そういう点がわれわれはこれに非常に不満を感ずる点なのでありますが、次にしからば今いろいろな国立の療養所その他の療養所において、政府が費用を負担しているような公共的な療養所におきまして、民主主義的な思想を一般に持ち、かつ共産党員であるというふうな患者に対して、非常に迫害が及んでおるのであります。とりわけ関西方面においてこれがひどい。共産党員であれば、もう死んでもよろしいから出て行けというふうなことをやつておる病院が多々あるのであります。先ほどあなたが仰せられましたが、たとい隔離する必要はなくなつても、強制的な退院はさせないというふうなことを言つておりましたが、これを責任を持つて言われますならば、こうした患者に対するところのレッド・パージというふうなものは起らないと思うのですが、それに対して政府は何らかの指令か何か出して、そういうことをしてはならぬというようなことを、一般の人に対してやつておられますかどうか。
  110. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまの御質問は、国立療養所のみに限つておるとは思いませんけれども、療養所のことをおつしやつておると思いますので、私からお答えいたします。国立療養所につきましては、それぞれ患者の入所規定等がございますが、この入所患者につきましては、その患者が療養所における療養の必要がないという状態になつたときに、そうしてなお患者は療養の必要がないとはつきり医師がこれを認め、もはや退所すべき時期であるということを指示するにかかわらず、退所をしないというときに、いわゆる強制命令あるいは強制退所と俗にいわれますが、患者にぜひ出て行つてもらいたいということを申渡す、さようなことになつております。この点は明らかにしておきますが、先ほどこの法律の中で伝染の危険がなくなつたときに、入所義務がなくなると言われましたのと、国立療養所において療養の必要がなくなつたときに退所させるというのとの間には、相当の開きがあるということを御了承願いたいのであります。従つてこれはただいまのお言葉にもありましたような、患者がいかなる種類の人であるかということが、過所の標準には絶対になつておりません。ただ療養の必要がなくなつておるか、なくなつていないかというところが問題になるのでありまして、私の方から指示いたしておりますのは、必要がなくなつたと医師が確実に認めた場合には退所をしていただく。その唯一の理由は、現在のように病床の少い場合は、これを有効に回転することによつて、新しい患者をなるべく早く入れ、そうして国の金をなるべく有効に使いたいという考えであります。従つてその他のことが退所をさせる理由になります場合は、病気以外のものとすれば、その人の療養態度が問題になり、あるいは療養中の行動が、療養者としてふさわしからずという場合には起りますが、今のような病勢による退所というのは、医療上療養の必要がなくなつたと認められた場合に限るのであります。
  111. 井之口政雄

    ○井之口委員 これがたとえば盲腸だとか、あるいは外科手術だとかいうふうな場合だつたら、非常に簡単にこれはもう入院の必要もないというふうなことも診断できますが、結核に対してはある医者は全治と見、あるいは他の医者においてはそうでないと見、あるいは本人においても自覚症状の関係でいろいろと納得の行かないことがたくさんあると思う。こういう場合にえて結核に対しては、先ほどあなたが仰せられましたところの、何か本人が秩序を乱すとかなんとかいうような点にかこつけまして、そうして病をなおさなければならぬという根本的な結核予防という精神を失つてしまう、その適用を誤つてしまうということが治療関係において実際上起るのであります。これに対してこの法案は保障を何か与えているか。たとえばその患者と他の患者関係、それが自主的に、民主的に一つの協議機関を持つとか、その意思を尊重するとか、または予算の点においても、すでにこの法案において、どういうふうなときまで治療しろとか、どういうふうにしろとかいうふうな厳格な、具体的な規定をここに盛込むというふうな意思はないのですか。
  112. 山口正義

    山口(正)政府委員 御質問は治療上の問題であると存じますが、ただいま医務局長が御説明になりましたように、療養所に入所しておる必要がないという認定は、これはやはり療養所長あるいはその他の担当の医師の判定にまつべきものだというふうに、私ども考えておる次第であります。
  113. 井之口政雄

    ○井之口委員 これがやはり先ほど丸山委員も非常に懸念されていたところでありまして、予算の面が豊かになり、そうして真に結核の予防をするという民主主義的な法規であるならば、そういう懸念は起らないのでありますけれども、病床は少い、かつ本人としてはまだまだ治療をしてもらわなければ、自分のからだは元の通りにならぬというところへ、あとからどんどんせいて来る。とりわけ片つぱしから検診して義務を果して行くのでありますから、病床が足りない。従つてつている者の早期退院を命ずるというふうになつて参りまして、この循環を早くする。しかもこの法律には後保護の規定が何らないということになりますれば、これは羊頭を掲げて狗肉を売る、むしろ結核患者に対して気の毒な結果を及ぼすことになりはしないか、こう懸念するのでありますが、一体それに対する予算の裏づけとか、今度少しふやされ得るところの病床の、人口に対する割合というふうなものはどうなつておりますか。
  114. 山口正義

    山口(正)政府委員 この病床数は昨年の十月では九万五千床でございまして、本年三月末で大体十万二、三千になるわけでございます。二十六年度におきましては国立、公立、法人、その他全部合せまして、一万七千二百床増床の予定でございます。私どもといたしましては、大体五箇年計画で十九万床を目途として増床して行きたい、そういうふうに考えております。先般も御説明申し上げましたが、結核死亡者数は幸いにいたしまして逐年減少して参つております。以前は結核の病床数は大体一年間の結核死亡者数を目途としておつたのでございますが、新しい治療法をどんどん採用いたしまして、結核の早期治療を迅速にやつて参りますのには、大体一年間の結核死亡者数の二倍を目途として行くのが、世界各国で現在認められておる標準でございます。その線に向つて今後努力をして行きたい、そういうふうに考えております。
  115. 井之口政雄

    ○井之口委員 結核によつて死亡する一年間の人数は約十二万人ぐらい、しかして二十六年度の計画では十二万床になる。そうするとこの病床は、肺病患者が死ぬときにだけ寝かしてやるというぐらいのものにしかならないと思うのですが、それ以上に何年も寝ている人たちは、むしろの上に寝ているか、どこに寝ているか知りませんが、これは死ぬ一年だけそこの上で寝ているという結果にしかならないのですが、その点はどうなりますか。
  116. 山口正義

    山口(正)政府委員 以前は、先ほども申しましたように、一年間の結核死亡者数を目途として結核病床を整備しておつたので、ります。大体現在その線に近づいておりますが、さらに完全にいたしますためには、先ほど申しましたような数字に持つて行かなければならないのですが、国の財政上一挙にそこまで持つて行くということは、なかなか困難でございますので、私どもいろいろ努力をいたしまして、漸次その線に近づいて行きたい、そういうふうに考えております。
  117. 井之口政雄

    ○井之口委員 なるほど財政の点がきゆうくつであることはそうでありましよう。しからば一つお尋ねいたしますが、アメリカの結核に投ぜられている費用は、予算の何パーセントであるか、それからソ同盟はどれくらいの数字になるか、この二つをあげてもらいたい。
  118. 山口正義

    山口(正)政府委員 お尋ねのアメリカの資料は、御承知のようにアメリカは現在各州々々にわかれておりますので、私どもの方に現在まとまつた資料を持つておりません。アメリカは大体先ほど申し上げましたように、結核死亡者数に対して二倍余のベッド数を整備いたしております。ソ同盟のは手元にございません。
  119. 井之口政雄

    ○井之口委員 ソ同盟の病気に対する予算はすばらしいものであります。ソ同盟は患者が多いからすばらしい予算というわけじやない、この点は大いに明らかにしておかなければならぬ。一年間のうち約一箇月間というものは、どんな労働者でも農民でも有給で、いろいろなところに避暑だ避寒だと行つております。サナトリウムから何からすばらしいものができておる。これは社会党の方でもわかるだろうと思う。その点は日本では鉄のカーテンの向うだからと言うのだが、鉄のカーテンをぜひ早くとりはらつて世界的な知識をお持ちになつた方がよろしいと思います。  次に結核の予防に対しまして、最高の諮問機関をなしておりますところの予防審議会でございますが、これは法案によると厚生大臣の諮問機関なつておるようでございますが、こういうものの構成人員に実際の民主主義の諸団体が入つていないし、それから患者自身の直接的な利益を代表する人がやはりこれに入つていない、患者自身から選ばれた人たちが入つていないということは、この審議会が、真に結核患者のためのものではなくして、やはり取締法あるいは懲罰法のようなものに結局してしまうのではないかということを、われわれは懸念するのでありますが、これをもつともつと民主主義化する方法はないものであるか。さらに実際上の決定権を持つところの、地方における結核診査協議会ですが、それの委員連中も、選び方がとかく官僚的になつて、民主主義的ないろいろな団体から選ばれるということがないような仕組みに思われますが、その点いかがでございますか。
  120. 山口正義

    山口(正)政府委員 結核予防審議会につきましては、過日も松谷委員から御質問がございましたのでお答えいたしましたが、その委員の構成の中には、患者自身を入れることは考えておりませんが、患者の利益を代表し得る人を入れたいと考えております。また結核診査協議会は、純然たる技術的な協議会でございますので、医科の專門家だけで構成したいと考えております。
  121. 井之口政雄

    ○井之口委員 先ほど丸山委員も懸念されておりましたが、結核患者が多くなつて、どしどし入所するというふうになりました場合にこれを制限する役割を結核診査協議会などが、結局持つようになるのではなかろうかということを、非常に懸念するのでありますが、その点に対しては、当然本人の要求を広汎に受入れて、もし国家がこれを收容しない場合には、国家自体において責任者の処罰をするというふうな規定を設けて、厳重にこの法の権利を守るというふうにしてこそ、初めてこの結核予防法が生きて来るのではなかろうかと思いますが、いかがですか。
  122. 山口正義

    山口(正)政府委員 結核診査協議会では、あくまで極端な不適正な申出だけを排除しようという趣旨でございますので、御指摘のようにむやみやたらに、制限しようという意味ではないのでございます。
  123. 井之口政雄

    ○井之口委員 予算がないと結局そうならざるを得ぬと思うのですが、しからばその点はおきまして、もうあと二、三点お尋ねしたいことは、治療に対する費用をどういうふうに負担するか、国が四分の一、地方自治体が四分の一、本人が四分の二、こういう規定なつておる。これでは実際強制的に検診して、強制的に入所を命じておいて、そうして国家はたつた四分の一しか持たぬ。地方財政は非常に今窮迫しており、平衡交付金でさえもなかなかちびつていて行かない。そういう場合に、この地方団体にまた四分の一の負担をかけて、本人が四分の二というふうなことをやつていたのでは、今までよりももつと悪くなりはせぬか。現在は約八段階級くらいにわかれておつて、免除者も大分あるようですが、かえつて現在よりも悪くなるような結果に立至りはせぬかと思いますが、いかがですか。
  124. 山口正義

    山口(正)政府委員 一般の患者につきましては、御指摘通り国が四分の一一、都道府県が四分の一、本人が四分の二ということになつております。これも公費負担増額は望ましいとは存じますが、現段階においては、国家財政上この程度しか参らなかつたのでございます。なお強制的に入所させられました者につきましては、国が二分の一、都道府県が二分の一、本人の負担はない、そういうふうになつております。
  125. 井之口政雄

    ○井之口委員 われわれはこれは全額国庫負担が非常に適当なものであると思う。それでなければ結核というものはこの日本の、われわれ祖国の上からこれを一掃するということはなかなか困難である。それで世界の文明国で採用している制度を、われわれは研究する必要がある。第一、全額国庫負担で今やつているところはどこどこの国か、その点をひとつ明かにしてもらいたい。
  126. 山口正義

    山口(正)政府委員 私の知つております範囲内においては、全額国庫負担でやつているところはないと存じます。
  127. 井之口政雄

    ○井之口委員 ソ同盟は……。
  128. 山口正義

    山口(正)政府委員 ソ同盟は存じません。
  129. 井之口政雄

    ○井之口委員 日本の財政も、戦争前まではほとんどその半分を軍事費に使つておる。だからそういう時代においては、こうした厚生施設に使う金がなかつた。金がないといえば、なるほど軍事費に使つているから、そんなものかということも首肯できましたが、終戦後軍隊はなくなり、海軍はなくなり、陸軍もなくなつた。それなら金が余らなければならぬはずである。進駐軍のためにたくさんの金を使つているでしようが、こういうものがなくならぬ限り、どうしても国庫負担はできぬものですか。あなた方は国庫負担をやつてみようというような計画でも立てたらどうですか。立ちませんか。
  130. 山口正義

    山口(正)政府委員 終戦後軍隊がなくなりましたけれども、復興のために多額の金を要しますし、また私どもといたしましては、全額国庫負担いたすように大蔵省には要求いたしましたが、現在の国家財政上、それが不可能でございますので、この点におちついたのでございます。
  131. 井之口政雄

    ○井之口委員 ひとつそういうふうに、どんどん努力していただきたいと思います。  次に健康保険法、生活保護法等による人たちは、本人にとつては掛金以外には直接無償になるわけですが、その点についてへ健康保険法の規定とこの結核予防法案との規定の矛盾は、先ほど丸山委員指摘された通りでありまして、あれは非常にかんじんなことであります。それについては、あくまでもやはり高貴な薬なんかも、健康保険法で使うことを禁止しているようなものでも、やはりこれをやつてくれぬものか。この点はあらためてもう一ぺん明確な御返事を聞いておきたいと思うのであります。たとえばさつきパスの問題も出ておつたようでありますが、しかしそのほかにもたとえば歯の治療というふうなものに対しても、健康保険法ではあれをやつてはいかぬとか、これをやつちやいかぬとか、いろいろな規定があるようです。そういう場合に、結核患者が歯を治療しなければならぬような状態にある場合には、そうしたものでもどんどん治療してやる——私は医者ではありませんから、具体的な点はよくわかりませんので、あなた方の方がむしろ技術的にいろいろ詳しく知つておいでになるのですが、そうした矛盾は、もつとほかにもたくさん起つて来るのじやなかろうかと思いますが、その点はどうですか。
  132. 山口正義

    山口(正)政府委員 健康保険法での歯科の治療の点につきましては、所管外でございますので、ここでは答弁を差控えさせていただきたいと存じますが、結核につきましては、本法におきましてストレプトマイシン、パスを使用するというふうになりますれば、健康保険法におきましても、そこに矛盾の起らないように、私どもの方で十分連絡してデヴエロツプして行くようにして行きたいと存じます。
  133. 井之口政雄

    ○井之口委員 この健康保険法のお金がなかなか下らなくて、普通のお医者さんはみな困窮しているそうですが、今これの支払いはどうなつておりますか。まだ滯納というふうな状態になつておりますかどうか。
  134. 山口正義

    山口(正)政府委員 所管が保険局になつておりますので、その点私から答弁は差控えたいと思います。
  135. 井之口政雄

    ○井之口委員 こういうところにやはり一元化が必要なのでありまして、片方はおれの管轄じやないからわからぬ、そつちへ行くとおれの係じやないからわからぬと言いまして、実際国民はそのために大きな迷惑を感ずるのであります。数十億の滯納があるために、お医者さんがみな困つて、健康保険で治療のできないような状態になつております。そこへもつて来てこの結核でありますが、結核の場合もまた金が下らぬということになりますると、健康診断をされて工場では結核患者だと燒印を押されて、しかも費用は一向下らない、健康保険によつて医者はやらぬというふうなことになつて参りますると、病人は立つ瀬がない、こういう事実が現実に起つて来ると考えます。この点にもつと厚い同情を持つて、法を制定する場合に考慮される意思はないか。
  136. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の支払いの遅延の点につきましては、前回委員会においても御指摘を受けたのでございまして、私ども本法を運営して行くにつきましては、その点十分努力して、支払いの遅延が起らないようにやつて行きたいと考えております。
  137. 井之口政雄

    ○井之口委員 そこでこれを今言いまする通り、一貫的に総合的に、安心してやれるような法制をつくりまするために、たとえば、もし患者が強制命令によつて入院するというふうな場合には、その家族に対する保障も、これを一般的な保護法によらずして、やはりこういう特別法の中にそれを織り込んで、その場合に対して特別法がそういう点を親切に規定して、家族が路頭に迷わぬように、また患者が安心して治療を受けられるように、また進んで自分自身から結核であるということを表明して、治療を望むというふうにするならば、これが取締法でなくして、ほんとうに病人のための保護法になるとわれわれは思うのですが、そういうふうな意図はないものでしようか。
  138. 山口正義

    山口(正)政府委員 生活保障につきましては、現在におきましては、一応生活の面は生活保護法に讓つております。将来この問題は十分研究して参りたいと存じております。
  139. 井之口政雄

    ○井之口委員 教員の方々や国鉄の方方、それから郵政や電信、そのほか官公庁の方々——皆様方もそうでございましようが、この方面に働いておいでになる方々が、今までの三箇年間の結核に対する休養期間が、二箇年間に減らされたということを、みんな申しておるのでございますが、これに対してみんなが反対の意見を表明しておられるようであります。政府としては、せつかくこういう法案を出すのですから、治療期間を減らすというふうなことをやらぬで、ふやすような方向へ持つて行くのが至当ではないかと思いますが、どうでありましようか。
  140. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の、三年、二年の点は保険関係かと存じますが、いずれ後刻よく調査いたしまして、御答弁申し上げます。
  141. 井之口政雄

    ○井之口委員 そういうところにも総合的な結核対策はやはり必要なのでありますから、どうぞひとつこういう法案を出して、これを結核患者の保護法とする意思がありましたならば、むしろ減らさないで、これを伸ばすという方法を強力にされたらけつこうと思います。  次に、国立療養所並びに一般の公立の療養所におきまして、そこの運営方法患者の意思に反して、いろいろ無理な認定をされて、そしてそこから強制退院を命ぜられるというふうな場合も起つて、いろいろなトラブルも起るのであります。こういう場合に、これを防ぐ方法として、ここの運営を患者自身とそれから経営者、そういうものがみな一体となつて運営を決定するという民主的な管理方法が、最も必要だと思うのであります。これなくしては、結局官僚的な強制退院も起つて来る。先ほどあなたが強制退院はさせないのだというふうなことを言つておられましたけれども、この強制退院は、もし真にそういう意思でありましたならば、この運営面を患者自身がやはりこれに参加するというような、民主主義的な機構を持たれることが必要ではなかろうかと思いますが、どうですか。
  142. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまのは御意見でございましようが、病院、療養所は、要するに病気の治療をする、療養するところの施設でありますので、その運営についていろいろと従来にも欠点があり、将来これをよくするということは、きわめて必要なことでありますが、特に日本の病院がその運営面において、従来欧米の病院に比べて劣つてつたということは、これは遺憾ながら事実であります。従いまして、それにつきまして、私どもは十分将来運営をよくするということは考えておりますが、病院の運営の面に患者を直接に加えるという考えは持つておりません。療養施設の運営は、あくまで医師とそれから運営に当る事務方面の職員がやるべきものであるというふうに、私ども考えておりますので、患者の声は十分に聞きます。いかに上手に運営いたしましても、患者が訴える面はたくさんあると思いますから、これは虚心坦懷に聞く必要はありますが、運営そのものの責任者と申しますか、そり当事者というものは、あくまでも院長を中心とする医療関係者をもつて充てるべきもの、かように存じております。
  143. 井之口政雄

    ○井之口委員 あれは第四回の国会でありましたか、草津の楽泉園でありますか、あの不自由な身体で病院を脱出して国会に請願に来ていたことを私は記憶しているのであります、ああいうふうなことは、たとい患者の声を院長が聞くといつても、なかなか聞かない証拠である。そうして横流しが行われる。とりわけああいう国立の病院におきましたならば、院長が権力をもつてやられるのでありますから、患者に対して非常に不当なことが行われる。高貴薬の使い方にいたしましても、医者の好悪によつてこれが左右されるということもあり得ることである。食糧を横流しする。いろいろなこともある。これを取締り、これを根絶するためには、患者自身自身が最も適当な利害関係者でありますから、患者自身がこれに参加する。現に草津から東京まで出て来るだけの能力を持つている、こういう人たちを管理に参加させるということは、最も民主的な方法だと思いますが、この民主的な運営方法をもう政府は忘れてしまつているのか、もうそういう意思は全然なくなつてしまつたのですか。
  144. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまのは草津の楽泉園の癩療養所のことかと存じますが、あの問題はすでに落着した問題でありまして、その事実をとやかく申すわけじやありませんが、民主的運営ということを拒否いたすのではございません。運営はあくまでも民主的にいたしまするが、療養所というものの性質上、患者と医員並びにその管理者については、おのおのその分が明らかであると思うのであります。もちろんたくさんの療養所のうち、一つ一つについて具体的の例を申し上げれば、遺憾な点もないとは申せませんが、しかし全体としては、患者を直接運営の面に入れるからよく行く、そうでないからよく行かないということはございません。しかしながら私はあくまでも現在のように、病院の管理者が全責任を持つてこれを運営するということは、療養所としては、最も正しい行き方であると考えておるのであります。患者それ自身が訴え出る道は決してとざしてはおりません。十分それは聞くようにということは指導もいたしております。ただそれを聞いた上で、その処理につきましては、病院管理者、運営者がその全責任を持つてやればよろしい、さように申し上げたのであります。
  145. 井之口政雄

    ○井之口委員 われわれがそれを聞きますと、口に民主主義を唱えながら、実態はなかなか民主主義を実行せぬというふうに聞えるのでありますが、この点はそれといたしまして、次にもう一つお尋ねいたしたいのは、この法規の中に、たとえば病院の療者一人に対して何平方メートルの病室を必要とするとか、あるいは病床にいたしましても、このごろの病床は、国立の療養所なんかに行つてみましても、非常に不潔なものが多い。だから、そういうものに対しても、広さあるいはクッシヨンというようなものの規定を、こまかな施行細則にまたずして、大ざつぱなところだけは厳重にきちつときめておく、あるいは栄養にいたしましても、患者に対しては必ずこれだけのカロリーの栄養をまわすとかいうようなことの明確なる当局の方針を入れて置く、あるいは看護婦にしても、患者何人に対して看護婦を何人というような規定は、この法案の中に細則をまたずして入れて置いた方が、その病院として、患者が希望するような、ほんとうの療養所、サナトリウムたらしめるものになりはしないかと思いますが、どうでしようか。と申しますのは、いろいろな療養所を参観いたしてみて、看護婦が非常に少い。看護婦が少くてそれでもやはり経営しているという形になつている。しかもそこの院長自身がこの予算ではとても成り立たぬということをこぼしている。しかるに厚生省の方においては全額国庫負担を要求しておきながら、大蔵大臣によつてそれをぽんぽんけられてしまう。そしてそれにぐうの音も出ないということになつて来れば、せつかくりつぱな国立の療養所をこしらえておいても、何のくその役にも立たない。すなわち羊頭を掲げて狗肉を売るような結果に立ち至ると思いますが、そういうふうに法文できちつときめておいたならば、相当患者のための利益が守られるじやなかろうかと思いますが、どうですか。
  146. 東龍太郎

    ○東政府委員 病院の構造、設備あるいは医療に関する人員等につきましては、医療法に明らかに規定がございます。そうしてその医療法の規定に合つているかどうかということにつきましては、全国的に考えて、医療管理制度を設けて、全国の病院、療養所全部調査済みであります。そうしてそれの結果に基いて病院にA、B、C、Dというような等級をつけて、すべての病院をなるべく早くAクラスに持つて行くようにという指導をいたしておるのであります。但し療養所等について、人員特に看護婦に不足を来しておるということは、遺憾ながら現在事実であります。これにつきましては、国立の設備については看護婦、医師等の充足をすべく十分努力はいたしておるのでありますが、いろいろな理由でこれを実現し得ない状況で、この点はまことに遺憾であります。将来ともこの点につきましては特別に努力はいたすつもりでございます。
  147. 井之口政雄

    ○井之口委員 その病院規程には何人の病人に対して看護婦何人というような規定はないのでしようか、とりわけ結核に対しましては、雑居で收容していると、空気伝染というふうな危険が強くて、軽度の者でもなお昂進するというふうな危険もあろうかと思うのですが、特別のそういう医療綱規というか、規定を必要とするのではなかろうかと思うのですが……。
  148. 東龍太郎

    ○東政府委員 医療法の中に明らかに規定しておりますのは、現在のところ普通の一般病院についての患者に対する看護婦、あるいは医師の数というふうなものでありますが、結核、らい等、特別の施設に対しては別にこれを定めることになつております。まだその企画は示しておりません。と申しますのは、それぞれの特別の病気に対する療養施設として、どれだけの数が最も適当であるかということについての最後の結論がまだ出ておりませんので、まだ規則としては出してはおりませんが、きわめて近い将来にそれを出すつもりで準備いたしております。
  149. 井之口政雄

    ○井之口委員 それでは最後にもう一つお聞きします。これの罰則を見ますると、罰則患者並びにこれを取扱つた医師等々について罰則なつておるようでありますが、最も責任のある者は厚生大臣並びに各審議会、地方長官、市町村の首長というふうに思われるのであります。この人たちがせつかくたくさんの患者がありながら、予算の面からこれを收容もしないというようなことに対して、これを厳罰に処する、上の方の者をうんと罰してやるというような規定を入れない限り、これはこしらえても何の役にも立たなくなる。結局やはり弱い者の、病人の懲罰法になつて来る、こう思うのです。もつとそういう上の人たち、ほんとうの責任者を懲罰するような罰則を設けたらどんなものかと思います。
  150. 山口正義

    山口(正)政府委員 都道府県知事につきましては、地方自治法に基きましてその義務を怠つた場合に措置がとれることになつております。国家公務員につきましても、国家公務員法に基いて措置がとれることになつております。大臣のような特別職につきまして、特別の措置を考えなければならないと、そういうふうに考えられるのであります。
  151. 松永佛骨

    松永委員長 次は質問の通告順によりまして、金子委員
  152. 金子與重郎

    ○金子委員 時間がたいへん遅れましたから、いろいろ質問があるのでございますけれども、ほかの委員に迷惑ですから、四点ほど簡単に質問いたします。明確にひとつお答えを願いたいのでございます。  大体今度のこの法律を施行いたしましたあかつきに、地方自治体の負担というものが、相当多くなるのでありますが、これに対して本年度の予想といたしまして、結核予防法の実施のための費用増額というものが一体県全体で幾らになるか、それからそれより下の市町村の段階において幾らになるか、これははつきり数字がわかりますか。
  153. 山口正義

    山口(正)政府委員 精細な数字を明日御返答申し上げます。
  154. 金子與重郎

    ○金子委員 これは市町村といたしましても、地方自治体としても相当大きな問題だと思いますが、地方自治庁との関係は一切納得了解が済んでおりますか。
  155. 山口正義

    山口(正)政府委員 地方自治庁の方とは十分打合せ済みでございまして、平衡交付金その他に十分盛り込んでもらうように了解がついております。
  156. 金子與重郎

    ○金子委員 今度のこの法案で結核が非常に強く取上げられた点は、健康診断の強制と、予防注射の強制、同時に入所法の強制であります。この強制をつけたところに今度の法案の一番強い点があると思いますが、そこで実際問題となりまして、健康の診断と予防の注射というふうな段階まではよろしいのでありますが、患者診療に対して強制権を持つということになりますと、ただいまも局長説明されたように、現在はまあ約十万床近くある。それでかりに十一、二万床になつたといたしましても、今の結核患者は法律はつつても実際上これは入らないじやないか、そして法がむしろ恨みの種になりやしないかということを、非常に危惧されるわけであります。それは全体の統計で言うのでなしに、これは一つの大切なことですから、十分お考え願いたいのですが、かりに私がある調査で先々月——私は群馬ですが、地方的な数字を調べてみても、ここに群馬の統計が約一千床出ておりますが、これで大体入りますが、七百ないし八百程度でございます。それで先日県の衛生課でデータをとらしてみたのでございますが、七百数十ベットだけ結核患者が今おるのでございますが、その中のテーベ患者の八割何分は共済組合と健保でございます。それから一割何分が生活保護法によるものでございまして、一般国民は約七%くらいしかないのでございます。しかし現在の県内の結核の分野というものは、一般民家に非常に多いのでありますが、そうしますと今のこのテーベ病院に入つております結核患者は、大体において保険の恩沢に浴せた人だけが入つておるのであつて一般患者というのはおそらく入れないのじやないか。最近強制的に病院を追い出すというようなことで、井之口さんの御意見も大分出たのでございますが、これは私が他意あつて言うのでなく、実際問題とすると、病院に入つておる方が、下宿に入つておるよりも安いのです。そしてそれが生活保護法だとか、あるいは保険とかそういうようなもので給料はもらつて、結局病院に入りましても、保険において個人負担は絶対にないということになりますと、病院の中にいる方が非常に安易なんです。しかし実際問題としては保険にかかれないでいる人、あるいはその保険の制度の恩沢に浴せないで、ひどい病気なつて困つている人は社会にはたくさんあるのです。それが入ろうと思つても容易に入れない。これは私も実際病院を経営してみてそう感ずるのであります。もつとも経営といつたつて、私は官立病院をやつておるわけでも何でもない。農民のために病院を経営しておつてもそういうことがあり得るのであります。そういう点からいつて、はたしてこれをやりまして、ここで一万七千床くらいふやしてみても、法がから法文に終りやせぬかということを、これは皆さんの法文を通す面子の立場でなく、実際に私がこうして調査してみて、非常に困るのじやないかということが心配になるのですが、私が今申し上げた群馬県の実例のようなところへ持つてつて、どうあてはめたら一般患者が入り得るような余地が出て来るか、その点を率直にひとつ……。
  157. 山口正義

    山口(正)政府委員 御指摘の点は、先般来しばしばほかの委員からも御注意を受けた点であります。現段階におきまして、患者数と病床数との関係から見まして、所期の通りに参るのはなかなか困難が伴うというふうに感ずるのでございますが、先ほど御指摘のございました点のうちで、入所命令を出しますのは、その住居の関係上非常に病毒を伝播させるというおそれのある一部の者に限られるのでございます。その数は相当限定されると思います。しかしただいまお話のように、現段階においても療養所が相当一ぱいになつておりますので、一般患者の命令を受けた者を入所させるというのには、いろいろ困難が伴うと思うのでございますが、先般も申し上げましたように、入所命令を受けました者は優先的に取扱つてつて、この法の趣旨を生かして行きたい、こういうふうに考えております。  また本法の最も大きなねらいといたしますところは、患者の早期発見、早期治療ということをねらつておりまして、なるべく病床の回転率をよくしよう、そういうふうに考えております。現段階におきましては、御指摘通り種々隘路があると思うのでありますが、患者の早期発見、早期治療、それに対応し、また病床の増加というようなことを、今後できるだけ努力いたしまして、病床の増加をはかつて、御指摘のような隘路を打開して行きたい、そういうふうに考えております。
  158. 金子與重郎

    ○金子委員 それは局長さんの答弁としては、当りさわりのない答弁ですけれども、これは現実問題としては困りますよ。私どもの地方の実情を調べて、しかも先ほど申し上げたように、保険の患者というのは出やしない。いかに病床の転換率をよくいたしますと言つても言葉としては実に簡単ですけれども、とにかく今の病院を見てごらんなさい。お前はいいんだから出ろと院長が言つても出やしない。あの中の方が楽で、費用がかからないからだ。そういう点は私がこういう病院を視察しますと、そこの厚生委員から、医局は何人で定員が足りないから、われわれに対して非常に冷遇だといつて、盛んに文句を言うのですけれども、それに引きかえて農山村におけるわずかの厚生省の涙金くらいの補助をもらつておる山の中の病院、これは私費ですが、その山の中の病院へ行きますと、この山の中で病院で死ねるとは思わなかつた、こういう病院にかかれてけつこうだと言つておるが、その病院はベツドもない、屋根は杉皮です。そういうところに行きましても感謝している国民層もある。それを医局の職員が足らぬとか、看護婦が足らぬといつて文句を言つておる。お前はもう退所してもいいと言われても、出やしない。こういう現状が国立病院にあることをよく考えてくださらぬと、単にこういうことをやりましても、統計だけでは解決がつかぬ。そこが政治ですから、ここで上手な答弁をしてのがれたという考え方でなく、ほんとうに診療の機会均等を与えよう、そうしてこういうふうな恐ろしい結核のような病人を一人でも減らそうということになりましたら——ちようどこれはここの答弁として、はつきりしたことは言えないでしようけれども、真劍に考えていただきたい、これは私がお願いしておきます。現に私どもの看護婦自体も言うのです。あの人なんか出てもいいと思つて院長が言つても出てもくれない。にもかかわらず、この間農村のある村へ行つてみたら、お百姓さんが納屋に隔離されて、そうして血を吐いている。ああいう人たちを入院さしてあげたいけれども、いかんともしがたいと看護婦でさえも、嘆いている実情があるのであります。この点をひとつよくお考え願いたいと思います。  それから次に一、二点質問いたしますが、社会保険の場合は、これは二分の一を国庫なりあるいは自治体から補助されましても、本人とは直接関係はないわけです。保険財政を助けるという形になると思うが、その点はどうですか。
  159. 山口正義

    山口(正)政府委員 被扶養者の場合は、本人を助けることになると思います。
  160. 金子與重郎

    ○金子委員 もつと例をもつて申し上げますと、二分の一は本人が出しておる、二分の一は保険組合が出すというと、保険組合の方の出すべきものが差引になつて、本人の分がなくなるというふうに解釈するのですが、これは違うのですか、逆ですか。
  161. 山口正義

    山口(正)政府委員 逆でございます。本人の負担分がこれによつてまかなわれるわけであります。
  162. 金子與重郎

    ○金子委員 そうしますと、保険組合から半分支給されている場合は、本人は負担なしに入院できるという結論になりますか。
  163. 山口正義

    山口(正)政府委員 この法律によりますれば、現在の健康保険あるいは国民保険の規定が、御指摘のように二分の一負担するということになつておりますれば、本人の負担は全然なくなるということになるわけであります。
  164. 金子與重郎

    ○金子委員 三十七條はそういうふうに解釈していいのですか。
  165. 山口正義

    山口(正)政府委員 そうでございます。ただあとの二分の一は、保険の方の規定がかわりますれば、これはまた別でございます。
  166. 金子與重郎

    ○金子委員 わかりましだ。最後にもう一点お伺いしますが、これはあなたの方の直接の問題ではありませんが、今度結核の診断なりあるいは予防注射というものを、また保健所へ持つて行かざるを得ない。今の段階ではそういうことになるでしようが、そうしますと、保健所が一般食品の検査その他の問題から、花柳病また結核と、こういう仕事がふえて参りますと、保健所というものの組織に対して相当荷が勝つて、現在の保健所の能力というものでは仕事がやりにくくなるのじやないかと思うの零すが、その点はさしつかえありませんか。
  167. 山口正義

    山口(正)政府委員 本法施行に伴いまして、保健所の仕事がふえて参りますことは御指摘通りでございます。昭和二十六年度におきましては、保健所は現在のCクラスでAクラスに昇格しますものが三十箇所、CクラスからBクラスに昇格しますもの四十一箇所、それから新設がCクラス十一箇所、Bクラスが九箇所というふうになります。総数にいたしまして現在七百四箇所あります保健所が、七百二十四箇所になりますから、二十箇所ふえます。そのほか先ほど申し上げましたように、Cクラスから、AクラスあるいはBクラスに昇格いたしまして、つまり定員を増加いたしまして、この法律に伴ういろいろな業務を実施させて行きたいと思つております。  またそのほか結核の予防法を実施いたしますのに必要な事務職員を、保健所に二名ずつ増置いたしまして、さらに保健婦につきましては、従来の旅費のほかに一人当り年額一万二百円余り増額いたしまして、この保健所の機能を強化して行きたい、こういうふうに考えております。
  168. 金子與重郎

    ○金子委員 この保健所の問題につきましては、これはあなたの方の直接の管轄でありませんので、どういうふうな回答をというわけにも行きませんが、ただここで考えなくちやならぬことは、保健所というものの性格が、どういう機会にどういうふうな形で生まれたかということに対して、私は詳しくないのでございますが、今の保健所のあり方が、ただ厚生省の直接のひもをつけた出店をこういうふうに出しておるというふうな性格が強いのであつて、保健所というものは、その地域的な、自治体なりあるいは地方との結びつきが非常に悪い、遊離した存在だと思うのであります。従つて今後結核のようなものまで大きく広げて行くとするならば、同時に保健所のあり方に対しても、再検討する時代が来ておるのではないかと思う。それはこの前の法律改正で、市に対して保健所を移した国が管轄しているのもある、市のやつておるのもある。しかもその保健所たるや、人口幾らということになるから、人口で行きますと、広い村は五里も十里も行つても保健所がない、こういうような分布になつておるわけであります。だから保健所というものが、これだけ広範囲な仕事をして行くならば、むしろ民間の各町村の診療所だとか、そういうふうな半公的な一つの医療機関というものが、たくさんあるわけであります。これは地域的、にしかも自治的にだんだん普及されつつあるわけであります。こういうものと保健所はもう少し相互連絡をとられるように、一貫性を持つように、保健所というものを将来直して行かなければ、こういう問題は解決がつかないのじやないか、ことに、費用を出すということになると、すぐ市町村ということになる。監督だとか何とかいうことになると、市町村を抜きにして、特別な省の出店が地方に出て来るというあり方は、自主的な社会をつくつて行く上に、保健所のようなあり方に対しては、どうも私はできた当時から今日まで、納得がつかないでおるわけであります。そこへ持つて来て、保健所を今度また大きく広げる、この関係上より大きくするという段階が来ておりますので、この問題に対しては、どうしても保健所のあり方に対しては、考え直す時期が来ておるのではないかということを考えますので、これは意見になりますが、申し上げておきます。
  169. 松永佛骨

    松永委員長 本日の委員会の発言中、不穏当な言辞がございましたら、委員長において速記録より削除いたしますから、さよう御了承願います。  次会は明日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十四分散会