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丸山委員 そういうつまらないことをなぜ念を押してお伺いしておるかというと、実はこういうことがあるのであります。
医者というものは
罰則を伴いまする法律に対しましては、法律の解釈によ
つてはいつでも処罰できる状態に
なつておる。これが単純な場合ならよろしいのでありますが、古い時代の例を申し上げます。東京の本所の方で、ある
医者が区
会議員に立候補いたしたのであります。それを反対の人たちが、その人が強過ぎるので、それを陷れるために
医師法違反で訴えまして、それを勾留したのであります。そういう事実があ
つたのであります。それはどういうことであ
つたかというと、こういうつまらない
條項を、二回やるべきものを一回しかや
つていなか
つたじやないかということで、そういうことが行われた。その当時でありますから、この條文ではありませんが、そういうふうに解釈のしかたによ
つて、当然これは法律から見ると二回いたさなければならぬことになるのでありますが、それを一回しかやらなか
つた。二回や
つた証拠はどこにあるかということで、それを勾留して、選挙最中に引つば
つたという事例があります。そういう
意味から特に
罰則を伴う法律に対しては、くどくお伺いしておるのであります。この点は明瞭にしておいていただきたいということを、特にお願い申し上げておきます。
それから第二十
八條、これは従業の禁止の
條項でありますが、この従業という言葉であります。従業という言葉は実は近ごろの労働
基準法及び労働者災害補償保険法においては、従業の禁止という言葉は用いておりません。就業という言葉が用いてあるのであります。「危険、有害の業務に就業し」と、すべて就業という言葉が使
つてあります。ここには従業の禁止という言葉が使
つてあるのであります。その従業の禁止というと、その職を解く、解雇するという
意味が含んでおると
考えられるのであります。法律の
趣旨はそういうものではない。ある一定の
期間を定めて、仕事に従事するというようなわけでありますので、従業という言葉が使
つてあると思いますが、それを就業という言葉におかえになるお心持はございませんか。これは法律の用語がまちまちに
なつておるということは、私
どもとしては非常にわずらわしいのであります。また誤解を生ずる危険もあるのであります。近ごろの新しい言葉には労働
基準法においては雇用するとか、雇入れるとか、使用するという言葉が使
つてあるのでございます。就職と就業という言葉は使いわけてあ
つて、従業という言葉は現われておりません。特に業務につくとか、やめるということを、本来の
目的としておるところの労働立法においては、従業という言葉は使われておらないのであります。そういう
意味におきましてその方へ一致させる
意味において、業務を離れてしまうということの
意味を含む危険なる従業という言葉は、おかえになる御意思はございませんでしようか。