○木村(忠)
政府委員 厚生省として何ら打つ手がないということは申しておりません。たびたび申し上げておりまする
通りに、生活の問題につきましては、
生活保護法は全面的に適用しなければなりませんし、適用するにあたりましては、十分なるケース・ワークをしなければならないことは、これは言うまでもないことであります。ところが実際に百人が百人、千人が千人、一人残らずうまく行くかどうかという点につきましては、これはうまく行かなければならぬものであり、そのためにはいろいろの
措置をしなければならないので、これがわれわれが日夜しておるところの仕事であります。それでは全部一人残らずうまく行
つているかと言われますと、うまく行
つているということを断言申し上げることは、良心が許しませんからできません。
身体障害者福祉法なり、あるいは
生活保護法なりをそれぞれ全面的に適用いたしましてうまくやりましても、傷痍軍人の問題は解決しないのだ、傷痍軍人の問題を解決するには、それだけではだめなんだということを申し上げたのでありまして、傷痍軍人の問題は、
身体障害者福祉法でも
つてある程度解決がつくというふうに考えますが、ただこれだけでは解決がつかないということを申し上げておるのであります。私
どもといたしましては、
身体障害者福祉法なり、
生活保護法なりは、今の傷痍軍人には全然
関係がないのだというのではありません。それは
関係があるのでありますが、それを全面的にやりましても、今申したような状況でございますから、それではまだ解決しない点があるわけでございます。その点については、やはりそちらの方面をどうしても解決しなければいかぬ。たとえば先ほど申しましたように、五人世帯で五千何百円というのが
生活保護法の
基準にな
つております。これがたとえば恩給の場合に三千円というふうにきまりますれば、三千円程度でも
つて十分食べられるという世帶につきましては、恩給だけで食べられます。しかし
生活保護法のように、世帶の人員が多ければ多いように処置するとい
つたようなものにつきましては、今申しましたように、傷痍軍人が三千円の恩給をもしもらえることができるように
なつたとしても、五千円の
生活保護法の該当世帯と同じような世帶構成であるということになりますれば、やはり残りは
生活保護法でしなければならぬのは当然のことであります。ただその場合に、三千円という恩給が出るか、出ないかということであります。もう
一つは、
生活保護法におきましては、収入があれば全部差引くことになります。しかし傷痍軍人が恩給を得まする場合には、収入があ
つた場合には収入にプラスになるわけであります。
従つてその辺で非常に気持の違いが出て参りますし、また取扱いも違いますが、そういう処置は、私
どもは必要であると思
つておるわけであります。
従つて生活保護法なり、
身体障害者福祉法なり、こういう一般の人を相手にしますところの
社会福祉のものを、傷痍軍人にも適用し、遺族にも適用して行くのは当然であります。その方は徹底的にやることはやりますけれ
ども、それだけでは、あの街頭募金の問題は解決しないのだという感じを現在では私は持
つております。これをずつと上げまして、
日本国民の半分くらいが
生活保護法の適用を受けることができるのならば、これは解決するかもしれませんが、それはできないことでありまして、せいぜい上げましても、一般生活費の半分より上げることはおそらく困難であろうと思いますが、そうした場合におきましても、今の街頭募金の問題は解決しない、それについてはやはり恩給の面で解決する以外には手がないのだということを申し上げたのが、先ほどの答弁でございまして、私の方は何もしない、こつちには全然責任はないのだということを申したのではないのであります。