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1951-03-13 第10回国会 衆議院 厚生委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年三月十三日(火曜日) 午前十一時二十五分
開議
出席委員
委員長
松永
佛骨
君
理事
丸山 直友君
理事
亘 四郎君
理事
柳原 三郎君
寺島隆太郎
君 中川
俊思君
堀川 恭平君 松井 豊吉君 山村新治郎君 清藤 唯七君
苅田アサノ
君 松本六
太郎
君
松谷天光光
君
出席政府委員
厚生事務官
(
社会局長
)
木村忠二郎
君 厚 生 技 官 (
公衆衛生局
長) 山口 正義君
委員外
の
出席者
議 員
金子與重郎
君 厚 生 技 官 (
公衆衛生局結
核予防課長
) 小川 朝吉君 専 門 員 川井
章知
君 専 門 員
引地亮太郎
君 専 門 員
山本
正世君
—————————————
三月十三日
委員山本猛夫
君辞任につき、その補欠として中
川俊思君
が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
三月十二日
遺族援護強化
に関する
請願
(
坂田英一
君外一名
紹介
)(第一一七七号) 同(
淺利三朗
君外二名
紹介
)(第一一七八号) 同(
野原正勝
君
紹介
)(第一一七九号) 同(
原彪
君
紹介
)(第一二八〇号) 同(
田口長治郎
君外一名
紹介
)(第一二八一 号)
外地引揚歯科医師免許
に関する
請願
(
堤ツルヨ
君
紹介
)(第一一八〇号) 同和問題に対する
行政措置
に関する
請願
(西村 榮一君外一名
紹介
)(第一二〇二号) 同(
松澤兼人
君外一名
紹介
)(第一二〇三号) 同(
長野長廣
君
紹介
)(第一二二一号) 同(
星島二郎
君
紹介
)(第一二二二号) 北海道に
国立光明寮設置
の
請願
(
高倉定助
君紹 介)(第一二〇四号)
結核患者
に
国民健康保険
の
全面適用
に関する請 願(
堤ツルヨ
君
紹介
)(第一二二四号) アフター・
ケア施設確立
に関する
請願
(
堤ツル
ヨ君
紹介
)(第一二二五号)
国立療養所
における
給食費増額等
に関する
請願
(
堤ツルヨ
君
紹介
)(第一二二六号)
医療法
による
看護婦
及び
医師
の
増員等
に関する
請願
(
堤ツルヨ
君
紹介
)(第一二二七号)
結核病床増設
に関する
請願
(
堤ツルヨ
君
紹介
) (第一二二八号)
国立療養所入所患者
の
診療費
に関する
請願
(堤
ツルヨ
君
紹介
)(第一二二九号)
京都府下
に
モデル国立
後
保護施設
々置の
請願
(
中野武雄
君外二名
紹介
)(第一二八二号)
—————————————
本日の
会議
に付した事件
社会福祉事業
に関する件
結核予防
に関する件
—————————————
松永佛骨
1
○
松永
委員長
これより
会議
を開きます。 本日はまず
社会福祉事業
に関する件を議題とし、本件に関連して、今会期に立案される
予定
の
社会福祉事業法案
について、
厚生省当局
より説明を聴取いたしたいと存じます。
木村社会局長
。
木村忠二郎
2
○
木村
(忠)
政府委員
社会福祉事業法案
につきまして、この
法案
の
作成
の経過と
内容
につきまして、御説明申し上げたいと存じます。 この
法案
を
作成
するようになりましたのは、
昭和
二十三年の初めに、従来ありました
社会事業法
が、
昭和
十三年にできた
法律
でありまして、その後
終戦
後の
各種
の
社会立法
ができて来ましたのに
伴つて
、従来の
社会事業法
が大体死文とな
つて
しまつて
、その他の
社会立法
と歩調がそろ
つて
いないという
状態
に対しまして、新しい
社会情勢
に即応いたしまして、
社会事業法
を
改正
しなければならぬということを痛感して、これが立案について
研究
を始めたのであります。
ちようど
そのころに、
国会
の内部におかれましても、また
民間
におきましても、その前の年に始まりました
共同募金
につきまして、
共同募金
の
基礎
になるような
法律
をつくる
企画
もございました。またこれをさらに広めまして、
社会事業全般
にわたります
社会事業基本法
として、その中に
社会事業金庫
の
制度
でありますとか、あるいは
社会事業団体
の連合体につきましての
規定
を設けまして、
私的社会事業
の
法制
をつくろうという
企画
が行われました。これにつきましては、
各種
の
法案
がつくられてお
つたの
であります。その後
シヤウプ勧告
に基きまするところの
法人
に関する
整理
の問題が、
一つ
の
解決策
でありましようともに、
政府
の
民間社会事業団体
に対しまする
助成
が打切られておりますることに対する
打開策
といたしまして、
特別法人
の創設ということが、各
方面
で要望されるようにな
つて参つて
お
つたの
であります。 さらに
生活保護法
、
児童福祉法
、
身体障害者福祉法
、こういう
社会福祉事業
に関しまする基本的な
各種
の
法制
が整備せられまして、
公共
の
社会事業
につきましての
事業
の
内容
が、相当充実いたして参りまするとともに、これを
施行
いたしますところの機構の問題が、問題として取上げられるようにな
つて参つたの
であります。 従来
社会福祉事業
の中で、
公共
の
機関
でも
つて
やります
行政面
におきまする
社会事業
、この方は
府県市町村
の
事務組織
は持
つて
お
つたの
でありますが、これが実施の第一線は、
各種
の
法制
が整備いたしましたけれども、主として
民生委員
という
民間
のヴオランテイアに依存するような
状態
でありまして、だんだん
事業
の
内容
が高度化いたして参りましたのに対しまして、その
技術
の面におきましても、また
事務
の
整理
の面におきましても、他の業務を持
つて
おります者が、片手間にや
つて
行くということが、困難な
実情
にな
つて参
りました。特に昨年
生活保護法
が全面的に
改正
せられまして、この
改正保護法
の
施行
、特にこれが
国民
の権利といたしまして、
最低生活
の
保障
がされるということになりますると、これを受けます者の側におきまして、平等にこれを行わなければならぬ。つまり、その間に何らの差別も設けてはならないということが、特にはつきりいたして参りました。そのためにも、
専門
の
有給職員
がこの
仕事
に当らなければならないというような
情勢
にな
つて参つたの
であります。この傾向は、
終戦
後つとに強くな
つて参つて
おりまして、そのために、まず大都市におきまして
民生事務所
を設けまして、そこに専任の
職員
を配置するという方策をと
つて参つたの
でありまするが、さらにこれを引続きまして逐次拡充するという
方向
へ進んで参
つたの
であります。さらに一昨年の暮れからこれを全面的に広げるという目途のもとに、従来
民生委員
の手にまかせられておりました
現業
的な
仕事
を、逐次
有給職員
に移すという方針を立てまして、この
方向
に
仕事
を進めて参
つたの
であります。こういたしまして、本
年度つまり
昨年の初めに、
生活保護法改正
に際しまして、
社会福祉主事
という
制度
を設けまして、全国的に
社会福祉主事
という特殊の
技術
を持ちました
職員
を配置いたしまして、これによ
つて
この
福祉
の
仕事
をや
つて
行くことにいたしたのでありまするが、これを展開いたして行きます上におきまして、従来の
町村
あるいは市の
組織
というものの、再
編成
をしなければならないということが明らかにな
つたの
であります。そこでその再
編成
の
一つ
の
やり方
といたしまして、
民生安定所
または
福祉事務所
という問題が出て参りまして、その
方向
についての
研究
を進めまして、やはりある程度の
組織
を持つた
福祉事務所
あるいは
民生安定所
というもので、今後の
福祉行政
をやらざるを得ないという結論に到達いたしたのであります。その他
公共
の
社会事業
が進化いたしまするにつれまして、
公私
の
社会事業
の
責任分野
を明確にしなければならないといつたような問題も出て参りまして、ここにわれわれといたしましては、一応
社会福祉事業法
の構想が成り立ちましたので、これによりまして、昨年数次にわたりまして案をつくりまして、これを一般に公表いたしまして、各
方面
の
意見
を求め、さらに昨年の九月に第二次
民間案
が
社会事業大会
で議決いたしましたのを参照いたしまして、
関係方面
の
意向
、また各省の
意向
を
考慮
しつつ
最終案
を
作成
いたしたのであります。この
最終案
の
作成
にあたりましては、特に
地方行政調査委員会議
の
勧告
につきましては、これが非常に重大な問題であるという点を
考慮
いたしまして、この
勧告
の線を十分尊重いたしまして、その線に沿うように努力いたしたのであります。ただ一方
社会保障制度審議会
におきましても、
社会保障制度
に関する
勧告
の中で、
社会福祉
という章を設けまして、そこに大体
人口
十万という
単位
をも
つて
民生安定所
を
設置
するということが
勧告
せられておりますので、これらの
両者
を相勘案いたしまして、現在の
実情
に最も適応すると考えられる方途を選んだのでございます。かようにいたしまして、
各種
の
意見
を参酌いたしました上
法案
ができまして、近く
国会
に提案せられる運びに相な
つて
おるのであります。 お
手元
に
法案
の
最終案
を差上げたのでありまするが、この
内容
は若干かわ
つて
おります。それはその後にさらに
地方行政委員会議
の
勧告等
に基きます若干の修正をいたしております。
一つ
は、第十三条に、
町村
が
福祉事務所
をつくる
規定
がございまするが、この
あと
に
町村
が一部
事務組合
を設けて
福祉
に関する
事務所
を
設置
することができる旨の
規定
を加えました。 また第十六条の
あと
に第十六条におきましては、
福祉
に関する
事務所
の
所長
は、
福祉
に関する
事務所
の
仕事
以外の
仕事
を兼ねることができるということが
規定
されているのでありますが、
所長
以外の者でも、その所の職務に妨げない限り、その
町村
の
社会福祉
に関する
事務
を行うことができるという
規定
を設けまして、
実情
に即するようにいたした点が、お
手元
に差上げましたものの中でかわ
つて
いるのでございます。 次に、
法案
の
内容
を簡単に御説明申し上げますと、この
法案
は、第一に、
社会福祉事業
はどういうものであるかという、この
法律
の
適用範囲
を明らかにいたしますと同時に、
社会福祉事業
の
経営主体
について、ある程度の
制限
の
規定
を設けました。次に、ただいま申し上げました
福祉
に関する
事務所
を
設置
する
規定
、それから先般制定せられました
社会主事設置
に関する
法律
をこの
法律
の中に取入れまして、
社会福祉主事制度
の
規定
と、この
福祉主事制度
というものが、その質が向上しなければならぬという点にかんがみまして、その
指導訓練
の
規定
を設け、
社会福祉事業
の
主体
といたしまして、先ほど申しました
社会福祉法人
という
特殊法人
の
制度
を創設いたしまして、これの
規定
を設けました。なお各
方面
から強い要望のございました
共同募金
と
社会福祉協議会
の
規定
を、この
法案
の中に入れたのであります。 まず、
社会福祉事業
の
範囲
につきましては、
法案
の第二条におきまして、
社会福祉事業
の
範囲
をきめてございます。ここでは第一種
社会福祉事業
と第二種
社会福祉事業
の二つに
事業
をわけまして、第一種
社会福祉事業
におきましては、主として人を
施設
の中に入れまして、その
施設
でも
つて
生活
をさせるといつたものにつきましては、これが人権に及ぼす影響が重大でございます。特にそこに入ります者が社会的に弱い環境にありますものであることを
考慮
いたしまして、この点につきましては、特に厳重なる
監督
の必要があると考えまして、これは第一種
社会福祉事業
として、特別な
取扱い
をすることにいたしました。なお
更生保護事業
といたしまして、資金を融通いたしますとか、あるいは
仕事
をさせまして、それから収入を得させますとかいつたふうな
事業
につきましては、その対象となりますものが、特に経済的に弱い立場にあるという点を
考慮
いたしまして、これらの者が、その
施設
によりまして搾取せられることがないようにするために、これを特別なる
監督
のもとに置く必要があると考えられますので、これらのものを第一種
社会福祉事業
といたしたのであります。その他の
社会福祉事業
は、大体網羅いたしまして第二種
社会福祉事業
といたしました。これにつきましては、割合に自由にこの
仕事
を行うことができるようにいたさせました。そしてこれによ
つて
、こういう
福祉
の増進という
仕事
が、
民間
の
意向
によ
つて
伸びるような
考慮
を
払つたの
でございます。 なお
更生保護事業
は
更生緊急保護法
によるものでありまするので、この
法律
から除外いたしました、また非常に
期間
の短い
仕事
、あるいは
取扱い
まする人の非常に少いものにつきましては、この
法律
でも
つて
いろいろな手続をいたしますることが、かえ
つて
煩瑣であるという点もございまするので、これらにつきましては、この
法律
から一応省いたのでございます。 なお、この
法律
に基きます
社会福祉事業
の
経営主体
といつたようなものにつきましては、
生活保護法
とか、あるいは
児童福祉法
、あるいは
身体障害者福祉法
とかいうような
法律
よりも優先する
法律
がございますので、その方で優先される場合についても、そういうもとの
法律
の
改正
が必要であろうと考えられます。 次に、
福祉
に関する
事務所
でございまするが、その前に
法案
には、第二章で
社会福祉審議会
というものが設けられております。この
社会福祉審議会
は、現在の
社会事業法
にありまするところの
中央社会事業審議会
というものを受継いだものでございまするが、さらにその
仕事
の
内容
を明確化いたしますとともに、
生活保護法
の
施行
に関する
事項
の
調査審議
ということが特に重要であると考えられますので、その方を扱いまする
専門分科会
を設けることを、特に
法律
に
規定
いたしたのでございます。もちろんそれ以外にも
専門分科会
を設けることができますることは、言うまでもないのでありまするが、
生活保護法
に関しまする
専門分科会
を特に設ける
規定
を設けたのでございます。
福祉
に関する
事務所
の
設置
の必要につきましては、先ほど申し上げました通りに、
法的扶助制度
の確定と。その
専門技術化
の要請によりまして、さきに
生活保護法
が
改正
せられ、また
社会福祉主事
の
設置
に関する
法律
が制定せられたのでありまするが、
社会保障制度審議会
の
勧告
の線に沿いまして、この
法的扶助制度
の
運営
の
合理化
、経済的な
組織
の必要といつたようなところから、この三法の
施行
に関する
現業
の
行政機関
といたしまして、
福祉
に関する
事務所
を
設置
することにいたしたのであります。
社会保障制度審議会
の
勧告
によりますれば、先ほど申しましたように
人口
十万を
単位
といたしまして、
福祉
に関する
事務所
を設けることに相な
つて
おりまするが、一方
地方行政調査委員会議
からの
勧告
によりますると、これらの
事業
は、できるだけ
市町村
でやらせるようにすべきであるという
勧告
を受けておるのでございます。これらの
両者
を勘案いたしまして、また
福祉
に関する
行政事務
というものを、個人々々に実際上まかせてしまうといつたようなことをなくする意味からいたしまして、つまりその運用を、ある程度のチームでも
つて
この
仕事
をやらせる必要があるというところから、いかなる場合におきましても、
福祉
に関する
事務所
という
組織
ができる
最低
の
単位
というものを考えまして、それができるところにおきましては、
町村
でありましても、その
組織
をつくらせることにいたしました。もちろん市につきましては、そういうものをつくることができる
実情
にございまするので、市には
福祉事務所
をつくる。なお
町村
におきましても、これができますところにおきましては、
福祉
に関する
事務所
をつくることができるようにし、また先ほど申し上げましたように、
町村
の
一つ一つ
の
組合
でも
つて
福祉
に関する
事務所
を設けるということもできるようにいたしました。それらのできないものにつきましては、
都道府県
におきまして、大体
人口
十万ぐらいの
単位
、すなわち現在の
地方事務所
の
地域
を
基礎
といたしまして、
福祉
に関する
事務所
を設けさせることにいたしたいと存ずるのでございます。その
最低
の
単位
と申しますのは、
現業
に直接当るものと、これを
指導監督
いたしまするものとの
組織
によりまして、
仕事
をやらせるという形をとりたいと考えております。 次に、
社会福祉主事制度
の問題でございますが、これは先般
国会
で御議決になりました
社会福祉主事
の
設置
に関する
法律
、これを受継ぎまして、大体その
規定
をそのまま取入れたのでございます。 なお、先ほど申し上げましたように、その
指導
、
訓練
ということが特に重要であると考えられますので、第五章に
指導監督
及び
訓練
という
規定
を設けまして、計画的にこれを
施行
いたしまして、その質を向上させるということを、
法律
上明らかにいたしたのでございます。これは特にそういう
現業
の
仕事
の
やり方
、
福祉主事そのもの
の質の向上といつた点に重点を置いたのでありまして、
行政
の
監督
の面は、それぞれ
関係
の
法律
でも
つて
やることに相なるわけであります。 次に、
社会福祉法人
につきましては、これも
社会保障制度審議会
の
勧告
に従いまして、
社会福祉事業
の
純粋性
を保ちましてその
公共性
を高め、
社会的信頼
を得まするために、特別な
法人
を設けまして、
民法
の
公益法人
にかえようといたしておるのでございます。
民法
の
公益法人
は、現在では非常にこれが多数設立せられておりまして、その現在の
規定
が不備でありまするために、これに対する
監督
が十分行われない。そのために適当でないものが
公益法人
としてできて来る
可能性
が相当多く、また実際にも
公益法人
の中で適当でないものが相当あるように考えられるのであります。そのために
社会福祉事業
を行いますところの
法人
が、対外的にそれだけでは信用がない、またこれに対する
各種
の助長をいたすことも困難であるといつたような点からいたしまして、こういう
法人
を設けようといたしておるのでございます。この中におきましては、第二十三条のような名称の
保護
の
規定
、
財政的基礎
の
強化
のために第二十四条のような
規定
を設け、定款の
必要記載事項
につきましても、第二十九条におきまして、従来の
民法
よりはさらに整備されたものにいたしました。役員につきましても、第三十四条でも
つて民法
と異なる
規定
にいたしました。さらに四十条で
評議員会
という
規定
を設けまして、この
運営
の適正を期することができるようにいたしまして、これら
法人
の
機関
の
整備強化
という
規定
を設けたのであります。 なお現在のような
経済状態
におきましては、
社会福祉事業
をやります
法人
におきまして、
収益事業
を営みまして、その
収益事業
によりまして、その財源を得ることが必要でありますけれども、これについての
監督
の
規定
というものが、従来の
収益事業
についてはないのであります。それでこういう
実情
に応じまして、
収益事業
に関する
規定
を新たに設けまして、これに対する
監督
を厳にするとともに、これが育成され得るような
措置
を第二十五条と第五十五条とに設けました。 また
弱小法人
を
強化
するためには、
法人
の合併が必要である場合もあるのでありますが、これにつきましても従来
規定
がございませんので、この
制度
を新たに設けました。これは四十六条から五十二条まででありますが、その
規定
を設けたのであります。また解散した際におきまするところの
財産処分
を適正にする必要もございますので、第二十九条第三項にその
規定
を設けました。なお公の
支配
に属します
社会福祉法人
に対します
助成
の必要があるというように考えますので、とりあえず災害におきまする
緊急復旧
に限りまして、公の
支配
に属する
社会福祉法人
に対する
助成
の道を新たに設けたのでございます。その他
免税
につきまして
各種
の
考慮
をいたしまして、この
法人
が健全に育成されるようにいたしたいと考えておるのでございます。 なお
社会福祉法人
につきましては、先ほど申しました
社会福祉事業
の中の第一種
社会福祉事業
を営みますところのものは、
原則
といたしまして、国、
地方公共団体
及び
社会福祉法人
に限ることにいたしました。もちろんこれ以外のもので適当なものが第一種
社会福祉事業
を行うことは、とめるべきものとも考えられませんので、その場合につきましては、許可を受けてこれをやることができるようにいたしまして、
社会福祉法人
におきましては、その場合に届出でいいということにいたしてあります。
社会福祉法人
以外のものがいたします場合につきましては、
社会福祉法人
とは別に、
各種
の限定の
規定
が設けられております。 次は
共同募金
と
社会福祉協議会
でありますが、これにつきましては、第八章にこの
規定
を設けました。
都道府県
の区域内におきまして、現在
共同募金委員会
が設けられまして、
共同募金
を行
つて
おります。またその
地域
内におけるところの
社会福祉事業
の
計画化
、経済的な
運営
といつたような
関係
を
考慮
いたしまして、現在各地に
社会福祉協議会
が
設置
されつつあるのでありますが、この
両者
につきましての法的の根拠及びこれの大きな
原則
を
規定
いたしますと同時に、
共同募金
と
社会福祉協議会
とが表裏一体の
関係
を持ち、しかも
社会事業
に対しまする一方的な
支配
を排除するといつたような点から、
規定
を設けたような次第でございます。ただ
共同募金
につきましても、
社会福祉協議会
につきましても、ともにこれは実際の
社会事業
の自発的な、自由な、また円滑な活動というものを促進する必要がございますので、いたずらにこれに対しまする
制限
を設けることなく、
必要最小限度
の
規定
を設けるにとどめたのであります。
つまり共同募金
につきましては、
共同募金
の
原則
的な
事項
、またたとえば自発的な協力あるいは配分についての公明な
措置
といつたような
規定
を設けてあるだけでございまして、これにつきましては、国、
地方公共団体
が不当なる干渉をしないように配慮いたしてあるのであります。
最後
に、
社会福祉事業
と
免税
の
関係
におきましては、
登録税
につきましては、
社会福祉法人
は全免することにいたしてございます。
法人
の
収益事業
に関しましては、これはこの
法案
には直接出ていないのでありますけれども、現在
財政当局
との了解では、
損金算入
を三〇%から五〇%に引上げることに
話合い
をつけておるのでございます。但し、これは政令でも
つて
その
規定
をすることにな
つて
おります。また
寄付金
に対しますところの
法人税
の
損金算入
につきましても、これに準じた
取扱い
をするようにいたしたいというので、
話合い
をいたしております。これも
法律
の方には
関係
ございません。その他現在
各種
の
法人
に認められておりますところの税に関する利益というものが、これよりも多く認めておるものがございましても、少くはな
つて
おらないのでございます。大体以上申し上げましたような
内容
を持ちまして
公私
の
社会福祉事業
の
組織
と
社会事業施設
並びに
事業
の
経営
といつた点につきましての根本的な
規定
を盛り込みまして、この
法案
を
作成
いたしてあるような次第でございます。
最後
にこの
法律
の
施行
の
予定
を申し上げますと、
社会福祉主事
の
設置
に関する
法律
は、今年の四月一日から全部の
町村
に
社会福祉主事
を置かなければならないということにいたしておりまするが、この
法案
によりますと、
町村
の中で
福祉
に関する
事務所
を設けるところだけ
社会福祉主事
を置けばよろしいということに相な
つて
おりますので、その
規定
だけは四月一日に
施行
いたさないと
町村
が困るというような事態に相な
つて
おります。それでその
規定
だけは四月一日から
施行
いたすことにいたしたいと考えております。 それからその他の点につきましては、二箇月の
猶予期間
を置きまして、六月一日から
施行
するようにいたしたい。
福祉
に関する
事務所
につきましては、これは
設置
の準備もございますので、半年余裕を置きまして、十月一日から
施行
するようにいたしたい。これにつきましては、
地方財政委員会あたり
とも協議いたしまして、
平衡交付金
の
内容等
を勘案いたしまして、半年
分程度
しか一応金がないというところて、十月一日から
施行
することにいたしたわけであります。 なお、先ほど申しましたように、この
社会福祉事業法案
におきましては、主としてここで考えておりまする法の
組織
が、
生活保護法
、
児童福祉法
、
身体障害者福祉法
、この三法の
施行
というものを主として考えておりますので、この三法につきましてもこの法を制定いたしますと同時に、
改正
しなければならぬ部面が多々あるのでございます。これにつきましては、この
法案
を
作成
いたしますまでに間に合いませんので、その三法の
改正
につきましては、別に
法案
をつくりまして提案いたしたいと考えておるのであります。これは先ほど申しましたように、
福祉
に関する
事務所
の
規定
が十月一日から
施行
いたしますことに相なりますれば、十月一日までに間に合えば大体よろしかろうというふうに考えておるのでございます。 以上まことに簡単でありますが説明を終ります。
松永佛骨
3
○
松永
委員長
本件につきましての御質疑はありませんか。
委員外
の
金子與重郎
君から発言を求められましたが、これを許すに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松永佛骨
4
○
松永
委員長
御異議なければ
金子與重郎
君。
金子與重郎
5
○
金子與重郎
君 こまかいところは、
あと
で質問させていただくことにしまして、ちよつと今の説明の中で思いついた点を、御質問申し上げたいと思います。 この
事務所
の問題が、
町村
で置いてもよろしいし、
町村
で置かなければ
人口
十万
単位
、いわゆる
地方事務所
単位
で設けてもよろしいということになりますれば、そういつた場合には、
地方事務所
単位
の中で、かりに十箇村のうち三箇村は設けておる、
あと
の七箇村は設けておらぬということになりますと、その
地方事務所
単位
程度の
福祉事務所
の管轄というものは、残された七箇村に限
つて
やるということになりますか。
木村忠二郎
6
○
木村
(忠)
政府委員
ただいま御質問の通りでありまして、第十三条に、府県が設ける場合におきましては、市及び
福祉
に関する
事務所
を設ける
町村
の区域を除いた区域を管轄区域といたすことにしております。
金子與重郎
7
○
金子與重郎
君
やり方
はそういうことだといたしましても、その意味がちよつと了解に苦しむのであります。たとえば今度の
福祉
事業
を大きく二つにわけて、直接その人を収容するようないわゆる第一種、それ以外の
福祉
事業
というものは第二種、いわゆる
生活保護法
というものを
主体
にしたものを第二種というふうな形になりますと、
町村
ごとに
福祉
主事というものがあ
つて
も、そこに何らか
福祉
主事を援助するというふうな形のものが、審議会の形なり、か
つて
の
民生委員
の形なりなければ、実際上運用できないと思います。そうしますと、今度は
福祉
主事を置かない
町村
があるということになりますと、各
町村
末端の部落の
生活
保護
を要するか要せぬかという問題まで、これは郡
単位
での
福祉
主事がこれを
福祉事務所
において処理するということになりますか。
木村忠二郎
8
○
木村
(忠)
政府委員
福祉事務所
におきまする
職員
は、
福祉事務所
の中にすわ
つて
おるのではないのでありまして、これは常にその管轄区域をまわりまして、そこでも
つて
そういう人の発見をいたしましたり、あるいは相談に応ずる、あるいは申出がありましたものにつきましては、ただちに出かけて行
つて
その調査をするというようなことにするつもりであります。もちろん
市町村
につきましては、現在
生活保護法
の
改正
で考えておりますが、
町村
にその申出がございました場合には、
町村
からただちにそれを連絡するようにという
規定
を設けまして、そういう
町村
が
福祉
に関する
事務所
に協力する義務の
規定
も設けまして、その
運営
に遺憾なきようにいたしたいと考えております。現在の状況から申しますると、やはり逐次被
保護
者あるいは被
保護
者にかわる者から、積極的に
保護
を求めて来るというようなふうにいたしたいと考えておりまして、こちらから出かけて探すということもいたしますけれども、むしろそれよりは、本人の自発的な希望をできるだけ出すようなふうにいたしたいという考えであります。これにつきまして、従来の
民生委員
でございますが、これは役所の方の代表といたしましてそういう者を探すのではなくして、むしろそういう困つた人の味方としてこういうものがあるということを通報すると同時に、それらの手続等につきまして
民間
側として、これに対する助力をするといつたふうな形にいたしたい。つまり従来役所の出先でありましたものが、むしろ要
保護
者の方の側に立つようなふうになるべくいたしたい、かように考えておるわけであります。従いまして、現在
町村
におきまして、
福祉
主事をつくらねばならぬというところまでは考えておりません。
金子與重郎
9
○
金子與重郎
君 その点は、あなたのお話としてはわか
つたの
でありますが、実際問題として、か
つて
の
民生委員
のようなもの、これは受ける方の側、今度の
福祉
主事は役人として施す方の側というふうな見解でこの
仕事
をおやりになることが、はたしていいか、あるいは官だとかあるいは民だとかいうことではなしに、
一つ
の
町村
が自主的にこれをやる方がいいかということに対しては、多分に私は割り切れない問題が、また農村の実態を見たときに、あるいは都市の末端の長屋階級を見たときに、はたして
福祉
主事という役人が、そういうような形で働くことがいい結果が来るかどうかということに対しては、私としてはまだ多分に疑問があると思うのであります。 とにかく、それはそれといたしまして、そうしますと、この法といたしましては、こういう場合はありませんですか。たとえば、
生活保護法
のような場合で、その
町村
の一部負担になる場合と、
一つ
の負担が
町村
なり、国というものとわかれるような場合も、この中にはあると思うのでございますが、その点はどうなんですか。
木村忠二郎
10
○
木村
(忠)
政府委員
生活保護法
の
改正
案がここに出ておりませんので、まことに申訳ないと思うのでございますけれども、大体現在までわれわれとしまして持
つて
おります結論は、従来国が八割、
市町村
が一割、県が一割、こういう負担割合であつたわけであります。今度
改正
いたしまして、国が八割、残りの部分はそれを実際に実施する場所が受持つ。ですから、府県が二割持つところもありますし、
市町村
が二割持つところもございます。
福祉
に関する
事務所
を設けます所は、二割を持たなければならない、それから国が残りの八割を持つ、こういうふうに二つに分ける。大体そういうふうに考えております。
苅田アサノ
11
○苅田
委員
法文の読み方だけちよつとお聞きしたいのですが、三十四条の4の一ですね。「
生活保護法
、
児童福祉法
、
身体障害者福祉法
又はこの
法律
の
規定
に違反して刑に処せられ」というふうに書いてありますが、そうしますと、これは
生活保護法
、
児童福祉法
、
身体障害者福祉法
の
規定
に違反してというのと、またはこの
法律
の
規定
に違反してと、こういうふうに読んで行くのでしようか。
木村忠二郎
12
○
木村
(忠)
政府委員
その通りでございます。
松永佛骨
13
○
松永
委員長
他に本件についての御発言はありませんか。 ————◇—————
松永佛骨
14
○
松永
委員長
それではこの際、小川結
核予防課長
より発言を求められておりますから、これを許します。小川結
核予防課長
。
小川朝吉
15
○小川説明員 お許しを得まして、去る十日の本
委員
会におきまして、丸山
委員
からの御質疑に対しまして御説明した際に、若干誤りがありましたので、御訂正させていただきたいと思います。その際に、丸山
委員
からは、病床二十床に満たない診療所の結核病床は幾らくらいあるかというお尋ねであつたかと存じますが、私間違えまして、これを二十床以上の病院、二十人以下の
結核患者
を収容している所というふうに誤解いたしまして、御答弁いたしたかと存ずるのであります。先般申し上げましたのは、二十床以上の病院として開設せられている病床のうち、二十人以下の
結核患者
を収容する所がおよそ一万ぐらいである、こういうふうに申し上げたのでございまして、御質問の趣旨がもし病院でないいわゆる診療所で二十床以下の病床を有するものという御質問でありましたならば、誤りでありますので、御訂正いたしたいと存じます。従いまして、将来
医療法
の十三条の
規定
が発動せられましても、過日申し上げました一万床というものは、減少するわけではないのでございますから、さよう御了承願いたいど存じます。
丸山直友
16
○丸山
委員
そういたしますと、二十床以下の病床を持
つて
いる診療所、この診療所の全国のベツド数は約六万あります。その六万のうち、結核病床として使われているものの数はどのくらいあるかということは、おわかりになりますか。
小川朝吉
17
○小川説明員 私どもの
手元
ではまだはつきりした数字がございません。
松永佛骨
18
○
松永
委員長
他に御発言もないようでございますから、本日はこの程度で散会し、明十四日は午後一時より開会をいたします。それでは散会いたします。 午後零時十一分散会