○高田
政府委員 ただいま
お話にございましたごとく、第五国会で両院の御決議がございましたのですが、それに対しまして、当時の林厚生大臣から政府の
考え方につきましてお述べに
なつておるのでございますが、その後現在まで努力して、いかに相
なつておるかということを、ごく
事務的に御報告申し上げたいと存じます。もちろん私
どもの所管でない、厚生省所管以外のこともたくさんございまするので、それらの正確なことにつきましては、それぞれの所管のところからお答えを申し上げる方が当然でありますが、私
どもが承知いたしておりまする限度において、御報告申し上げたいと存じます。これらの全部にわたりまして、政府だけでなく、皆様方の直接あるいは間接の御援助をいただいて、皆様方のお力で実現した分野も相当たくさんあるわけでありまして、私がお答えするまでもなく、御承知のことも多々あると存じまするが、一応お聞きとり願いたいと思います。
社会保障制度につきましては、御承知の
通りのいきさつに
なつておりまするので、これは省略させていただきます。なおこれに関連いたしまして、公的
扶助制度の中心をなす生産
保護法の問題につきましても前の国会で御審議をいただきましたので、皆様方よく御承知の
通りの改正をいたされたわけでございます。決議によ
つて要求されておりまする
教育扶助、住宅
扶助の拡大等が行われるような
内容のものに
なつたこと、それから
予算等も年々
増額を見ておりますることは、皆様方御承知の
通りでございます。
次に、未亡人の
方々等が持
つておられまする子女の育英の問題につきましては、これは御承知のように、義務
教育のものは、
生活保護法の
教育扶助を行いまして、高等
学校及びそれ以上の就学希望のものは、優秀性と経済困難を採用条件として国費の貸与を
行つていることは、御承知の
通りでございます。どの程度に
行つておるかと申しますると、
昭和二十四
年度におきましては、新制高等
学校に通
つております者でこの育英費の貸与を受けまたし者の中で、父なき者が四三%を占めております。大学以上におきましては二六%という
状況に
なつておりましたのが、二十五
年度におきましては、高等
学校、第一次におきまして、父なき者が
増加したしまして五〇%に相
なつております。短期大学の採用は、これも
増加いたしまして、三二・二%を占めておるそうでございます。なおこれに関連いたしまして、
予算は二十四
年度九億円が二十五
年度十五億円、二十六
年度は二十二億円の
予定に相
なつております。
次は弔慰金、遺族年金というふうな問題でございまするが、この問題は、今日までのところは、遺憾ながら実現をいたしておりません。将来の問題につきましては、ただいま大臣がお答えに
なつた
通りでございます。
生業資金制度の拡充の問題につきましては、努力を重ねておるのでございまするが、一般の社会情勢の
関係上、
国民金融公庫法による生業資金の小口貸付は、あまり活発に行われませんでした。しかしながら厚生省の方で
予算をと
つておりまする
更生資金
——これはやはり金融公庫の方でその
事務をや
つておりまするが、これは二十四
年度返還金ともに七億円を貸し出し、二十五
年度八億円、二十六
年度も大体八億円を
予定いたしております。これは国費に
関係ある部分でございまするが、このほかに二十大府県におきましては、純県費をも
つて、生業資金の貸付を目下実施いたしております。
次に、母子
福祉事業施設といたしまして、御承知の授産所でございまするが、これは従来存在いたしましたもの、その後ふえましたものにつきまして、昨年の五月、運営の刷新をいたしまして、稼働能力の限定されたものだけに有効に使用せしめるという方針を強力にとりました
関係上、母子世帶のものの利用率が七三・三%を占めておる現状でございます。なお母子寮、保育所というような問題につきましては、午前中
予算に関連をいたしまして御
説明を申し上げたところでございまするが、二十四
年度におきましては、母子寮が二十七箇所、保育所は百二十五箇所しかなか
つたのでございまするが、三十五
年度には飛躍的に
増加をいたしまして、保育所が三百三十二箇所、母子寮か百二十七箇所新設、修理を行いました。三十六
年度も午前中に御
説明申し上げましたように、二十五
年度よりはもう少し力を入れて行きたいと
考えておる次第でございます。
次に、課税の減免については、これも皆様方の御尽力によるところが非常に多いのでありますが、二十五
年度において、
地方税法のうち、
市町村民税に寡婦について所得割及び均等割の相互について、非課税の取
扱いをいたすように税法が相
なつたことは御承知の
通りでございます。なお所得税法につきまして、寡婦及び老齢者に対する特別控除制度を創設することの改正案及びこれに関連をいたしまする
地方税法の改正も
検討中でございます。これによりまして、
負担の軽減が予想できる現状でございます。
その他農地の問題、供出の問題、職業の安定の問題等につきましても、御決議の趣旨はわか
つておるわけでありますが、これらは具体的にどうこうということを申し上げるほど、私承知いたしておりませんけれ
ども、
関係各省より、それぞれの通牒その他の努力をしていただいておる現状でございます。
なおこの御決議の趣旨に関連いたしまして、
昭和二十四年十一月三十八日に、次官
会議で母子
福祉対策要綱
——これは未亡人の問題を中心にいたすのでありますが母子
福祉対策要綱を決定いたしまして、十一月三十日に閣議決定を経て、各都道府県知事にその趣旨を徹底をいたしまして、
地方において努力を願
つておるわけでありますが、その結果目下四十三県
——ほとんどの府県にわたりますが、四十三県におきましては、この実施のために純県費
予算をも
つて、一番多いのは、母子相談
事業でありますが、母子相談
事業の生業資金の貸付、授職補導
事業、育英
福祉資金貸与、内職ステーシヨンというようなものを設置いたしまして、それぞれ努力をいたしておりますことを、つけ加えて御報告いたしたいと存じます。