○瀬戸山
委員 今の問題は日本の法制史上初めてここにできて来たものであります。裁判所や法務
委員会はどういうふうに
考えておるかわかりませんが、突然
土地収用法に
土地の供託をするということがひよこつと出て来ておりますので、日本の法制からいうと、これは画期的なものだと思いますが、今の御
説明でうまく行くのでありましようから、これ以上は追究いたしません。ただもう一つ、これは昨日からも問題にな
つておりますが、先ほど
提案者から、
土地調整委員会から非常に強い要望があ
つたからこれを挿入したという御答弁でありましたが、
土地調整委員会の設置法の規定を見ますると、この
土地収用について
建設大臣が
土地調整委員会に
意見をあらかじめ聞くことが二箇所ほどありますが、きわめて私は不自然なことだと思います。それはきのうからも
村瀬委員その他から非常な議論がありましたが、先ほどの御答弁を聞いておりますと、
土地調整委員会から強い要望があ
つたからかようにいたしたと言われますが、要望すれば何でもいれてやるというのは、けつこうでありますが、大体
土地調整委員会は、私が
説明するまでもなく、これは鉱業または採石業、これについての
土地の調整をするのが、主たる目的であります。同法の第三条から第四条にちやんと事務及び権限が書いてあります。詳しく申し上げるとまた怒られますので、簡単に申し上げますが、一体
法律をつくるときには、そう簡単にや
つては私は困ると思
つております。大体第三条には、「
委員会は、鉱業又は採石業と一般
公益又は農業、林業その他の産業との調整を図るため、左に掲げる事務をつかさどる。一鉱区禁止
地域の指定に関すること。二鉱業権又は採石権の設定等に関する異議の
裁定に関すること。三鉱業又は採石業のための
土地の
使用又は
収用に関する異議の
裁定に関すること。」、これだけが
土地収用委員会の事務になるわけであります。それから第四条に権限が書いてあります。十五項目にわかれておりますが、
土地調整委員会から申出があ
つたとすれば、権限をひとつふやそうということの
考え方から出て来たと思いますが、その根拠は、第四条の十五号の「前各号に掲げるものの外、
法律(これに基く命令を含む。)に基き
委員会に属させられた権限」これだけが一つの根拠にな
つておると思います。
従つて今度は
土地収用法で、幸いにして
諮問機関としての権限が与えられたから、初めて
調整委員会がこれにタッチするという
関係になるのでありますが、初めからそういう権限は一つも
土地調整委員会設置法には出ておらない。それが今度は向うから頼まれたそうでありますが、
土地収用法によ
つて、初めてこの権限が与えられておる。これでは逆なのです。全然向うに権限がないのに、これで与えられておる。しかも各種の機関が、先ほど申し上げましたように、いろいろ複雑な
手続を経て、
収用、
使用をする。
建設大臣が
最後の決定をする。それに対して全然無
関係の
調整委員会に、あらかじめ
意見を聞かなければならない。その
調整委員会の
意見が
最後的の
決定権があるかどうかということを、昨日
村瀬委員が非常に論議された。それに対しては明確な答弁が出ておりません。
意見を聞くのだから、常識的に
判断すれば、参考
意見ということになりますが、そのくらいのものであるならば、何も
関係のない
委員会につながりを持つ必要は全然ないと思います。少くとも
建設大臣については、訴訟のところで非常に問題にな
つておりますが、
最後決定をする
建設大臣が、
ほんとうにぎりぎりのところに来て、無
関係な
調整委員会の意員を聞くなどということは、行政の簡素化を必要とする際において、実にこつけい千万だと思います。しかしここでかように急いでおられる
委員会で、修正するなどということは夢にも
考えられませんので、こういう
法律をつくられるときには、こういうことを初めから整理してかかるべきものである。いらぬところでつながりをつけて、事務を非常に複雑にする。この
土地収用法全般から見ても、事務が非常に複雑にな
つておると思います。いわゆる
私権を尊重することは当然でありますけれども、そのために事務が非常に複雑になる。さらにそのようなものを持
つて来て、一枚それに加えるというような状況になる。これはきのうから
調整委員会について問題にな
つておるのも当然であると思います。これに対して、頼まれたからやられたという答弁がありましたから、私はこれに対してお答えをいただくつもりはありませんが、たださつき第三条において全部網羅したと言われたけれども、はずれておるものがたくさんある。鉱業法でも同じであります。鉱業法の百七条には、いわゆる
土地の
収用、
使用についての規定がある。そこで私は
最後に一点、これは
提案者でもよろしいのでありますが、政府当局にどういうお
考えでおられるかということを伺
つておきたいと思います。鉱業法でも、その他の
土地改良法でも、
放送法でも、全部明治三十三年の現行の
土地収用法を適用したり、準用したりしております。先ほども
施行期日はどのくらいになるかということに対して、大体六箇月ないし九箇月以内にやりたい。それまでにはこの
関係法規を全部整理してこの
法律に合うようにしなければ、とてもちぐはぐになるのでありますが、この点はどういうふうな
考え方でおられるか。