○今村(忠)
委員 大体
事務的な各それぞれの
関係官庁におきます態度はわかりました。その結果私も強く感じたことは、新憲法下における
民主主義のはき違えは、
一般国民において当然あるのであるけれども、同時に官庁においてもあると私は考えざるを得ない。すなわち憲法が改められまして、ことにアメリカの憲法のいろいろよい長所を取入れるのに努力されているのが、今日のわが日本の行政面であろうと思うのであります。ところがアメリカの憲法の
精神は三権分立に基礎を置いておるのであります。
立法府がきめたことを行政府が行う。それが実に厳格にな
つておるというのが、アメリカ憲法の特徴であろうと思うのであります。しかるに日本の憲法は、かような憲法の特徴を入れたといいつつ、どこかに英国の憲法の
精神あるいは
制度なぞが取入れられてあるという注釈がついておるような気がいたすのであります。その結果、従来あ
つたところの三権分立という立場から見れば、官庁においてはなはだ政治的な行為があり過ぎると思われる点が、いまなお残
つておると思う。それが今言う予算の上の補助金というような姿で、まだ現存しておると指摘したいのであります。つまり官庁へ直接国民が泣き込めば、
簡單な言葉で言えば、いわゆる政治が行われる。
立法府できちんときま
つたものを官庁が行うだけなのが、アメリカの憲法の
精神で、アメリカの官庁をわれわれが訪ねて強く感ずる点であります。しかるに日本の場合は、一括して補助金というものがあ
つて、陳情隊が来ていろいろ運動をすると、そのうちのある程度の裁量ができる。これは飯田の補助金、つまり火災後の都市計画に関する補助金の運動をみずからいたして、実は痛切に感じている点である。運動した方が効果があるという事実を私自身が知
つた。これがいいことか悪いことかということを真剣に考えながら、私はアメリカ視察に参
つて、アメリカの官庁ではさような問題に対してどうかという質問を、私自身直接いたしております。ところがアメリカにはそういうものはないという。ところが日本では、先ほど来私が指摘している
公共事業費の補助金の使途が、はなはだ適正でないような感じがするということを、実際面から順次触れて、
各省のそれに対するいろいろな処置あるいは御
意見等を承
つて、なおさら私も感じを強くしたのでありまして、どうしても私は、この
立法と行政の点が、いま少しはつきりしなければならぬと思う。これは一朝にしてできかねることかもしれませんけれども、これを直さない限り、私が指摘いたしておる
公共事業費の補助金の適正に使われているやいなやというような、根本問題の
解決はつかぬと思うのです。私はかような点から、この問題に関する質問をしながら、個々の起きて来た不祥
事件について追究しないのはそれなんです。やはり私は新憲法下の
一つの盲点と指摘して、これをどうするか、官庁の側、言いかえれば行政の側と
立法面において、真剣に考えなければならぬ問題であると私は思うのであります。それで今皆様方の質問に順次答えてくれたところのものを総合してみますと、さきに同僚の議員であります松井豊吉氏並びに
田中角榮氏からも、
公共事業費等が適正に使われているやいなやということについては、やはり私どもと同じように、
一つの信じ切れない気持を持
つておりまして、松井氏は、国会に何か技術的、会計的な検査をする
委員会を新たに設けるべきではないかということを、
意見として述べられておりますし、
田中角榮代議士は、決算
委員会を強化、拡充するといいますか、何かもう少し決算
委員会の
権限を、今のようなものではなくして、これにある程度今の点を監査するといいますか、最後的決定をする力を持たすべきではないかという
意見を述べております。やはり何かいわゆる新憲法下における盲点を是正する努力をいたさなければならぬと思うのでありまして、先ほどもちよつと指摘しておきましたように、補助金
制度をなくす、ことに一括的計上をする予算の立て方をなくす。具体的に一例をも
つてすれば、
災害があれば、その査定だけは政府でや
つて、支出はとりあえず
都道府県において、その査定を受けたものに基いて、一時低利による借入金なりあるいは
地方債を認めてやらす。そして翌年度にどういうように立てるかというと、
地方交付金のごとき形にして与えて行く。つまりはつきり明記されて要求して来た額に対して補助金という形にな
つて出て行くようにする。先ほど私は日本に陳情というものが行われる結果、いろいろの不祥
事件を起す、あるいは汚職
事件を起すのであるから、これをなくしたらどうかと言
つたが、それがこれで是正できるような気もするのであります。つまり大蔵省の予算の立て方は、どこまでも費目を明らかにしないものは計上しないが、その間すみやかに復旧
工事にかかれるために、
地方の
都道府県に低利融資をするなり、
地方債を発行することを認める。こういうようなものをかりにつくるとしたならば、今われわれが指摘しておるような、
公共事業費の使途に関する不祥
事件の、まず基礎をなす原因的なものがなくなるのではないか。第二段には、そうは言うけれども、どうしても実際
工事の
経過に伴
つて、技術上の検査と会計上の検査を、やはり適正に、しかも力強く行う必要があると思うのでありまして、これにつきましては、従来皆様方のなさ
つているところを承りますと、やはり不十分だと思う。
各省みなばうばうで、技術検査に行くのも経費の点で十分じやない。会計検査に至
つては、はつきり率直に、とても手がまわりかねてできておりませんということを明らかにされております。これはどうしても総合的検査
制度とでもいうようなものを考えなければならぬと思うのであります。そうしない限り、
公共事業費が適正に使われるということは、期しても得られぬような気がするのであります。それはなぜかというと、先ほど来言うように、国民の側の
民主主義のはき違えがあるようであります。つまり
地方官庁が、飯田市の
災害後における都市計画の復興の
経過を見てもわかる
通り、補助金をもらうために、経費が少しはかか
つてもいいという考え方を持
つている。それは極端に言えばもらい得だというような考え方から、五百万円もらうのに、百万円使
つてもいいじやないかということは、市会の議員みずからが、われわれに公言するくらいに至
つておるのであります。つまり
簡單にいえば、私は
民主主義のはき違えと思うのでありまして、かような国情下といいますか、実情下においては、この点を十分考えて、
制度のみ新しく
行つても、実際国民の側といいますか、社会がこれに伴わない実情であるという点を考慮して、
制度、
法律というようなことも同時に考えて参らなければならぬのではないかと思うのであります。この点につきまして、本日特に
建設省、経済安定本部、会計検査院、大蔵省、法務府等、
公共事業費の支出に
関連を持つ
各省の方に特にそろ
つておいでを願
つて、総合的立場からぜひとも
——私は全国的にこういう問題はあろうと想像するのでありまして、ただいま長野県下に、かようなぐあいに法に触れて大きな問題とな
つて出たのでありますが、その大小の差はありましようけれども、先ほど申し上げたように、ややこれに似たようなことが各地にあるのではないかと想像せられますので、どうあ
つても一千億を越える厖大な
公共事業費の使途が、適正でありやいなやということは、国会においても当然でありますが、行政の面からも真剣に考えていただきたい。それでこれらの衝に当る人たちに、ぜひともすみやかに、かような
公共事業費の適正使途という問題についての総合的な調査をなされて、どうしたら会計技術等の検査が適正に行われるか、これを考えていただきたいと思うのであります。われわれ
建設委員会におきましても、この問題はさきにも同僚松井、
田中両君からも
意見の開陳のありました
通り、
立法府としても何らかこれを研究して、いわゆる適正なる処置といいますか、
方法を考えて参らなければならぬと思うのでありまして、この点につきまして、せつかく
各省からそれぞれの責任ある方々が見えているのでありますから、ひ
とつ所信の点を伺
つておきたい、こう思うのであります。