運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-25 第10回国会 衆議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 村瀬 宣親君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       今村 忠助君    宇田  恒君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       内藤  隆君    西村 英一君       福田 繁芳君    増田 連也君       坂本 泰良君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      平井 平治君         建設事務官         (管理局長)  澁江 操一君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         参議院議員   岩沢 忠恭君         検     事         (検務局総務課         長)      宮下 明義君         建設事務次官  中田 政美君         会計検査院事務         官         (事務総長)  綿貫 謹一君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 五月二十三日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として田  中角榮君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された。 同日  田中角榮君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 五月二十二日  連合軍用木材等調達に関する請願野原正勝君  紹介)(第二一八六号)  災害復旧工事国庫補助金交付促進等に関する  請願平野三郎紹介)(第二二一〇号) 同月二十三日  連合国軍関係使用人中渡米留学生待遇改善に  関する請願前田種男紹介)(第二三三〇  号)  喬木村地内天竜川堤防修築に関する請願(今  村忠助紹介)(第二三七九号)  の審査を本委員会に付託された。 同月二十二日  耐火建築助成法案に関する陳情書  (第七五四号)  土地收用法改正に関する陳情書  (第七七一号)  東北興業株式会社法の一部改正に関する陳情書  (第七七二  号)  土地收用法案に関する陳情書  (第七八五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  土地收用法案岩沢忠恭提出参法第二三  号)(予)  土地收用法施行法案岩沢忠恭提出参法第  二四号)(予)  建設行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  去る十九日予備審査のため付託されました土地收用法案岩沢忠恭提出参法第二三号、及び土地收用法施行法案岩沢忠恭提出参法第二四号を一括議題といたします。この際提案理由説明を求めます。参議院議員岩沢忠恭君。
  3. 岩沢忠恭

    岩沢参議院議員 土地收用法並びに土地收用法施行法につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  現行土地收用法は明治三十三年に制定せられまして、現在に至るまで約五十年間、何ら根本的な改正がなされずに續けて来たのであります。その結果終戰後の新しい法律形態としては、不適当な幾多の点が明らかとなりまして、今回改正の要に迫られたのでありまして、そのおもなる点は左の通りであります。  第一点は、時代の変化に伴うて、公共利益となる事業種類を整備する必要があります。かつ、各事業根拠法規をあげて法文において明確にし、私権の保護をはかる必要があるのであります。  第二点といたしまして、電源開発等要請にかんがみ、公共事業施行のために、土地以外に水利権漁業権、その他水の使用に関する権利收用等に関して、明確に規定する必要が生じて来たのであります。  第三点は、土地收用できる事業認定方法及び手續において、現行法愼重を欠き不適当と認められますので、これに要する手續規定を整理する心要があるのであります。  第四点といたしまして、收用手續に入る前に、まず收用者及び被收用者間相互は、なるべく互譲精神調停申立て和解を進める道を開いたのであります。  第五点は、收用手續につきましては、現行法においては審査機関構成が非民主的でありますし、かつその審査手續も、官憲的、一方的で、愼重を欠くものがありますので、審査機関公平中立かつ民主的な機関に改めて、審査手續におきましてもこれを公開として、口頭による陳述の道を開きまして、当事者双方意見を十分に提出せしめることといたしたのであります。  第六点は、損失補償につきましては、現行法金銭による補償だけに限られておりますが、耕作者及び農民等保護するために、替地その他による現物補償の道を開くほか、被收用者に対して補償の完全を期し、その保護をはかつておるのであります。  以上が土地收用法に対する提案説明でありますが、どうか愼重審議の上に、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。  次に、土地收用法施行法案につきまして、簡單提案理由を御説明申し上げます。新土地收用法施行するために、土地等使用または收用に関する経過措置を定め、関係法令を改廃する必要が生ずる次第でありまして、これがこの法律案提出する理由であります。この内容のおもな点は次の四点であります。  第一点は、旧法規定によつて処分手續その他の行為は、新法相当する規定によつてしたものとみなすことといたした点であります。  第二点は、新法施行後は、なるべく新法によらしめるのが適当でありますので、手續継續中のもので、まだ結論の出ていない問題は、新法手續によることといたした次第であります。  第三点は、旧法によつてすでに成立しておる既得権は、できる限りこれを保護する建前をとつて買收権につきましては、新法施行後も、旧法の例に従つて二十年以内は買受けすることができることにいたしたのであります。  第四点は、土地收用法を引用いたしております関連法律を技術的に改廃した点であります。なお本法案につきましては、政府部内では関係各省間で十分検討いたしまして、事務的には完全に意見の一致を見ておる次第でございます。  以上簡單でありますが、この土地收用法施行法につきまして、一応簡單説明を申し上げたのでございます。どうか愼重審議の上、御賛同あらんことをお願いする次第であります。
  4. 内海安吉

    内海委員長代理 この際旧法と新しい法律の運営について、澁江建設省管理局長説明を要望いたします。
  5. 澁江操一

    ○澁江政府委員 ただいま土地收用法案並びに土地收用施行法案提案理由内容につきましては、大体の御説明提案者から申されたところで御承知通りだと思います。若干それに敷衍いたしまして、立案に関与いたしました建設省といたしまして、今の提案理由の各項目を順を追いまして、新旧法と対照しつ御説明申し上げたいと思います。  第一点は、事業種類を整備した点でございます。公益事業の主体は、御承知通りただいま公益事業によつて土地收用される、すなわち事業内容公益性を持つということが一方の要素でございますが、これにつきましては、現在の收用法はきわめて抽象的な規定をいたしておるのでございますが、それに比較いたしまして、今回の改正法におきましては、条文でごらん願いますと、おわかりでございますが、改正法の第三条になつております。第三条の一号から第三十三号にわたりまして、各事業の種別に応じましてそれぞれ根拠法規を明示してございます。それと同時に根拠法規に基きます公益事業内容が何であるかということを、できるだけ巨細に明記する建前をとつております。これが今回の改正法持色でございます。なお実質的に事業種類につきまして若干申し上げますと、従来の規定におきましては、国防、その他軍事に関する事業、それから皇室陵墓の建造ないしは神社の建設に関する事業が、公益事業一つとして上つておりますが、新憲法のもとにおきまして、当然不適当であると考えられますので、これは廃止することにいたしております。それから実質的に追加いたしましたものといたしましては、主たるものを申し上げますと、第三条の第一号に掲げてございますが、一般公共の用に供する駐車場、それから第八号に掲げてございますが、軌道法を準用いたします無軌条電車、さらに十六号に掲げてございます放送法による放送事業、三十号に掲げてございます一定の住宅区域内におきます庶民住宅公営住宅事業、これらは実質的に追加いたしてございます。これらは時代要請に応じまして、当然公益的な性質を持ち、さらに実際にこれが公共団体の手によりまして、あるいは民間の手によりまして、それぞれ実現される運びになつておりますので、これらを公益事業の範疇に入れるという建前とつた次第であります。  それから提案理由の第二点で申し上げます点は、土地所有権以外の権利、あるいは水の使用に関する権利、これらについても收用規定を整備いたした点でございます。旧法におきましては、土地所有権以外の権利、ないしは水の使用に関する権利は、收用法を準用し得る建前にいたしておりまして、簡單規定が上つておるわけでございますが、新法におきましては、それを第五条でごらん願いますとわかりますように、土地所有権以外の権利につきましては、地上権永小作権地域権、以下各種の権利を具体的に收用の対象となし得る権利を掲げてございます。それから水の使用に関する権利、これも同条に明らかに規定してございますように、漁業権入漁権あるいはその他の水の使用に関する権利を、それぞれ收用ないし制限し得るという建前規定をいたしてございます。この電源開発等に伴いまして、水の使用に関する権利は、水の一体性から考えまして、それによりまして、消滅を要求しなければならない権利も入るのでありますけれども、おのずから持定区域だけに限定されることなく、必要とする場合は起つて来るわけでありまして、そういつたことを考えまして、ただいま申し上げたような規定にいたしたのであります。  それから、次に認定方法手續につきまして、改正いたした点について申し上げます。従来の規定におきましては、事業認定主務大臣、すなわち建設大臣がこれを認定するという建前になつておりましたが、今回の改正におきましては、これを大臣認定権限に属するものと、地方長官認定権限に属するものと二通りに分けてございます。第十七条に規定してございますように、国または都道府県起業者であるとき、事業施行地が二つ以上の都道府県区域にまたがつておるとき、これらをすべて大臣認定によることにいたしまして、それ以外のものにつきましては、地方長官事業認定をいたすという建前に改めてございます。それから事業認定に際しまして、各方面の意見を聴取いたしまして、できるだけ公正な事業認定——あるいは官憲的に、一方的に認定することのないように改正をいたしてございます。その点は二十一条から二十四条に規定してございますが、第一は、関係行政機関意見を聴取しなければならない。第二は、必要に応じて、專門的な学識ないし経験を有する者の意見を聴取しなければならない。さらに必要に応じて公聴会制度を活用するという道も開いてございます。それから事業認定申請がありました場合には、これを地元市町村にそれぞれ送付いたしまして、一般縦覽に供し、意見利害関係者から提出する仕組みにいたしまして、これによりまして、利害関係者ないしは一般意見というものを十分反映し、その結果をもつて事業認定をし得るという建前にいたしてございます。これが事業認定についての主たる改正点でございます。  それからその次の收用手續関連いたしまして、当事者互譲精神を利用して、できるだけ係争事件を、当事者協議ないし合意にもつて行けるように促進させる措置規定いたした点でございますが、これは裁決申請後においても、考えております。その一つ裁決事項の一部先決という制度をとつております。条文で申しますと四十九条をごらん願いたいと思いますが、收用委員会裁決申請をした後におきましても、この土地区域損失補償、そういつたような各般の問題が裁決事項の中に出て参るわけでございますが、その中の土地区域等につきまして、当事者意見が一致し得る場合も予想されます。あるいはその土地の一部につきまして、損失補償につきまして、当事者意見が一致する場合もあり得ると思いますが、そういつた場合におきましては、裁決事項の一部先決というような方法を利用しまして、問題の解決をはかつて行く。係争事件の範囲をできるだけ狭めて行つて、全体の解決を促進する、こういうことを考えておるのであります。さらに五十条に参りまして、收用委員会審理の途中におきまして、何どきでも起業者土地所有者、あるいは関係人和解を勧めることができるという規定を挿入いたしました。これによりまして、收用委員会当事者合意の、ある程度見通しをつけた場合においては、和解の勧告をし得る。これによつて係争事件をまとめて行く、こういう制度も考えたわけでございます。  さらに百八条から百十五条にわたりまして、規定してございますが、当事者協議の途中におきまして、あるいは裁決申請後におきましても、この裁決に至りますまでの期間におきまして、合意の上で調停申立てをすることができるという規定をいたしてございます。これが百八条からただいま申し上げましたように百十五条に規定いたしてございます。  それから協議確認という制度を新しく設けました。これは百十六条から百二十一条に出ております。従来のこの收用手續におきましては、当事者協議という手續と、土地收用委員会裁決という手續とは、必ずしも関連をもつておりませんで、一旦裁決申請に移りました場合には、当事者協議関係なく、これを進めるという形でございましたが、今回の改正におきましては、当事者協議が進みまして、協議が成立したものを土地收用委員会に取上げまして、これを收用委員会の手で確認するという方法をとりました。すなわち当事者協議によります場合におきましては、これは一つ当事者の契約ということになりまして、必ずしも取消し、その他不確定な要素がないわけではございませんので、これを收用委員会確認という制度によりまして、裁決と同様の、強力な効力をこれに与えるという仕組みをとつたのであります。以上が第四の点でございます。  それから第五に、提案理由として御説明になりました点でございますが、事業收用審査機関、これは改正法におきましては、收用委員会という制度を各府県ごとに設ける仕組みにいたしてございます。この点では現行法と大体同じでございますが、委員会委員構成、あるいは任命方法、これについて改正を加えてございます。すなわち従来の收用審査会構成は、地方長官を会長といたしまして、その府県内の高等文官という規定になつておりますが、関係官、さらに府県参事会員というものをもつて当てる仕組みになつてございますので、きわめて官憲的な色彩が強いわけであります。これに対しまして、改正案中立、公正な経験者の中から、地方議会同意の上で知事がこれを任命するという形にかえてございます。さらに審理手續におきましては、従来は主として書面審理建前としておるのであります。これに対しまして今回の改正案におきましては、審理を公開するという建前をとりました。さらに口頭による陳述機会を認める仕組にいたしております。  なおつけ加えて申し上げますと、先ほど申し上げました收用委員会委員につきましては、身分保障規定を設けまして、審理の公正を保障し得ろ規定を置いてございます。これは五十五条でございます。  それから損失補償についての取扱いでありますが、現行法におきましては、金銭補償主義をとつておるのでありますが、今回の改正案におきましては、これに対しまして、替地による補償あるいはその他の現物による補償制度を多分に織り込んでございます。これが損失補償についての改正の主要なポイントになつておると考えますが、この損失補償におきまして、非常に困難な問題に逢着しておりますものは、言うまでもなく農家土地等收用する場合におきましては、これは土地の対価を補償するだけでは、具体的な実例に当つて参り事と、なかなか解決いたして参りません。すなわち農家における農地は、一つの生活の保障になる基盤でありまして、これに対しましては、やはり土地に対する土地というような、替地制度を活用するのでなければ、なかなか解決して行かない場合が多いのでございまして、そういつた事例をも考えまして、替地による補償制度規定することにいたしました。これは八十二条に規定してございます。  それから次の現物補償制度でございますが、これは八十三条から八十六条に規定いたしておりますが、たとえて申しますれば、八十三条以下に書いてございますように、耕地の造成、次に工事代行あるいは家屋移転の際の移転代行、宅地の造成、そういつたような、起業者側から金銭補償にかえて役務を提供することによつて補償を完璧ならしめる、これは起業者側が、工事を経済的にやつて行く上から行きましても好ましいことではないかというふうに考えられますので、こういつた現物補償制度を取入れることにいたしたわけであります。  それからなお損失補償関連いたしまして、もう一つ重要な問題は九十三条に掲げてございます收用地以外の土地に対する損失補償、これは従来起業損失補償ということでいわれておつたものでございます。すなわち土地收用することによりまして、当然收用される土地に近接いたします土地、建物につきまして、相当負担をかける場合が予想されるのであります。ここに書いてございますように、收用される土地以外の土地につきまして、道路、みぞかき、さくその他の工作物を新築し、改築、増築、あるいは修繕する、あるいは盛土、切土をするような必要が生じた場合におきましては、これらの工事をすることを必要とする者、すなわち損失を受けたものでありますが、——は、これらの損失を請求し得る、さらに先ほど申し上げましたような現物補償的な意味をもちまして、起業者当該工事をやつてもらうことを請求することができる、こういう規定をいたしまして、こうした起業損失につきまして、明らかなものはこれを補償するという建前規定をいたしたのでございます。  なお百二十三条に、緊急の施行の必要に応ずるための土地使用という制度規定しておるのであります。ただいま申し上げましたように、改正法律案におきましては、相当愼重手續を各段階において規定いたしておりますので、これによりまして收用審査手續が、相当時間がかかるということが一方には予想されますので、そうすることによりまして、災害を防止することが困難となり、あるいは公共利益に著しく損害を及ぼすというような事態が生ずる場合も予想されますので、こうした緊急事態あるいは公共利益を著しく害するおそれありというような場合におきましては、起業者にある程度の担保を提供させまして、これによりまして事業機会を失うことのないように配慮いたしております。これが百二十三条に規定したところであります。  さらに最後にもう一点申し上げますと、先ほども申し上げましたような事業認定あるいは收用委員会審査手續、こういつたことは、それぞれ地方に委任される事務になつて参りますので、これに伴います費用負担というものが予想されます。これに対しまして、この改正案におきましては、收用審査手續に必要な経費につきまして手数料をとり得る規定を、百二十五条に規定いたしたのであります。  以上大体提案理由に補足いたしまして御説明申し上げました。
  6. 内海安吉

    内海委員長代理 土地收用法、並びに施行法につきまして、質疑の通告があります。これを許します。村灘宣親君。
  7. 村瀬宣親

    村瀬委員 私はこの土地收用法案内容は、本日はお尋ねいたさないつもりでありますが、質疑を始めまするに、かなり重大な参考となると思いますので、提案経過について一言承つておきたいのであります。  本法律案は、私有財産公共利益との調整をはかろうとする、きわめて重要な法律でもありますし、立法技術の点から見ましても、非常に困難な法律であり、かつ百四十六条にも及ぶものでありますから、これを岩沢参議院議員がお一人で立案なさいましたその御労苦には、私は非常に尊敬の念を催すのであります。これがいわゆる立法府としての本然の姿であるとは思うのでありまして、こういう行き方がこの民主時代のことでありますから正しいと思うのであります。しかし今までの議員立法は、とかく各党共同提案とか、あるいは三人、十人という提案になつておるのであります。ことさらにこの法案が、いわゆる本然の姿でありましようが、お一人の発議になつております経過等につきまして——実はこういう感じを起しますのは、今の提案理由の御説明にあたりまして、提案者の御説明は数分で終りましたが、その内容の詳細な御説明政府委員がなさつたというような点であります。そこで提案至つた経過について提案者に伺つておきたいと思うのであります。
  8. 岩沢忠恭

    岩沢参議院議員 ただいまの御質疑でありますが、この土地收用法につきましては、御存じかもしれませんが、三年前ごろから、すでに五十年も経過した土地收用法というものは、今の民主主義時代には即応しないというので、ちようど私が在官中から、改正しなければならぬといろので緒につきまして、いろいろ県との問題とか、各省との権限調定とかいうことで相当時間を食いまして、ようやくまとまつたのであります。それも今お話の通り、私自身がこれをやつたのではなくて、私が在官中、この改正法をやらなければならぬといろ大綱だけを知つてつたような関係からその後建設省でこれを一応整理いたしまして成案ができたのであります。ただこの際において、議員立法として提出したらいいじやないかというような慫慂もありまして、従来の関係から、私が引受けて提出したような関係もあるのであります。しからばなぜ岩沢一人で提案をしたか、議員立法においては各党、あるいはまた相当の人が連名で提出するのが普通であるのにかかわらず、なぜ單独の署名によつて提案したかという御疑問でありますが、実はこれは基本法でありまして、政策でも何でもないのであります。そういう意味から申しますれば、超党派的なものであると思う。従つて、これを各党派一人ずつ提案者としてお願いしなければならぬ、こういうように私は考えておつたのでありますけれども、このオーケーが非常に遅れて来たのと、また会期が非常に切迫したので、一応本国会において御審議を願うようにしたらいいじやないか、さしあたり急いだために、提案者として私一人だけでやつたので、別にほかの会派をどうとかこうとかいうのではなく、ほんとうに今申した通り、超党派的なものであるから、各会派に一応内容の御説明をし、御同意を得てそれから後共同提案にすべきである、こういうように考えておつたのでありますけれども、今申し上げた通り、時間的な制約を受けたためについ一人でやつた。一人でやつたということは別に他意はないのであつて、そういうような理由でやつたということを御了承願いたいと思います。
  9. 村瀬宣親

    村瀬委員 御答弁でよく事情がわかつたのでありますが、大体議院は立法の府でありますから、できる限り全部議員提案に移つて行くのが好ましい傾向と思うのであります。もし政府提案もあるとしますれば、こういう法案こそ政府提案でいいではないか、こう思うのであります。今提案者の御説明通り基本法であつて何ら政策その他を加味していないものであるから、これも議員提案で悪いということは断じてありません。こういうものも議員提出でよいと思いますが、政府提案というものがもし残るといたしますれば、まあこんなものなんで、これが議員提案なら全部議員提案ですべきだという感じがいたすのであります。そこでもう一点承つておきたいと思いますのは、当然政府提案でしかるべきものが議員提出で出されたのは、これは提案者の御苦心御努力の結果であることはよく承知いたすのでありますが、何かほかに理由があつたのか全然ないのか、承つておきたいと思います。
  10. 岩沢忠恭

    岩沢参議院議員 私が提案したということにつきましては、別に理由は全然なくて、先ほど申し上げた通りに、私が在官中においてこの問題について非常な関心を持つた関係上、できるだけ早く提案して審譲を願うというような意味から、やはり議員提出の方がいいじやないか、こういうようなことを考え、かたがた建設省等にもお願いして、代表者としてやつたという以外に別に云々という理由はないのです。
  11. 内海安吉

    内海委員長代理 次に池田峯雄君。
  12. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私は、この法案提出されるにあたりまして、これに非常に関係のある小貝川のつけかえ工事の問題、この問題を、提案者よりもむしろ建設省当局の方にお伺いしてみたいと思うのであります。  この問題は、土地收用法を本委員会において審議する上において、非常に参考になるものであろうと思うのであります。五月二十二日の夕刊毎日新聞に、「川に浸したら突殺す町長頭に郷土防衛隊も結成」というセンセーシヨナルな見出しをもつてこういうことが報道せられておるのであります。この新聞にはこういうふうに書かれております。「利根川沿岸住民を水魔から護る小貝川背割堤新放水路計画は、人口三千の茨城県布川町の大半を河底に沈めるので“われわれにも生きる権利がある”と同町及び流路に当る文村、東文間村住民は必死の反対を叫んでいる。これに対し建設省側では“技術的にはこれ以上の答は出ぬ”とあくまで強腰で、受益二町八ヵ村の促進同盟も早期実施を迫り、出水期を前にして血みどろな争いがつづけられている。」云云、こういうのでありまして、この布川町の町長である山田さんを隊長とする郷士防衛隊が結成され「防衛隊長と隊員は共に本目的を達するまで各自の血潮が一滴でも残つている限り勇敢に行動する」こうういうビラをまきまして、そうして小貝川のつけかえ工事に徹底的に反対するという気運が今起つておるのであります。新聞の報ずるところによれば、「あるおかみさんは“町を川にヒタしたら突殺してやるよ”」こういうふうに記者に対して言つているというのであります。これに対して建設省では、立退きには補償をする、耕地反当り約六万円、家屋移転費時価のほか、商家ならば三年間の営業補償費も出す、こういうことを言つておるそうであります。なお「受益隣接町村は反当り四万円見当の見舞金を出し耕地も割くと誘つているが、町民たちは「この前の堤防拡張で補償費をもらつた連中が、今どんな暮しをしているか生きた見本がある」とテコでも動かず、見舞金は切崩しの手段だと依故地になつている。」こういう記事が載つておるのであります。この小貝川のつけかえ工事の問題は、これは富永博士なども案を出しまして、大体三つか四つの案があつたと思うのであります。この案が発表ざれるや、水路にかかつておる土地の人たちは、いずれも猛烈な反対を叫んでおります。これに対して、建設省の方でも、どういうわけかそれらの反対に次々に動かされて行きまして、そうして最後にこの布川の町を山の上に移転させ、ほとんど町の大半を川底に沈めてしまうという、いわゆる背割堤敷をとつて来たのであります。こういう計画は建設省として、もうすでに決定済のものであるかどうか。さらにまた、こういう計画を強力に進めて行く場合に、当然この新聞紙が報じておるような猛烈な反対が起るのであるけれども、この反対をいかなる方法によつて納得させ、しずめ、円満にこれを遂行して行くのであるか、これらの方針について承りたいと思います。
  13. 伊藤六三

    ○伊藤(六)政府委員 小貝川のつけかえ問題は利根川の逆水問題と関連いたしまして、古くから問題になつて来ているのでありまして、その河口を下流につけかえるということにつきましては決定いたしているのでありますが、その河口に至る法線をどういうふうに持つて行くかという問題につきましては、技術的にもいろいろと検討をせられて来たわけであります。その検討の過程におきまして一案二案あるいは三案と、いろいろな意見が出たことと存ずるわけでありますが、このいろいろの案を検討いたしました結果、技術的にまた経済的に考えまして、現在におきましては大体背割堤式をもつて最上と考えているわけでございます。なおこの決定にあたりましても、細部の問題につきまして若干いろいろと検討いたしてはいるのでございますが、方針といたしましてはこの線に参りたいと存じているわけでございます。なお、ただいま新聞に出ております記事の通り、当然地元におきまして、この犠牲になられる方々におかれましては、この問題についていろいろな反対があるとわれわれも覚悟いたしているのであります。また反対せられるのはむりからぬことと存ずるわけであります。利根川の改修計画並びに小貝沿線の全市町村の方々全体の利益から考えまして、これらの問題につきましては、ひとつ犠牲を忍んでいただくよりいたし方がないかと存ずるわけであります。しかしこの犠牲に対しまして、決してそのまま放つておくというわけでなく、ただいまお読み上げになりましたいろいろの補償の問題、これはいろいろの案が出ておつたのでありますが、なおこれらの問題につきましては、十分まだ検討中のところでございまして、はつきり申し上げるまでには至つていないのでありますが、満足というところまで行くか行かぬかわかりませんが、十分な、合理的な補償をとりまして、そうして小見川沿線全体の利益を確保して参りたい、こう存じているわけであります。なお、これらの問題につきましての交渉は、地元の方々と十分によくお話合い申し上げまして進んで参りたいと存じているわけでございます。
  14. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 ただいまの御答弁で、大体今布川町が反対しております背割堤式でこのつけかえをやられる方針のように承つたのでありますが、ただいまの御答弁の中にありましたように一案二案三案というような案がありまして、この案を発表せられますとただちに地元に猛烈な反対が起つて来る。そういう反対に押されて、そうして最後にこの布川町を犠牲にする背割堤式に建設省がだんだん変更して行つたんだ。そういうように地元の人が計画に反対すれば、建設省の方がその計画を次々に変更して行くのだと、こういうようなことがあるのであります。これは新聞紙にもやはりそれと同じようなことが載つておりまして、強硬組は反対さえしていれば旧計画が廃案になつたいきさつからもつぶれるのだと、こう言つております。こういうふうに反対すれば建設省は必ず折れて来るんだから、建設省に自信がないんだ、こういう地元の声があるのでありますけれども、建設省としては、これが技術的にいつても最善の方法であると、こう言いきれる自信があるのでございましようか。たとえば富永博士のごときが案を出しておりましたが、あの案よりもこの方がいいんだ、こういう自信があつての御計画なんでございましようか。この点を承つておきたい。
  15. 伊藤六三

    ○伊藤(六)政府委員 技術的に見ましてこれを最良の案ということに、各技術官の十分な愼重審議の結果決定いたしたわけでございまして、あえて政治的問題に、かれこれとなにする筋合いの問題ではございません。
  16. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういたしますと、これはあるいは本案の審議から少し脱線するかもしれませんけれども、なぜそういうふうに最初から建設省が技術的に最善の方法を発表しなかつたのかということがおかしくなるのです。案が三つも四つもあり、その中の最も最善の方法を最初に発表いたしましたならば、今日まで、昨年あるいは一昨年あたりから、その案が出るたびに地元で大きな問題が起つて来たということがなくても済んだんだろうと思う。そういう案を発表いたします場合には、建設省の方で十分に検討して、また地元の人の意見も聞き、技術者の意見も聞き、そうしてこれが最善の方法であるというふうに発表されれば、今日のようなことはなかつたのでありましようけれども、実はそうじやない。実は私も経過知つていますけれども、茨城県で総合開発審議会のようなものが県知事を会長にしてできまして、そのときに関東建設局の当時の局長である井上溝太郎さんも出席いたしまして、そうして富永案が技術的に最善の方法である、こういうふうにはつきり言いきつたのであります。それが今度は今になりますと、背割堤式が技術的に最善の方法であると、こういうふうに言われているのでありまして、ここに地元民の納得できない最大の原因があるのではなかろうかと考えられるのであります。そういう意味合いにおきまして、この土地收用法の審議にも参考になるのでありますから、今までの建設省あるいは関東地建の発表されました一案、二案、三案というような計画並びに今回の背割堤式の計画、これらを詳細にひとつ、図面なり書面なりにされまして、本委員会の各委員に配付されましたならば、具体的に土地收用法をどういうふうにして行くかという審議に、非常に参考になろうと思いますから、その点ひとつ建設省の方に要求しておきたいと思います。委員長の方でもよろしく願います。  それからもう一つ補償方法でございますが、これは提案者にも質問したいと思うのでありますが、この前の堤防の拡張で補償費をもらつた連中が、今どんな暮しをしているか、生きた見本がある、こう住民が言つているのであります。これはまことに何と申しましようか、切実な住民の声です。なるほど補償はくれる。反当り何万円かくれる。そのほかに上流の利益を受ける人たちも金をくれると言つている。しかしそれでは金をもらつて家を立ちのいた連中が、今どんな暮しをしているか。今こじきみたいな生活をしている。ここに政府を信用しない、政府の措置で立ちのかされても、それから五年や三年は生きられるだろうが、それから先が生きられないようになつてしまう、それが今現実に日本があるのだ、こう言つているのであります。まつたく人民の声は神の声という言葉がありますけれども、まことに端的に今の政治のあり方を、人民がこういう言葉で表現していると思うのでありまして、こういう問題につきまして、提案者はどういうふうに、この土地收用法をつくる上にお考えになられましたか、それを承りたい。
  17. 岩沢忠恭

    岩沢参議院議員 今池田さんが御指摘になりました点は、従来公共事業をやる場合においては、常にそういつたことが起つております。というのは、すべて補償は、先ほど申し上げました通りに、金銭補償の一本槍で行つておりましたから、ただそのときにおける時価に相当したものを、その被收用者に与えまして、それによつて任意にすべてのことをやる、あとのことについては全然構つていない、その金額の範囲内において、すべてのことを解消したというようなことのために、仕事を進行する上において、非常に常にこの問題についてトラブルが起つてつたのであります。そういうようなことがないように、現物補償とか、あるいは農民でいえば、結局先祖伝来の農地を失うというようなことは非常に苦痛とし、また生活の根拠を失うということに相なるのでありますから、そういつたものをできるだけ起業者において替地を周旋して、生活の基礎を保つようにするという意味から、今回の改正というものは、金銭補償の一点張りでなく、でき得れば金銭補償でやれば一番簡單でありますけれども、そういつた農家とかあるいは商家においても、そういうものは必要であるかもしれませんけれども、そういう必要を生じた場合においては、現物なりあるいは替地補償ということを、この法案に織り込んで、そういつたようなトラブルを少くする。そしてできるだけ早く両方とも納得行くような方法によつて收用して行きたい、こういうのが今回の改正精神なんです。
  18. 内海安吉

    内海委員長代理 池田君簡單にひとつ……。
  19. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 これから私が委員会で質問しようとする要点でございますが、こういう收用法案をつくる場合に、住民が信用しないのですから、土地がとられたお前たちには、一生政府がめんどうを見てやる、あるいは永久に見てやるから安心せい、ここまで出ないと土地收用の問題は円滑に行かないのではないかと私は考える。五年やあるいは長くて十年くらいは、食うだけの金はとうていもらえつこない。また土地替地があつたとしても、悪いたんぽではとうてい食べて行けないというような問題が出て来ると思いますから、そういう替地を与えても、替地では役に立たない場合にはまた別のものをやる。必ず政府が最後までお前たちの生活を見てやるからというこれだけの条文を、議員提出でありますならば、政府の意向などには構わないで、これだけの大幅な補償の法文をつくるべきではなかつたろうか。それをつくらないでやつたということは、やはり政府の方にも相当気がねをして、そうしてここらならば政府の方でも補償できるのではないかという、一つの考え方があつてこの法律をつくられたのではなかろうか。そうでなく、岩沢さん個人として出されます場合には、一生めんどうを見てやるくらいの、あるいは二代、三代にわたつてめんどうを見てやるだけの大幅な改正を考えられてもよかつたのではないか、こう考えられるのでありますがいかがでしようか。
  20. 岩沢忠恭

    岩沢参議院議員 ただいま池田さんのお説は、一応はもつともと考えるのでありますけれども、しかしながらこれを本人の一生の生活を保障するというようなことは、どこをもつて線を引くかということに非常に難点があるのでありまして、でき得れば現在における生活を基準にして、それに補償するという程度が一番いいのじやないかというような考えで、その限界でこの法律をつくつたような次第で、それを今あなたのお話のように、孫子の末まで被收用者保障するということは望ましいことでありますけれども、事実不可能だということから……。
  21. 内海安吉

    内海委員長代理 それではこの程度にしておきます。  この際岩沢提案者にちよつと伺つておきたいのでありますが、お一人で提案されて、今参議院において審議が進められておるということであります。もちろん岩沢さんは内務省土木局時代から、いろいろな点から御経験もされており、また建設省の次官としてあらゆる角度から御不便な点も感じておつたことと思います。この法律は明治三十三年の制定になるものでありまして、今日の時勢にふさわしくないということは、われわれもこの条文を一々検討しなくてもうなづかれるのであります。そこでこの法案が参議院における審議の経過及び見通し、さらにまた今国会においてどうしてもこの法案を通さなければならぬかどうかというお考えを一通りつて、そうして衆議院の建設委員会においても、その考えのもとに議事を進めたいと思いますから、この際そのお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  22. 岩沢忠恭

    岩沢参議院議員 参議院におきましては、二十二日に提案説明をいたしまして、そのときに一応は專門家なり、收用せられる起業者なり、あるいは被收用者の体験をもつておる人たちの意見を聞いたらいいではないかというので、二十四日に弁護士の法学博士である吉田久さんと、それから京都大学教授の須貝教授と、それから電気協会理事の田倉さんと、それから被收用者側に出される竜ケ崎町長の富塚橋一という人と、それから東京都における区画整理についてこの問題がやはり起つておりまして、その体験者である長島豊作という人を証人として喚問いたしまして、一日かかつていろいろ御意見を拝聴いたしたのでありますが、そのときにおける大体の意向をここで御報告申し上げますと、その五人の証人は、すべてこの法案については非常に民主的で、われわれが従来希望しておつたことはほとんど網羅しておるから、でき得れば一日も早くこれを公布してくれという声が、総括的な結論のように感じたのであります。そこで参議院におきましても、こういうような一般の要望があるならば、できるだけ早く審議を進めて行ごうというような関係で、現在における空気といたしましては、本日も三時ごろからこれを續行、逐条審議に入りまして、明日も一日かかつて、できれば明日中で審議を終つて採決に入りたいというようなことを申しておるのであります。従つて衆議院の方におかれましても、今予備審査の段階ではありますけれども、そういうような一般客観情勢が、できるだけ長い間、五十年間も放置しておつた官憲的なこの法律を、民主的に切りかえるということが最も望ましいというような意味合いから、私といたしましては、できるだけ早く御審議を願つて、もし御都合がつけば、参議院が採決いたしましたらそれを受けてもらつて、時間が許せば、今国会において成立方について御尽力を願いたい、こういうように考えております。
  23. 内海安吉

    内海委員長代理 本案に関しましては本日はこの程度にとどめまして、あらためて質疑を續行することといたします。     —————————————
  24. 内海安吉

    内海委員長代理 次に建設行政に関する件を議題といたします。去る二十二日本委員会において今村委員の要求によりまして、政府側より中田建設次官、伊藤河川局次長、伊藤治水課長、経済安定本部より小澤建設交通局長、会計検査院綿貫事務総長、池田総務課長、大蔵省より平井司計課長、以上のほか法務府検務局総務課長宮下明義君が出席されております。これより通告順により質問を許します。今村忠助君。
  25. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 私は公共事業費が適正に使用されるかどうかということに関して、すでに二回にわたつて質問をいたしまして、順次実際の問題に触れて、どう扱われているかというようなことがわかつて来たのでありますが、本日は最後といたしまして、これをこのままにしておいては将来に、従来あつたような不詳な事件が起きるのではないかと思われますので、それぞれの責任当局者の御意見を承つておきたいと思うのであります。同時にこれはまたわれわれ建築委員会といたしましても、適当なる処置と申しますか、方法を考えるべきであると、かように考えるものであります。  まず第一に、過日来お尋ねいたしておりました長野県下の昨年の水害に関する災害復旧に対する補助金の使途でありますが、国家警察本部の報告によりますと、過日来私が新聞で読んでおつた談合金に七割五分が使われておつたというのは、実は八割五分だという事実がわかりました。つまり談合金が工事費といいますか、請負額の八割五分まで達しておつたというのであります。あまり多いのではないかというので、その点を再調査してもらいますと、それは請負者の仁義で、一応は三回にわかれての工事であるので、第一回分は八割五分を談合金にわけたけれども、二回、三回はそれほどの談合金はいらないで済むから、結局談合金というものの割合は、三回分を合せると大したものではないのだという説明でありました。いずれにいたしましても、この請負制度の中に談合というものがあるらしいのでありまして、まず第一に、建設次官に、全国的にかような談合というものが慣例となつているほど行われておるのかどうか、これを最初にちよつとお尋ねしてみたいと思います。
  26. 中田政美

    ○中田説明員 土建に関する請負にあたりまして、昔から談合という言葉があるくらい、非常に悪弊があつたわけでございますが、これは御承知通り刑法上の罪にまでなつておるわけでございます。現在これが行われていないかどうかにつきましては、これは裁判上の問題になつたことも、全国的にはないわけではございませんので、やはりそういう不詳の事柄があり得るのではないかと思います。しかしながらつぶさに調べてみますと、いわゆる世間でいう談合の中には、私は二通りのものがあるではないか、金銭をもつて、あるいは権益をもつて話合つて、特定の者に譲るという、いわゆる真の談合とおぼしきものと、それから何ら金銭、権益を伴わないで話合いをするというようなものと、二つあるのではないかと私は想像いたしております。しかしたれも私が真実にその事件にぶつかり、あるいは取調べたわけではございませんので、業界その他においてさようなうわさがあることは承知いたしておりますそこで会計の適正を期し、工事のほんとうの正しい執行をするためには、いずれにいたしましても、日本の現在の会計制度におきましては、さようなものの行われぬことが望ましいことは当然でございます。ただこの場合に、一般競争入札に付するか、あるいは適当なる業者を指名して、いわゆる指名競争入札にするがよろしいか、あるいはまた特定の現実の工事に対して、最も妥当な工事人と匿名で随意契約をするがよろしいか、そういう点につきましては現行会計法上なお私は検討を要する点があるではないか、かりに一歩譲つて現行法を踏襲するといたしましても、そのやり方について、たとえば一般競争入札をやりました場合に、まつたく野放しの最低入札者に落札するのがよろしいのか、また指名をいたしますのにも、ただ行政の運用の任意の指名をするのがよいのか、それとも客観的な一つの標準をつくつて、それに妥当するものを指名するというような制度に移行するのがよいかどうか、これらは建設業界の刷新改善のためにも、また政府の予算執行の適正を期する上においても、まことに重大な改善方策だと思いますので、公共事業をたくさん取扱つておる建設省といたしましては、これらの点を十分検討いたしまして、財政当局あるいはまたここにおいでの会計検査院当局等とも十分連絡をいたしまして、今後一番妥当な方策を発見して、国会等にも御審議を願う日の近からんことをこいねがつておる次第でございます。
  27. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 今の点でありますが、まあ一般的にはどうか、確実には知らないというように聞き取つたのでありますが、一例を長野県下の今回起きた問題から関連して想像してみますと、新聞などにこうはつきり出ておるのです。「今回の土木事件は常識化されていた入札の慣例に対する批判として」という言葉が使つてあるのであります。そしてその中に、その土建協会の決議として「談合などの慣行を強く反省、今後こうした方法をやめて公正な入札を行うことを決議、」と書いてあります。これを見ますと、ほとんど各都道府県下において、もう一つの慣例になつているのではないかという気がいたすのであります。そうだといたしますと、かような問題が、ひどく不正というに至らないかもしれませんけれども、行われておるのだとすれば、会計法の第四章、契約の項の中の第二十九条においては、「各省各庁の長は、競争に付することを不利と認める場合その他政令で定める場合においては、大蔵大臣協議して、指名競争に付し又は随意契約にすることができる」とこういうようになつておるのでありまして、結局建設省だけの線でなくて、大蔵省の側からも、これについては当然深い関心といいますか、注意が持たれなければならぬし、同時にその結果経費がどう使われたかということになれば、会計検査院に関係して来る事項となると思います。これが結局一体となつて総合的に、つまり公共事業費等の補助金が適正に使われておるかどうかということを見る努力といいますか、制度というようなものができない限り、何かそこに一つの拔け道ができるのではないかという気が、順次質問を續けるに従つて出て来ておるのでありまして、この点について、つまり政府の庁に対する補助金というものが、まず第一に予算経営上といいますか、制度として適当であるのかどうか、アメリカにおいては、大分この補助金というものが、原則的に日本におけるがごとく一括して計上されているのでありますが、おそらくアメリカを視察した人たちが、役所が実にお寺みたいに静かで、日本で行われておる陳情のようなものはなかつたというように、みな感じて帰つておるようでありますが、私もその一人であります。日本ではこのために対して陳情というものがあるのだと思う。日本の陳情というものは、もう亡国という言葉を下へつけた方がいい、陳情亡国である。陳情が許されるような制度があるために、汚職事件は数限りない。このごろの海上保安庁の問題などもそれに直接該当するかどうか、とにかく大きな問題になつておるようでありますが、とにかく多少説明的な言葉で言うなう、役所で政治ができる。つまり役所へ頼みに行つて、いろいろ陳情のようなこと、あるいは運動のようなことをすれば、補助金がふえたり、あるいはある工事などを請負うことができる、運動によつて得られるということがあるために。こういうことが起きて来るのではないかと私は思うのであります。ここで私は、この補助金制度というものを全然廃止するか、置くとしたならば、何かやり方があるのではないかと思うのでありまして、順次説明を聞きまして、自分自身にも感ずるものがあるのであります。まず第一に、実際の衝に当つておる大蔵当局から、本日は司計課長がお見えになつておるそうですが、大蔵当局あたりで、いわゆる補助金というものに対して、従来弊害があつたかどうかというようなことも、おそらく実際問題の上からも感じられておると思うので、ひとつ御所見を承りたいと思うのであります。
  28. 平井平治

    ○平井政府委員 お答えいたします。予算の執行の適正化につきましては、大蔵大臣が国庫大臣として非常な関心を常に持つておるわけでございますが、なかんずく終戰以来、予算の執行が適正でない数が非常に多かつたのであります。最近もまだ減少というところには行つておらないのでありまして、昨年大蔵省では予算の執行の適正化という方針を決定いたしまして、予算の編成、予算の執行監査というようなことを、その方針に基いてやろうという決定をいたして、その方針にのつとつて、ただいま財政の処理と申しますか、そういうものをやつておるわけでございます。そうして予算の執行の中で、これも終戰後できた財政法、会計法第四十六条によつて監査を実行いたしておるのでございます。この監査によりましても、ただいまのところ全般的な経理は好転いたしておるように考えられるのでありますが、実際は悪質な小切手の詐取であるとか、騙取であるとか、偽造であるとかというような事件は減少しておらないので、これは非常に残念なことでありまするけれども、事実はそういう状態で、はなはだ困つたことだと考えておる次第でございます。しかしあまりに統制であるとか、監査であるとか、認証であるとかということを強化いたしますと、予算の執行が促進しない、事業が進行しないという面もございまするので、実はそちらの方面と、予算の執行の適正の方面との板ばさみになつて苦しんでおるところでございますが、それにいたしましても、先ほど申し上げましたように、予算の執行の適正ということは、国民の税金を使う上から非常に重大なものでありまして、四十六条の監査を強化して、ただいまのところではその線で進んでおるわけでございます。ただいまお話の長野県の件につきましては、まだ報告が来ていませんで、よく承知しておらぬので申し上げかねる次第であります。  それから補助金についてというお話でありますが、補助金につきましては、これはいろいろな面からいろいろな要請がありまして、あまりに科目を具体的に個々にわけますと、予算の弾力性がなくなりまして、執行が非常に手間どる、あるいは執行上困つた事態ができて来るというので、あまり予算科目を一つ一つ個別にきめるのもいかがかと思われるのであります。しかしかたがたお話のように、大づかみな予算科目にしておきますと、またそこに弊害が出て来るということもございますので、その辺は非常にむずかしいところでありまするが、先ほど申し上げましたように、予算の執行の適正化という見地から、来年度からはさらにその点を研究いたしまして、予算の執行が適正に行くようにという観点から、予算科目等についても、さらに検討をいたすことにして目下研究中でございます。
  29. 内海安吉

    内海委員長代理 ただ監査とか、研究とか、適正とかというような抽象的な言葉ではないと思うのです。今、今村議員の聞いておられるのは、もつと具体的に、いかなる方法をもつてつておるかという方法についての質問のように思われますが、具体的に説明はできぬのですか。
  30. 平井平治

    ○平井政府委員 四十六条の監査を、どういうように具体的にしているかということを申し上げたいと存じます。会計法の四十六条によりまするところの監査は、大蔵大臣が予算の執行の適正を期する上に、各省各庁の予算の会計事務を監査することができることになつておるのでございまして、ただいまやつておりまするものは、大蔵本省でやつておりまするが、各全国にありますところの財務局、府県にありますところの財務部、これを動員いたしまして、ただいま施行しておるものは、公共事業費の監査、終戰処理費の監査、各府県、町村等に関する補助金、この三つを主としてやつております。その以外についてももちろんやつておりますが、そういうのについて主としてやつております監査のやり方は、報告書による監査と実地監査でございますが、主としてこれは実地監査をやるのでありまして、各財務部が現場に参りまして、帳簿その他を検査いたし、たとえて申しますると、予算の執行の適正という見地からでありますから、その検査の結果、事業があまり進行していない、しかも大蔵省から行つておる金がそこに行き過ぎておるという場合には、その金を引上げまして、仕事が進んでおつて金が行つていないというような場合には、そちらの方に振り向ける。あるいはその監査した結果、その中に違法、不当というようなものがございますれば、それを大蔵省に報告してもらつて、大蔵省から各省各庁に対して御相談申し上げまして、是正をする、あるいはその善後処理をするというふうにいたしておるわけでございます。
  31. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 会計法第四十六条の監査の問題でありまするけれども、大蔵大臣各省各庁の長に委任して監査ができるとなつておりますが、この各庁には県庁も入るのですか。
  32. 平井平治

    ○平井政府委員 各省各庁という中には各府県は入りません。ただ最初の方の各省各庁という中には入りませんが、あとの方の補助金を交付する相手方に入りますので、監査ができることになつております。
  33. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 「補助金の終局の受領者を含む」となつておりますが、そうなりますと、市役所などで都市計画で補助金を受けた場合は該当するのですか。
  34. 平井平治

    ○平井政府委員 さようでございます。
  35. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 そういたしますと、県知事や市町村長が委任を受けて監査に当るのですか。
  36. 平井平治

    ○平井政府委員 監査する場合には、財務局、財務部で監査に当ることになつております。それから大蔵大臣各省官庁に委任して監査をしてもらうということもございますが、ただいまのところ各省各庁に委任してはございません。ただいまのところでは、大蔵大臣と申しますか、大蔵省が実行しております。
  37. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 大体事務的な各それぞれの関係官庁におきます態度はわかりました。その結果私も強く感じたことは、新憲法下における民主主義のはき違えは、一般国民において当然あるのであるけれども、同時に官庁においてもあると私は考えざるを得ない。すなわち憲法が改められまして、ことにアメリカの憲法のいろいろよい長所を取入れるのに努力されているのが、今日のわが日本の行政面であろうと思うのであります。ところがアメリカの憲法の精神は三権分立に基礎を置いておるのであります。立法府がきめたことを行政府が行う。それが実に厳格になつておるというのが、アメリカ憲法の特徴であろうと思うのであります。しかるに日本の憲法は、かような憲法の特徴を入れたといいつつ、どこかに英国の憲法の精神あるいは制度なぞが取入れられてあるという注釈がついておるような気がいたすのであります。その結果、従来あつたところの三権分立という立場から見れば、官庁においてはなはだ政治的な行為があり過ぎると思われる点が、いまなお残つておると思う。それが今言う予算の上の補助金というような姿で、まだ現存しておると指摘したいのであります。つまり官庁へ直接国民が泣き込めば、簡單な言葉で言えば、いわゆる政治が行われる。立法府できちんときまつたものを官庁が行うだけなのが、アメリカの憲法の精神で、アメリカの官庁をわれわれが訪ねて強く感ずる点であります。しかるに日本の場合は、一括して補助金というものがあつて、陳情隊が来ていろいろ運動をすると、そのうちのある程度の裁量ができる。これは飯田の補助金、つまり火災後の都市計画に関する補助金の運動をみずからいたして、実は痛切に感じている点である。運動した方が効果があるという事実を私自身が知つた。これがいいことか悪いことかということを真剣に考えながら、私はアメリカ視察に参つて、アメリカの官庁ではさような問題に対してどうかという質問を、私自身直接いたしております。ところがアメリカにはそういうものはないという。ところが日本では、先ほど来私が指摘している公共事業費の補助金の使途が、はなはだ適正でないような感じがするということを、実際面から順次触れて、各省のそれに対するいろいろな処置あるいは御意見等を承つて、なおさら私も感じを強くしたのでありまして、どうしても私は、この立法と行政の点が、いま少しはつきりしなければならぬと思う。これは一朝にしてできかねることかもしれませんけれども、これを直さない限り、私が指摘いたしておる公共事業費の補助金の適正に使われているやいなやというような、根本問題の解決はつかぬと思うのです。私はかような点から、この問題に関する質問をしながら、個々の起きて来た不祥事件について追究しないのはそれなんです。やはり私は新憲法下の一つの盲点と指摘して、これをどうするか、官庁の側、言いかえれば行政の側と立法面において、真剣に考えなければならぬ問題であると私は思うのであります。それで今皆様方の質問に順次答えてくれたところのものを総合してみますと、さきに同僚の議員であります松井豊吉氏並びに田中角榮氏からも、公共事業費等が適正に使われているやいなやということについては、やはり私どもと同じように、一つの信じ切れない気持を持つておりまして、松井氏は、国会に何か技術的、会計的な検査をする委員会を新たに設けるべきではないかということを、意見として述べられておりますし、田中角榮代議士は、決算委員会を強化、拡充するといいますか、何かもう少し決算委員会権限を、今のようなものではなくして、これにある程度今の点を監査するといいますか、最後的決定をする力を持たすべきではないかという意見を述べております。やはり何かいわゆる新憲法下における盲点を是正する努力をいたさなければならぬと思うのでありまして、先ほどもちよつと指摘しておきましたように、補助金制度をなくす、ことに一括的計上をする予算の立て方をなくす。具体的に一例をもつてすれば、災害があれば、その査定だけは政府でやつて、支出はとりあえず都道府県において、その査定を受けたものに基いて、一時低利による借入金なりあるいは地方債を認めてやらす。そして翌年度にどういうように立てるかというと、地方交付金のごとき形にして与えて行く。つまりはつきり明記されて要求して来た額に対して補助金という形になつて出て行くようにする。先ほど私は日本に陳情というものが行われる結果、いろいろの不祥事件を起す、あるいは汚職事件を起すのであるから、これをなくしたらどうかと言つたが、それがこれで是正できるような気もするのであります。つまり大蔵省の予算の立て方は、どこまでも費目を明らかにしないものは計上しないが、その間すみやかに復旧工事にかかれるために、地方都道府県に低利融資をするなり、地方債を発行することを認める。こういうようなものをかりにつくるとしたならば、今われわれが指摘しておるような、公共事業費の使途に関する不祥事件の、まず基礎をなす原因的なものがなくなるのではないか。第二段には、そうは言うけれども、どうしても実際工事経過に伴つて、技術上の検査と会計上の検査を、やはり適正に、しかも力強く行う必要があると思うのでありまして、これにつきましては、従来皆様方のなさつているところを承りますと、やはり不十分だと思う。各省みなばうばうで、技術検査に行くのも経費の点で十分じやない。会計検査に至つては、はつきり率直に、とても手がまわりかねてできておりませんということを明らかにされております。これはどうしても総合的検査制度とでもいうようなものを考えなければならぬと思うのであります。そうしない限り、公共事業費が適正に使われるということは、期しても得られぬような気がするのであります。それはなぜかというと、先ほど来言うように、国民の側の民主主義のはき違えがあるようであります。つまり地方官庁が、飯田市の災害後における都市計画の復興の経過を見てもわかる通り、補助金をもらうために、経費が少しはかかつてもいいという考え方を持つている。それは極端に言えばもらい得だというような考え方から、五百万円もらうのに、百万円使つてもいいじやないかということは、市会の議員みずからが、われわれに公言するくらいに至つておるのであります。つまり簡單にいえば、私は民主主義のはき違えと思うのでありまして、かような国情下といいますか、実情下においては、この点を十分考えて、制度のみ新しく行つても、実際国民の側といいますか、社会がこれに伴わない実情であるという点を考慮して、制度法律というようなことも同時に考えて参らなければならぬのではないかと思うのであります。この点につきまして、本日特に建設省、経済安定本部、会計検査院、大蔵省、法務府等、公共事業費の支出に関連を持つ各省の方に特にそろつておいでを願つて、総合的立場からぜひとも——私は全国的にこういう問題はあろうと想像するのでありまして、ただいま長野県下に、かようなぐあいに法に触れて大きな問題となつて出たのでありますが、その大小の差はありましようけれども、先ほど申し上げたように、ややこれに似たようなことが各地にあるのではないかと想像せられますので、どうあつても一千億を越える厖大な公共事業費の使途が、適正でありやいなやということは、国会においても当然でありますが、行政の面からも真剣に考えていただきたい。それでこれらの衝に当る人たちに、ぜひともすみやかに、かような公共事業費の適正使途という問題についての総合的な調査をなされて、どうしたら会計技術等の検査が適正に行われるか、これを考えていただきたいと思うのであります。われわれ建設委員会におきましても、この問題はさきにも同僚松井、田中両君からも意見の開陳のありました通り立法府としても何らかこれを研究して、いわゆる適正なる処置といいますか、方法を考えて参らなければならぬと思うのでありまして、この点につきまして、せつかく各省からそれぞれの責任ある方々が見えているのでありますから、ひとつ所信の点を伺つておきたい、こう思うのであります。
  38. 内海安吉

    内海委員長代理 ただいまの今村委員の御意見なりあるいは献策等について、御当局において御意見なり何かありましたら、この際……。
  39. 中田政美

    ○中田説明員 予算の執行、ことに土木工事の請負等についての執行を適正にする、改善するということにつきましては、私の方としましても、非常に直接の影響があることでございますし、それから一方建設業の指導、監督といいますか、そういう方面を所管いたしております関係上、ただいま請負制度そのものをいかに合理化するかということを、文字通り意味において検討いたしております。この請負制度の改善策のわれわれ一番ポイントにいたしております点は、最低落札制の検討ということでございます。御承知かどうか知りませんが、道路法におきましては、ロー・ア・リミットという制度が古い法規にございます。このロー・ア・リミット制というのは、予定価格の三分の二以下の低額の入札は落札させないという制度であります。これはあまりダンピングをやつたりする場合を防止する制度でございますが、これにも実は弊害があるわけでございます。と申しますのは、まじめな入札をするという気がなくなつてしまう。どういうことをねらうかというと、役所の引札が何ぼかということを、ねらい打ちをするという意味において、そればつかり一生懸命になるという弊害がございます。しかしながらこれにも確かに一理あるわけでありますが、現在の会計制度におきましては、国の会計制度を初めとして、原則は最低の入札者をもつて落札者とするということに相なつております。これは工事の適正を期する上において妥当かどうか疑問であります。従つて会計制度にも触れますが、入札制度について、この点をいかにするかということの一案として考えられる案は、一応は最低入札制度をとるけれども、しかしながらあけてみた結果が、内訳がいかにも不合理である、これではとてもろくな工事ができぬだろうというような場合には、別途に公正な委員会構成しておいて、これに審議を託して、そしてどう考えてもこれは不都合であるという場合には、たとい低い落札者といえども、キヤンセルしてしまうというような方法はいかがだろうか。これも実は一つの案だと私は信じておりますが、決してその案を建設省が今立案いたしているという意味ではございません。研究の過程において一つ現われている問題でございます。それから逆に三分の二の最低の線は少し低過ぎるから、もう少し上げて八割ぐらいのところで、あまり競争をしたものには落さぬという制度にしたらどうかというような一説も他にございます。これらは大蔵省等の財政当局にも関係がございますので、これとほんとうの意味において連絡、検討いたしておりまして、これらも確かに請負制度を是正する一つの道であろうかと私は考えております。監査制度につきましては、御指摘の通り確かに不備な点があろうかと思います。しかしながら本来は、国の直轄であろとと県の補助工事であろうと、執行する者さえしつかりしていれば、これは実はほかから監査を受けるまでもないことでありますが、今村委員のおつしやる通り、過渡的な新民主主義下においては、なかなか制度の理想にまで実際が及ばないという点で、いろいろトラブルが起ることは確かにあろうかと思います。そこで理想ではないけれども、やはり他から監査する場合に、補助金をわける仕事をやつた者に検査させるよりは、まつたく別な検査機関を設けてやつたらどうか。しかもこれは各省、各局、各課が、それぞれ自分の予算をわけてやつたところが検査に参られますと、受ける方も実にたいへんなんです。これでは実は仕事ができないといつて、私の方の出先機関でも悲鳴を上げている事実がありますので、あまり出先機関なり県庁という、その検査を受ける方の手間をかけさせぬように、しかも実効の上る方法としては、独立の別な機構で、検査、監督機構を設けてはいかがか。たとえば私の省といたしましては、官房に検査課あるいは監査課を設けて、各局がそれぞれ補助したものを、官房の大臣直轄といいますか、そういう高いところの別な系統で検査に行く方法いかん。こういうことも現実に私は研究を命じてやらせているようなわけでございます。これは一省だけの問題ですが、この方法をもつと拡大しまして、ただいま今村議員のおつしやつたような、あるいは国会付属の監査機構、そういうことも考えられましようが、なかなかこれには練達、しかも人格、識見の高い人をもつてしなければ、実は私は弊害もあると思います。そこで老練で円熟した監査官をもつて充てるにはいかにしたらいいか。各省連合してやるにしましても、なかなかこれは容易でないが、そこらについてはまた関係各省とも御相談をして、今村議員の念願される意味に合致するような制度いかんということは、私はまじめな意味で検討させていただきたいと思います。
  40. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 今度は安本の側でのかような問題についての……。
  41. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 経済安定本部といたしましては、どういう公共事業の監査をしているかという問題でございますけれども、経済安定本部といたしましては、不正を摘発するというようなことよりも、つまり経済効果を十分に果すような仕事になつているかどうかという問題、それから認証通り仕事をしているかどうかという問題、その認証通りという問題は、先ほど申し上げましたような、経済効果が上つているかどうかという問題になるのでございます。これにつきまして、各省あるいは各県がちやんと工事しているかいないか、あるいは検査がちやんとできているかいないかということを監査すると同時に、われわれの方もこれを認証する場合に、ほんとうに経済的な認証の仕方をしたかどうかという、われわれの自己反省のようなこともそれでやる。そうして各省に対しましておかしい点があればこれを正し、あるいは自分の方に対しても、悪いところがあれば反省するというようなことをしているわけでございます。それから災害などにつきましても、十分に効果的に行われているかいないか、あるいは規則通りそれができているかいないか、あるいは二重査定のようなことがあるかないかというようなことを査定するわけでございます。ところが実際問題といたしまして受ける方の県の方といたしましては、たとえばわれわれの方は、そういう経済効果の問題で監査する、あるいは会計検査の方は会計法通り、あるいは検察庁では検察庁の主管についてやり、大蔵省は財政方面についてというふうに、いろいろ検査が重なつて行きますので、これを総合調整して、ちやんとして検査をするという今村さんのお説、まつたく私はその通りすべきだと思う。そういうふうに考えているわけでございます。それはこの前公共事業監査委員会でございますか、あれができましたときにも、われわれの方といたしまして、そういうちやんとした監査機構をつくろうじやないかということを申し上げたわけでありますが、今回その監査委員会の廃止されるにつきまして、内閣に対していろいろ提案してございますので、それを基礎といたしまして、われわれの方は研究いたしたい。そのように考えております。それは将来の計画でございますけれども、当座の問題としてどうするかという問題になるのでございます。われわれ各省をいろいろ見まして、各省の監督というものが昔に比して昔ほどやつていないということに対しまして、各省に対しても相当監督をしていただくということ、それから一番の根本問題は、先ほども中田次官が申し上げましたように、現場監督が十分にできるようにする。それについての報告は簡單にする、あるいは認証に行つたりするというようなことについて、現場監督を十分できるようにする、そういうふうな措置をしておるというような実情であります。
  42. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 こういうことを私は要望しておるものです。つまり各省それぞれの立場で、現在やはり技術とか、会計とか、あるいは経済的効果というような立場で検査はさせておるのです。それなのに実際は今言うような不詳な問題まで起すような結果になつておる。それは結局総合的な、技術的な会計的監査というものが、適切に行われておらぬからだと私は思つておりますが、それの基礎をなすものは、民主主義のものの考え方の誤りというものが背景になつておると思うと、私は指摘したのでありまして、本日見えたような官庁の方が、ここで一大決意をして、いわゆる新憲法下に、官庁側も、また国民の一般大衆の側においても、どうしてもものの考え方を直さなければならぬが、それが時間的に十分でないということから、どうしても立法と行政の面からこれを是正して行かなければならぬのであつて、われわれ立法部においても——私は後に委員長の所信を承つて委員各位にも申し上げるのでありますが、どうしても公共事業費等の使途の適正に行われるために、立法の側においても、ひとつ研究しなければならぬと思うのであります。官庁の側においては先ほど来私が申します通りに、これらの新憲法下の盲点というようなものをまず認めて、本日お見えになつたような公共事業費に関連を持つ各省において、この際何か積極的な一つの技術、会計監査に関して、公共事業総合検査庁という役所をつくれという意味ではございませんけれども、各省で現にやつておるものだけでは不十分なのですから、これに総合性を持たすとともに、あるいは経費の点に十分のものをもつて、適切にできるものを考えない限り、今の制度のもとにおいては、かようなことが繰返されるのではないかということを私は指摘しているのであります。でありますからそれぞれの立場でこれから努力いたしますという、おざなりの回答では、私が相当の時間を費やして多数の人に一緒に来ていただいて質問した意味がないのでありまして、結局簡單な言葉で言えば、セクシヨナリズム的な一つの欠点が、新憲法下の誤られた民主主義というような、ものの考え方の上に露呈しているのだ。これをどう是正するかという問題ではないかと思う。これはひとつどうか、本日結論を私は諸君に要求しているのではありませんが、皆様方において現にかような事実があつて、それを指摘して私は申しているのでありまして、各地におきまして、似たものがあることを、新聞等を通じてわれわれは知りますので、これを何とかしなければならぬという皆様方の御意見も聞いておるのでありますから、この際どうかひとつ関係各庁におきまして、それぞれ担当する人たちにおいて、ぜひ研究していただいて、行政面においてこれらの公共事業費の適正に使われるという努力を払つていただきたいということを申しておるのであります。それとともに、かりにあやまつて起きた問題については、やはり過日も私が指摘したように、ここで金額の八割五分までが談合金に費やされておるということになれば、どうしたつて工事の方にも手ぬかりがあると思いますから、これを横に連絡して技術検査をする面、会計検査をする面にも、先ほど私が心配するような総合的な機関ができれば、一つになつて行くかもしれませんが、それまでの過渡期にできない場合においては、これを横に連絡して、十分なことができないであろうと思われるようなことに対しての、技術的、会計的検査の手ぬかりのない努力を續けてもらわなければならぬと思うのであります。今言う総合的な一つ機関ができれば、あるいは制度ができれば、その必要はないので、総合的に行くと思うのでありますけれども、今日ではばらばらで、監査なり、検査なり、調査なりをさせておるのでありますから、そこに私が先ほど来指摘するような、いわゆる不詳事件が起きやすいと思う。この点をひとつ私は事実を順次検討した結果として、皆様方に要望申し上げているのです。それぞれの立場に最善を尽すということだけでは足りない、いわゆる法律の上からと、社会情勢の上から、一つ簡單な言葉で言えば盲点があるのだということを私は指摘しているのです。これに対して総合的な立場で皆さん方が善処してもらいたい、こういうことを要望するのでございまして、各省それぞれの立場で最善の努力をいたすという御回答では、私が要望するものに当らないのであります。どうか新しい努力を私は要求しておるのであります。この点をひとつ御理解くださつて、これらの関係官庁においてひとつ善処していただきたい。それだけのことが明らかになつて参りますれば、今長野県下に起きた土木業務に関する私の續いての質問で、事実を指摘しつ皆様方への要望を申し上げた目的を果すのであります。  最後に私は委員長にひとつ所信を承つておきたい。私は長野県下の土木疑獄に関して、それぞれ関係各省からの責任者に出ていただいての答弁を通してわかつたことは、今申した通り、新憲法下の民主主義的なあり方の上に、やはり不完全なものがある。これは立法的な立場と、行政面から努力して直す、あるいはなくすようにいたして参らなければならぬと思うのでありまして、お聞きの通り行政面のそれぞれの責任者にはお願いしたのでありますが、立法部でその大部分を扱うわが建設委員会におきましても、どうかこの点に関して、委員長において理事会等に諮つて、しかるべく善処していただいて、あるいは小委員会のごときものを設けて研究し、今言う総合的、技術的、会計的検査の適切にできるような制度を設けるなり、それを監督する委員会を議会の中に設けるか、あるいは建設委員会の中に小委員を設けるか、何か適切なる処置をくだすために、ひとり小委員会のごときものを設けて御研究願いたいと思うのであります。かくいたしますれば、行政面と立法面から、とかく起きやすいかような公共事業の遂行上におけるあやまちというものを、全然なくすことは不可能にいたしましても、ほとんどなくすことができるものと信ずるのであります。どうかこの点について三回にたつての質問を通して、しかもそれぞれの関係当局者からの回答等を通してわかつたところの事実から、ひとつ委員長において新しい一つの努力を払われるよう私は要望申し上げて、所信を承りたいと思うのであります。
  43. 内海安吉

    内海委員長代理 私の意見を述べる前に、この問題は全体から見まして、何と言つても技術及び会計検査方面の不行届に基くものであるように考えられるのであります。そこでこの機会において、せつかくおいでを願つたのでありますから、綿貫会計検査院事務総長の御意見を一応承りたいと思います。
  44. 綿貫謹一

    ○綿貫会計検査院説明員 ただいまのお話でございますが、お話を承つておりますと、まず第一点が、補助金を通して政治というものが行政各庁にわかれておる、この点を御指摘のようでございます。これはひとり財政上の面だけの問題ではなしに、つまりその衝に当る者の頭の問題、あるいは考え方の問題になるのではないかと思うのであります。その衝に当る人がしつかりしておつて、そういう政治的な策動に乗せられなければ、そういう政治的な効果は発生せぬはずだと、われわれは思うのであります。われわれ検事をいたしております者から申しますと、そういう面はあり得るだろうということは一応考えてはおるのでありまするが、それが相当のりくつがあり、合法的に見える場合においては、そういうことについてしつかりした反証のない限り、これを批難するということはできないのでございます。  第一点の行政庁が政治的に動くというような面は、もちろん予算でしばつて、しつかりとそういう余地のないようにすれば、ある程度は減るでありましよう。しかし予算そのものが特定の目的を示しておりましても、それを甲に与えろか、乙に与えるか、丙に与えるかというような問題になりますと、やはりお話のような弊害が起きて来るように考えられるわけでございます。もちろんそういう面は最近は大分われわれの方でも——前には農林省あたりの補助が非常に数多く出て、こまかい補助がたくさんございました。これは多年にわたりまして、そういう補助は実際手にとる者から見れば、極端に言えば百円とか、二百円とかいうような補助をたくさん予算に載せておつても、それは結局国費を使う補助としては効率的ではないかというような面を、私の方から前に指摘いたしまして、財政当局とも話し合い、結局だんだん補助は減つて参りましたが、まだ必ずしもわれわれから考えました場合に、理想的になつているとも思えないのでございます。そういう面もございます。  それから第二点は談合のお話でございます。これもごもつともな非難だと思います。われわれもそういう面はいわゆる入札の結果を通して、われわれは現場に立会うわけでもございません。それから請負業者についてまわるわけでもございませんので、実際のことはわかりませんが、入札の結果から見ますと、あるいはそうじやないかなという疑問を持つ場合もございます。しかしながらそれの確証を握りません限りは、われわれとしては相手方を批判いたすのでありますから、証拠のない限りはとり上げることができませんので、とり上げるのは差控えておるのであります。ことにわれわれには検察権はございません。ですから一々強制的に取調べるというようなことはいたす権限は持つておりませんので、お考えによつては検査院の検査はまだるつこいという御非難を受ける場合もございます。でございまするが、これも国の一つ機関として与えられた権限を逸脱いたしましては違法になりますので、その点もできるだけはいたしております。場合によつては不正事件を発見して、それが犯罪の疑いがありますれば検察庁へ通告もいたしてございます。そういう事例も一再ではございません。でございまして、談合というような面になりますと、先ほども建設次官からお話がございましたように、請負の方法なりについていろいろ研究の余地があると思います。現に国鉄あたりでは、一昨年か昨年度あたりから、いわゆるオープン・リミットという方式によりまして、一般競争入札に付しまして、それがつまり一人で納めることができない、最低落札者があつたという場合には、入札した者の会議の上で、最低入札以外の者からも、購入なり契約をいたすことができるという、日本国有鉄道法の規定ができまして、そういう方法でやつております。これも一つ方法ではないか、こんなふうに考えております。しかしそれらも実行いたしてみて、あるいは弊害がある場合があるかもしれません。  それからローア・リミツトの入札という点も、実はわれわれとして現行会計法上違法であるということで、検査院に持つて来た事例も相当ございます。でございますが、これは実情から申しますと、気の毒なような面もございますが、やはりローア・リミットといたしましても、それを落札と決定いたしまする方法によつて、つまりどれを落札者と決定してよろしいか、その間に情実が入りまするならば、やはりそこに不正が行われるわけでございます。でございますから、それも考えようによつて、それぞれやはり入札に当る契約担任官が、相当の人格者でない限りは、そこにいろいろのまた問題も起り得る、こういうことにもなりますので、一概にこれがよいという結論も出ないだろうと思うのであります。そういう面もございます。  それから最後に検査の点の御指摘がございました、現にただいま問題になつておりまする天竜川の問題でございますが、これも私は事実はまだよく実体を聞いておりませんが、これはやはりわれわれとしても、先ほど来お話もございまするように、陣容なり、財政上の問題からいつて、ただいまわれわれの役所には職員が千二百五十名ほどおりまして、そのうち事務官以上が約八百名、これが全国の国費——公共事業費はもちろん、終戰処理費その他補助団体、政府関係機関、公団、そういうものを全部いたしておりますので、課が大体十七、八ございまして、一課に大体事務官が二十名ないし三十名という配置をいたしております。その人間でいたしまするので、これは全国、たとえば長野県の災害で申しましても、大体千七、八百あるいは千幾つございますが、これを全国に見ますと数万という災害公共事業費のものがございます。こんなような状態でございまして、実ははなはだ申し上げにくい次第ではございまするが、検査がこの前も部長が申し上げたでございましようが、徹底しておる——公共事業費に対する検査が徹底しておるということは、実は申し上げかねる次第でございます。むしろ端的に申し上げますならば、すみからすみまでは決して行つてはおらぬ、こういうふうに申し上げた方が事実でございます。そこで最近われわれの方といたしましても、検査をあまり手広く浅くやつても行き渡りませんので、ある目標を定めまして、そうしてそれに対して特別検査班を編成いたしまして、つまりその特定の事柄については、できるだけ徹底的にやるということで、昨年来建設省あたりにも大分御迷惑をかけて、検査を数回にわたりいたしまして、いろいろの事件もございました。これは決算委員会の方には検査報告として差上げてございます事項もございます。そういうふうで、災害の補助につきましても、昨年来特別検査班を作成いたしております。そうしてなるべく御趣旨に沿うよう、われわれとしてもその検査の目的を達しまするよう、十分注意をいたしておるわけでございます。長野県についてもこの七月ごろ、すでに年度初めから計画いたしまして、特別検査班を派遣いたすことにしております。しかし御指摘の事柄もございまするので、これはぜひもう少し繰上げて検査をさせようというふうな考えでございます。もちろん御趣旨の、検査を徹底せよというお話並びにそれを総合した一つのもつと大きな、もつとやり方の徹底した方法を考えよというお話については、十分御趣旨は拝承いたしまして、われわれとしてもただ努力するではいかぬというお話でございましたが、もちろん努力はいたします。それから実行に移したい。それでは御満足ではないかもしれませんが、ただいまの段階におきましては、御趣旨は十分拝承いたして、そういうところに沿うようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  45. 内海安吉

    内海委員長代理 それからこの機会に法務府の検務局からもお見えになつておるようでありますから、何か御意見でもありましたら、この際承りたいと思います。
  46. 宮下明義

    ○宮下説明員 検務局長がさしつかえておりますので、私からお答えを申し上げることを御了承願いたいと思います。率直に申し上げますると、終戰以来最近まで、法務府におきまして特に談合を一つの検察の重点として取上げなければならない、談合に対して厳正な取締り、検挙をしなければならないという、中央からの指示をいたしたことはないのであります。しかしながら終戰以来最近まで、各地におきまして次々に談合の事犯の検挙を見て参りまして、またそれに関連いたしまして、いろいろな汚職事件の発生を見ておるのであります。なお最近新聞紙上で御承知の海上保安庁の事件は、談合事件の検挙に端を発しまして、次々に海上保安庁の職員の汚職事件が検挙されておるのであります。このような情勢を考え、また先般来当建設委員会における各種の御意見等を考え合せまして、法務府検務局におきましては、最近の全国各地の談合事犯を整理して、その実態の研究及び原因の探究を始めておるのであります。單に談合だけでなくして、談合にからむ汚職事件等についても、いろいろな方面からその事件の実態、原因等をいろいろ研究いたしております。御承知のように刑法の談合行為は、公正な価格を害する目的あるいは不正の利益を得る目的という条件がついておりますので、いかなる限度のもの、いかなる線以上のものが、刑法にいわゆる犯罪としての談合になるかという点も、なかなかむずかしい事件でありますので、それらの法律的な研究等も、いろいろに着手いたしておるわけであります。それにつきまして、そのような研究、調査の結果によりまして、今後検察の一つの重点として談合行為の適正な取締り、検挙というものを取上げるかどうかという点を、法務府において研究いたしたいと考えておるわけであります。しかしながらこれはあくまで取締り、検挙の面でございまして、このような事犯に対しましては、あるいは請負制度改正、あるいは行政的な監査、監察の制度改正というような行政改正が先行すべきものであることは申すまでもないところでありますので、法務府でいろいろ研究いたしました具体的な事件を通じての欠陥なり、あるいは意見なりは、それぞれの関係各省の方へ、逐次御連絡いたしたいと考えておるわけでございます。
  47. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私は今、今村議員からの質問と当局の答弁とに対しまして関連いたしておる点が二、三ありますから、この機会にお尋ねいたしたいと存じます。それはさきに今村議員からのお話に、検務局は長野県のある工事に対して、八割五分からの談合金を確認した、こういうようなお話があつたように私は聞きましたが、そういうようなことを検務局が調査された結果、そういうようなことがあつたのでありましようか、まずこの点をお伺いしておきたいと思います。
  48. 宮下明義

    ○宮下説明員 検務局に参つております長野地方検察庁からの報告の中には、具体的にはそのような報告がまだ参つておりません。
  49. 逢澤寛

    ○逢澤委員 重ねてお尋ねいたしますが、検務局が承認なさつたというわけではありませんですか、もう一ぺんお尋ねいたします。
  50. 宮下明義

    ○宮下説明員 法務府に対する報告の中には、その点はまだ触れてございません。
  51. 逢澤寛

    ○逢澤委員 それでは重ねてお尋ねしておきたいと思うのであります。今、たまたま談合という話が出まして、さらに会計検査院の方からもいろいろのお話があつたのでありますが、それを総合して考えますと、現下のいろいろの経済事情下におきましては政府としておやりになるのは、きわめて公平な措置をとらねばならぬと思うのであります。一体、現在の会計法規や道路法の執行令などによつて考えてみますと、業者が一つの協調をやらねば営業が成り立たぬということがあると思うのであります。この点について、注文者側はお考えになつたことがあるでしようか、ないでしようかということをお尋ねしておきたいと思います。そこで私どもが建設委員としていろいろ研究しておるところによりますと、今日のこの経済事情下におきまして、先ほども断片的には話があつたようでありますが、かりに百万円の仕事をいたすといたしますれば、これは抽象的に百万円という計上ができたのではないと思うのであります。いろいろの物価の指数や労務の数、こういうようなものを技術的によく調査をなさつて、その結果、百万円という数字が出たものであると思うのであります。従いまして会計検査院が検査をする場合にも、それらの寸法とか形状とか、あるいはいろいろのことを調査しなければ、これは検査をしても、検査の結果は何も得られないと思うのであります。そこで私どもがここに疑問を持ちますのは、一体かくのごとく数量や寸法や、形状を有しておる、こういうことになつて初めて百万円というものができて来ると思う。しかるに現在の会計法規や道路法の一部によりますと、百万円のものを三十万円で入札いたしても、これに落札するというような制度がある。一体そんなことができることであるだろうか、どうだろうかということをまずお尋ねいたしたいたいと思う。そこで今村議員からもいろいろな御指摘になつてつたようでありますが、私どもはまず注文に際しては、できるような形式をもつて注文しなければ、できないような形式によつて注文をして、そうして起るいろいろのことに対しての責任は一体だれが負うべか、こういうことをお尋ねしてみたいと思うのであります。例をあげて申し上げますと、建設省にいたしましても、いろいろ各官庁の注文官庁をいたされましても、相当の技術者がありまして、その技術者によつていろいろの設計ができておる。そうして金額というものがきまつて来ると思うのであります。その金額の三分の一や半分で仕事ができるとか、できないとかいうことは、常識のある者は知つておる話ではないか、それを三分の一や二分の一で契約をするというところに、私は矛盾があるのじやないかと思う。従つてこの矛盾に対しては請負業者は——私は請負業者の肩を持つようでありますが、請負業者も何らかの方法によつて、不正手段——不正手段ということは適当でないかもしれませんが、何ぼ安くても契約をするというこの手段に対しては、営業者としては何かの行為を考えねばならぬと思うのであります。そこで注文者側におかれましては、今村議員も御指摘になりましたように、何かここに公正に注文ができるような方法を考える必要があると思います。特に中田建設事務次官などは、多量の注文をおやりになるのでありますが、そういうようなことをお考えになつたことがあるだろうか、ないだろうか、あるいはもしお考えになつておるとすれば、どうなつておるか。幸いにいたしまして、きようはここに会計検査院の方も見えておるのでありますが、会計検査院のあの条令の何条かということは忘れましたが、会計検査院の会計規則の中には、そういうような、何ぼ安くても安いものに落札するという条項があるのだそうです。こういうようなことを改めて、初めて私は適正な材料の注文がなし得られると思うのです。それを公定価格のきまつておるものに対しても、何ぼ安くてもこれは注文するのだというところに、根本的な間違いがあるのではないか、こういうように思うのであります。従いまして私は、中田さんのこういうような矛盾に対する注文者側としての考え方が何かあろうかと思うのでありますが、この点をこの機会にお伺いしたいと思います。
  52. 中田政美

    ○中田説明員 ただいまの逢澤さんからの御質問の点は、ちようど先ほどその点に触れて、私の多少の所見を申し上げたところだつたのでありまするが、重複いたしましてもお聞きとりを願うことにいたします。  現行の会計制度におきましては、残念ながら最低の入札に落すという仕組みになつておるわけであります。この例外としての唯一の例は、道路法執行令という内務省令がございまして、その中には三分の二以下の落札者には落さないという規定がございます。今のは三分の一というお話でございましたが、実はそうでないので、六割六分を割る場合には、落さなくてもいいという規定なのであります。それでもなお現在の物価では低過ぎる、ロア・リミツトが低過ぎるというお説がちらほら出ておるところなのでございまして、一説には、これは八割ぐらいを最低線にしたらどうかという説があるわけです。実はそれにもいろいろな悪い副作用がございますので、原則は一応最低の落札者ということにするが、しかしながらあまりひどいものについては、別途公正の委員会にかけてキヤンセルする、すなわち契約を締結しなくてもいいということにしたらどうかという説もございます。これらにつきましては、もちろん財政当局と御相談せなければならぬことでございますので、実は今建設省内で具体案について検討をいたしておるわけでございます。これはどの案がよいかは、実は建設業審議会でもずいぶん回を重ねて検討いたしましたが、遂に結論が出ずに、政府において検討しろということで、今日に至つておりますので、どうしてもこれは解決したい一つでございます。  それから実はその協議会の方が無理押しな予算で政府はやらしておるではないか、この防衛策に、どうしても話合いをせなければ立ち行かぬというような御意見もございましたが、実のところは、協議会に仕事が少いときには競争をなさる、これもやむを得ないことだと思います。競争があまり激甚になると、実際工事が無理なような値にたたかれるわけで、金融が梗塞しますとその場の一時しのぎに、無理に安い値で落されるそれは実は協議会の方々にも非常に自繩自縛といいますか、お困りになる結果になる。これらにつきましては、たしかにそうでございます。そこでたとえば経済事情が非常に変更したような場合については、契約を中途でも変更し得るように、契約約款をかえようじやないかというので、先般建設業審議会で答申された案がその案でございます。しかし当初予算できまりましたものを、非常に物価が上つたから今度は設計を変更して、たとえば百坪建てる家を六十坪でがまんしようじやないかというようなことは、なかなか容量じやない。従つて発注者の方は、無理をした見積りで出すようなおそれのないことも決してありません。確かにあると思います。しかしこれも、ただいま申し上げましたように、経済事情が非常に変動した場合には、設計変更なりするというような円満な運用があり得るではないかと思うので、この点でこの問題を解決して行きたい、こう考えております。
  53. 綿貫謹一

    ○綿貫会計検査院説明員 ただいまの御意見にお答えいたします。競争で一番安いものに落せということは、これは会計法でございますが、法律にそういうふうにあるわけでございます。と申しますのは、競争によつてやれということだけしかございませんで、最低限を押えておりません。いわゆるロー・ミリツトがないわけであります。その結果といたしまして、検査院が欲すると欲せざるにかかわらず、そうやらざるを得ない立場にあるわけであります。法律の解釈上そうなつて来るのでありまして、従来もずつとそのように取扱つておるわけであります。それから予定価格、つまり入札に付しまする場合に——あらかじめ注文者たる官庁でつくりますものを予定価格と申しておりますが、この予定価格は、お話のように、設計規格によりましておのおのその單価をつくりまして、そうして計算いたしまして、この建物なりこの工事は幾らかかる、百万円なら百万円かかるという予定価格ができるわけであります。しかしながら予定価格も、実はわれわれが少し神経質に考えますと、その設計をいたします技術者の頭によつて、やはり多少の動きがございます。ある者に設計させれば百万円と設計する。またある者に設計させれば百二十万円と設計する。そういうことは事実あり得ると思います。これは価格の見方いかんによるのでございます。統制価格のあります時分は、大体統制価格をとつておりますから、あまりひどい開きはなかつたようでございます。しかしながら数量の計算、たとえば、材木を使います場合、柱をどれだけ切り落すかということによつて所要材が違つて来る。あるいは足場丸太にいたしても、それを何年で償却するかというような見方によつて、予定価格が違うのでございまして、そういう点もわれわれ十分に注意して、検討しているのでございます。この予定価格そのものの当否という問題もございます。現に検査報告として報告いたしておる分もないではございません。そういうわけでございまして、予定価格はこれは絶対価格、いわゆる公定価格にぴつしやりとしたもの、それ一本でございますと、そういう入札上の差増減というものは、あまり問題にならぬわけであります。そういう場合もあるわけでありまして、御指摘のように、やはり規格なり、寸法なり、数量なりというものを基礎にいたしまして、予定価格ができておるわけでございますから、そういう面から考えますると、お話のように三分の一でできておるというようなことは、普通の状態におきましてはあり得ません。ただそこに三割なり二割の開きがあるということは、入札いたしましたものをわれわれが検査いたしました経験から申しますと、やはりそこに一つ工事を請負つておる業者がありまして、その附近の工事を請負うという場合は、ほかの業者より有利なわけでございます。従いましてそこに多少の差はありますが、常識から考えまして三分の一で済むというようなことは、あり得ないのが通常と考えられます。そういたしますと、先ほど中田次官からお話のように、ロー・リミツトという制度もよいではないか——これが公平に参りますれば、ロー・リミツトをどこで押えるか、つまりきわめて接近した部分がとられるのか、ちよつと足を出したものはけられるのかという問題も出て来るのであります。ちよつとそれより下まわつたためにはねられ、五千円上まわつたものに落ちるという場合も、理論的には起きるのであります。そういう場合に、先ほど次官がお話のように、それを公平な委員会とか何とかいうものにかけて決定するというように法制化する方法がございまするならば、それもけつこうである、こうわれわれは考えているのであります。
  54. 逢澤寛

    ○逢澤委員 話はわかりましたですが、しからば会計面におきまして、注文者の官庁からそういうような提案がありましたら賛成する用意がありますか。今の何ぼでも安い、端的に言えば、一万円のものを千円に落札しても契約をさす、こういうような方法を是正して、先ほど中田次官からお話になりましたように、三分の二以上の最低者をもつて落札をさす、こういうことに法規を改正するとか、あるいは八割以上とか、九割以上とかいうように改正することに賛成する用意があるかどうか伺います。
  55. 綿貫謹一

    ○綿貫会計検査院説明員 ただいまのお話でございますが、前にも申し上げました通り、ロー・リミツトを決定することは、非常に公正で、何ら暗い面がないという適当な方法があるならば、それはけつこうな制度である、こう考えております。
  56. 逢澤寛

    ○逢澤委員 きようは幸いにして関係官庁からみなおいでになつておりますから、今村委員の方からも強い要望があつたようでありますが、さらに希望を申し上げておきます。  各官庁とも相当高級な技術者と、いろいろな機関を通じて設計ができておると思いますので、今会計検査院の総長がお話になつたのは受取りにくいのです。今日の物価指数の上から申しまして、二割も物が違うということはないと思うのであります。五分や七分の違いはこれはやむを得ませんが、今日のいろいろな事情を精細に調査してみて、二割も違うものがあるとすれば、国会として各官庁が予算を計上なさる場合、愼重にやつてもらわなければならぬ思う。私は、各官庁がいろいろな注文を出される場合に、二割も違つているということは常識的にも考えられぬ。三分や五分や一割くらいの違いはあり得るだろうと思います。従いまして、権威ある技術家や、経済に精通した役人が調査をせられて設計をされ、あるいは公吏が調査をされ、設計をなさつて注文をなされる場合には、そう二割も三割も違うほどの、高いとかあるいは安いとかいうような、ずさんな注文ができるとは私ども議員としては信じていない。それが三分や五分や、あるいは一割以内の上下が、あるということは、人間が調査をするんだからやむを得ない。しかしながら二割も三割もあるということは私は信じません。従いましてこういうような論拠から判断をいたしますと、それを半分でもやらす、あるいは三分の一でも契約する者にやらすということは、これはできない相談をしているものだと思う。従いましてなるたけ早い機会に適正な価額によつて注文をする、こういう方法を私どもの方でも研究いたしますから、注文関係の官庁においても、また会計検査院の方においても、大蔵省においても、よく御研究を賜わりまして、そして将来私どもの方から提案をするに際しましては、すみやかにこれのできるように、成案を得るように、御協力を願いたいということをあわせて申し上げておきます。
  57. 宇田恒

    ○宇田委員 ちよつと申し上げておきますが、さいぜんの中田次官のお話の中で一つ補足したいことがあります。大体談合を二つの理由で解釈している一つ権利を保有するような形で、利権を得るために談合をする。もう一つはそうでないものもある。大体この二つの理由だというお話でしたが、もう一つあるということを御記憶なさらなければならない。それはこうした建設工事の入札のみではなくて、物品の納入、払下げの問題にも関連して来るが、設計を出したもの、予定価格をつくつたものをいよいよ入札に付する場合において、予算がないために落ちないようなことがある。その場合、平素出入している商売人や、あるいは請負人としては、利益にならない、むしろ赤字を予想されるようなものでも、この場合落して行かねばならぬという覚悟で、特に戰時中から戰後の非常に物価が急騰した時代においては、そうしたような、お役人の立場を守るという意味じやありませんが、せつかく出入を許されている平素からのおるわけ得意先だから、この会社は犠牲を払つても契約しなければならぬという立場に直面した。こうした談合入札が多分に行われたことであろうと思う。その当時においては、その数字も相当大きいのではないかと思う。そこで次官もそういうふうなものがもう一つあるということを御記憶なさらねばいかぬと思う。これはわれわれ建設委員会でありますから、建設行政についての談合問題を論議するわけで、当然のことでありますが、その他建設部門だけではなくて、あらゆる部門にこの談合の問題が取上げられる。物品納入において、あるいは払下げにおいてこれが行われる。また日本では正式には取上げておりませんが、この談合方式が、いろいろ政府の行政方面の改革あるいは監査の方法についての法律改正、その他罰則の規定等によつて行われるであろう。しかしいわゆる俗な言葉で言うと、浜のまさごは尽きずとも、談合は尽きまじと私は考える。そこで外国、特にアメリカ等は、入札の問題はまあ特別に取上げるわけじやないんだが、たとえば払下げあるいは納入物品の数字及び品物を規定する、そういたしまして、たとえば一日に十なら十の種類のものを入札する場合において、特に談合を防ごうとする場合において、一号、二号三号、四号とかりに名づける。そこで現地を見、品物を見、数字を十分調査して、入札の方法でなくして、いわゆるせりといいますか、バナナを売るように業者を一堂に集めて、一号をせる、二号をせるというような方法で、そうしてこれの最高価格というものをきめておきまして、公正に皆さんの前で数字を述べてせる。そうして最高価格の、たとえば予定価格に参りましたその線まで入つて来たら、大体ゴール・インを宣する。ゴールインを宣して一、二、三回ぐらい、まあどのくらいの時間であろうか知りませんが、注意をする時間を入れて最後の腹をきめて、払下げならば最高、あるいは入札等のこういう工事の場合には最低をきめる。こういうようなことも考えられておる。すでに外国ではこれを行つているのではないかと承知しているのでありまして、そういうような方法もあると思うのであります。私の申し上げんとするところは、この法律をいかに改正しても、そうした談合防止は困難だということをお考え願いたい。こういうことを申し上げておく次第であります。
  58. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 各省からおいでになつておりますから少し質問いたしたいと思います。建設省の中田さんにお伺いしたいのですが、いろいろ会計検査院その他の方面から、土木建築業者が不正工事をやつておるというような例がたくさん出ていると思いますが、そういう業者に対して、建設省としては行政処分措置をとることができる。たとえば三箇月ないし六箇月の営業停止処分を命ずることができる、こういう法律があるのでありますが、そういうことをやつた例がありますかどうか。また今後これを厳重にやるという決意を持つておられるかどうか。これをお伺いしたい。たとえば昭和二十四年度の会計検査院の検査報告によりましても、特別調過庁関係などに、相当明らかにこれは業者が不正をやつたものであると思われることが出ているのであります。こういう点につきまして十分に調査して、不正業者に対して断固たる措置をとつてもらいたい、これを要望しておきます。またあなたの所信をお伺いしたい。  それから法務府の方が来ておりますが、法務府でもやはりこれを認めていると思う。認めていると思いまするから、この中でこれは怪しいなと思つたら、法務府独自の見解で大いに調査して、これは検察庁に命じあるいは協力して、この不正を徹底的に突き詰めて、不正者を糾弾する措置をとうてもらいたいと思う。何も法務府や検察庁というものは、共産党やあるいは民主新聞を取締るのが役目じやないんですから、そういうために国民の税金を払つているんじやないんですから、そういう国民の税金を食いつぶしている悪いやつを大いにやつてもらいたい。これは法務府の役割りです。その点法務総裁によく言つてもらいたいと思う。第一大橋法務総裁が、たとえば特別調達庁の二重煙突事件でいろいろ国会などで問題になつているけれども、法務府はしからば総裁のこの問題については、法務府独自の見解からどういう調査を進めたか、こういうことをお伺いしたいと思う。先ほど入札の問題が出ましたけれども、法務府自身が、いろいろ怪しむべき入札をやつていることが出ております。たとえば笠松刑務所で入札をやらした。ところが大日本土木株式会社に請負わせた。それが百四十七万円という予算が足りない。そこで今度はその他の工事を請負わせるにあたつて、百四十七万円足りないものだから、実際は三百三十五万円の工事だけれども、これに二百万円かぶせて入札をやつてくれというようなことを業者に頼んで、入札をやらした。百四十七万円足りないのだから、百四十七万円にかぶせるというのならわかるのですけれども、これに百五十万円かぶせて、そうして入札をやらせておる。こういうばかなことを法務府関係がやつておる。あるいはまた会計検査院が報告しておるところによりますと、苫小牧の検察庁庁舎を建設するときにあたつて指名競争をする。そのときにやはり予定価格と最低制限価格を定めて、そうしてその最低制限価格に達しない、非常に低い入札を排除して、二番札をもつて落札者として契約を結んだ、こういうようなことがある。初めから最低制限価格を定めておきながら、こういうことをやるということは、どうも中に何かあるんじやないかということも考えられるのであります。こういうように、あるいは検察庁関係の会計検査院の報告を見ても、非常に不正と思われるようなものがたくさんあるのでありまして、こういう点について、法務府はもつと真剣なる態度をもつて調査し、不正者を糾弾すべきであると思うのでありますが、これらについて意見はいかがでございましようか。中田さんと法務府の方にお伺いいたしたいと思います。
  59. 中田政美

    ○中田説明員 建設業法の運用についての御質問でございますが、建設業法は当委員会において御審議、御可決を願つた法律であります。工事の適正なる執行と、建設業界の円満なる発展のためにつくられたものでありまして、その立法精神にのつとつて運用いたしております。過去におきましても、たしか明楽工業は、営業の登録を取消したと思います。そのほか営業停止をしたものもございます。ただ建設大臣でじきじきやるのは、中央で登録したものでございまして、地方の登録は非常に数が多い。これは県知事と地方建設審査会が審査し、処分することにいたしておりますので、今後におきましても、立法精神にのつとつて適正な適用をいたして行きたいと存じております。
  60. 宮下明義

    ○宮下説明員 全国の各地方検察庁におきましては、それぞれの検事正統括のもとに、厳正に法律を執行いたしておるわけでありますが、先刻も申し上げましたように、中央において特に談合を一つの検察の重点として、最近の情勢にかんがみて取上げなければならないという決定あるいは指示をいたしたことがないのであります。いろいろ御意見もございますので、十分に情勢を考えて、この問題を真剣に考えて参りたいと思つております。
  61. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 ただいまの御答弁で、情勢を愼重に考えて行きたいというのはどういうわけですか。悪いものは大いに調査して、これを摘発して、逮捕状でどんどん出して、そして暗いところへほうり込んでやる権限は、あなたたち持つておる。その権限がどういうふうに濫用されておるかというと、民主的な出版物を、これは政治的な意見だ、この吉田内閣に反対する政治的な意見を発表したものを検挙し、逮捕し、家宅捜査をする。きようの新聞にも出ているように、産別会館をたくさんの警官が包囲し、そうして書類を押收したり、あるいは責任者を逮捕したりしている。そういう権限を持つているならば、明らかにこの会計検査院が報告している。こういう不正をやつているのではないかと思われるものに対しても、どんどん武装警察をもつて家宅捜索をやつたらいいじやない、か、それができない。なぜできない、それはあなたが愼重に考え適当にやつて行く、そんなばかな答弁は考えられない。あなたたちがどういう考えでそういう答弁をするのか、気持をお伺いしたい。
  62. 宮下明義

    ○宮下説明員 各地方検査庁におきましては、それぞれその管内におきまして厳正に法律を執行いたしておるわけであります。それが中央において、特にその検察庁における執行が手ぬるい、あるいは行き届いておらないというようなものにつきましては、中央におきましてその問題を取上げまして研究して、その地方の検察庁に指示をいたすわけでありますが、先刻も申し上げましたように、談合の問題については、今までそのような措置をとらなかつたのであります。しかし当委員会の先般来の御議論等も考え合せまして、法務府においてはこの問題を真剣に考えよう、こう申し上げておるわけであります。
  63. 内海安吉

    内海委員長代理 先ほど来今村委員より、行政機構の方面並びに技術及び会計監査、請負制度の改革等について、いろいろな御意見があり、これに対しましてそれぞれの官庁を代表せられて答弁があつたようでありますが、建設委員会といたしましても、今村委員の御希望を尊重いたしまして、一応理事会に諮り、適当な方法をもつて善処したいと考えております。さよう御了承願います。     —————————————
  64. 内海安吉

    内海委員長代理 次に理事補欠選挙の件についてお諮りいたします。去る二十二日理事田中角榮君が委員辞任せられ、その補欠として尾関義一君が本委員に選任されたのでありますが、去る二十三日、尾関義一君が委員辞任され、田中角榮君が再び本委員に選任されたのであります。現在理事一名欠員と相なつた次第で、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により委員長に御一任願い、田中角榮君を理事補欠選任するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議がなければ、さように決します。  次会は明二十六日、午後一時半より委員会を開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十八分散会