○今村(忠)
委員 先ほど申し上げた
通り、御
関係の各位は真剣にお聞き願いたい。今衆議院の災害対策
委員長七名の者が実際に災害復旧
状況を見に行
つたところが、さしず
通りのことが行われていなか
つたのではないかということを
指摘しておる。それを後にまた四名の者が見に行
つたが、できたと称したということであ
つて、私ははたしてできておるやいなや技術的に調べて見たのではないので、松井当時の
委員長としては、この際証言はできないでありましよう。私はその証言をここで求めようとはいたさない。ただ一年に一千百億を超える厖大な
公共事業費の大部分が、災害対策、それ以外にまだいろいろありましようけれども、概して建設的な
事業に使われておる。これがはたして至当に使われておるやいなや。今ここに実例として長野県の問題を取上げておるのですが、松井前災害対策
委員長が見て来ての今のお話を聞いただけでも慄然あわを生ずる思いがある。この堤防ではたして流れない堤防ができておるかと言いたい。現に私はその後現地の災害復旧共同起工式の日にあいさつをいたしておりますが、そのとき流れない堤防はできないかということをあいさつの中に入れたら、どつと笑
つたくらいである。業者は流れない堤防ができたのでは食えないというのです。諸君、この敗残の日本の
経済的に困
つておる中で、国費の七分の一に近い厖大なものを費しておるこの建設的な
事業において、これが真剣に使われておらないとするならば、これは税金を負担しておる国民にかわ
つて考えてみても、捨ておかれない問題であると思う。ところがその後この災害復旧に関して
新聞の題字を見てもすぐわかるように、七工事箇所に三十七業者の不法入札、妨害、不法談合があ
つた。これは長野県警察本部の発表したものを見た私の記憶で申すのですから、この事実はひとつ
刑事部長に明らかにしてもらいたいのですが、請負
金額のうち七割五分が建設費にまわらずに他に消えましたということが発表されておる。私の記憶が確かだとすれば、こういうことを見受けたのであります。建設面でなく、他の面に七割五分が消えて、二割五分で堤防をつく
つたとい
つて、この堤防が持ちますか。こんなことを繰返してどうして日本の再建ができるか。
刑事部長は責任を持
つて、長野県の検察
当局の調べた事実をこの際明らかにしてもらいたい。同時に、七割五分が建設以外の経費に消えておりますという業者の取調べによる回答からして、それではあとの二割五分で堤防をつく
つたのかどうか、これをも確かめてもらいたい。業者が損をしてこれに金を加えてや
つた。ものか。かりに二割五分でしたとするならば、それは今前災害対策
委員長の
指摘する
通り、完全なものができているはずはありません。われわれはしろうとでわからぬのでありますけれども、裏込めが十分でないと
指摘した事実などは当然あるであろうと想像されるのであります。そうだとするなら、技術
検査と会計
検査はこれでいいと言
つたのでありますか。これから技術
検査をするというならば、はつきりや
つていただきたい。会計
検査をやるというなら、はつきりや
つて、この
一つの問題のあとがどういう形において済んだということにな
つたのか、それをこの際明らかにしていただきたい。現に業者の方で、七割五分は他に消えましたということを取調べられた際において答えておると思うのでありまして、それが
新聞に発表されておるのでありますから、
新聞の活字が
間違つておると言えばそれまででありますが、それを事実に基いて進めたいというのであります。実に心外にたえません。かりに予定の経費が出て、七割五分が他に消えて、二割五分で堤防がつくられたとして、これが技術
検査も
通り、会計
検査も通
つてお
つたとしたならば、その堤防はいつ流れるか、まことに不安限りないものがあるのであります。まず
刑事部長から長野警察本部へ問合せればわかることと思いますから、それがわか
つたなら、技術
検査に当
つた人、会計
検査に当
つた人、これらの人たちがそういう——簡単に申せば、不完全きわまるものをなぜ済んだということになるのか。
そこで私はなお重ねてお聞きしたい。地方へ補助するところの
国家の補助金が至当に使われておらぬのではないかということについて、何とかする
法律なり制度なり設けなければならぬということを先ほど来私は申しておるのでありまして、あるいは根本的にはアメリカのように補助金制度というものをなくすべきではないかとさえ
考えておるのであります。アメリカへ私たち見に行
つて参りましたが、アメリカの役所には陳情というものがない。補助金制度がない
ために陳情を受けるということがない。従
つてかような間違いがないということも
指摘したい。そう
考えて参りますと、一体この補助金をとる
ために——例を飯田の災害復旧の場合にと
つて来るとはつきりいたすのでありますが、飯田市長は、ほとんど一年のうちの何分の一というものは
東京に来て滞在しておる。私自身も実に驚いたのでありますが、きようは建設省の役人が来るから、
土地出身の議員として
出席してほしいというので、私は五反田のある料亭と心得て招かれて行
つたところ、おそろしい女がたくさん立
つておる色町で、大学の講師をしておる私は、こんなところへはとても入れぬとい
つて、案内する秘書が持
つておる
カバンを奪いと
つて逃げ帰ろうとした。それを、待
つてください。きようは大事な会合の日だから、どうか飯田市
復興の
ために、今村さん、忍んで来てくれというので、顔を赤らめながら私はその色町の中に入
つた。さて行
つてみて驚いたのは、待合である。そこで私は市長にただちに面責した。君、けしからぬじやないか、待合に宿をと
つて、かように役人を呼んでやるという君のやり方はけしからぬじやないかと言
つて、一教育者の私は、純情のあまりただちに市長を面罵した。そうすると、宿屋にお
つて料理屋に役人を呼ぶと、二重に金がかかる。待合にとまり込んでお
つて、待合に呼べば、一度で済むじやないですか。こういう
説明である。私は唖然とした。その後私はただちに市の議長にあてて手紙を書いた。市長はかような行跡をしておるけれども、見かねる。私は
土地を代表している議員の一人として、そんな経費は使わなくても、飯田市
復興の
ための補助金等は十分私が責任を持
つて得られるものは得るようにするから、市長のさようなむだな経費はぜひ
復興の方にまわしてもらいたいということを書面で申し送
つた。けれどもそのことは依然として続いた。そこで私はある演説会の席上で
指摘しながら非難した。事の起りは、建設大臣が来ても市長その他が迎えに出ぬということにあ
つたのでありますが、けしからぬではないかと言
つて指摘しますと、数日後の
新聞に、市
会議員がはつきり文書をも
つてかような声明をした。市長が
東京に出て努力して五百万円もら
つて来るなら、百万円くらい使
つたつていいじやないかとい
つて私に答えた。私はこの際会計
検査の方たちにお聞きしたい。一体補助金のうち、一割なり二割までが——百万円は五百万円の二割ですが、そういう、簡単な言葉で言えば、
東京に出て補助金を受ける運動
資金、見ようによ
つては汚職
事件を生み出すところの官吏買収に充てられておるのに、会計
検査が通
つておる、のはどういうものであるか。おそらく役所では、こんなものはみな帳面につけるときにはそうは書いておりますまい。けれども、市
会議員が堂々と文書をも
つて新聞に答えてあるのでありますから、私はこれはひとり市長だけの問題ではない。地方自治体の、いわゆる市議会もかように
考えておると思う。ここに私の
指摘したいことがある。地方の役所というものは、中央からもら
つて来る補助金は、自分らの地方の負担金でない。もら
つて来たものだから、もらい得だ。百万円使
つても、五百万円もらえばいいじやないかという、ごく平易といいますか、俗な
考え方が起きるのだろうと思う。これを私は先ほど来
指摘して、いわゆる新
憲法下の大きな間違いではないか、補助金の使い方は、先ほど来申す
通り、堤防の場合においても、実質的には二割五分使われて、あとはどこに消えてもやかましくない。また飯田市の
復興の
ためにも、今言う
通り、二割までが酒食といいますか、
東京へ出ての運動費に消えてもいいという、このものの
考え方が、いわゆる地方分権という立場を重んずる新
憲法下に起きて来た
一つの事実ではないか。そうだとするなら、これを是正する根本的なものを
考えておかなければ、これら年々計上せられる一千億を超える厖大な
公共事業費というものの大半が地方へ補助金とな
つて出るときに、これがどう使われているか、寒心にたえないということを先ほど来申すのであります。
どうかこういう意味において、会計
検査や技術
検査が一体どういうふうに行われているか、順次御
説明願いたい。まず国警の
刑事部長は、長野の警察本部へ問い合せて、七割五分他に消えたというが、二割五分で堤防をつく
つたのかどうか、当時の調べ等によ
つてわかればよし、わからなければ新たに御研究願いたい。しかも驚く事実は、これらの問題に連座した二人の県
会議員は、今度の改選にあた
つて堂々と当選しておる。一人の県の土木部長をしてお
つた者は、新しく自分の家をつく
つたばかりではなく、他にも堂々たる料亭をつく
つておるとさえうわさされておる。そんな厖大の金がどうして得られたか。取調べの結果は、わずか一、二の問題にしか触れておらぬといいますけれども、これがまた選挙では堂々と当選しておる。こういうことを見せつけられておる長野県の若い青年が、共産主義、社会主義に走るのは当然だと思う。私たち自由党は、自由民主主義の上に立
つて政治を行おうとするものでありますが、
資本主義政治を行
つて資本家だけを擁護して、貧しい国民がどうあろうとも、知らぬ顔をしているというものでないことを明らかにする
ためにも、かような不正なものを不正として指弾しなければ、悪者の方がますます栄える
状態になる。当然これが、今言う共産主義に青年を走らせる大きな動機にもなる、私はそう思う。そうだするなら、どうしてもこの点を、次の機会には
法務総裁にも出ていただき、各大臣にも出ていただいて私はただしたいと思うのでありますが、この際は実際問題に即してお聞きしたいから、どうかひとつ
刑事部長は長野の警察本部に連絡してこれを明らかにしてもらいたい。同時に、実は多少のけが人は出るかしれませんが、五反田の、うだ川とかいうのも調べてもらいたい。なぜかというと、これは建設省に
関係ありませんけれども、特別分与金の援助を受ける
ために、私は木村小左衞門大臣をたずねたことがあります。そして飯田が焼けて
復興がまだ遅々としておるから、特別分与金をふやしてもらいたいと、じゆんじゆんと
説明をしたときに、当時の木村小左衞門担当大臣は、けしからぬ市長だから、あの市長をやめて来いと言
つた。なぜあなたはあの市長をけしからぬ市長だとおつしやいますかとただしますと、奥野課長に聞いてくれ、言語に絶する市長じやないか、君らはああいう市長を民主主義の時代に認めておるというのは何たることだ。
内容を知らせてくれとい
つたが、とうとう知らせてくれなか
つた。このなぞを知
つているのは奥野課長一人である。けれども、これらも結局問題なくして行
つたということは、何を意味するか。そうして予定の分与金が出ているのである。大臣は顏を赤らめて、市長をやめて来いと言
つて指摘した事実が、実際は市長がやめなくて済んだということはどこにありましようか。われわれにはわからぬ。簡単な言葉で言えば、
東京に来て運動すれば必ず補助金がよけいもらえるのだという事実を私は知
つたのである。そうなると、飯田市
復興の
ために私が正しい立場で言うよりは、市の
復興ということだけを
考えるなら、飯田市長のごとく、二割使
つても、五百万円もらえたからいいじやないかと、市
会議員が堂々と
新聞に発表する事実が出て来るのであります。私はずいぶん迷
つた。捨てておく方が飯田市
復興の
ためになるという結論になる。私どもは議員の一人として見るに忍びず、できれば数日にわた
つて質問をいたしたいと思う。これは
最初に断
つておいた
通り、ただ
事件そのものをあばいてどうというのではなく、日本において陳情による補助金がたくさんあるという事実を、制度の上でなくしたい、できれば補助金制度をなくすか、こういうことのできないような
予算の立て方にするか、あるいはかようなものを出すとしても、技術
検査と会計
検査とが、厳格にというか、正しく行われて、補助金が適正に使われるということを
考えなければならぬと思うのであります。まず
刑事部長の所信を第一にお伺いしておきたい。