○
田中(角)
委員 お答えいたします。第一の耐火、防火という面のほかに、耐震ということを考えたらどうか、これはもちろんであります。御
承知の
通り木造
建築の方にも、できるだけ乏しい
国費の中から理想的な
庁舎をつくるためには、どうしても
合同庁舎をつくりたいというので、第六条に規定しておるのでありますが、その
意味におきまして
不燃化の決議案に盛られました
通り、できるだけ
不燃構造物をつくろうとしておるのであります。もちろん
不燃構造物というものは、木造の大きいものでなく、鉄筋コンクリートもしくは新しい
構造方法によるところの軽量コンクリート建等を考えておるのでありますが、その場合は当然
建築基準法の規定の制約を受けるわけでありますから、現在の日本の
建築の規則上から考えますと、耐火の
建物の条件としては耐震を十分考えておるわけであります。もちろんこういうふうな
建物は、耐震的には完全になるわけであります。
第二問の空地の問題でありますが、これは
まつたく都市
計画上われわれも考えなければならない問題でありまして、日本の昭和
通りなどは
アメリカなどに比べますと非常に幅が広過ぎる
道路でありまして、特に輸送
道路としての生命はありますが、現実の問題としては、あの
ような大きな
道路に面しておる商店というものは全然商店の価値をなさないという
ように言われておるくらい、
まつたく日本の
道路としては車の置場もない。まん中の緑地帯をつぶして自動車置場をつく
つて行かなければならぬ
ような
状態にあります。もちろん古い都市
計画と、日本人の感覚によるところの都市
計画で行われた各都市の
道路は、もうほとんど現在の情勢にそぐわない
ような
状態であります。だからこそ東京においては百メートル
道路という
ような、まことに奇想天外ともいうべきことを考えておるのでありますが、これは広過ぎるからつくれないということではなくして、東京都がやめた原因は、金がないから五十メートルにし
ようということにな
つたそうでありますが、これは世界的に考えてみて、また歴史的に考えてみて、まだまだこの
程度に日本の都市
計画を考える人が日本の都市
計画のエキスパートであるということは、私自身としてもおかしな感じがするのであります。もちろん
上林山さんも
向うに行
つて来られたのでありますから十分おわかりになる
通り、
アメリカは合理的に屋上を
使つたり地下室を使う自動車置場をつく
つておりますが、もちろん東京その他、いわゆるわれわれが考える六大都市の
合同庁舎等には、当然この
ような自動車置場が合理的に考えられなければならない。その
意味においてこういう問題を解決するためには、
各省にまかしておいてはいけないので、一定の地域を指定したり、あるいはまた
審議会において十分な
審議を行い、間違いのない
ような
計画を立てて行きたいと考えております。もちろんこの場合高層的なものは緑地を設けるなり、密集地帯においては
建物の上下を使うことになると思います。
第三の収容人員の問題でありますが、これは
まつたくさいふに関することでありまして、持てる国
アメリカにおいては一人当り三・五坪を計上いたしておりますが、現在の日本の
官庁は約一坪弱であります。なお旧内務省の
建物の中には経済安定本部その他たくさんありますが、一番スペースを持
つておるのは戦後つくられた人事院でありまして、その次は経済安定本部。
建設省は紺屋の白はかまで、ここで申しました
ように半坪にも満たないのでありまして、
自分の机の置き所がないので廊下にまで積み重ねて、
建設委員会から注意を受ける
状態であります。だからその
意味においても、総合的な企画を行う場合にはできるだけ有効適切に使える
ように、
合同庁舎等を重点的につくりたい。そして究極の目的としては、
アメリカ並の三・五坪くらいのものにして行きたいということを考えるわけであります。
なお
能率の問題でありますが、日本の
建築に対しては、
国会においてもそうでありますが、現在ここにつけてあるところのシャンデリアの
ような、非常に大きなものを使わないで、今
アメリカで使
つておる
ようなものを使う。
能率的にはまず数倍する
ようないいものがあるわけであります。この
ようなものは日本の
建築の
状態として、戦後独自な発展をしておるのであります。この場合当然こういう設備の向上ということも期待しておるわけであります。
なお第四の衛生設備の問題でありますが、これは衛生、電気等一切を言わず、日本の昭和十年当時の
建築物におきましては、大体本
工事費に対して設備費は一〇%、すなわち一割金をオーバーしない
ようにというのが日本の現在の
建築家の大体の頭であります。一級
建築士等もその
ような考えを持
つておるのでありますが、これは時代錯誤であります。日本はくみとり便所、電気は六畳に一個、こういう考えであ
つたので、実際そういうふうな
状態にな
つておりますが、この衛生設備という問題は、
アメリカと日本と比べても全然違
つて来ておるのであります。特に
官庁の
建物におきましては、
能率を上げるためにはこの設備費を上げる、すなわち衛生設備に金をかける、保温暖房施設に対しても特に力を入れる、照明施設に対しても力を入れるという
ようなことがだんだん普及されておりまして、現在は物価の値上り等もあるのでありますが、各
官庁の
営繕工事等におきましても、一〇%から三〇%
程度まで上
つて来ておる
状態であります。現在
アメリカの兵舎等を特別調達庁でや
つておりますが、私
たちがここでも
つて審議いたしました連合軍住宅公舎等の
建物においては、坪当り十万円の諸経費が計上されておりますが、そのうち木造の部分はわずかに四万円であります。あとの一万円は庭園設備その他であります。それに倍する五万円というものを、今われわれが希望を持
つております電気、衛生、ガスその他いながらにしてあらゆる便にたえるという
ような方法にかわ
つて来ておるのでありまして、もちろんこれからもこういう実際の
構造物に対する
建築費だけを言わず、同額くらいの設備費を計上する
ようにいたして行かなければならないということを考えておるわけであります。その場合非常に
建築費というものが高くなりますので、必然的に
各省に分散しているものを合同集約して、そのかわり施設をよくし
ようということを考えておるのであります。