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1951-03-06 第10回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月六日(火曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    上林山榮吉君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       中島 茂喜君    増田 連也君       池田 峯雄君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁         長官官房長)  辻村 義知君         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         総理府事務官         (特別調達庁契         約部長)    長岡 伊八君         総理府技官         (特別調達庁次         長)      堀井 啓治君         総理府技官         (特別調達庁技         術監督部長)  池口  凌君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済調査庁次長 奥村 重正君         経済安定事務官         (経済調査庁物         資調査部長)  司波  實君  委員外出席者         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 二月二十七日  委員上林榮吉君及び内藤隆辞任につき、そ  の補欠として小玉治行君及び久野忠治君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として内  藤隆君が議長指名委員に選任された。 三月二日  委員小玉治行辞任につき、その補欠として上  林山榮吉君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員飯田義茂辞任につき、その補欠として寺  崎覺君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十六日  武庫川上流改修工事促進に関する陳情書  (第二五  六号)  道路損傷に対する改修費全額国庫負担陳情書  (第二九八号)  同  (第二九九号)  を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件小委員及び小  委員長補欠選任連合審査会開会要求に関する  件経済調査庁法の一部を改正する法律案に関する件     ―――――――――――――
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それではこれより会議を開きます。  お諮りをいたします。経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣委員会に付議せられておるのでありますが、建設委員会より連合審査会を開くことを申し込みたいと考えておるわけであります。これについて御意見がありますか。
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 経済調査庁法の一部を改正する法律案は、記録によりますれば、昭和二十五年四月十八日、時の内閣委員長鈴木明良君と、当時の建設委員長淺利三朗君、両君の話合いによりまして、本法律案につきましては連合審査会を開いておるのであります。しかもこの法律案は、その当時の連合審査会密接不可分関係を持つておる法律案でありまして、当委員会といたしましては、これが関連につきましては、十分慎重に審議しなければならないのであります。特に建設委員会所管事項であるところの特別調達庁業務に対する件でありますので、本委員会といたしましても相当議論もあるところでありますから、これが連合審査会は、両委員会都合上適当なる日時を選ばれて、両委員長御相談の上おきめ願いたいと考えておるわけであります。現在の状態では、非常に簡単な改正案でありますので、内閣委員会では来る九日の金曜日ぐらいまでに何とか結論を出したいというお話であるそうでありますが、現在当委員会予定といたしましては、法案を非常にたくさん持つておりますのと、連日小委員会を開催いたしておるというような状況と、加えて近く江戸川等実地に視察を行う予定がありますので、できるならば来る三月十日土曜日に連合審査会を開きまして、御審議が願えるようにおとりはからいを願いたいと考えておるわけであります。
  4. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 今田中委員からの希望条項もありましたが、内閣委員長その他とも十分に打合せをしてやりたいと思いますが、合同審査申込みに御異議ないようであれば決定いたしたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 異議なしと認めます。それでは合同審査を申し込むことにいたします。     —————————————
  6. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 次に経済調査庁法の一部を改正する法律案について提案理由の説明を求めます。奥村政府委員
  7. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 経済調査庁法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  政府は昨年五月の経済調査庁法改正によりまして、経済調査庁をして一年間を限り特別調達庁業務調査及び経理監査を行わせることといたしましたので、経済調査庁におきましては、可及的に期限内に所期の調査を完了するよう鋭意努力いたしまするとともに、調査の結果につきましては、随時勧告その他所要の措置によりまして、調達業務運営改善並びに国費の節減に寄与して参つたのであります。しかしながら何分にも調達業務はきわめて広汎にわたつておりますので、遺憾ながら現在までにいまだ調査に着手するに至り得なかつた部門相当残されており、すでに調査いたしました部門につきましても、期間関係抽出調査を余儀なくされたものもあるような実情であり、さらに調査を続行する必要を生じて参つたような次第であります。これらの事情からなお当分の間引続き経済調査庁をして、特別調達庁業務調査及び経理監査を行わせる必要がありますので、本改正を行わんとするものであります。ここにすみやかなる御審議と御賛同をお願いいたします。
  8. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それでは特別調達庁の方からも見えておりますから、質疑を許すことにいたします。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 経済調査庁設置法の一部が昨年の五月に改正せられたのでありますが、その当時この改正案につきましては相当委員会としても議論のあつたことは、提案理由を御説明なされた奥村次長さんも十分御承知通りであります。なお本委員会としては、先ほど申し上げた通り、当時同法案が付託になつておりました内閣委員会に対して連合審査会を申し込みまして、連合審査会の席上も私と奥村政府委員との間に、相当つつ込んだ問答がかわされておることも御承知通りであります。当時特別調達庁業務に対する経理監査及び内容審査という目的をもちまして、経済調査庁法の一部改正法律案が提案せられたのでありますが、これは建設委員会内閣委員会等のいろいろな審議の結果、大体一年間ということを最大の限度として衆議院は認めたわけであります。しかもこれが参議院に送付せられまして政府原案に修正せられ、そしてなお衆議院に回付せられた場合、衆議院では三分の二の多数をもつて一箇年という、いわゆる衆議院の案をきめなければならなかつたというくらいに、相当強い衆議院意思がこの法律案には表示せられておつたわけであります。それはなぜかと申しますと、ただ単に行政面に付する監察制度複雑多岐にわたることを取除きたいという考えだけではなく、根本的な面からもいろいろ議論をせられたのであります。まず第一番目しに申し上げるのは、憲法上の疑義はなしといたしましても、少くとも行政権限紛淆を来すということだけは、これは言い得るのではないかという問題が一つあります。もう一つは、申し上げるまでもなく、特別調達庁等業務につきましては、第一には憲法の定むるところ、会計検査院監査を受け、なお会計検査院国会に対してこれが決算に対しては責任を負う、その下に大蔵省財務局関係のいわゆる調査も受ける、なおその上に経済調査庁監査も受けるというふうに非常に煩雑になつている。もちろん国費の正しい使い方ということを求むるには、万全の策を講ずることがいいのではありますが、あまりにも監査機構複雑多岐にわたるために、かえつていい結果を求められないのではないかというようないろいろな面から、この問題は討議をせられたはずであります。最後には私は、これは党内の問題でありますが、時の特別調達庁所管大臣であつたところの山口喜久一郎君等からも意見が要して、いろいろな関係特別調達庁相当疑惑の的にもなりそうであるし、もう一つは非常に尨大なる国費を特殊な調達面に使つておるので、これを国民の前に明らかにするためにも、いわゆる屋上屋を重ねるようであるけれども経済調査庁をして監査をせしむることもまたゆえなしとしないのだ、こういう御意見もあつたようであります。まあとにかく特別調達庁業務の大きな予算面に対して、これが予算執行上いわゆる過誤なからしめるために、政府行政機関の一円として、ころばぬ先のつえ式にひとつやりたい。こういう意味で、ただ会計検査院が批難をするように、これをもつてただちに事件にしたり、それから戒めたりというのではなく、会計検査院はもともと御承知通り事後審査でありますので、すでに法規的に間違つた支出をせられたり、年度区分を乱つたりしても、これがもう事後の問題になつてしまう。これを事前に是正をし、いわゆろ過誤なからしめるために、政府が自発的に部内において自粛の態勢をとるために、こういうものを試験的にやつてみるのもいいじやないか。私はこの問題では総理大臣及び当時の山口特別調達庁所管大臣とも相当議論をしたのであります。いわゆる権限紛淆のおそれがあるというような根本的な議論を含む問題に対しましては、便宜上必要であるから一時的な便法として大本は誤つてはいけないということを私たちは大きく叫んでおつたわけであります。  もう一つは、私たち自由党所属議員でありますが、一方には行政の大整理、再編成いわゆる簡素化ということが内閣の一枚看板であつた当時としましては、少くとも官庁権限紛淆を来してまでも、ある機構は大きくして行かなければならないが、もちろんこれが全然疑義がない問題であれば別でありますが、相当疑義があり、その結果はたして実効を上げるか上げないのかもわからないのに、試験的な意味から、いわゆる便法的な意味からいつて、まあ当分の間やつてみてもどうだということでもつて大本は誤つては相ならぬということでは、私は相当議論を尽し、党内においても一時いかなる状態にあつても本法律案を通すことは、自由党自体としてもマイナスだということまで極論して、私は最高意見者折衝を重ねたつもりであります。つまり当時最後状況といたしましては、奥村さんも御存じ通り、いろいろな政治的な折衝もありましたし、政府提案として出た以上いろいろな都合もあるし、まず試験的にやつてみようとも言うし、なお特別調達庁に対しても屋上屋を重ねるようであつても、そのような万全の監査制度をとつたために、特別調達庁に対する国民疑惑をもし払い得るとしたならば非常にいいことではないか。だからせめて半年でも一年でもということで、遂に私たちが、では一年間ということで折れて、時間的にも技術的にも前の法律案を変更したり修正したりすることがむずかしくなつた最後の段階において、本法律案通過をしたというのが事実であります。  なお参議院から修正されて衆議院に回付せられたのは第七国会でありまするか、第八国会でありまするか、会期終末の日でありまして、私は本会議の席上党幹部から相当折衝を受けたのでありますが、通過をしたのは三時か三時半のまつた会期終末であつたと思います。もしもこの法律案通過せしめないという場合は、経済調査庁法存続期間が切れてしまうのであつて、実際上廃案になつてしまつたら非常に大きな問題だというので、異論はあろうがとにかく各党をまとめて本会議ですみやかに通過せしめてくれというような政治的折衝があつた結果、ただいままでの期限一箇年という制限付法律案通過したわけであります。それからもちろん監査をいろいろやられたのでありますが、今になつてなおその事務が幾分残つているので、当分の間ひとつもう一度その期日を延ばしてもらいたいという。ただ当分の間というだけの非常に簡単な法律案ではありますが、私が考えると、この当分の間というのが非常に解釈いかんによつてはむずかしい。だからこの当分の間というのに対して、提案者であるところの奥村さんはどのような見解をお持ちであるか。もちろん私が聞くところによれば、最後の案では昭和二十七年三月三十一日、いわゆる二十六年度一ぱいのものだけでもやれればいいというようなお考えもあるようでありますし、なおそうではなく、二十五年度に対して今未完であるものだけでも調査を行えば足るのではないかというような考えがありますが、当分というのは解釈いかんによつて一箇月も当分、二箇月も当分、一年も二年も当分ということになると思います。私がこのことをあらためて奥村さんにお伺いしないでも、奥村さんはもう私と折衝をせられたのでありまして、十分私の意思御存じなのでありまして、私はあえて奥村さんに極端なることを申し上げてどうこうというのではありませんが、実際問題としてなお調査を要するものがどのくらいあるか、はたしてその限度はどのくらいか、しかもそれに所要期間は幾らか、いわゆる当分の間というこの字句に対するあなた方のひとつ赤裸々なる定義を聞かしてもらいたい。なお、その後、過去一年間において経済調査庁がとられた事項、実績、功罪というものに対しては私はもう少しお答えを得てから順を追うて御質問してみたい。こういうふうに考えているわけであります。とにかく一応簡潔に、特別調達庁に対して行つた監査内容、これが発表の状況、次第、それからいかに実効を得たか得ないか、残つているものは何か、これに所要する時間はどうかということをまず第一番目にお答えをいただきたいと思うのであります。
  10. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 ただいまから田中さんにお答えをいたそうと思つておりますが、昨年の四月にいろいろ御意見を承りまして、私も当時のことはよく記憶いたしております。まあ本会議その他についてのいろいろのことにつきましては私は承知しておりませんが、委員会等におきまして、いろいろ……(「もつと大きく」「聞えない」と呼ぶ者あり)よく承知しているところであります。その後私たちといたしましては、一年間という期限を切られる、ことになりましたので、これはひとつ一年間に大急ぎでできるだけのことをやれというように解釈をいたしまして、関係の職員に大いに馬力をかけるようにということで督励をいたしまして、今日までやつて参つたのであります。その結果は、二十五年度の予算に計上されました分、それだけを対象にいたしまして、金額で申しますと、大体四七%くらいが調査終つたということに相なつております。残りの五三%がこれからの仕事ということになつてしまつたわけであります。私どもとしましては、一年という期限を付せられましたので、でき得るだけその期限に、少くとも二十五年度分は完了いたしたい、かように存じまして、大いに勉強いたしたつもりでございましたが、ただいま申し上げましたようなことで、需品と工事と役務は大体調査をいたしましたが、労務と解除物件等につきましては、まだあとに残しておるような次第でございます。この点につきましては、大いに勉強したつもりでございまして、再び改正案の御審議をお願いするようなことになりまして、まことに申訳ないと存じます。今まで私どもがやつて参りました経過を申し上げまして、大分まだ仕事が残つております。ので、それをひとつやらしていただきたいということであります。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 一年間で四七%済んで、相当技術にもなれましたから、残りの五三%を当分の間に行いたいといいますと、いかに技術がお上りになつても、やはり一年間ぐらいというのが当分の定義である、こう思うと、本法律案を軽々に審議をし、通過せしめることができないということが考えられたわけであります。それはあえて経済調査庁特別調達庁業務監査するということに対して、異論を申し立てるのではありません。会計検査院大蔵省行政管理庁、こういうものの所管事項との権限紛淆という問題に対しましては、私たちは根本的な疑義を持つておるのです。だから便法上私は当時、吉田総理大臣からもそういう特段の要請があつたのだからという山口国務大臣お話については、総理大臣がいかなることを発言せられようとも、私たち国会議員として、しかも自由党の党員として、便法であるからといつて、大きく疑義のあるものを強引に推し進めて行くわけには相ならぬということと、自由党が掲げた党是と相反するごときことに賛成するわけには相ならぬ、こういうことを私は前にもずつと言つてつたのであります。この権限紛淆という問題に対して、経済調査庁の御当局は、どういう意見をお持ちになつておられるでしようか、権限紛淆せずと言いますか、それとも権限紛淆しておると言いますか。会計検査院法第二十条に規定しておるところの、いわゆる会計検査院検査というものをさらに大蔵大臣による予算執行の実施の監査を受けることについて、ほとんどあなた方がおやりになつておるところの監査というものとはかわりはないのではないかと思いますが、何か特別にかわつた結果を得るというお見通しがあるかどうか、この実際において経済調査庁権限をこういうふうにして拡大して行くということに対する、根本的な理念を伺いたいと思うのであります。
  12. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 ただいまお答えいたしました中で、もう少しつけ足してお聞き取り願つた方がよいかと思う点がございます。それを先に申し上げさせていただきます。二十五年度の予算対象にいたしまして、残つておりまする仕事が、パーセントで申しますと、ただいまどういう比率になるかということは、すでにお聞り取り願つたと思います。そのほかに私どものただいまの仕事やり方といたしまして、調査をいたしまして、調査しつぱなしということではなしに、調査をいたしました結果を、ひとつそれがよいことでございますれば、できるだけ実現を期して行く、またあとづけをして行くということを、私ども仕事建前にいたしております。これは何も特別調達庁対象にいたしました場合のみに限りません。たとえば公団監査をいたしましても、かくかくの事柄は、改善をした方がよいという気づきがございましたならば、公団にそれを通達いたしまして、場合によつては、お互いに協力して、その実現をはかつて行くという建前仕事をやつておるのでございます。さようなこと、並びに最近特別調達庁の方からお話を伺いますと、関係方面から示達がございまして、従来の業務の形式に一部改正を加えたものがあるそうでございます。さような新しい方式のもとにおきまして、どういうふうに仕事が行われておるかというふうなことも、できればひとつ拝見いたしたい、かような考えを持つております。  先刻当分の間というのは、時間的にどういう意味だというふうなお尋ね結論にございました。その結論に対しまするお答えを忘れてしまいましたが、当分の間と申しますのは、法律にいろいろ例がございますが、私ども常識的に、有期限ではあるが、一年とか六箇月というふうにはちよつときめにくいという意味解釈をいたしております。先刻来申し上げておりますように、特別調達庁の方の仕事は、私ども立場から申しますると、約一年ではちよつと足らないのではないかというふうな見当でございます。あるいは情勢の変化によりまして、いろいろ方式などがかわつて参る、そういうことでございますと、またその角度を対象にいたしまして、仕事を進めて参らなければならぬというふうにもなろうかと思います。ただいまのところでは大分なれても参りましたし、一年では足らぬというふうに考えておりまするが、そう長い時間をかけなくても、おおむね当初の予定仕事は完了し得るのではなかろうか、かような感じを持つております。なお他機関との関係でございますが、これは昨年もいろいろお尋ねがございまして、当時お答をして御了承を得たかと存じまするが、要するにまあこういうことかと存じます。紛淆と申しまするか、たとえば大蔵省財務部というのがございます。ここでやつておりまする仕事規定の上から見ますると、たしかあれは予算執行監査というふうなことで表現されているようでございます。これは非常に広いのでございまして、それと会計検査院との関係いかんというふうなことになりますると、私もこれは第三者として、今お尋ねでございますから、急に考えるわけでございますが、形式的には文字の上ではちよつと紛淆するようでございますが、会計検査院のいたしまするのは、要するに国会に対する責任において、実際の運営としては、仕事をやりました事後において、しかも責任のある者には面責を与えるというふうなことをねらいといたしまして、それぞれ一つ一つ仕事法律的な結果をもたらすようなやり方をやつておるわけであります。大蔵省の方でいかようなことをやつておりまするか、私よく承知いたしませんが、大体人数にも限定がございますから、文字通りの全部にわたつてというふうなことはおそらくおやりになつていないのではなかろうか、これはまあ想像でございます。そんなふうなことでございます。それから私どもの方でやつておりまするのは——会計検査院国会に対する御責任、私どもの方は政府の中にありまして、いわゆるインターナル・チエツクをやつておる。お互い政府部内の者として自粛自戒をしてよくそういうよすがを発見する、こういう建前仕事をやつておるわけであります。その点が一番違うのではないかと存じます。  それからなお私どもの方の仕事は、これは特別調達庁のみに限りませんが、ほかの例でも同様でございまするが、政府機関対象にいたしまする場合にも、政府機関調査対象といたしまするのみにとどまらず、必要に応じまして他の機関にも及ぶというようなことが、他とは若干違うのではないかと存じます。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 あなた方の、権限を広げて行きたいという考えと、私たちの、権限はなるべく紛淆しないように縮めて行きたいという考えとは、まさに逆な立場にあるので、これは非常に激突をしそうなことですが、お互いに表現をうまくすれば何とか行ける、こう思つて御質問をするのですが、会計検査院があるのですから——私ははつきり前にも言つているのですが、経済調査庁が、自省をするために内閣部内につくられたものであつて、対外的にどうであるということではなくて、ころばぬ先のつえだ、だからこのことからいうと、昔であつた総理大臣が適当にとにかくお前あそこへ行つてとつ見て来いと言われるような軽い気持でもつて権限のわくをふやして行かれるというようなお考えであるようですが、私たち考えではそうではないのです。議決は国会で行う、執行政府が行う、憲法上の規定によつて、適正なる会計監査会計検査院がこれを行うべし。なお会計検査院の現在のあり方に対しても、旧憲法から新憲法に移つたときの会計検査院が非常に微妙な立場をとつたために、こういう疑義を生ずる立場になつておるのですが、これは新憲法建前から見ると、当然ああいうような解釈は成り立たぬと考えている。だから会計検査院はただ事後審査を行うだけであつて、しかも国会に対して決算に対する責任を負うのが会計検査院立場だ。これは私は非常に端的に会計検査院立場を批評するものであつて会計検査院の本来の任務はさようなものではない、こう考えております。いわゆる天皇の名において予算が編成せられ、いわゆる議会翼賛議会であつた協賛議会であつたという場合、天皇の名において会計検査が行われたのでありますが、現在は政府でもつて予算を組みますけれども議会が議決をしなければ成立はしないというのであれば、議会が議決をした予算に対する決算は、憲法上に疑義ありと説をなす学者がありますが、私は新憲法のできた憲法の精神を考えるときには、当然会計検査院が最終確定をなすものではなく、国会に出されるところの決算というものは、国会において最終に議決をせられる議決案件でなければならぬというふうに考えているのです。そういうことであれば、当然会計検査院はあなた方が行うところのころばぬ先のつえというような事前審査もまた行わなければならない。まして予算執行職員に関するいわゆる会計検査院権限法ともいうべき法律案が出ております。なお疑義を生じ、批難を受くるおそれのあるものは、あらかじめ会計検査院の承諾を得て、これが支出負担行為をなしておるということが事実であるならば、私はこれ以上に疑義を持ち、非常にあぶなつかしくものを考えて、執行面に対する監査を行うことがはたしていいことであるかないかということも、私は考えなければならぬ。だから、私の申し上げたのは非常に酷論であつたかもわかりませんが、私は現在の経済調査庁はすみやかに会計検査院の中に合流して、会計検査院の機能は、新憲法建前に沿うように大きくせらるべきだということを、声を大にして決算委員会その他においても相当論を吐いておるわけであります。だから、こういう問題はどこから出て来るかというと、戦後につくられた特殊機関、これは経済安定本部であります。経済安定本部とは私たちはよく意見が衡突するのですが、私は経済安定本部に対しての認識は相当あります。ありますが、経済安定本部というものが、非常に微妙な関係にあつて、いわゆる総合調整機関であり総合調査、統計、調整、こういう本来のものが、戦後のあの非常に紛乱した時期に、いわゆる物の割当を行う、総合調査を行う、配付を行うという権限がだんだん現業面まで進出をして来ておる。建設省を除き、農林省を除き、各地方府県とほとんど直結をしておる。現在の経済安定本部の建設交通局のごときは、ほとんど建設省というものは促進官庁であつて国民と実施官庁とのつながりは、全部経済安定本部が持つておるというふうになつておるようであります。これは経済安定本部のためには非常に間違つた行き方だということを私は常に言つておるのです。特に経済安定本部が——現在の状況はまた違いますが、一、二年前には経済安定本部も、自由経済に移行した場合、当然廃止の運命になるのじやないか。少くともあの法律案が去年出た当時は、経済安定本部の運命も相当議論せられておつて自由党内部においてもそうでありました。内閣の外局として、総合調整局として残すべきだというようなふうに言われておつた。だから、権限も縮小せらるべきような運命にあるものが、ある一つの目的を掲げながら、美名に隠れて、いわゆる権限の拡大をはかるということは、わが党の政策と相反するということを根本にして私は論じておるわけであります。そういう意味からいたしまして、私はいろいろな法律があり、特に大蔵省の財務局の監査課そのものも場合によると、いろいろと疑義があり、法律改正してやめたらどうかという人たちもある。そういうことに最も専門になりたかつたならば、これは会計検査院に合流し、会計検査院で持てない感覚が新しい経理監査上必要であるならば、現在の検察庁の少くとも経済をやつておられるようなエキスパートと人事の交流を行つても、会計検査院の方を特に拡大すべしというふうに考えておるのですから、あなた方がこれをおやりにならないでも、こういうことはほかの面を大きくすることによつてできるのであり、かつそれが筋じやないか、こういうふうに私は考えておるのです。会計検査院憲法上の最高機関でありながら、この機関が弱小であり、かつ本来の目的を達成せしめられないので、なお別の機関がたくさんできて、これが補助的な機関として目的を達成しようというのは、こういうことこそまつた憲法に反するじやないかというふうに私は逆説的に考えておるのです。だから、私の言うのは、そういうこまかいことではなく、あなた方がどうしてもおやりになりたいというならば、別にやるものがあるということをあなた方に私は言つておる。これは二十五年四月十八日火曜日の午前の内閣、建設連合審査会において私とあなたの間で論議をかわされているのにも明記してある。こういうことを言つております。経済調査庁設置法の一番初めに経済調査庁は何をするのだということの定義があります。これによると、一般行政官庁が行い、特殊公法人のようなことを行ういわゆる公団とかその他の経理監査を行うことが、あなた方が設置せられた主目的であつたと思う。そしてその公団が万遺憾なく経理の適正が期せられておつて、一銭の国費間違つた支出をなされなかつた。そしてわれわれも専門家になつたし、また場合によると、会計検査院ととつてかわつてもいいからというくらいの自信がついたので、官庁の一部である経済調査庁特別調達庁に対しても行政監査をさしてくれないかというのであるならば話の筋は通るが、あなた方がほんとうに過去にやつた実績を上げる自信があるかどうかということまで問うている。特に公団は二十一“二十二、二十三年の、決算において莫大もないものが批難せられております。これは薪炭特別会計においても数百億という赤字が出ている。こういう本来の設置目的に反して、なおこの上に特別調達庁——現在は経済安定本部は有意義な官庁ではない。しかもその外局であるところの、経済安定本部と同じ設置目的をもつてつくられたものでなければならぬと私は思う。経済安定本部は各省並立の一省であります。こういう状態から考えまして、権限紛淆ではない、事実は違うというけれども、正確に考え相当疑義があるということであり、しかもあなた方は事実設置法によつてやらなければならない幾多のことに対して不完全でありながら、またその上に間口を広げ、特別調達庁をおやりになつた。これは年度予算の中に、執行面千億をオーバーするのは特別調達庁予算であるということで皆さんがおやりになつた。ところがこの法律案が出る一箇月ばかり前に建設委員会では経済安定本部設置法の一部改正法律が提案せられ、その目的とするところは与党の一部、その他野与等が考えておつた公共事業監察法というがごとき感覚をもつて、一般公共事業、すなわち千億をちよつと上まわるものを特別調達庁以外にも求めよう、これは会計検査院のまつたくの乗つとりであるといつても過言ではないとさえ考えるのであります。これは経済調査庁の方々が、私のような議論をお聞きになると、意見が非常に逆でありますので、田中は酷評をするというふうに言われるかもわかりませんが、私もこれだけの発言をするのには、一年間余り私の意見の発表をこらえておつて、自分でその実績の上るのをじつと待つてつたが、なお実績が上らずして、今日一年間——一年ではできないでしようが、それを当分というがごとき字句をもつてお出しになる真意ははたして那辺にあるかということを私はたださなければならない。これは提案者であるあなた方だけに言うのではない。これを所管している大臣の責任も私は当然究明しなければならぬということを考えております。なお私はこういうことはあまり言いたくないと思つてつたのですが、わが党の中にはこういうことがあります。経済調査庁監査の結果、非常に御発表が誤つてつたために、政治的に利用せられておるという実例があります。会計検査院は御承知通りあらゆろ批難事項を決定するまでには検察官会議を開いて、相当厳重に厳選を重ねて、特別調達庁事項ども日本の現在の立場においていかんともなしがたいために国が損を来したような場合、りつぱな条項が明記してあつた場合には、これを決算面における批難事項として批難しておりません。これは現在の日本の状態ではこういうことは相当あり得るということだけは常識でお互い考えられる。ところがその相当デリケートな問題の中で、会計検査院決算委員会に呼ばれておつて相当慎重な態度をとつて決算委員会でもつて発言をする。会計検査院の諸君は会計検査院検査会議にかかつたもの以外は発言をしない。発言をする場合は小峰第四局長ではなく、個人小峰が何がしとしての意見でありますということを確実につけた加えておる。それに対して会計検査院責任を負いませんということを言つて答弁をしております。ところが経済調査庁は、参議院内閣委員会の要求に対し、——これは要求であるかどうかわかりませんが、要求に対して、生のままの監査報告を出しておられるという事実があるのであります。これは私は与党なるがゆえに言うのではありません。いわゆるあなた方が——少くとも会計検査院が、憲法上の権利を遂行ずるためにこれを世上に発表して輿論を巻き起すことは、われわれはいかんともなすことはできません。しかしあなた方が政府の部内において行き過ぎを是正し、なおころばぬ先のつえになろうというために権限を拡大したのが、その御発表が誤まてるために政治問題としてこれを利用せられるということがあつたならば、われわれ政府与党として、自由党としては、断じて承服できない問題である。少くとも私はあえて何党が利用したということは申し上げませんが、現在の野党は参議院内閣委員会特別調達庁事項を議題として政府攻撃をやつております。政府攻撃の材料は、わが党がとにかく与党としてあるところの現在の政府の、しかもその監察部門の一面から放たれるにおいては、われわれはその存在に対して黙過することはできない。私はとにかくこの論は、自由党の内部において相当議論をする場合にも筋は通ると考えておる。ただ私は一党一派に偏して申し上げるのではなく、いわゆる会計検査院が発表するのと違つて生のまま出すことによつて、事実が歪曲せられて報道せられるために、よりよく行くところの政治が大なる暗礁に乗り上げるという事例は幾らでもあります。だからこれを建設委員会などにあなた方が御発表になれば、共産党の諸君などは毎日毎日それだけを聞いて政府いじめをするのであつて、与党としてはなかなか軽々に論じ得る問題ではないと私は考えておる。私は今この問題を党において発言をしておりませんが、これを出す以上は、そういうことに対するあなた方の相当強い決意を持つた責任ある答弁をせられるくらいのお力を持つて臨まれなければ、私たちも当然納得できない。議論は多岐にわたつて質問の焦点がくずれたようでありますが、私の考えは大体そういう考えなのであります。だからこれを爆砕して、もつと実効を上げ得るだけの見通しと、いわゆるスケジュールをお持ちになるのかならないのか、私は大臣を呼んでやろうと思つてつたのですが、やる前にひとつこの問題に対して何とか御答弁が煩わせたら御答弁願いたい、こう考えております。なお次に御質問いたします。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕
  14. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 ただいまのお話お答えはおおむねお許しを得たようでありまするからお答えを省略させていただきたいと存じまするが、しかし事務的な問題についてひとつお耳に達しておきたいと思います。私ども昨年特別調達庁調査対象にすべく法律改正していただきましたのは、権限拡張というふうな根性は持つておらなかつたつもりでございます。私どもの方はただいまだんだんお話がございましたが、大体おもな仕事は重要な経済法令の励行確保をやるということが任務でございます。そのためにはこの法律規定いたしております限度内におきまして、他の一般行政官庁等も監査対象にいたして参つたのでございます。これはもう従来からでございます。公団その他特別調達庁あるいは公社等はその骨になります経済法令がございませんので、私どもが国鉄公社あるいは専売公社を調査対象といたします場合、特別調達庁も同様でございますが、経済法令がございませんので、これらを取上げます場合には、法律に特定をする必要があつたのでございます。公団もまことに残念ながらいろいろな問題が盛んに起つております過程におきましては、私どもにその権限がなかつたのであります。終息段階におきまして、私ども法律によりまして権限が与えられまして、現在まで一生懸命にやつておる、かようなことでございます。その点ちよつとお断り申し上げておいた方がいいかと思います。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 私の発言が非常に政治的な発言でありますので、これに答弁なさるには次長さんでは相当御迷惑だろうと思いますから、この質問は大臣の出席を求めてただします。事務的な問題をちよつと伺いますが、会計検査院会計監査の面に対しては専門家のわけです。あなた方ももちろん専門家でありますし、特に検察関係の方々もたいへん入つておられますので、エキスパートであると思いますが、やはりもちはもちやで会計検査院の方がうまいということは言い得るわけです。皆さんも一年間も二年間もやられたのであつて、いろいろな会計経理監査というものに対してエキスパートになられたことは私も承知するにやぶさかでないのでありますが、いわゆる国費の支出でありますので、いろいろな会計の法規があります。しかしこの法規の解釈というものは私たちでもいろいろな問題があります。いわゆる法律解釈の府である法務府と検察庁が、検察庁法で対立しておるという事情を見てもおわかりになる通り法律解釈というものは非常にむずかしいわけであります。特に会計の法規というものは一つの尺度があります。これは会計検査院で大体定めているわけであります。なお予算執行職員に関する問題等も、会計検査院が認定したものは批離せられない、いわゆる合法的である、こういうふうに認定せられておるのですが、もちろん会計監査行つて皆さんが批難すべきものは批難し、是正すべきものは是正する、いわゆる合法的であらざるものを剔抉してこれを批判するというのでありますから、会計法規に対しては会計検査院大蔵省というような在来の会計に関する諸機関との連絡も密にしておられ、これが法文的な解釈に対しては同一な尺度を持つておられると思うのですが、こういうことに対して過去にいかなる万全の策をとられたか、会計検査院の指示を受けたかいなか、なお疑義がある場合いかなる処置をしてこれを公表したかという問題が当然起きて来るわけであります。普通の会計法規の尺度をもつてしたならば批難せられないことが、もしも生のまま参議院内閣委員会等に提案をせられ、しかもこれが政府攻撃の資料になつたとしたならば、えらい問題が起きると思うのですが、こういう問題に対する法規の解釈、尺度の選定というような問題に対して、どのような適切な処置をとられたかということをひとつ伺います。
  16. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 私ども調査会計検査院と若干手法が違いまして、ただいまお示しのいわゆる手続法規としての会計法規、それを重点にいたしまして会計をいたすのではないのでございます。少し熱せない言葉でございますが、経済性を追つてそれを追究して行く、こういう角度であります。こういう方法によれば、国の立場から見てもう少し損が少くして行つたのではなかろうか、こういうような考え方で見て行くのでございます。小切手の切り方がどうであるとか、さような手続法的なことは私ども得意といたしません。その方は手をつけたことはございません。さようなことですから、私どもの方の結論が出ました場合にも、かくかくでなければならぬ、かようなものの言い方はしないのでございます。法律の文句も勧告という文句になつております。ですから自分らの見方ではこうした方がいいように思うが、どうだろうか、こういう言い方をしておるわけであります。特別調達庁の例を申しますと、これはいろいろ御事情もあるようでございます。調達庁のみでは御処理のできない点もだんだんあるようでございます。そういう方面につきまして、私ども重点があると考えます場合には、私どもの方から自発的にそういう関係方面意見を申出て、これはかくかくにした方がいいではなかろうか、その方面に私どもが働きかけたような例もあるわけであります。さようなことで大体やり方が違うのでございます。  なお国会の方から、具体的にいろいろこういうことはどうかというお尋ねがありました場合には、私どもといたしましては、これは正しいというふうに自信のあります事柄は、これは放つておくことができない、むしろ積極的にお話を申し上げて、批別を受けるというのが正しい態度であろう、かように考えております。
  17. 田中角榮

    田中(角)委員 奥村さんは長官に次ぐ方でありますので、実際調査庁の設置の目的に沿つた御発言をしておられろのだし、そういう考え方をしておられるのであります。しかし法律というものは、実際は思わぬところに穴があるのであります。これは法は運用のいかんによつて死文にもなり、まつたく人を殺すことにもなるのでありますが、この経済調査庁の設置法によりまして、実際がどう運用せられておるか、あなたのお考え通りであればいいのですが、現実の面において、それがために間違つた解釈をしたり、間違つた結果によつてマイナスが出ておるということになれば、是正しなければならない、こういうことも考えられます。あなたのように、結局国会から要求があつた場合、これは妥当なりと言つているけれども、反面に、どうもうまくないぞ、おもしろからずというものを、そのまま生でお出しになつておられる。これは参議院内閣委員会にこういうものを出されて、現実に政府攻撃になつておるのです。こういう問題になりますと、あなた方が考えておられることと全然逆なことが、現実にマイナスとして起きておるということになります。経済調査庁が特に会計検査院等と同じものさしではかつて、それが発表通り、十分慎重なる処置を講じなかつたために、しかも経済調査庁特別調達庁業務に対する見解の中に、いわゆるきわめて適切妥当を欠くものであるとして——普通の会計のものさしであつたならば批難せられないというものでも、あなた方の感覚からいつて、批難に値するということをあなた方が認定して、これを公表せられる。いわゆる参議院内閣委員会において公表せられる結果、どうなるかというと、一般国民はそれを無批判に信用し、単に特別調達庁のみならず、政府全般の会計事務の不当不信を招くということはいなむことができません。これはわれわれ国会議員として、現に与党の議員として、こういうものを究明しないではとうていおられない。しからずという結論が出ないと、なおこの上に権限を拡大し、その次に公共事業の一般監査を行うというような——これは風説であろうけれども、この心臓で来ると必ずこうなる。こうなると、全然マイナスがなければよいが、  一年間マイナスがあつたから言う。一体与党の大臣が行つてつて参議院内閣委員会に対してこういう生のものを出しておる。これを野党側はとつて政府攻撃をやつておる。これに対していかなる責任を持つかということである。それは私は党員として、しかも国会議員として、私の発言は少くとも正当であるということを言い得ると思う。私どもはそう思つて、きようはいろいろなことを申し上げたいのですが、あなた方はそれはああでもない、こうでもないと申されますが、私は奥村さんですから、ざつくばらんに申し上げまして、去年の協定もあるのですから、今度は少しお取下げになつたらどうか、こう考えるのです。これは閣議できまつたものを与党議員からこういう発言があるということは、私は党へ帰つてしかられるかもしれませんが、しかられても、私は言うだけのものを持つている。今のことを申し上げれば、これは絶対筋が通ると思つて、私は申しておるのですが、何とかこれは一年間待つたのですし、当分の間というようなことを言われないで、もう少し筋の通るような行き方がないか。これは御答弁ができなければけつこうですが、私は質問の陣に立つておりますから、これは攻撃は非常に強いのであつて、私は幾らでも攻撃はできますが、これは私の攻撃が特に強いのではなくて、私の理論の方が正しい。これはあなたと妥協し、一年間やつて来て、しかもいろいろ国に対するマイナスが出て来ておる。それを一々例をあげれば、半日でも一日でもできるのでありまして、内閣委員会合同審査会を開いて、実情を披瀝せよと言われれば、十日間でも実録を持つて来てやるつもりでおります。この問題は前から私も取組んでおつて相当謙譲の美徳も発揮し、しかもあなたの言う通りにやつて来ておるのですから、どうぞひとつそういうお考えで、御答弁になれたらひとつお願いしたい。なお他の諸君が御質疑をしたら、私もまた場合によつたら補足質問を行います。同時に私の質問に対して、特別調達庁の方々がおいでになつておりますが、どのような実績が上げられたか。しかもこの監査を行われた方がいいか悪いかというようなことは、これは一つ政府部内でありますから、両方並べておいて、品定めをするというのではありませんが、これはお互いの面子だとか、セクシヨナリズムとかいう立場でなく、国の予算執行面という大きな問題でもあり、なおかつそういうことは理論的には言い得るが、実際それが行われるためにどのようなマイナスがあるかということも、あわせて御説明願えたら、御説明を煩わしたいと思います。
  18. 内海安吉

    ○内海委員長代理 せつかく田中委員政府を思うために質問してくれておるのですから、もつと簡単明瞭に、政府委員として御出席になつておるのでありますから、御答弁を願いたいと思います。そうすれば、爾余の質問もこれでいいということになるかもしれません。もつと簡単明瞭に答弁してもらいたい。  なおこの際お諮りしておきますが、今周東国務大臣と小峯政務次官の出席を求めております。周東国務大臣はちよつと出席は困難ということでありますけれども都合では小峯政務次官が来るかもしれません。
  19. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 ちよつと議事進行について……。ただいま田中委員から、参議院経済調査庁の資料を生のまま出した。そのために野党がこれを政治的に悪用してたいへん困つておる。こういう御発言がありましたけれども、私はその点は自由党政府が傷がつくから、お前たちやり方が悪い。これは少し質問としてはおかしいような気もいたします。そういうことならば、自由党の総会へでも政府委員をひつばつて来て、大いに攻撃されたらいいと思う。やはり政府関係機関は、国会に対して要求された資料を提出する当然の義務を持つているのでありますから、生のままであろうが、なるべく殺さない方がいい。生のままの資料を国会に提出するのはあたりまえのことであります。この点を攻撃されるのは、ちといかがかと思いますので、この点ひとつ委員長の方でしかるべくお願いいたします。
  20. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 承つておきます。
  21. 田中角榮

    田中(角)委員 一身上の問題でありますので、私から申し上げておきます。池田君は非常に頭脳明敏でありますので、野党としては私は非常に敬意を払つてつたのでありますが、共産党攻撃といろふうにじきおとりになるので、あのような御発言をなさるということは、池田君のために大いに惜しむのであります。池田君は前段だけお聞きになつておる。私はいろいろなことを言つておりますが、私も国会議員でありますので、そのような不見識な発言はいたしません。それは結論において、そのような場合に、もし生のものを出したために、野党に利用せられ、野党がこれを発表するために、経済調査庁の特別調達業務に対する見解が、しかも普通の会計尺度ではかつた場合には、経済調査庁が批難したそのもの自体が適切妥当を欠くものであるものを公表せられた場合には、一般国民は無批判にそれを信用して、単に特別調達庁のみならず、政府全般の会計事務に対する不信を招くおそれがある。このおそれに対する責任はいずれが負うか。こういう結論を私はちやんと出しておるのでありますから、自由党議員総会において発言するものと、建設委員会において発言するものは、おのずから区別をしておるところを御了承願いたいと思います。
  22. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は奥村政府委員についてお尋ねいたしますが、会計検査院においては何らの支障はない、正しい取扱いであり支出であると当然認められる事項であつても、調査庁のあなたの方でお調べになつて、どうもこれはあまりよくないというような事項を御発表になつたことがあるのでありますか。
  23. 司波實

    司波政府委員 具体的な例はたくさんごございます。と申しまするのは、検査院は合法的なりやいなやという角度からやつております。そういう意味で、積極的にいいという判定を下さないでも、批難されなかつたということは、一応検査院のわくからは正しかつた、合法的だつたという認定が下されたことであると思うのであります。ところが今度は、私どもの方の、調達庁の業務について申し上げますと、いかにして終戦処理費を節約するかというふうな角度から、たとえば調達庁が調達業者と契約いたします場合に、たとえばいろいろなところに情実関係があつて、契約の単価が当時の時価ならば当然こうであるべきであつたにかかわらず、非常に高く契約しているというふうな場合につきましては、これはむろん合法的ではありますけれども政府機関、ことに調達業務を担当しておる政府機関としては、時価等に即した安い契約をすべきではないかという勧告をし得ると存ずるのであります。それは一例でございますが、そういうように角度が違いますので、検査院が消極的な意味で合法的であるとしたものにつきまして、私どもの角度から、これは不合理だ、妥当を欠く、将来の契約についてはそういう点をもう少し注意すべきだというような示唆、勧告が出る余地があるのではなかろうかと存じます。それらの具体的な事例につきましては、従来私ども調査いたしました調達庁の需品工事、役務、これらの業務対象につきまして、第一号から第四号まで報告書をまとめてありまして、その中に幾多の事例があげられております。今日は時間の関係から、おそらく説明する時間もないだろうと存じますが、御要求がありますれば、別の機会に数時間にわたつてでも御説明申し上げます。
  24. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 実に重大な内容の御答弁であつたと思うのであります。われわれさしあたり本日議題になつております「一年間を限り行うものとする」とあるのを「当分の間」に改正をするのについて、連合審査を要求するということになつのでありますが、この「一年間」について、もうこれで打切るか、前からの契約もありますから「当分の間」にするかという点については、これはまた十分われわれも審議をしたいと存じまするが、ただいまの御答弁は、全国民の要求するところであると私は思うのであります。その点は大事なことであり、政治に対する信用を回復するキーポイントであると思う。先ほどからいろいろ田中委員の強い御意見も拝聴いたしましたけれども、それとただいまの御答弁とは、決して矛盾するものでもなければ、またそういう点を厳正にただして行くところに、政治への正しい信頼が生れて来ると思うのでありまして、かりに一年間限りでこれが打切られるといたしましても、ただいまのようなことは大いに直して行かなければならぬ。あなたの方で言われるか、ほかの機関で自発的に、建設省自体、あるいは特別調達庁自体でそういうことを反省されるかどうかは別としまして、そういうこと自体は当然直して行かなければならぬ問題であると思うのであります。私も今日までの一一の具体的の例をお尋ねしようとは思わないのでありますが、会計検査院が不都合はないという消極的な承認を与えておる事実でも、経済調査庁としては、先ほどの奥村さんのお話では、こうすればもつと安くできたのではないかということであつた。ただいまの御答弁では、いろいろな情実関係などで、入札その他について、合法的ではあるが、もつと安い方法があつたということでありますが、それを今国民は非常に疑惑を持つておるのでありまするから、そういう点に対しては決して卑怯であつてはならない。だれがどう言いましても、大胆厳正にその点は明らかにしていただいて、そして少しでも国費を正当に使うようにお互いに努力するのが当然でありますけれども、そういう事案がまだたくさんあるのでございまするならば、昨年の本委員会におけるいろいろ質疑があつたといたしましても、これはもしあなたの方のそういう調査がこれでなくて、もつと安くできる方法があるにもかかわらず、それがうやむやのうちに消えるというおそれがあるといたしまするならば、これは重大問題だと思うのであります。その点は一々の例は必要がありません。あなたは何時間でも答弁の材料があるとおつしやつたが、そんな一一のことはいりませんが、そういう点が特に調達庁に多いとお考えになられる点がありまするか、日本の行政全般にそういうことがあるとお考えになるのでありまするか、その点を一応伺つておきたいと思います。
  25. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 ただいま司波政府委員からお答えをいたしたのでありまするが、私から若干補足させていただきますと、会計検査院の方は消極的と表現いたしますことがどうでありますか、つまり法規の条章にこれがかなうかどうかという角度で大体ごらんになつておるだろうと存じます。私どもの方は法規に触れなくても、先刻も申し上げましたように、これの方がよかつたのじやなかろうか、こういうふうな建前でやつて参りますので、結論的に申しますと、会計検査院では問題にならなかつたことが、私どもとしてはそれを取上げて、これはどうかという御相談を持ちかけることが起つて参るわけでございます。さようなことで、大体仕事をやつて参ります構えが違いいますものですから、検査院の見るところと私どもの方の見るところと若干違つて、一方では問題なしに通つておるのが私どもの方では取上げておるというふうなことが従来からしばしばあつたわけでございます。さようなことを今たくさんある、こういうことでお答えをいたしたわけであります。
  26. 上林山榮吉

    上林委員 終戦処理費に対して国民は重大な関心を持つておるし、吉田内閣としても終戦処理費をば少くするについて非常に努力をして来た。この点はわれわれこの問題について関心を持つてつた者が証明していい事実であると考えるのであります。そういう観点からいたしまして、今後といえどもこの問題について適正なる、責任のある手を打つようことは、われわれも同感であるという前提のもとに、私は二、三質問を試みてみたいのであります。  先ほど田中委員から根本的に反対の意思を持ちながらも、非常に思いやりのある質問をじゆんじゆんとしているのを見て、私は個人的に敬意を表しておるのでありますが、政府委員側の答弁を聞いておりますと、あまりにも抽象的な議論が多いように考えます。私はその点もう少し具体的に、率直な意見がほしいと考えるのであります。そこでただいま田中委員の発言もあり、あるいは共産党の議事進行に名をかりてのこれに対する間接的な弁駁もあつたようでありますが、政府委員の答弁を聞いてみても、われわれは法規上適正を期しておるかどうかという問題を別にして、ただ経済的に安く行つているかいないかというのを調べるのが目的である、こういう答弁であつたようであります。それで田中委員としては、生のままにこれを参議院内閣委員会等で発言するということは、思わざる障害を国家全体に及ぼす、単に自由党内閣に影響を及ぼすという意味でなしに、いわゆる会計検査あるいはその他の問題について非常に微妙な大きな問題を引起すのだ、こういうような発言であつたのでありますが、その後田中委員から、さらにその微妙であるという意味と、それから重大なる影響を及ぼすという意味の釈明もありましたので、やや明瞭にはなりましたけれども、私はまだその点がもう一歩明瞭にならなければならぬと考えるので質問するのであります。生のままというのは、調査庁の態度は、十分にこれを適正であるかどうかということを考えるのではなしに、やや経済的にこれがなされているかどうかということを見るのだ。そういう意味からいうと、これは間違つた判断をしている場合が多い、あるいは責任体制が明らかでない。そういうところから不用意な発言をされるということは、非常に大きな問題を起す。われわれは与党であつても、健全なる与党という立場を持たなければならぬという考えを持つておるものでありますが、そういうような立場から公平に考えてみても、生のままというのは、もつと極端に言えば、粗雑なものを、こういうふうにとりかえてもいいのじやないかと私は考える。それであなた方がそういうことに対してどういう影響があるかということをお考えになつて出されたものは、良心的に考えてしつかりしたものを出しておるのか、そういう意味での生のものを出しておるというふうに解釈していいのかどうか、この点を私は一応質問を進める前にもう少しくはつきりしておきたいと考えます。
  27. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 私どもの方で調査を完了いたしましたときは、その報告書と申しますか、てんまつをまとめましたものを調査対象であります相手方にそのまま渡すのでございます。これは特別調達庁の場合のみに限りません。公団調査いたしましても、その他の機関調査いたしましても、全部そのまま相手方に渡しております。これはつまり私ども仕事が独善にならないように、ひとりぎめにならないようにという戒めをも含めておるためでございます。向うにそのまま示しまして、相手の方でこれは間違つておる、これはかくかく解釈すべきであるというようなことでございましたならば、そう御意見を承つてさらに検討し、反省をするというふうな構えで仕事をいたしておるつもりでございます。従つてども調査の相手方に届けました書きものにつきましては、責任を持つつもりでございます。もつともその書き方には、先刻から申し上げておりますように、経済性を問題にいたしておりますので、条件付の場合があります。こうこうこういうことであればいけないように思うがどうだろうか、こういう性質のものがございます。そういうものはそういうことをその書面に明らかに書いてあるはずでございます。これはこうすべし、これはいかぬと思うというふうに、疑問のあります場合は断定をいたさずに、それを正直にしたためまして、相手の方に届けておる、かような仕事やり方をいたしております。国会の方からいろいろお尋ねがありました場合に出します書類も、私どもの方でこれは単なる気づきであつて、なおさらに研究を要するというふうなものについては、私どもの見解がはつきりわかりますように書いてあるつもりでございます。従つて書きましたものについては自信も持つておりますし、責任も負うつもりでございます。
  28. 上林山榮吉

    上林委員 書いたものは正確なものであり、また責任を持つということでありますから、さらにわれわれは具体的にその案件について資料を拝見した上でお尋ねをいたしたいと思います。  そこでその次にお尋ねをいたしたいことは、会計検査院は適法であるか適法でないかという法律解釈会計検査を処理しておる、きわめて消極的な態度でそういうことをやつておるんだという御見解であるようでありますが、経済調査庁の方では、おつしやるように、経済性を重点に置いて妥当にやつたかという点を見るんだ、こういうお話のようであります。そこで適法であるか適法でないかという単なる解釈法学的な立場から解釈をする法理論を会計検査院がとつておるかどうか、私は適法であるか適法でないかといういわゆる単なる手続法の問題ないしは解釈法学的な工場から、消極的にこれを扱つておるとは考えません。非常に単価が高くついておる。こういうことであれば、これはなるほど法律上の形式的な解釈から行けば適法であるかもしらぬけれども、真にこれを実情に即した社会通念をもつて判断する場合、私はこの法律解釈は今日もう通用しないと考えております。だから私はあなた方の御見解というものが、はたして独善的なものになつていやしないか、もう少し大局的にお考えになつての御答弁であるかどうか、この点については非常に大きな疑問を持つておるのであります。そうすることになればはたして適法であるか、適法でないか、あるいは経済性がはなはだしく差があるかどうかという問題は、これは会計検査院の範疇に属する。してみると残されたる経済性という問題は、非常に範囲が狭い。しかも軽微な問題である。こういうふうに推論してもいいのであります。これについて虚心坦懐にどういうふうにお考えになつているか、この点をまず第二点として伺つてみたいのであります。
  29. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 会計検査院と私どもの方の仕事やり方がどう違うか、建前がどう違うか、こういうお尋ねを冒頭受けましたので、私並びに他の政府委員から、会計検査院はかくかくの仕事をやつておられるようだというふうな、推定も若干交えましてお答えいたしました。少し話が大ざつぱになりました。もう少し勉強してからお尋ねお答えをすべきであつた、かように存じます。ただ大体大づかみに私どもの方は経済性云々ということを中心にしてやつて行く、会計検査院の方はいろいろ会計法規を中心にしておやりになつているのではなかろうか、そこら辺が違うのではなかろうか、われわれ仲間で通常そういうふうに言つております、それをここで申し上げたようなことでございましたが、この会計検査院といたしましても、いわゆる経済性と申しますか、そういう問題に全然タッチはしないという建前ではないように承知をいたしております。私どもの方の仕事会計検査院から調べを受ける場合もあるわけでございます。そういう場合の経験に徴しましても、必ずしも法規だけの問題に限局をして活動されているというような印象も受けておりません。これはただいま仰せの通りであります。それから私どもの方のまた経済性の追究と申しますか、やはり会計法規等を基準にいたしまして、そこに掘り下げると申しますか、さかのぼると申しますか、そういうことをいたさなければならない場合もあろわけであります。先刻来申し上げましたのは大体大づかみな、大きな傾向といたしまして、そういうふうな違いがあるのではなかろうか、かようなことで申し上げたのであります。御了承を願いたいと思います。
  30. 上林山榮吉

    上林委員 こういう問題は非常に微妙であり、また最も重要なポイントだと私は考えます。だから行政事務に当る者は法律解釈がいかにむずかしいかということを御経験になつていると思いますが、そういう観点から考えまして、今言つたような問題は非常に重要な問題で、これを中心にこの法案を通すか通さぬかというところまで私は考えていい問題だと思つている。単に法規をこういうふうに解釈したらいい、こういうふうに改廃したらいいということでなしに、これはなまいきなことを申し上げるようでありますが、法律哲学の世界まで考えを及ぼしての私の信念に基いて、しかも実情に即した法案の改廃を行わなければならない。事務家として最も上におられる皆さん方であるので、私はこういうなまいきなことを申し上げるのでありますが、それでなしに大ざつぱに見るとこうだから先ほどはああいうふうに答えられたのだというところに、いろいろと誤解を招く点が発生するのであります。私はこの点については特に御注意を喚起いたしておきたいと考えます。  第三点としてお尋ねいたしたいのは、この法案をどうして出さなければならないかということについて田中委員との間に相当論議がかわされましたけれども、不幸にして私はまだのみ込むところまで至つておりません。そこでまだ残されている仕事が五三%ある、こういう話でありますが、これは私ども解釈する会計検査院検査の方法では、どうしても処理できない問題を含んでおるのであります。あるいはまたそういうような監査ではなしに、上司がいろいろと行政的に単なる手を打つだけで、今まで説明された程度の問題であるならば、いわゆる事前にある程度の方法が講じられ得るのではないか、この点であります。  それで結論として申し上げますと、この法案を出すに至つた根本的な動機といいますか、あるいは具体的な大きな事実といいますか、そういうものがあるかどうかということをもう少し具体的に聞かなければ私は納得ができないのでありますが、これに対して事務当局のお話も聞きたいし、あるいは大臣、政務次官等のお話も承ることができれば幸いだと思います。
  31. 田中角榮

    田中(角)委員 ちよつと関連して……。小峯政務次官がお見えになつておりますので、私たち今までこの法律案につきましてはいろいろ御質問をいたしましたが、いわゆる本法律案を提案するちようど一年前の四月、当建設委員会内閣委員会との合同審査行つておる。しかも先はど申し上げたように、衆議院ではいろいろこの改正案に対して異論がありまして、特に総理のお話もあつて一年間ということでやつて、それが参議院で修正をされて政府原案通りましたときに、参議院は三分の二をもつて衆議院の原案を再議決しなければならないというような、相当関心を持つている案であり、衆議院の院議をもつて再修正を行つたというようなものを、単に事務事項が残つておるということだけで本法律案審議するということでは多少軽率ではないかと、こう思うのであります。私たちは来る十日に内閣委員会に対して連合審査会を申し込んでおるのでありますが、この問題に対しては会計検査院当局並びにいわゆる特別調達庁だけではなく、これら建設省関係の公共事業費その他に及ぶということであれば、各省の意見を聞かなければならぬということになると、この問題はそう軽々に解決できる問題ではない、こう思うのです。私たちはこの法律案審議に対しては慎重に、かつ万遺憾なき解決をはかりたい、こう考えておるのでありますが、これに対して政府代表として小峯政府委員の総括的な御答弁を願えたら同時にお願いいたしたいと思います。
  32. 奥村重正

    奥村(重)政府委員 ただいまの田中さんの御質問に対しまして、おおむね先刻来私は自分の考えお答えいたしておつたのであります。一年を限るということで、まことに申訳ないと思いますのは一年間で何とか仕上げることができますれば、こういういろいろお話を承つたり、私もお答え申し上げたりするようなことなくて済んだのでありますが、大いに勉強したつもりでござい事けれども、なかなか案件が多くてひまがかかりまして、またお手数をかけるということになりまして、まことに恐縮に存ずる次第であります。私どもといたしましては、やりかけた仕事でございますし、とにかく一わたり済みますまでこの仕事をまとめ上げたいということを希望いたしておる次第であります。そのほかには別に何もございません。
  33. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 だんだんの御質問を拝承いたしまして、御趣旨のことはよく了承できるのであります。去年皆さんの御審議を、いろいろないきさつはありましたが、いただいておりましたが、その仕事が終らない、もう少し事務的に完結したいという希望でこの法案をお諮りしておるのでありますが、いろいろ御指摘の通り、これは行政機構の整備の問題にも関連があると思います。私どもといたしましても、総会官庁としてそういう面にも心を配らなければならぬ問題であると思いますので、十分これは慎重に御審議を願いたいと思います。従いまして、なお大臣ともよく連絡いたしまして、今上林委員あるいは田中委員から御質問のような趣旨をきつぱりと話合いをつけて、あらためて御相談に上りたいという考えでおります。
  34. 淺利三朗

    ○淺利委員 大体今日まで質問を伺つておりますと、要するに官庁の審理と申しますか調査監査についてはすでに法律会計検査院あり、そのほかに政府部内において他の官庁を監査するところの重複した機関を必要とするかどうかということが問題になつておる。そこで経済調査庁特別調達庁その他に対して監査をするということについては、二重監督になるからその必要はない、というのが昨年の当委員会意見であつた。これを一年間ということにしたのは、その結果を見てはたしてどれだけの効果があるかどうかということがその主眼であつたと思います。ただ全体の四七%しか審査が済んでおらぬから、その先を全部やる必要があるんだということは抽象論にすぎない。過去一年において、会計検査院監査以外に、経済調査庁監査によつてどれだけの効果があつたか。もしその効果が過去にやつた分についく上つているならば、さらに進んで全部にやる必要がある。もし効果がなかつたならば、これでもう試験済みであるからやめてもいいんだというところが結論だろうと思う。でありますから、今日までにおいてあなた方の監査された結果によつて、これこれの具体的な事実があつたというところの資料をお出しになつたらば、皆さんのお気持が済むんではないか、こういうふうに私は考えるのであります。でありますから、過去一箇年においてこの監査の結果はどうであつたかということを具体的にお示しになつたならば、この問題はただいたずらに抽象論で審議する範囲を脱して、現実の問題としてこれを一年延期する、あるいは当分やらせるかということの判断がつくと思うのでありますから、むしろそういう具体的な資料によつて論議された方が早いと思いますが、その資料をお出しになることはできるかどうかという点について伺います。
  35. 田中角榮

    田中(角)委員 議事進行について。私は内閣委員会で、本法律案が非常に疑義を持ちながら十分に審議を尽さずして、しかも根本的に重大なる疑義をはらみながらも通過をするのではないか、こういう懸念を持つてつたのでありますが、提案者であるところの調査庁の方々及び小峯政務次官が、いろいろな事情もありますし特に深くまた研究もしなければならないので、一応大臣とも相談の上、適宜納得の行くようなときが来るまでという御発言があつたのでありますから、私たちも本問題に対しては会計検査院及びあらゆる各省の意見もただしたい、こう考えているのでありますが、それまでの時間があるのでありますから、本問題に対しては、政府側よりも正式な資料の提出、それから御答弁があつてから、本委員会としては審議を進められる方が適切だと思いますので、委員長において特段のおはからいあらんことを希望します。
  36. 内海安吉

    ○内海委員長代理 お諮りいたしますが、ただいま小峯政務次官の御答弁によりまして、この問題にいては一応考慮しようという御答弁があつたようでありますから、この問題の審議の衝に当つている内閣委員会においては、この八日くらいに本案を何とかけりをつけたい、こういうような方針で進んでいるようでありますが、この問題について建設委員会密接不可分関係にある立場から、合同審議を申し込んで、そうして建設、内閣委員会の合同審議のもとに完璧を期したい、ということは政府委員諸君並びに小峯政務次官においてもよくおわかりのことと存じます。そこで、この問題の最後のいわゆる仕上げでありますが、内閣委員会における最後の仕上げは早くも——早くもです、今月の十五日ごろに建設委員会内閣委員会と合同審議の後において決定していただきたいということを希望しておきます。  それでは経済調査庁に対する質問はこの程度といたしまして、この問題についてひとつ調達庁より事情を聴取することにしたいと思います。通告順によりまして池田峯雄君に発言を許します。
  37. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 特別調達庁に質問したいと思いますが、いろいろ経済調査庁設置法の一部改正に関連いたしまして、特別調達庁に関する問題として論議が出ているのでありますが、特別調達庁といたしましては経済調査庁からいろいろ調査を受けることに関してどういう見解を持つておられますか。迷惑に思つておりますか、きわめてけつこうなことだと思つておりますか。その点をひとつお伺いしたい。
  38. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 政府提出の案でもありますので、私は政府委員としてよりも、監査を受ける特調事務局の立場で申し上げたいと思いますので、速記をとめていただきたい。
  39. 内海安吉

    ○内海委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  40. 内海安吉

    ○内海委員長代理 速記を始めてください。
  41. 田中角榮

    田中(角)委員 先ほどから特別調達庁は二重煙突の府であるという感覚であつて、そういう意味から考えると共産党の諸君なども鉄のカーテンの先も見たいというふうなことを言われ、かつ国民疑惑はそこにあるのではないかということがいわれておりますが、私はこういうふうに考えております。特別調達庁がつくられたのは、申すまでもなく終戦後ポツダム宣言の要請においてつくられたのでありますが、特別調達義務といういわゆる特別な任務を持つて発足した特別調達庁でありますが、終戦後から二十年の末ないし二十四年の初めごろまでは、いろいろ不なれのためや、軍と調達庁との間に連絡の緊密を欠いたために、いろいろ非難せられろようなことがあつたのでありますが、当時の状況としては、当然あらゆる調達工事は、あげて法律百七十一号をもつて整理をせられておつたわけであります。これは終戦直後終戦連絡事務局がこの種の工事を担当しておつたのでありますが、戦災復興院が引継ぎ、かつ現在特別調達庁に引継がれるまでの間におきましては、不正支出を食いとめるという意味で、まつたく日本の工事の精算方式としては非常に新しい方式をとり上げたところの法律百七十一号をもつて整理をせられておつたわけであります。そのために特別調達工事の進捗も非常にうまく行つたのでありますが、現在特別調達庁工事は、一般公開入札をもつて行つております。法律百七十一号は非常にむずかしい法律ではありましたが、実効をあげる、また適切妥当なる支出を行うためには、あの法律も必要であつた。しかるに二十三年から二十四年初めにかけて物価が下降線をたどつたために、法律百七十一号が煩瑣なるがゆえに、廃止の運命に至つた。ところが昨年の下半期から朝鮮事件を契機として、またぞろ非常に物価がいわゆる上昇線をたどつて来た。今こそ法律百七十一号のごときものをもつて処理をしなければ、なかなか工事がむずかしいのではないかと考えておるわけであります。もちろん物価騰貴の現在、三箇月の工期をもつてつくり上げるものが、三箇月後の物価騰貴を見越して予定価格を立てることは、原則的にできないのでありまして、現在の価格をもつて予定価格を立てる、そうして物価は日に増し上る、しかも特別なる工事であり、特に軍の使用書及び軍の工事監督を拒むことができないという特別なる環境にある工事であるために、施工上いろいろな疑問も起り、かつ日本人の技術的な感覚では、はかり知れないようないろいろな要求、設計変更等が出た場合、入札をもつてつた工事費では、工事の完全なる遂行ができないという問題が当然起きて来ると思います。その意味において、この工事の問題に対する紛糾が各地に起きておるようでありますが、この紛糾に対しては、これはただ単に工事業者だけで考えることはできない。御承知通り、非常に国際情勢も好転し、講和会議も目捷の間に迫つておる。しかも長い間多額の費用をかけ、しかも国民が占領軍に協力をして来て、日米感情も非常に好転しておるというのに、最後のどたんばに来て、講和会議を目捷に控えておる現在、わずかの手違いとか、わずかの処置当を得ないために、これが双方に非常におもしろくない、思わざる結果を生じてはならない。こういう国民的な立場から、私はかかる施工者に対しては、万全の処置を講じていただきたい。そうして最後の段階にあるところの特別調達業務に対しても、日本国民の名において、ひとつ完璧を期してもらいたいという国民的な気持を持つているわけであります。本委員会審議をいたしました。占領軍住宅公社法に基きまして、五十二億数千万円の予算をもつて行われましてあの工事も、すでにもう一箇年前になつておりまして、各地区とも当然工事ができ上つておらなければならないと思うのであります。当時五十二億数千万円で、はたしてできるであろうかという疑念もあつたのでありますが、物価が上昇線をたどつておる際の工事でありまして、法案通過の年でさえも非常に危険視をしておつたのでありますが、過日私はこの問題に対して、決算委員会においても川田政府委員に質問を試みております。川田さんの御発言によりますと、その後の折衝において、しかも法律でもつてきめられ、余裕を持たせる、幅を持たせるというところから、五十九億数千万円までの支出を許されておる。最後には七十三億余万円の支出が認められているということが言われたのでありますが、この工事資金をもつてはたしてまかない得るかいなか、もしできない場合はどうするかということに対しては、審議の衝に当つた委員会としては当然これに対して相当考えをもつているわけであります。しかも前段申し上げた通り、占領最後の段階において、少しのマイナスをも求めたくないという気持から申し上げるのでありますが、特にこの種工事の中で、最も大きく問題を包蔵していると思われる相模原住宅の問題について、五、六項目簡単に御質問をいたしたいと思います。この問題は、響くところも非常に大きいし、特に早急に解決していただきたいという問題でありますので、ひとつ責任ある御答弁を願いたいと思うのであります。  まず第一番目に、項目をあげて申し上げますので、明瞭なる御答弁を願います。この種工事の最も大きな地区であるところの相模原は、日本の一流業者九社の指名競争入札によつて行われておるのでありますが、当初の計画よりも工期が非常に延びておる、それでいまだに完成しておらないようでありますが、この問題の現場の実情はどうであるか、これに対する占領軍との関係、特調との関係というようなものに対してまずお答えを願いたいと思うのであります。
  42. 池口凌

    ○池口政府委員 今のお尋ねの相模原の公社住宅のこと、そのほかいわゆる公社住宅のことについて簡単にお答えをいたしたいと思います。  御承知のように、昨年審議していただきましたときには、八月一ぱいには全二千戸の住宅を完成する、こういう予定でスタートいたしたのであります。しかし実際に始めましたのが四月からでありまして、各地区とも土地の選定、設計等にかなりひまどりまして、全体として延期を重ねて参つたのでございます。今お尋ねの特に相模原につきましては、従来森林及び開拓民等がおります旧軍用地等の、約十八万坪でありますが、全然新しい土地に計画をいたしたものでありますから、非常に設計その他に遅れまして、六月の末になりましてやつと設計を完了し、入札の運びに相なつたのであります。そのときにおきましても、九月にはこれを完成いたしたい、こういうことで競争入札をいたしたのであります。しかし何分にも尨大工事でありまして、初めから一箇月くらいはどうも軍の要求よりは無理である、こういうような観念を持つてつたのでありますが、三箇月で完了することは困難である、どんなにうまく行つても四箇月はかかるだろう、こういうような考えをもつて入札をいたしたのであります。はたして一箇月は当然遅れたのでありますし、十二月一ぱいまで延びに延びて、暮にはやつと形ができた、こういうような形に相なつております。総司令部の方におきましても、当初八月一ぱいにつくれ、こういうのが十一月一ぱいに延びました。そして現在では相模原以外は完了もいたしておりますし、正式にその延期を認められました。相模原は二月一ぱいには全部完成する予定であります。ということで、延期も認められまして、現在ほとんど完成いたしまして竣工検査途上でありまして不備なところは手直しをする、何分にも四百六十戸であり、そのほかに附帯設備が非常に尨大なものでありまして、この検査、試験等に現在日夜専念をいたしておるような次第であります。建物はほとんど完成いたしたのでありますが、ほかの暖房とか庭園のようなもの、道路のような最末端のものは、五月一日までに全部完了するように、こういう指令で、そのつもりでやつております。なぜこのように延びたかということが御質問の要点でありますが、ちよつと述べさせていただきますと、何分にも非常に大きな計画でありましたので、その設計書の最末端に至りますまでのこまかい図面が完備してなかつたということも一つの原因であります。それからいよいよ具体的な建物の配置、鉄管の配置とか、水道管の配置とか、そういうものに至りますまでの図面というものを完備いたして参りました。ところが当初の計画よりどうしても多少変更しなければならぬというような事情がありまして、かなり遅れたのであります。そういうことで遅れましたが、そのほかに具体的の工事が始まりましてからも、かなり監督が厳重でありまして、私どもの予想しておりますよりも——もちろん仕様書その他に監督の方法も書いてあるのでありますが、米国的の施工の慣習等によりますところの非常に高度のものを要求されたのでありまして、施工方法につきまして、機械力が十分使えないというようなこともあつたりいたしました。たとえば左官にいたしましても、下塗りをしてから上塗りをするまでには、一週間をおけというようなことでありまして、そういう工程におきましてもかなり齟齬を来しまして、ずいぶん延びて今日に至つたような状態であります。
  43. 田中角榮

    田中(角)委員 この種工事にはいろいろ設計変更等軍の要求が多いのでありますが、特に相模原地区においては設計変更が多くて、関係業者がこれについて正式契約をしてもらえないということで、非常に困つておるということでありますが、この原因はどういうわけでありますか。
  44. 池口凌

    ○池口政府委員 設計変更の場合につきましては、軍の初めからの要求にもありますように、当初の設計よりもかわつたものを施工させるときは、正式な書面によるところの設計変更命令書というものをもらつて工事をやらねばならぬ、こういうふうなことにきめてあるのであります。しかし相模原地区につきましては、設計変更ではないのですが、かなり仕事の程度の問題、施工の方法、そういういろいろこまかい点につきましてたくさんの変更があるのであります。これにつきまして、これは設計変更の正式な指令がなければ工事ができない、こういう建前ではあるのでありますが、現場におきましては、この程度のものはすぐ工事にかかつて早く完成するように、こういうような指令が口頭で続々出て参つたのであります。これを私どもは文書によるところの命令をもらわなければ着手しないと言つて、手をこまねいておるわけに行かないのでありまして、そういう事情が非常に数たくさんありました。百項目以上に上つておりますが、そういうものがたまりたまりまして、この設計変更的な金額の増額というようなものが非常に重なつて現在要求されておるのであります。これにつきましては、まだおのおの点検もいたしておるし、そのときにおきましては努力をいたしたのでありますが、いまだ全部解決つかなくて、目下努力をしておるような次第であります。
  45. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの御説明によれば、設計変更は契約当初必ず文書による変更命令書がなければ変更はできない、施工しても払わない、支払いの責に任じないということになつておるのでありますが、ただいまの御発言によると、口頭命令が非常に多かつた、こういうふうなのでありますが、これはこの種工事に対しては、相当厳密な契約書を交換しておるはずと思いますが、しかもこの口頭命令は実際事業を行つておる業者としては、なかなかこれを拒否することはできないわけであります。私たちが現実に見るときには、実際事業を行つておる現場の末端の人たちに、ただちに命令をして事業の変更を命ずる、こういう場合拒否できない、これはほとんど不可抗力だ、こういうふうに認定せられるわけでありますが、当然その中間に入つた監督官庁としての特別調達庁は、軍に対して相当強硬なる折衝の措置を要求せられておるわけですが、この口頭命令によつて特別施工せられたという問題に対しては、調達庁は軍に対してどのような折衝を重ねたかというその折衝の過程をひとつ聞きたいと思います。
  46. 池口凌

    ○池口政府委員 今約束の通りに、設計変更の命令書というものは、文書によるということになつておるのでありますが、もちろん現場におきましても、調達庁の職員が特についておりまして、設計変更の命令の紙が出ません以上は工事をさしてはいけないということを十分承知をいたしております。そこで軍の監督官も向うにたくさんおりまして、これに対して強硬に文書によるところの設計変更命令書の発表を要求いたしております。しかし金額に変更のない程度の設計変更のこの程度のものは請負業者としてやれ、こういうようなことを直接請負業者に命令いたしまして、請負業者もその現場におきましてはやむを得ず泣き寝入りいたしまして、やりましようというような返事があつたといたしますと、業者も承知しているのだから施工するようにというようなことで、かなり強い監督を受けて今まで来ておるのであります。これにつきましては、こういうものを全部まとめまして、現場の監督官にも重ねて要求もおのおのいたしてあるのでありますが、これをまとめまして、元の第八軍、今は在日兵站司令部といつておりますが、その方にも要求いたしております。またその元にありますところの総司令部に対しましても、その話を——今数字をあげては持つて行つておりませんが、現場の方に指示をしてくれるように、交渉は進めておるのであります。これをもつと強力に進めまして、何とかこの年度末までには解決をつけたいとせつかく努力いたしておるような次第であります。
  47. 田中角榮

    田中(角)委員 建築の監督官は土木の監督官と比べて、ある種の特別の技能に対しては絶対に譲らない、技術的な面についての認識に対しては、絶対に自説を曲げないというので、建築関係の監督官にはときどき非常識な者も見受けられるのです。私たちの行う建築というものに対して、土木の監督官に比べまして建築の方が非常に厳密過ぎる、度を越して厳密である、もつと平たく言うと非常識だ、こういうことも言われているのですが、相模原などの住宅工事の現場の監督者は非常に厳密に過ぎる、いわゆる私がただいま申し上げた程度厳密に過ぎるので、無理な施工を命じたり、無理な注文をして、契約当時よりも無理な注文のために業者に特段の損害を与えたというようなことを散見するのであります。この問題を、監督官庁であるところの特別調達庁の係官としてお聞きになつたことがあるかどうか。もちろんこういうことを続けられたのでは、工事は倍額あるいは三倍額かかつてもできないので、場合によつては九社同盟して一応ストに入ろうかというような話もあつたやに私ども聞いているのです。そういうような事情に対して承知をしておられるかどうか、ちよつと伺いたいと思います。
  48. 池口凌

    ○池口政府委員 ただいまの相模原の工事につきましては、監督官が一ぺんかわつておるのでありますが、前の監督官も相当厳重であつたのであります。しかし中途からかわりました監督官におきましても、特にこの方は土木の専門の方でありまして、建築のことについてはそれほどでもなかつたかと思いますが、土木の方でありますから、コンクリートであるとか、左官工事というようなことにつきましては、非常に厳重な監督のもとに施工方法を命ぜられまして、少くとも日本ではあの程度の左官工事、コンクリート工事は、ほかでは見られない程度の施工がしてあると私は思つております。これは非常識という言葉は使えないかと思いますが、アメリカにおいても最も理想的な施工方法をやつたもの、こういうふうに考えられるのであります。日本におきましての施工程度、方法というようなものになれております私どもも、また業者の方々も、みな想像以上だというようなことではなかつたかと思います。しかし契約書の一部をなしておりますところの仕様書というのがあり、また一般規定というものも付属いたしております。それには、抽象的な文字でありますが、最高級の品をもつて、最高級の施工をやるようにということが書いてあります。その解釈いかんにかかわるのでありますが、いずれも日本の在来におきます施工程度よりも非常に高度なものを要求されたということで、関係者は相当辟易易しておられます。たとえば左官職人等になりますと、非常に高度なものを要求されて、むらが絶対にないようにするために、途中でこわされてしまつたというようなことがありまして、職人が逃げ出してしまつたというような実情があり、業者の方々もその職人を呼びもどすために、ずいぶん苦労されたと思います。そういうことで工事が延びたり、また金額的にも非常に損害が大きくなつたというようなことがあると思います。
  49. 田中角榮

    田中(角)委員 あと二問ばかり申し上げたいのですが、設計変更による増額分に対する契約はどうなさるおつもりでおるかという問題と、増額分については、現在の予算のわく内で間に合うかどうか、間に合わない場合の処理はどうかということをお聞きいたします。
  50. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 増額分の契約につきましては、これを単に理論的に考えまするならば、チエンジ・オーダーと申しますか、設計変更の命令書を軍からとりつけぬ限りは契約をいたすことができません。かつてに契約をすることができません。そういたしますと、自然予算をこれにつけるということは困難になります。その結果を見ますると、この設計変更によつてなされました工事は、請負者がかつてにやられたものでない、これはいろいろな具体的の場合には事情もございましようが、先ほど来お話が出ました通りに、口頭その他によりまして、軍の要求によつて設計変更をしたものだということはわれわれも承知いたしております。しかもこれに対して金を払うことができぬということに相なりまするならば——一番われわれとして恐れておりまするのは、先ほど田中委員から御指摘がありました通りに、せつかく今日まで協力いたして参りましたのに、最後のどたんばへ来て、日米関係の感情にまずいものができてはならぬと考えます。もしこれを払わぬということに相なりまするならば、業者からは不満の出ることも当然であります。そこでわれわれといたしましては、この支払いのためにぜひともチエンジ・オーダーをとりつけることに努力しなければならぬ。今日までとれません理由は、言葉も遣いますし、人情、風俗も違いまするので——なお一層努力いたしましたならば、このチエンジ・オーダーがとれるだろう。なおチエンジ・オーダーにかえます確認書というものがありますが、場合によりましては、これにかえて支払いをすることにいたしたいと考えております。速記をとめていただきます。
  51. 内海安吉

    ○内海委員長代理 速記をやめて…。     〔速記中止〕
  52. 内海安吉

    ○内海委員長代理 速記を始めて。
  53. 田中角榮

    田中(角)委員 今お答えがないようでありますが、いわゆる設計変更による増額が出るのでありますが、現在のわく、すなわちこの前川田政府委員から御答弁になつておるようなわくの準備があるのか。しかも、そのわくで間に合うのかということについて御答弁願います。
  54. 川田三郎

    ○川田政府委員 住宅公社の支払い予算といたしましては、昨年の五十二億何がしに対して、自動増額的の予算総則があります関係上、六十九億の予算のわくまで支出予算といたしましては現在とれております。さてこの設計変更による増額が、ただいまのところでは軍の認証になりました分で見ますと、六十七億程度のところまで出ておるのであります。また事務当局が従来現場において関知いたしました事実上の設計変更の集積額を推定いたしますと、約七十三億円のところまで総額が伸びる。そうすると、今後年度末、三月三十一日までの間に設計変更による増額を含めましたものが、六十九億以上に出て参りますと、七十三億の予算をとりつける手順が具体化するわけであります。現在のところでは、今かくかくの設計変更がある、これがほんとうに契約上現われた場合には、予算における自動増額の線を七十三億何がしまで拡大してもらえるかということにつきまして、大蔵省の主計局とは了解がついております。と同時に、ただいまのは支出のわくでございます。今度は公社といたしましては、見返り資金特別会計から所要の資金を借り入れなければなりません。この際に見返り資金を通じましてGHQにおいて、つまり総司令部において、見返り資金貸出しのわくの認定を受けなければならない。その際ただいま契約部長が申し上げましたように、現在の契約額を、正式の設計変更分の増額をいたします。これが総司令部側において、全体の数字として年度内に、三月三十一日までに認定いたされますと、七十三億何がしの予算の増額ができ、見返り資金の借入れもできるというような状態になるのであります。従つてども内部的にまず第一に設計変更の正式承認をとりつけることに努力をいたしまして、その予定されておる予算のわくをとりつけるという線に努力をいたします。  それから御質問の点は、それで間に合うかという点でございます。今までに集まつております資料から申しますと、七十三億だけの予算をとりつければ、全部支払えるという見込みを立てております。
  55. 田中角榮

    田中(角)委員 最後に私の希望を申し上げます。  なぜこのようなことをお尋ね申し上げるかというと、これはただに九社の問題ではなく、非常に大きな問題を包蔵しておると私は考えておるのであります。それは今まで見返り資金の工事及びこの種工事、なお各種公共事業費の工事という、莫大なる工事が行われて参つたのでありますが、土建業者というものは、大体において御承知通り固定資産を持たない企業でありますから、金融の対象には非常になりにくいという過去にも長い歴史を持つておりますが、戦時中の軍の命令融資というようなものから、だんだん土建の実態というものが金融界にも把握せられて、現在少くとも祖国復興、国土復興の面にこの建設業者が大きく貢献できるような状態にまでなつて来たわけであります。それがゆえにごの尨大なる調達業務も曲りなりにも遺憾なく遂行し終して参つたのであります。現在この業者がこのような状態に至らないうちは、少くともこの種工事のうちで、DHの工事というとほとんど五〇%ないし六〇%までの工事が第一番目の貸付の対象になつたというくらい最優秀な工事でありました。しかるにこの工事が、一社一億円の契約に対して、倍額近いところの工事費を支出しても、なお足らないということになる場合、この業者がほとんど日本を代表する業者であるだけに、この業者のいわゆる金融硬塞ということは、建設業全般に響いておるのであります。と同時にこの種工事がこのように赤字の工事であるということが金融業者の考えにはつきり映じました関係上、今まで最優先的に対象としてとつてつたところのPDの工事までがほとんど金融の対象にならないというような事態が現在起りつつあります。今まで特別調達庁関係の取下げ委任を行えば、無条件で二〇%、三〇%は貸し付けられていたというようなものが、全然金融の対象にならないというようなことになれば、ただに土建業者の倒産というようなことだけにとどまらず、今後残余の、日本としては最も重要なるところの最後の段階における特別調達業務というものの遂行に一大支障を来すのではないかということを恐れるわけであります。もちろんいかに業者が協力しようといつても、倒産をし、しかもなお徒手空拳ではどうすることもできないのでありまして、現在の特別調達庁がいわゆる工事の出来高において支払うという場合には、当然三〇%ないし五〇%の投下資金というものを業者が必要とするわけであります。これがこの種工事に対しては全然金融機関が融資を行わないということになる場合に、非常に大きな問題となるということを考えるがゆえに、こまごまと御質問申したわけであります。私はこの種特別工事の特殊性も十分認識するものではありますが、この問題はただ法規にのみこだわらず、先ほどの御答弁にもありましたが、いわゆる人種も違うし話も通ぜぬというようなこともありますが“誠意をもつてお互いが話し合う場合には、確実に実効を上げ得るという目標を立てられて、この問題はひとつ業界全般の問題というよりも、もう少し高度な立場から全般を見られて、一段と努力をせられて、早急に善処せられんことを私は希望する次第であります。特に三月三十一日でもうすでに二十五年度も末でありますので、これが解決が今月一ぱいにできるかできないかということによつて、響くところ非常に多大であると思いますので、調達庁も一丸となられて、これから残余の大事業を遂行するためにも、ひとつ決然たる態度で善処せられんことを希望するのであります。
  56. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 ただいま田中委員から、まさに講和も近づかんとする際、いわば建設工事としましては最終の工事ではないかと思われます相模原の工事を通じまして、きわめて適切なる御注意を拝聴いたしまして、私ども特に特調といたしまして、相模原におきまして、軍も日本側に対していい感情を持たない、労務者、業者も軍に対していい感情を持たないというような結果を来しまして、いわばクツシヨンとしてのSPBが十分にその任務を果し得なかつたという点につきましては、まことに遺憾にたえないと思つております。ただいまも御指摘のありました通り、そういうような結果が今後の調達に大きな支障を来すという原因を包蔵しておりますので、私どもといたしましてはもちろん単なる一事務とせずに、特調あげてこの問題の解決に邁進したいと考えております。
  57. 内海安吉

    ○内海委員長代理 本件に関しましては、本日はこの程度にとどめます。  次に小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。建築に関する小委員及び官庁営繕法案起草小委員でありました内藤隆君が去る二月二十七日に、道路に関する小委員及び河川法の一部を改正する法律案起草小委員でありました上林山榮吉君が去る二月二十七日に、建築に関する小委員及び住宅金融公庫法の一部を改正する法律案起草小委員でありました池田峯雄君が去る二月二十三日に、道路に関する小委員でありました寺崎覺君が去る二月十九日に、建築士法の一部を改正する法律案起草小委員でありました飯田義茂君が昨五日にそれぞれ本委員辞任せられたのであります。現在その補欠といたしまして内藤隆君、上林山榮吉君、池田峯雄君及び寺崎覺君がそれぞれ本委員に選任されております。なお内藤隆君は官庁営繕法案起草小委員長でもございました。従いまして、以上の関係各小委員会においては、小委員及び小委員長が欠員と相なつておる次第でございまして、この際その補欠選任をいたしたいと存じますが、これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 内海安吉

    ○内海委員長代理 御異議なしと認めます。それでは私より指名申し上げます。建築に関する小委員内藤隆君及び池田峯雄君を、道路に関する小委員に上林山榮吉君及び寺崎覺君を、住宅金融公庫法の一部を改正する小委員に池田峯雄君を、河川法の一部を改正する法律案起草小委員に上林山榮吉君を、官庁営繕法案起草小委員内藤隆君を、建築士法の一部を改正する法律案起草小委員に寺崎覺君を、また官庁営繕法案起草小委員長内藤隆君をそれぞれ指名申し上げます。  次会は追つて公報をもつてお知らせするこことし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会