○
田中(角)
委員 あなた方の、
権限を広げて行きたいという
考えと、私
たちの、
権限はなるべく
紛淆しないように縮めて行きたいという
考えとは、まさに逆な
立場にあるので、これは非常に激突をしそうなことですが、
お互いに表現をうまくすれば何とか行ける、こう
思つて御質問をするのですが、
会計検査院があるのですから
——私ははつきり前にも
言つているのですが、
経済調査庁が、自省をするために
内閣部内につくられたものであ
つて、対外的にどうであるということではなくて、ころばぬ先の
つえだ、だからこのことからいうと、昔であ
つたら
総理大臣が適当にとにかくお前あそこへ
行つてひ
とつ見て来いと言われるような軽い気持でも
つて、
権限のわくをふやして行かれるというようなお
考えであるようですが、私
たちの
考えではそうではないのです。議決は
国会で行う、
執行は
政府が行う、
憲法上の
規定によ
つて、適正なる
会計の
監査は
会計検査院がこれを行うべし。なお
会計検査院の現在のあり方に対しても、旧
憲法から新
憲法に移
つたときの
会計検査院が非常に微妙な
立場をと
つたために、こういう
疑義を生ずる
立場にな
つておるのですが、これは新
憲法の
建前から見ると、当然ああいうような
解釈は成り立たぬと
考えている。だから
会計検査院はただ
事後審査を行うだけであ
つて、しかも
国会に対して
決算に対する
責任を負うのが
会計検査院の
立場だ。これは私は非常に端的に
会計検査院の
立場を批評するものであ
つて、
会計検査院の本来の任務はさようなものではない、こう
考えております。いわゆる
天皇の名において
予算が編成せられ、いわゆる
議会は
翼賛議会であ
つた、
協賛議会であ
つたという場合、
天皇の名において
会計検査が行われたのでありますが、現在は
政府でも
つて予算を組みますけれ
ども、
議会が議決をしなければ成立はしないというのであれば、
議会が議決をした
予算に対する
決算は、
憲法上に
疑義ありと説をなす学者がありますが、私は新
憲法のできた
憲法の精神を
考えるときには、当然
会計検査院が最終確定をなすものではなく、
国会に出されるところの
決算というものは、
国会において最終に議決をせられる議決案件でなければならぬというふうに
考えているのです。そういうことであれば、当然
会計検査院はあなた方が行うところのころばぬ先の
つえというような事前
審査もまた行わなければならない。まして
予算執行職員に関するいわゆる
会計検査院の
権限法ともいうべき
法律案が出ております。なお
疑義を生じ、批難を受くるおそれのあるものは、あらかじめ
会計検査院の承諾を得て、これが支出負担行為をなしておるということが事実であるならば、私はこれ以上に
疑義を持ち、非常にあぶ
なつかしくものを
考えて、
執行面に対する
監査を行うことがはたしていいことであるかないかということも、私は
考えなければならぬ。だから、私の申し上げたのは非常に酷論であ
つたかもわかりませんが、私は現在の
経済調査庁はすみやかに
会計検査院の中に合流して、
会計検査院の機能は、新
憲法の
建前に沿うように大きくせらるべきだということを、声を大にして
決算委員会その他においても
相当論を吐いておるわけであります。だから、こういう問題はどこから出て来るかというと、戦後につくられた特殊
機関、これは経済安定本部であります。経済安定本部とは私
たちはよく
意見が衡突するのですが、私は経済安定本部に対しての認識は
相当あります。ありますが、経済安定本部というものが、非常に微妙な
関係にあ
つて、いわゆる総合調整
機関であり総合
調査、統計、調整、こういう本来のものが、戦後のあの非常に紛乱した時期に、いわゆる物の割当を行う、総合
調査を行う、配付を行うという
権限がだんだん現業面まで進出をして来ておる。建設省を除き、農林省を除き、各地方府県とほとんど直結をしておる。現在の経済安定本部の建設交通局のごときは、ほとんど建設省というものは促進官庁であ
つて、
国民と実施官庁とのつながりは、全部経済安定本部が持
つておるというふうにな
つておるようであります。これは経済安定本部のためには非常に間違
つた行き方だということを私は常に
言つておるのです。特に経済安定本部が
——現在の
状況はまた違いますが、一、二年前には経済安定本部も、自由経済に移行した場合、当然廃止の運命になるのじやないか。少くともあの
法律案が去年出た当時は、経済安定本部の運命も
相当議論せられてお
つて、
自由党内部においてもそうでありました。
内閣の外局として、総合調整局として残すべきだというようなふうに言われてお
つた。だから、
権限も縮小せらるべきような運命にあるものが、ある
一つの目的を掲げながら、美名に隠れて、いわゆる
権限の拡大をはかるということは、わが党の政策と相反するということを根本にして私は論じておるわけであります。そういう
意味からいたしまして、私はいろいろな
法律があり、特に
大蔵省の財務局の
監査課そのものも場合によると、いろいろと
疑義があり、
法律を
改正してやめたらどうかという人
たちもある。そういうことに最も専門になりたか
つたならば、これは
会計検査院に合流し、
会計検査院で持てない感覚が新しい
経理の
監査上必要であるならば、現在の検察庁の少くとも経済をや
つておられるようなエキスパートと人事の交流を
行つても、
会計検査院の方を特に拡大すべしというふうに
考えておるのですから、あなた方がこれをおやりにならないでも、こういうことはほかの面を大きくすることによ
つてできるのであり、かつそれが筋じやないか、こういうふうに私は
考えておるのです。
会計検査院が
憲法上の最高
機関でありながら、この
機関が弱小であり、かつ本来の目的を達成せしめられないので、なお別の
機関がたくさんできて、これが補助的な
機関として目的を達成しようというのは、こういうことこそま
つたく
憲法に反するじやないかというふうに私は逆説的に
考えておるのです。だから、私の言うのは、そういうこまかいことではなく、あなた方がどうしてもおやりになりたいというならば、別にやるものがあるということをあなた方に私は
言つておる。これは二十五年四月十八日火曜日の午前の
内閣、建設
連合審査会において私とあなたの間で論議をかわされているのにも明記してある。こういうことを
言つております。
経済調査庁設置法の一番初めに
経済調査庁は何をするのだということの
定義があります。これによると、一般
行政官庁が行い、特殊公法人のようなことを行ういわゆる
公団とかその他の
経理の
監査を行うことが、あなた方が設置せられた主目的であ
つたと思う。そしてその
公団が万遺憾なく
経理の適正が期せられてお
つて、一銭の
国費も
間違つた支出をなされなか
つた。そしてわれわれも専門家にな
つたし、また場合によると、
会計検査院とと
つてかわ
つてもいいからというくらいの自信がついたので、官庁の一部である
経済調査庁、
特別調達庁に対しても
行政監査をさしてくれないかというのであるならば話の筋は通るが、あなた方がほんとうに過去にや
つた実績を上げる自信があるかどうかということまで問うている。特に
公団は二十一“二十二、二十三年の、
決算において莫大もないものが批難せられております。これは薪炭特別
会計においても数百億という赤字が出ている。こういう本来の設置目的に反して、なおこの上に
特別調達庁——現在は経済安定本部は有意義な官庁ではない。しかもその外局であるところの、経済安定本部と同じ設置目的をも
つてつくられたものでなければならぬと私は思う。経済安定本部は各省並立の一省であります。こういう
状態から
考えまして、
権限紛淆ではない、事実は違うというけれ
ども、正確に
考えて
相当の
疑義があるということであり、しかもあなた方は事実設置法によ
つてやらなければならない幾多のことに対して不完全でありながら、またその上に間口を広げ、
特別調達庁をおやりにな
つた。これは年度
予算の中に、
執行面千億をオーバーするのは
特別調達庁の
予算であるということで皆さんがおやりにな
つた。ところがこの
法律案が出る一箇月ばかり前に
建設委員会では経済安定本部設置法の一部
改正法律が提案せられ、その目的とするところは与党の一部、その他野与等が
考えてお
つた公共事業監察法というがごとき感覚をも
つて、一般公共事業、すなわち千億をちよつと上まわるものを
特別調達庁以外にも求めよう、これは
会計検査院のま
つたくの乗つとりであるとい
つても過言ではないとさえ
考えるのであります。これは
経済調査庁の方々が、私のような
議論をお聞きになると、
意見が非常に逆でありますので、
田中は酷評をするというふうに言われるかもわかりませんが、私もこれだけの発言をするのには、一年間余り私の
意見の発表をこらえてお
つて、自分でその実績の上るのをじつと待
つてお
つたが、なお実績が上らずして、今日一年間
——一年ではできないでしようが、それを当分というがごとき字句をも
つてお出しになる真意ははたして那辺にあるかということを私はたださなければならない。これは
提案者であるあなた方だけに言うのではない。これを所管している大臣の
責任も私は当然究明しなければならぬということを
考えております。なお私はこういうことはあまり言いたくないと
思つてお
つたのですが、わが党の中にはこういうことがあります。
経済調査庁の
監査の結果、非常に御発表が誤
つてお
つたために、政治的に利用せられておるという実例があります。
会計検査院は御
承知の
通りあらゆろ批難
事項を決定するまでには検察官
会議を開いて、
相当厳重に厳選を重ねて、
特別調達庁の
事項な
ども日本の現在の
立場において
いかんともなしがたいために国が損を来したような場合、りつぱな条項が明記してあ
つた場合には、これを
決算面における批難
事項として批難しておりません。これは現在の日本の
状態ではこういうことは
相当あり得るということだけは常識で
お互いに
考えられる。ところがその
相当デリケートな問題の中で、
会計検査院は
決算委員会に呼ばれてお
つても
相当慎重な態度をと
つて決算委員会でも
つて発言をする。
会計検査院の諸君は
会計検査院の
検査官
会議にかか
つたもの以外は発言をしない。発言をする場合は小峰第四局長ではなく、個人小峰が何がしとしての
意見でありますということを確実につけた加えておる。それに対して
会計検査院は
責任を負いませんということを
言つて答弁をしております。ところが
経済調査庁は、
参議院の
内閣委員会の要求に対し、
——これは要求であるかどうかわかりませんが、要求に対して、生のままの
監査報告を出しておられるという事実があるのであります。これは私は与党なるがゆえに言うのではありません。いわゆるあなた方が
——少くとも
会計検査院が、
憲法上の権利を遂行ずるためにこれを世上に発表して輿論を巻き起すことは、われわれは
いかんともなすことはできません。しかしあなた方が
政府の部内において行き過ぎを是正し、なおころばぬ先の
つえになろうというために
権限を拡大したのが、その御発表が誤まてるために政治問題としてこれを利用せられるということがあ
つたならば、われわれ
政府与党として、
自由党としては、断じて承服できない問題である。少くとも私はあえて何党が利用したということは申し上げませんが、現在の野党は
参議院の
内閣委員会で
特別調達庁の
事項を議題として
政府攻撃をや
つております。
政府攻撃の材料は、わが党がとにかく与党としてあるところの現在の
政府の、しかもその監察
部門の一面から放たれるにおいては、われわれはその存在に対して黙過することはできない。私はとにかくこの論は、
自由党の内部において
相当な
議論をする場合にも筋は通ると
考えておる。ただ私は一党一派に偏して申し上げるのではなく、いわゆる
会計検査院が発表するのと違
つて生のまま出すことによ
つて、事実が歪曲せられて報道せられるために、よりよく行くところの政治が大なる暗礁に乗り上げるという事例は幾らでもあります。だからこれを
建設委員会などにあなた方が御発表になれば、共産党の諸君などは毎日毎日それだけを聞いて
政府いじめをするのであ
つて、与党としてはなかなか軽々に論じ得る問題ではないと私は
考えておる。私は今この問題を党において発言をしておりませんが、これを出す以上は、そういうことに対するあなた方の
相当強い決意を持
つた責任ある答弁をせられるくらいのお力を持
つて臨まれなければ、私
たちも当然納得できない。
議論は多岐にわた
つて質問の焦点がくずれたようでありますが、私の
考えは大体そういう
考えなのであります。だからこれを爆砕して、もつと
実効を上げ得るだけの見通しと、いわゆるスケジュールをお持ちになるのかならないのか、私は大臣を呼んでやろうと
思つてお
つたのですが、やる前にひ
とつこの問題に対して何とか御答弁が煩わせたら御答弁願いたい、こう
考えております。なお次に御質問いたします。
〔
委員長退席、内海
委員長代理着席〕