○
淺利委員 本
請願は、私のほかに小澤佐重喜、高田弥市、志賀健次郎の三氏の
紹介であります。この問題は、先刻土木
災害復旧事業費国庫
負担割当
制度の問題の際に、一応その趣旨を例としてあげておきましたから、
委員の方もすでに御承知のことと思うのであります。
要旨は、岩手県一関市を通過する
国道四号線は、磐井川
堤防の築成と磐井橋の架橋により、路面が著しく高くなるに反して、この改修に伴
つて新
国道の
両側の店舗及び住宅は旧地盤のまま取残されて、路面より著しく沈下の
状態となり、店舗はもとより、住宅としても使用にたえない。よ
つてこれを改造するのやむなき
状態に至つたのであるが、その経費は莫大なもので、とうてい地域住民の自己資金をも
つてしては
負担し得ないから、この犠牲的地域の改造に対して
国家的
補償の道を講ぜられたいというのであります。
先ほども申し上げました通り、この磐井川の
堤防を
かさ上げいたしました
関係で、旧来の
道路も
従つてこれに接続する
関係上十三尺も高められたのであります。ところがそのとりつけが橋の延長であるがために、この両岸の店舗は橋の下に沈下するという現状に
なつたのであります。それはこの両岸において一関市地主町側は百十二メートル、鍛冶町側は百十五メートルの区間が橋に向
つてやや高く、その
両側は地下に沈没したような状況に
なつたのであります。これらの
地方は従来最も繁華なる地域であ
つて、か
つては、そのうちのある店のごときは明治天皇が行幸の際におとまりに
なつたという旧跡さえ保存されているような地域で、町の最も中心地であつたのであります。ところが今回の橋の改造に伴
つて家屋のすぐ前が橋にな
つてそうして
自分の家は営業ができない、こういう現状にあるわけでありまして、これはむしろ橋梁をとりつける際において、附帶
工事としてこれをしてくださつたならば、当然この犠牲が免れたのでありますが、そのこともなくして放任されたのであります。しかもこの
工事のために路面まで家屋を高く揚げるとするならば、下に土盛りをするか、あるいはまた橋と同じようにコンクリートの柱をも
つて上に揚げるというようなことをいたしますれば、総額において一千数百万円を要する見込みであります。これは各住民は過去二回にわたる大惨害を受けてほとんど家財も失い、放浪の
状態にな
つてしかも橋の
工事のために今日までほとんど営業もできない。商業をも
つて生活を営んでおる者がこの
工事中ずつと何事もできない。しかもこの
工事ができた後も永久に業を営むことができないという現状に取残されておるのであります。国としてこれを見てくれることもなく、また
地方公共団体といたしましても
災害府県の悲しさでこれを
負担する余力もない。もしこのままに放任されたならば、この地域の住民はほとんど生活の根拠を奪われるのであります。そういう事情でありましてか
つての
水害をこうむつた上に、今度は
政府当局の設計で——これは
国道でありますが、県が実施したのでありますけれども、建設省の認定を受けてやつた
工事でありまして、いわばこれは人間によ
つてかもされたる
災害、いわゆる人災であります。この人災をこのままほ
つておくということは、道義の上から考えましても、また各人の生活を脅かし、
財産権を
侵害するという点から見ても、これは放任すべからざる問題と思うのであります。現在の
法規の上において、何とかこれを
救済する
方法はないか。もしなければただちに立法的措置を講じて、かくのごときことのないようにしていただきたいというのがこの
請願の要旨であります。この
請願人は四十名もあります。この四十戸の将来の生計及び生活の根拠に関するものであります。真剣に御考究くださいまして、ぜひ本
委員会においてこれを取上げていただき、そうして、いかにして
救済すべきかということの解決をいたしていただきたい。またこれによ
つて政府当局にも
委員会の意向を強く推進していただきたいというのが本
請願の要旨であります。何とぞ各位におかせられましても、この
実情を御検討いただきまして——これはひとり一関に限らぬのであります。過去の例を見ますると、どこか四国方面においてもこれらの例があり、
法規上の
救済の道がないということで、見舞金か何かでこれを妥結したという話を聞いております。こういう問題は見舞金その他によ
つて解決すべきものではなく、国の
事業の結果その
地方の人に甚大なる犠牲を與えた場合は、
国家的に当然考慮すべきものであると考えるのであります。どうぞ当
委員会においてこの
請願を御採択あらんことを切にお願いする次第であります。