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1951-02-02 第10回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二日(金曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長代理理事 内海 安吉君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    内藤  隆君       西村 英一君    中島 茂喜君       増田 連也君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  出席政府委員         建設政務次官  渡邊 良夫君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         大蔵主計官   佐竹  浩君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度建設関係公共事業費に関する件     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が病気で欠席のため、私が委員長の職務を代行いたします。  昭和二十六年度建設関係公共事業費に関しまして審議いたします。前会に引続き質疑を続行いたします。池田峯雄君。
  3. 池田峯雄

    池田(峯)委員 大蔵省主計局で出しております昭和二十六年度予算説明、これについて安本建設交通局関係公共事業費に関連して、若干それ以外のものにもわたるかもしれませんが、質問して行きたいと思うのであります。  この予算説明書によりますと、公共事業費は昨年度見返り資金を含めて、官庁営繕などを入れまして一千百四十一億円になつております。本年度官庁営繕などは公共事業費から除外しておりますが、これらを含めまして、昨年度と同じような意味で計算いたしますと、本年度公共事業費は一千百五億になります。そういたしますと去年から比較いたしまして、全体として三十五億円の減額になつておる。ところがこの予算説明書によりますと、災害復旧事業費全額国庫負担制度を廃止するというようなことから、実際の総事業量においては、昨年度は一千五百六十七億円、本年度は一千六百七十一億円になりますからふえているのだ、こういうふうに書いてあるのでありますが、これは労務賃金とか、あるいは基礎資材物価値上りの状況とか、こういうものをどういうふうに考えてこういう結論を出したのであるか、この点を承りたいと思います。
  4. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 ただいま御質問になりましたことは、労務賃それから資材値上り考えていない数字でございまして、それを考えますと、若干減少になるということでございます。
  5. 池田峯雄

    池田(峯)委員 その物価値上りあるいは労務賃値上りというようなものをどの程度に現在安本の方では見ておりますか。ただいま物価値上りは見ていない数字で、それを見ると減少になるのだというお答えでありましたが、そうなりますと、公共事業費全体が実質的に減少するという結果になるのでありますから、これは予算を決定する上において非常に重大な問題で、どうしても国会として考えなければならない結論がそこから当然導き出されて来るのでありますから、現在どの程度基礎資材値上りしておるか、労賃はどういうことになるかということをひとつ数字的にお話願いたいと思います。
  6. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 大体概括的に申し上げますと、資材騰貴率が約二〇%、労賃騰貴率が三%、資材賃金を大体半々と見まして一二%の騰貴ということで、ただいま申しました若干減少しておるというのは、そういう基礎の上で申し上げたことでございます。これは十二月現在であります。
  7. 池田峯雄

    池田(峯)委員 十二月現在でそういうことになつておりますが、たとえば朝鮮動乱等中日貿易を今度禁止されまして、当然鉄鉱石輸入価格というものが高騰して参る。これは資本家人たち意見を聞いても、当然鉄鉱石値上りするということが言われておりますから、現在の資材労賃をつき合せて一二%の値上りをしても将来相当まだ値上りしなければならないということも予想されると思うのでありますが、そういう点安本はどういうふうに考えております。
  8. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 これは予算を組みますときに現状に即して考えましたので、将来これがどのくらいになるかということは実はわれわれといたしましては確信がないわけであります。
  9. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうすると将来この算では、予定した事業量を遂行して行くことができない結果になるということは今から十分予想されると思うのでありますが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  10. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 将来物価がどのくらいになるかということは問題でありますが、実は今申したように予想できませんので、今ここで申し上げることはできぬと思います。
  11. 池田峯雄

    池田(峯)委員 安本というのはそういうことを絶えず研究して、物価がどういうふうに値上りするかということの計画を立てるところではないかと思います。それが建設交通局でできるのだというふうには私考えておりませんが、あなたたちはそういうことを常に念頭に置きまして、諸般の計画を立てておられると思うのであります。ただ物価値上りしないという見通しで予算を組んだのでは非常に不安であります。そういうことを全然予算説明書には書かないで、本年度予算の編成に当つては、全般を通じて災害予防のための治山治水費をさらに増額しておるというような自画自讃をしておるのでありますが、これはもうすでに基礎資材が二割も増加しているというようなことによつて見ましても、本年度政府提出予算案では予定事業費をまかなつて行くことができないという結論は、現在すでに出ていると思うのでありますが、そういう点安本建設交通局としてはどういうふうに考えているのでしようか。その点もつと詳しくお聞きいたしたいと思います。
  12. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 将来どのくらいにかわるかということは、実は先ほど申しました通り、わからないことでありまして、そのときに別途に考究するつもりでありまして、ただいまは十二月をもととした予算説明をいたしたわけであります。
  13. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それではあとで大臣にでもお聞きするといたしまして、次に資材所要量でありますが、昭和二十五年度においては公共事業費関係鉄鋼が二十万三千トン、ところが昭和二十六年度においては鉄鋼が十九万九千トン、少し減つております。セメントにいたしましても、木材にいたしましても、昨年度所要量よりは減つているのでありますが、一方政府計算によりますと、総事業量においてはふえているということになつておりますが、これはどういう計算でございましようか。資材の点についておわかりでしたら伺いたい。
  14. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 これは資材のいらないものに重点を置いておりまして、資材のいらないものがふえておるのであります。
  15. 池田峯雄

    池田(峯)委員 これは治山治水重点を注ぎまして鉄鋼その他はいらないとおつしやいますけれども、前年度と比較いたしまして、非常に本年度予算が多くなつたものは河川事業費が三五%増になつております。それから砂防が八三%増になつております。しかし同時に水産施設費であるとか、道路事業費であるとか、あるいは都市計画費であるとかいうものが昨年度よりも相当増額になつているわけなのであります。この河川事業費増額の中には総合開発ダム建設費用相当含まれているのでありまして、そうなりますと、全体を見まして昨年度本年度公共事業費の内訳を検討して見まして、鉄鋼セメント木材というようなものは、むしろ昨年度より本年度の方が多量に使わなければならないのではないかと思うのでありますけれども、先ほどのあなたのお答えで了承してさしつかえないのでしようか。
  16. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 去年の資材の中には見返りなどが入つておりまして、それにはダムなどを大分やつておりましたので、そういうものが大分減ります。
  17. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういたしますと、ここに出ているものは見返り資金を使つたものも含まれているというわけですね。
  18. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 お説の通りであります。
  19. 池田峯雄

    池田(峯)委員 今度災害復旧費全額国庫負担制度廃止等伴つて地方負担が増加するということは御承知の通りでありますが、私の計算いたしたところによりますと、本年度地方費負担額というものは、大体五百七十億円くらいに上る計算でありますが、安本の方の計算はどの程度になりますか、お答え願いたいと思います。
  20. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 大蔵省所管関係まで入れまして約五百五十億でございます。
  21. 池田峯雄

    池田(峯)委員 その五百五十億という地方費負担は、昨年度と比較いたしますとどういう比率になつておりますか。
  22. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 全部二十五年度のを入れますと三百七十八億であります。
  23. 池田峯雄

    池田(峯)委員 結局地方負担本年度相当増額するということが結論として言い得ると思うのでありますが、現在地方財政が非常に逼迫しているということは、これはどなたも御存じの通りと思いますが。ある地方によつては、現在予算を編成しておりますが、昨年度予算の二割天引、八掛予算というようなことをやつているそうでありまして、地方税徴收もすでに底をついている、滯納額が非常に出ている。こういうような状態であることが言われているのですけれども、そこへ持つて参りまして昨年度に比べて、公共事業費関係だけで、教育費やその他のことは別にして若干の増額になつている。こういうことを考えますと、総事業量として計算上はいえるかもしれないけれども、実際としては二十五年度よりは二十六年度の方が総事業量がふえるのだというような結論は、こういう点からもいえるのではないかと考えるのでありますけれども、その点いかがでございましようか。
  24. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 地方費がふえましたことに対しまして、われわれといたしましては起債わくをふやしていただくように努力するという考えでおります。
  25. 池田峯雄

    池田(峯)委員 起債本年度どの程度にふやす予定でありますか。
  26. 佐竹浩

    佐竹説明員 ただいまのところ二十六年度起債わくは一応四百億ということに予定されております。
  27. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この四百億は地方財政全体に対する起債わくであろうと思うのでありますが、たとえば六・三制建築とかその他の起債というものがありますから、実際に公共事業費に使用できる起債わくはどの程度になりますか。
  28. 佐竹浩

    佐竹説明員 四百億の中で、公益事業その他、ただいまお話のございましたような六・三制その他に使わなければなりませんので、公共事業費に対して振り向けられる分は、まだ最終的な確定をみておりませんが、大体の見当で三百億円見当かと考えております。
  29. 池田峯雄

    池田(峯)委員 次にお尋ねしたいと思うことは、北海道開発庁なのでありますが、これは大藤省主計局の方でこの予算についておわかりでございましようか。
  30. 佐竹浩

    佐竹説明員 開発庁予算と申しましてもいろいろあるのでございますが、どういう点でございましようか。
  31. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この公共事業費です。
  32. 佐竹浩

    佐竹説明員 開発庁予算に計上された公共事業費につきましては、もちろん関係はいたしておりますが、むしろ安定本部の御所管だと思います。
  33. 池田峯雄

    池田(峯)委員 北海道総合開発庁のことについて若干お尋ねをしたいと思うのですが、北海道総合開発法ができまして、開発庁が独立し、そうしてここに新しく北海道開発のための予算として、公共事業が現れて来たわけでありますけれども、総合開発と銘打つたにもかかわらず、その内容から見ますと、何ら新味がなくて、従来と大差がないように考えられるのでありますが、北海道総合開発するという意図のもとに予算を組まれたという特徴がどこにあるのか、その点を承りたいと思います。
  34. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 北海道総合開発につきましては、現在いろいろ考えられております段階におきまして、完全なものはまだなかなかできておりませんけれども、前の年よりも総合性が強調されまして、それによりまして予算を組んだわけであります。
  35. 池田峯雄

    池田(峯)委員 総合的な機関が一応確立したということは言い得ると思いますけれども、予算の面で、こういう総合的な計画を立てて、その計画のもとにこういう予算が組まれたのだというようなところは、私、この予算案を拝見して発見することができない。大体見ますところ、予算増額されているのは河川関係増額されております。しかしこ河川の十九億六千五百万円という額は、昨年度見返り資金で支出した分を、その継続として本年出すというのが含まれているのではないだろうか。そういたしますと、河川事業にも大した増額は見られない。見られるところは土地改良が昨年度三億三千五百万円ですか出たものが、本年度は八億五千万円出ている。あるいは開墾事業、そういうものに去年三億五千万だつたものが今年六億一千万出ている、こういうところに若干見られる。あるいはまた水産施設費でありますが、水産施設費が昨年一億五千万だつたものが三億に、大体倍になつている。あとはごく少額でありますけれども、航路標識、燈台の費用が昨年度の三倍になつている、こういう程度でありまして、北海道をこういう計画で開発する、そのためにここに重点を注いで、その予算がこれだというのは、私頭が悪くてわからないのかもしれませんけれども、はつきりしないのでありますが、その点おわかりでしたらひとつ答えていただきたいと思います。
  36. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 たとえて申し上げますと、石狩川の流域でありますけれども、石狩川の改修と土地改良との関係——結局土地改良河川関係いたしておりますが、そういう関係を総合的に見たのでございます。それからその石狩川の支流であります幾春別川のダム建設というように、大体石狩川に一応重点を注ぎまして、その地区の総合開発計画したわけであります。
  37. 池田峯雄

    池田(峯)委員 総合開発ということがいろいろいわれております。どうしても総合開発で行かなければだめだ、国土総合開発法というような法律も国会を通つて出ている。しかし私考えますに、総合開発総合開発といつて鳴り物入りで宣伝している、その根拠というか、その動機といいますか、それはどこにあつたかと申しますと、実は見返り資金をもらうためにあつたのではなかろうか、電力開発とか何とかりくつをつけると見返り資金が出そうだ、そこで見返り資金をもらうために、総合開発などというものを盛んにやり出したのではなかろうか。ところが今年は河川の統制のためのダム建設のために見返り資金は出ない。目先の電力開発には見返り資金が出るけれども、河川の方には出ない。そこで大あわてにあわてて、公共事業費の中から今度はダム継続事業費を出した。その結果どういうことになつたかというと、災害復旧費減額というようなことになつてしまつた、事の真相はこういうところにあるのではないかと思うのでありますが、ちようど建設次官もおりますから、そういう点につきまして、忌憚のない御意見を承りたいと思います。
  38. 渡邊良夫

    渡邊政府委員 入つて参りましたとたんに御指名を受けまして、御質問内容ちよつとわからなかつたのでございますが、災害復旧費がどうして減つたのかという御質問のようでございますけれども、これは査定が安本において行われましたので、その間の詳細なるところの事情につきましては、安本事務当局から御説明を願つていただいたら、かように思つております。
  39. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 御質問のありました総合開発計画見返り資金をとるための方法ではないかという点でありますが、われわれはそう考えておりませんで、投じました公共事業費を有効に使うために、そして、これまで各セクトにおきましてその調整がとれていなということのために有効に使われないといううらみもありましたので、そういう点を是正するために総合開発計画考えたということでございまして、見返り資金をとるためにやつたのではありません。それがために災害復旧費減つたというわけではありません。
  40. 池田峯雄

    池田(峯)委員 建設次官並びに安本局長にお尋ねいたしますが、一体予算を組むときに、技術面のことを考慮に入れているのかどうかということを私は非常に疑問に思うのです。たとえば今年は農業土木費用相当ふえております。ところが災害復旧費は全体として減つております。これは一体どういうわけだろうか、川を直すために、治山治水事業を根本的に遂行するためには、技術者の人に聞きますと、これは何といつて上流ダムが必要だ、これが第一なんだ、それからもう一つ堤防ばかり高くしたつてしようがない。川の河底を多少下げなければならぬ、浚渫しなければならぬ。だからダムつくつて河床を浚渫すれば川というものはぴつたり治まる。ところが農業土木はどういうことをやつておるかというと、堤防を高くする、従つて排水が非常に悪くなる。排水が悪くなるから排水機場をつくつたり、モーターをつけたり、ポンプをつけたりする。ところが川が根本的に直つておりませんから、水が出るたびに排水機場がだめになる。干拓をやつてもそうです。川の近くで干拓をやつておるところがたくさんあります。開発団を入植させてやつておるところがあります。ところがこれが水が出るたびにだめになる。利根川の近くにたくさんあります。ですからそういうところに金を出す——もちろんこれは現在非常に農民が困つておりますから、これは見ておられませんから排水機場をどんどんつくつて行くことはけつこうでありますけれども、しかし重点はどこに置かなければならないかというと、上流を治め、あるいは河床を浚渫するというところに根本的に重点を置かなければならない。これが治山治水の根本なんだ、こういうことを技術者の方から聞くのであります。もちろんいろいろ技術者の方にもよりますけれども、まず最初そういうことをやらなければだめだというようなことを聞くのでありますが、そういう予算を、安本でそろばんではじき出す場合に考慮に入れているのかどうか聞きたい。実際に数字をながめました場合に、そういうことは考慮に入れないで、何か一つの基準をつくつて、それでパチパチとはじき出す、これはいろいろな利害関係があるので、いろいろな利害関係を全部に少しずつ満足させて、そしてその全体の調整の上に予算というものを編成して行く、こういうふうにしか考えられない。だから総合開発という根本的な趣旨はここで数字の上で達成されておらない。これを私は先ほどから北海道総合開発の問題に関連して申し上げているのであります。総合開発々々々々といろいろいいます。農林省の方では治山だから植林、砂防をまずやらなければならぬ。それから通産省の方では、いや何といつてダムに関連して電力従つて電力ダムをつくらなければならない。また建設省の方では、まず道路をつくつて交通を便にする、あるいは堤防をつくる、あるいは橋をつくる、こういうことが建設省としては総合開発重点である。いろいろ各省各省によつて考え方が違うのです。もう一つ利根川を例にとつて申しますと、利根川総合開発とする場合に、群馬県では上流から直してもらいたい、千葉県、茨城県はどう言うかというかというと、下流から直してもらいたい、みんな違う。この違うのを総合的に計画を立てるのだというけれども、実際にはそのうちでどれが中心で、どこに重点を注げばいいのかということがつかまれていないから、結局あつちから要求されればこう、こちらから要求されればこれだけ、いろいろな利害関係の調和といいますか、そういう調節の上に予算をはじき出しておるように考えられるのでありまして、技術面というようなことは二の次、三の次ぐらいにしか考えていないのじやないか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点ひとつ政務次官安本建設交通局長のお二人の御意見を承りたいと思います。
  41. 渡邊良夫

    渡邊政府委員 安本におきましては、各省から集まつておられる有能なる役人の方々があります。これは各省意見を体しまして、そこに総合調整をやつているのでありまして、その総合調整の上に立つて予算が査定される、かように信じているのでございます。もちろん大きな問題につきましては、事務次官会議あるいはまた閣議等におきまして決定されましたその基本方針によりまして、予算が捻出される、かように聞いております。
  42. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 ただいま御質問のありました予算を決定するときに技術的の検討が拂われているかどうかという点でありますが、この点につきましては、経済安定本部におきまして、技術的に十分検討してきめているのであります。これは各省からいろいろな要求があります。しかしそれがお互いに相剋する点があるような場合には是正いたしてやつているということでございます。たとえば先ほどお話になりました砂防の問題でございますが、それはおつしやる通りでありまして、現在の川は堤防だけつくつたのではだめなのでございます。その上流に対して堰堤をつくる、あるいは砂防をしなければならぬということは、現在の段階となつては事実でございます。それでは昔はどうかといいますと、昔は無堤でそこら辺が非常に災害を受けたのですから、堤防をつくることがその時代はよかつたのですが、だんだんと山が荒れて来るというような状態になりまして、上に砂防をつくらなければならないという事態になりました。そういう事態はわれわれ十分承知しているのでありまして、ことしの砂防費もそういう見地から相当増してあるのであります。それから先ほど農林省排水ポンプをつくるというお話でありましたが、農林省排水をする、あるいは干拓をするということは、河川関係があるようにやつているのでありまして、ただポンプをつけなければならぬという所は、たとえばそこに堤防をつくりましても、そこの所が低いのでポンプをつけなければならぬのでありまして、それはこれまでは自然排水で行つた。そういう土地がだんだんなくなつて来ると、食糧増産のためにはぜひともポンプをつけてやらなければならぬという段階に進んで来たので、われわれといたしましてはやつているのであります。
  43. 池田峯雄

    池田(峯)委員 いろいろお伺いいたしましても並行線を走つているような議論になるのでありますけれども、たとえば農林省干拓や開拓に相当の金をつぎ込んでいる。ところがこれが三年たつても四年たつても完成しない、半ば完成せんとするときに大水が出てこわされてしまう。こういう例は全国至るところにあるのです。そこでやはり根本的なものを考えなければいかないのじやないか、私はそういうことを言つているわけです。そういう根本的なものの考え方の上に立つて予算が組まれているのか。ところがこれを見た場合に、それがどうも北海道総合開発庁の場合でも、あるいは内地の公共事業の組み方にいたしましても、そういう根本的な考え方がないのじやないか。なくて農林省予算を出す、建設省予算を出す。あちらからも出る。こちらからも出る。その出て来たのをつき合せて、先ほど建設次官総合調整という言葉で申されましたが、みんなをそれぞれがまんさせて、ここらでよいじやないかというところで押しつけているのですが、こういう考え方では、総合開発といつても看板ばかりで、ほんとうの総合開発はできないのではないか。こういう点で一番強いのはだれかというと、何といつて安本です。その安本が一番よく交渉している総司令部の意向が、見返り資金ダム建設には出せないとなつた場合に、これらの今まで継続したる総合開発計画というのは、だらだらとくずれて来て、そこでさあどうしよう、見返り資金継続事業をどうしようかということで、非常に各方面ともあわてられると私は思うのであります。そういうところにもつと確固としてゆるがざるところの治山治水の根本方針というものがあつてしかるべきではなかろうか、私はそう言つておるのです。この点についてまたお二人の御意見を聞きたい。
  44. 渡邊良夫

    渡邊政府委員 まことにお説の通りでございますが、何といいましても一定の予算わく内においてやられるわけであります。しかし最も必要性のあるところに重点が置かれて予算が編成されるということはもとよりでございます。でありますから、あなたのお説に対しましては十分に私も賛成はいたしておりますが、何しろただいま申し上げたような事情でございます。
  45. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 ただいまの御質問に根本方針ということがございましたけれども、われわれといたしましては、各省から出て来たものをそのままのむ、あるいはそれを無批判に調整するということはいたしませんで、技術的見地に立ちまして一定の方針をつくりまして、それによつてつて行くということでございます。
  46. 池田峯雄

    池田(峯)委員 その安本の技術的な面と、それからもう一つの面があると思います。そのもう一つの面は、先ほど申しましたような対総司令部との関係、あるいはこれをもつとつつ込んで申しますと、日本の国民所得と資金配分の関係、こういうところにありまして、むしろ技術的な面よりは、この資金配分の、すなわち金融財政面の大さな要請ということの方が、安本予算をきめる上に実際には非常に強いのではなかろうか、建設省やその他の技術官庁の意見を聞くこともあるだろうけれども、実際には国家の大きな金融財政面で縛られる点が多いのではなかろうか、そうしてそれを縛つておるのがいわゆるドツジ・ラインということになるのではなかろうか、その予算をきめられるのにどつちが重点になつておるかということをひとつお答え願いたいと思います。
  47. 小沢久太郎

    小沢(久)政府委員 予算の問題になりますけれども、それは單に技術的に見るばかりでなく、財政的に見て、このくらいが適当であろうということでやつておるのでございまして、われわれといたしましては、現在の日本財政といたまして計上いたしました公共事業費は妥当ではないか、そういうふうに思つております。
  48. 池田峯雄

    池田(峯)委員 あとは大臣あるいは安本次官に御質問したいと思いますから、私の質問はこれで終りたいと思いますが、大体今の質疑応答の中における結論は、やはりこういう治山治水事業が非常に盛りだくさんに盛られているという御託宣にもかかわらず、実際には物価の高騰ということも考慮されておらないし、今後中共貿易の禁止等から生ずる鉄鋼資材値上り、あるいは朝鮮動乱の関係からの木材その他の資材値上り、こういうことも全然考慮されておらないし、どう考えてみましても、今までの災害の大きさなどから比較いたしましても、災害復旧事業が足りないということも考えられるし、地方財政の逼迫という点からいつても、災害復旧事業を全額国庫負担をやめて、三分の二の国庫負担にするから、従つて本年度はこれくらいの災害復旧費でいいのだ、災害復旧費を八十億円も減らすというようなことも、結局これは今の日本が自主性がなくて、自分の根本計画、長期計画を持ち得ないというところにあるのだというようなことが大体結論づけられるのではないかというふうに私考えられますので、これはどうしても單独講和でなくて、全面講和でなければならぬという結論は、やはりここからも出るのだということを先ほどからの質疑応答から確信を持ち得ましたので、私の質問はこれで終ることにいたします。
  49. 内海安吉

    内海委員長代理 本日建設大臣及び安本長官の出席を要求いたしておりましたが、両大臣は予算委員会その他の都合で出席ができないことになりました。やがて小峯安本政務次官もお見えになります。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  50. 内海安吉

    内海委員長代理 速記を始めてください。  ちようど小峯安本政務次官が見えになりましたが、いろいろ事務上の関係で三十分ぐらいにしてもらいたいという希望でありますから、小峯政務次官に対する質問を先にしていただきます。
  51. 西村英一

    ○西村(英)委員 災害復旧の予備費の問題ですが、これが本年度は百億、それでなお足りなくて補正予算をやつた。それにもかかわらず来年度は八十億という減額になつておるのです。これは一回小沢さんが説明したと思うのですが、どうも納得が行かないのですが、その八十億になつた根拠——本年度は補正予算までしたのに、来年度はおそらく災害が少かろうという占いをしたのかどうかわかりませんが、その辺が納得行かない。しかも本年度の百億は過去半箇年の災害の実績を見た数字だと思つております。それなのに八十億に減額したというのは、あまりにも財政上の便宜主義ではないかと思われるのですが、その点いかがですか。
  52. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 率直に御答弁申し上げますれば、あるいはそういうにおいがすると思います。これは実は二十五年度に百十億円ほど見返り資金の使用を公共事業に許されておりました。ところが今回財政構成の一つ考え方から、その公共事業に、百十億を使うことを一応見合せたわけであります。ところがその百十億で相当大きな仕事——道路にいたしましても、ダムにいたしましても、仕事は始めておりますので、その見返り資金で始めた仕事の経済速度を維持するために捻出する財源の問題で私どもは首をひねつたわけであります。そこで今御指摘のように、今まで百億円の予備金を持つてつて、できればもつとふやした方がいいという感覚でありましたが、財政構成上やむを得ない事情でこういうことになつたわけであります。率直に申し上げますれば以上のような経過であります。
  53. 西村英一

    ○西村(英)委員 そうしますと、とにかく善悪は別といたしまして了解いたしたのでありますが、第二の金の問題は、今言う通りに八十億であるからやはりいろいろ心配があると思います。それは別といたしまして、運用の問題で、本年度の予備費の支出の問題でありますが、これが災害が起るたびに問題になる。それでそのたびにいろいろと安本を督促いたしましてやつたのでありますが、結局のところ実績から見ますと、災害が起つて相当後期にならないと——期間がたたないと支出できない。キジア颱風による災害の予備費の支出は、おそらく十二月末であつたと思いますが、ほんとうに忘れたころに問題の支出がある。これは災害の主管省でありますところが関係しておるのと、それから安本がおそらく関係しておる。あるいは大蔵省関係しておるか知りませんが、一体この手続はどうなつているか、こんなにせつかく予備費として計上されておりましても、それがどうなるのか、その辺のところがさつぱりわれわれにはわからない。またこの点についてもし安本当局で改善の方法があるならばひとつお聞かせ願いたい。
  54. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 御指摘のような点がありますことは私どもよく認めまして何とも申訳がないのでありますが、ただ事務上の点から申し上げますと、やはり予備費のうちでどの颱風にどういう支出をする。それを各省別にわけることをやつているわけでありますが、その各省別の振りわけは、農林省あるいは建設省から地方々々の災害を一応調査しまして、その集計を持つて参りまして、初めてこれを調整し、振りわけるような形になつておりますので、その全国の調査に多少ひまどつているというのが大きな原因でございます。その救済方法としては、御承知のように預金部の資金などを早目に充当するような方法をとつて来たわけであります。この事務はもう少しスピード、アップできると私自身考えておりますので、今後は支障なく対処して行きたいと考えております。
  55. 西村英一

    ○西村(英)委員 早目にできるというのは非常によい御返事ですが、実際どのくらいでできると思いますか。たとえば災害が起りましたならば、あるいは一箇月以内にできるとか、二箇月以内にできるとか、およその見当がつくと思いますが、今年度の実施はやはりで四箇月以上かかつておる。それは全額国庫負担であるがために、査定官が出て、査定にひまどる、それを集計をするというような点にいろいろひまどつたのかもしれませんが、それともう一つは、やはり事務上の本省における手落ちがいろいろあるのではないかと思うのです。それで今次官に確約をしてくれということは無理でしようが、今年の実績にかんがみまして、それが一箇月以内くらいにやれるとか、あるいは二箇月以内くらいにやれるという二十六年度における八十億の支出の大よそのほどを承つておきたいと思います。
  56. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 事務的なことにわたりますので、御指摘のように私から確約はできませんが、しかしもう御質問の趣旨はまつたくその通りであります。私どもも実際担当いたしまして申訳ないと思うことが多いのでありまして、これは早速事務的に検討いたさせまして、この委員会に後ほど報告させていただきます。ただ相当の期間を短縮できるということは私自身の感覚でも持つておりますので、どうかもう少し御猶予を願いたいと思います。
  57. 西村英一

    ○西村(英)委員 災害の問題はそのくらいにしておきまして、もう一つ小峯次官にお尋ねいたしたいのは、さいぜんもいろいろ池田さんからお話が出ておりましたが、例の公共事業に対する見返り資金の打切りの問題ですが、この予算書の説明を見ますと、そのうち五十四億を継続してやる、こういうふうに書いてあるのですが、実際この対策は見返り資金が打ち切られ、しかも今後他に適当な財源がないということになりますれば、はたしてあれだけの大工事を所期の期間内にやることができるかどうか、つまり計画としては後退した方が賢明ではないか。その証拠は私は前会にも申したが、干拓事業のようなものがよい例です。防め総花式にぱつとやりましても、六年も七年もかかつてその効果が上らないで、はなはだやりたい計画ではありますけれども、現在所期の期間内にやろうと思えば、もつと財政的な基礎をしつかりかためないと目的への到達がなかなか困難だと思う。それで一番初めに出されました調書は三箇年間に仕上げる。二回目に出された調書では四箇年間にもなつている。それで今回この一般公共事業の中からかくのごとき大規模の事業をやろうとすれば、はたして個別的に何箇年計画でやられるか、そのしつかりした数字をにらまないで、ただやろう、こういつてもなかなか困難じやないかと思うのですが、これに対する対策は、安本にはおそらくおありだろうと思いますが、公共事業に食い込むことは不賛成です。不賛成ですがこうなつた以上はやむを得ないといたしまして、これをどういうような方針で、完成しようとするのか、その辺につきまして御所見を承りたい。
  58. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 総じて公共事業相当食いさしになつておりますことは御指摘の通りだと思います。そこでその対策といたしましては、公共事業を積極的に進めることをまず取上げなければなりません。しかし公共事業を積極的に進めますためには、結局国力が決定するのでありますから、どうして日本の経済を盛り上げるか——そこで先般来大体お耳に入れております自立経済計画というものを私ども出しまして、二十六、二十七、二十八で日本の経済をここまで盛り上げるという目標を立てております。その目標によりますと、事業活動はこういうふうになる、国民所得はこういうふうになる、財政投資はこうできるというものをつかみ出しまして、公共事業の額につきましても、二十六年を基準にいたしまして、二十七、二十八をすでに自立経済計画の中にうたつている。こういう面が第一の対策でありますが、同時に御指摘のように食いさしになつておりますものを涙を振つてやはり整理することは必要であろうと思います。場所別の予算は今せつかく検討中でありますが、その方針で、御指摘のような点は思い切つて生かそうというかたい決心を持つてつております。
  59. 西村英一

    ○西村(英)委員 政府委員の方にお願いしますが、その計画表と年度予算の割振りを出してください。どういう年度別の計画で、五つのダムを仕上げるとか、八つか九つの河川改修をするとか、その計画の表をひとつ出していただきたいと思います。五十四億の割振りの計画表をお願いしたいと思います。
  60. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 ただいまの問題に付言して申し上げますが、実は時間を早く切上げていただきたいと申しますのは、その案をやつているまつ最中であります。そしてなるべく早くその内容について皆さんにお目にかけるようにいたしたいと思います。しばらくこれは御猶予願いたいと思います。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 お急ぎのようですから関連いたしまして私からも簡單に質問いたしたいと思います。これは建設大臣に私は強力に質問するつもりでありますが、建設大臣が大臣に就任されましたときに、建設省で出しました建設白書、建設白書とは書いてありませんけれども、やはり建設白書なるものが自分の構想であるということで、それに対して私は以前の委員会で大臣に見解を承つたのでありますが、財政上だという弁解は了解いたしますけれども、その構想は少しもこの予算に現われていない。ただいま見返り資金関係の問題がありましたので、私はそれについて申し上げるのでありますが、これは農林省関係予算にも関係いたすかもしれませんけれども、私は建設省関係予算だけについて申し上げるのであります。河川事業費砂防事業費道路建設機械費、都市計画費、ガス事業費、水道施設費、これは厚生省負担でありますけれども、大体建設事業であります。住宅施設費、この総計が三百四十九億余り、私は内地という言葉を使いたくないのでありますけれども、今度の予算北海道は、特別のわくになつておりますので、さうな名称を使います。そのうち第一のそれらの関係が三百十億余り、北海道が三十九億余りということに相なつております。そこで先ほども問題になつておりしたが、見返り資金関係の事業を継続するためにおよそ五十二億を予定されている。それをどこから捻出するかという問題でありますが、このために災害復旧、ただいまも強力なる全国の連盟から要望されまして、これは議論の余地のない災害復旧費を減らして——それが大体ただいま読上げました事業費に含まれておると思うのでありますが、それらをどこから引出すか、大体私の見当では河川事業砂防事業、道路事業、こういう面から出されると思うのであります。教字の上ではもちろん前年度からはある程度ふえておりますけれども、これは仕事の上ではふえない。そこで先ほど申し上げましたいわゆる内地の関係の分の方から引かれるように相なるのであろうと私は思いますが、北海道が天引されている理由は私はそこにあると思います。これは相当問題であります。いずれ建設大臣に申すつもりでありますが、そこで内地関係の三百十億円のうちから先ほど五十二億と申しましたが、見返り関係の五十四億円を引きますと、二百五十六億に相なります。それで今年度河川砂防道路費、計二百二十四億余円から五十億円を引き、さらに昨年度のそれらの関係が百五十七億余円になつておりますので、これを引きますと、今年度それらの関係事業費はわずかに十二億ふえておる、こういうことになります。各道路河川砂防、そういう点の、いわゆる見返り関係以外の一般の事業がきわめて後退するということを、各局長さん以下その関係の方々が非常に心配をされておる。その上に先ほど池田委員からもるる御質問がありましたように、物価値上りその他で事業量がだんだん減つて来るというように私は考えております。十二億円——これらの事業費を含めてそのままの数字計算いたしましても、八%増、これを資材労賃値上りを見ますと、逆に事業量は減るのではないかと思つておりますが、一体見返り資金関係のそれはどこから引出されるわけでありますか、そしてその後の事業はこれで満足ということは、今の財政ではできませんが、昨年より後退しないように、国民の要望にこたえられる熱意があるのかということと、もう一つ見返り関係について全然今後努力をされないのか、もしくは見込みがないのか、これがなければいくら論議をいたしましても、日本の土木行政は後退するということになります。それともう一つは、先ほど建設交通局長は将来のことはわからないと言われました。もちろんわかりますまいが、しかし大体の見通しをして整理をしなければならないと思いますので、将来物価指数もしくは労賃値上りがありまして、ますます政府が苦労いたしておりまするような治山、治水事業その他が後退するときには、補正予算を組んででも国土を守るというお考えでありますかどうか、これだけをお伺いしておきます。
  62. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 御指摘のようないろいろの不安もありますので、今私ども一応組みました予算の中でやり繰りをし、重点的に経済効果のあるものを取上げて行つて、御指摘のような精神に沿うようにやりたいと思います。  なお見返り資金の問題でありますが、関係筋との間の折衝がまとまりませんので一応今のような形にいたしておりますが、私どもは見返り資金に対する努力をこれで打切るつもりはございません。できるだけ見返り資金からの使い方も実現いたしますように、引続いて折衝するつもりであります。補正予算の問題は政府全体の問題でありまして、私からお答をすることは少し筋が違いますし、あるいは権限を越すものと思いますが、もし水害等のことがありますれば、好むと好まざるとにかかわらず、そういうふうなこともあるいは起るのではないかと考えております。
  63. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 水害があればということですが、当然水害はあるのでありまして、今年は一つもなくても、約一千億の水害は今日放任されておるのでありますから、この点はぜひお考えを願いたいと思います。そこで先ほどお尋ねいたしましたように、私の考えでは、農林省関係もあるかもしれませんが、河川砂防道路から見返り資金関係の五十四億を大体引拔かれると思うのでありますが、現在時間も切迫しているように言われますし、作業をしておられると申されますので、一体どこからどのくらいこれを引抜いて道路河川砂防をどのくらいやられるという考えで、現在やつておられますか、それを承りたいと思います。
  64. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 ただいまのその問題は研究中でありまして、どういう振合いにするかというようなことを私どもとしてもなお会議を続けておりますし、関係方面も同様であろうと思います。
  65. 田中角榮

    田中(角)委員 これは私がもう五年間ばかりかかつて経済安定本部を対象にして言つておることを、またむし返すようでありますが、もうすでに相当時日も過ぎておりますので、私がかつて経済安定本部に要求したことが実現をしているかどうかということをひとつ小峯政務次官にただしておきたい、こう思うのであります。ただいままでいろいろな質問がありました。これは要約して公共事業費増額一つにかかつておるのでありますが、公共事業費増額という問題は、国民全部の熱望でありながら、国家財政の許す範囲においてということを政府は常に答弁をしております。これはまつたくその通りでありますが、私は第二段の策として、すなわち最善の策が行えない場合は次善の策を行う。効率的なる国費の投下をしなければならない、こういう面から申し上げるのでありますが、公共事業の総合的調整というものに対しては、経済安定本部がここ数年間その衝に当つて来ておるわけであります。しかもすでに提出されている昭和二十六年度予算全体の大半を占めるところの公共事業費も、当然経済安定本部において調整をとられた案であります。これに対してまず聞いたいのであります。現在までの公共事業費経済安定本部における各省別配分方法を見ますと、厖大な各省別の予算を計上いたしまして、これを経済安定本部で削減するということに当然相なるのでありますが、なお大蔵省会議をし、その上できめられたわく内、すなわち求めて與えられるわく内でこれを決定するという予算の編成方針をとつておるのであります。これも限られた予算で行うのでありますから当然でありますが、ここに目につかないところの大きな問題が残されていると思います。そのようにして二段、三段に削減されるところの財政源をもつてまかなわなければならぬ公共事業費が、各省に配分をせられて、効率的に投下せられているかいないかという問題であります。この問題は現在まで、公共事業費に対して、特に土木工事に対して投下せられるものは、農林省農林省において立案をし、建設省建設省において立案をしております。本委員会でもいろいろ問題が起きたのでありますが、二十六年度予算の最も大きな焦点として浮び上つたのが農業一割増産、この農業一割増産の具体的な方策として、中小河川に対する農業利水という問題が大きく取上げられて、建設省ではまごまごしていると中小河川農林省にとられるのではないかというようなじようだんさえ言つておつたほどであります。この農業一割増産の予算というものと、川というものは引離すことができないものであります。しかるに現在予算を組まれた状況を見るときに、建設省で行うもの、農林省で行うもの、運輸省で行うもの、厚生省で行うもの、この一貫性を持たるべきものが一貫性を持たれていないという事実がたくさんあるのであります。港湾において、二十六年度重点的に運輸省はこれを行うといい、建設省道路は二十八年度にこれを行うという。かかる例は全国至るところに散見せられるのであります。のみならず上流砂防も行わず、治水、治山ということも全然考えないで、農林省は開拓事業を行つております。私はこういうふうないわゆる過去のしきたりであるからという頭で、どんぶり勘定だけでもつてぶつた切つて行くということが、二十六年度予算にもとられ、なおかつ限られた予算の範囲で行うのだからやむを得ないという考え方であつて各省の、すなわち水系別、治山治水、利水、国土開発というものに一貫性を持たない、科学的に技術的に根拠を持たないものが、経済安定本部において各省に配分せられるというのだつたら、経済安定本部公共事業に関する部門は存在を必要としないわけであります。私はこの問題に対しては建設行政の一元化ということを古くから唱えておるのでありますが、建設行政を一元化するという私の考えは、簡單に申し上げれば、公共事業をしかく効率的に運用したいということ一つにかかつておるのであります。現在の行政機構の再編成という場合には、当然建設行政の一元化という問題になるのでありますが、各省にわたるところの配分に対して、私たちが長い間言つておつた水系別治山治水、利水、国土開発というものに一貫性を持たせて配分しておるかどうかという問題をまず聞きたい。  もう一つは、同じ経済安定本部予算を認定しておりながら、各省において技術的な、いわゆる工法における統一性はちつともとられておらない。このことは私たち專門的な立場から考えますれば、同じ工事を行います場合に、建設省で行う工事、農林省で行う工事、鉄道で行う工事、これら国費の支弁によつてやる工事が、実際の実施面においては非常に違つております。のみならず事業費の控除率もあるものは八%、あるものは一〇%、高率のものは一八%までとつておるという実情もあります。かように公共事業に一貫性を持たせずして、現在の国民の大なる要請にこたえることはできないのであります。その意味において、経済安定本部小沢建設交通局長がおいでになつておるのでありますが、熱心に各省間の技術的な統計調査の調整をおとりになつておるかどうか。もちろん予算を配分するときには、各省が集まつてつておると言われるが、事実関連性はないといつても過言ではない。もしありとするならば、二十四年度、二十五年度、二十六年度の現在提出せられておる予算を、河川別、工事の施行箇所別に一覧表を提出していただきたい。これはもう私たち片山内閣当時から、本委員会が超党派的に政府に申し入れてある事項であります。すでに四、五年を経過した現在、これに対しては確固たる結論をお出しになつていただきたい、かように思うわけであります。  以上のことに対して御答弁が得られるならば伺いたいと思います。ことに将来経済安定本部で私がただいま申し上げましたことを真劍に考えられて——経済安定本部総合調整機関であるという大目的のために、最も大きく取上ぐべき公共事業関係に対して、総合的な機関を積極的に設けられて、しかも積極的に実施をされんことを強く要望しておくものであります。この御答弁の結果、建設政務次官にもこれに関連をして要望いたします。
  66. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 御指摘のような公共事業総合性、一貫性あるいは合理性というものは、私どもが公共事業総合調整に任じておる建前上、当然考えなければならぬ点であります。ただ御指摘の点で、十分成果が上つていないということはまことにおはずかしい次第でありますが、一層努力はいたすつもりであります。幸い御承知のように、総合国土開発審議会というものが正式に発足いたしまして、その地方計画あるいは特定地域の指定なんかもだんだんと進むと思うのでありますが、そういうものを拝見いたしますと同時に、私どもが今御指摘の線に沿つて大いに努力をいたしまするならば、よほどその成果は上つて来ると思うものであります。二十六年度の査定にあたりましても、まだ不十分だとお考えになるかもしれませんが、今のような点を十分指摘いたしまして、その総合性、一貫性だけはできるだけねらつたつもりであります。まだこまかい点が明確になつておりませんので、いずれそれが明確になりました際に、御批判、御教示を賜わりたいと思います。そのあとの工法の問題は、田中委員專門の立場でありますので、これは非常に傾聽いたしたわけでありますが、私どもの監督課を通して、そういう面に対する注意もだんだん喚起して参つおります。しかしこれはまつたく私個人の意見でありますが、公共事業法というような、よるべき法律を一本つくりまして、工法のような問題、あるいは御指摘のような問題をもつと的確にうたう方がいいのじやないかと考えております。私個人の私見でありますが、とにかく行政上の問題で、今日公共事業ほど重いものはないと考えるものですから、皆さんの御批判、御指摘をいただきまして、ぜひ公共事業法というものまで近い将来において考えて参りたい、かように考えております。
  67. 田中角榮

    田中(角)委員 小峯政務次官は非常にいいことを言われたと思うのでありますが、私もその意味で申し上げたのです。と同時に、公共専業法というがごとき、公共事業の統一法をつくらなければならない、その段階として、本委員会はすでにそのうちの官庁方面の統一法を現在つくろうということで、努力中でありますので、経済安定本部も今後大いにお力添えをいただきたい。この種の法律案をつくるには、各省のセクシヨナリズムに災いされまして、遂に日の目を見ずして、いまだ明治から長い間、政府は行政整理を行わずに、しかもなかなか行政機関の再編成を行えないということは、一にかかつてここにあるのであります。現在少くも公共事業費に対しては、安本において総合的調整をしておる、こういう機関があるのでありますから、われわれ委員会はこれが実効を上げるために、資料の提供並びに立案に対しては、十分の協力を與えられたいと思います。これは各省に対して要求するのが至当でありますが、各省はなかなか出したがらない。私たちは何も交通局長の手元で過去に行われたものに対してとやかく言うのではありません。公共事業の効率という面だけで申し上げておるのであります。二十三年度、二十四年度はもうすでに済んでおります。二十五年度は施行済みであります。私がただいまおりました決算委員会では、二十四年度の決算報告書が提出せられるような状況であります。二十四年度、二十五年度は大体においてまとめがついておるわけであります。ただ出してみたいものは各個ばらばらであつたではないかということを立証するために言うのではありません。そのために出しにくい各省数字ではありましようが、ひとつ経済安定本部においてまとめられたものを、本委員会の委員に対して提供を願いたい。この提供を願つたならば、われわれもそれによつて一つの筋の通つた考え方をいたしたいと考えておりますので、各省を督励して、われわれの参考資料になるであろう過年度予算の実施状況に対して御報告願いたい。
  68. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 今の点了承いたしました。
  69. 田中角榮

    田中(角)委員 渡辺政務次官がおられますので、経済安定本部に申し上げたことに関連し、一つだけ御注文申し上げたい。稻浦技監がおられれば、再開の劈頭でありまするので、一言要望したいと思つてつたのでありますが、本日おいでになりませんので、次官がお帰りになつてからはつきり言つていただきたい。それは稻浦技監にもう少し地方をお歩きになつていただきたい、それだけであります。なぜかと申しますと、これはただいま申し上げた通り、第一の段階においては、公共事業費ができるだけたくさんとれればいいのだ。しかしとれぬ現状においては、限られたもので、第二の次善の策を行わなければならない。その場合には、一銭たりともむだに使つては相ならぬということを安本に申し上げたわけであります。しかも第三には、絶対に間違いのない予算の使用方法であつても、さいの河原式の事業をいかにおやりになつても、これはしかたがない。応急措置に対してはいろいろのことが論じられるのでありまして、住宅の問題でも、バラックを建てる、それから公営住宅のごときものに移つて行く、そして究極の目的は不燃建築に移つて行く、こういう段階を通るのでありますから、これもやむを得ないと思うのでありますが、すでに終戰以来五年、まず日本の政治を完全に治める者は日本の水を治める者である。昔の中国と同じことになつてしまつた。こういうように政治の焦点はそれ治山治水にありというのでありますから、その親玉であるところの建設省は大いに努力してもらわなければならぬ。現在施工の面、すなわち技術の面において、私が單に申し上げるのではなくて、本日は不参でありますが、今村忠助君はこの問題に対して非常に強く何回も長い間かかつて発言をしております。すでに先ほど申し上げた建設行政の一元化と同じように、五年もかかつて建設省に要求しておるのでありますが、さつぱり実効は上つておりません。建設省の技術的なものは一体どこでやつておるのであろうか。もちろん建設省に言わせると、技官がある。それから一般職と土木職とにわかれておるわけでありますが、土木は土木、建築は建築の技術者を使つておると言われておりますが、その程度の限られた技術者でやつているようでは、そううまい工事ができるはずがない。それでさいの河原の現状を続けておる。そのほかに外郭といいますか、術技研究所というものがある。この技術研究所のことはあまり言うとしかられるかもしれませんが、ここはまつたく象牙の塔である。もう論争ばかりやつてつて結論をさつぱり出さない。結論を出すのはわれわれの方が一番うまいのだが、こういう工法でやるのだというような努力はさつぱりしない。ここに目黒河川局長もおいでですが、そこに建設省として大いに改めなければならぬ問題もあるし、大いに考えなければならない問題があります。私も技術屋でありますが、技術屋は非常に偏狭であります。偏狭だから自分が設計したのが一番よいと思う。いろいろな案が出て来るとむずかしいものだから、まあ徳川幕府時代からやつておるものだからしようがなかろうということで、ほとんどが行われておるということはいなむことができない。その意味において建設省の方は、今の方法がよいとか悪いとかいうことでなくて、限られた公共事業費をこの厖大な災害復旧や防災に使わなければならない。百年の大計を立てながら一歩一歩進めて行く現状においては、新しい感覚と新しい組織をもう一ぺん考えてもらいたい。渡辺次官もわれわれと同じ新潟県出身でありますので、ここで私は一つのよい例を申し上げたい。いわゆる大河津の堰堤に対して今費用を投下して工事を進められておりますが、これは一年に千五百万円ないし二千万円ずつ投下しておりまして、ちようど請負人が、倉は建たないけれども、何とか食つて行けるくらいの費用を投下しております。これはうそではありません。私は局長さんにも、中田次官にも、末松関東地方建設局長にもお話して、この間技研の方々と一緒に参つたのです。これは何とかして早くやらなければならない。というのは待てるものではないのです。日本でも有数の信濃川の大河津と工事は何としてもなし遂げなければならぬ。しかもその河口部がどんどん掘れてしまう。こういうように限られた予算でやつていたならば、予算をかけながら、もうこわれている。十年も待てない現状であります。現在の状況を考えますと、五年、七年であの大分水の堰堤がくずれたならば、えらい損害になつてしまう。これは私の考えでは一億五千万円か、二億ぐらいの金で十分修復できるのでありますが、予算の問題ではないのです。工法の問題なんです。あらゆる人がまず議論百出です。隧道をつくつた方がいいとか、三分の一ずつつくつた方がいいとか、こんなものはできるものではないとか、いろいろありますが、このようなものぐらいは一挙に技術的に解決してもらいたい。もし建設省がおできにならなかつたならば、在野のわれわれ技術者が一箇月で解決する方法を提示してもよろしい。これは建設省におられてすでに退職をなさつた方々も、非常に斯界の問題として研究しておるのでありますし、すでに五年も、十年も長い間研究した問題でありますので、十分工法は立つておらなければならぬ。だから私はもつと技術研究所を拡充するなら拡充した方がよろしいし、何とか建設省の工法という面に対しては、大きな面から見られて各セクシヨン間のセクシヨナリズムに左右せられることのないように、格段の御努力を要求するものであります。
  70. 渡邊良夫

    渡邊政府委員 常に建設省の問題では非常に御協力していてくださる田中委員に対しましては、平素から感謝している次第であります。先ほどからの安本当局に対する御質問もきわめて建設省に対しますところの御協力の発露であるように拝聽しておりました。ただいままた建設省当局に対しますいろいろな御要望は、御鞭撻のお言葉であると承つております。稻浦技監に対します地方の視察のことにつきましても、私から稻浦技監にお伝えする次第でございます。  建設省技術面において何らか欠けておる、あるいはまた建設行政は技術が中心であるにもかかわらず、どこにその本体があるかというような御質問のようでございますが、ただいま技監室の拡充を考えておりまして、近くこれが実現の運びに至る段階になつております。今後とも建設行政に十分の御協力をお願いいたしまして、御質問の点のお答えといたします。
  71. 西村英一

    ○西村(英)委員 河川局長がお見えになつておりますから、ちよつとお伺いいたしたいのですが、実は先日の御説明で今後新たに水理調査をやるというお話がありました。私はこの点について建設省河川局長だけではどうにもならない問題だと思うのでが、しかしどうしても河川災害にいたしましても、国の総合開発にいたしましても、やはり根幹になりますことは、言わずもがなであります。しかもこれが五年や十年でなかなか完結するものでもない。従つて河川に関するところの現状を十分に把握して行くということが、すべての建設の根幹になるのではないかと思つております。おそらく河川局も各河川につきましていろいろ調査研究をなされていると思うのですが、それにつきましてさらに一歩を進めまして、もう少し河川の実情を調査する機関を大規模にやつてもらいたい。このたび水理調査のために二千万円そこそこの行政費が上つておりますが、そうではなしに、これは河川局だけでもいけませんでしようし、あるいは農林省も入れなければならぬと思いますが、国家といたしまして河川の水理調査所をつくつて河川の現状をよく把握する。これは戰前におきましてもある程度の調査があつたかとも思われます。ことにまた発電水力等におきましては、かつて逓信省あたりでもたびたび臨時調査所をつくりまして、やつたこともありますが、その後戰災等によりまして資料も紛失いたしておると思います。また河川の状況もかわつておる、また利用の高度化というようなことも、過去の河川を見る目と一層違わなければならぬ。そういう点で大規模な調査機関をつくり、予算相当そのために計上することも必要ではないかと思う。田中委員から河川に対する技術上の問題が出ましたが、今世の中には非常にしろうと土木屋が多いのです。ちよつと見て、あれはこうしたらいいだろうとか、いろいろの考えがあつて、結局何ら根拠を持つていないしろのと目の土木批判家、あるいは土木屋が多いのです。というのは、建設省関係にしつかりした河川に対するデーターがない。おそらく各河川に対して完全なるマス・カーブを持つておるようなところもないだろう、そういうような点につきまして今回の措置は私は非常にいいと思うのですが、河川局長はさらに一歩を進めて考えていただきたい。また今回の行政費として見込みましたところのあの水理調査の費用を、いかにこれを使つて、現場にいかにこれを流して、現場でいかなることをしようとするのか、その辺のことにつきまして御意見がありましたならば承つておきたいと思うのであります。
  72. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 田中さん、西村さんのいろいろ技術に対する御意見、非常にわれわれは感謝しおるのであります。基本的調査の不十分ということはわれわれも十分感じております。そのうちでも、たいていわれわれが外人と接触する場合に、記録はどのくらいあるかということで問題になるのですが、一番長いので五十年のレコードきり持つておらない。ところが向うさんはどうも五十年くらいのをたよりにして計画を立てるのはおこがましいという考え方なのですが、どうも今までの日本の河川改修の歴史から考えましても、五十年以上の記録はないであります。ところで五十年の記録を基礎にしてやつておりまするが、おそらく正確なる判断の資料としては五十年記録では不十分なる河川があると思います。しかしながらその五十年記録のある河川というのは、日本におきましては利根川その他の一、二の河川のみでありまして他は十年そこそこの記録というふうな貧弱な記録であります。そこで記録におきましても、過去の記録でとりましたものを現在対照して考えますると、いろいろの点に疑問を生じて参つておるのであります。それでこれらの過去の記録の再検討をしなくてはならぬということと、もう少し記録そのものが時代の進歩とともに精密度を増して行かなくてはならぬではないだろうか。今度の二千万円の目標は、主として観測地点及び河川数を増加して行きたいというのが大きな目的でありまするが、記録のうちで一番各省との関係のあり、また総合的にできますのは雨量の記録であります。これは気象台でも相当つておりますし、ほかの関係機関でもやつておりますので雨量の記録はこれを統計をとりますると、ある程度手に入るのでありまするが、問題は河川そのものの水量の記録といいますか、あるいは洪水の記録とか、低水の記録とか、こういう記録が非常に少いので、この点を拡充して行きたいということ もう一つは、最近の日本の荒廃の状態からいいますると、山地から土砂の流出するのが相当問題になつて参りました。これは今までかつて土砂の流出を記録したものは何ものもないのであります。ただ概念的に幾ら土砂が出たということであつて、実際にこれをはかつたものがない。これらのものを年々集計しないと、土砂の移動流出の状況がはつきむしないのでありまして、これも今後の問題として取上げてみたい、おもなるものはその三点でありまするが、これが今の水理の調査費に盛り込まれておるのでありまして、さらにそれ以外の調査費が公共事業費にあるのであります。それ以外の調査はどういう形でやるかと申しますると、大体調査の行き方には二通りあると思うのです。いわゆる一応の机上プランをつくりまして、一応の目安をつけるという計画一つと、さらにこれを具体的に実際に入りまして、ほんとうに精密なものをやり、いつ何どき実施をしてもいいという調査の仕方があると思います。今まで総合開発というような意味の線で出ておりますものは、比較的机上計画に属するものが多かつた。そこでこれをすぐに実施した場合にどういう欠陷を生ずるかと申しますと、結局調査そのもののために一番問題になりますのは、その経済価値の問題でありますが、経然価値判断は往々にして誤ることがあり得るのであります。この経済価値判断というのは非常にむずかしいものでありまして、実際はなかなかできないのでありますが、しかしできるだけ経済価値判断を加えた計画を立てませんと、いわゆるコスト・ベニヒットと申しますか、そういう関係公共事業費には出て参りませんで、われわれが事業そのものの総合計画を立てる場合には、まず経済価値判断をする資料をもう少しまとめてみたい。それからもう少し実際的な、ほんとうの必要数量を現実につかまえてみたいというのが、比較的精密度の多い総合計画というふうにわれわれは考えておるのであります。そこで御承知かもしれませんが、これは稻浦技監の言になつて申訳ありませんが、アメリカのウオーター・レソーセス・コミツシヨンというのがありますが、ここの報告書は、すべて経済価値判断までと総合計画の水系別のレポートが出ておるわけであります。われわれはこの次には今までの机上プランから一歩進んで、その総合計画をやつてみたいというのが来年からのわれわれの気持なのであります。そこでこれをやりますためには、一度に手を広げてもなかなかむずかしいので、ある程度、数本を限定いたしまして、そういう線にやつて参りたい。でありますから、基礎資料の調査と机上のプランと、さらにこれをもう少し具体化する計画と、こういうふうな三段階の調査をやりたいというのが、来年度の調査の方針であります。その組織といたしまして、定員増加もそうありませんので、現在の河川局を動員いたしまして——おそらくこの調査をするのは河川局全体の技術者がこれに当らなくてはならぬと思つておりますが、おのおのについて責任者をきめて一本一本やつてみたい、こういう考えで、一般的な各課の事務配分とは多少違つた、一応のテンポラリーのものとしてやつてみたいと考えております。それからもう一つは、その計画の中でも、われわれのプロパーなものの計画は、われわれで骨が立ちますが、その骨に肉をつけて行つたりしなくてはならぬものが、各省関係がありますから、多分にあります。この肉をつけて行く関係の方は、技監室の拡充により、そこで肉をつけてもらつて、りつぱなものにつくり上げて行く。そこで先程次官からのお話通りに、技監室の拡充の問題も今研究中なのであります。来年の調査方針はそんなつもりであります。
  73. 西村英一

    ○西村(英)委員 様相は大方わかりました。一歩進んだことについては非常に敬意を拂いますが、規模が非常に小さい。ことにまた本省におきましても、業務のかたわら調査にかかろというようなことは、なかなかいい調査はできない。調査という仕事は地味な仕事で、なかなかやり手がない。ことにまた地方の公共団体等におきましても、あなたも御承知の通り、あれだけの河川を扱つていながら、一人も河川に関する資料を集めている入がない。要するに河川関係している人は、予算を多くとりさえすればいいということで、予算の獲得にうき身をやつしているわけでして、こういうことでは、やはり根本的なことはできないと思うのでありまして、やはり調査係というものは相当に人数をきめて、やらしていただきたい。その他私は、最前も申しましたように現在の規模では非常に心もとない。河川の問題は国家の今後相当長い間の問題なんです。ここで根本的な資料をつくるために、どうしても大規模な調査所を、あるいは調査機関をつくつてもらいたいということを私は提唱したいものであります。これは局長からお返事をもらおうとは思いませんけれども、ひとつそういうような方法につきまして御研究をなさつていただきたいと思います。御答弁はいりません。希望を述べまして、私の質問を終ります。
  74. 内海安吉

    内海委員長代理 本日の質疑はこの程度で終ります。次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十二分散会