○目黒
政府委員 田中さん、西村さんのいろいろ技術に対する御
意見、非常にわれわれは感謝しおるのであります。基本的調査の不十分ということはわれわれも十分感じております。そのうちでも、たいていわれわれが外人と接触する場合に、記録はどのくらいあるかということで問題になるのですが、一番長いので五十年のレコードきり持
つておらない。ところが向うさんはどうも五十年くらいのをたよりにして
計画を立てるのはおこがましいという
考え方なのですが、どうも今までの日本の
河川改修の歴史から
考えましても、五十年以上の記録はないであります。ところで五十年の記録を
基礎にしてや
つておりまするが、おそらく正確なる判断の資料としては五十年記録では不十分なる
河川があると思います。しかしながらその五十年記録のある
河川というのは、日本におきましては
利根川その他の一、二の
河川のみでありまして他は十年そこそこの記録というふうな貧弱な記録であります。そこで記録におきましても、過去の記録でとりましたものを現在対照して
考えますると、いろいろの点に疑問を生じて参
つておるのであります。それでこれらの過去の記録の再検討をしなくてはならぬということと、もう少し記録そのものが時代の進歩とともに精密度を増して行かなくてはならぬではないだろうか。今度の二千万円の目標は、主として観測地点及び
河川数を増加して行きたいというのが大きな目的でありまするが、記録のうちで一番
各省との
関係のあり、また総合的にできますのは雨量の記録であります。これは気象台でも
相当や
つておりますし、ほかの
関係機関でもや
つておりますので雨量の記録はこれを統計をとりますると、ある
程度手に入るのでありまするが、問題は
河川そのものの水量の記録といいますか、あるいは洪水の記録とか、低水の記録とか、こういう記録が非常に少いので、この点を拡充して行きたいということ もう
一つは、最近の日本の荒廃の
状態からいいますると、山地から土砂の流出するのが
相当問題にな
つて参りました。これは今までか
つて土砂の流出を記録したものは何ものもないのであります。ただ概念的に幾ら土砂が出たということであ
つて、実際にこれをはかつたものがない。これらのものを年々集計しないと、土砂の移動流出の状況がはつきむしないのでありまして、これも今後の問題として取上げてみたい、おもなるものはその三点でありまするが、これが今の水理の調査費に盛り込まれておるのでありまして、さらにそれ以外の調査費が
公共事業費にあるのであります。それ以外の調査はどういう形でやるかと申しますると、大体調査の行き方には二
通りあると思うのです。いわゆる一応の机上プランをつくりまして、一応の目安をつけるという
計画が
一つと、さらにこれを具体的に実際に入りまして、ほんとうに精密なものをやり、いつ何どき実施をしてもいいという調査の仕方があると思います。今まで
総合開発というような意味の線で出ておりますものは、比較的机上
計画に属するものが多かつた。そこでこれをすぐに実施した場合にどういう欠陷を生ずるかと申しますと、結局調査そのもののために一番問題になりますのは、その経済価値の問題でありますが、経然価値判断は往々にして誤ることがあり得るのであります。この経済価値判断というのは非常にむずかしいものでありまして、実際はなかなかできないのでありますが、しかしできるだけ経済価値判断を加えた
計画を立てませんと、いわゆるコスト・ベニヒットと申しますか、そういう
関係が
公共事業費には出て参りませんで、われわれが事業そのものの総合
計画を立てる場合には、まず経済価値判断をする資料をもう少しまとめてみたい。それからもう少し実際的な、ほんとうの必要数量を現実につかまえてみたいというのが、比較的精密度の多い総合
計画というふうにわれわれは
考えておるのであります。そこで御承知かもしれませんが、これは稻浦技監の言にな
つて申訳ありませんが、アメリカのウオーター・レソーセス・コミツシヨンというのがありますが、ここの報告書は、すべて経済価値判断までと総合
計画の水系別のレポートが出ておるわけであります。われわれはこの次には今までの机上プランから一歩進んで、その総合
計画をや
つてみたいというのが来年からのわれわれの気持なのであります。そこでこれをやりますためには、一度に手を広げてもなかなかむずかしいので、ある
程度、数本を限定いたしまして、そういう線にや
つて参りたい。でありますから、
基礎資料の調査と机上のプランと、さらにこれをもう少し具体化する
計画と、こういうふうな三
段階の調査をやりたいというのが、来
年度の調査の方針であります。その組織といたしまして、定員増加もそうありませんので、現在の
河川局を動員いたしまして
——おそらくこの調査をするのは
河川局全体の
技術者がこれに当らなくてはならぬと思
つておりますが、おのおのについて責任者をきめて一本一本や
つてみたい、こういう
考えで、一般的な各課の事務配分とは多少違つた、一応のテンポラリーのものとしてや
つてみたいと
考えております。それからもう
一つは、その
計画の中でも、われわれのプロパーなものの
計画は、われわれで骨が立ちますが、その骨に肉をつけて行つたりしなくてはならぬものが、
各省の
関係がありますから、多分にあります。この肉をつけて行く
関係の方は、技監室の拡充により、そこで肉をつけてもら
つて、りつぱなものにつくり上げて行く。そこで先程次官からの
お話の
通りに、技監室の拡充の問題も今研究中なのであります。来年の調査方針はそん
なつもりであります。